この記事のポイント
社内外の情報を横断して調査レポートを作りたいなら、Researcherが最も手間を省ける選択肢
Excel分析に時間をかけている非エンジニアチームには、AnalystによるPython自動生成+可視化が即戦力
2026年3月のCritique機能(OpenAI系+Anthropic系の生成・検証二段構成)でDRACOベンチマーク+13.88%、単一モデルを超えるリサーチ精度
M365 Copilotライセンスで追加コストなし。月25クエリの合算上限に注意
まず月内に1件、日常の調査・分析をResearcher/Analystに任せてみるのが導入の最短ルート

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
Microsoft 365 Copilotの「Researcher(リサーチャー)」と「Analyst(アナリスト)」は、調査業務やデータ分析に特化した業務用AIエージェントです。2025年6月にGA(一般提供)され、M365 Copilotライセンスがあれば月25クエリまで追加コストなしで利用できます。
Researcherは社内データとWebを横断して出典付きの調査レポートを自動作成。Analystは自然言語の指示からPythonコードを生成し、Excelデータの分析・可視化を自動化します。
2026年3月にはResearcherにマルチモデル検証機能「Critique」が追加され、DRACOベンチマークで既存のDeep Researchツールを上回る精度を記録しました。
本記事では、両エージェントの機能・使い方・料金・活用事例から、2026年最新のCritique・Council機能までを体系的に解説します。
AI総合研究所では企業のMicrosoft 365 Copilot導入を支援しています。お気軽にご相談ください。
✅Critique機能の詳細は以下の記事で解説しています。
Copilot Researcher Critique機能を解説
目次
Microsoft 365 Copilot「Researcher」「Analyst」とは
Critique・Council(2026年3月の最新アップデート)
Copilot Researcher・Analystの使い方
Copilot Researcher・Analystの活用事例
Copilot Researcher・Analystの料金・利用条件
Copilot Researcher・Analystの注意点と制限
Microsoft 365 Copilot「Researcher」「Analyst」とは
Microsoft 365 CopilotのResearcherとAnalystは、Microsoftが「推論エージェント(reasoning agents)」と位置づける業務特化型のAI機能です。
2025年3月に発表され、同年4月にFrontierプログラムで先行提供、6月に一般提供(GA)が開始されました。

通常のCopilot Chatが「メール要約」や「短文ドラフト」などの日常タスクを素早くこなすのに対し、Researcher・Analystはそれぞれ数十分の処理時間をかけて、複雑な調査やデータ分析に取り組む設計です。
どちらもM365 Copilotライセンスに含まれており、合計で月25クエリまで利用できます。
Researcherの概要

Researcherは、複雑な調査タスクを自律的に処理するAIリサーチエージェントです。OpenAIの高度なリサーチモデルとMicrosoft 365の検索・オーケストレーション基盤を組み合わせ、Webと社内データ(メール・会議録・ファイル・チャット)を横断検索して、出典付きの構造化レポートを生成します。
従来であれば半日かかるような市場調査や競合分析も、Researcherに質問を投げるだけで、見出し・箇条書き・グラフ付きのレポートとして数十分で仕上がります。
Analystの概要

Analystは、データサイエンティストのような分析能力をノンエンジニアに提供するAIエージェントです。OpenAIのo3-miniモデルをベースに、chain-of-thought(段階的推論)でデータの傾向やパターンを読み解きます。
最大の特長は、自然言語の指示だけでPythonコードを自動生成し、集計・分析・可視化までを実行する点です。生成されたPythonコードはリアルタイムで確認でき、AIがどのような手順で分析を進めているかを追跡できます。
通常のCopilot Chatとの違い

Researcher・Analystと通常のCopilot Chatは、処理の深さと得意領域が異なります。以下の表でそれぞれの特性を整理しました。
| 項目 | Copilot Chat | Researcher | Analyst |
|---|---|---|---|
| 処理時間 | 数秒〜1分 | 数分〜数十分 | 数分〜数十分 |
| 得意領域 | メール要約・短文ドラフト・アイデア出し | マルチソース調査・レポート作成 | データ分析・可視化・予測 |
| データソース | ユーザーの作業コンテキスト | Web + 社内データ(メール・ファイル・チャット) | Excel・CSV・データベース |
| 出力形式 | チャット応答 | 出典付き構造化レポート | 分析レポート + グラフ + Pythonコード |
| 月間クエリ上限 | なし(通常利用) | 25クエリ(Analystと合算) | 25クエリ(Researcherと合算) |
つまり、日常的な作業支援はCopilot Chatに任せ、腰を据えた調査やデータ分析が必要な場面でResearcher・Analystを使う、という棲み分けです。月25クエリという上限があるため、軽い質問をResearcher/Analystに投げるのはもったいない使い方と言えます。
Copilot Researcherの主な機能と仕組み

リサーチャー画面イメージ

Researcherの位置づけと通常Copilotとの違いを押さえたところで、次はResearcher固有の機能にフォーカスします。
マルチソース横断調査

Researcherの最大の強みは、Webと社内データの両方を一度に横断検索できる点です。具体的には、次のデータソースをResearcherが自動で参照します。
- Web情報
検索エンジン経由で取得する公開情報。市場動向・競合分析・技術トレンドの調査に活用
- 社内ファイル
SharePointやOneDriveに保存されたWord・Excel・PowerPoint・PDFなどのドキュメント
- メール・会議・チャット
Outlookのメール、Teamsの会議録・チャット履歴。過去のプロジェクト経緯や意思決定の背景を把握する際に有効
社内ナレッジが複数のSharePointサイトやメールスレッドに散在している企業ほど、Researcherの横断検索が効果を発揮します。手作業では見つけられなかった社内資料とWeb上の最新データを組み合わせた調査レポートが、1回の指示で手に入ります。
出典付き構造化レポート

Researcherが返す調査結果は、単なるテキスト回答ではなく、以下の要素を含む構造化レポートです。
- セクション見出し
テーマ別に整理された章立て。そのまま社内資料やプレゼンに転用可能
- 出典リンク
各主張の根拠となるWebページや社内ドキュメントへのリンクが付与される。情報の信頼性を確認しやすい
- チャート・グラフ
数値データが含まれる場合は、可視化された図表がレポート内に自動挿入される
出典が明示されることで、上司やクライアントへの共有時に「この数値の根拠は?」と聞かれても即座に回答できます。AI総研の導入支援においても、Researcherの出典機能は社内稟議のスピードアップに直結するケースが多く見られます。
サードパーティ連携

ResearcherはMicrosoft 365内のデータだけでなく、Microsoft 365 Copilotコネクタのエコシステムを通じてサードパーティのビジネスアプリケーションのデータも検索対象にできます。コネクタが提供されている主なサービスの例は次のとおりです。
| サービス | 連携で得られるデータ |
|---|---|
| Salesforce | 商談情報・顧客データ・売上パイプライン |
| ServiceNow | チケット履歴・インシデント情報 |
| Confluence | 社内Wiki・技術ドキュメント |
| Jira | プロジェクト進捗・タスク管理情報 |
これらはMicrosoft 365 Copilot全体のコネクタ基盤であり、Researcher専用のものではありません。ただし、Researcherで調査を実行する際にコネクタ経由のデータが検索範囲に含まれるため、たとえば「直近3か月で解約リスクが高い顧客の共通パターンを調査して」と指示すれば、SalesforceのCRMデータとSharePoint上の過去提案書、Teamsでのやり取りをまとめて分析し、要因と対策案をレポートにまとめてくれます。
Critique・Council(2026年3月の最新アップデート)

2026年3月30日、MicrosoftはResearcherにマルチモデルインテリジェンスを導入しました。1つのモデルだけに頼るのではなく、複数のAIモデルを組み合わせてリサーチ品質を高める仕組みです。
- Critique
OpenAI系とAnthropic系のモデルを組み合わせ、一方が生成したリサーチレポートをもう一方が「出典の信頼性」「レポートの網羅性」「根拠に基づく記述かどうか」の3軸で検証する二段構成です。生成と検証を異なるモデルに分けることで、単一モデルでは見逃しやすい事実誤認やカバー漏れを減らす設計です
- Council
OpenAIとAnthropicのモデルがそれぞれ独立にレポートを作成し、両者を並べて比較表示する機能です。どこで意見が一致し、どこで分かれるかを「カバーレター」形式で解説してくれるため、多角的な検証が求められる調査に向いています
Microsoftの発表によると、Critiqueを適用したResearcherは深層リサーチの品質ベンチマーク「DRACO」でPerplexity Deep Researchを+13.88%上回る成果を記録しています(評価モデル: GPT-5.2、100タスク×5回実行)。
CritiqueとCouncilは、Frontierプログラム参加企業に提供されています。Researcherのモデル選択メニューで「Auto」を選ぶとCritiqueがデフォルトで有効になります。
【関連記事】
Critique・Councilの技術的な仕組みやDRACOベンチマークの詳細は、以下の記事で解説しています。
Copilot Researcher Critique機能を解説
Copilot Analystの主な機能と仕組み

アナリストイメージ画面

Researcherが「調査のプロ」なら、Analystは「分析のプロ」です。非エンジニアでもデータドリブンな意思決定を実現できるよう設計されています。
自然言語からのデータ分析

Analystでは、「先月の売上を地域別に比較して」「外れ値のある顧客を特定して」といった自然言語の指示だけで、データの集計・分析が実行されます。
OpenAIのo3-miniモデルがchain-of-thought推論(段階的に思考を組み立てる手法)で問題を分解し、必要な計算手順を自動で設計します。ユーザーがSQLやPythonの知識を持っている必要はありません。
デバイス上のファイルだけでなく、OneDriveやクラウド上のファイルも添付して分析に使えます。複数ファイルを同時に添付することも可能なため、手元のデータをまとめて分析にかけられる点は、現場の分析担当者にとって大きなメリットです。
Python自動生成と可視化

Analystの内部では、ユーザーの指示に基づいてPythonコードが自動生成・実行されます。生成されたコードはリアルタイムで画面上に表示されるため、AIがどのような手順で分析を進めているかを逐次確認できます。
この透明性は、分析結果の信頼性を担保するうえで重要です。コードを確認することで「なぜその結論に至ったか」のロジックを検証でき、結果をそのまま社内報告に使う際の根拠にもなります。
分析結果はグラフ・チャート・ピボットテーブルなどの視覚的なフォーマットで出力されます。「棒グラフで月次推移を見せて」「ヒートマップで相関を表示して」といった指示にも対応しており、Power BIを起動するまでもない簡易分析を素早く片付けられます。
対応データソースと分析パターン

Analystが分析対象にできるデータソースと、代表的な分析パターンを整理しました。
| データソース | 対応形式 |
|---|---|
| Excel | .xlsx / .xls |
| CSV | .csv |
| その他 | デバイス・OneDrive・クラウドから添付可能 |
以下は、実際の業務でよく使われる分析パターンです。
- 売上・KPI推移分析
月次・四半期ごとの推移を自動グラフ化し、異常値や変曲点をハイライト
- 顧客セグメント分析
購買パターンや属性に基づく分類を自動実行。クロスセル候補の特定にも活用可能
- 需要予測
過去データからトレンドを抽出し、将来の需要を予測。Pythonの統計ライブラリを活用
- 外れ値検出
データの中から通常とは異なるパターンを自動検出。不正検知やコスト超過の早期発見に有効
Excelで日常的にピボットテーブルやVLOOKUPを駆使して分析している担当者にとって、Analystは「自分のやりたいことを日本語で伝えるだけで分析してくれるアシスタント」として即戦力になります。
Copilot ResearcherとAnalystの違い

ResearcherとAnalystはどちらもM365 Copilotの推論エージェントですが、得意とする領域が明確に異なります。どちらを使うべきか迷った場合の判断基準を、以下の比較表で整理しました。
| 比較項目 | Researcher | Analyst |
|---|---|---|
| 主な役割 | 情報収集・調査・レポート作成 | データ分析・数値処理・可視化 |
| AIモデル | OpenAI系/Anthropic系を組み合わせたマルチモデル構成 | OpenAI o3-mini(chain-of-thought推論) |
| データソース | Web + 社内データ(メール・ファイル・チャット)+ サードパーティ | Excel・CSV・データベース |
| 出力形式 | 出典付き構造化レポート(見出し・図表・リンク) | 分析レポート + Pythonコード + グラフ・ピボットテーブル |
| コード生成 | なし | Python自動生成(リアルタイム表示) |
| 対応言語 | 37言語 | 8言語(順次拡大予定) |
| 代表的なユースケース | 市場調査・競合分析・四半期レポート | 売上分析・需要予測・セグメント分析 |
| 月間クエリ上限 | 25クエリ(Analystと合算) | 25クエリ(Researcherと合算) |
実務で選ぶ際のポイントは、「探すのか、計算するのか」です。外部情報も含めて広く情報を集めたいならResearcher、手元にあるデータの集計・分析・可視化をしたいならAnalystが適しています。
「顧客満足度の低下原因を調べたい」という場合、アンケート結果のCSVデータが手元にあればAnalystで分析し、同業他社のCS施策やベストプラクティスを調べたいならResearcherを使う、という使い分けが典型です。
Copilot Researcher・Analystの使い方

実際のMicrosoft365 Copilotのページ

アクセス方法
ResearcherとAnalystは、Microsoft 365 Copilotアプリ内の「エージェント」セクションにプリピンされた状態で提供されています。特別なインストールや設定は不要で、Copilotアプリを開いてエージェント一覧から選ぶだけで利用を開始できます。

AIエージェントの入手ページ
ただし、組織の管理者がMicrosoft 365管理センターでエージェント機能を有効にしている必要があります。利用できない場合は、まずIT部門に確認してください。
効果的なプロンプトの書き方
ResearcherとAnalystは深い推論を行うエージェントのため、プロンプトの具体性が結果の品質に直結します。Microsoft公式ドキュメントでも、以下のポイントが推奨されています。
- 具体的に指示する
「売上を分析して」よりも「2025年下半期の東日本エリアの売上を、製品カテゴリ別に前年比で比較して」のように、期間・対象・比較軸を明示する
- 検索スコープを指定する
Researcherでは「社内データのみ」「Webのみ」「両方」を指定することで、結果の焦点が絞れる。社内の機密情報と外部情報を混ぜたくない場合にも有効
- 明確化質問に応答する
ResearcherやAnalystは処理の途中で質問を返してくることがある。この対話を丁寧に進めることで、最終レポートの精度が上がる
AI総研の導入支援の経験では、最初のプロンプトで「目的(何のためにこの調査をするのか)」を1文添えるだけで、レポートの構成が大幅に改善するケースが多く見られます。「来月のプレゼン資料に使うために」「経営会議への上申用に」といった文脈を加えると、出力の粒度やトーンが目的に合ったものになります。
使い方のコツ
日常業務で効果的にResearcher・Analystを活用するためのコツを紹介します。
- まず小さく試す
25クエリの上限があるため、最初は「いつも手作業で30分以上かけている調査・分析」を1件だけResearcher/Analystに任せてみる。効果を実感してから用途を広げるのが失敗しにくい進め方
- フォローアップで深掘りする
最初のレポートを受け取った後、「この部分をもう少し詳しく」「別の切り口で分析して」と追加指示を出せる。フォローアップのやり取りは、公式情報では1クエリとしてカウントされない可能性があると報告されているが、Microsoft公式はこの点を明言していない
- Analystの結果をPower BIに引き継ぐ
Analystで大まかな傾向を掴んだ後、詳細なダッシュボードが必要であればPower BIに移行する。Analystは「素早く仮説を検証する」用途に、Power BIは「組織全体で共有するダッシュボード」用途に向いている
Copilot Researcher・Analystの活用事例

AIエージェント作成画面

ResearcherとAnalystが具体的にどのような場面で効果を発揮するのか、業務シーンごとに紹介します。
調査業務での活用(Researcher)

Microsoftの公式発表では、GA以降の初期利用企業が次のような用途でResearcherを活用しています。
- 関税が自社事業に与える影響の迅速な評価
Webの最新ニュースと社内の取引データを横断し、関税変更の影響範囲と金額を短時間でレポート化
- ベンダーとの交渉準備
過去の契約条件(社内メール・ファイル)と市場の価格相場(Web)を組み合わせた交渉材料を自動作成
- 四半期ごとの顧客レビュー資料
CRMデータ・会議録・メールのやり取りから、顧客ごとの取引実績と課題をまとめた資料を自動生成
Microsoft VP Steve Clayton氏の事例では、Researcherを使ってMicrosoftの主要製品リリース200件(1975年〜2025年)の調査・整理を短時間で完了しています。
データ分析での活用(Analyst)

Analystは、従来データサイエンティストや分析担当者に依頼していた作業を、現場のビジネスパーソンが直接実行できるようにします。
- 売上の多角的分析
「地域別×製品カテゴリ別で売上を比較し、成長率が前年比マイナスのセグメントを特定して」といった複合的な分析も、1つの指示で実行可能
- 外れ値の検出と原因仮説
数千行のデータから統計的な外れ値を自動検出し、その原因となり得るパターンを提示。不正検知やコスト超過の早期発見に有効
- 割引施策の効果分析
「値引き率別に顧客のリピート率を分析して」と指示するだけで、価格戦略の効果を定量的に検証できる
なお、学情(Gakujo Corporation)は、M365 Copilot全体の全社導入により2025年2月〜4月の3か月間で5,004時間の業務時間削減、約1,305万円のコスト削減を達成し、利用率100%を実現しています。この数値はResearcher・Analystを含むCopilot全機能の総合効果であり、Analyst単体の効果ではありませんが、Copilotプラットフォーム全体で定量的な成果が出ている好例です。
導入判断で詰まる論点

Researcher・Analystの導入を検討する際、企業がよく直面する判断ポイントを整理します。
月25クエリで業務に足りるか
25クエリは「完成したレポート25件分」と考えるのが妥当です。日常的な質問はCopilot Chat(クエリ上限なし)で処理し、Researcher・Analystは「本格的な調査・分析」に限定する使い方をすれば、部門内で月に1〜2件の深い調査を回す運用は十分に成立します。
マネージャー層が月1回の経営レポートと週1回の市場動向調査を出す想定なら、月5〜6クエリの消費で済みます。まずは1か月間使ってみて、クエリ消費のペースを把握するのが確実です。
OpenAI Deep ResearchやGemini Deep Researchとの違いは何か
Researcherの強みは、Microsoft 365のメール・Teams・SharePoint・OneDriveといった業務データにネイティブ統合されている点です。OpenAIやGoogleのDeep Researchもコネクタ経由で一部の内部データを参照できるようになっていますが、Researcherは日常的に使っているM365の業務データをそのまま検索対象にできるため、社内ナレッジとWebを掛け合わせた調査に最も適しています。
一方、M365を利用していない環境であれば、OpenAI Deep ResearchやPerplexityも有力な選択肢です。AI総研では、「M365の業務データとの掛け合わせが必要か」を基準に使い分けることを推奨しています。
既にM365 Copilotを導入しているが、活用が進んでいない場合
Researcher・Analystは、M365 Copilotの活用度向上のきっかけとして効果的です。「Copilotを入れたが、チャットで軽い質問をするだけ」という状態から脱却するには、まず各部門で「毎月時間をかけている調査・分析業務」を1件ピックアップし、Researcher/Analystに任せてみるのが最も手早い方法です。
Copilot Researcher・Analystの料金・利用条件

必要なライセンスと料金
Researcher・Analystを利用するには、Microsoft 365 Copilotのライセンスが必要です。2026年3月時点では、企業規模に応じて大きく2つの導入パスがあります。
中小企業向け(300名以下)
| 構成要素 | 料金(ユーザーあたり月額) | 備考 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Copilot Business | 21ドル(年払い)/ 25.20ドル(月払い) | M365基本ライセンスとは別途契約 |
| プロモーション価格 | 18ドル(年払い) | 2025年12月1日〜2026年6月30日の期間限定 |
| Researcher・Analyst | 追加料金なし | Copilot Businessに含まれる |
エンタープライズ向け
| 構成要素 | 料金(ユーザーあたり月額) | 備考 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 基本ライセンス | E3: 36ドル / E5: 57ドル等 | いずれか1つが前提条件 |
| Microsoft 365 Copilotアドオン | 30ドル(年払い) | 基本ライセンスに追加で契約 |
| Researcher・Analyst | 追加料金なし | Copilotアドオンに含まれる |
たとえばE3プランにCopilotアドオンを追加した場合、1ユーザーあたり月額66ドル(約9,900円)が目安です。中小企業向けのCopilot Businessであれば、プロモーション期間中は月額18ドルから利用を開始できます。いずれのプランでも、Researcher・Analystのために追加のライセンスを購入する必要はありません。
月25クエリの上限と注意点

ResearcherとAnalystの利用には、1ユーザーあたり月25クエリの合算上限が設定されています。この「25クエリ」について押さえておくべきポイントは次のとおりです。
- ResearcherとAnalystの合算
Researcherで15クエリ、Analystで10クエリ使った場合、その月の残りは0クエリ
- 1クエリ = 1件の完成レポート
1回の調査指示から完成レポートが生成されるまでが1クエリ。途中の明確化質問への応答はカウントに含まれない可能性がある(Microsoft公式は未明言)
- 残りクエリ数の確認手段が限られている
2026年3月時点では、公式FAQによると既存のレポートツールでクエリ消費状況を確認する機能は提供されていない
月25クエリという上限は、「毎日使う」用途よりも「週1〜2回の本格調査・分析」に合わせた設計と考えるのが自然です。日常的な質問はCopilot Chatで処理し、Researcher/Analystは「これは腰を据えて調べたい」「このデータをしっかり分析したい」という場面に限定することで、上限を気にせず運用できます。
2026年7月の基本ライセンス価格改定

Microsoftは2026年7月1日より、Microsoft 365の商用プランの価格を改定することを発表しています。
| プラン | 現行価格(月額) | 改定後(月額) | 増加額 |
|---|---|---|---|
| Microsoft 365 E3 | 36ドル | 39ドル | +3ドル |
| Microsoft 365 E5 | 57ドル | 60ドル | +3ドル |
| Business Basic | 6ドル | 7ドル | +1ドル |
| Business Standard | 12.50ドル | 14ドル | +1.50ドル |
Business Premiumは22ドルのまま据え置きです。Copilotアドオンの料金(30ドル)もこの改定の対象外ですが、基本ライセンスの値上げにより総コストは増加します。E3 + Copilotアドオンの場合、月額66ドルから69ドルへの変更です。
7月以前にライセンス契約を締結・更新しておくことで、改定前の価格を適用できる場合があります。導入を検討中の企業は、6月末までの契約を視野に入れることを推奨します。
Copilot Researcher・Analystの注意点と制限

Researcher・Analystを導入する際に知っておくべき制限事項を整理します。
- 対応言語の差
Researcherは37言語に対応していますが、Analystは2026年3月時点で8言語(順次拡大予定)です。Analystを日本語で利用する場合、指示は日本語で通るものの、生成されるPythonコード内のコメントやラベルが英語になるケースがあります
- Frontier限定機能
Critique(マルチモデル検証)やCouncil(並列比較)は、Frontierプログラム参加企業のみに提供されています。Frontierは大規模なCopilot・エージェント導入を推進する企業向けの早期アクセスプログラムで、参加にはMicrosoftとの個別調整が必要です
- データアクセス範囲
ResearcherとAnalystがアクセスできるのは、そのユーザーが既にアクセス権を持つデータに限定されます。Microsoft 365の既存のアクセス制御ポリシーがそのまま適用されるため、「AIに見せたくないデータ」はアクセス権の管理で制御可能です
- 管理者による有効化が必要
組織のMicrosoft 365管理者がエージェント機能を有効にしていないと、ユーザーはResearcher・Analystにアクセスできません。導入を検討する場合は、IT部門と事前に調整してください
- クエリ上限の共有
同一ユーザーの25クエリはResearcherとAnalystの合算です。チーム内で「Researcher用」「Analyst用」と分けることはできないため、用途に応じたクエリ配分を事前に決めておくとスムーズです
特に多くの企業が見落としがちなのは「Analystの言語対応の狭さ」です。日本語でのデータ分析指示は基本的に問題なく通りますが、出力の一部が英語になるケースがあるため、社内展開時に「英語が出てくる」ことへの事前説明が必要です。
また、Copilot Studioを使ってカスタムエージェントを構築する場合は、Researcher・Analystとは別の利用枠となります。カスタムエージェントの構築を検討している場合は、M365 Copilot用エージェントの全体像を先に把握しておくことを推奨します。
Researcher・Analystを含むM365 Copilotの最新機能追加は、Microsoft 365 Copilotのアップデートまとめで毎月更新しています。
【関連記事】
Microsoft 365 Copilotエージェント活用事例!業務別の成功パターンを解説
調査・分析の先にある業務自動化を実現
Researcher・Analystの能力を自社データで展開
Researcher・Analystが示した「AIが自ら調査・分析する」能力を、自社のデータ環境で本格展開。分析結果から報告・承認・実行までを一気通貫で自動化します。
Researcher・Analystの能力を自社業務に組み込むなら
ResearcherやAnalystが示したのは、AIが「聞かれたら答える」段階から「自ら調査・分析して結論を出す」段階に進んだということです。この能力を自社のデータ環境と業務フローに接続できれば、調査レポートの作成やデータ活用のスピードは根本から変わります。
AI Agent Hubは、Copilot Studioを構築基盤の1つとして、調査・分析結果を業務アクションまでつなげるエンタープライズAI基盤です。
- 社内データを横断する調査をAIエージェントが自動実行
Researcherが示した「複数ソースから情報を集めて整理する」能力を、自社データ環境で展開。Fabric OneLake上に仮想統合された基幹システムデータとSharePoint上のドキュメントをAIエージェントが横断検索し、調査レポートのドラフトを自動生成します。
- 分析結果を報告・承認まで一気通貫で処理
数字を出して終わりではなく、分析結果をTeams上でAdaptive Cardとして関係者に通知し、承認・差戻しまで自動起動。Analystが出した結論をそのまま業務フローに乗せる仕組みです。
- 使い慣れたMicrosoft環境をそのまま活用
Teamsなど既存のMicrosoftツールの延長でAIエージェントが動作。新しいツールの学習コストはゼロです。
- データは100%自社テナント内に保持
AIの学習対象から完全除外。Azure Managed Applicationsとして自社テナント内で動作が完了する設計です。
AI総合研究所の専任チームが、設計から運用まで伴走支援します。まずは無料の資料で、自社の業務にどう活用できるかご確認ください。
調査・分析の先にある業務自動化を実現
Researcher・Analystの能力を自社データで展開
Researcher・Analystが示した「AIが自ら調査・分析する」能力を、自社のデータ環境で本格展開。分析結果から報告・承認・実行までを一気通貫で自動化します。
まとめ
Microsoft 365 Copilotの「Researcher」と「Analyst」は、調査業務とデータ分析をAIに任せるための専用エージェントです。2025年6月のGA以降、M365 Copilotライセンスを持つ全ユーザーが追加コストなしで利用でき、2026年3月にはResearcherにCritique・Councilのマルチモデル機能が追加されて精度がさらに向上しています。
本記事の要点を改めて整理すると、Researcherは社内データとWebを横断して出典付きの調査レポートを生成するリサーチエージェント、Analystは自然言語の指示だけでPythonコードを自動生成しデータ分析・可視化を実行する分析エージェントです。どちらもMicrosoft 365 Copilotライセンス(中小企業向けCopilot Businessは月額21ドル、エンタープライズ向けアドオンは月額30ドル)に含まれ、合計月25クエリまで利用できます。
導入のハードルは決して高くありません。M365 Copilotライセンスがあれば、Copilotアプリのエージェント一覧からすぐに試せます。まずは各部門で「毎月30分以上かけている調査・分析作業」を1件ピックアップし、Researcher/Analystに任せてみてください。その1件の成功体験が、組織全体のAIエージェント活用を加速させる起点になります。













