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Microsoft Copilotエージェント活用事例!業務別の成功パターンを解説

この記事のポイント

  • Copilotエージェントは営業・人事・CS・ITの4部門で即効性が高く、まず営業部門のリード対応自動化から着手すべき
  • 住友商事の年間約12億円削減やデンソーの月12時間短縮など、ROIが明確な部門から優先導入するのが最適
  • カスタマーサポート部門ではCapitaの事例が示すように、エージェント×ナレッジベース連携が第一候補
  • ライセンスはMicrosoft 365 Copilot(月額$30/人)が基本で、内部利用はno chargeの範囲が広く、外部チャネル利用時はCopilot Studio従量課金との併用が有効
  • 導入は3カ月パイロット→効果検証→段階展開の順で進めるべきで、全社一括導入は避けるべき
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

Microsoft Copilotエージェントは、Microsoft 365環境で業務を自律的に実行するAI機能です。
住友商事やデンソー、Eneco、Capitaなど国内外の企業が導入し、年間約12億円のコスト削減や月9,000時間の業務削減といった成果を上げています。

本記事では、営業・人事・カスタマーサポート・ITの部門別に、Copilotエージェントの活用事例と成功パターンを解説します。

目次

Microsoft Copilotエージェント活用事例の全体像

Copilotエージェントで解決できる業務課題

Copilotエージェントの活用が広がる背景

Microsoft Copilotエージェントの国内企業活用事例

住友商事の活用事例(年間約12億円のコスト削減)

デンソーの活用事例(本社3万人規模の展開)

JBSの活用事例(契約書チェック時間を67%短縮)

ベネッセの活用事例(社内相談AIの構築)

Copilotエージェントの海外企業活用事例

Enecoの活用事例(ハンドオフなし対応率67%を達成)

Holland America Lineの活用事例(デジタルコンシェルジュ)

Capitaの活用事例(月9,000時間の業務削減)

Copilotエージェントの部門別活用パターン

Copilotエージェントの営業・マーケティング活用パターン

Copilotエージェントの人事・総務活用パターン

Copilotエージェントのカスタマーサポート活用パターン

CopilotエージェントのIT・情報システム活用パターン

Copilotエージェントの導入効果を数値で比較

Copilotエージェント導入の成功ポイント

Copilotエージェントの段階的な導入ロードマップ

Copilotエージェント導入のデータ整備

Copilotエージェント活用の注意点

Copilotエージェントのセキュリティと権限管理

Copilotエージェントの誤回答対策

Copilotエージェントのコスト管理

Copilotエージェント活用に必要な料金体系

Copilotエージェントの主なライセンスと費用

Copilotエージェント活用の費用対効果

事例を参考に、自社のAIエージェント導入を設計するなら

まとめ

Microsoft Copilotエージェント活用事例の全体像

Copilotエージェントの活用事例は、営業からカスタマーサポートまで幅広い業務領域に広がっています。本セクションでは、企業がどのような課題を解決するためにCopilotエージェントを導入しているのか、その全体像を整理します。

Copilotエージェント活用事例の全体像

AI Agent Hub1

Copilotエージェントで解決できる業務課題

Copilotエージェントは、従来のチャットボットとは異なり、複数のアプリケーションを横断して業務を自律的に実行できるAI機能です。

Microsoft 365環境のデータやツールと連携し、人間の指示を受けてから完了報告までを一貫して処理します。

Copilotエージェントで解決できる業務課題

Copilotエージェントが特に効果を発揮する業務課題は、大きく4つに分類できます。以下の表で、課題の種類と対応する活用パターンを整理しました。

業務課題 活用パターン 期待される効果
定型的な問い合わせ対応 FAQ応答エージェント 対応時間の削減、24時間対応
複数システムを横断する業務 ワークフロー自動化エージェント 手作業の排除、処理速度向上
社内ナレッジの検索・共有 ナレッジ検索エージェント 情報探索時間の短縮
データ収集・分析・レポート作成 分析支援エージェント レポート作成時間の削減

ここで注目すべきは、これらの活用パターンが単独ではなく組み合わせて導入されるケースが多い点です。たとえば、カスタマーサポート部門ではFAQ応答とナレッジ検索を組み合わせ、営業部門ではワークフロー自動化と分析支援を連携させることで、より大きな業務改善効果を実現しています。

Copilotエージェントの活用が広がる背景

2025年から2026年にかけて、Microsoft 365 CopilotはGPT-5の統合やマルチエージェント連携、MCP(Model Context Protocol)対応など、大幅な機能強化が進みました。

Microsoftは2026年のエージェント導入拡大に向けた6つのコア機能を発表しており、「誰もがエージェントを作れる」環境が整いつつあります。

また、MicrosoftはFortune 500企業の85%以上がMicrosoft AIを活用していると公表しており、エージェント活用は「試験的な導入」から「全社展開」のフェーズへ移行しています。

あわせて、Gartnerの予測(2024年時点)では2026年末までにエンタープライズアプリケーションの40%がタスク特化型AIエージェントを搭載するとされており、企業導入の加速が示唆されています。


Microsoft Copilotエージェントの国内企業活用事例

国内企業におけるCopilotエージェントの活用事例を紹介します。住友商事やデンソーなど、大規模な全社導入を進めた企業から、特定業務に絞って効果を上げた企業まで、4つの代表的な事例を取り上げます。

Copilotエージェントの国内企業活用事例

住友商事の活用事例(年間約12億円のコスト削減)

住友商事は、2024年4月に約9,000人を対象としてMicrosoft 365 Copilotの一斉導入を実施しました。日本企業としては先駆的なグローバル全社導入であり、海外グループ会社を含む大規模な展開です。

住友商事の活用事例

導入から1年半が経過した2025年10月時点で、月間アクティブユーザーは約90%に達し、毎日利用する社員は約2,000人に上ります。住友商事の公式発表によると、年間のコスト削減効果は約12億円と試算されています。

この数値は「1アクション当たりの平均削減時間 × アクション回数 × 人件費」で算出されたもので、2024年12月時点での月間業務時間削減は約1万時間です。1人あたりの月間削減時間も、2024年度の約4時間から2025年度には約9.5時間へと倍増しました。

主な活用方法は以下のとおりです。

  • メールの要約と会議のまとめ
    Teams会議の要約やメールの整理を自動化し、日常業務の時間を削減しています。

  • 投資先・財務分析
    投資先企業の財務データを分析する業務にCopilotを活用し、分析精度と速度を向上させています。

  • 契約書の確認と比較
    森林資源事業ユニットでは、契約書の確認・比較や業界紙データの分析にCopilotを活用しています。

住友商事の事例で特筆すべきは、経営層から現場社員まで一丸となってCopilot活用に取り組んだ点です。各部門にアンバサダーを配置して浸透を図り、組織的な定着を実現しています。

デンソーの活用事例(本社3万人規模の展開)

デンソーは、16万人の従業員を抱える自動車部品メーカーとして、3段階のアプローチでCopilot導入を進めました。デンソーのMicrosoft公式事例によると、導入のタイムラインは以下のとおりです。

デンソーの活用事例

フェーズ 時期 対象規模 内容
第1段階 2023年10月 IT部門と有志300人 パイロット導入・効果検証
第2段階 2024年4月 各部門長と選出社員6,000人 部門展開・活用推進
第3段階 2024年7月 本社30,000人 全社本格導入

この段階的な展開により、設計部門では1人あたり月12時間の業務時間削減と設計品質の向上が確認されました。従来、過去の設計情報を探すためにSharePointやOneDriveを手動検索したり、詳しい担当者に確認したりする作業に多くの時間を費やしていましたが、Copilotがナレッジソースから必要な情報を検索・要約することで、この工程が大幅に短縮されています。

デンソーの事例は、300人のパイロットから本社30,000人への展開まで約9ヶ月で到達した、大規模組織におけるスケーリングの成功モデルといえます。

JBSの活用事例(契約書チェック時間を67%短縮)

日本ビジネスシステムズ(JBS)は、2023年8月からMicrosoft 365 CopilotのEarly Access Programに参加し、300人にライセンスを配布して効果検証を実施しました。日経クロステックの報道によると、法務部門の契約書チェック業務で顕著な成果が得られています。

従来は契約書の一次チェックに平均15分を要していましたが、Copilot導入後は平均5分に短縮されました。削減率は約67%です。Copilot for Microsoft 365のタブ機能で参照資料のリンクが自動表示される仕組みを活用し、過去の契約書やガイドラインとの照合作業を効率化しています。

ベネッセの活用事例(社内相談AIの構築)

ベネッセホールディングスは、Copilot Studioを活用して「社内相談AI」を構築したとされています(HP Tech & Device TVマイナビニュース等の報道に基づく)。社内イントラネットに蓄積された情報をナレッジソースとして設定し、社員からの問い合わせに自動で回答するエージェントを開発したとのことです。

報道によると、Copilot StudioのローコードUIにより、高度なプログラミングスキルなしで実装できた点が特徴です。Microsoft 365内のデータ(SharePoint、OneDrive等)を中心に活用するため、既存のセキュリティ設定をそのまま継承できるメリットもあったとされています。


Copilotエージェントの海外企業活用事例

海外企業では、カスタマーサポートの自動化や社内プロセスの効率化を中心に、大規模なCopilotエージェント活用が進んでいます。ここでは、Microsoftの公式カスタマーストーリーで公開されている3つの事例を紹介します。

Copilotエージェントの海外企業活用事例

Enecoの活用事例(ハンドオフなし対応率67%を達成)

オランダの持続可能エネルギー企業Enecoは、150万人以上の顧客を抱えるカスタマーサポート部門でCopilot Studioを導入しました。Microsoftの公式カスタマーストーリーによると、以前のチャットボットではAIモデルがブラックボックス状態で改善が困難であり、多くの問い合わせがコールセンターに流れていました。

Enecoの活用事例

Copilot Studioへの移行後、わずか3ヶ月で新しいAIエージェントを本番環境に公開しています。導入に際しては、Azure AI Conversational Language Understanding(CLU)によるインテント認識の強化と、Azure AI Translatorによる多言語対応を組み合わせました。

以下の表で、導入前後の効果を整理しました。

指標 導入前 導入後
インテント認識精度 改善困難 95%以上
ハンドオフなしの対応率 40% 67%
月間チャット処理量 10,000件 24,000件
展開期間 3ヶ月

ここで注目すべきは、チャット処理量が2.4倍に増加しながらも、有人対応への転送率が大幅に低下した点です。つまり、より多くの顧客問い合わせを、より少ない人的リソースで処理できるようになったということです。Enecoはこの成功を受けて、オランダ国内の別法人にも同プラットフォームを展開しています。

Holland America Lineの活用事例(デジタルコンシェルジュ)

クルーズ船運航企業Holland America Lineは、Copilot Studioを使って「Anna」というデジタルコンシェルジュを開発しました。Microsoftの公式カスタマーストーリーによると、クルーズの予約プロセスは選択肢が多岐にわたるため、従来のFAQ型チャットボットでは対応しきれない複雑さがありました。

Annaは多意図検出(複数の質問を同時に認識)やカスタムエンティティ抽出といった高度な自然言語処理機能を備え、CRM・予約システム・Bing Custom Searchとバックエンド連携しています。MVPは3ヶ月で構築され、コンタクトセンター内部テストから5%→50%→100%と段階的にロールアウトされました。

毎週数千件の会話を処理し、顧客がAnnaと対話することで、ニーズに合致したクルーズを見つける可能性が向上したと報告されています。オーストラリア、カナダ、英国への展開や多言語対応も計画中です。

Capitaの活用事例(月9,000時間の業務削減)

英国のビジネスプロセスアウトソーシング企業Capitaは、Microsoft 365 CopilotとCopilotエージェントを組み合わせ、社内プロセスの大規模な自動化を実現しました。Microsoftの公式カスタマーストーリーによると、3,000ライセンスの展開で月間9,000時間の業務削減を達成しています。

特に注目すべきは、従業員が自らノーコードで構築した169個のCopilotエージェントが稼働している点です。代表的なエージェントとして、SharePoint内のポリシーや手続きを横断検索する「AskMeAnything(AMA)」があり、社内規定に関する問い合わせ対応を自動化しています。

Capitaの事例は、IT部門主導ではなく現場の従業員が自発的にエージェントを構築・運用する「ボトムアップ型」の展開モデルとして参考になります。


Copilotエージェントの部門別活用パターン

ここでは、具体的な企業事例をもとに、営業・人事・カスタマーサポート・IT部門それぞれの活用パターンを整理します。自社の業務に近いパターンを見つける際の参考にしてください。

Copilotエージェントの部門別活用パターン

Copilotエージェントの営業・マーケティング活用パターン

営業・マーケティング部門では、顧客データの分析から提案資料の作成までを一貫して自動化するパターンが主流です。

Copilotエージェントの営業・マーケティング活用パターン

  • 提案資料の自動生成
    CRMのデータと製品情報を統合し、顧客の課題に合わせた提案スライドのドラフトを自動作成します。「A社への提案資料を準備して」と指示するだけで、顧客の過去の取引履歴や業界動向を踏まえた資料の下書きが生成されます。

  • 商談準備の効率化
    過去のメール・議事録・契約書をエージェントが横断検索し、商談に必要な情報をサマリーとして提供します。住友商事の森林資源事業ユニットでは、顧客情報の共有・検索効率化にこのパターンを活用しています。

  • 市場分析レポートの作成
    業界紙や社内データを分析し、市場動向のレポートを自動生成します。住友商事では投資先分析や財務分析にもCopilotを活用しています。

営業部門での導入効果は、提案準備にかかる時間の削減だけでなく、顧客への提案品質の向上にもつながります。データに基づいた提案が標準化されることで、営業担当者のスキルに依存しない均質なサービス提供が可能になります。

Copilotエージェントの人事・総務活用パターン

人事・総務部門は、定型的な問い合わせ対応と手続き処理の自動化で大きな効果を発揮する領域です。

Copilotエージェントの人事・総務活用パターン

  • 社内問い合わせの自動応答
    就業規則、福利厚生、経費精算ルールなどの社内規定に関する問い合わせに、エージェントが24時間即座に回答します。ベネッセの「社内相談AI」(報道ベース)やCapitaの「AskMeAnything」がこのパターンの代表例です。

  • 採用面接の日程調整
    候補者とのメールから希望日時を抽出し、面接官のOutlook予定表と照合して最適な日時を提案します。合意が得られれば、予定表への登録と招待メールの送信まで自動で完了します。

  • オンボーディングの自動化
    新入社員の入社手続き(アカウント作成、備品手配、研修スケジュール調整)を、エージェントが各担当部門に自動でリクエストし、進捗を管理します。

人事・総務部門の活用では、単純な問い合わせ対応の自動化だけでなく、複数部門を横断するプロセス(入社手続き、異動手続きなど)の調整役としてエージェントを配置することで、より大きな効率化が期待できます。

Copilotエージェントのカスタマーサポート活用パターン

カスタマーサポート部門は、Copilotエージェントの導入効果が最も定量的に測定しやすい領域です。

Copilotエージェントのカスタマーサポート活用パターン

  • 多言語対応の顧客応答
    Enecoの事例のように、Azure AI Translatorと連携することで多言語対応を実現できます。顧客の問い合わせ言語を自動判定し、適切な言語で回答を返すことで、グローバル企業のサポート体制を効率化します。

  • 製品・サービスの問い合わせ対応
    FAQ、製品マニュアル、ナレッジベースをナレッジソースとして設定し、顧客からの問い合わせに自動回答します。解決できない場合は適切な担当者にエスカレーションします。

  • 予約・注文プロセスの支援
    Holland America Lineの「Anna」のように、CRMや予約システムと連携して、顧客の要望に合った商品・サービスを提案し、予約までの一連のプロセスを支援します。

カスタマーサポートでの活用ポイントは、エージェントに任せる範囲と人間に引き継ぐ範囲の線引きです。Enecoの事例では、ハンドオフなしの対応率が67%に達しており、残りの33%は有人対応に引き継いでいます。100%の自動化を目指すのではなく、段階的に自動対応範囲を拡大するアプローチが成功のポイントです。

CopilotエージェントのIT・情報システム活用パターン

IT・情報システム部門では、ヘルプデスク業務の自動化と全社DX推進の2軸で活用が進んでいます。

  • Tier-1ヘルプデスクの自動化
    パスワードリセット、ソフトウェアアクセス権限の申請、VPNトラブルシューティングなど、定型的なIT問い合わせをエージェントが処理します。これはCopilotエージェントの活用事例として最も広く採用されているパターンの1つです。

  • メール分類と振り分けの自動化
    McKinseyがMicrosoftと共同で開発したパイロットエージェントは、受信メールの内容を分析して適切な部署に自動振り分けする仕組みです。メール分類のような反復的だが判断を伴う業務は、エージェントの得意分野です。

  • 全社DXの推進基盤
    デンソーの事例のように、IT部門がCopilot導入のパイロットを主導し、段階的に他部門へ展開するモデルが一般的です。IT部門はエージェントの構築・管理ツールの運用だけでなく、社内の活用推進やベストプラクティスの共有においても中心的な役割を担います。

IT部門の活用では、自部門の業務効率化にとどまらず、全社のエージェント活用を支えるプラットフォーム運用者としての役割が重要です。Capitaの事例では、IT部門がCopilot環境を整備した結果、従業員が自発的に169個のエージェントを構築するというボトムアップの展開に成功しています。


Copilotエージェントの導入効果を数値で比較

ここでは、本記事で紹介した事例の導入効果を定量データで比較します。自社の規模や課題に近い事例を参考にすることで、導入後の効果をイメージしやすくなります。

Copilotエージェントの導入効果を数値で比較

以下の表で、各企業の導入規模と定量的な効果を一覧で比較しました。

企業名 業界 導入規模 主な活用領域 定量的な効果 出典
住友商事 総合商社 約9,000人 営業・分析・法務 年間約12億円削減、月間1万時間削減 住友商事公式
デンソー 自動車部品 30,000人 設計・社内情報検索 月12時間/人の業務削減 Microsoft公式事例
JBS ITサービス 300人(パイロット) 法務・契約書審査 チェック時間67%短縮(15分→5分) 日経クロステック
Eneco エネルギー 150万顧客対応 カスタマーサポート 自動対応率40%→67%、処理量2.4倍 Microsoft公式事例
Holland America Line クルーズ旅行 全顧客対応 カスタマーサポート MVP 3ヶ月構築、週数千件処理 Microsoft公式事例
Capita BPO 3,000ライセンス 社内プロセス全般 月9,000時間削減、169個のエージェント稼働 Microsoft公式事例

この比較表から読み取れる傾向として、導入効果は大きく「時間削減型」と「対応能力拡大型」に分かれます。住友商事やデンソーは時間削減型の代表例であり、1人あたりの業務時間を削減して全社の生産性を向上させるアプローチです。一方、EnecoやHolland America Lineは対応能力拡大型であり、人員を増やさずに処理できる問い合わせ量を拡大するアプローチです。

自社の課題が「社員の業務負荷の軽減」であれば時間削減型、「顧客対応のスケーラビリティ」であれば対応能力拡大型の事例を参考にするのが効果的です。ROIの顕在化時期は業務選定や導入範囲によって差があるため、2〜4ヶ月の早期に効果が出るケースもある、という前提で評価するのが実務的です。


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Copilotエージェント導入の成功ポイント

Copilotエージェントの活用事例から共通する成功パターンを抽出します。導入規模やスピードに違いはあるものの、成功企業に共通するのは段階的なアプローチとデータ整備の2点です。

Copilotエージェント導入の成功ポイント

Copilotエージェントの段階的な導入ロードマップ

本記事で紹介した事例に共通するのは、パイロット導入→部門展開→全社展開という段階的なアプローチです。以下の表で、デンソーの展開モデルをベースにした導入ロードマップを整理しました。

フェーズ 期間目安 対象 目的
パイロット 1〜3ヶ月 IT部門・有志(50〜300人) 効果検証・課題抽出
部門展開 3〜6ヶ月 効果が見込める部門(1,000〜6,000人) ベストプラクティスの確立
全社展開 6〜12ヶ月 全社員 組織的な定着・文化変革

パイロットフェーズで重要なのは、効果を定量的に測定できる業務を選ぶことです。JBSの契約書チェック(15分→5分)のように、処理時間のBefore/Afterが明確に計測できる業務から着手すると、次のフェーズへの投資判断がスムーズになります。

Copilotエージェント導入のデータ整備

エージェントの回答品質は、ナレッジソースとして参照するデータの品質に直結します。成功企業に共通する準備事項は以下のとおりです。

  • SharePointとOneDriveの整理
    エージェントがアクセスするナレッジソースを最新の状態に保つことが重要です。古い情報や重複するドキュメントが残っていると、エージェントが誤った情報を回答するリスクがあります。

  • 権限設計の見直し
    Copilotエージェントは、ユーザーのアクセス権限に基づいてデータを参照します。機密情報への不適切なアクセスを防ぐため、導入前にSharePointのアクセス権限を見直しておく必要があります。

  • 活用ガイドラインの策定
    住友商事のようにアンバサダー制度を設けて部門ごとの活用推進を図るアプローチは、全社展開における定着率の向上に効果的です。

エージェントの導入は技術的な実装だけでなく、組織のデータガバナンスと活用文化の醸成が成功のポイントになります。


Copilotエージェント活用の注意点

Copilotエージェントの活用にあたっては、セキュリティ・品質・コストの3つの観点で注意が必要です。事例から得られた教訓をもとに、事前に把握すべきリスクを整理します。

Copilotエージェント活用の注意点

Copilotエージェントのセキュリティと権限管理

Microsoft 365 Copilotエージェントは、Microsoft 365のセキュリティモデルを継承するため、ユーザーの権限を超えたデータにアクセスすることはありません。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 過剰な共有設定のリスク
    SharePointサイトで「全社員にアクセス権あり」に設定されているドキュメントは、エージェント経由で意図しない社員にも情報が提供される可能性があります。導入前にSharePointのアクセス権限を棚卸しすることが推奨されます。

  • 外部公開エージェントの管理
    顧客向けに公開するエージェント(Enecoの事例等)では、社内データの漏洩防止のため、エージェントがアクセスできるナレッジソースを厳密に制限する必要があります。

Copilotエージェントの誤回答対策

エージェントは生成AIをベースとしているため、ハルシネーション(事実と異なる回答の生成)のリスクがあります。

  • 回答精度のモニタリング
    Enecoの事例ではインテント認識精度95%以上を達成していますが、残りの5%は誤認識の可能性があります。本番運用開始後も定期的に回答ログをレビューし、精度を維持する運用が必要です。

  • 人間によるレビュー体制
    重要な業務判断(契約書の最終承認、高額な発注処理等)は、エージェントの出力を人間が最終確認するプロセスを組み込むべきです。JBSの事例でもCopilotの出力はあくまで「一次チェック」の位置づけであり、最終判断は担当者が行っています。

Copilotエージェントのコスト管理

利用形態によってはCopilotエージェントの実行にクレジット消費が発生するため、外部チャネルやスタンドアロンCopilot Studio運用では想定以上の利用量でコストが膨らむリスクがあります。Copilot Studioの料金体系を理解した上で、クレジット消費量を定期的にモニタリングすることが重要です。特に、全社展開フェーズではエージェントの利用量が急増する可能性があるため、キャパシティ管理に注意が必要です。


Copilotエージェント活用に必要な料金体系

Copilotエージェントを活用するための料金体系を整理します。利用形態によって必要なライセンスが異なるため、自社の活用パターンに合わせた選択が必要です。

Copilotエージェント活用に必要な料金体系

Copilotエージェントの主なライセンスと費用

2026年2月時点で、Copilotエージェントの活用に関連する主な費用体系は以下のとおりです。

ライセンス 月額費用 含まれる機能
Microsoft 365 Copilot 1ユーザーあたり$30 Copilot利用+Agent Builder(社内エージェント構築)。M365 Copilotライセンス保有者の内部利用(classic answers、generative answers、agent actions、tenant graph grounding等)はno charge
Copilot Studioクレジットパック 1パックあたり$200(25,000クレジット) 外部チャネルやスタンドアロンCopilot Studio運用でのエージェント実行に必要なクレジット
従量課金(Pay-as-you-go) 1クレジットあたり$0.01 初期投資なしでクレジットを利用

Microsoft 365 CopilotライセンスにはAgent Builder(旧称Copilot Studio Lite)が含まれており、社内向けエージェントの構築は追加費用なしで始められます。さらに、M365 Copilotライセンス保有者がCopilot Chat・Teams・SharePoint等で従業員向けに利用する場合、classic answers、generative answers、agent actions、tenant graph groundingなどはno charge(課金なし)です。一方、外部チャネルへの公開やスタンドアロンのCopilot Studio運用では、利用量に応じたCopilot Creditsの課金が発生します。

エージェントのアクションによってクレジット消費量は異なり、クラシック回答は1クレジット、生成型回答は2クレジット、エージェントアクションは5クレジットが目安です。大規模な全社展開を検討する場合は、事前購入プラン(Pre-Purchase Plan)による割引も選択肢になります。

【関連記事】
Copilot Studioの料金体系!ライセンスの選び方を解説

Copilotエージェント活用の費用対効果

住友商事の事例をもとに費用対効果を試算します。約9,000人にMicrosoft 365 Copilotライセンス($30/月/人)を導入した場合、ライセンス費用は年間で約$3,240,000(日本円で約5億円)です。一方、コスト削減効果は年間約12億円と報告されています。

単純計算ではROIは約2.4倍となり、ライセンス費用の2倍以上のリターンが得られている計算です。ただし、この試算には導入・教育コストは含まれていません。なお、M365 Copilotライセンス保有者の社内利用であればエージェント実行のクレジット費用はno chargeの範囲が広いため、実際のROIは利用形態によって上振れする可能性もあります。

自社の導入規模と期待効果を踏まえて、パイロットフェーズで実際の効果を測定してから全社展開の判断を行うことが推奨されます。

【関連記事】
Microsoft 365 Copilotの料金プランを解説!購入条件やCopilot Proとの違いも紹介


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まとめ

本記事では、Copilotエージェントの活用事例を国内外の企業事例と部門別の活用パターンの両面から解説しました。

Copilotエージェントの導入効果は、住友商事の年間約12億円削減、デンソーの月12時間/人の業務短縮、Enecoの顧客対応自動化率67%、Capitaの月9,000時間削減など、いずれも具体的な数値として確認されています。これらの事例に共通するのは、パイロット導入で効果を実証してから段階的に展開するアプローチと、ナレッジソースとなるデータの整備を事前に行っている点です。

Copilotエージェントの活用は、特定の部門の業務効率化だけでなく、全社的なDX推進の起点にもなります。まずは自社で最も効果が見込める業務を特定し、小規模なパイロットから始めてみてください。Copilotエージェントの作り方も参考に、具体的な構築ステップを確認することをおすすめします。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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