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Microsoft Cost Managementとは?主要機能や使い方を解説

この記事のポイント

  • Azure利用企業はまずCost Managementの全機能を無料で使い切るべき。有料FinOpsツール導入はその後に検討すべき
  • 安定した本番VMにはRI(最大72%割引)、変動ワークロードにはSavings Plan(最大65%割引)を併用すべき
  • Azure Advisorの推奨事項を実行するだけで請求額の15〜25%を削減できるため、最初の最適化施策として必ず着手すべき
  • 予算アラートは70%・90%・100%の3段階で設定し、100%到達時にはAzure Functionsで自動停止を組み込むべき
  • Copilotによる自然言語コスト分析がGA済みのため、異常検出や予算追跡はCopilotに任せて運用効率を上げるべき
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

クラウド環境の拡大に伴い、複雑化するコスト管理は多くの企業が直面する重要な課題です。2025年の調査では、企業のクラウド予算のうち平均30%が未使用・設定ミスのリソースに浪費されており、その総額は445億ドルに上ります。

本記事では、Azureの概要を踏まえ、Microsoft Cost Managementの主要機能からFinOpsの実践、コスト最適化の手法まで、2026年最新の情報で包括的に解説します。

Microsoft Cost Managementとは(2026年最新ガイド)

Microsoft Cost Managementは、Azureをはじめとするクラウドリソースの使用状況とコストを一元的に可視化・分析・最適化するサービスです。Azureポータルのサブスクリプション、リソースグループ、管理グループの各レベルに組み込まれており、追加料金なしで利用できます。2026年現在では、Copilotによる自然言語でのコスト分析やCarbon Optimization(炭素排出量の追跡)など、AI時代に対応した新機能が追加されています。

MicrosoftCostManagementイメージ図
MicrosoftCostManagementイメージ図

以下の表で、Microsoft Cost Managementの基本情報を整理しました。この表により、サービスの全体像と2026年時点の最新状況を把握できます。

項目 内容
サービス名 Microsoft Cost Management + Billing
料金 Azure利用者は無料(コスト分析・予算・アラート・推奨事項・エクスポートすべて含む)
対応範囲 Azure全サービス(AWSコネクターは2025年3月廃止)
FinOps toolkit最新版 v13(2026年1月、Bicepモジュール再編・Parquet対応)
FOCUS標準 v1.3(2025年12月、Contract Commitmentsデータセット追加)
Copilot連携 GA(自然言語でコスト分析・異常検出・予算追跡が可能)
Carbon Optimization リソースレベルの炭素排出量追跡(過去12ヶ月分)

Cost Managementを理解するうえで欠かせない概念がFinOps(Financial Operations)です。FinOpsとは、クラウド支出を効率的に管理し、コストを最小化しながらビジネス価値を最大化するためのプロセスであり、FinOps Foundationには95,000人以上のメンバーとFortune 100企業の93社が参加しています。State of FinOps 2026レポートによると、回答企業の年間クラウド支出は合計830億ドル以上に達し、98%がAIコストの管理にも取り組んでいます。

企業にとって注意すべき変更点があります。2025年11月にMicrosoftはEAティア別ボリュームディスカウント(Level B~D)を廃止し、全組織がLevel Aの定価で契約する方式に移行しました。この変更により、従来ボリュームディスカウントを受けていた企業は6~12%のコスト増が見込まれます。さらに、2025年の調査ではクラウド予算の平均30%が未使用・設定ミスのリソースに浪費されており、その総額は企業全体で445億ドルに上ります。Cost Managementを活用した体系的なコスト最適化が、これまで以上に重要になっています。

AI Agent Hub1

主要機能と2026年の新機能

Microsoft Cost Managementは、コスト可視化から最適化までをカバーする6つの主要機能を提供しています。2025年から2026年にかけて、Copilot連携やCarbon Optimizationなどの新機能が追加され、AI時代のコスト管理に対応しています。

以下の表で、各機能の概要と活用ポイントを整理しました。機能ごとの役割を理解することで、導入時の優先順位を判断しやすくなります。

機能 概要 活用ポイント
コスト分析 サービス・リソース・部門ごとの詳細なコスト内訳とトレンド分析 日次・月次・年次で推移を確認し、異常な増加を早期発見
予算アラート サブスクリプション・リソースグループ単位で予算を設定し、超過時に通知 70%・90%・100%の段階アラートで予算超過を未然に防止
最適化推奨 Azure Advisorと連携し、未使用リソースの特定・サイズ調整・RI提案を実施 Advisor推奨事項の実行でAzure請求額を15~25%削減
異常検知 機械学習で通常パターンから逸脱した支出を自動検出 Logic Apps連携でTeams/Slack通知を自動化
Copilot 自然言語での対話型コスト分析(「先週コストが急増した理由は?」等) OpenAIトークンベースのモデルコスト変動シミュレーションも可能
Carbon Optimization リソースレベルの炭素排出量を追跡(CSV/API対応) Azure Advisorと連携し、コスト削減と排出量削減を同時に推進

Copilot連携は2026年時点でGAとなっており、Azureポータル上でCost Managementの追加ライセンスなしで利用できます。「先週コストが急増した原因は何か」「来月の予算内に収まるか」といった質問を自然言語で投げかけると、リアルタイムの支出パターン分析や異常の特定、予算追跡の結果を即座に返してくれます。

コスト分析では、カスタマイズ可能なレポートを自動生成し、関係者に定期送信する機能も備えています。Power BIと連携することで、ドリルダウンやフィルターを活用したより高度なデータ分析・可視化が実現でき、企業のニーズに合わせたカスタムダッシュボードの作成も可能です。

Power BIイメージ
Power BIイメージ

Carbon Optimizationは、2025年5月にMicrosoft for Sustainability APIの廃止に伴い導入された新機能です。サブスクリプション、リソースグループ、個別リソース、サービス種別、リージョンごとに過去12ヶ月分の炭素排出量データを確認でき、CSVエクスポートやREST APIでの外部連携にも対応しています。コスト削減と環境負荷の低減を同時に推進できる点が、従来のコスト管理ツールとの大きな差別化要因です。

設定手順とAzureポータル操作

Microsoft Cost Managementの利用開始は、Azureポータルから数ステップで完了します。Azureのセキュリティ要件であるMFA必須化(Phase 2、2025年10月~)にも対応した認証でサインインする必要があります。以下に具体的な設定手順を紹介します。

まず、Azureポータルにサインインします。アカウント作成がまだの場合は、Azure無料アカウントから始めることができます。

Azureポータル設定画面
Azureポータル設定画面

次に、左側のメニューから「コストの管理と請求」をクリックします。

コストの管理と請求選択画面
コストの管理と請求選択画面

「コストの管理と請求」画面で「Cost Management」をクリックします。

CostManagement選択画面
CostManagement選択画面

リソースのコスト分析を行う場合は「コストの分析」を選択します。サービス、リソースグループ、タグごとのコスト内訳をリアルタイムで確認できます。

コストの分析選択画面
コストの分析選択画面

コスト最適化の推奨事項を確認する場合は「推奨事項の表示」をクリックします。Azure Advisorと連携した具体的な削減提案が表示されます。

推奨事項の表示選択画面
推奨事項の表示選択画面

FinOpsとコスト最適化の実践

クラウドコストの最適化を体系的に進めるためには、FinOpsフレームワークの理解と適切な購入オプションの活用が重要です。Azure Advisorの推奨事項に従うだけでAzure請求額を15~25%削減できるとされていますが、さらに大幅な削減を実現するにはSavings PlanやReserved Instances(RI)の戦略的な活用が不可欠です。

以下の表で、Azureの主要なコスト削減オプションを比較しました。ワークロードの特性に応じた使い分けが、最適化の成果を左右します。

項目 Reserved Instances(RI) Savings Plans
最大割引率 最大72% 最大65%
コミットメント 特定のインスタンスタイプ+リージョン 時間あたりの金額(コンピューティング全般)
柔軟性 低(SKU・リージョン固定) 高(任意のコンピューティング・任意のリージョン)
契約期間 1年または3年 1年または3年
推奨ワークロード 24時間稼働の安定したVM・データベース 変動する・成長中のワークロード
併用 可能(RIが先に適用され、残りにSavings Planが適用) 可能

RIとSavings Planは併用が可能であり、安定した本番環境のVMにはRIを適用し、開発・テスト環境や変動するワークロードにはSavings Planを適用するという組み合わせが最も効果的です。Azureの料金体系を理解したうえで、Azure Advisorの予約インスタンス推奨を活用すると、自社のワークロードに最適な購入方法を特定できます。

コスト分析レポートイメージ
コスト分析レポートイメージ

Azure Advisorとの連携により、次の3つの観点からコスト削減のアドバイスが提供されます。未使用リソースの特定では、長期間使われていないストレージやVMを検出して削除や停止を提案します。リソースのサイズ調整では、使用率が低いVMやデータベースのスケールダウンを推奨します。予約インスタンスの提案では、過去の利用パターンに基づいて最もコスト効率の良い購入方法を提示します。

Azure Advisorイメージ
Azure Advisorイメージ

特にAzure VMのコスト削減においては、開発・テスト環境の自動停止(deallocate)を設定することが効果的です。VMを「停止」するだけではコンピューティング料金が発生し続けますが、「割り当て解除(deallocate)」すればコンピューティング料金を完全に停止できます。この違いは月額数万円のコスト差につながるため、運用ルールとして明確に定義することが重要です。

FinOpsフレームワークと成熟度モデル

FinOps Foundationが策定するFinOpsフレームワークは、2025年3月に大幅な更新が行われました。従来のクラウドに限定した範囲から拡張され、「Scopes」という新概念が導入されています。Scopesでは、パブリッククラウド・SaaS・データセンターの3つのセグメントに分けて技術関連支出を管理する構造になっており、4つのドメインと22のCapabilityで構成されています。

成熟度モデルは、Crawl(這う)・Walk(歩く)・Run(走る)の3段階で定義されています。重要なのは、単一のスコアではなくScopeとCapabilityごとに成熟度を測定する点です。すべてを一度に最高レベルにする必要はなく、「小さく始めて、規模・範囲・複雑さを段階的に拡大する」アプローチが推奨されています。

データの可視化イメージ
データの可視化イメージ

マルチクラウド環境でのコスト管理においては、FOCUS(FinOps Open Cost and Usage Specification)標準の活用が鍵となります。FOCUS 1.3は2025年12月に策定され、AWS・Azure・GCP・Oracle Cloud・Tencent Cloudのすべてがサポートしています。AWSコネクターが2025年3月に廃止されたため、マルチクラウドのコスト統合にはFOCUS形式のエクスポートをMicrosoft Fabricで分析する方法が推奨されています。Cost ManagementのFOCUS 1.2-previewエクスポートとFinOps toolkit v13を組み合わせることで、クラウド横断のコスト可視化を実現できます。

AI研修

料金体系と導入事例

Microsoft Cost Managementは、Azure利用者に対して追加料金なしで提供されています。コスト分析、予算管理、アラート、推奨事項、データエクスポートのすべてが無料で利用でき、Azure MonitorAzure Backupといった他サービスのコスト管理にも対応しています。

以下の表で、Cost Managementの料金構成を整理しました。

機能 料金 備考
コスト分析・レポート 無料 サービス・リソース・タグごとの詳細分析
予算・アラート 無料 サブスクリプション・リソースグループ単位で設定可能
最適化推奨(Azure Advisor連携) 無料 未使用リソース検出・サイズ調整・RI提案
データエクスポート 無料 ストレージアカウントへのエクスポート(Fabric連携はCU課金別途)
Copilot連携 無料 Azure Copilot利用に追加ライセンス不要
Carbon Optimization 無料 リソースレベルの排出量追跡(CSV/API対応)

全機能が無料であることは、Cost Managementの最大の強みです。有料のサードパーティFinOpsツール(Cloudability、Apptio等)を導入する前に、まずCost Managementの機能を十分に活用しているかを確認することが、コスト最適化の第一歩となります。

導入効果とベストプラクティス

State of FinOps 2026レポートによると、FinOpsプログラムを導入している企業では、クラウドコストの浪費率が35~40%から20~25%へ改善されています。具体的な内訳として、アイドルリソースの浪費が10~15%、過剰プロビジョニングが10~12%、孤立したストレージアカウントが3~6%を占めています。

Cost Managementを効果的に活用するためのベストプラクティスを、以下の4つの観点から整理しました。

  • タグ戦略の導入
    すべてのリソースにプロジェクト、部門、環境(本番/開発/テスト)のタグを付与してください。タグによるコスト分類が整備されていないと、どの部門がどれだけのコストを消費しているかを正確に把握できません

  • 定期的なコストレビュー
    週次または月次で関係者を集めたコストレビューミーティングを開催してください。異常検知アラートの確認、Advisor推奨事項の実行状況、予算消化率の確認を定型化することで、コスト管理が属人化するリスクを防げます

  • 予算アラートの段階設定
    予算の70%・90%・100%で段階的にアラートを設定し、100%到達時にはAzure Functionsを使った自動アクション(リソース停止等)を組み込んでください。予算超過を未然に防ぐ仕組みが重要です

  • RI+Savings Planの最適な組み合わせ
    安定した本番ワークロードにはReserved Instancesを適用し、変動するワークロードにはSavings Planを適用してください。Azure Advisorの予約推奨を定期的に確認することで、最適な購入タイミングを見極められます

Azure OpenAI ServiceAzure Machine LearningといったAIサービスのコスト管理も、State of FinOps 2026レポートで98%の組織が取り組んでいると報告されています。AIワークロードはトークン消費量に応じた従量課金が中心であり、Copilot in Cost Managementを活用してトークンコストの変動シミュレーションを行うことで、予算策定の精度を高めることが可能です。Entra IDによるアクセス権限の適切な設定も、不要なリソース作成を防ぐ観点から重要です。Azure認定資格の取得を通じてFinOpsの知識を体系的に学ぶことも、組織全体のコスト意識向上に効果的です。

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Cost Managementでクラウドコストを可視化・最適化している企業が次に直面するのは、AIエージェント運用にかかるコストの管理です。AI Agent Hubは、Azure Managed Applicationsとして自社テナント内で動作するため、利用コストもCost Managementの管理対象に統合できます。コスト最適化の知見を、AI業務自動化の導入設計にも活かせます。

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Cost Managementの知見をAI業務自動化の設計に活用

Cost ManagementでAzureコストを最適化している企業に。AI Agent HubはAzure Managed Applicationsとして動作するため、AI運用コストもCost Managementで一元管理できます。

まとめ

Microsoft Cost Managementは、Azure利用者に追加料金なしで提供されるコスト管理サービスであり、コスト分析からCopilotによる対話型分析、Carbon Optimizationまで幅広い機能を備えています。2025年11月のEAボリュームディスカウント廃止により6~12%のコスト増が見込まれる中、Cost Managementを活用した体系的なコスト最適化はすべてのAzure利用企業にとって不可欠です。

以下の3ステップで、コスト最適化を始めることを推奨します。

  • ステップ1 Cost Managementの基本設定
    Azureポータルから「コストの管理と請求」にアクセスし、コスト分析の確認と予算アラート(70%・90%・100%)を設定してください。タグ戦略を導入し、プロジェクト・部門・環境ごとのコスト可視化を開始しましょう

  • ステップ2 Azure Advisorの推奨事項を実行
    Advisor推奨事項を確認し、未使用リソースの削除・VMサイズの適正化・開発環境の自動停止(deallocate)を実施してください。この基本的な最適化だけで請求額の15~25%削減が期待できます

  • ステップ3 RI/Savings Planの導入とFinOps体制の構築
    安定ワークロードにReserved Instances、変動ワークロードにSavings Planを導入してください。週次のコストレビューを定型化し、FinOpsの成熟度をCrawlからWalkへ段階的に高めていくことで、長期的なコスト最適化を実現できます

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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