AI総合研究所

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Microsoft IQとは?Work IQ・Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQの4層を徹底解説

この記事のポイント

  • Microsoft IQは「Frontier IQ」や「Frontier Suite」とは別物で、4層構造の組織知能レイヤーが正式名称
  • 4層は単体でも導入可能だが、Foundry IQが他3層を束ねる統合エンドポイントとして機能する(ただしknowledge source統合はpublic preview〜limited accessで段階提供中)
  • Microsoft GraphがAPIアクセス層なのに対し、Microsoft IQは意味理解・意思決定支援を担う上位レイヤー
  • 料金はWork IQ APIやCopilot Studio系がCopilot Credits(PayGo $0.01・25,000クレジット$200/月)で、Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQは各サービス固有の料金体系を引き継ぐ二重構造
  • M365 Copilot体験内のWork IQ利用はライセンスに含まれるが、Work IQ APIやサードパーティ製エージェントからの呼び出しは従量課金になる
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

Microsoft IQ(マイクロソフト・アイキュー)は、Work IQFabric IQFoundry IQWeb IQの4層で、AIエージェントに組織コンテキストを供給するMicrosoftの統合知能基盤です。

2025年11月のIgnite 2025でWork/Fabric/Foundryの3層が発表され、2026年6月のBuild 2026でWeb IQが追加されて4層構成となり、Microsoft IQという統合レイヤーが正式に一般提供(GA)に移行しました。ただし4層内の個別機能はGA・public preview・limited accessが混在しており、GitHub Copilot・Microsoft Foundry・Copilot Studioで段階的に利用できます。

本記事では、Microsoft IQの全体像と発表ロードマップ、4層それぞれの役割と連携の仕組み、Microsoft Graphとの違い、Agent 365やMicrosoft 365 E7など関連製品との関係、ケース別の導入順序、Copilot Creditsと各層料金の二重構造までを2026年6月時点の最新情報で整理します。
「Frontier IQ」「Frontier Suite」など似た名称との混同を避けつつ、自社のMicrosoft環境にMicrosoft IQをどう載せるかを判断できる粒度で解説します。

目次

Microsoft IQとは?4層構造でエージェントに組織コンテキストを供給する基盤

Microsoft IQの全体像と発表ロードマップ——3層から4層への進化

2025年11月:Ignite 2025で「3層IQ」として初出

2026年6月:Build 2026でWeb IQ追加・4層化してGA

Microsoft IQの命名と位置づけの整理

Microsoft IQを構成する4層と各層の役割

Work IQ——「働き方」のコンテキスト供給層

Fabric IQ——「ビジネスの状態」のコンテキスト供給層

Foundry IQ——「権威性ある知識」のコンテキスト供給層

Web IQ——「Webの最新情報」のコンテキスト供給層

Microsoft IQの4層がどう連携するか——4層クロスクエリの仕組み

単一エージェントが4層を切り替える動作例

Foundry IQが他3層の統合エンドポイントになる構造

MCP・A2A・RESTでサードパーティとも連携

Microsoft IQとMicrosoft Graphの違い——アクセス層と意味理解層

Microsoft GraphとMicrosoft IQの責任範囲

「意味理解層」がエージェント時代に必要な理由

Microsoft IQと関連製品の関係——Agent 365・M365 E7・Foundry・Copilot Studio

Microsoft AIスタックの階層整理

Agent 365との関係——「エージェント本体」と「エージェントの脳」

Microsoft 365 E7(Frontier Suite)との関係

Foundry/Copilot Studioとの関係

Microsoft IQの導入順序とケース別の使い分け

ケース1:M365 Copilotを既に導入している企業

ケース2:Microsoft Fabricを既に利用している企業

ケース3:Azure上でカスタムエージェントを開発している企業

ケース4:Web情報を統合したいエージェントを作りたい企業

「全部入り」を最初から目指さない

Microsoft IQの料金体系——Copilot Creditsと各層料金の二重構造

Copilot Creditsの3つの購入方法

Work IQ APIの課金経路

Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQの料金

Microsoft 365 E7ライセンスとの組み合わせ

Microsoft IQの組織コンテキストを業務実装まで届けるには

まとめ

Microsoft IQとは?4層構造でエージェントに組織コンテキストを供給する基盤

Microsoft IQ(マイクロソフト・アイキュー)は、AIエージェントとMicrosoft Copilotが「組織がどう動いているか」を理解した上で応答できるようにする、4層構造の統合知能レイヤーです。

Microsoft IQ公式LPのヒーロービジュアル
Microsoft IQ公式LPのヒーロー「Your people. Your data. Your IQ.」(出典:Microsoft

Microsoft IQの4層全体像
 
Microsoftは公式に「Microsoft IQはエンタープライズAIのための統一知能レイヤーであり、すべてのエージェントとCopilotの応答が、組織についての共有された継続的に進化する理解に基づくようにするもの」と定義しています(Microsoft IQ 公式docs)。

具体的な構成要素は、Work IQ(働き方)、Fabric IQ(ビジネスデータ)、Foundry IQ(権威性ある知識)、Web IQ(Webの最新情報)の4層です。

なお、Microsoft IQという統合レイヤー自体はBuild 2026でGAとなった一方、4層内の個別機能の提供状態はGA・public preview・limited accessが混在しています。

Fabric IQのIQワークロード・オントロジーや、Foundry IQの新knowledge sources(Web IQ・Work IQ・Fabric IQの統合)はpublic preview、Web IQ本体はselect Azure customers向けlimited access、という具合に分かれています。導入検討時は機能単位で提供状態を公式ドキュメントで確認することを推奨します。

AI Agent Hub1


Microsoft IQの全体像と発表ロードマップ——3層から4層への進化

Microsoft IQは突然4層構成で発表されたわけではなく、約半年かけて段階的に組み上がってきた構想です。発表タイミングと構成変更を時系列で押さえると、各層の役割と相互関係が掴みやすくなります。

Microsoft IQの発表ロードマップ

2025年11月:Ignite 2025で「3層IQ」として初出

Microsoft IQという構想が初めて公の場で示されたのは、2025年11月のMicrosoft Ignite 2025です。このときMicrosoftは「エージェントが組織コンテキストに届かない」という課題に対する答えとして、3つの知能レイヤーを公開しました。

レイヤー カバー範囲 発表時の役割
Work IQ Microsoft 365(メール・チャット・会議・ドキュメント) 「働き方」のコンテキスト供給
Fabric IQ Microsoft Fabric(ビジネスデータ・KPI) 「ビジネスの状態」のコンテキスト供給
Foundry IQ Azure・SharePoint・OneLake・Webにまたがる管理ナレッジ 「権威性ある知識」のコンテキスト供給


このIgnite 2025段階では、3層を束ねる総称として「Microsoft IQ」という名称が使われ始めましたが、まだプレビュー扱いの機能が多く、GAは順次という位置づけでした。Ignite 2025の発表内容を整理したCloud Warsも「3層IQプラットフォーム」として報じています。

Ignite 2025の3層IQ

2026年6月:Build 2026でWeb IQ追加・4層化してGA

Microsoft IQの構成が大きく変わったのが、2026年6月のMicrosoft Build 2026です。Microsoftは新たにWeb IQをラインアップに加え、Microsoft IQという統合レイヤーが正式に一般提供(GA)に移行しました。ただし構成要素のレベルでは、Fabric IQのIQワークロード・オントロジーがpublic preview、Foundry IQの新knowledge sourcesがpublic preview、Web IQ本体はselect Azure customers向けlimited accessと、提供状態が機能ごとに分かれています。

Microsoft Build 2026のキーノートビジュアル
Microsoft Build 2026のキーノートビジュアル(出典:Microsoft

Build 2026の4層化とWeb IQ追加

Web IQは、Bingが長年蓄えてきたウェブインデックスをエージェント向けに作り直したもので、P95レイテンシ164ミリ秒(公式表記では「sub-165ms」)という低遅延でWeb・ニュース・画像・動画など複数領域の最新情報をエージェントに供給します(Microsoft Foundry Blog)。Build 2026の発表で、Microsoft IQは「組織内コンテキスト3層+外部Webコンテキスト1層」という対称的な構造を取りました。

同じBuild 2026では、Work IQ APIが2026年6月16日のGAも告知されました(Microsoft 365 Blog)。Work IQ APIはMCP・A2A・RESTの3プロトコルでアクセスできる開発者向け窓口で、サードパーティのエージェントフレームワークからもWork IQの組織コンテキストを引き出せるようになります。

Microsoft IQの命名と位置づけの整理

Ignite 2025からBuild 2026への進化を踏まえると、Microsoft IQの名称体系は次のように整理できます。

時期 名称・表現 状態
〜2025年11月 (未命名・各機能が個別開発) 各層が独立した機能群
2025年11月(Ignite) Microsoft IQ(3層:Work / Fabric / Foundry) プレビュー中心
2026年6月(Build) Microsoft IQ(4層:Work / Fabric / Foundry / Web) GitHub Copilot・Foundry・Copilot StudioでGA


この経緯から分かるのは、Microsoft IQが「最初から完成形だった構想」ではなく、Microsoftがエージェントの組織理解に必要な要素を順次パッケージ化してきた結果として4層に到達した、ということです。今後さらに第5の層が追加される可能性も否定できません。

Microsoft IQの命名と位置づけ


Microsoft IQを構成する4層と各層の役割

Microsoft IQの中核は、4つのIQが「どの種類の組織コンテキストを担うか」できれいに役割分担している点にあります。本セクションでは各層を簡潔に紹介し、詳細はそれぞれの専用記事に譲ります。

Microsoft IQを構成する4層と役割

Microsoft IQの4層構造
Microsoft IQ公式LPの4層俯瞰。Microsoft IQを中心にAzure・Foundry・Fabric・Copilot等の関連製品が連なる構成(出典:Microsoft

Work IQ——「働き方」のコンテキスト供給層

Work IQは、Microsoft 365に蓄積された「人と人の働き方」をエージェントに伝える層です。メール・チャット・会議・ドキュメント・カレンダー・人間関係といった働き方の信号を、セマンティックインデックスとMicrosoft Graphベースのパーミッションで安全にエージェントへ提供します。

Work IQの構造(Data・Context・Skills & Toolsの3層+Experiences/Extensibility/Models)
Work IQの構造。下からData・Context・Skills & Toolsの3層に、Experiences/Extensibility/Modelsが組み合わさる(出典:Microsoft Learn

Work IQの構造

画像で示したとおり、Work IQは下からData(Microsoft 365・Dynamics 365・Power Appsなどの生データ)、Context(Copilot Memory・セマンティックインデックス・Dataverse Intelligenceによる文脈把握)、Skills & Tools(Copilot Actions・Work IQ MCP・Work IQ CLI・業務スキルなどの実行手段)の3層で構成され、上下にExperiences(M365 Copilot等の利用接点)とExtensibility(カスタムエージェント拡張)、そしてOpenAI・Anthropicを含むModels層が組み合わさる構造になっています。

各層の代表的な機能としては、Copilot Memory(個人のカスタム指示や記憶)、セマンティックインデックス(テナント全体の検索精度向上)、Dataverse Intelligence(業務システムのスキーマ理解)が含まれます。M365 Copilotライセンスを持つユーザーは、Word・Excel・PowerPoint・Teams上でWork IQの恩恵を自動で受けます。

開発者向けにはWork IQ APIが用意され、2026年6月16日にGA予定です。MCP・A2A・REST3プロトコルに対応するため、Microsoft Foundry外で構築するエージェントからもWork IQの組織コンテキストを取り出せます。

Fabric IQ——「ビジネスの状態」のコンテキスト供給層

Fabric IQは、Microsoft Fabric(OneLake)に格納された業務データに「ビジネス用語」の意味を被せる層です。生のテーブルやスキーマではなく、「顧客」「出荷」「冷蔵チェーン破損」のような業務概念として、エージェントが推論できるようにします。

Fabric IQの3層構造(Unified Data・Business Intelligence・Operational Intelligence)
Fabric IQの3層構造。OneLakeを土台にPower BIセマンティックモデル・オントロジーを重ね、人とエージェントが共通言語で業務データを扱える設計(出典:Microsoft Learn

Fabric IQの構造

画像で示したとおり、Fabric IQはOneLakeを土台とするUnified Data(構造化・非構造化・リアルタイム・グラフを含む統合データ)、Business Intelligence(Power BIセマンティックモデルによる指標・階層・ディメンション)、Operational Intelligence(オントロジーによる業務エンティティ・関係・ルール・アクションの定義)の3層で、人とエージェントが同じ業務語彙でデータを扱える設計になっています。

中核となる構成要素は、Power BIセマンティックモデル(指標・階層・ディメンションの定義)とFabric IQオントロジー(業務エンティティ・関係・ルール・アクションの定義)です。オントロジーは既存のPower BIセマンティックモデルから自動生成も可能で、社内の指標定義を一度書けばエージェント・Copilot・分析レポートで共通利用できます。

Microsoftの公式情報によれば、本番稼働中のセマンティックモデルの90%以上をPower BIが占めており、既存のPower BIセマンティックモデルからFabric IQのオントロジーをブートストラップできる構造になっています。Fabricに既に投資している企業ほど、Fabric IQの立ち上げが速いと言えます。

Foundry IQ——「権威性ある知識」のコンテキスト供給層

Foundry IQは、SharePoint・Azure SQL・OneLake・Web・ファイル検索・MCPなど複数の知識源を、ひとつの検索エンドポイントとしてエージェントに見せる層です。ナレッジベース自体はGA・SLA-backedで提供される一方、Work IQ・Fabric IQ・Web IQをknowledge sourceとして束ねる新機能はpublic preview〜limited accessの段階で順次拡大しています。

Foundry IQの構造

Foundry IQは「ナレッジベース」という単位で複数ソースをまとめ、エージェントは1回の検索リクエストで全ソースを横断照会できます。各ソースのパーミッションは保持されるため、利用者ごとに見える結果が自動で絞り込まれます。Azure AI Searchを下回りで使うため、ベクトル検索・ハイブリッド検索・エージェント的検索(複数クエリ生成・統合)が利用可能です。

Foundry IQは4層の中でも特殊な位置にあり、Work IQ・Fabric IQ・Web IQの3層も「Foundry IQの知識源として登録可能」という構造を持ちます。後述する4層連携の中核を担う層です。

Web IQ——「Webの最新情報」のコンテキスト供給層

Web IQは、Bingのウェブインデックスをエージェント向けに再設計した、AIネイティブのWebグラウンディングAPIです。公式LPでは利用想定としてMicrosoft CopilotやOpenAI系プラットフォームなどのロゴが示されており、AIエージェント/アシスタント向けのWebグラウンディング基盤として活用される設計です。P95レイテンシ164ミリ秒(公式表記では「sub-165ms」)という低遅延が特徴になります。

Web IQの3層アーキテクチャ(Bing index ecosystem・Leading edge systems・Engine of SOTA models)
Web IQの3層アーキテクチャ。下層のBingインデックスを土台に、エージェント向けに分散検索とSOTAモデルによるpassage抽出層を重ねた構造(出典:Bing Search Blog

Web IQの特徴

画像のアーキテクチャ図のとおり、Web IQは最下層のBing index ecosystem(マッシブなグローバルインデックス・継続的な鮮度・出版社エコシステム・品質シグナル)、中間のLeading edge systems(分散検索・グローバルルーティング・パッセージ抽出・鮮度安全性)、最上層のEngine of SOTA models(埋め込み検索・セマンティックランキング・パッセージ+証拠抽出)の3層で構成されています。

提供するエンドポイントはWebページ・ニュース・画像・動画など複数の領域に分かれており(Foundry開発ブログではshoppingも挙げられ、公式FAQは「six+ verticals」と表現)、いずれもエージェントが扱いやすいトークン効率の良い構造化レスポンスを返します。ゼロデータリテンション設計のため、Web IQに送信したクエリやデータは学習に使われず、内部保管もされません。

4層の中で唯一「組織の外」を担う層であり、市場動向・最新ニュース・公開ベンチマークなどを必要とするユースケースで真価を発揮します。


Microsoft IQの4層がどう連携するか——4層クロスクエリの仕組み

Microsoft IQの本領は、4層が独立した機能の寄せ集めではなくひとつのエージェントが状況に応じて複数層を組み合わせて使える点にあります。本セクションでは、その連携の仕組みを具体例とともに整理します。

4層クロスクエリの仕組み

単一エージェントが4層を切り替える動作例

Microsoft IQの4層連携を理解する上で分かりやすい動作例として、1つのエージェントに3種類の質問を投げた際の挙動を整理します(実際の挙動はエージェント設計・ルーティング設定に依存)。

ユーザーの質問 エージェントが呼び出した層 取得した情報
「最近の会議トップ5を教えて」 Work IQ カレンダーから出席率・重要度の高い会議を抽出
「先月の北米リテール売上は?」 Fabric IQ リテール部門のオントロジー経由でPower BIから実数を取得
「契約書PDFの第8条の更新条件は?」 Foundry IQ SharePoint内のPDFをナレッジベースから検索・該当箇所抽出


同じエージェントが、質問の種類によって自動的にWork IQ・Fabric IQ・Foundry IQを切り替えています。エージェントは「どの層を呼ぶか」を内部のルーティング判断で決めており、ユーザーは層を意識する必要がありません。

4層を切り替える動作例

Foundry IQが他3層の統合エンドポイントになる構造

4層連携の中核を担うのがFoundry IQです。画像のFoundry IQナレッジソース選択画面でも、Work IQ・Fabric IQ(OneLake Catalog)・Web・MCP Server・Azure Blob Storage・Azure AI Search Index・Azure SQL・Upload files・Use existing sourcesなど複数のknowledge sourceがカードとして並び、同じ層から横並びに選択できる設計になっています。Microsoftの公式ドキュメントでも、Foundry IQのナレッジベースには「Work IQ」「Fabric IQ」「Azure SQL」「File Search」「MCPサーバー」などを知識源として登録できると示されています。

Foundry IQのナレッジソース選択画面(Work IQ・Fabric IQ・Web・MCP Server・Azure Blob Storage・Azure AI Search Index・Azure SQL等のカードが並ぶ)
Foundry IQのナレッジソース選択画面。Work IQ・Fabric IQ・Webが他のソースと同じ層にカードとして並ぶ(出典:Microsoft Foundry開発ブログ

つまり、開発者が「Work IQと社内Wikiと公開Webを同時に検索したい」と思った場合、4層を直接呼び分けるのではなくFoundry IQに3ソースを束ねて1回の検索リクエストで済ませる、という設計が可能です。これにより、エージェント側のロジックが単純化されます。ただしSLA保証は機能ごとの提供状態に依存し、Foundry IQのナレッジベース自体はGA・SLA-backedですが、Work IQ・Fabric IQ・Web IQをknowledge sourceとして束ねる新機能はpublic preview(Web IQ in Foundry IQは2026年6月時点でlimited access)の段階です。全層が同一SLAで束ねられる完成形ではなく、preview期間中に順次拡大している過渡期にある点に注意してください。

連携パターン 動作
Foundry IQ → Work IQ 組織内の働き方コンテキストをFoundry IQ経由で取得
Foundry IQ → Fabric IQ ビジネスデータをFoundry IQ経由で取得
Foundry IQ → Web IQ 公開Web情報をFoundry IQ経由で取得
Foundry IQ → Azure SQL/SharePoint/MCP 既存システムをFoundry IQの知識源として接続


この構造から見ると、Foundry IQは「4層のひとつ」であると同時に「他3層を束ねる統合検索エンドポイント」という二重の役割を担っています。アーキテクチャ設計の観点では、Foundry IQを軸にMicrosoft IQの全体像を組み上げると見通しが良くなります。

Foundry IQの統合エンドポイント

MCP・A2A・RESTでサードパーティとも連携

Microsoft IQはMicrosoftのエージェント基盤だけで閉じているわけではなく、Work IQ APIを中心に、各IQは機能ごとに標準プロトコル対応が進んでいる状態です。層ごとの対応プロトコルは公式情報では以下のように整理されています。

MCP A2A RESTでのサードパーティ連携

  • Work IQ API
    A2A(Agent-to-Agent)・MCP(Model Context Protocol)・RESTの3プロトコルに対応。M365 Copilot外で構築したエージェントからも組織コンテキストを取り出せる窓口

  • Foundry IQ
    MCPサーバー(Foundry IQ MCP)として外部公開でき、Claude Code・CursorをはじめMCP対応クライアント(公式ブログではClaude・ChatGPT・LangChain・Microsoft Agent Framework等を例示)からナレッジベースを横断検索可能

  • Web IQ
    REST/MCP/SDKでの呼び出しに対応(公式FAQ準拠)。ただしWeb IQ本体はlimited access扱いで、申請ベースの提供

  • Fabric IQ
    オントロジーMCPサーバーなど一部機能でMCP対応を進めている段階で、全機能が標準プロトコルで開放されているわけではない


このように層ごとに対応プロトコルが異なるため、外部エージェントからMicrosoft IQを呼び出す場合は「どの層をどのプロトコル経由で叩くか」を最初に確定させる必要があります。Microsoft純正のエージェント開発を縛らずに「Microsoft環境の組織コンテキスト」を供給できる方向性は共通していますが、実装難度や提供条件は層ごとに違う点を踏まえた設計が前提になります。


Microsoft IQとMicrosoft Graphの違い——アクセス層と意味理解層

「Microsoft 365のデータをAPI経由で取れる仕組みなら、すでにMicrosoft Graphがあるのでは?」という疑問は、Microsoft IQを検討する企業がほぼ必ず通る論点です。両者の役割分担を整理しておきます。

Microsoft IQとMicrosoft Graphの違い

Microsoft GraphとMicrosoft IQの責任範囲

Microsoft GraphとMicrosoft IQは、競合関係ではなく上下の階層関係にあります。Graphが下層のデータアクセス層を担い、Microsoft IQが上層の意味理解・推論支援を担う構造です。

GraphとMicrosoft IQの責任範囲

観点 Microsoft Graph Microsoft IQ
役割 M365データへの統一APIアクセス 組織コンテキストの意味理解と推論支援
提供単位 リソース単位(メール・ファイル・ユーザーなど) コンテキスト単位(働き方・ビジネス・知識・Web)
パーミッション リソース単位のアクセス制御 Graphのパーミッションをそのまま継承+セマンティックインデックスで横断検索
開発者の負担 自分でデータ取得・インデックス・推論ロジックを実装 データ取得・関連性判定・統合提示までを基盤側が担う
想定利用者 アプリ開発者 エージェント開発者・Copilot利用者


Graphだけでエージェントを作る場合、開発者は「どのリソースを取るか」「どう関連付けるか」「どの順序で提示するか」をすべて自前で組む必要があります。Microsoft IQはこの部分を基盤として提供することで、エージェント開発の負担を大きく軽減します。

「意味理解層」がエージェント時代に必要な理由

GraphからMicrosoft IQへの進化は、Microsoftが「APIを叩く時代」から「エージェントが意味で照会する時代」への移行を見ているサインです。

意味理解層が必要な理由

たとえば「直近のプロジェクトAに関連する重要なやりとりをまとめて」というリクエストに対して、Graphだけで応答するには「プロジェクトA」というキーワードをメール・チャット・ファイル名で全文検索する必要があります。これだとプロジェクトの正式名称が出てこないやりとりは漏れます。

Microsoft IQはセマンティックインデックスとオントロジーを使い、「プロジェクトA」を業務エンティティとして扱った上で、関連メンバー・関連時期・関連ドキュメントを意味的に紐付けます。さらにPurview感度ラベルとMicrosoft Entraのアクセス制御を組み合わせることで、許可された情報だけを返します。

実務的な使い分けとしては、Graphは「特定リソースを正確に取得する用途」、Microsoft IQは「意味で関連するコンテキストをまとめて取得する用途」と整理するのが現実的です。エージェントが扱う情報の質を引き上げる層、というのがMicrosoft IQのコアバリューになります。

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Microsoft IQと関連製品の関係——Agent 365・M365 E7・Foundry・Copilot Studio

Microsoft IQはMicrosoftのAIスタックの中で独立して存在するわけではなく、Agent 365・Microsoft 365 E7・Foundry・Copilot StudioM365 Copilotなどの関連製品と接続しています。それぞれの関係を整理することで、自社にとってMicrosoft IQが具体的に何を意味するかが見えてきます。

Microsoft IQと関連製品の階層

Microsoft AIスタックの階層整理

Microsoft IQと関連製品の関係を階層図で整理すると、以下のように分けられます。

階層 製品 役割
利用者接点 Microsoft 365 Copilot、GitHub Copilot、Teams Copilot エージェント・Copilotの利用入口
エージェント開発 Microsoft Foundry、Copilot Studio エージェント本体の構築・運用基盤
エージェント統制 Agent 365 エージェントのID・ライフサイクル・監査管理
知能レイヤー(Microsoft IQ) Work IQ・Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQ エージェントへの組織コンテキスト供給
データ/APIレイヤー Microsoft Graph、Microsoft Fabric、Azure 生データへのアクセス基盤


この階層から見ると、Microsoft IQは「データ層」と「エージェント層」の間に挟まれた中間レイヤーとして位置づけられています。エージェントを作るための基盤(Foundry・Copilot Studio)でもなく、生データを保持するDB(Fabric・Azure)でもない、コンテキスト供給専用の層という位置です。

Agent 365との関係——「エージェント本体」と「エージェントの脳」

Agent 365は、2026年5月1日に一般提供が始まったMicrosoftのエージェント統制プラットフォームです(Microsoft Partner Center 2026年3月発表)。エージェントごとにIDを付与し、ライフサイクル・アクセス権限・監査ログを統制するための仕組みを提供します。

Agent 365との関係

Microsoft IQとAgent 365の関係は、「エージェントが動くための脳(Microsoft IQ)」と「エージェントが正しく動くためのガバナンス(Agent 365)」という分業です。実装上、Microsoft FoundryやCopilot Studioで作られたエージェントはAgent 365に登録されてIDを持ち、Microsoft IQ経由で組織コンテキストを取得して応答する、という関係になります(GitHub Copilotなど他のエージェント基盤の連携形態は公式ドキュメントで個別に確認が必要)。

Microsoft 365 E7(Frontier Suite)との関係

Microsoft 365 E7は2026年5月1日に一般提供が始まった、エンタープライズ向けの最上位スイートライセンスです。M365 E5+Microsoft 365 Copilot+Microsoft Entra Suite+Agent 365を束ねた構成で、Microsoft IQの恩恵を最大化するパッケージとして設計されています。

Microsoft 365 E7との関係

M365 E7を契約すると、Work IQはM365 Copilot経由で標準利用が含まれ、Agent 365によるエージェント統制も込みになります。Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQは別途利用料が発生しますが、Microsoft環境を全面的にMicrosoft IQで運用する場合、E7ライセンス+追加サービスという組み合わせが最も整理された経路です。

Foundry/Copilot Studioとの関係

Microsoft FoundryとCopilot Studioは、Microsoft IQを「使う側」のエージェント開発基盤です。両者の使い分けは次のとおりです。

FoundryとCopilot Studioの使い分け

  • Microsoft Foundry
    Azure上でコードベースでエージェントを構築する開発者向け基盤。Foundry IQはこのFoundry上のエージェント開発体験の中核として組み込まれています。

  • Copilot Studio
    ローコード/ノーコードでエージェントを構築する非エンジニア向け基盤。対応済みのIQ機能をツール/コネクタとして選択でき、ノーコードでも組織コンテキストを活用できます。


どちらの基盤からも対応するツールやコネクタ経由でMicrosoft IQの機能を呼び出せる設計ですが、利用可否は層・機能・提供状態(GA・public preview・limited access)に依存します。Web IQはlimited access、Foundry IQの新knowledge sourcesはpublic preview段階のため、Copilot StudioとFoundryから4層全部が同一条件で即時利用できるわけではない点に注意してください。エージェント開発の入口は分かれていても、その先で利用する「組織知能」がMicrosoft IQに統一されている、という方向性自体は変わりません。


Microsoft IQの導入順序とケース別の使い分け

Microsoft IQは4層全部を一気に立ち上げる必要はなく、自社のMicrosoft環境への投資状況に応じて出発点を選べます。AI総研の支援現場で見えているケース別の進め方を整理します。

Microsoft IQの導入順序とケース別使い分け

ケース1:M365 Copilotを既に導入している企業

Microsoft 365 Copilotを全社展開している、あるいは部門展開している企業の場合、Work IQはすでに利用が始まっています。Copilotで「メールの要約」「会議の議事録作成」「ドキュメント検索」を使ったことがあるなら、その裏側ではWork IQが動いていると考えて差し支えありません。

ケース1 M365 Copilot既導入企業

次のステップとしては、Work IQ APIをサードパーティ製エージェントから呼び出せるようにする運用設計が現実的です。Claude Code・Cursorなど開発者向けエージェントや、社内ノーコードプラットフォームで構築したエージェントに、Work IQ経由でM365データを安全に渡せるようになります。2026年6月16日のWork IQ API GAに合わせて準備を進めると、機会損失を防げます。

ケース2:Microsoft Fabricを既に利用している企業

Microsoft Fabricでデータ統合・分析基盤を構築済みの企業は、Fabric IQへの拡張が最短距離です。既存のPower BIセマンティックモデルがあれば、そこからオントロジーを自動生成して、業務エンティティ(顧客・案件・在庫など)として再定義できます。

Fabric IQフレームワークの4 core capabilities(Unify the Data Estate・Process and Harmonize Data・Curate Semantic Knowledge・Empower AI Agents)
Fabric IQが立ち上がる前提となる4つのコア機能。データ統合・処理・セマンティックナレッジ整備の上にエージェント活用が乗る(出典:Microsoft Learn

ケース2 Microsoft Fabric既利用企業

画像のフレームワーク図で示したとおり、Fabric IQはUnify the Data Estate(データ統合)→Process and Harmonize Data(処理・調和)→Curate Semantic Knowledge(セマンティックナレッジ整備)→Empower AI Agents(エージェント活用)という4 core capabilitiesが下から順に積み上がる構造です。Fabricを既に利用している企業は下位2層(Unify/Process)が整っている状態のため、Curate Semantic KnowledgeとEmpower AI Agentsを乗せるだけでFabric IQが立ち上がる、というのが「最短距離」の根拠になります。

Fabric IQが立ち上がると、Fabric内のデータ自体は変えずに「エージェントが推論できるデータ」に変わります。BIダッシュボードを見るためのデータが、エージェントが意思決定に使うデータに昇格する、というイメージです。データ分析チームが既にFabric運用ノウハウを持っているため、IQ層を被せる作業はゼロからFabric構築するよりも遥かに軽くなります。

ケース3:Azure上でカスタムエージェントを開発している企業

Microsoft FoundryやAzure AI Search上で独自のエージェントを開発している場合、出発点はFoundry IQです。複数のナレッジソース(SharePoint・Azure SQL・既存のVector Store・社内文書)を1つのナレッジベースに束ね、検索エンドポイントに変換できます。ナレッジベース自体(GA・SLA-backed)を軸に、新knowledge sources統合(public preview)が順次乗ってくる構造のため、本番運用ではSLA対象機能と preview 機能を切り分けた設計が前提になります。

ケース3 Azureカスタムエージェント開発

開発者が自前でVector Store管理・データ同期・パーミッション制御を作り込まなくて済む点が、Foundry IQ最大の価値です。AI総研の支援現場での目安では、Phase 1(PoC:4〜8週間、1〜2ユースケース、1〜2GB)→Phase 2(パイロット:2〜3ヶ月、3〜5ユースケース、10〜50GB)→Phase 3(本番)という段階導入が現実的です(公式仕様ではなく、実プロジェクトでの所要期間・データ量の経験則)。

ケース4:Web情報を統合したいエージェントを作りたい企業

エージェントが社外の最新情報を扱う必要がある場合は、Web IQから入るのが合理的です。市場動向のリサーチエージェント、競合製品のニュース要約エージェント、公開ベンチマークと社内データを突き合わせる分析エージェントなどが典型例です。

ケース4 Web情報統合エージェント

Web IQはBingベースの検索を低レイテンシ(公式表記でsub-165ms、P95 164ms)で使えるため、Google検索ベースのスクレイピングや独自クローラー構築よりも遥かに安定します。ゼロデータリテンション設計のため、クエリ内容が外部学習に流れない点も企業利用で安心材料になります。

「全部入り」を最初から目指さない

実務の感触として、Microsoft IQ4層を最初から全部立ち上げようとする企業はうまくいかないケースが多くあります。それぞれの層が前提とする既存資産(M365 Copilotライセンス、Fabricデータ基盤、Azureエージェント開発体制、Web情報の業務必要性)が揃っていないと、構築できても運用に乗らないためです。

全部入りを最初から目指さない

導入判断で詰まりやすい論点は「どの層をホーム層にして、他の層をいつ重ねるか」という設計です。M365 CopilotユーザーならWork IQ、データ分析中心ならFabric IQ、エージェント開発者ならFoundry IQ、Web情報依存ならWeb IQ、と最も自社のリソースが活きる層から始めて、運用が落ち着いた段階で次の層を追加するのが現実的です。


Microsoft IQの料金体系——Copilot Creditsと各層料金の二重構造

Microsoft IQの料金体系で押さえるべき最大のポイントは、Work IQ APIをはじめCopilot Studio系の利用はCopilot Creditsで課金される一方、Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQは各サービス固有の料金体系を引き継ぐという二重構造になっていることです。「4層すべてが横断課金で統一されている」と読まれがちですが、実際には課金経路が分かれているため、コスト試算では各層の料金ページを個別に確認する必要があります。

Copilot Creditsと各層料金の二重構造

Copilot Creditsの3つの購入方法

Copilot Creditsは、主にCopilot Studio・Microsoft 365 Copilot Chat・SharePoint agents・Work IQ APIで消費される共通通貨です。Microsoft IQの4層全部が直接Copilot Creditsで課金されるわけではない点に注意してください(Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQは別系統)。購入方法は3種類用意されています。

Copilot Creditsの3つの購入方法

プラン 価格 適性
Pay-as-you-go(PayGo) $0.01/クレジット(Azureサブスクリプション経由) 利用量が不安定・低ボリューム・評価段階
Copilot Credit Capacity Pack $200/月(25,000クレジット、テナント毎) 利用量が安定・予測可能、M365管理センターで購入
Copilot Credits Pre-Purchase Plan(P3) コミット規模に応じた段階割引(年払い) 複数Copilotワークロードを横断する大規模利用


2026年6月時点のレートで換算すると、Capacity Packは1クレジットあたり$0.008と、PayGoより20%安く購入できます。Pre-Purchase Planはコミット規模で更に割引が積まれるため、年間予算が見えている場合は最も単価が下がる選択肢です。

Work IQ APIの課金経路

Work IQ APIは2026年6月16日にGAを迎え、Copilot Creditsを使った従量課金が始まります。重要な区別として、M365 Copilot体験内(Copilot Chat・Word・Excel・Teamsなど)からのWork IQ利用はM365 Copilotライセンスに含まれる一方、Work IQ APIをサードパーティ製エージェントや未ライセンスユーザーから呼び出した場合は従量課金(Copilot Credits消費)になる点が公式に明示されています。

Work IQ APIの課金経路

つまり、社内のM365 Copilotを通じた利用は追加課金なしですが、外部エージェント(Claude Code・社内開発エージェント・カスタムCopilot Studioエージェントなど)からWork IQ APIを叩く場合と、M365 Copilot未ライセンスユーザーが利用する場合はCopilot Creditsを消費します。サードパーティ連携を始める前にAdmin Centerで従量課金を有効化しておく準備が必要です。

Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQの料金

Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQはそれぞれ別系統の料金体系で扱われます。Fabric IQはFabric容量(Fxx SKU)、Foundry IQはAzure AI Searchとagentic retrievalのトークン消費、Web IQ本体はlimited accessで公開価格表が未提示という構成です。各層の料金詳細は専用記事に整理してあります。

Fabric Foundry Web IQの料金

  • Fabric IQの料金
    Fabric容量(Fxx SKU)に基づくコンピュート課金。オントロジー利用は通常のFabricワークロード扱い。

  • Foundry IQの料金
    Azure AI Searchのインデックス・クエリ単価と、エージェント的検索のトークン消費が主軸。Pay-as-you-goで無料枠あり。

  • Web IQの料金
    2026年6月時点でWeb IQ本体はselect Azure customers向けlimited access扱いのため、公開価格表は未提示。Grounding with Bing系(Foundry Web Searchツール)とは別系統のagent-nativeプラットフォームで、利用条件・料金はMicrosoft窓口で個別確認が必要。GA一般利用ルートとしてFoundry「Web Search」(Grounding with Bing pricing準拠)を先に使う形が現実的。


Microsoft IQ全体としては「Copilot Creditsで統一されているWork IQ API」「既存Microsoftサービスの料金体系を引き継ぐFabric IQ・Foundry IQ・Web IQ」という二重構造になっています。料金計算の見通しを良くしたい場合は、まずCopilot Credits Pre-Purchase Planで予算枠を確保しつつ、各IQ固有の課金は別途Azureコストとして追跡するのが実務的です。

Microsoft 365 E7ライセンスとの組み合わせ

Microsoft 365 E7を契約する場合、M365 Copilot+Agent 365+Entra Suiteのスイート価格にM365 Copilot体験経由のWork IQ標準利用が含まれます。M365 Copilot体験内でのWork IQ利用に追加課金が発生しない範囲が広がるため、Copilotユーザー数が多い大企業ではE7契約のほうが体験ライセンス側のWork IQ追加課金を抑えられるケースがあります。なお、Work IQ APIをサードパーティ製エージェントから叩く部分はE7契約でも従量課金扱いになる点は変わりません。

Microsoft 365 E7との組み合わせ

簡単な判断目安としては、社内Copilotユーザー数が多くサードパーティ製エージェントとの連携が限定的ならE7契約が有利、Copilotユーザー数は少なくサードパーティ連携が中心ならCapacity Pack+PayGoのほうが柔軟、という整理になります。

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Microsoft IQの組織コンテキストを業務実装まで届けるには

Microsoft IQで「エージェントが組織を理解する」前提が整っても、実際の業務で価値を出すには、TeamsからAgentを呼び出す入口・Agent単位の権限管理・実行ログの統合・基幹システムへの最終アクションを担う層が別に必要になります。Microsoft IQはあくまでコンテキストを供給する基盤で、業務システム連携と運用統制までを面倒見るレイヤーではないためです。

ここで効いてくるのが、自社のAzureテナント内で動くエンタープライズAIエージェント基盤AI Agent Hubです。AI Agent HubはMicrosoft Foundry・Copilot Studio・n8nで構築したエージェントを1つの管理ダッシュボードに集約し、Microsoft IQから取得した組織コンテキストを使ってSAP Concur・freee会計・Dynamics 365・Salesforceなどの業務システムまで自動実行までつなぐ「実行・統制レイヤー」として機能します。Microsoft IQが整える組織知識基盤と組み合わせることで、PoCで止まらない本格的なAIエージェント運用基盤が完成します。

AI総合研究所の専任チームが、Microsoft IQの活用設計からAI Agent Hubでの業務実装まで一気通貫で伴走します。Microsoft環境を起点にしたエージェント運用の全体像を、無料の資料でご確認ください。

Microsoft IQの先で業務を動かす基盤を整える

AI Agent Hub

組織コンテキストを業務実装までつなぐ

Microsoft IQで整えた組織コンテキストを実際の業務フローにつなげるには、Teamsからの呼び出しやAgent単位の権限管理・実行ログを統合する層が必要です。AI Agent Hubの資料で、Microsoft環境を起点にしたエージェント運用の全体像をご確認ください。


まとめ

本記事では、Microsoft IQの全体像と発表ロードマップ、4層それぞれの役割と連携の仕組み、Microsoft Graphとの違い、Agent 365やMicrosoft 365 E7などの関連製品との関係、ケース別の導入順序、Copilot Creditsと各層料金の二重構造までを2026年6月時点の最新情報で整理しました。要点を改めて整理します。

  • Microsoft IQが公式名称で、Frontier IQという公式名称はMicrosoft資料で確認できない(Frontier Suite=M365 E7のライセンス名、Frontier Firm/Transformation=戦略コンセプトはあるが別概念)として整理する

  • 4層(Work IQ/Fabric IQ/Foundry IQ/Web IQ)は単体導入可能だが、Foundry IQが他3層を束ねる統合検索エンドポイントとして機能する設計になっており、Foundry IQを軸に全体を組むと見通しが良い(ただしknowledge sourceの統合機能はpublic preview〜limited accessで段階拡大中)

  • Microsoft GraphとMicrosoft IQは上下階層関係で、Graphはリソース単位のAPIアクセス層、Microsoft IQは意味理解・推論支援を担う上位層という役割分担になっている

  • Microsoft IQはAgent 365・M365 E7・Foundry・Copilot Studioなどとセットで運用される基盤で、エージェント開発基盤と統制基盤の中間に位置する組織コンテキスト供給層として設計されている

  • 導入順序は自社の既存資産起点で決めるのが現実的で、M365 Copilot利用済みならWork IQ、Fabric利用済みならFabric IQ、Foundry開発中ならFoundry IQ、Web情報統合ならWeb IQから入るのが詰まりにくい

  • 料金はWork IQ APIやCopilot Studio系がCopilot Credits、Fabric IQ・Foundry IQ・Web IQが各サービス固有料金の二重構造。Copilot CreditsはPayGo $0.01/クレジット・Capacity Pack $200/25,000クレジット・Pre-Purchase Planの3形態。M365 Copilot体験内のWork IQ利用はライセンスに含まれるが、Work IQ APIをサードパーティから呼ぶ場合は従量課金になる


Microsoft IQは「エージェントが組織を理解しないまま回り続ける」状態を解消する基盤として、Microsoftが半年かけて組み上げてきた構想の到達点です。一方で、Microsoft IQそのものを導入するだけでは業務効果は出ません。組織コンテキストをエージェントが使える状態にしたうえで、業務システム連携・実行統制・運用ガバナンスまで含めた全体設計を組まないと、PoC止まりになります。

自社のMicrosoft環境への投資状況を踏まえて出発点となる層を選び、そこから順次他の層を重ねる段階的な進め方が、最も無理なくMicrosoft IQを使いこなす道筋になります。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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