AI総合研究所

SHARE

X(twiiter)にポストFacebookに投稿はてなブックマークに登録URLをコピー

【無料】n8nとは?使い方・他ツールとの違い・活用事例をわかりやすく解説

この記事のポイント

  • n8nはオープンソースのノーコード自動化ツールで、700以上の外部サービスと連携可能。
  • セルフホスト可能で、セキュリティやデータ管理要件を満たしやすい。
  • 条件分岐やループ処理がノーコードで実現でき、複雑な自動化に対応。
  • クラウド版とセルフホスト版の2通りの使い方があり、柔軟な運用が可能。
  • Difyなどの生成AIツールと比較しても、業務全般の自動化に特化した設計。連携することも可能です。
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される中、「n8n(エヌエイトエヌ)」 という自動化ツールが注目を集めています。ノーコードでありながら柔軟なワークフロー構築が可能で、エンジニアだけでなくビジネス職でも活用できる点が特徴です。
本記事では、n8nの概要から特徴、他ツールとの違い、具体的なユースケース、導入のポイントまで、専門的かつわかりやすく解説していきます。

AI総合研究所では、AIエージェントの開発、AI導入の伴走支援を行っています。
お気軽にご相談ください

n8nとは?

n8n(エヌエイトエヌ)は、「nodemation(ノード+オートメーション)」の略称で、ノーコードまたはローコードでさまざまなアプリケーションを連携し、業務プロセスを自動化できるオープンソースツールです。
ZapierやMakeのようなiPaaS(Integration Platform as a Service)と同様の機能を持ちながらも、セルフホスト可能で拡張性に優れる点が大きな特徴です。

n8n公式のトップ画像
n8n公式のトップ画像


n8nの主な特徴

n8nはシンプルなUIながらも高い柔軟性を持ち、業務フローの細かな制御や複雑な処理にも対応できる点が評価されています。以下に代表的な特徴をまとめます。
以下に、n8nの主要な特徴を表にまとめます。

特徴 内容
オープンソース 無償でソースコードを取得・改変可能。自社に最適な形でカスタマイズが可能。
ノーコード対応 プログラミング不要でGUIベースのワークフロー構築が可能。
自ホスト可能 セルフホスティングに対応し、セキュリティやデータ管理要件を満たしやすい。
多数のノード対応 Slack、Google Sheets、OpenAIなど、700以上の外部サービスと連携可能。
条件分岐やループ処理 If文、While文のような処理がノーコードで実現でき、複雑な自動化に対応。

このように、n8nは他のノーコードツールと比較しても自由度が高く、システム連携やワークフロー制御の幅広さが特徴です。


n8nの基本的な使い方

n8nはクラウド版(n8n Cloud)と自前で動かすセルフホスト版の2通りの使い方が可能です。ここでは基本的な使い方の流れを紹介します。

0. インストール・起動

  • クラウド版の場合:公式サイトに登録するだけで開始可能。

クラウド版でも14日間の無料トライアルがあり、機能を試すことができます。
登録画面
登録画面

登録時のアンケートに答えればすぐに利用が開始できます。

チームメンバの招待の有無
チームメンバの招待の有無

チームメンバーを呼ぶ必要があるかどうかを選択できます。チームでの利用を考えている場合は招待しておくと良いでしょう。
呼ばない場合は、「Skip」で問題ありません。

  • セルフホストの場合:Dockerを使って起動できます。
docker run -it --rm \
  -p 5678:5678 \
  -v ~/.n8n:/home/node/.n8n \
  n8nio/n8n

1.初回の利用・画面の理解

実際の利用画面
実際の利用画面

初回に起動すると上記のような画面になります。
画面の説明をすると大きくサイドバーと中央のワークフローエディタに分かれています。

サイドバーには以下の項目があります。

🔻左サイドバー(グローバルナビゲーション)

ボタン 機能概要
Overview 現在の画面。ワークフロー実行状況や新規作成の入口を表示します。
Personal 自分だけのワークスペース(他人と共有していないワークフロー)
Shared with you 他人と共有されているワークフローの一覧
+ Add project プロジェクト単位でワークフローを管理するための新規プロジェクト作成
Admin Panel 管理者向け設定画面(セルフホスト運用時などで表示)
Templates 公開テンプレートの一覧。他人が作ったフローをインポート可能。
Variables グローバル変数を定義してワークフロー内で再利用する機能
Insights 実行ログ、統計情報、エラー分析などのデータ可視化(Proプラン向け)
Help ヘルプメニュー。ドキュメントやフィードバックなど。

🔻中央エリア

上部カード(過去7日間の実行状況)

指標 説明
Prod. executions 本番環境での実行回数(過去7日)
Failed prod. executions 失敗した実行回数(過去7日)
Failure rate 実行の失敗率(%)
Time saved 自動化により節約された時間(n8nが推定)
Run time (avg.) 実行あたりの平均処理時間

中央下部のワークフロー作成カード

ボタン 説明
Start from scratch 白紙の状態から新しいワークフローを構築します。最も自由度が高い入口。
Test a simple AI Agent example 事前に用意されたAIエージェントのサンプルワークフローを読み込んで確認可。

2. 実際の使い方(基本ステップ)

n8nで自動化処理を構築するには、主に以下の4つのステップを押さえることが重要です。ノーコードでありながら、柔軟な処理フローを直感的に構築できます。

1. ワークフローを新規作成する

画面右上の「Create Workflow」ボタン、または中央の「Start from scratch」をクリックすることで、空のワークフロー画面が表示されます。

  • ワークフロー名を任意で設定可能
  • 左側のノードパネルからドラッグ&ドロップでノードを追加

初期は既にあるテンプレートを利用することもできます。テンプレートは右側の「Templates」タブからアクセス可能です。

テンプレート画面
テンプレート画面

既に2000以上のテンプレートが用意されており、これらを参考にすることで自分のワークフローを簡単に作成できます。

2. トリガーノードを設定する(処理の起点)

最初に処理の起点となる「トリガーノード」を追加します。代表的な例は以下のとおりです。

トリガーの種類 説明・用途例
Webhook フォーム送信や外部サービスからの通知を受信
Cron(スケジュール) 毎日特定時刻に定期実行
Manual Trigger 手動での検証時に使用

3. 処理ノードを追加・接続する

トリガーの後に続けて、具体的なアクションを定義するノードを追加します。ノード同士は「線(フロー)」で接続し、順次処理されます。

  • 例:

    • HTTP Requestノード:APIからデータ取得
    • Google Sheetsノード:データを表形式で記録
    • Slackノード:通知をチャンネルに送信
  • 条件によって処理を分けたい場合は、Ifノードで分岐

  • 複数のデータをループ処理したい場合は、LoopノードSplitInBatchesノードを活用

4. ワークフローを保存し、実行・本番化する

作成したワークフローは右上の保存アイコンから保存可能です。

  • 「Execute Workflow」ボタンで即時テスト実行が可能(右上の ▶ マーク)
  • 動作が問題なければ「Activate」ボタンで本番運用に切り替え
  • 実行結果は「Executions」タブで詳細に確認でき、失敗時のエラーも追跡可能

ワークフローイメージ
ワークフローイメージ

このように、n8nは「視覚的なノードの組み合わせ」と「必要に応じたスクリプト記述」を両立できるため、初心者からエンジニアまで幅広いユーザーに対応する設計となっています。


n8nの料金体系(Cloud版)

n8nはオープンソースとして無料でセルフホストできますが、公式が提供するn8n Cloud(クラウド版)を利用する場合は、実行数や機能に応じた有料プランがあります。以下に、主要なプランの比較表を示します(2025年5月時点の情報に基づく)。

プラン名 月額料金(税込) 実行数の上限 ワークフロー数 ユーザー数 商用利用 特徴
Free 無料 200回/月 制限あり 1人 非商用 個人の検証用途に適したプラン
Basic $20〜/月 10,000回/月 制限緩和 1人 小規模チームの本番利用にも対応可能
Pro $50〜/月 100,000回/月 無制限 複数可 SLAや優先サポート、監視機能などが利用可能
Enterprise 要問い合わせ カスタム カスタム カスタム 大規模組織向け。SSO・RBAC・監査ログなども完備

※料金や条件は変更される可能性があります。詳細はn8n公式料金ページをご確認ください。

セルフホストとの比較ポイント

項目 n8n Cloud セルフホスト(Docker等)
初期セットアップ 不要(登録のみで即利用可能) 必要(Dockerなどの構築が必要)
メンテナンス負荷 なし(すべて自動管理) 自社でのアップデート管理が必要
カスタマイズ性 制限あり 完全に自由(コード変更も可)
セキュリティ管理 ベンダー依存 自社ポリシーに準拠可能

n8n Cloudは手軽に始められる反面、細かな設定や制御を行いたい場合はセルフホスト型の方が適しています
サーバー費用がかかる点はご留意ください。


他の自動化・AIツールとの違い(Zapier・Make・Difyと比較)

n8nは、業務プロセスの自動化をノーコードで実現できるツールとして、ZapierやMakeと比較されることが多く、近年では生成AIツールであるDify(Dify.ai)との違いも注目されています。

以下に、n8nと主要なツールの違いを表にまとめます。

項目 n8n Zapier Make(旧Integromat) Dify.ai(ディファイ)
主な用途 業務全般の自動化/API連携 シンプルな業務自動化 高度な業務フロー制御 LLM(大規模言語モデル)活用アプリの構築
提供形態 オープンソース/セルフホスト/Cloud クラウド専用 クラウド専用 オープンソース/セルフホスト/Cloud
自ホスト対応 ○(Docker等で可能) × △(非公式手法) ○(FastAPIベース)
処理の自由度 高(条件分岐、ループ、JS記述可) 中(制限あり) 高(視覚的に細かく制御可能) 高(Python埋め込み、プロンプト制御)
ノーコードUI ◎(操作が最も簡単) ◎(プロンプトもGUI化)
AI連携 OpenAIなどのノードを手動設定で利用可 一部対応 一部対応 ◎(RAG・チャットボットをGUIで構築可能)

### Difyとの違いについて

n8nはあらゆる業務処理を自動化するための汎用的なワークフローツールです。一方、Difyは生成AI(特にChatGPTのようなLLM)を使ってアプリやチャットボットを構築するための専用ツールです。

比較観点 n8n Dify
アーキテクチャ ノード単位のワークフロー エージェント・プロンプト中心の設計
強み 外部サービス連携、業務フロー制御 LLM活用、自然言語処理の最適化
連携の自由度 REST APIで他ツールとも柔軟に連携可 外部API呼び出しも可能
併用構成 n8n → Dify API呼び出しで連携が可能 Dify内のAgentにn8nを組み込むことも可

n8nは“あらゆる業務処理の自動化”を、Difyは“LLMを使った業務知能化”をそれぞれ得意としており、用途に応じて使い分ける、あるいは組み合わせて活用するのが理想的です。

Difyの詳細は以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
Difyとは?できることや使い方・料金体系を解説!商用利用時の注意点も

Zapierとの違いについて

Zapierは操作が最も簡単で導入しやすい一方で、自由度やカスタマイズ性には限界があります。
また、Zapierはセルフホストができないため、セキュリティやデータ管理の要件が厳しい企業では利用が難しい場合があります。

n8nの活用事例・ユースケース

n8nは、API連携やデータ処理などのルーチンワークを自動化する場面で多く利用されています。以下に、代表的な活用パターンを紹介します。

1. Slack通知 × Google Sheets記録(営業・報告業務)

営業担当がGoogleフォームに入力した訪問記録を、n8nでGoogle Sheetsに自動保存し、同時にSlackで上司に通知するフローを構築。手入力の手間と報告漏れを防止できます。

2. Shopify × Notion連携(ECサイト運用)

Shopifyで注文が入るたびに、注文内容をNotionの管理ボードに自動追加。進捗管理や出荷準備を効率化し、チームでの共有をスムーズにします。

3. Webhook × OpenAI(AIとの連携)

社内のFAQフォームに入力された質問をn8nで受け取り、OpenAI APIを使って回答文を生成し、メールやSlackで返信。ChatGPT的な簡易ボットを自作できます。

4. GitHub連携 × CI通知(エンジニア向け)

GitHubのリリースイベントをトリガーとして、Slackにリリース通知を送信したり、CI結果をエンジニア全員に展開。DevOps用途でも活躍します。

5. 外部APIとの自動同期(SaaS統合)

kintoneやSalesforceといった業務系SaaSと自社DBを連携し、毎日一定時刻にデータを同期。手動でのエクスポート・インポート作業を廃止。

このように、n8nは部門を問わずあらゆる業務での活用が可能です。API連携が可能なサービスであれば、ほぼすべてに対応できます。
AIエージェント化するための基盤としても非常に有用です。

n8nの注意点・デメリット

n8nは非常に柔軟で高機能な自動化ツールですが、導入・運用にあたってはいくつかの注意点や制約があります。以下に代表的な懸念点を整理します。

1. セルフホストには技術的な知識が必要

DockerやNode.jsの基本的な操作、SSL証明書の設定、セキュリティ管理など、自前でインフラを構築するにはエンジニアのスキルが求められます。商用運用では保守負荷も考慮すべきです。

2. 複雑なワークフローは習得に時間がかかる

UI自体はノーコードですが、条件分岐・ループ・Webhook連携などは慣れが必要です。ツールとしての自由度が高い反面、初学者には複雑に見える場合もあります。

3. Cloud版は無料枠が限定的

n8n Cloudには無料プランがありますが、実行数やストレージ容量などのリソース制限があり、本格運用には有料プランの検討が必要です。

4. 日本語情報やサポートが少ない

ZapierやMakeと比較すると、日本語によるチュートリアルやユーザーコミュニティはまだ発展途上です。英語ドキュメントの参照が必要な場面もあります。

このような注意点を理解した上で導入を検討することで、n8nの強みを活かしつつ、適切にリスクを抑えることが可能です。
AI総合研究所はn8nの導入支援や活用方法のアドバイスも行っています。特にセルフホスティングしたいなどのお悩みがあればお気軽にご相談ください。

最新のアップデート情報(2025年5月時点)

n8nは現在も活発に開発が続いており、毎週のようにマイナーバージョンが更新されています。2025年5月時点での最新安定版は「v1.94.1」、次期開発版は「v1.95.1」です。

主なアップデート内容

  • v1.95.0以降での改善点(2025年5月26日〜)

    • フォルダー管理機能の導入:ワークフローの分類・整理がしやすくなりました。
    • UI改善:ノード間の接続や設定項目が視認しやすく調整。
    • バグ修正:Webhookノードの挙動や実行履歴の安定性向上など、多数。

アップデートの確認と適用方法

  • n8n Cloudの場合:ダッシュボードからバージョン管理セクションで切り替え可能。
  • セルフホストの場合:Dockerイメージのタグを更新して再デプロイするだけで新バージョンに切り替えられます。
docker pull n8nio/n8n:latest

自動アップデートの工夫例

GitHubのn8nリリース情報を監視し、CoolifyなどのPaaS環境で自動的にn8nをアップデートするワークフローも公開されています。以下の公式ワークフローを参考にすることで、自動化環境の保守性を高めることができます。


まとめ

n8nは、オープンソースで提供される柔軟性と、ノーコードでの操作性を両立したワークフロー自動化ツールとして、多くの企業や開発者から支持を集めています。ZapierやMakeといった既存ツールに比べて自由度が高く、さらにDifyのようなAI系ツールとも役割を補完し合う形で活用できます。

  • 自社サーバーに構築できるセルフホスト型の柔軟性
  • 業務システムから生成AIまで、多様な連携が可能
  • ワークフロー構築に必要な視覚的UIとスクリプト機能の両立
  • クラウド版も選べるため、手軽な導入と高度な運用の両方に対応

初めての方でも無料プランやセルフホストで試しながら、自社に合った活用法を見つけられるのがn8nの魅力です。まずは小さなワークフローから始め、段階的に業務全体の自動化へと広げていくことで、その効果を実感できるはずです。
AI総合研究所では、n8nを活用した業務自動化の支援や、AIエージェントの開発も行っています。導入に関するご相談や具体的な活用方法については、お気軽にお問い合わせください。

AI活用のノウハウ集「AI総合研究所」サービスご紹介資料

「AI総合研究所 サービス紹介資料」は、AI導入のノウハウがないというお客様にも使いやすい最先端のAI導入ノウハウを知れる資料です。

資料ダウンロード
AI総合研究所サービス紹介資料
監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

関連記事

AI導入の最初の窓口。

お悩み・課題に合わせて活用方法をご案内いたします。
お気軽にお問合せください。

AI総合研究所 Bottom banner

ご相談
お問い合わせは
こちら!