この記事のポイント
MicrosoftがOSS公開したAIコーディングエージェント向けAzure操作プラグイン。Skills・Azure MCP Server・Foundry MCP Serverの3層構成
prepare→validate→deployの3ステップによるデプロイ自動化ワークフロー
Claude Code・GitHub Copilot・VS Code等の複数クライアントに対応
プラグインはMITライセンスで無料。Azure側リソース費用のみ別途課金

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
「Azureへのデプロイや診断を毎回手作業でやっていて、もっと効率化できないか?」
Azure Skills Pluginは、MicrosoftがOSSで公開したAIコーディングエージェント向けのAzure操作プラグインです。
Skills(判断層)・Azure MCP Server(実行層)・Foundry MCP Server(AI層)の3層構成で、Claude CodeやGitHub CopilotからAzureリソースを直接操作できます。
本記事では、3層アーキテクチャ、スキル一覧、デプロイ3ステップ、接続方法、料金まで解説します。
目次
Azure Skills Pluginで何ができる?主要機能とユースケース
Azure Skills Pluginのスキル一覧と分類(README上は20、現行22)
デプロイの3ステップ(prepare→validate→deploy)
Azure Skills Pluginとは?
Azure Skills Pluginは、Microsoftが公開したAIコーディングエージェント向けのAzure操作プラグインです。GitHubリポジトリでMITライセンスのオープンソースとして公開されており、Claude CodeやGitHub CopilotなどのコーディングエージェントからAzureリソースの操作・デプロイ・診断・最適化を直接実行できるようにします。

従来、コーディングエージェントでMicrosoft Azureを操作するには、Azure CLIのコマンドを手打ちで指示するか、個別のMCPサーバーを自分で設定する必要がありました。Azure Skills Pluginは、20以上のスキル定義 + 200以上のAzureツール + AI Foundry連携を1回のインストールでまとめて導入できるため、この手間を大幅に削減します。
公式ブログでは、このプラグインを「単なるプロンプト集ではなく、判断ロジック + 実行ツール + ガードレールをパッケージ化したAzure能力レイヤー」と位置づけています。GitHubリポジトリは2026年2月26日に作成され、3月9日に正式発表されました。
従来のAzure操作との違い

Azure Skills Pluginの導入前後で、エージェントのAzure操作がどう変わるかを以下の表で整理します。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| デプロイ | Azure CLIコマンドを手動で指示 | azure-prepare→validate→deployで自動化 |
| 診断 | ログを手動確認→エージェントに貼り付け | azure-diagnosticsがログ・メトリクスを自動取得 |
| コスト最適化 | Azure Portalで手動チェック | azure-cost-optimizationが無駄を検出+提案 |
| AI Foundry連携 | 別途MCPサーバーを設定 | Foundry MCPが同梱。モデル管理を直接操作 |
端的にいえば、「エージェントにAzureの知識と操作能力を丸ごと追加する拡張パック」です。単にAzure CLIのコマンド例を教えるプロンプト集とは異なり、各スキルにはワークフロー(手順の順序)とガードレール(やってはいけない操作の制限)が組み込まれている点が大きな違いになります。
Azure Skills Pluginで何ができる?主要機能とユースケース
Azure Skills Pluginを導入すると、コーディングエージェントにAzure操作の能力がまとめて追加されます。ここではカテゴリごとに代表的なユースケースを紹介します。各スキルの技術的な詳細は後述の「スキル一覧と分類」で解説します。

ビルド・デプロイの自動化

「このNode.jsアプリをAzure Container Appsにデプロイして」と指示するだけで、Dockerfileの生成からリソースのプロビジョニング、デプロイの実行までをエージェントが自律的に進めます。azure-prepare→azure-validate→azure-deployの3ステップで、コード分析から本番デプロイまでを一貫して自動化できるのが特長です。
実際に、このワークフローを使ってNode.js APIのデプロイを全自動化したハンズオン記事(Qiita)も公開されています。
トラブルシューティング・運用

「このアプリが500エラーを返している原因を調べて」という指示から、Application Insights等の監視機能を活用してログ取得→エラー原因の特定→修正案の提示まで自動で進行します。従来はAzure Portalでログを手動確認し、エージェントに貼り付ける必要がありましたが、azure-diagnosticsが一連の作業を代行します。
コスト最適化

azure-cost-optimizationが現在のAzureリソースの利用状況を分析し、無駄なリソースの特定と削減提案を行います。未使用のVMやオーバープロビジョニングされたサービスを検出し、具体的なコスト削減額を提示します。
AI Foundry連携

Foundry MCPを通じて、Microsoft Foundry(旧称Azure AI Foundry)のモデルカタログからモデルを検索・デプロイしたり、エージェントワークフローを管理したりできます。AIアプリケーション開発でモデルの選定からデプロイまでをエージェントに任せるユースケースに対応しています。
Azure Skills Pluginの3層アーキテクチャ
Azure Skills Pluginは、**Skills(判断層)・Azure MCP Server(実行層)・Foundry MCP Server(AI層)**の3層で構成されています。この3層が連携することで、エージェントは「何をすべきか判断し、実際にAzureリソースを操作し、AIワークフローも扱える」ようになります。

Skills層(判断層)

Skills層は、エージェントに**「Azureの仕事のやり方」を教える**レイヤーです。20以上のスキル定義が含まれており、各スキルはワークフロー・判断ツリー・ガードレール(やってはいけないこと)を提供します。
スキルはMarkdownベースのプロンプトファイルとして定義されており、エージェントがどのツールをどの順序で使うべきかを構造的に指示します。たとえばazure-deployスキルは、「まずazure-prepareで事前準備が完了しているか確認し、次にazure-validateで検証を通し、問題なければデプロイを実行する」というワークフローを定義しています。
Azure MCP Server(実行層)

Azure MCP Serverは、エージェントが実際にAzureリソースを操作するためのツール群を提供するレイヤーです。MCP(Model Context Protocol)経由で40以上のAzureサービスに対する200以上の構造化ツールを提供します。
リソースの一覧取得、価格確認、ログクエリ、診断実行、インフラプロビジョニング、デプロイ実行などの操作が、すべてMCPツールとして定義されています。Skills層が「何をすべきか」を判断し、Azure MCP Serverが「それを実行する」という役割分担です。
VS Code向けにはAzure MCP拡張として提供されており、2026年3月15日時点でMarketplace上のインストール数は約61万件です。
Foundry MCP Server(AI層)

Foundry MCP Serverは、Microsoft Foundry(旧称Azure AI Foundry)のモデルデプロイ・エージェント管理・モデルカタログ操作に特化したレイヤーです。AIアプリケーションの開発で、モデルの検索→評価→デプロイ→運用のワークフローをエージェントから直接操作できます。
3層の連携フローとしては、Skills層が「このプロジェクトにはContainer AppsとCosmos DBが必要」と判断し、Azure MCP Serverが「リソースをプロビジョニングしてデプロイする」、Foundry MCP Serverが「必要なAIモデルをFoundryからデプロイする」という形で協調動作します。
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Azure Skills Pluginのスキル一覧と分類(README上は20、現行22)
Azure Skills Pluginには、公式READMEで20のスキルが搭載と案内されています。リポジトリの更新に伴いスキルは追加されることがあり、2026年3月時点では22スキルが確認できます。大きく6つのカテゴリに分類されるため、ここではカテゴリ別に概要と代表スキルを紹介します。

ビルド・デプロイ

Azureへのアプリケーションデプロイを自動化するスキル群です。
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azure-prepare
プロジェクトのコードベースを分析し、Dockerfile・インフラコード(Bicep等)・デプロイ設定を自動生成する。デプロイ前の準備を一括で行うスキル
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azure-validate
デプロイ前の事前検証を実行。リソースの競合、設定の不整合、セキュリティポリシー違反などを検出する
-
azure-deploy
実際のデプロイパイプラインを実行。azure-prepareとazure-validateの完了を前提とする
この3つが連携して動作する「prepare→validate→deploy」のワークフローが、Azure Skills Pluginの中核機能です。詳細は次のセクションで解説します。
トラブルシューティング・運用

デプロイ後の問題対応と運用監視に使うスキル群です。
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azure-diagnostics
ログ・メトリクス・KQLクエリを使ってAzureリソースの問題を診断。障害の根本原因を特定する
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appinsights-instrumentation
Application Insightsの計装に関するガイダンスと参考情報を提供する。実際のコード変更はazure-prepare側で行われる
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azure-compliance
ガバナンスポリシーへの準拠状況を確認。セキュリティやコンプライアンスの逸脱を検出する
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azure-quotas
Azureサービスのクォータ(利用上限)を確認する
azure-diagnosticsで障害原因を特定し、appinsights-instrumentationで監視設定を整備するという組み合わせで、運用の立ち上げから障害対応までカバーできます。
最適化・設計

コストとリソース構成の最適化に使うスキル群です。
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azure-cost-optimization
現在のリソース利用状況を分析し、無駄なリソースの特定とコスト削減提案を行う
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azure-compute
コンピュートリソース(VM、Container Apps、Azure Functions等)の選定と構成を支援する
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azure-resource-visualizer
Azureリソースの依存関係を視覚化する
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azure-resource-lookup
Azure Resource Graphを使ったリソースの横断検索を行う
データ・AI

AIサービスとデータ基盤の操作に使うスキル群です。
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azure-ai
Azure AI Servicesの設定・操作を支援する
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azure-aigateway
AI Gatewayの構成とルーティングを管理する
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azure-kusto
KQL(Kusto Query Language)によるログ・データ分析を支援する
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azure-storage
Blob Storage・Table Storage等のストレージサービスを操作する
プラットフォーム・セキュリティ

認証・アクセス制御・移行に使うスキル群です。
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azure-rbac
ロールベースアクセス制御の設定と管理
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entra-app-registration
Microsoft Entra IDのアプリ登録を管理する
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azure-cloud-migrate
オンプレミスからAzureへの移行ワークフローを支援する
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azure-upgrade
Azureサービスのバージョンアップグレードを支援する
AI Foundry

Microsoft Foundryとの統合スキルです。
- microsoft-foundry
モデルカタログの検索、モデルデプロイ、エージェント管理など、Foundryの主要操作を統合的に扱う
上記以外にも、azure-messaging(メッセージング)やazure-hosted-copilot-sdk(エージェントホスティング)など、リポジトリの更新に伴いスキルが追加されています。各スキルはMarkdownファイルとしてGitHubリポジトリで公開されているため、内容を確認した上で利用できます。
デプロイの3ステップ(prepare→validate→deploy)
Azure Skills Pluginの中核ワークフローは、azure-prepare→azure-validate→azure-deployの3ステップです。この一連の流れにより、コード分析から本番デプロイまでをエージェントが自律的に実行できます。

Step 1: azure-prepare(事前準備)

プロジェクトのコードベースを分析し、デプロイに必要な以下の成果物を自動生成します。
- Dockerfile(コンテナ化されていない場合)
- インフラコード(Bicep / Terraform)
- デプロイ設定ファイル(azure.yaml等)
既存のインフラコードがある場合はそれを検出して再利用します。「ゼロから作る」だけでなく「既存の構成を活かす」判断もスキル内のワークフローに含まれています。
Step 2: azure-validate(事前検証)

デプロイ前に以下のチェックを自動実行します。
- リソース名の競合確認
- クォータ(利用上限)の確認
- ネットワーク設定の整合性
- セキュリティポリシーへの準拠
問題が検出された場合は、修正案とともにエージェントがユーザーに報告します。validateを通さずにdeployを実行しようとすると、スキルのガードレールがブロックする設計になっています。
Step 3: azure-deploy(デプロイ実行)

validate通過後、Azure MCP Serverのツールを使ってリソースのプロビジョニングとデプロイを実行します。デプロイ手段はプロジェクト構成に応じてAzure Developer CLI(azd)、Terraform、ARMテンプレートなどが選択され、インフラの作成→アプリケーションのデプロイ→エンドポイントの確認までを一貫して処理します。
デプロイ後には、azure-diagnosticsやazure-cost-optimizationを使った事後チェックも可能です。「デプロイして終わり」ではなく、「デプロイ→確認→最適化」まで一気通貫で進められるのがAzure Skills Pluginの強みです。
Claude Code / VS Code / Copilotとの接続方法
Azure Skills Pluginは、エージェントプラグインに対応する複数のクライアントで動作します。ここでは主要な接続方法と対応ホストを紹介します。

前提条件(全クライアント共通)

どのクライアントでも以下の準備が必要です。
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Node.js 18+
PATHに通っていること(npx実行に必要)
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Azure CLI
インストール済みで、az loginによる認証が完了していること
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Azure Developer CLI(azd)
デプロイワークフロー(azure-deploy等)を使う場合はazd auth loginでの認証が必要。診断やコスト最適化のみの利用であれば不要
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Azureサブスクリプション
有効なサブスクリプションがあること
GitHub Copilot(VS Code)

Azure MCP拡張をインストールすることで、GitHub Copilotのエージェントモードでスキルが利用可能になります。Marketplace上の対応エンジンは^1.101.0で、MCP自動起動(chat.mcp.autostart)はVS Code 1.103以降で利用できます。
Git CLIも必要なため、事前にインストールしておきましょう。
Claude Code

Claude Codeでは、プラグインマーケットプレイスからインストールできます。ターミナルで以下のコマンドを順に実行します。
claude plugin marketplace add microsoft/azure-skills
claude plugin install azure@azure-skills
Copilot CLI

コマンドライン環境からCopilot CLIを通じて利用する方法もあります。ターミナルで以下のコマンドを実行します。
/plugin marketplace add microsoft/azure-skills
/plugin install azure@azure-skills
インストール後は「このプロジェクトをAzureにデプロイして」と指示するだけで、Skills Pluginが裏側で動作します。
その他の対応ホスト
公式READMEでは、GitHub Copilot(VS Code / CLI)とClaude Codeが案内されています。加えて、Azure Skills PluginはMCPベースのアーキテクチャを採用しているため、公式READMEでも「other compatible hosts」として、MCP対応のコーディングエージェントであれば利用できる旨が記載されています。
たとえば、Visual Studio 2026にはAzure MCP Serverが組み込み済みで、Cursor・Windsurf・Cline等もMCP対応エージェントとしてスキルの利用が見込めます。ただし、Azure Skills Plugin自体の公式動作確認リストに含まれているわけではない点に留意してください。
いずれのホストでも、Skills層のワークフロー定義とAzure MCP Serverのツール群は共通です。クライアントが異なっても、同じスキルで同じ操作が実行されます。
AI導入でお悩みの方へ
Azure Skills Pluginの料金と前提条件
Azure Skills Pluginの導入コストと必要な環境を整理します。
プラグインのライセンス

Azure Skills Plugin自体はMITライセンスのオープンソースで無料です。スキル定義(Markdownプロンプト)はGitHubリポジトリに含まれており、Azure MCP Serverはインストール時に.mcp.json経由でnpx @azure/mcp@latestとして自動取得されます。
Azure側の費用
プラグインは無料ですが、プラグインを通じて作成・操作するAzureリソースの費用は別途発生します。たとえばazure-deployでContainer Appsをプロビジョニングすれば、そのContainer Appsの利用料がAzureサブスクリプションに課金されます。
プラグイン自体の課金はありませんが、エージェントが自律的にリソースを作成する場合は意図しないコストが発生する可能性があります。azure-validateの事前チェックやazure-cost-optimizationの事後チェックを活用することで、コストの見通しを立てやすくなります。Azureの料金体系全般についてはこちらの解説記事も参考になります。
必要な認証設定

Azure Skills Pluginを利用するには、Azureへの認証が必要です。公式READMEでは以下の認証方法が案内されています。
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Azure CLI認証(az login)
対話的にブラウザでサインインする方法。個人開発やローカル環境での利用に向いている。サブスクリプションの選択(az account set)も必要
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サービスプリンシパル(環境変数)
AZURE_CLIENT_ID / AZURE_TENANT_ID / AZURE_CLIENT_SECRET等の環境変数を設定する方法。CI/CDパイプラインや自動化シナリオで利用する
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マネージドID
Azure上のVMやApp Service等から、マネージドIDで認証する方法
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Azure Developer CLI認証(デプロイ時)
デプロイワークフロー(azure-prepare / azure-deploy等)を使う場合は、azd auth loginでのサインインも必要。診断やコスト最適化のみの利用であればazd認証は不要
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適切なRBACロール
操作するAzureリソースに対して適切な権限(共同作成者ロール等)が付与されていること。権限不足の場合はazure-validateの段階で検出される
個人開発であればaz loginが最も手軽です。CI/CDや本番環境ではサービスプリンシパルやマネージドIDを使い、デプロイを行う段階でazd auth loginを追加するのがスムーズです。
まとめ
Azure Skills Pluginは、AIコーディングエージェントにAzureの知識と操作能力を丸ごと追加するプラグインとして、2026年2月にリリースされました。
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**Skills(判断層)+ Azure MCP Server(実行層)+ Foundry MCP Server(AI層)**の3層構成で、エージェントが「判断→実行→AI連携」を一貫して処理
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22のAzureスキルを搭載(2026年3月時点)。デプロイ(prepare/validate/deploy)、診断(diagnostics/appinsights-instrumentation)、最適化(cost-optimization)など6カテゴリをカバー
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azure-prepare→azure-validate→azure-deployの3ステップで、コード分析・インフラ生成・事前検証・デプロイを自動化。ガードレール付きで安全に実行
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**Claude Code・GitHub Copilot(VS Code / CLI)**が公式対応。MCP対応ホストであれば他のエージェントでも利用可能
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プラグイン自体はMITライセンスで無料。Azure側のリソース費用のみ発生
日常的にAzure上でデプロイや診断を手作業で行っている開発チームにとって、このプラグインは反復作業を大幅に削減する可能性があります。まずはGitHubリポジトリからインストールし、azure-prepareで自社プロジェクトのインフラコード自動生成を試してみるのが最も手軽な第一歩です。
AI総合研究所では最新AIの企業導入、開発、研修を支援しています。AI導入の企業の担当者様はお気軽にご相談ください。












