この記事のポイント
OpenAI Deep Researchは、複雑な調査を自動化するChatGPTの新しいリサーチ専用エージェント機能
o3-deep-research / o4-mini-deep-researchをベースに、Web検索やコード実行を組み合わせて多段階の調査を実行
ChatGPTの無料プランでも月5タスクまで利用可能で、有料プランではより多くのDeep Researchタスクが利用可能(2025年12月時点)
開発者向けにDeep Research API(o3-deep-research / o4-mini-deep-research)が提供されており、自社アプリに組み込み可能
Gemini Deep Researchなど他サービスとの違いや、実務での活用パターン・注意点も整理

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。日本の大企業を中心にAI導入を推進。
OpenAIが提供する「Deep Research」は、ChatGPTに追加された本格的なリサーチ専用エージェント機能です。
人間なら数時間かかるような複雑な調査を数十分程度で完了させ、専門家レベルのタスクでも高い性能を発揮します。
本記事では、その概要・機能・使い方から、料金や回数制限、Gemini Deep Researchなど他サービスとの違い、実際の活用事例まで、2025年12月時点の情報をもとに詳しく解説します。
ChatGPTの新料金プラン「ChatGPT Go」については、以下の記事をご覧ください。
ChatGPT Goとは?料金や機能、広告の仕様、Plus版との違いを解説
目次
Deep Researchを支える2つのモデル(o3 / o4-mini)
軽量版:o4-mini-deep-research(軽量版)
OpenAI Deep Researchの料金・回数制限【ChatGPTユーザー向け】
Deep Research APIの仕様と料金【開発者向け】
ChatGPT Deep ResearchとGemini Deep Researchとの比較
Deep Research導入前に確認したいチェックポイント
Deep Researchはどのようなタスクに適していますか?
Deep Researchの調査結果には引用が含まれますか?
Deep Researchはどのようなデータにアクセスできますか?
ChatGPT Deep Researchとは
ChatGPT Deep Research は、OpenAIが提供する新しいAIエージェント機能です。
パブリックWeb上の情報をもとに、多段階のリサーチを自律的に進めてくれる「調査専用のChatGPTモード」と考えるとイメージしやすいでしょう。
モデル構成と動作イメージ
Deep Researchは、OpenAIの推論モデルo3-deep-research と、軽量なo4-mini-deep-research をベースに動作します(詳細は後述)。
ウェブ検索やコード実行(Pythonツール)など複数のツールを組み合わせながら、ユーザーのプロンプトに基づいて情報を集め、詳細なレポートとしてまとめます。

Deep Resrachのモデル構成と動作イメージ
ユーザーは、テーマや前提条件、知りたい論点などをテキストでまとめて指示するだけです。
あとはDeep Researchが関連データを収集・分析・統合し、まるで「リサーチアナリスト」のように包括的なレポートを生成してくれます。
従来のリサーチとの違い

従来のリサーチでは、人間が検索エンジンでキーワードを試行錯誤しながら複数のWebサイトやレポートを読み込み、必要な情報だけを抜き出してレポートに整理する必要がありました。
このプロセスには、数時間から数日、場合によってはそれ以上の時間がかかります。
Deep Researchは、この一連の調査プロセスをエージェントが代行し、大幅な効率化を実現します。
ユーザーはChatGPT 上で「**Deep Research(日本語UIでは『詳細なリサーチ』)」のボタンを選び、調査してほしい内容を入力するだけです。

Deep Research画面
OpenAI Deep Researchの主要機能
ここからは、Deep Researchの主な機能を整理します。広告コピー的な印象論ではなく、「具体的に何ができるのか」「他のモードとどこが違うのか」という観点で見ていきます。

外部サービスとの連携(コネクタ機能)

Deep Researchは、公開Webの情報だけでなく、自社のクラウドストレージや業務ツールも調査対象にできる コネクタ機能(ベータ版)を備えています。
例えば、ChatGPT側でGoogle Drive や SharePoint、Slack、Jira などの外部アプリケーションを接続すると、社内で利用しているドライブやタスク管理ツール、チャットツールなどのデータも Deep Research の検索・分析対象に含められます。
その結果、公開されているウェブ情報に加えて、自社が利用している内部ツールやデータソースも横断的に分析し、引用付きの詳細なレポートとしてまとめることができます。

Deep Researchのコネクタ機能
例えば次のような依頼にも対応できます。
- 「過去2スプリントでリリースされた機能について、PRの説明、デザインドキュメント、仕様書を横断して要約して」
- 「社内の議事録と要件定義書を踏まえて、今回のリリースで想定されるリスクを整理して」
サポートされている主なコネクタ
コネクタを使うと、以下のようなサービスのデータをDeep Researchの対象に含められます。
- Google Drive
- Microsoft SharePoint / OneDrive
- Dropbox / Box
- Gmail / Google Calendar
- Microsoft Outlook Email / Calendar
- GitHub / Jira / Linear
- Slack / Microsoft Teams
- HubSpot(利用条件あり) など
コネクタは、ChatGPTの設定画面にある「接続するアプリ」タブから接続できます。

コネクタの設定画面
データの取り扱いとモデル学習について
企業利用で特に気になるのが、「接続したデータがモデル学習に使われるのか」という点です。ここはプランごとに扱いが異なります。
-
ChatGPT Team / Enterprise / Eduプラン
コネクタを通じてアクセスされた情報が、OpenAIのモデル学習に利用されることはありません。企業データは学習には使われず、プライバシーが保護されます。
-
ChatGPT Free / Plus / Proプラン
「Improve the model for everyone(モデル改善への利用)」設定がオンになっている場合、コネクタ経由の情報がモデル改善に利用される可能性があります。オフにすれば学習には使われません。
多段階の調査タスク実行能力
次に、Deep Researchの中核となる「多段階の調査タスク実行」について見ていきます。
Deep Researchは、単一のクエリに対しても、複数のステップを踏んで調査を組み立てるのが特徴です。
例えば「ストリーミングプラットフォームにおける競合分析」を依頼した場合、処理の流れは次のようになります。
- 競合となる主要サービスの特定
- 各サービスの料金体系・主要機能・顧客層などの情報収集
- 強み・弱み・差別化要因の整理
- 比較表やサマリーを含むレポートへの統合

多段階調査イメージ
このように、単なる「1回の検索結果の要約」ではなく、調査計画の立案から情報収集・分析・統合までを一気通貫で行います。
推論による情報統合と分析
Deep Researchは、集めた情報をそのまま羅列するのではなく、推論(Reasoning)によって統合・解釈することに重きが置かれています。
複数の情報源から得た情報を比較し、
- 一致している点
- 矛盾している点
- そこから導ける示唆やリスク
などを整理しながら、一貫性のあるストーリーとしてレポートに落とし込むイメージです。
「資料Aでは◯◯と書かれているが、資料Bでは××とされている」「より信頼度が高いのはどちらか」「その前提に立つとどういう結論になりそうか」といったレベルの整理を任せやすくなっています。
多様なデータソースへの対応
Deep Researchは、「どこから取ってくるか(Web / コネクタ / アップロード)」だけでなく、
「どんな形式のデータを扱えるか」という面でも柔軟です。
具体的には、次のような複数形式の情報源を扱えます。
- Webページ(HTML)
- 公開レポート(PDF など)
- ニュース記事・企業プレスリリース
- ブログ・技術ドキュメント
- ユーザーがアップロードしたファイル(TXT / PDF / CSV / XLSX / PPTX / DOCX など、テキスト主体のもの)
コネクタ経由で取得した社内資料(議事録・仕様書・設計書など)も、これらと同様にテキストとして解析されます。
将来的には、より専門的なデータベースや有料データソースとの連携も拡充されていくと見込まれます。
明確な引用と根拠の提示
Deep Researchのレポート出力には、引用元のURLや出典情報が明示される点も特徴です。
- どの段落がどのソースに基づいているか
- どのグラフ・数値がどのレポートから引かれているか
といった情報がラベル付きで示されるため、ユーザー側でのファクトチェックや追加の読み込みがしやすくなっています。
Deep Researchを支える2つのモデル(o3 / o4-mini)

Deep Research は「1つの機能」に見えますが、その裏側では用途とコストに応じて 2種類の専用モデル が使い分けられています。
- o3-deep-research … もっとも高性能なフル版 Deep Research モデル
- o4-mini-deep-research … o4-mini 系をベースにした、軽量・低コスト版 Deep Research モデル
どちらも約20万トークンのコンテキストウィンドウと約10万トークンの最大出力に対応し、知識カットオフは 2024年6月1日です。
その違いは主に 推論性能とコストのバランス にあります。
標準版:o3-deep-research(フル版)
o3-deep-research は、OpenAIが「最も強力なDeep Researchモデル」と位置づけているフル版です。
- 複雑な多段階リサーチや、曖昧な要件から調査方針を組み立てるタスクに強い
- 大規模なWeb情報+コネクタ経由の社内データをまとめて読み込み、推論しながらレポートを組み立てる用途向け
- 速度はやや遅めだが、その分「考える回数」を増やしやすく、難度の高いタスクで有利
開発者向けAPIでは、料金イメージはおおよそ次のとおりです(いずれも 1M トークンあたり)。
- 入力: $10.00 / 1M tokens
- キャッシュ入力: $2.50 / 1M tokens
- 出力: $40.00 / 1M tokens
高価ではありますが、「ここだけは外したくない」「深めの検証や多段階の推論が必要」といった場面では、まず o3-deep-research を使うのが基本線になります。
軽量版:o4-mini-deep-research(軽量版)
o4-mini-deep-research は、o4-mini をベースにした 軽量・低コスト版のDeep Researchモデル です。
- o3に比べて価格が大きく下がり、速度もやや速い
- 精度はフル版よりわずかに劣るものの、「通常の検索+コード実行」よりは高い水準を維持
- 日常的な調査・検証や、タスク数が多いワークフローで使いやすい
APIでの料金イメージ(1Mトークンあたり)は次の通りです。
- 入力: $2.00 / 1M tokens
- キャッシュ入力: $0.50 / 1M tokens
- 出力: $8.00 / 1M tokens
o3に比べるとおおむね 1/5〜1/4 程度のコスト で使えるイメージで、「まず軽量版で叩いてみて、重要なところだけフル版で再実行」といった使い分けがしやすくなっています。
ChatGPTのUI上での使われ方
ChatGPTの画面からDeep Researchを使う場合、標準版と軽量版は、利用プランとフル版の残り回数に応じて自動的に切り替わる仕様になっています。
- フル版(o3-deep-research)の月間上限までは、原則フル版が使われる
- フル版の上限を使い切ると、以降のDeep Researchクエリは自動的に軽量版(o4-mini-deep-research)で実行される
2025年12月時点では、ChatGPTのUI上で「フル版/軽量版どちらを使うか」を手動で選択する機能は提供されていません。
ユーザーから見ると「Deep Research」という1つのボタンに見えますが、裏側ではプランと残り回数に応じて、o3版とo4-mini版が自動で切り替わっているイメージです。
一方、開発者がAPI経由でDeep Researchを使う場合は、
- 「o3-deep-research」
- 「o4-mini-deep-research`
のどちらを使うかを モデル名で明示的に指定できます。
重要な案件や検証が必要なレポートは o3 側に寄せ、試行錯誤や大量実行が必要な処理は o4-mini 側に寄せる、といったポリシー設計もしやすくなります。
OpenAI Deep Researchの使い方
ここでは、ChatGPT上でDeep Researchを実際に利用する手順を整理します。初めて使う場合でも、次の3ステップを押さえておけば迷いにくくなります。
-
モードの選択
チャット入力欄下部にある「Deep Research」(日本アカウントでは「詳細なリサーチ」)ボタンを選択します。

Deep Reserachの利用画面
-
調査してほしい内容の入力
調べてほしいテーマや前提条件、知りたい観点をできるだけ具体的に入力します。
- 良い例:「日本国内の製造業における生成AI活用事例を、業種別に10件以上集めて比較し、導入メリットと注意点を整理して」
- 抽象的すぎる例:「AIについて調べて」
指示が具体的なほど、レポートの構成や深さも安定しやすくなります。
- 実行状況と結果の確認
実行が開始されると、画面右側にサイドバーが表示され、実行された手順や参照しているソースの概要がリアルタイムで表示されます。

実行画面
リサーチにかかる時間の目安は、数分〜30分程度です。完了すると通知が届き、レポート全体を確認できます。
このように、Deep Researchは「調べる」「読む」「まとめる」といった一連の作業の大部分を肩代わりしてくれます。
OpenAI Deep Researchの料金・回数制限【ChatGPTユーザー向け】

現時点(2025年12月)では、ChatGPTの無料ユーザーを含むすべてのユーザーがDeep Research機能を利用可能です。
Deep Researchの利用枠は、加入しているChatGPTプランの料金に含まれており、プランごとに決められた回数の範囲内で使える仕組みになっています。
代表的なChatGPTプランごとの料金イメージと、Deep Researchの回数制限は次の通りです。
| プラン | ChatGPTの月額料金の目安(税別) | Deep Researchタスク数の上限(合計/30日ごと) | 補足 |
|---|---|---|---|
| Free | 無料 | 5クエリ | o4-miniベースの軽量版Deep Researchを利用可能(レポートは簡略版) |
| Plus | $20/月(日本では約3,000円前後) | 25クエリ | フル版+軽量版の合計。上限引き上げはDeep Research公式ブログで告知済み |
| Team / Enterprise / Edu | Team/Business: $25〜$30/ユーザー/月程度(年契約時) | 25クエリ | 利用枠はPlusと同一。Enterprise/Eduは契約規模に応じて個別見積もり |
| Pro | $200/月 | 250クエリ | プロフェッショナル向け。大量のDeep Research利用を想定した上位プラン |
ChatGPTの全体プラン(Free / Plus / Pro / Team / Business / Enterprise)の比較や、より詳しい料金表については、当サイトのChatGPT解説記事もあわせて参照してください。
リセットタイミングと軽量版への自動切り替え
Deep Researchの「回数制限」まわりで、実務上知っておきたいポイントは次の2つです。
- リセットは「カレンダー月」ではなく、初回利用日から30日ごと
- フル版の上限に達すると、自動的に軽量版に切り替わる
30日ローリング制のリセット
Deep Researchの利用回数は、「初めてDeep Researchを使った日」から30日ごとにリセット**されます。
いわゆる「1日〜月末」でリセットされるカレンダー月型ではない点に注意が必要です。
実際に残り回数を確認したい場合は、ChatGPTのUI上で Deep Researchボタンにカーソルを合わせる と、以下のように
- 当該30日間での実行回数
- 残りのタスク数(クエリ数)
がポップアップ表示されます。

残りのタスク数の確認
フル版と軽量版の関係

前述の通り、Deep Researchには、2種類のバージョンがあります。
- フルバージョン(o3ベースのDeep Research)
- 軽量バージョン(o4-miniベースのDeep Research)
OpenAI公式ブログでは、軽量版の追加によって「5 / 25 / 250クエリ」という利用枠を実現していると説明されています。
また、フル版については
「完全バージョンの制限に達すると、クエリの処理は自動的に軽量バージョンに切り替えられます」
と明記されており、フル版の枠を使い切ったあとは、同じ「Deep Research」ボタンから軽量版が自動的に使われる設計になっています。
そのため、本記事の表で示した「5 / 25 / 250クエリ」は、
- フル版(o3-deep-research)
- 軽量版(o4-miniベースのdeep research)
を**合算した「Deep Research全体としての利用上限」と考えるのが実務的にはわかりやすいでしょう。
Deep Research APIの仕様と料金【開発者向け】
続いて、開発者向けの「Deep Research API」について整理します。自社のアプリやワークフローにDeep Researchを組み込みたい場合に重要なポイントです。
これまでChatGPTの画面上でのみ利用可能だったDeep Research機能が、現在はAPI経由でも利用可能になっています。
これにより、開発者は自社アプリケーションや社内ツールに、Deep Researchクラスの調査・分析機能を直接組み込めます。
利用できるモデルは、ChatGPTで使われているものと同じく、以下の2種類です。
- o3-deep-research:最高性能・高コスト・高精度のDeep Research向けモデル
- o4-mini-deep-research:速度とコストに優れた軽量版Deep Researchモデル
どちらのモデルも、OpenAIのResponses APIから利用でき、Web検索ツール(web_search / web_search_preview) や コードインタープリター(code_interpreter) との組み合わせが可能です。
APIモデルの仕様と料金体系
Deep Research APIモデルの代表的なスペックと料金は、次のように整理できます。
| 項目 | o3-deep-research | o4-mini-deep-research |
|---|---|---|
| 特徴 | 最高性能のDeep Researchモデル。難度の高い多段階調査向き | 軽量・低コストで、日常的な調査や大量実行に向く |
| 料金(Standard/1Mトークン) | 入力: $10 / キャッシュ入力: $2.50 / 出力: $40 | 入力: $2 / キャッシュ入力: $0.50 / 出力: $8 |
| コンテキストウィンドウ | 約200,000トークン | 約200,000トークン |
| 最大出力トークン数 | 約100,000トークン | 約100,000トークン |
| 対応モダリティ | テキスト+画像入力/テキスト出力 | テキスト+画像入力/テキスト出力 |
| 知識カットオフ | 2024年6月1日(モデル自身の知識) | 2024年6月1日(モデル自身の知識) |
Deep Research APIでは、これらのモデル料金に加えて、Web検索ツールの利用料(1,000回あたり$10など) も発生します。
そのため、プロダクション利用では「どのクエリをDeep Researchに回すか」「どこから通常のLLM推論に切り替えるか」を設計しておくことが重要です。
Deep Researchの性能
続いて、Deep Researchの性能面をもう少し掘り下げて見ていきます。どの程度「人間の専門家」に迫っているのか、どのようなタスクで特に力を発揮するのかを理解しておくと、使いどころの判断がしやすくなります。
Deep Researchは、専門家レベルのタスクにおいても高い性能を発揮することが報告されています。
とくに調査タスクでは、非常に多くのレポートから情報を収集できることが強みで、人間が数時間かけて行うような複雑な調査を自動化できる点が評価されています。
詳細なデータは、OpenAIが公開しているシステムカードで確認できます。
推論時間が増えるほどに性能の向上
Deep Researchでは、「どれだけ長く考えるか(推論時間)」が性能に直結します。

ツールを呼び出すほどに合格率の向上
上のグラフは、「ツールの呼び出し回数」と「タスクの合格率」の関係を示したものです。
- ツール呼び出し回数が増えるほど、合格率は向上する
- ただし、約50回を超えると改善が緩やかになり、頭打ちになる
という傾向が読み取れます。
これは、「ツールを活用することでモデルの性能は補えるが、無制限に精度が上がるわけではない」という現実的な限界を示しています。
計算リソースや推論時間を増やせば精度は上がりますが、一定のところから費用対効果が低下するイメージです。
単純なタスクほど精度は高い
Deep Researchは、すべてのタスクで均一に高い性能を発揮するわけではありません。タスクの難易度や「経済的価値」によって精度が変化します。

推定経済価値と精度を示したグラフ
このグラフでは、タスクの「推定経済価値(Estimated Economic Value)」が高くなるほど、合格率が下がる傾向が示されています。
とくに"Very High"カテゴリのタスクでは、"Low"や"Medium"のタスクに比べて合格率が明確に低くなっています。
- 日常的なリサーチや一般的な要約 → 比較的高い精度
- 高度な経済分析や専門的な論文執筆 → まだ人間の専門家に一日の長がある
といったイメージを持っておくと、期待値の調整がしやすくなります。
タスクの推定所要時間と合格率の関係
タスクの「人間にとっての所要時間」と「Deep Researchの合格率」の関係も分析されています。

タスクの推定所要時間と合格率の関係
グラフからは、次のような傾向が読み取れます。
- 人間が1〜3時間で終えられるタスクほど、合格率が高い
- 7時間以上かかるような長時間タスクでは、合格率が低下する傾向がある
ただし、「モデルにとって難しいタスク」と「人間にとって時間がかかるタスク」は完全には一致しません。
人間にとっては単純作業だが時間がかかるもの(大量のデータ整理など)と、モデルにとって本質的に難しいもの(高度な推論や創造的判断)は異なるためです。
ベンチマーク結果
Deep Researchは、標準化されたベンチマークテストでも高い性能を示しています。ここでは代表的な2つを紹介します。
Humanity's Last Exam

Humanity's Last Exam(OpenAI公式ブログより)
Humanity's Last Examは、人間には容易でもAIには難しいとされる多様な分野の専門知識を問うベンチマークです。
Deep Researchは、この試験で 26.6% の精度を達成し、従来モデルの記録を大きく更新しました。
GAIA

GAIAベンチマークの結果
GAIAは、現実世界の問題解決能力を評価するベンチマークです。
Deep Researchはこのベンチマークにおいて、平均スコア 67.36(pass@1)、72.57(cons@64) を記録し、SOTA(State-of-the-Art)の水準に達しています。

レベル3の最も難しい問題イメージ
これらの結果から、Deep Researchは単純な要約タスクだけでなく、現実世界の複雑な課題にも一定レベルで対応できる汎用的なリサーチエージェントであることがわかります。
ChatGPT Deep ResearchとGemini Deep Researchとの比較
ここでは、よく比較対象に挙がる Gemini Deep Research(Google AI Pro/Google AI Ultraに含まれる機能) との違いを整理します。
料金だけでなく、「どのようなワークフローで強みが出るか」という観点から見るのがポイントです。

料金・プランのざっくり比較
ここでは細かい為替やキャンペーンを除き、ざっくりとした比較イメージを整理します。
| 項目 | ChatGPT Deep Research | Gemini Deep Research |
|---|---|---|
| 主なプラン | Plus($20/月)、Pro($200/月)、Enterprise など | Google AI Pro(2,900円/月)、Google AI Ultra(36,400円/月) |
| Deep Research利用権 | 無料を含む全プランで利用可(回数はプラン依存) | 無料版で制限付き利用、AI Pro / AI Ultraで上限拡大 |
| 無料トライアル | ChatGPTは一部機能を無料提供 | Google AI Proは1ヶ月の無料トライアルあり(日本) |
| 位置づけ | ChatGPT本体の拡張モードの1つ | Geminiスイートの一機能として提供 |
Gemini Deep Researchを本格的に利用するには、月額2,900円(税込)の「Google AI Pro(旧 Google One AI プレミアム)プラン」、もしくは月額36,400円(税込)の上位プラン「Google AI Ultra」への加入が必要です。
一方で、無料版でもFastモデル限定・月数レポート程度という厳しめの上限付きでDeep Researchを試すことはできます(いずれも2025年12月時点)。
【関連記事】
Geminiの料金プランを比較!無料・有料版の違いと選び方【2025年最新】
特徴・ワークフローの違い
実務で比較する際は、次のような観点がポイントになります。
検索との一体感
- Gemini Deep Researchは、Google検索やNotebookLMとの連携を前提とした設計で、検索結果との一体感が強い印象があります。
- ChatGPT Deep Researchは、OpenAI独自の検索基盤とコネクタ経由の社内データを組み合わせた「横断リサーチ」に強みがあります。
成果物のスタイル
- ChatGPT Deep Researchは、長文レポート形式や表形式での整理、コード例の提示など、「文章+構造化情報」の出力が得意です。
- Gemini側は、Googleスプレッドシートやスライド(NotebookLM や Gemini in Docs/Slides 経由)と組み合わせたワークフローに向いています。
既存ツールとの相性
- Google Workspace中心の環境ではGemini Deep Researchが自然に組み込めます。
- GitHub / Microsoft 365 / Slack 等との連携や、社内PoCでOpenAI APIをすでに使っている環境では、ChatGPT Deep Research+Deep Research APIの方が設計しやすいケースが多いです。
Gemini Deep Researchの詳細な使い方や料金は、以下の記事で整理しています。
➡️Gemini Deep Researchとは?使い方や料金、活用事例を徹底解説!
Deep Researchはどんなタスクに向いているか
ここまで見てきた性能・料金・他サービスとの比較を踏まえ、Deep Researchをどのような場面で活用していくのが現実的かを整理します。
Deep Researchは、比較的単純なタスクには高い精度で対応できる一方、高度な判断や専門家レベルの検証が必要なタスクでは、まだ人間のレビューが不可欠です。
とくに、タスクの経済的価値が高いケースほど、専門家によるレビューやダブルチェックを前提とした運用が望ましいでしょう。
一方で、ベンチマークでは従来モデルを大きく上回る結果を出しており、「調査〜草案作成」までのプロセスを大きく短縮するポテンシャルがあります。
Deep Researchに向くタスク例
- 新規事業の仮説検証のための一次リサーチ
- マーケット・競合動向の整理
- 技術テーマに関する文献の収集と要約
- 社内ナレッジの横断検索(議事録・仕様書など)
人間の専門家レビューが必須なタスク例
- 多額の投資判断に直結するレポート
- 医療・法務・会計など、規制や倫理リスクが大きい分野の最終判断
- 公的機関向けの公式文書・プレスリリース
今後は、サブスクリプションベースの外部データや内部システムへのアクセスも拡大していくと見込まれます。
Deep Researchを「調査チームの一員」としてどう位置づけるかを考えながら、段階的に業務へ組み込んでいくのが現実的なアプローチです。
Deep Research導入前に確認したいチェックポイント
ここでは、本文中で触れてきた内容のうち、「実際にDeep Researchを導入・展開する前に最低限押さえておきたいポイント」を簡単なチェックリストとして整理します。

-
プランと回数制限の把握
無料は月約5タスク、Plus / Team / Enterprise / Edu は合計約25タスク、Proは合計約250タスクという目安を前提に、「どの業務でどれくらいDeep Researchを使うか」をざっくりシミュレーションしておく。
-
データ取り扱いとプライバシー設定
Free / Plus / Pro では「Improve the model for everyone」のオン/オフがデータ利用に影響する一方、Team / Enterprise / Edu ではコネクタ経由データは学習に使われない、という違いを理解し、自組織のポリシーに合わせて設定を決めておく。
-
ハルシネーション前提の運用設計
医療・法務・会計・投資判断など、リスクの大きい領域では「Deep Researchの結果はあくまで下書き/叩き台」と位置づけ、人間の専門家によるレビューを必須フローとして組み込んでおく。
-
API利用時のコスト設計
Deep Research API(o3 / o4-mini)を使う場合は、モデル料金に加えてWeb検索ツールの従量課金も発生するため、「どの種類のクエリをDeep Researchに回すか」「通常のLLM推論とどう切り分けるか」をあらかじめルール化しておく。
-
社内データ連携の範囲と権限設計
Connectorsでどこまで社内データにアクセスさせるか(Drive / SharePoint / GitHub / Slack など)、権限スコープや共有範囲を事前に設計し、PoC段階では限定的な範囲から始める。
このあたりを先に決めておくと、「とりあえず試してみたけれど、結局どこに組み込むか分からない」という状態を避けやすくなります。
Deep Researchの活用事例と注意点
ここでは、Deep Researchが実際にどのような現場で利用されているか、公開情報ベースで確認できる事例を紹介します。
具体的な活用例を知ることで、自社での使いどころもイメージしやすくなります。
ジャンル別活用事例
まずは、業種や用途ごとにDeep Researchがどのように使われているかを見ていきます。
コンサル、研究、ビジネス開発など、知的労働が中心の領域での活用が目立ちます。
-
ベイン・アンド・カンパニーの事例

実際の利用画面を写したもの(参考:ベイン・アンド・カンパニー)複雑な業界構造の理解が必要なコンサルタントが、Deep Researchをリサーチの一部として利用していることを報告しています。
-
科学研究への応用
https://x.com/_daichikonno/status/1886367452449403041
- リサーチャー、コンサル領域への活用
https://x.com/masahirochaen/status/1886344982367555617
- 調査だけでなく打ち手を考えることへの活用
https://x.com/_daichikonno/status/1886370715458523389
- Deep Researchのオープンソース実装が一夜で公開
https://x.com/mugu_KagawaAI/status/1886306655081742484
- 他のLLM検索との比較でもDeep Researchが優位に
https://x.com/masahirochaen/status/1886364028538392820
- OpenAI o3が取って代わる仕事調査
https://x.com/minchoi/status/1886597182154850546
ハルシネーションの事例
Deep Researchは便利な一方で、Deep Researchにも誤り(ハルシネーション)が生じうることを前提に、注意喚起を行う事例も増えています。
- シドニー大学ビジネススクールの啓発記事
OpenAIのDeep Researchは強力なツールである一方、「あくまで人間の専門家ではない」ことを強調し、結果の検証と批判的思考の重要性を示しています。
(参考: Sydney Universityの記事)
- 医学領域におけるハルシネーション
https://x.com/matsuikentaro1/status/1887110791691944154
- サーベイの仕方の重要性を示唆
https://x.com/ochyai/status/1886723724575207541
このように、Deep Researchはリサーチの作業を大きく支援してくれる一方で、「読み解き」と「結果の確からしさの判断」は引き続き人間側の責任として残ることがわかります。
ディープリサーチに関するよくある質問(FAQ)
最後に、OpenAIのヘルプセンターなどにも掲載されている、Deep Researchに関する代表的な質問をQ&A形式でまとめます。
ここまでの本文で触れた内容の「おさらい」として読んでいただくイメージです。
Deep Researchはどのようなタスクに適していますか?
Deep Researchは、専門的な知識が必要なリサーチや、複数の情報源を横断的に分析するタスクに向いています。
Deep Researchはどのようなタスクに適していますか?
- 新規事業の市場調査
- 技術テーマの文献レビュー
- 業界レポートの要約と比較
- 社内ナレッジの横断検索(議事録・仕様書・PR など)
といった、「ある程度の分量と複雑さを伴う調査タスク」に適しています。
本文の「OpenAI Deep Researchの活用の方向性」の章でも、具体例を整理しています。
Deep Researchは検索とどう違うのですか?
Deep Researchと通常の「検索付きChatGPT」の違いは、目的とワークフローにあります。
Deep Researchは検索とどう違うのですか?
-
検索(Search)
- ニュース、天気、スポーツのスコアなど、リアルタイムで簡単な答えを知りたいときに適しています。
- 単発のWeb検索+要約に近い動作をします。
br>
-
Deep Research
- 複数のソースをまたいだ詳細な調査が必要なときに適しています。
- 数百のソースを検索・分析し、引用やデータを含むレポートを作成します。
イメージとしては、
- 「簡単な事実確認」→ 検索
- 「しっかり調べて資料を作りたい」→ Deep Research
という使い分けになります。
本文前半の「OpenAI Deep Researchとは」「主要機能」の章で、両者の違いをもう少し詳しく説明しています。
Deep Researchの調査結果には引用が含まれますか?
Deep Researchの調査結果には引用が含まれますか?
はい。Deep Researchの出力には、明確にラベル付けされた引用やソースリンクが含まれます。
どの段落がどの参考情報に基づいているかを確認しやすく、事実確認や追加調査がしやすい設計になっています。
Deep Researchはどのようなデータにアクセスできますか?
Deep Researchはどのようなデータにアクセスできますか?
現時点では、主に次のデータにアクセスできます。
- インターネット上の公開Web情報
- ユーザーがアップロードしたファイル
- コネクタ経由で接続したクラウドストレージや業務ツール(権限設定に依存)
br>一方で、有料のデータベースや社内システムなどの完全なプライベートデータについては、コネクタの対応状況や組織の設定に依存します。
本文の「コネクタ連携」の章では、対応サービスとデータ取り扱いについて詳しく解説しています。
Deep Researchをもっと安く利用する方法はありますか?
Deep Researchをもっと安く利用する方法はありますか?
Deep Researchそのものに専用の割引プランはありませんが、以下のような選択肢があります。
- ChatGPT PlusやTeamプランで「重要な案件だけDeep Researchを使う」運用にする
- 開発者向けのDeep Research APIで、軽量モデル o4-mini-deep-research を中心に設計する
- 用途によっては、Gemini Deep ResearchやPerplexityの「深い検索」機能を併用する
br>類似サービスとしては、以下のようなものがあります。
- ChatGPT:
- Gemini:
➡️Gemini Deep Researchとは?使い方や料金、活用事例を徹底解説! - Grok:
➡️Grokとは?最新版Grok3や、画像生成機能の使い方をわかりやすく解説
上記で解決しない場合は、OpenAIの開発者コミュニティでの質疑も有用です。
また、AI総合研究所では企業のAI活用全般をサポートしていますので、お悩みがあればお気軽にご相談ください。
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経費精算・請求書処理をAIが自動実行。インボイス制度・電帳法にも対応し、金融機関レベルのセキュリティで安心導入。
まとめ
本記事では、OpenAIのDeep Researchについて、概要・機能・使い方・料金・回数制限から、Gemini Deep Researchとの比較、実際の活用事例、FAQまでを整理しました。
改めてポイントをまとめると、次のようになります。
- Deep Researchは、ChatGPTに追加された本格的なリサーチ専用エージェント機能であり、多段階の調査を自律的に実行できる
- Web検索やコネクタ経由の社内データを組み合わせ、引用付きのレポートを作成できるため、「調べる〜読む〜まとめる」の工数を大きく削減できる
- ChatGPTの無料プランでも月数回は試せる一方、有料プランではより多くのDeep Researchタスクが利用可能(2025年12月時点の代表的な目安)
- 開発者向けには o3-deep-research / o4-mini-deep-research のAPIが提供されており、自社プロダクトや社内ツールに組み込むこともできる
- ただし、高度な意思決定や規制リスクの大きい領域では、人間の専門家レビューと組み合わせた運用が前提となる
Deep Researchをうまく活用することで、調査業務の生産性だけでなく、「そもそもどこまで調べるべきか」「どこから人間の判断が必要か」という業務設計そのものを見直すきっかけにもなります。
AI総合研究所では、企業のAI導入を研修・開発・導入まで一気通貫で支援しています。
自社のリサーチ業務にDeep Researchをどのように組み込めるか検討されている担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。











