この記事のポイント
Work IQはCopilotとAIエージェントが組織の業務文脈を理解する職場インテリジェンス基盤
3層構造はデータ・コンテキスト・スキル&ツール、Ignite 2025の「データ・メモリ・推論」表記から2026-03以降の資料で整理が変わっている
Work IQ APIsは2026年6月16日にGA、Chat・Context・Tools・Workspacesの4コンポーネント構成。別SKUやサブスク・ユーザー単位ライセンスは持たず、API利用分がCopilot Creditsで従量課金される
料金はCopilot Business $18/月〜E7 Frontier Suite $99/月、Chat無料版にWork IQの組織文脈グラウンディングは含まれない
導入の本丸はSharePoint権限とoversharing対策、応答精度の前提に組織データの整備が必須

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
Work IQは、Microsoft 365 CopilotとAIエージェントが「組織の業務文脈」を理解して動くための職場インテリジェンス基盤です。
2026年6月16日にWork IQ APIsの一般提供(GA)が予定され、5月28日のCopilotリデザインや3月のMicrosoft 365 E7 Frontier Suite発表と合わせて、Copilot体験は本格的に「組織知能」へとシフトし始めています。
本記事では、データ・コンテキスト・スキル&ツールという3層構造、Work IQ APIsの4コンポーネント(Chat・Context・Tools・Workspaces)、Copilot Business〜E7 Frontier Suiteまでの料金プラン、セキュリティと導入判断の論点までを、2026年6月時点の公式情報で整理します。
あわせて、Copilot Chat(無料)とWork IQ搭載プランの応答品質の差、SharePoint権限の先回り設計、Business→Agent 365→E7の段階導入で押さえる判断軸も解説します。
目次
Work IQとは:Microsoft 365 CopilotとAIエージェントの職場インテリジェンス基盤
Work IQの2026年6月時点の現在地:Ignite 2025からAPIs GAまで
Work IQの3層構造(データ/コンテキスト/スキル&ツール)
コンテキスト層:Copilotメモリ・セマンティックインデックス・Dataverse intelligence
「データ・メモリ・推論」(Ignite 2025)から現行名称への変化
料金はCopilot Credits従量課金(別SKU・サブスクなし)
Copilot Chat(無料)とWork IQ搭載プランの応答が違う理由
Agent 365とE7 Frontier Suiteの位置づけ
oversharing対策とSharePoint権限の棚卸し
Copilotリデザイン後のWork IQ体験:利用率はどう変わったか
Copilot ChatかCopilot Businessか
段階導入:Business → Agent 365 → E7 Frontier Suite
Work IQとは:Microsoft 365 CopilotとAIエージェントの職場インテリジェンス基盤
Work IQ(ワーク・アイキュー)は、Microsoft 365 Copilotとエージェントが「組織のなかで実際に起きていること」を意味的に理解するための職場インテリジェンス基盤です。
公式のWork IQ overview(Microsoft Learn)では「workplace intelligence layer that delivers a semantic understanding of everything happening across your business」と定義されています。コ
ネクタだけでデータを引いてくるだけのアプローチに比べて、応答が速く、正確で、かつアクセス権限と整合した安全な動きをCopilotとエージェントに与えるのが、Work IQの役割です。
Work IQが解こうとしている課題

汎用のAIチャットは公開情報には強いものの、社内の文脈には踏み込めません。同じ「来週の準備をまとめて」という依頼でも、その人が抱えているプロジェクト、関わっているチーム、進捗の優先度を踏まえずに答える限り、業務には届きません。
Work IQはこのギャップを埋めるために設計された層です。メール、ファイル、チャット、会議のような「働き方そのもののデータ」を意味的に索引し、ユーザーの役割・組織の関係性・業務パターンと結びつけたうえでCopilotに渡します。
結果として、Copilotの応答は「特定の文書を要約した」のではなく「あなたの来週の文脈を踏まえて整理した」という質に変わります。
Microsoft 365 Copilotとの位置づけ
Microsoft 365 CopilotはあくまでユーザーがふれるAI体験の「表側」で、その応答品質を裏で決めているのがWork IQです。
同じプロンプトを投げてもCopilot Chat(無料版)とCopilot Business/Enterpriseで応答が違うのは、後者だけがWork IQの3層構造を経由しているためです。
Microsoft Ignite 2025(2025年11月)でWork IQが発表されて以降、Microsoftは「First Frontier Suite」と銘打ってMicrosoft 365 E7 Frontier Suite($99/ユーザー/月)にWork IQを束ねる方向に動いてきました。
Copilot単体の体験ではなく、E5+Copilot+Agent 365をWork IQの上で統合的に走らせる構図に組み替えています。
Microsoftが公開している「How Work IQ works」の構成図を見ると、Work IQが他のレイヤーと組み合わさる全体像が掴めます。

Work IQの全体構成。Experiences/Extensibilityに挟まれた中央にSkills and Tools/Context/Dataの3層が並び、下にMulti-Model層が広がる(出典:Microsoft Community Hub「A closer look at Work IQ」)

画像で示されているとおり、Work IQは上の「Experiences(Microsoft 365 Copilotや各アプリ)」と「Extensibility(Copilot Studio・Foundry・GitHubから拡張する自社エージェント)」の間に挟まる中央層です。
Work IQ本体は「Skills and Tools/Context/Data の3層」で構成され、その下に「OpenAI・Anthropic等のMulti-Modelレイヤー」が並びます。次のセクションから、Work IQ本体の3層を順に見ていきます。
Work IQの2026年6月時点の現在地:Ignite 2025からAPIs GAまで

Work IQは「発表から半年以上が経った安定機能」ではなく、いままさに公式情報が動き続けている層です。
本セクションでは、執筆時点で押さえておくべき直近6か月の動きを時系列で整理します。
以下の表は、Ignite 2025の初出から2026年6月16日のWork IQ APIs GAまでの主要マイルストーンをまとめたものです。
| 時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2025年11月18日 | Microsoft Ignite 2025でWork IQ初出。「データ・メモリ・推論」の3層として紹介 | Microsoft 365 Blog |
| 2026年3月9日 | Microsoft 365 E7 Frontier Suite発表。Work IQが「最初のFrontier Suite」として束ねられる | Official Microsoft Blog |
| 2026年3月 | Tech CommunityでWork IQの3層を「データ・コンテキスト・スキル&ツール」として再整理 | Microsoft Community Hub |
| 2026年4月 | Work IQ APIパブリックプレビュー開始(A2A/Local MCP) | Copilot Studio Blog |
| 2026年5月1日 | Microsoft 365 E7 Frontier SuiteとAgent 365が一般提供(GA) | Microsoft 365 Blog |
| 2026年5月28日 | Microsoft 365 Copilotリデザイン公開、Work IQパーソナライゼーション強化 | Microsoft 365 Blog |
| 2026年6月2日 | Work IQ APIs正式発表、4コンポーネント(Chat/Context/Tools/Workspaces)構成を公表 | Microsoft 365 Blog |
| 2026年6月16日 | Work IQ APIs一般提供(GA)予定 | Microsoft 365 Blog |
この表が示すのは、Work IQは「導入してじっくり様子を見る」段階を過ぎ、ここ2〜3か月で本格運用のための基盤が一気に揃ったという事実です。
特に2026年6月の動きは大きく、APIs GAとリデザインの組み合わせで、エンドユーザー体験と開発者面のどちらもが「組織の業務文脈に最適化された応答」を前提とする形に切り替わります。
リデザインで実際に利用率がどう動いたかは、後段の「Copilotリデザイン後のWork IQ体験」セクションで詳しく見ます。
Ignite 2025発表の象徴的な画面は、Agent 365のAll agentsインベントリです。

Ignite 2025で示されたAgent 365 All agents画面。Microsoft純正・Copilot Studio・サードパーティ各社のエージェントが横断管理される姿を提示(出典:Microsoft 365 Blog「Microsoft Ignite 2025: Copilot and agents built to power the Frontier Firm」)
画像にはWorkday・ServiceNow・Microsoft Foundry・Copilot Studio・Kasisto・Fabric IQなど多様な提供元のエージェントが並び、それぞれの稼働状況・セキュリティリスク・利用ユーザー数・例外率が一画面で見える状態が映っています。
Work IQがこの多様なエージェント群に対して一貫した組織コンテキストを供給する役割を担うこと——これがIgnite 2025発表全体のメッセージでした。
Work IQの3層構造(データ/コンテキスト/スキル&ツール)

Work IQは「データ層」「コンテキスト層」「スキルとツール層」の3層で構成されています。
Ignite 2025時点では「データ・メモリ・推論」という整理で紹介されていましたが、2026年3月のTech Community記事および6月の公式ドキュメント更新では「データ・コンテキスト・スキル&ツール」という3層の整理になっています。
3層の役割を要点で整理すると次のようになります。
| 層 | 主な役割 | 主な構成要素 |
|---|---|---|
| データ | M365・Dynamics 365・Power Apps・外部システムへの権限を尊重した安全なアクセス | Microsoft Graph/Dataverse/Copilot connectors/Federated connectors |
| コンテキスト | 業務文脈と関係性の継続的な学習・索引化 | Copilotメモリ/セマンティックインデックス/Dataverse intelligence |
| スキル&ツール | スキル定義に基づくタスク実行と外部統合の呼び出し | Business skills/Work IQ CLI/MCPサーバー・APIプラグイン |
3層は階層的に積み重なっており、上の層は下の層の出力を前提に動きます。データ層が業務データへの安全な入口を確保し、コンテキスト層が意味と関係性を編み込み、スキルとツール層が実際の行動に変える、という順序です。

Microsoft 365 Copilotのアーキテクチャ全体図。中央のWork IQが「Skills & Tools/Context/Data」の3層で構成され、上のExperiences/Extensibilityと下のModels層をつなぐ(出典:Microsoft Learn「Work IQ overview」)
画像でも示されているとおり、Work IQはMicrosoft 365 Copilot全体のアーキテクチャの中央3層を担う層です。Experiences側(Copilotや各種アプリ)にデータと文脈と実行手段を供給し、ExtensibilityレイヤーのCopilot Studio・Foundry・GitHubから作る自社エージェントにも同じ3層を介して知能を分配します。
ここから各層の中身を順に見ていきます。
データ層:M365からDataverse・外部システムまで

データ層は、Copilotとエージェントが「何を素材にできるか」を決める土台です。
公式Work IQ overviewでは、構造化/非構造化の両方の情報に対して「既存のアクセス許可とポリシーを尊重した安全なアクセス」を提供すると説明されています。
データソースは大きく3系統に整理できます。
-
Microsoft 365テナントデータ
Microsoft Graph経由で、SharePoint・OneDrive上のWord/Excel/PowerPointファイル、OutlookメールやTeamsの会議・チャットなどに到達できる。
コラボレーションやアクティビティのメタデータも対象に含まれる
-
Dynamics 365とPower Appsのビジネスデータ
Dataverseを介して、業務システムの構造化データセットを統合する。
Teamsで議論されたサプライヤー問題と、Dataverse上の在庫・売上の影響を結びつけて推論できる、というのが公式の例
-
Copilotコネクタとフェデレーションコネクタ
プリビルト/カスタムコネクタで非Microsoftシステムを取り込むほか、フェデレーションコネクタ(early access preview)がModel Context Protocol(MCP)を使ってクロールせずにライブデータを参照できるようにする
このように、Work IQのデータ層は「単なるGraph APIラッパー」ではありません。
Microsoft 365・業務システム・外部システムを横断する広範な業務データに対して、アクセス権限と整合した同じ入口を用意している点が特徴です。
コンテキスト層:Copilotメモリ・セマンティックインデックス・Dataverse intelligence

コンテキスト層は、データ層の上で「業務文脈の理解」を組み立てる層です。
応答の速度と関連性を継続的に高める役割を担い、スキルプロファイル、重要プロジェクト、コラボレーション頻度、ワークフローの重要度、コミュニケーション速度などをエージェントに与えます。
主な構成要素は次の3つです。
-
Copilotメモリ
明示的なユーザー指示(カスタム命令や保存メモリ)と、暗黙的なアクティビティパターンの両方を取り込む。
「自分はマーケ部門のシニアで、いつもこの観点で書く」といった情報を、毎回入力し直さなくてもCopilot側が保持する
-
セマンティックインデックス
キーワード検索の上にレキシカル・セマンティックの2層インデックスを構築し、アクセス権の境界を尊重したまま「意味で引ける」検索を提供する。
Microsoft Graphとコネクタ経由のコンテンツのスーパーセットとして機能する
-
Dataverse intelligenceによるビジネス理解
ファイル・会議・メッセージといった生産性データの理解に加え、Dataverseの構造化データ(売上、在庫、案件、顧客マスタなど)を業務システムの「記録」として推論対象に組み込む
この層の到達点は、「文書を見つけてくる」から「文脈を理解して提案する」への移行です。
Copilot Chatで「先週の営業MTGの懸念をまとめて」と頼んだときに、関係する案件のDataverse側の進捗まで踏まえて答えが返るのは、コンテキスト層がそこをつないでいるからです。
スキル&ツール層:エージェントが実行する具体的な統合

スキル&ツール層は、Work IQの知能を「実際の行動」に変える層です。スキルが「何をすべきか」を定義し、ツールが「どう実行するか」を担います。
公式の整理では以下の要素が並びます。
-
Business skills(Dataverse intelligence・プレビュー)
組織のプロセス・ポリシー・ドメイン知識を自然言語のスキルとしてエンコードする。
手順、必要な入力、ビジネスルールが定義され、複数エージェント間で同じスキルを共有することで、組織横断で一貫した動作を担保する
-
Work IQ CLI(プレビュー)
MCPサーバーとしてMicrosoft 365データを公開し、開発環境のAIコーディングアシスタントがコードを書きながら職場のコンテキスト(議論があった会議の詳細など)を自動取得できるようにする
-
MCPサーバーツール・APIプラグイン・その他の統合
エージェントが実際にメール送信・会議スケジュール・ドキュメント操作などを行うための具体的な呼び出し先。
Copilot Studioで作った自社エージェントもここを介して動く
スキル&ツール層の意義は、「Copilotにできること」を組織側で増やせる点にあります。
Microsoft Copilot Studioで作った業務エージェントが、Work IQの知能を借りながら正しく動くのは、スキルとツールが同じ文脈基盤の上に乗っているからです。
「データ・メモリ・推論」(Ignite 2025)から現行名称への変化

Ignite 2025発表時の資料や、2025年末〜2026年初頭に公開された解説記事では「データ・メモリ・推論」という3層整理が使われています。
2026年3月のTech Community記事と6月の公式ドキュメント更新では、これが「データ・コンテキスト・スキル&ツール」という整理に変わっています。
Microsoftが「名称改定」と明示しているわけではありませんが、両者の整理を比較すると、おおまかな対応関係は次のように読み取れます。
- 旧整理の「メモリ」は、現行のコンテキスト層内の一構成要素(Copilotメモリ)に対応する位置にある
- 旧整理の「推論」は、現行のスキル&ツール層や4コンポーネント(後述)の説明と重なる範囲を扱っている
古い「データ・メモリ・推論」表記の社内ドキュメントやベンダー資料を見かけたら、現行ドキュメントの「データ・コンテキスト・スキル&ツール」と並べて読み替えるのが安全です。
Microsoft Learnは2026年6月時点で現行の整理に統一されています。
【6月16日GA】Work IQ APIs

Work IQ APIsは、Work IQの知能を外部の開発ワークフローから呼び出すための統一APIです。
Microsoftは2026年6月2日のMicrosoft 365 Blogで「Chat・Context・Tools・Workspaces」の4コンポーネント構成を発表し、2026年6月16日の一般提供(GA)を予定しています。
4コンポーネントの役割を、下記の表で整理します。
| コンポーネント | 役割 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| Chat | Microsoft 365 Copilotの「会話」をプログラムから呼ぶ。応答と引用、Copilot内エージェントへのアクセスを提供 | 自社アプリにCopilotの応答を埋め込む/既存Copilot Chat APIからの移行先 |
| Context | エージェント向けに、Copilotが内部で使う「準備済みのコンテキスト」と元データを返す。合成応答ではなくエージェント用フォーマット | 外部エージェントが自前のモデルに渡す入力として、Work IQの文脈を取り込む |
| Tools | メール送信・会議スケジュール・ドキュメントアップロードなどのM365エンティティへの「動詞」をエージェントに開放 | エージェントがM365内で実際にアクションを取る経路 |
| Workspaces | エージェントの実行中の状態・データ・メモリ・進捗をMicrosoft 365テナント境界内で保持 | 長時間タスクや複数ステップのエージェントの「作業机」として機能 |
この4コンポーネント分割は、エージェントが必要とする要素を「会話」「文脈」「行動」「作業状態」に切り分けたものです。
3層構造(データ/コンテキスト/スキル&ツール)が「Work IQの中身の説明」であるのに対し、4コンポーネントは「Work IQを外から呼ぶときの入り口」です。両者は別レイヤーで併存します。

Work IQ APIsの公式アーキテクチャ図。左の自社エージェントがA2A・MCP・REST APIのいずれかで接続し、Chat・Context・Tools・Workspacesの4コンポーネントを介して右のOrganizational Intelligence(Work IQの組織知能)にアクセスする(出典:Microsoft 365 Blog「Announcing the new Work IQ APIs」)
画像が示しているのは、「左の自社エージェント → 中央の4コンポーネント → 右のOrganizational Intelligence」という1方向のデータフローです。
エージェント側から見ると、A2A/MCP/REST APIのどれを使っても、最終的にWork IQの組織知能に到達できる構図になっています。プロトコルレベルの実装はWork IQ API側に抽象化されており、開発者は4コンポーネントの「入り口」だけを意識すれば済む設計です。
6月16日GAの意味
これまでのWork IQはCopilotの内部基盤として静かに動いていましたが、APIs GAを境に「自社の業務アプリやエージェントから直接呼べる正規ルート」が開きます。
初期プレビューはA2AとLocal MCPが中心でしたが、2026年6月時点ではMicrosoft LearnのWork IQ overviewにA2A・MCP・REST APIそれぞれの資料とプレビュー導線が並んでおり、6月16日GAでChat・Context・Tools・Workspacesの4コンポーネントが正式化される構図です。
Microsoftは同時に、Work IQ APIsの開発者向け性能データも公開しました。

Microsoft社内テスト(20シナリオ、コーディングハーネス、2026年5月)で計測されたWork IQ APIsの処理速度。Traditional APIs比で2倍のoutput per second(出典:Microsoft 365 Blog「Announcing the new Work IQ APIs」)

同条件下のトークン効率。Work IQ APIsを使うとコーディングハーネスのトークン消費が80%削減(出典:Microsoft 365 Blog「Announcing the new Work IQ APIs」)
これらは「コーディングハーネス(AIアシスタントが内部的に使う開発支援フレームワーク)」という特定用途での計測で、業務エージェント全般に同じ比率が出るわけではありません。
Work IQ APIsが内部で文脈・データ取得を一括最適化していることを示すサインとしては読み取れます。
料金はCopilot Credits従量課金(別SKU・サブスクなし)

Work IQ APIsには、別途のSKU・サブスクリプション・ユーザー単位ライセンスは設けられていません。代わりに、API利用分がCopilot Creditsで従量課金される消費ベースの料金体系です(Work IQ general availability / Microsoft 365 Copilotのライセンスページ)。
公式が示す単価の構造は次のとおりです。
-
Tools
API call単位の固定単価(例:0.1 Copilot Credits/API call)
-
Chat・Context
応答内容に応じたシナリオ別のper call課金(コンテキスト量・出力長で変動)
-
自動で動くエージェントの呼び出し
呼び出すたびにCopilot Creditsが消費されるため、利用量がそのままコストに直結する
API呼び出し量が読みづらいPoC段階では、Copilot Credits上限(Spending limit)を低めに設定して上振れを抑えるのが定石になります。

Microsoft 365 admin center > Copilot > Cost managementのSpending policies画面。エージェント・サービスごとにSpending limitを設定でき、PrepurchaseとPay-as-you-goの混在も可能(出典:Microsoft 365 Blog「Announcing the new Work IQ APIs」)
画像で見えるとおり、管理者は「External Work IQ API policy」のようなポリシー単位でSpending limit(例:50,000) を設定し、Payment methodにはCapacity PackやPrepurchase(前払い割引)/Pay-as-you-go(従量)などを選びます。
PoC段階の上限管理から、本番展開時のチャージバック管理まで、同じ画面で扱える設計です。
Work IQが組み込まれるCopilotプランと料金体系

Work IQは独立した製品として単体販売されているわけではなく、Microsoft 365 Copilotの各プランに「組み込まれる」かたちで提供されます。
ここでは、ビジネス側が「どのプランを選ぶとWork IQの何が手に入るか」を整理します。

Microsoft 365 Copilotの公式価格ページ。Individual/Business/Enterprise/Copilot Studio のタブで切り替えられ、Business タブには「Copilot Chat(Included)」と「Copilot Business($18.00 プロモ価格、定価*$21.00**)」が並ぶ(出典:Microsoft 365 Copilot pricing)*
公式ページからも分かるとおり、Copilot Chat(Included)はBusiness plansタブの先頭に並びます。
これはWeb情報を中心としたAIチャットで、アップロード/参照ファイルや一部エージェント機能はメーター制で利用できますが、Work IQによる組織データの暗黙的な業務文脈グラウンディングは含まれません。Work IQの3層を踏まえた応答を得るにはCopilot Business($18/月のプロモ・$21/月の定価)以降が必要になります。
以下の表は、Work IQの利用可否と主要プランの組み合わせをまとめたものです。
| プラン | 月額(ユーザーあたり) | Work IQの利用範囲 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| Copilot Chat(無料) | 無料(対象M365サブスクリプションに含まれる) | Web情報+アップロード/参照ファイル+一部エージェント(メーター制)。Work IQの組織文脈グラウンディングは含まれない | M365アカウントを持つ全ユーザー |
| Microsoft 365 Copilot Business | $18(プロモ)/$21(通常) | Work IQ-powered chat(組織文脈に基づくCopilot体験) | 中小企業(300ユーザーまで) |
| Microsoft 365 Copilot(Enterprise) | $30 | Work IQ-powered chat(組織文脈に基づくCopilot体験) | 大企業 |
| Agent 365 | $15 | エージェントの観察・ガバナンス・管理・セキュリティを担うcontrol plane(Work IQとはE7で組み合わさるが、役割は別) | エージェント本格運用フェーズの企業 |
| Microsoft 365 E7 Frontier Suite | $99 | E5+Copilot+Agent 365+Work IQの統合バンドル | エンタープライズで一気通貫導入 |
この表が示すように、Work IQの組織文脈に基づく応答品質を享受するにはCopilot Business以上が前提です。
Copilot Chat(無料)はWeb情報を中心としたAIチャットで、ファイル参照や一部エージェント機能はメーター制で扱えますが、組織データへの暗黙的な業務文脈グラウンディングは含まれません。
E7 Frontier Suiteは2026年5月1日にAgent 365とともに一般提供(GA)が始まり、Microsoftは「最初のFrontier Suite」と位置づけています。
E5・Copilot・Agent 365を個別購入するよりも割安に組めるバンドルで、Work IQによる組織文脈Copilot体験とエージェント基盤を一括で導入したい企業にとって最もシンプルな選択肢です。
Copilot Chat(無料)とWork IQ搭載プランの応答が違う理由

ここでよくある誤解は、「Copilot Chatでも同じCopilotだから、組織導入の効果は無料版で確認できる」というものです。
実際には、Copilot Chat(無料)はWork IQによる暗黙的な業務文脈グラウンディングを経由せず、Web情報やファイル参照を中心に応答します。
Microsoftの公式価格ページでは、Business/Enterpriseのみが「Work IQ-powered chat」と明記されています。
無料版で評価を打ち切ると「Copilotは使い物にならない」と早合点しがちですが、Work IQの組織文脈グラウンディングを経由しない状態と、それを踏まえた応答は別物です。
費用対効果を測る前段で、有料プランによる検証フェーズを設けるのが本筋になります。
Agent 365とE7 Frontier Suiteの位置づけ

Agent 365とE7 Frontier Suiteは、エージェント本格展開を見据えたプランです。
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Agent 365($15)
エージェントの観察・ガバナンス・管理・セキュリティを担う統制基盤(control plane)。Copilot Studio・Microsoft 365 Copilotエージェントだけでなく、OSSやパートナー製エージェントも対象に含む。Work IQとはE7で組み合わさるが、役割は別レイヤー
-
E7 Frontier Suite($99)
E5+Copilot+Agent 365+Work IQをワンパッケージにしたバンドル。個別購入よりも割安で、Microsoft Entra Suite・Defender・Intune・Purviewといったセキュリティ層もまとめて手に入る
Microsoft GraphとWork IQの違い

Work IQの解説を始めるとほぼ必ず出てくるのが「Microsoft Graphと何が違うのか」という問いです。
両者はM365データに触れる点で共通していますが、層が異なります。
以下の表で、両者の責務を比較します。
| 観点 | Microsoft Graph | Work IQ |
|---|---|---|
| 役割 | M365テナントデータへの「APIアクセス層」 | Copilotとエージェントの「職場インテリジェンス基盤」 |
| 提供物 | 構造化されたデータ(ユーザー、メール、ファイル、Teams 投稿等) | データに業務文脈・関係性・パーソナライズを加えた「知識」 |
| 主な利用者 | アプリ開発者・統合パートナー | CopilotおよびAIエージェントが内部的に利用 |
| 学習要素 | なし(静的なデータアクセス) | アクティビティパターン・関係性の継続的学習あり |
| データの意味づけ | スキーマベース(フィールド名と値) | セマンティックインデックス(意味と関連性で引ける) |
つまり、Microsoft GraphはWork IQの「データ層」の中で使われる部品の一つにすぎません。
Work IQはGraphを置き換える存在ではなく、Graphの上にコンテキスト層とスキル&ツール層を積み重ねて知能化した層です。
アプリからM365データに直接アクセスしたい開発者にとっては、引き続きGraphが主要インターフェースです。
一方、Copilotやエージェントを「賢く動かしたい」場合は、Graphを直接叩くのではなく、Work IQ経由で取り扱う設計が筋になります。
Work IQのセキュリティ・ガバナンス・コンプライアンス

企業がWork IQを導入する際の最大の関心ごとは、セキュリティとプライバシーです。
結論から言うと、Work IQはMicrosoft 365の既存セキュリティ基盤を「継承する」設計になっています。新しいセキュリティ層を別に構築する必要はありません。
ただし、「継承する」ということは、既存のセキュリティ設計がそのままCopilotの応答範囲に反映されるという意味でもあります。
SharePointやOneDriveの権限が緩んでいれば、Copilotもその緩い範囲を参照します。Work IQ導入の本当の作業は、機能設定ではなく組織データの整備にあります。

Microsoft 365テナント境界内に閉じたWork IQのセキュリティ。「Your data stays in place with Work IQ, secured and governed by Microsoft 365」(出典:Microsoft 365 Blog「Announcing the new Work IQ APIs」)
画像のキーフレーズ「Your data stays in place」が示すとおり、Work IQはMicrosoft 365テナント境界内で既存の権限・コンプライアンス境界を維持する設計です。
REST API経由でも、別インデックスの構築や不要なデータエグレスを伴わない仕組みになっています。具体的な統制機能を以下で見ていきます。
既存セキュリティ基盤の継承

Work IQが連携する主なセキュリティ機能は次の3つです。
-
Microsoft Entra IDのアクセス権限
ユーザーの認証・認可はEntra IDに依存する。Copilotが参照できる範囲はそのユーザー本人のアクセス権と完全に一致する
-
Microsoft Purviewの感度ラベルとセキュリティグループ
感度ラベル(Sensitivity Labels)やセキュリティグループの設定がそのまま反映され、機密文書が応答に紛れ込むのを防ぐ
-
DLPポリシー
組織が設定したDLP(データ損失防止)ポリシーはWork IQ経由のアクセスにも適用される。Copilot応答からの機密情報の漏洩抑止に直接効く
Entra ID・Purview・Defenderといった既存のM365セキュリティ基盤を整えていれば、Work IQ専用の追加統制を構築する必要はありません。
一方、これらの整備が遅れているテナントは、Work IQ導入よりも前にM365側のセキュリティ棚卸しが先になります。
oversharing対策とSharePoint権限の棚卸し

Work IQ導入で最も多くの企業が詰まる論点が、SharePoint/OneDriveの「oversharing(共有範囲過多)」です。
「全社で共有」「組織外も含めてリンク共有」のフォルダが残ったままだと、Copilotがそこを参照し、本来見えてはいけない文書を要約に含めてしまうリスクが顕在化します。
実務での順序は次のようになります。
-
SharePoint Advanced Managementで共有設定を棚卸し
非アクティブなサイト、過大共有のサイト、外部共有が有効なサイトを洗い出す
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感度ラベル/DLPポリシーで「Copilotが触れる前提」の制御を入れる
機密度に応じた感度ラベルを文書に適用し、ラベルに紐づくDLPで取り扱いを制御する
-
Restricted SharePoint Search/Restricted Content Discoveryを一時的に併用する
Restricted SharePoint Searchは許可リスト方式で検索範囲を絞り込み、Restricted Content Discoveryはサイト単位でCopilotからの発見性を制限する。
どちらも権限そのものを書き換える安全境界ではないため、長期対策はSharePoint Advanced ManagementとPurviewでの権限・ラベル整備が本筋になる
「Copilotを入れたら社員間で意図しない情報が見えてしまった」という事故は、Work IQの設計ミスではなく、こうした権限整備の遅れに起因します。
導入前にこの順序で手を入れておくのが、結局のところ最も早い導入経路になります。
GDPRとEU Data Boundary対応

Microsoft 365 Copilot/Work IQを含むCopilot体験は、MicrosoftとしてGDPRへの準拠が明示されており、EU Data Boundaryの対象サービスとしても扱われます。
ただし、GDPRへの完全な準拠は組織側の設計・運用にも依存する点は変わりません。Work IQの機能だけで自動的に準拠が保証されるわけではなく、データ分類・保持ポリシー・データ主体権利への対応プロセスは個社の判断と運用に委ねられます。
Copilot Tuningや明示的メモリの機能で保存されたデータも、管理権限はテナント管理者が保持する設計です。
「Work IQ=ベンダーロックでデータ主権が失われる」という懸念は、公式の整理に照らせば過剰な心配と言えます。
Copilotリデザイン後のWork IQ体験:利用率はどう変わったか
2026年5月28日のリデザイン公開以降、Copilotの利用率は明確に動きました。
Microsoft自身が公表している数値で、Work IQが裏でどのように効いているかを読み解きます。

リデザインされたMicrosoft 365 Copilot。デスクトップ画面の左上に「Work IQ Auto」モードセレクター、左サイドバーにNew chat/Search/Agents/Notebooks/Tasks、PinnedにはAnalyst/Researcherなどのエージェントが並ぶ(出典:Microsoft 365 Blog「Introducing a new design for Microsoft 365 Copilot」)

画像左上の「Work IQ Auto」は、Work IQがユーザーの作業文脈に合わせて応答の深さを自動調整するモードです。
Pinnedに並ぶResearcher/Analystは業務特化エージェントで、いずれもWork IQの3層から情報を引いて動きます。サイドバーのAgents/Notebooks/Tasksもリデザインで新たに前面化された導線で、Copilot体験全体が「単発のQ&A」から業務タスクのワークスペースへと再構成された姿を示しています。
新インアプリ体験での利用率変化
リデザイン後のアプリ別利用率は次のとおりです(いずれもMicrosoft公式ブログ脚注の短期比較データで、Word/Excel/PowerPointは2026年5月8〜12日と5月1〜5日、Outlookは2026年1月27日〜2月24日と2025年12月30日〜2026年1月27日の比較。長期傾向を保証するものではない点に留意してください)。
- Word:+27%
- Excel:+33%
- PowerPoint:+43%
- Outlook:+30%
注目すべきは、PowerPointの+43%が最大の伸びを示している点です。プレゼン資料は「過去資料の構造を踏まえて新案を作る」「営業状況を踏まえてストーリーを組み直す」など、組織コンテキストへの依存が強い業務で、リデザインによるUI改善、エージェント導線の前面化、Work IQの文脈対応など、複数の要素が複合的に寄与した可能性があります。
OutlookとExcelも30%前後の伸びを記録しており、Copilotが「便利だけど使いにくい」状態から「自然に呼んで終わらせる」道具に変わりつつあるサインです。
「broader context」への対応
公式発表では、新しいCopilot体験について「Work IQは個別アーティファクトだけでなく、より広い文脈(broader context)に基づいて対応する」と説明されています。
具体的には、パフォーマンスレビュー周期や組織変更といった「業務サイクル」レベルの転換にも応答が追従するようになりました。
アプリのロード時間は50%超の削減、複雑なチャットプロンプトの応答時間は約10%の改善と公表されています。
利用率の伸びはこれらの体験改善とWork IQ基盤の成熟が組み合わさった結果です。Copilot導入を検討しているなら、リデザイン公開以前の評価結果に引きずられないことが重要です。2026年6月時点の体験は、その前のCopilotとは別物として扱う価値があります。
Work IQ導入で詰まる論点と判断軸

ここまでで、Work IQの構造・APIs・料金・セキュリティを押さえてきました。最後に、実プロジェクトで判断に迷いやすい論点を3つに絞って整理します。
Copilot ChatかCopilot Businessか
最も多い迷いどころが、無料のCopilot Chatで効果検証を済ませようとするケースです。これまで述べてきたとおり、Copilot Chat(無料)はWeb情報やアップロードファイル中心の応答にとどまり、Work IQによる組織データの暗黙的な業務文脈グラウンディングは含まれません。
支援現場でも、「Copilot Chatを試して効果が見えなかったので導入を見送る」と判断したものの、Copilot Business(年払い$18/月)で検証し直したらWork IQの差で意思決定が一変した、というケースが繰り返し起きています。
実務的な使い分けは次のようになります。
- 「組織データを使う想定がない」「単純な調べ物や下書きだけ」の用途ならCopilot Chatで十分
- 「メール・会議・ドキュメントを横断した業務支援」を狙うなら、評価フェーズからCopilot Business以上で実施する
無料版で「Copilotは思ったほどでもない」と早合点せず、Work IQの有無を踏まえた検証設計を組むことが、判断ミスを防ぐ起点になります。
SharePoint権限の先回り設計
Work IQが「ユーザーのアクセス権を完全に継承する」性質は、二重の意味で重要です。一方では、追加の認可設計が不要で導入が早いというメリットがあります。他方では、既存の権限の緩さがそのままCopilot応答の参照範囲に反映されるリスクを抱えます。
SharePoint Advanced Managementの活用、共有リンクの棚卸し、感度ラベルとDLPの整備は、Copilot導入の「前段」として動かしておくのが安全です。これらが整っていないテナントでは、Work IQの効果検証をしても「想定外の文書をCopilotが拾ってきて運用上のトラブルになった」という事象が起きがちです。
導入手順としては、まず権限設計を整理し、続いてCopilot Businessで小規模パイロット、効果が見えた段階でEnterpriseやE7にスケールする、という順序が現実的です。
段階導入:Business → Agent 365 → E7 Frontier Suite

E7 Frontier Suite($99/月)は魅力的なバンドルですが、エージェント運用がまだ本格化していない段階で一気に乗ると割高になるケースが少なくありません。
支援現場で機能している段階導入は次のようなパターンです。
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フェーズ1:Copilot Business/Enterpriseで効果検証
Work IQの応答品質、SharePoint権限整備の影響、社員の利用率を測る。3〜6か月でCopilotの「定常利用」を作る
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フェーズ2:Agent 365を追加してエージェントの統制基盤を入れる
Microsoft 365 CopilotエージェントやCopilot Studioで作った自社エージェントが増えてきた段階で、観察・ガバナンス・管理の制御を集約する
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フェーズ3:E7 Frontier Suiteへ移行
E5・Copilot・Agent 365を統合し、Entra Suite・Defender・Intune・Purviewと一体で統制する。本格的なエージェントワークフローの全社展開フェーズで効く
E7に最初から飛ぶのが正しいケースもあります。E5を未導入の組織、セキュリティ強化と同時にCopilotを入れる組織、エージェント運用前提でM365を再設計したい組織はその候補です。「いまどのフェーズか」を見極めずに$99を払うのではなく、自社の現在地と目的に合わせて段階を選ぶのが結局のところ無駄が少ない選択になります。
開発実装の論点はWork IQ APIへ
Work IQ APIsを使った実装の詳細、A2A・MCP・REST APIの使い分け、Entra ID delegated認証、サンプルリポジトリからの実装3ステップ、Copilot Chat APIからの移行パターンは、開発者向け記事Work IQ APIの使い方|A2A・MCP・REST完全解説に集約しています。
ビジネスサイドが押さえるべきは「Work IQ APIs GAでエージェントの作り込みが本格化する」「呼び出しコストはCopilot Credits」「開発実装はEntra ID delegated認証+M365 Copilotライセンスが前提」までの輪郭で十分です。
Work IQで整備した組織データをAIエージェントの業務適用に直結
Work IQの3層を整え、Copilot Businessで効果を確認したあとに必ず立ち上がる論点が、「整備した組織データを、自社のAIエージェントとどう業務に載せるか」です。
Work IQはCopilotとMicrosoft純正エージェントの基盤としては優秀ですが、業務全体を見ると「Microsoft外のSaaS・社内DB・既存業務システム」との接続や、「経費・請求書・申請承認」のような業務別エージェントを束ねた運用までは、もう一段の設計が要ります。
このレイヤーを担うのが、自社のAzureテナント内で動くエンタープライズAIエージェント基盤です。AI総合研究所のAI Agent Hubは、Microsoft Teamsから呼び出せる業務特化Agentテンプレート群(経費申請・請求書受領・規定チェック・自動入力など)と、データ接続・実行ログ・権限管理を1つのダッシュボードに集約する設計で、Work IQで整えた組織データを実際の業務アクションへ直結させます。
AI総合研究所の専任チームが、Work IQの活用設計から自社エージェント運用までを一気通貫で伴走します。AI Agent Hubのサービスページで、自社業務にどう載せられるかを具体例とあわせてご覧ください。
Work IQの次に整えるAgent運用基盤
業務特化Agentテンプレートと社内データ接続をワンストップで
Work IQで業務文脈を整備した次の壁は、Microsoft外のSaaS・社内DB・業務別Agentを束ねた運用設計です。AI Agent Hubは経理・営業事務・全社共通の業務Agentテンプレートと社内データ接続・実行統制をワンストップで提供する企業向け基盤です。
まとめ
Work IQは、Microsoft 365 CopilotとAIエージェントが組織の業務文脈を理解して動くための職場インテリジェンス基盤です。2026年6月時点の要点を改めて整理します。
- **3層構造(データ/コンテキスト/スキル&ツール)**が、業務データへの安全なアクセスから、文脈の理解、実際のアクションまでを一貫して担う。Ignite 2025の「データ・メモリ・推論」表記から、2026-03以降の資料では現行の整理に変わっている
- Work IQ APIsは2026年6月16日にGA予定で、Chat・Context・Tools・Workspacesの4コンポーネント構成。別途SKU・サブスク・ユーザー単位ライセンスはなく、API利用分がCopilot Credits従量で課金される(Tools 0.1 Copilot Credits/call、Chat/Contextはシナリオ別per call)
- 料金体系はCopilot Chat(無料・Work IQの組織文脈グラウンディングは含まない)/Copilot Business($18プロモ)/Enterprise($30)/Agent 365($15)/E7 Frontier Suite($99)の階段で、組織データを踏まえた応答品質にはBusiness以上が前提
- セキュリティはEntra ID・Purview・DLPなどの既存M365基盤を継承するため追加の統制構築は不要だが、SharePoint権限とoversharing対策はCopilot導入前に整える必要がある
- 2026年5月28日のリデザインでCopilot体験は大きく変わり、PowerPoint+43%/Word+27%/Excel+33%/Outlook+30%の利用率増を記録(Microsoft公式ブログの短期比較データで、長期傾向は別途要観察)。リデザインによるUI・導線改善とWork IQの文脈対応が複合的に効いた可能性がある
Copilotを試して期待外れだったと感じている組織は、Copilot Chat(無料)での評価か、SharePoint権限の整備不足が背景にあるケースが多いです。Work IQの本番効果を引き出す最初の一歩は、組織データの棚卸しとCopilot Business以上での再検証になります。
Work IQの整備が終わったら、次は組織独自のAIエージェント展開フェーズに入ります。
Microsoft純正エージェントの統制はAgent 365とE7 Frontier Suiteで、業務横断のエージェントワークフローはAI Agent Hubのような業務適用基盤で進めるのが、2026年後半に向けた現実的なロードマップです。













