この記事のポイント
Anthropicとの協業でClaude Cowork技術をMicrosoft 365に統合し、マルチステップタスクを自律実行する新機能
Work IQ(Data / Context / Skills & Tools)が業務文脈を読み取り、エージェントの判断精度を向上
Claude Coworkはローカル実行、Copilot CoworkはクラウドベースでEnterprise Data Protection適用
E7(Frontier Suite)は$99/月でE5+Copilot+Agent 365+Entra Suiteを統合し、個別購入より安価
2026年3月下旬にFrontierプログラムでPreview拡大。Agent 365とE7は5月1日GA

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
2026年3月9日、MicrosoftはAnthropicとの協業で開発した新機能「Copilot Cowork」を発表しました。
Microsoft 365 Copilotにエージェント型の自律実行能力を加え、会議準備やリサーチ、チーム連携といった複数ステップにまたがる業務を、バックグラウンドで一括処理できるようにする仕組みです。
本記事では、Copilot Coworkの基本機能からWork IQアーキテクチャ、Claude Coworkとの違い、セキュリティ・ガバナンス、料金体系(E7 $99/月)、提供スケジュールまでを体系的に解説します。
目次
Microsoft 365 Copilot Wave 3における位置づけ
Work IQとは?Copilot Coworkを支えるインテリジェンス層
Data / Context / Skills & Toolsの3層構成
Claude CoworkとCopilot Coworkの比較
Enterprise Data ProtectionとAnthropicサブプロセッサー
Microsoft 365 E7(Frontier Suite)の構成と価格
Copilot Coworkとは?

Copilot Cowork(コパイロット コワーク)は、2026年3月9日にMicrosoftが発表したMicrosoft 365 Copilotの新機能です。
従来のCopilotが「チャットで質問に答える」アシスタントだったのに対し、Copilot Coworkは自ら計画を立て、複数のアプリをまたいでタスクを実行し、成果物を仕上げるエージェントとして設計されています。
たとえば「来週の顧客会議を準備して」と依頼するだけで、プレゼン資料の作成、財務データの収集、チームメンバーへのメール送信、準備時間のスケジュール確保までを一括で進めてくれます。
タスクはバックグラウンドで数分から数時間にわたって実行され、途中のチェックポイントで進捗確認や方針変更も可能です。
Microsoft 365 Copilot Wave 3における位置づけ

Wave 3で発表された主な要素を以下の表で整理します。Copilot Coworkはその中核に位置する新機能です。
| 要素 | 概要 |
|---|---|
| Copilot Cowork | Anthropicとの協業によるマルチステップタスクの自律実行 |
| Word / Excel / PowerPoint / Outlookのエージェント体験 | 各アプリ内でCopilotがドキュメント・スプレッドシート・スライド・メールを自律的に作成・編集 |
| Copilot Chatの強化 | チャットからドキュメント作成やアクション実行が可能に。Claudeモデルにも対応 |
| Agent 365 | 組織全体のAIエージェントを監視・管理・セキュリティ確保するコントロールプレーン |
| Microsoft 365 E7(Frontier Suite) | E5 + Copilot + Agent 365 + Entra Suiteをバンドルした新プラン |
この表から分かるとおり、Wave 3は単一機能のアップデートではなく、Copilot全体を「アシスタント」から「実行者」に進化させるプラットフォーム刷新です。
Copilot Coworkはその象徴的な機能であり、Agent 365やE7といった管理基盤・ライセンス体系と一体で提供されています。
Anthropicとの提携の背景

Copilot Coworkは、MicrosoftがAnthropic社との密接な協業によって開発した機能です。
Claude Coworkを支える技術をMicrosoft 365に持ち込み、AnthropicのClaude系モデルを含むマルチモデル構成でエージェ
ント技術を実現しています。この協業は段階的に進んできました。
2025年9月
Claude Sonnet 4とClaude Opus 4.1がMicrosoft 365 CopilotのFrontierプログラムで利用可能に。当初はResearcher(調査エージェント)やExcelのエージェントモードなど、一部の機能に限定されていた
2026年1月7日
AnthropicがMicrosoftのサブプロセッサーとして正式にオンボード。
これにより、Anthropicモデルの利用がMicrosoftのProduct TermsとData Protection Addendum(DPA)の適用範囲に入り、Enterprise Data Protectionの対象になった
2026年3月9日
Copilot Coworkを発表。Claude Coworkを支える技術をMicrosoft 365に統合し、クラウドベースのエンタープライズ向けエージェントとして提供を開始(Research Preview)
Microsoftの最高マーケティング責任者(AI at Work担当)であるJared Spataro氏は、この提携について「Anthropicのエージェントモデルとマルチステップタスク処理の技術を、Microsoft 365のセキュリティ基盤と企業データへのアクセスと組み合わせた」と説明しています。
Copilot Coworkの主な機能

Copilot Coworkの特徴は、従来の「1回の質問に1回の応答」というチャット型のやり取りを超え、複数のステップからなる業務を計画・実行・完了まで自律的に進める点にあります。
ここでは、その中核となる3つの機能を解説します。
マルチステップタスクの自動実行
Copilot Coworkに業務の「ゴール」を伝えると、そのゴールを達成するために必要なステップを自動的に分解し、順番に実行していきます。
具体的には、以下のような流れで動作します。

-
ゴールの入力
ユーザーが自然言語で「来週の顧客会議を準備して」「この市場の競合リサーチをまとめて」などと指示する
-
計画の生成
Copilot Coworkが指示内容をもとに、必要なアクション(資料作成、データ収集、メール送信、スケジュール調整など)を洗い出し、実行計画を組み立てる
-
計画の実行
Outlook、Teams、Word、Excel、PowerPointなどのMicrosoft 365アプリを横断して、計画に沿ったアクションを自動で実行する。
メールの下書きと送信、Excelへのデータ集約、PowerPointスライドの生成などが含まれる
-
成果物の出力
実行結果として、完成したドキュメント、整理されたスプレッドシート、送信済みメールの確認画面などが返される
ここで重要なのは、タスクが単一のアプリに閉じず、複数のMicrosoft 365アプリをまたいで連携する点です。
たとえば「リサーチ結果をExcelにまとめ、そのサマリーをPowerPointに反映し、関係者にメールで共有する」といった一連のワークフローを、1つの指示から一気通貫で処理できます。
バックグラウンド実行・チェックポイント機能
Copilot Coworkのもう一つの大きな特徴は、タスクがバックグラウンドで継続的に実行されることです。
従来のCopilotでは、ユーザーがチャット画面を開いている間だけ処理が行われていました。Copilot Coworkでは、タスクを委任した後にユーザーが別の作業に移っても、デバイスを切り替えても、処理が止まりません。
Microsoftはこれを「保護されたサンドボックスクラウド環境」で実現していると説明しています。

実行中のタスクにはチェックポイントが設定されており、以下の操作が可能です。
-
進捗の確認
現在どのステップまで完了しているか、次に何を実行するかをリアルタイムで把握できる
-
方針の変更
途中で「プレゼンの構成を変えたい」「宛先を追加したい」などの修正指示を出せる
-
実行の一時停止
必要に応じてタスクを中断し、内容を確認してから再開できる
この仕組みにより、「AIに丸投げして結果だけ受け取る」のではなく、人間がコントロールを維持しながらAIに実行を委ねるという運用が可能になっています。
特に企業環境では、承認プロセスやコンプライアンス確認を挟みながらAIを活用したいケースが多く、チェックポイント機能はそのニーズに直接応えるものです。
Microsoft 365アプリとの統合

Wave 3では、Copilot CoworkだけでなくMicrosoft 365の主要アプリにもエージェント的な機能が組み込まれています。
以下の表で、各アプリのWave 3における主な強化点を整理します。
| アプリ | Wave 3の主な強化点 |
|---|---|
| Word | 既存ドキュメントを自動で洗練・校正。下書きから完成稿まで一貫して支援(GA:Windows/Web/Mac) |
| Excel | 実際の数式を使ったスプレッドシート改善。エージェントモードでClaudeモデルも選択可能(GA:Windows/Web/Mac) |
| PowerPoint | 組織のデッキスタイル(レイアウト、オブジェクト、ブランドキット)に合わせたスライド生成(Webへロールアウト中。Windows/Macは今後対応予定) |
| Outlook | メールの下書き・洗練、受信トレイのトリアージ。一部機能はavailable now、その他はFrontierプログラムからロールアウト |
| Copilot Chat | チャットからドキュメント・スプレッドシート・プレゼンを直接作成。会議のスケジュールやメール送信もチャットから実行可能 |
注目すべきは、Microsoft 365 Copilot全体でマルチモデル化が進んでいる点です。
Claudeは現在Frontierプログラムを通じてCopilot Chatで利用可能になっており、Word/Excelでのモデル選択機能は2026年4月以降に提供予定です。
Microsoftはこれを「マルチモデルインテリジェンス」と呼んでおり、Copilot CoworkのAnthropic統合はこのマルチモデル戦略の一環として位置づけられています。
Copilot Coworkの使い方

Copilot Coworkの機能を理解したところで、次は実際にどのように操作するのかを見ていきます。
ここでは、タスクの依頼から成果物の受け取りまでの基本的な操作フローと、利用開始に必要な条件を解説します。
Copilot Coworkの利用開始に必要な条件
2026年3月時点でCopilot Coworkを利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| Microsoft 365 Copilotライセンス | Microsoft 365 Copilotが前提。E3/E5にCopilotアドオンを追加するか、Copilotを含むE7(Frontier Suite)で利用可能 |
| Frontierプログラムへの参加 | 現時点では一部顧客向けResearch Preview。2026年3月下旬にFrontierプログラムへ拡大予定 |
| テナント管理者の設定 | Anthropicモデル利用を有効にする必要あり(日本はデフォルトON。EU/EFTA/UKはデフォルトOFF) |
| 対応環境 | クラウドベースのため端末・OSを問わない。Webブラウザまたはデスクトップアプリから利用可能 |
基本的な操作フロー
Copilot Coworkの操作は、Copilot Chat(旧BizChat)から自然言語でタスクを依頼するところから始まります。
複雑な設定やコーディングは不要で、達成したい結果を言葉で伝えるだけで利用できます。
以下の5つのステップが、基本的な操作の流れです。

1.ゴールを伝える
Copilot Chatを開き、「来週の顧客会議を準備して」「この市場の競合リサーチをまとめて」など、達成したい結果を自然言語で入力します。
細かい手順を指定する必要はなく、最終的なアウトプットのイメージを伝えるだけで構いません。
2.計画を確認する
Copilot Coworkが依頼内容を分析し、必要なアクション(資料作成、データ収集、メール送信など)を洗い出した実行計画を提示します。
この段階でユーザーは計画の内容を確認し、方針が合っていれば実行に進めます。
3.バックグラウンドで実行が始まる
承認後、タスクはMicrosoft 365テナント内の保護されたサンドボックスクラウド環境でバックグラウンド実行されます。
ユーザーはこの間、別の作業に移ったりデバイスを切り替えたりしても、処理が止まることはありません。
4.チェックポイントで確認・修正する
実行中の要所でチェックポイントが設定されており、進捗の確認、方針の変更、一時停止が可能です。
メール送信やスケジュール変更など影響の大きいアクションの前には、Copilot Coworkが一旦停止してユーザーの承認を要求します。
推奨アクションの内容を確認したうえで、承認・修正・キャンセルを選択できます。
5.成果物を受け取る
すべてのステップが完了すると、完成したドキュメント、整理されたスプレッドシート、送信済みメールの確認など、タスクの成果物がまとめて提示されます。途中で判断が必要だった場合は、その経緯も報告されます。
この操作フローで特に重要なのは、「丸投げ」ではなく「委任」であるという点です。
Microsoft AIのEVP兼CEOであるMustafa Suleyman氏は「AIが話すのを減らし、より多くを実行する。複雑なセットアップやコーディングスキルは不要」と述べていますが、同時にユーザーが常にコントロールを握る設計になっています。
影響の大きいアクションには必ず承認が必要であり、チェックポイントで進行方向をいつでも修正できます。
Copilot Coworkのユースケース
操作の流れを把握したところで、次は実際にどのような業務に活用できるかを見ていきます。Microsoftが公式ブログで示している4つの代表的なユースケースを、それぞれ詳しく紹介します。

カレンダー整理とフォーカスタイム確保
Outlookのスケジュールを分析し、会議の優先度を判断したうえで、カレンダーを最適化するユースケースです。
Copilot Coworkに「来週のカレンダーを整理して」と依頼すると、以下のような処理が自動的に行われます。

- 各会議の重要度と関連性を評価し、低優先度の会議にフラグを立てる
- スケジュール上のコンフリクト(重複)を検出し、リスケジュールの候補を提案する
- フォーカスタイム(集中作業のための空き時間)を確保するブロックを提案する
- 変更案を一覧で提示し、ユーザーの承認後にカレンダーを更新する
単に空き時間を探すだけでなく、Work IQ(後述)を通じてメールやTeamsのやり取りから各会議の文脈を読み取り、業務上の重要度を加味して判断する点が従来のカレンダー管理ツールとの違いです。
会議準備の一括自動化
顧客との会議や社内プレゼンの準備作業を、一つの指示でまとめて処理するユースケースです。
「来週火曜のA社との会議を準備して」と依頼すると、以下が実行されます。

- 過去のメール、Teams会話、共有ドキュメントからA社との取引履歴や直近のやり取りを収集する
- 収集した情報をもとにPowerPointプレゼンテーションのドラフトを生成する
- 関連する財務データをExcelワークブックに整理する
- チームメンバーに準備会議の案内メールを下書きし、送信する
- Outlookカレンダーに準備時間をブロックする
1つのタスクが完了するまでに、Outlook・Teams・Word・Excel・PowerPointの5つのアプリを横断します。
この種の準備作業は手動では数時間かかることもありますが、Copilot Coworkに委任すればバックグラウンドで進行し、チェックポイントで確認するだけで済みます。
企業リサーチと分析レポート作成
外部のWebソースと社内のMicrosoft 365データを横断して、特定の企業や市場に関するリサーチレポートを作成するユースケースです。
「B社について投資判断に必要な情報をまとめて」と依頼すると、以下が処理されます。

- Web上の決算報告、SEC提出書類(10-K、10-Qなど)、アナリストコメントを収集する
- 社内のメール、Teams、共有ドキュメントからB社に関する過去のやり取りを検索する
- 収集した情報を整理し、引用付きのエグゼクティブサマリーをメール形式で作成する
- 詳細な分析メモを構造化されたドキュメントとして出力する
- 数値データをラベル付きのExcelワークブックに整理する
ここで重要なのは、Webの公開情報と社内のプライベートデータを組み合わせてリサーチできる点です。Copilot Coworkがwebと社内データの両方を横断し、Work IQが社内データの文脈を補完することで、手作業では実現しにくい網羅性を提供します。
製品ローンチ計画の策定
新製品のローンチに必要な競合分析、マーケティング資産、実行計画を一括で準備するユースケースです。
「新製品Xのローンチプランを作成して」と依頼すると、以下が実行されます。

- 競合製品のWeb上の情報を収集し、機能比較表を作成する
- 社内の既存マーケティング資料やブランドガイドラインを参照する
- ローンチに向けたタイムライン、担当者、主要マイルストーンを含む実行計画を生成する
- 関係部門(マーケティング、営業、製品開発など)への共有用ドキュメントを作成する
このユースケースは特に、部門横断的で時間的プレッシャーの高い業務に向いています。
Copilot Coworkが「ナラティブ(ストーリー)と実行計画の両方を同時に生成する」とMicrosoft公式ブログが説明しているとおり、単なるデータ収集にとどまらず、意思決定に使えるアウトプットまで仕上げてくれる点が特長です。
Work IQとは?Copilot Coworkを支えるインテリジェンス層
Copilot Coworkが「メールの文脈を理解する」「会議の決定事項を踏まえて行動する」といった判断を下せるのは、背後にWork IQというインテリジェンス層が存在するためです。
ここでは、Work IQの技術的な仕組みと、開発者向けのCLI/MCPツールについて解説します。

Data / Context / Skills & Toolsの3層構成
Microsoftの公式説明によると、Work IQは以下の3つの層で構成されています。

Data(データ層)
Microsoft 365テナント内のメール、Teamsチャット、会議トランスクリプト、SharePoint/OneDriveのドキュメントなど、業務データそのものへの安全なアクセスを提供する層です。
Microsoft 365だけでなくDynamics 365やPower Apps、外部の業務システムとも接続できます。
Context(コンテキスト層)
データ層の情報をもとに、応答の速度と正確性を高めるための文脈情報を提供する層です。CopilotのMemory(明示的・暗黙的な記憶)、セマンティックインデックス、業務理解などが含まれます。「誰と誰が頻繁にやり取りしているか」「このプロジェクトに関連するドキュメントは何か」「直近のコミットメント(約束事項)は何か」といったビジネスシグナルを追跡します。
Skills & Tools(スキル・ツール層)
エージェントに特化した指示を与える「スキル」と、そのスキルの意図に沿って実行する「ツール」を組み合わせた層です。Copilot Coworkやその他のエージェントが実際にメール送信、ドキュメント作成、スケジュール調整などのアクションを実行する際の能力基盤となります。
この3層構成によって、Copilot Coworkは単に「AIモデルが賢い」だけでなく、「**組織固有の文脈を理解したうえで動く++」という体験を実現しています。
たとえば「会議を準備して」という指示に対して、Context層が直近のメールから議題を推測し、Skills & Tools層が過去の商談履歴を踏まえた資料の作成を実行する、といった連携が可能になるのはWork IQがあるからです。
Work IQ CLIとMCPサーバー
Work IQには、開発者やパワーユーザー向けのコマンドラインツール(CLI)とModel Context Protocol(MCP)サーバーも提供されています。
Work IQ CLIを使うと、ターミナルから自然言語でMicrosoft 365データに問い合わせることができます。
以下の表で主な操作をまとめます。

| コマンド | 機能 |
|---|---|
| workiq ask -q "質問内容" | 指定した質問に対してMicrosoft 365データを検索・回答 |
| workiq ask | 対話モードを開始し、複数の質問を連続で行う |
| workiq mcp | MCPサーバーを起動し、AIアシスタント(GitHub CopilotやClaude Codeなど)と連携 |
特に注目すべきはMCPサーバーモードです。VS CodeやGitHub CopilotなどのAIアシスタントにWork IQをMCPサーバーとして接続すると、コーディング中に「先週の会議で話した仕様を確認して」「Sarahが共有した認証要件を取得して」といった形で、Microsoft 365のデータをコンテキストとして直接活用できます。
Claude CoworkとCopilot Coworkの比較

Copilot CoworkはClaude Coworkの技術をベースにしていますが、両者は実行環境、データアクセス、ガバナンスの面で明確に異なります。
ここでは、両製品の違いを整理し、どのようなケースでどちらが適しているかを解説します。
実行環境とデータアクセスの比較

以下の表で、Claude CoworkとCopilot Coworkの主要な違いを一覧にまとめます。
| 比較項目 | Claude Cowork | Copilot Cowork |
|---|---|---|
| 提供元 | Anthropic | Microsoft(Anthropicとの協業) |
| AIモデル | Claude | Claudeを含むマルチモデル構成 |
| エージェント技術 | Anthropicのエージェント技術 | Claude Coworkを支える技術を統合 |
| 実行環境 | ローカル(ユーザーの端末上) | クラウド(Microsoft 365テナント内サンドボックス) |
| データアクセス | ローカルファイル、ブラウザ操作 | Microsoft 365データ(メール、Teams、SharePoint、OneDriveなど) |
| インテリジェンス層 | なし(ローカルファイルの直接参照) | Work IQ(業務文脈の自動理解) |
| 対応OS | macOS / Windows(2026年2月対応) | クラウドベースのため端末を問わない |
| セキュリティ基盤 | 個人管理 | Enterprise Data Protection、Entra ID、Purview |
| 管理者制御 | 限定的(Team/Enterpriseでプラグイン管理、MCP制御、OpenTelemetry等) | Microsoft 365管理センターで有効/無効を制御 |
| 料金 | 全有料プラン(Pro/Max/Team/Enterprise) | 一部利用はM365 Copilotに含まれる見込み(追加利用は別途の可能性) |
この比較で最も重要なのは実行環境の違いです。
Claude CoworkはmacOS/Windowsの端末上で直接動作するため、ローカルファイルへの高速なアクセスやデスクトップアプリの操作に強みがあります。
一方、Copilot Coworkはクラウドで動作するため、組織全体のメール・会議・ドキュメントを横断的に扱える反面、ローカルファイルへの直接アクセスはできません。
エンタープライズ対応の違い
企業での導入を検討する場合、以下のポイントが判断基準になります。

組織データへのアクセスが必要な場合
メール、Teams、SharePoint上の情報を活用したい →
Copilot Coworkが適している。Work IQがこれらのデータを統合的に理解し、エージェントの判断に反映する
ローカル端末上のファイル操作が中心の場合
PC上のファイル整理、ローカルアプリの操作が主な用途
→ Claude Coworkが適している。macOS/Windows上で直接動作し、デスクトップアプリとの統合が深い
IT管理・コンプライアンス要件が厳しい場合
監査ログ、アクセス制御、DLP(データ損失防止)が必要 → Copilot Coworkが適している。Microsoft 365のセキュリティスタックがそのまま適用される
マルチプラットフォームで利用したい場合
Windows、Linux、モバイルなど複数端末から利用したい → Copilot Coworkが適している。クラウドベースのため端末を問わない
実務上は「どちらか一方」ではなく、個人の作業効率化にはClaude Cowork、組織横断の業務自動化にはCopilot Coworkという使い分けが現実的です。
両者ともAnthropicのClaude系モデルとエージェント技術をベースにしており、「自律的にタスクを進める」という基本体験は共通しています。
Copilot Coworkのセキュリティとガバナンス

Copilot CoworkはMicrosoft 365のセキュリティ・ガバナンス境界内で動作します。
ここでは、データ保護の仕組み、Agent 365によるエージェント管理、地域制限と注意点を解説します。
Enterprise Data ProtectionとAnthropicサブプロセッサー
Copilot CoworkでClaudeモデルが利用される際のデータ保護体制は、以下のように整備されています。

-
Anthropicのサブプロセッサーとしての位置づけ
2026年1月以降、AnthropicはMicrosoftのサブプロセッサーとして契約上の義務を負っている。
MicrosoftのProduct TermsとData Protection Addendum(DPA)がAnthropicモデルの利用にも適用される。
-
Enterprise Data Protection
Microsoft 365 Copilot全体に適用されるEnterprise Data Protectionの対象。
ユーザーデータがAIモデルのトレーニングに使われることはない。
-
Microsoft Customer Copyright Commitment
Copilot Coworkを含むMicrosoft 365 CopilotでAnthropicモデルを使って生成したコンテンツにも、Microsoftの著作権コミットメントが適用される。
-
権限の継承
Copilot Coworkは、ユーザーがアクセス権を持つデータにのみアクセスできる。
Microsoft Purviewの機密ラベルと暗号化によるアクセス制御が、エージェントの動作時にも適用される。
つまり、Copilot Coworkを使うことで、組織のセキュリティポリシーに「穴」が開くことはない設計になっています。
AnthropicのClaude Coworkを直接使う場合はAnthropicの利用規約が適用されますが、Copilot Cowork経由であればMicrosoftのエンタープライズ保護の枠内で利用できる点が、企業にとっての大きな違いです。
Agent 365によるエージェント管理
Wave 3と同時に発表された**Agent 365は、組織全体のAIエージェントを監視・管理・セキュリティ確保**するためのコントロールプレーンです。
Agent 365の主な機能を以下にまとめます。

-
エージェントの可視化
組織内で動作しているすべてのエージェント(Copilot Cowork、Copilot Studioで構築したカスタムエージェント、サードパーティのエージェントを含む)を一元的に把握できるレジストリです。
-
ガバナンスポリシーの適用
Microsoft Entra ID(ID管理)、Microsoft Defender(脅威保護)、Microsoft Purview(コンプライアンス)、Microsoft Intune(デバイス管理)の各機能を、AIエージェントにも適用できます。
-
監査とレポート
エージェントのアクション履歴、データアクセスログ、出力内容の監査レポートを生成します。コンプライアンス要件への対応に利用できます。
Microsoftは社内でAgent 365を先行導入しており、50万件以上のエージェントを追跡し、日次で65,000件以上の応答を生成していると公式ブログで報告しています。
主な社内ユースケースとしては、リサーチ、コーディング、セールスインテリジェンス、カスタマートリアージ、HRセルフサービスが挙げられています。
地域制限と注意点
Copilot CoworkでAnthropicモデルを利用する際には、以下の地域制限があります。

| 地域・環境 | デフォルト設定 | 管理者による変更 |
|---|---|---|
| 商用クラウド(EU/EFTA/UK以外) | ON(有効) | 無効化可能 |
| EU / EFTA / UK | OFF(無効) | 管理者がオプトインで有効化可能 |
| 政府クラウド(GCC / GCC High / DoD) | 利用不可 | 変更不可(FedRAMP未認証のため) |
| ソブリンクラウド | 利用不可 | 変更不可 |
EU/EFTA/UKでデフォルトOFFになっている理由は、AnthropicモデルがEU Data Boundaryの対象外であるためです。これらの地域の管理者がCopilot CoworkのClaude機能を有効にするには、Microsoft 365管理センターから「AIプロバイダーのサブプロセッサー設定」を手動でONにする必要があります。
Copilot Coworkの料金体系
Copilot Coworkの導入を検討するうえで、料金体系の理解は欠かせません。ここでは、2026年3月時点のMicrosoft 365 Copilot関連の料金構成と、新しく発表されたE7(Frontier Suite)について解説します。

Microsoft 365 E7(Frontier Suite)の構成と価格
2026年5月1日から一般提供が開始されるMicrosoft 365 E7は、Microsoft 365 Copilotの最上位バンドルです。以下の表で構成と価格を整理します。

| プラン | E7に含まれるか |
|---|---|
| Microsoft 365 E5 | 含まれる |
| Microsoft Entra Suite | 含まれる |
| Microsoft 365 Copilot | 含まれる |
| Agent 365 | 含まれる |
| Microsoft 365 E7 | $99/ユーザー/月 |
Microsoftはこのバンドルについて、個別に購入するよりも安価であると説明しています。
E5をすでに利用している組織にとっては、Copilot($30)とAgent 365($15)を追加する代わりにE7にアップグレードすることで、Entra Suiteも含めた包括的なセキュリティ基盤が手に入る構成です。
既存プランからの移行パス
現在のMicrosoft 365ライセンスからCopilot Coworkを利用するまでの道筋を、ケース別に整理します。

-
E3 + Copilotを利用中の場合
Copilot Coworkの基本利用はそのまま可能になる見込み(Frontierプログラムへの参加が必要)。Agent 365を追加したい場合は$15/月を追加
-
E5を利用中で、Copilotは未導入の場合
Copilot($30/月)を追加すればCopilot Coworkの基本利用が可能に。Agent 365も必要ならE7($99/月)へのアップグレードが割安
-
E5 + Copilotを利用中の場合
E7にアップグレードすることで、Agent 365とEntra Suiteが追加される。個別購入より安価なバンドル価格で利用可能
なお、2026年3月時点では日本円での公式価格は発表されていません。
為替レートによる変動を考慮し、正式な日本向け価格はMicrosoft Japanの公式サイトで確認することを推奨します。
【関連記事】
Microsoft 365 Copilotの料金プランを解説!購入条件やCopilot Proとの違いも紹介
Copilot Coworkの提供スケジュール・導入検討のポイント

最後に、Copilot Coworkの提供タイムラインと、日本企業が導入を検討するうえで押さえておくべきポイントを整理します。
ロードマップ

以下の表で、Copilot Coworkおよび関連機能の提供スケジュールをまとめます。
| 時期 | マイルストーン |
|---|---|
| 2025年9月 | Claude Sonnet 4 / Opus 4.1がFrontierプログラムで利用可能に |
| 2026年1月 | AnthropicがMicrosoftサブプロセッサーとして正式オンボード |
| 2026年3月9日 | Copilot Cowork発表。限定顧客でResearch Preview開始 |
| 2026年3月下旬 | FrontierプログラムでResearch Previewを拡大 |
| 2026年5月1日 | Agent 365 GA($15/月)、Microsoft 365 E7 GA($99/月) |
| 未定 | Copilot Cowork自体のGA(一般提供開始日は未発表) |
注意すべき点として、Copilot Cowork自体のGA日程は2026年3月時点では未発表であるという点です。
Agent 365とE7は5月1日にGAが確定していますが、Copilot CoworkはResearch Preview→Frontierプログラムでの拡大テストという段階にあり、GAまでにはさらに時間がかかる可能性があります。
日本企業が押さえておくべきポイント
Copilot Coworkの導入を検討する日本企業に向けて、現時点で確認しておくべき事項を整理します。

日本ではAnthropicモデルの利用設定が既定で有効
日本は商用クラウド(EU/EFTA/UK以外)に分類されるため、Anthropicモデルの利用設定は既定でONになっています。
ただし、Copilot Cowork自体は2026年3月時点で一部顧客向けResearch Previewであり、設定がONであっても利用可否はFrontierプログラムの参加状況にも左右されます。
組織のデータガバナンスポリシーとの整合性を事前に確認しておくことをおすすめします。
日本円価格は未発表
E7の$99/月、Agent 365の$15/月はいずれもUSD建ての価格のみが公表されています。
過去のMicrosoft 365製品の例では、日本向け価格は為替レートを反映した別設定になることが多いため、正式発表を待つのが安全です。
Frontierプログラムへの参加が先行利用の鍵
GA前にCopilot Coworkを試したい場合は、Frontierプログラムへの参加申請が必要です。
プログラム参加者はMicrosoft製品チームに直接フィードバックを提供でき、最新のプレビュー機能にいち早くアクセスできます。
既存のCopilot導入効果を先に検証する
Copilot Coworkはエージェント型の高度な機能であるため、まずはMicrosoft 365 Copilotの基本機能(チャット、アプリ内支援、エージェント構築)を組織で活用し、効果を実感してからCoworkの導入を検討するのが現実的です。
Agent 365によるガバナンス体制の準備
Copilot Coworkを本格的に展開する前に、Agent 365によるエージェントの監視・管理体制を整えておくことが推奨されます。
特に、エージェントがアクセスするデータの範囲、監査ログの保持ポリシー、コンプライアンス要件との整合性を事前に検討しておくと、スムーズな導入につながります。
【関連記事】
【2026年版】Microsoft 365 Copilotのアップデート・最新情報まとめ【毎月更新】
まとめ
本記事では、2026年3月9日に発表されたCopilot Coworkについて、機能の詳細からWork IQアーキテクチャ、Claude Coworkとの違い、セキュリティ・ガバナンス、料金体系、提供スケジュールまでを解説しました。
Copilot Coworkが企業にもたらす価値は、大きく3つに集約できます。
-
1. 業務の「実行」をAIに委任
従来のCopilotは「質問に答える」「下書きを生成する」というアシスタントでしたが、Copilot Coworkは計画を立て、複数のアプリを横断してタスクを完了させるエージェントとして機能します。
会議準備、リサーチ、ローンチ計画といった数時間規模の業務を、バックグラウンドで自律的に進められます。 -
2. 組織固有の文脈を理解したAIの実行
Work IQ(Data / Context / Skills & Tools)がMicrosoft 365上の業務データを意味ベースで理解し、「誰と何について話していたか」「どのプロジェクトが優先か」といった文脈をエージェントの判断に反映します。
汎用的なAIツールでは得られない、自社に最適化されたアウトプットが期待できます。 -
3. エンタープライズ品質のセキュリティ基盤
Anthropicを含む外部AIモデルを活用しながらも、MicrosoftのEnterprise Data Protection、Entra ID、Purviewによるアクセス制御と監査が適用されます。
Agent 365による組織全体のエージェント管理も加わり、「AIエージェントの野良運用」を防ぐガバナンス体制が整っています。
Copilot Coworkは2026年3月時点ではResearch Previewの段階であり、GAの日程は未定です。しかし、Agent 365とMicrosoft 365 E7は5月1日にGAが予定されており、エージェント活用のためのインフラは着実に整備されつつあります。
まずはMicrosoft 365 Copilotの基本機能で効果を検証し、Frontierプログラムでの先行テストを視野に入れながら、組織としてのAIエージェント戦略を設計していくことをおすすめします。









