この記事のポイント
Microsoft 365・Dynamics 365への安定接続が業務要件ならMicrosoft Peeringが第一候補。インターネット経由では帯域の揺らぎとレイテンシー増大を避けられない
ExpressRouteサーキットは東京・大阪の冗長構成で設計すべき。単一拠点接続ではSLAの恩恵を最大限に受けられない
セキュリティ要件が厳しい場合はルートフィルターで接続先サービスを限定し、不要な経路広告を排除すべき
グローバル拠点間のMicrosoftサービス接続にはGlobal Reachの併用が有効。拠点ごとに個別回線を引くよりコスト効率が高い
導入後はBGPセッションの監視とパフォーマンステストを定期実施し、帯域利用率80%超で回線増速を検討すべき

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
Microsoft Peeringとは、企業のネットワークとMicrosoftクラウドサービス間の直接接続を強化し、データのセキュリティとプライバシーを保つためのサービスです。
この記事ではMicrosoft Peeringの概要を紹介し、その設定方法や利用シナリオ、ビジネスへのメリットを分かりやすく解説します。特にExpressRouteを用いたプライベート接続の確立が、セキュリティの向上とともに帯域幅の増大やレイテンシーの削減にどのように寄与するのかを、具体的なステップごとに詳しく説明していきます。
さらに、Cloudサービスの利用が進む中で、企業が直面する接続性とパフォーマンスの課題を、Microsoft Peeringを通じてどのように解決できるのかについても触れていきます。
Azureの基本知識や料金体系、利用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Microsoft Azureとは?できることや各種サービスを徹底解説
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Copilot Coworkとは?機能や料金、Claude Coworkとの違いを解説
Microsoft Peeringとは
Microsoft Peeringとは、企業のネットワークとMicrosoftのクラウドサービス間の直接的なネットワーク接続を提供するサービスです。これにより、インターネットを経由せずにデータを交換できるため、接続性が向上し、セキュリティが強化されます。
Microsoft Peeringを利用すると、Azure Virtual Network (VNet) とオンプレミスネットワーク間でプライベートな接続が確立されます。この接続は、Microsoftのグローバルネットワークを介して行われ、ExpressRouteというサービスを通じて実現されます。
ExpressRouteを使用することで、ユーザーはAzureサービスへの高帯域幅で安定した接続を得られるようになり、レイテンシーを大幅に削減できます。
Microsoft Peeringの特徴
- データのセキュリティ
エンドツーエンドの暗号化により、データの機密性が保たれます。 - 高い接続性
レイテンシーの低減と帯域幅の向上により、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。 - グローバルアクセス
世界中のMicrosoftのデータセンターへの接続は、高い信頼性を持ち、企業の重要なビジネスアプリケーションの稼働に貢献、広範なアクセスポイントを提供します。
Microsoft Peeringの設定と構成手順
Microsoft Peeringの設定は、AzureポータルやPowerShellコマンドを通じて行います。設定には、適切な帯域幅の選択、ルーティングポリシーの定義、セキュリティルールの設定などが含まれます。
ステップ1: ExpressRouteサーキットの作成
- Azureポータルにログイン: Azureポータルにアクセスしてログインします。
- ExpressRouteサーキットの作成: 「リソースの作成」から「ネットワーク」カテゴリを選択し、「ExpressRoute」を選びます。必要な情報を入力し、サーキットを作成します。
- プロバイダーの選択: ExpressRouteの接続にはネットワークサービスプロバイダー(NSP)またはエクスチェンジプロバイダー(IXP)が必要です。利用可能なプロバイダーリストから選択します。

ExpressRouteの画像
ステップ2: ピアリングの設定
- ExpressRouteサーキットへのナビゲート: 作成したExpressRouteサーキットにナビゲートします。
- ピアリングの設定: 「ピアリングの設定」セクションを選択し、「Microsoft Peering」を追加します。
- 必要な情報の入力: ルーティング、BGPセッション情報など、Microsoft Peeringに必要な情報を入力します。
ステップ3: オンプレミスネットワークとの接続
- オンプレミスルーターの設定: オンプレミスのルーターにExpressRouteのBGP情報を設定し、Microsoft Peeringを介したルーティングを可能にします。
- VPNゲートウェイの設定オプション: 既存のVPNゲートウェイを使用してオンプレミスネットワークとAzure VNetを接続する場合は、ExpressRouteとの統合を設定します。
ステップ4: バリデーションとテスト
- 接続の確認: ExpressRouteサーキットの「概要」ページで、サーキットとピアリングのステータスが「成功」であることを確認します。
- ネットワークパフォーマンスのテスト: ピンやトレースルートなどのツールを使用して、オンプレミスネットワークとAzureリソース間の接続をテストします。これにより、設定が正しく行われ、期待通りのパフォーマンスが得られているかを確認できます。特に重要なのは、レイテンシーやデータのロスがないことを確認することです。
クラウド接続の最適化をAIエージェント基盤の設計にも活かすなら
Microsoft Peeringでクラウド接続を最適化する企業が次に直面するのは、そのインフラ上でAIをどう活用するかという課題です。AI Agent Hubは、Azureのセキュアな接続基盤の上でAIエージェントがバックオフィス業務を自律実行するプラットフォームです。ExpressRouteで構築した低レイテンシ環境を、AI業務自動化にも活用できます。
セキュアな接続基盤でAIエージェントも運用
ExpressRouteの低レイテンシ環境をAI業務自動化に活用
Microsoft Peeringで構築したセキュアな接続基盤の上で、AIエージェントによる業務自動化を始めませんか。AI Agent HubはAzure環境で動作し、既存のネットワーク設計をそのまま活かせます。
まとめ
Microsoft Peeringを設定することで、企業はオンプレミスネットワークとMicrosoftのクラウドサービス間の高速でセキュアな接続を確立できます。
このプロセスは、ExpressRouteサーキットの作成から始まり、ピアリング設定の構成、オンプレミスネットワークとの接続、そして接続のバリデーションとパフォーマンステストによって完了します。
これにより、データのセキュリティが強化され、アプリケーションのパフォーマンスが向上し、グローバルなアクセスが可能になります。正しく設定されたMicrosoft Peeringは、ビジネスの要求に応える信頼性と効率性を提供します。













