この記事のポイント
Gemini CLIは2026年6月18日終了。Antigravity CLIへの移行が事実上必須
並列運用の起点はAI Ultra $100、ヘビー用途は$200ティア
Managed Agentsは自社組み込みで有力。preview段階のため本番前に提供条件を確認
Antigravity IDEは2.0で別ダウンロード化。エディタ用途と並列エージェント用途で使い分け
エンタープライズはGemini Enterprise Agent Platform経由でGCP連携。pre-GAのため契約条件を個別確認

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
Google Antigravity 2.0は、2026年5月19日のGoogle I/O 2026でGoogleが発表したエージェント中心の開発プラットフォームの新バージョンです。スタンドアロンのDesktop App・Antigravity IDE・Antigravity CLI(Go製)・Antigravity SDK(Python)の4つの主要サーフェスに、Gemini APIのManaged AgentsとGemini Enterprise Agent Platformの関連経路を組み合わせる構成に再編されました。
2026年5月時点では、サブエージェントの並列実行、cron-likeなスケジュールタスク、Google AI Studio・Firebase・Android連携、AI Ultra $100の新ティア新設とAI Ultraの$200上位ティアへの値下げなど、料金体系と機能の両面が同時に刷新されています。
本記事では、Antigravity 2.0の製品ラインアップ・1.0からの主要変更点・新CLI/SDK/Managed Agentsの使い方・新料金プラン・Gemini CLIからの移行手順・他IDE(Claude Code / Cursor / Copilot)との比較・導入パターン別の使い分けまでを2026年5月時点の公式情報で整理します。
1.0から続けて使う既存ユーザーが2.0への移行を判断できる構成です。
目次
②Antigravity CLIの新設とGemini CLIからの統合
③Antigravity SDKによるカスタムエージェント開発
3ダウンロード(Desktop / IDE / CLI)の入手方法
Projects / Worktree / Scoped Permissions
音声コマンドとAI Studio / Firebase / Android連携
Antigravity CLIの使い方とGemini CLIからの移行
Agent Skills / Hooks / Subagents / Antigravity plugins
2026年6月18日のGemini CLI終了と移行スケジュール
Gemini Code Assistライセンス保有者の継続サポート
Antigravity SDKとManaged Agents
Antigravity SDK(Python)でカスタムエージェントを定義する
Managed Agents(Interactions API)の呼び出し
AI Studio Playgroundのcustom agent templates
Antigravity 2.0のハンズオン:Desktop / CLI / SDKを動かす
Antigravity Desktop 2.0のセットアップと並列サブエージェント実行
Antigravity SDK(Python)でカスタムエージェントを動かす
Antigravity 2.0が含まれるGoogle AIプランの構造
AI Ultra上位ティア $200/月(旧$250から値下げ)
エンタープライズ向けGemini Enterprise Agent Platform
Antigravity 2.0と他IDE/エージェントの比較
Antigravity 2.0とClaude Codeの違い
Antigravity 2.0とGitHub Copilot / OpenAI Codexの違い
Antigravity 1.0との違いと既存ユーザーの移行判断
Antigravity 2.0とは

Antigravity 2.0は、Googleが2026年5月19日のGoogle I/O 2026で発表した、エージェント中心の開発プラットフォームの新バージョンです。
2025年11月にGoogle Antigravityとして公開されたVS Codeベースの「次世代IDE」が、約半年で「エージェント基盤」へと位置づけを大きく転換した発表でした。
I/O 2026での発表概要
Google I/O 2026の開発者向け発表セッションで、Googleは「Antigravity」を単一のIDEではなく、複数のサーフェスにまたがるエージェント開発プラットフォームへ再ブランディングする方針を打ち出しました。発表されたのは以下の5要素です。
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Antigravity 2.0 Desktop App
スタンドアロンのデスクトップアプリ。エージェント中心のUIに最適化され、複数エージェントの並列実行とオーケストレーションを担う中心的なサーフェス
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Antigravity CLI
ターミナル向けの軽量サーフェス。Go言語で実装され、Gemini CLIの後継として位置づけられる
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Antigravity SDK
Pythonベースのカスタムエージェント開発キット。Geminiモデル最適化済みで、自社インフラへのデプロイに対応
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Managed Agents(Gemini API統合)
Gemini API側で提供される「マネージド型」のエージェント実行環境。Gemini 3.5 Flashで動作し、isolated Linux環境を1コールでスピンアップできる
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Antigravity in Gemini Enterprise Agent Platform
法人向けの統合経路。Google Cloudプロジェクトに直結し、組織のセキュリティ・ガバナンス要件に従う構成
これだけ広範な発表が一度に行われた背景には、「単一のIDEではなく、複数エージェントを編成して長時間タスクを任せるためのプラットフォーム」という方針転換があります。
同セッションのライブデモでは、Antigravity 2.0を使ってオペレーティングシステムをゼロから構築する試みが披露され、93のサブエージェントが12時間にわたって並列で動作し、合計約26億トークンを消費したと報告されています。
Antigravity 1.0から2.0への位置づけの変化
Antigravity 1.0は、VS Codeベースのエージェントファーストな「次世代IDE」として2025年11月に公開されました。Editor ViewとManager Viewを切り替えて使う、同期と非同期の二刀流を売りにしたツールです。
一方、2.0ではこの位置づけが大きく変わりました。公式発表ベースの変化は以下のとおりです。

| 項目 | Antigravity 1.0(2025年11月時点) | Antigravity 2.0(2026年5月時点) |
|---|---|---|
| 主要形態 | VS CodeベースのIDE(単体アプリ) | エージェント特化Desktop App+CLI+SDK+Managed Agents+Enterprise |
| 中心UI | Editor View(IDE) / Manager View(エージェント) | Desktop Appがエージェント中心。コードエディタはAntigravity IDEとして別ダウンロード |
| エージェント実行 | 単一エージェント中心 | 動的サブエージェントの並列実行が標準 |
| バックエンドモデル | Gemini 3シリーズ(Gemini 3.1 Pro対応) | Google / Vertex Model Garden経由でGemini 3.1 Pro・Gemini 3 Flash等のGemini系に加え、Claude Sonnet 4.6 / Claude Opus 4.6 / GPT-OSS-120bも選択可。Managed AgentsとSDK既定・最適化はGemini 3.5 Flash中心 |
| CLI | 提供なし(IDE内蔵ターミナル) | Antigravity CLI(Go製)を新設し、Gemini CLIの後継となる |
| 料金プラン | AI Pro付帯(パブリックプレビューは個人無料) | AI Pro付帯/AI Ultra $100新設/AI Ultra上位ティア $250→$200に値下げ |
つまり、Antigravity 2.0は「IDE製品」から「エージェントオーケストレーション基盤」へと、製品カテゴリそのものを移したアップデートだと整理できます。コードエディタ機能は分離して継続提供される一方で、Googleが力点を置くのは「複数エージェントを並列で動かす基盤」の側です。
Antigravity 2.0の製品ラインアップ全体像
以下の表で、Antigravity 2.0の主要サーフェスと関連経路を整理しました。
| 製品 | 形態 | 主要用途 | 想定ユーザー |
|---|---|---|---|
| Antigravity Desktop App | スタンドアロンアプリ(Win / macOS / Linux) | 複数エージェントの並列実行UI、スケジュール、音声操作 | 個人開発者・小規模チーム |
| Antigravity IDE | スタンドアロンアプリ(VS Codeベース) | コード編集中心のIDE体験 | コードエディタ用途で1.0から継続使用したい開発者 |
| Antigravity CLI | コマンドラインツール(Go製) | ターミナル統合・スクリプト・CI連携 | バックエンド開発者・DevOps |
| Antigravity SDK | Pythonライブラリ | 自社アプリへのエージェント組み込み | プロダクト開発者 |
| Managed Agents(Gemini API) | API(Interactions API / Google AI Studio) | アプリ側からエージェントをisolated Linux環境で実行 | SaaS事業者・大規模利用 |
| Antigravity in Gemini Enterprise Agent Platform | 法人向け統合経路 | Google Cloudプロジェクト直結、ガバナンス対応 | エンタープライズ |
つまり、Antigravity 2.0は「どの環境からエージェントを動かすか」を、Desktop・IDE・CLI・SDKの4つの主要サーフェスと、Managed Agents API・Gemini Enterprise Agent Platformの関連経路から選べる構成で、開発フェーズや組織規模に応じて入口を変えられる設計になっています。
Antigravity 2.0で変わった5つの主要ポイント
Antigravity 1.0から2.0への変更点は多岐にわたりますが、判断に効く要素を5つに整理すると、業務利用での影響範囲が把握しやすくなります。
製品構成・CLI・SDK・Managed Agents・料金プランの5つを順に見ていきます。

①エージェントオーケストレーションを製品の中核に再設計
最も大きな変化は、Antigravityの主役が**「IDE」から「エージェント基盤」に変わった**点です。
1.0でもAIエージェントが中核ではあったものの、UIはあくまでVS Codeベースのコードエディタが中心で、エージェント機能はその上に乗る形でした。
2.0のDesktop Appは、エージェントの並列実行・スケジューリング・状態管理を中心にUIを再構築しています。
この再設計により、1.0時代に「Manager View」と呼ばれていた非同期タスク管理面は、Desktop Appの中心UIに格上げされました。コードエディタ用途は別ダウンロードの「Antigravity IDE」として分離され、エージェントを動かすためにIDE全体を立ち上げる必要がなくなっています。
②Antigravity CLIの新設とGemini CLIからの統合
2.0では、ターミナルから直接Antigravityエージェントを起動できるAntigravity CLIが追加されました。
Go言語で実装され、起動レスポンスと並列処理性能を重視した設計です。
注目すべきは、これまでGeminiモデルのターミナル利用を担っていたGemini CLIが、Antigravity CLIに統合される点です。
Google公式のアナウンスでは、Gemini CLIの一般ユーザー向けサービスは2026年6月18日に終了し、Antigravity CLIへの移行が推奨されています。
既存のGemini CLIユーザーにとっては、2.0への対応がほぼ必須に近い変更です。
③Antigravity SDKによるカスタムエージェント開発
Antigravity SDKは、Google自身のプロダクトを動かしているエージェントハーネスをPythonライブラリとして外部公開したものです。
Geminiモデル向けに最適化されており、Tool定義・System指示・複数Tool併用といった一般的なエージェント設計をシンプルなAPIで記述できます。
SDKで定義したエージェントは、Antigravityのインフラに乗せても、自社のサーバーに乗せても動かせる「インフラ非依存」が売りです。
これにより、Antigravityを「自社プロダクトの中で使うエージェント基盤」として組み込む選択肢が現実的になりました。
④Managed Agents(Gemini API統合)
Managed Agentsは、Antigravity SDKの「Google側マネージド版」とも言える機能です。
Gemini APIのInteractions APIを1回呼ぶだけで、isolated Linux環境を立ち上げ、エージェントに推論・ツール利用・コード実行を任せられます。
裏側のモデルはGemini 3.5 Flashで、軽量・低レイテンシ向きの構成です。
Google AI Studio Playgroundには新しいカスタムエージェントテンプレートが追加され、Markdownファイルでカスタム命令とスキルを定義できます。
加えてAnthropicのClaude側にも同様のマネージド型エージェント機能(Claude Managed Agents)が存在し、エージェントマネージドサービスは主要LLMベンダーが横並びで打ち出している領域です。
⑤料金プランの再編とAI Ultra $100ティアの新設
料金面では、Google AIサブスクリプションの構成自体が刷新されました。
AI Proは継続、AI Ultraは$100/月の新ティアとして登場し、これまで$250/月だった最上位ティアは$200/月に値下げされています(公式は$100/月と$200/月の2階層をAI Ultraとして扱う表記が中心です)。
Antigravity 2.0のフル機能(マルチエージェント並列・スケジュールタスク・拡張サブエージェント等)を本格的に使うなら、AI Proの利用枠ではすぐに上限に到達する想定です。
AI Ultra $100ティアは「Pro比5倍」の利用枠を持つ中間プランとして、ヘビーユース寸前の開発者を狙ったポジショニングと整理できます。
Antigravity Desktop 2.0の使い方
ここからは各製品の使い方を順に見ていきます。最初に扱うのはDesktop App 2.0です。
マルチエージェント並列・スケジュール・音声・Studio連携など、2.0の中心機能はこのDesktop Appに集約されています。

3ダウンロードの入手方法・動的サブエージェント並列実行・スケジュールタスク・連携機能の4点を見ていきます。
3ダウンロード(Desktop / IDE / CLI)の入手方法
Antigravity 2.0は、目的別に3つのパッケージに分かれて配布されています。1.0が単一ダウンロードだった点との大きな違いです。

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Antigravity 2.0 Desktop App
Antigravity公式サイトから、Windows / macOS / Linuxの各バイナリをダウンロード。既存ユーザーはアプリの自動更新で2.0へ移行する
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Antigravity IDE
コードエディタ機能を1.0の延長で使い続けたい開発者向け。Desktop App 2.0とは別のインストーラとして提供される
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Antigravity CLI
macOS / Linuxは「curl」でインストール、WindowsはPowerShell / コマンドプロンプト用のスクリプトを公式が提供する
注意点として、自動更新ではDesktop App 2.0が入る一方、コードエディタ体験を維持したい場合はAntigravity IDEを個別に導入する必要がある点が指摘されています。
1.0と同じ感覚で「アップデートを当てたら、コードエディタ用UIが消えていた」というユーザー反応も観測されており、開発者コミュニティ側では戸惑いの声も上がっています。
実務的には、コードを書く時間が長い開発者はAntigravity IDEを併用、エージェントに長時間タスクを任せる時間が長い開発者はDesktop App 2.0をメインにする、という二刀流が現実的です。
Projects / Worktree / Scoped Permissions
Antigravity 2.0では、1.0時代の単一workspace前提から「Project」単位の管理モデルに変わりました。
1つのProjectに複数フォルダを含められ、Projectごとに設定・モデル選択・権限スコープを分けて管理できます。

加えて「New Worktree Mode」が追加され、メインのGitワークツリーを変更せずにエージェントが別ワークツリー上で試行的な編集を進める運用が可能になりました。
失敗した変更を本番ブランチに反映せずに破棄しやすくなる仕組みです。
本番リポジトリで実験的な修正を試したいケースで、安全マージンが上がります。
Scoped Permissions(プロジェクト別の権限スコープ)も同時に整理され、シェル実行・Web取得・特定ファイルへの書き込みなどをProject単位で許可・拒否できます。
複数の業務系リポジトリを並行して扱う組織では、リポジトリごとに違うリスク許容度を反映できる点が実務上のメリットです。
具体的な設定方法は公式のProjectsドキュメントで都度確認するのが安全です。
動的サブエージェントの並列実行

Desktop App 2.0の中心UIは、複数のエージェントを並列に走らせて結果を集約するためのオーケストレーションパネルになっています。
プライマリエージェント(プロジェクトマネージャー役)が高レベルのタスクを受け取り、それを複数のサブエージェントに分解して並列実行する設計です。
公式デモでは、OSをゼロから構築するタスクで93のサブエージェントが並列で動作する例が示されました。
実務的な使い方としては、以下のような分業構造を組むのが典型です。
-
リードエージェント
タスク分解とサブエージェントへの委任、最終マージ
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コード書き換えサブエージェント
特定モジュールの実装変更
-
テストサブエージェント
変更箇所に対応するテストの追加・実行
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ドキュメントサブエージェント
変更内容に応じた仕様書・READMEの更新
このように役割を分けて並列化すると、長時間タスクのスループットが大きく上がります。
一方で、サブエージェントが増えるほどトークン消費が積み上がるため、本格的に並列度を上げて運用するならGoogle AI Ultraプラン以上の利用枠が現実的になります。
スケジュールタスクと背景自動化
Desktop App 2.0には、cron-likeな構文でエージェントを定期実行できるスケジュール機能が標準搭載されました。
開発時間外に走らせる定常タスクを組み込めるのが特徴です。

代表的なスケジュール用途は以下のとおりです。
- 夜間の依存関係更新(package.json / requirements.txt 等)
- 早朝のPRレビュー一括処理
- 週次のドキュメント整合性チェック
- 大規模リファクタリングを業務時間外に実行
- リポジトリ全体のセキュリティ監査を週1回回す
これはClaude Codeで2026年に追加されたRoutines機能と発想が近く、AIコーディングツール全体で「プロアクティブ自動化」が標準機能になりつつあります。スケジュール実行は背景でトークンを消費し続けるため、月次の利用枠管理を運用に組み込むことが前提です。
音声コマンドとAI Studio / Firebase / Android連携
Desktop App 2.0は、音声でエージェントへ指示を出すコマンド入力に対応しました。コードを書きながら音声で軽い指示を流すスタイルや、移動中のスマートフォン経由で音声指示を投げ込む使い方が想定されています。

外部Google製品との連携も2.0で大きく拡張されました。具体的には以下です。
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Google AI Studio
AI Studio Playgroundで設計したエージェントを、そのままDesktop Appにエクスポートして実行できる
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Firebase
Firebaseプロジェクトにエージェントから直接アクセスし、Cloud Firestore・Cloud Functionsの編集・デプロイ自動化に組み込める
-
Android
Androidアプリ開発でモバイルプレビュー・テストランナーをエージェントに任せる構成が組める
-
Google AI Studio モバイルアプリ
モバイル側のAI Studioアプリで、外出先で思いついたアイデアを取り込みプロトタイプ化できる
-
Workspace API連携
Google Workspace側のドキュメント・メール・カレンダー等のデータをエージェントの入力に取り込み、業務ワークフローと接続できる
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Google Play Console test track連携
Google AI Studio経由でPlay Consoleのtest trackへ公開する経路に組み込める
これらの連携によって、Antigravity 2.0は「Geminiモデルを使うすべての開発・運用作業を集約するハブ」として位置付けられつつあります。
Google製品スタックを既に使っている組織にとっては、新しい連携設定の負担が小さく入り口に立ちやすい点が実務上の強みです。
Antigravity CLIの使い方とGemini CLIからの移行
本セクションでは、Antigravity CLIの基本コマンド・継承された主要機能・Gemini CLIからの移行スケジュール・移行先の判断軸を扱います。
Gemini CLIの一般利用は2026年6月18日に終了するため、既存ユーザーにとっては最も実務インパクトが大きい論点です。

Antigravity CLIの基本コマンド
Antigravity CLIはGo言語で実装され、起動レスポンスを重視した軽量設計になっています。
基本的な使い方は、リポジトリのルートでCLIを起動し、自然言語でタスクを指示する形です。

初回認証は、ローカル開発機の場合はブラウザでGoogle Sign-Inを開いて承認し、認証情報はOS keyring(macOS Keychain / Windows Credential Manager等)に保存される構成です。
SSH接続のリモート環境で利用する場合は、表示された認可URLを別端末のブラウザで開いて承認する2段階フローを使います。
エンタープライズ利用ではGoogle Cloudプロジェクトとの接続を経由する認証経路になります。
CLI導入時に「認証で詰まる」「ブラウザが開かない」といったケースは、SSH経路を選んで認可URLを別端末で開けば回避できることが多いです。
主要機能としては、サブエージェント並列実行・hooks/skills連携などがCLIから直接呼び出せる設計です。
Desktop App側のスケジュール機能との連携範囲は公式ドキュメントで随時確認するのが安全です。
Desktop Appと同じエージェントハーネスを使っているため、設定・運用思想を揃えやすい構成になっています。具体的なサブコマンド・フラグ・モデル指定方法はプレビュー段階で変更余地があるため、最新の動作確認も公式ドキュメントで都度行うのが安全です。
Agent Skills / Hooks / Subagents / Antigravity plugins
Google公式の移行アナウンスによると、Gemini CLIで提供されていた主要機能はAntigravity CLIへ継承されます。重要な4つは以下です。

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Agent Skills
Markdownベースで再利用可能なワークフローを定義する機能。「/review-pr」「/deploy-staging」などのスラッシュコマンドとしてパッケージ化できる
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Hooks
エージェントのアクション前後にシェルコマンドを実行する仕組み。フォーマッタ・リンタの自動実行、コミット前テスト、セッション開始時の環境構築などに使う
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Subagents
メインエージェントから呼び出される下位エージェント。タスク分担・並列化に使う
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Antigravity plugins
Gemini CLI時代の「Extensions」をリネームしたもの。外部ツールや独自ワークフローをパッケージ化して配布できる
このうち「Extensions → Antigravity plugins」だけが名称変更で、機能としては継続です。
Gemini CLIユーザーが書いてきたMarkdown定義のSkillsや、シェルスクリプトベースのHooksは、ほぼそのままAntigravity CLIで動かせる設計になっています。
一方で、完全な機能パリティ(1対1の互換性)は保証されていないため、移行時には主要なSkills・Hooksの動作確認が必要です。
2026年6月18日のGemini CLI終了と移行スケジュール
Google公式の移行スケジュールは以下のとおりです。

| 時期 | 対応 |
|---|---|
| 2026年5月19日(I/O 2026発表日) | Antigravity CLIの一般提供開始/Gemini Code Assist for GitHubの新規インストール停止 |
| 2026年6月18日 | Gemini CLI一般利用のサービス終了(リクエスト処理停止)/Google AI Pro・Ultra・無料個人向けのGemini Code Assist IDE extensionsもリクエスト停止対象/Gemini Code Assist for GitHubも後続のリクエスト停止対象 |
| 継続提供 | Gemini Code Assist Standard / Enterpriseの有償ライセンス保有者は引き続きサポート対象 |
つまり、2026年5月時点でGemini CLIを個人または小規模チームで使っている場合、約1か月以内にAntigravity CLIへ移行するのが事実上の前提となります。
移行作業の中身は、(1) Antigravity CLIインストール、(2) 既存Skills/Hooksの動作確認、(3) Extensionsの「Antigravity plugins」への呼び替え、(4) スクリプト中の「gemini」コマンド名の「antigravity」への置換、の4ステップが基本です。
Gemini Code Assistライセンス保有者の継続サポート
Gemini Code Assist Standard / Enterpriseの有償ライセンスを持つ法人ユーザーは、Gemini CLIの一般終了後も継続サポート対象となります。
これは、エンタープライズが社内向けにGemini CLIを業務スクリプトに組み込んでいる場合、即時の移行リスクを避けるための猶予措置です。

ただし、長期的には新機能はAntigravity CLI側に集中していく見込みです。
Gemini Code Assist契約が継続中だからといってGemini CLIに固執するメリットは薄く、エンタープライズも段階的にAntigravity CLIへ移すロードマップを引いておくのが現実的です。
AI総合研究所の導入支援観察として、ターミナル系AIツールの移行は「個人開発者から始めて、CIスクリプト、最後にエンタープライズ標準」という3段階で進めるのが安全です。
Antigravity SDKとManaged Agents
本セクションでは、Antigravity 2.0の中でも「自社プロダクトにエージェントを組み込む」用途に特化したSDKとManaged Agentsを扱います。
SDKは自社管理のサーバーで動かす経路、Managed AgentsはGoogle側のインフラに乗せる経路、という棲み分けです。

Antigravity SDK(Python)でカスタムエージェントを定義する
Antigravity SDKは、Antigravity Desktop AppやCLIを内部で動かしているエージェントハーネスを、Pythonライブラリとして外部公開したものです。
Tool・System指示・Modelなどを宣言的に設定し、自社サービスから直接呼び出せます。

公式の導入ガイドに沿った最小構成は以下のような形です。
# pip install google-antigravity
from google.antigravity import Agent, LocalAgentConfig
import asyncio
async def main():
config = LocalAgentConfig(model="gemini-3.5-flash")
async with Agent(config) as agent:
response = await agent.chat("review PR #421 for missing SQL indexes")
print(await response.text())
asyncio.run(main())
このコードでは、ローカル実行構成(「LocalAgentConfig」)でGemini 3.5 Flashモデルを指定し、「async with」ブロックでエージェントを起動してPRレビューをチャット形式で依頼しています。
SDKは非同期API設計で、「asyncio.run」から起動する形になっています。
このSDKを使うメリットは、Geminiモデル向けに最適化されているため、汎用LLMクライアントよりも応答速度・コスト面で有利な点です。
2026年5月時点ではローカル実行が基本構成で、リモート実行(remote-hosted)への切り替えは今後対応予定としてアナウンスされています。
社内のセキュリティ要件で外部に送れないコードベースに組み込む際は、ローカル実行を起点に設計しつつ、本番運用前に最新の対応状況を必ず確認するのが安全です。
Managed Agents(Interactions API)の呼び出し
Managed Agentsは、Antigravity SDKと同じエージェントハーネスを、Google側のインフラで「マネージドサービス」として提供する仕組みです。
エージェントの実行環境をユーザー側で用意する必要がなく、APIを1回呼ぶだけで利用できます。

公式の発表によると、Managed AgentsはGemini APIのInteractions API(プレビュー)経由で呼び出します。
目的(goal)・許可するツール・モデル指定などをリクエストとして渡すと、Google側でエージェント実行環境を立ち上げて結果を返す構成です。
具体的なエンドポイント・認証方式・リクエストスキーマはプレビュー段階で変更される可能性があるため、実装時は公式APIドキュメントを必ず参照してください。
裏で動くモデルはGemini 3.5 Flashで、Googleは「agentic workflowsやcomplex long-horizon tasks向けの高速モデル」と位置づけています。
長時間タスクにも使える設計ですが、Managed Agents自体がプレビュー段階のため、本番運用ではコスト・品質・失敗時のフォールバック経路を事前に検証しておくのが安全です。
ドキュメント要約・コードレビュー・データ整形・APIテスト自動化など、ユースケースが定型化された業務から段階的に広げると挙動を測りやすくなります。
isolated Linux環境とマルチターン状態保持
Managed Agentsの実行環境は、APIコール単位で立ち上がるisolated Linux環境です。エージェントはこの中でツール実行・コード実行を行い、結果を呼び出し元へ返します。

特徴的なのは、各インタラクションで作成された環境が後続のAPIコールで「再開」できる点です。
1回目のコールで作成したファイルや状態がそのまま残り、2回目以降のコールで続きから作業を進められます。
これは、複数ターンのセッションを管理する際、毎回ファイルアップロードからやり直す必要がなくなることを意味します。
実装上は、エージェントのセッションIDを保持しておけば、後続のAPIコールに同じIDを渡すだけで状態を継承できます。
SaaS事業者がエージェントを自社プロダクトに組み込む際、ユーザーセッションごとに会話履歴と作業ファイルを永続化するのに有効な仕組みです。
AI Studio Playgroundのcustom agent templates
Antigravity 2.0と同時に、Google AI Studio Playgroundには新しいカスタムエージェントテンプレートが追加されました。これは、Markdownファイルでエージェントの命令・スキル・ツールを定義し、Playground上で対話的にテストできる仕組みです。

開発フローとしては、(1) Playgroundでエージェントの挙動を試作、(2) Markdown定義をリポジトリに保存、(3) Antigravity SDKやManaged Agentsから同じ定義を読み込んで本番運用、という流れが想定されています。
設計と本番を同じ定義ファイルで結ぶことで、エージェントの再現性を確保しやすい設計です。
エージェント設計を担当するメンバー(プロダクトマネージャー・テックリード)と、エージェントを呼び出す側のメンバー(アプリ開発者)の役割分担がしやすくなる点も、AI Studio Playgroundとの統合の実務的なメリットです。
Antigravity 2.0のハンズオン:Desktop / CLI / SDKを動かす
ここまでで概念と機能を整理してきましたが、Antigravity 2.0は実際に触って手を動かすことで「自社の作業スタイルに合う形態はどれか」が見えてくる製品です。
本セクションでは、Desktop 2.0・CLI・SDKの3形態を順に動かし、無料の個人Googleアカウントで完結する範囲のハンズオンを進めます。長時間タスクや大量並列実行は無料枠を超えるため、まずは短時間で動作確認する用途にとどめるのが安全です。

3形態のうち、もっとも導入ハードルが低いのはCLIです。インストール時間が最短で、コマンド単位で挙動を試せるため、最初に動かす形態として向きます。一方で「並列エージェント基盤としての体験」を確認したいならDesktop 2.0、「自社プロダクトへの組み込み試作」を見たいならSDKが向きます。
Antigravity Desktop 2.0のセットアップと並列サブエージェント実行
Desktop 2.0は、Antigravity 2.0の中心UIです。インストールから初回サインイン、Project作成、Worktree有効化、サブエージェントの並列実行までを順に進めます。
① インストーラのダウンロードと初回起動
Antigravity公式サイトからDesktop 2.0インストーラ(Win / macOS / Linux)を取得して実行します。日本語環境では2.0.1以降を選ぶのが安全です(CJK文字を含むProject移行の修正が入っているため)。
インストール完了後にアプリを起動し、初回サインインを進めます。Workspaceアカウントで認証エラーが出る場合は個人Gmailを使うのが公式ガイドの推奨です。
② Project作成とWorktree有効化
「New Project」からプロジェクトディレクトリを指定し、Project単位でコンテキスト・履歴・権限を共有する単位を作ります。
Projectの設定からWorktree Supportを有効化すると、同じリポジトリの複数ブランチを並列エージェントで進められるようになります。
③ サブエージェントの並列実行
Manager Viewでエージェントを起動し、「複数のサブエージェントを並列で動かして〜」と自然言語で指示すると、Antigravity 2.0は自動でタスクを分割しサブエージェントを並列起動します。
Inboxを開くと、各サブエージェントの進捗・承認待ち・完了通知が時系列で確認できます。
④ Walkthroughで結果を確認
並列タスクが完了すると、各エージェントが生成したWalkthroughがArtifactsに残ります。変更内容・ブラウザ操作の結果が要約された状態で確認できるため、後追いレビューに使えます。
ここまでで、Desktop 2.0の「並列エージェント基盤」としての中核体験が一通り確認できます。
Antigravity CLIのインストールと基本コマンド
CLIはターミナル中心の作業者向けで、Gemini CLIから乗り換えるユーザーが主なターゲットです。インストールから基本コマンドまで、無料の個人Googleアカウントで完結します。
① インストールと初回起動
macOS / Linuxは公式のcurlワンライナーで、WindowsはPowerShell用スクリプトでインストールします(詳細は公式: CLI Getting Started)。
「antigravity --version」でバージョンを確認し、初回起動でブラウザが開いてGoogleアカウント認証フローへ遷移します。
② Skills / Hooks の確認
CLI起動後、「/skills」と「/hooks」でデフォルトで用意されているスキル・フックを確認できます。Markdownベースで定義されているため、独自スキルの追加も容易です。
③ 自然言語タスクの実行
「現在のディレクトリのファイル構成をMarkdownで整理して」のような短い自然言語タスクをCLIに投げると、エージェントが計画→実行→結果報告までを連続で進めます。
④ Walkthroughの確認
タスク完了後、Walkthroughで実行結果のサマリーをCLI上で確認できます。Desktop 2.0と同じArtifactsの仕組みを共有しているため、後でDesktop側からも開けます。
CLIは「ターミナル常駐でエージェントに小さなタスクを連続的に投げる」運用との相性が良く、Gemini CLI / Codex CLI / Claude Codeから移行するユーザーは数時間で慣れます。
Antigravity SDK(Python)でカスタムエージェントを動かす
SDKはPythonライブラリで提供され、自社アプリへエージェントを組み込みたいケースで使います。インストールから簡単なエージェントの動作確認までを進めます。
① pip install と動作確認
Python 3.9以上の環境で「pip install google-antigravity」を実行します。
② 最小エージェントスクリプトの作成
Hello agent相当の最小スクリプトを作成します。LocalAgentConfigでGemini 3.5 Flashを指定し、async withでエージェントを起動する形です。
import asyncio
from google_antigravity import LocalAgentConfig, run_agent
async def main():
config = LocalAgentConfig(model="gemini-3.5-flash")
async with run_agent(config) as agent:
response = await agent.chat("現在のディレクトリのREADME.mdを要約してください")
print(response)
asyncio.run(main())
このコードでは、ローカル実行構成でGemini 3.5 Flashモデルを指定し、エージェントを起動してREADMEの要約をチャット形式で依頼しています。SDKは非同期API設計で、「asyncio.run」から起動する形になっています。
③ 実行と結果確認
作成したスクリプトを実行し、エージェントの応答ログをターミナル上で確認します。初回実行時は認証が走るため、ブラウザでGoogleアカウントの承認画面が開きます。
SDKは「カスタムエージェントを自社プロダクトに組み込む」用途で本領を発揮します。本ハンズオンは動作確認レベルですが、ここからagent_skills・agent_hooks・カスタムMCPサーバー接続を加えていけば、業務システム連携を含むエージェントを構築できます。
Antigravity 2.0の料金プランと利用上限
本セクションでは、Antigravity 2.0を業務で使う際の料金体系を整理します。
2026年5月19日のI/O 2026発表でGoogle AIサブスクリプションの構成自体が刷新されたため、1.0時代の料金感覚で見積もると業務利用時に上限を踏みやすい構造になっています。

課金モデルの2系統(サブスク枠と従量課金)
Antigravity 2.0の利用料金には、サブスクリプション枠(Google AIプラン)と従量課金(Gemini API / Managed Agents)の2系統があります。
両者は別契約・別請求のため、用途で使い分けるのが実務的です。

以下の表で、課金モデルの違いを整理しました。誤解を避けるため、AI Pro/Ultraのサブスク枠とGemini APIの従量課金は混同しないようにします。
| 課金モデル | 対象サーフェス | 料金体系 | 適合用途 |
|---|---|---|---|
| Google AIサブスクリプション | Desktop App / IDE / CLI / SDK(ローカル実行) | 月額固定(無料 / $20 / $100 / $200)+ 利用枠 | 個人〜中小チームの日常開発 |
| Gemini API従量課金 | Managed Agents / SDK経由のリモート実行 | トークン量・インタラクション量に応じた従量 | 自社サービス組み込み・大量バッチ |
サブスクリプションは利用枠を使い切ると上限に達しますが、Gemini API従量課金は使った分だけ支払う構造です。両者を併用して「日常はサブスクでカバー、業務時間外の大量バッチや本番アプリ組み込みはAPIで吸収する」運用が現実的な構成になります。
Antigravity 2.0が含まれるGoogle AIプランの構造
Antigravity 2.0は無料/ベースライン枠でも利用でき、Google AI ProやAI Ultraに加入すると利用上限が引き上げられる構造です。2026年5月時点では、以下の4階層が提供されています。
以下の表で、各プランの月額・利用枠の位置づけ・主な対象を整理しました。価格はGoogle公式の発表内容を基準にしています。
| プラン | 月額(米ドル) | Antigravity利用枠 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 無料/ベースライン | $0 | 基本枠 | 個人検証・お試し |
| AI Pro | $20/月 | 引き上げ枠(基準) | 個人開発者・趣味〜小規模利用 |
| AI Ultra(新設) | $100/月 | Pro比5倍 | フルタイムでAntigravityに依存する開発者 |
| AI Ultra上位ティア | $200/月(旧$250から値下げ) | Pro比20倍 | 複数プロジェクトを並列で走らせるヘビーユーザー |
※ 2026年5月時点の価格。価格・利用枠はGoogle公式ページに準拠
1.0時代は「AI Pro付帯のAntigravity」が中心で、個人ユーザーは$20/月で並列実行も含めて気軽に試せる感覚がありました。
2.0でも無料/ベースライン枠は残されていますが、本格的にマルチエージェント並列実行・スケジュール背景タスクを使い始めると、AI Proの引き上げ枠でも比較的早く上限に達する設計です。
AI Ultra $100ティアの新設は、「AI Pro→AI Ultra上位ティア」の間に中間ティアを置き、ヘビーユース寸前の開発者を捕捉するポジショニングと整理できます。
AI Pro付帯のAntigravity 2.0
AI Pro($20/月)でAntigravity 2.0を使う場合、Desktop App・CLI・SDKの基本機能はすべてアクセス可能です。ただし、利用枠は標準(基準)で、サブエージェントを並列で複数起動した場合や、スケジュールタスクを多用した場合に、月の途中で上限に到達することがあります。

実務的な使い方としては、(1) Antigravityの挙動を試したい個人開発者の検証用、(2) 平日業務時間中の限定的なエージェント利用、(3) 副業・個人プロジェクトでの低頻度利用、といった用途で十分に成立します。一方、本業のAIコーディング基盤として依存する場合は、AI Pro単独では枠不足を感じる場面が増える設計です。
AI Ultra $100/月の使いどころ
AI Ultra($100/月)はProの5倍の利用枠を持つ中間プランです。位置づけとしては、「Antigravity 2.0を本業ツールとして毎日使うが、Ultra上位ティア $200/月までは要らない」開発者向けです。

具体的に向く使い方は以下のとおりです。
- 業務時間中はAntigravity Desktop Appを常時起動して並列タスクを走らせる
- 1日数回、サブエージェントを5〜10並列で動かす中規模リファクタリングを行う
- 夜間スケジュールで定期タスク(依存更新・ドキュメント同期)を1〜2本走らせる
- Antigravity SDK(ローカル実行)で社内向けの軽量コードレビューBotを回す(Managed Agents APIを使う場合はGemini API側の従量課金として別契約で吸収)
業務でAntigravity 2.0を「補助」ではなく「主役」に置く場合、AI Ultra $100ティアが現実的な起点になります。Pro→Ultra上位ティアへの直接乗換は枠倍率が一気に20倍になり、過剰投資になりやすいため、まずAI Ultraで5倍枠の使用感を測るのが安全です。
AI Ultra上位ティア $200/月(旧$250から値下げ)
AI Ultra上位ティア($200/月)は、Pro比20倍の最上位プランです。2026年5月の刷新で旧$250から$200に値下げされており、上位プランの割安感が増しています。

ターゲットは以下のような開発者です。
- 複数プロジェクトを同時並列で走らせるシニア開発者
- Antigravity Desktop App + CLIを業務時間中ずっと並列起動して動かす利用パターン(Managed Agents APIで本番リクエストをこなす場合は別途Gemini API従量課金で吸収)
- 24時間稼働のスケジュールタスクを多数走らせるDevOps・SRE
- リードエージェント+サブエージェント10〜20並列で長時間タスクを定常運用する用途
5x(Ultra)と20x(上位ティア)の差は**$100/月の追加投資**です。
実効単価で見ると、Ultraの実枠を使い切る人なら上位ティアに上げる方が枠あたりコストは下がる構造になっています。
実枠を使い切らないなら、Ultraから上位ティアへの移行は割高なので、まずUltraで運用ログを取ってから判断するのが現実的です。
利用枠超過時のボーナスクレジットと挙動
Google公式は、Antigravity 2.0発表直後の期間限定オファーとして、AI Ultraユーザーが利用枠を超過した場合に$100のボーナスクレジットを付与する措置を案内しました。期限は2026年5月25日までです。

通常時に枠を超過した場合の選択肢は以下の3パターンです。
- リセットを待つ(公式の説明では5時間ごとに更新、加えて週次上限あり)
- 上位プラン(AI Ultra $100 → AI Ultra $200上位ティア)へ移行する
- API直接利用(Gemini API / Managed Agents)に切り替えて従量課金で吸収する
API直接利用への切り替えは、特に「特定の業務だけ高頻度実行したい」用途に向きます。サブスクと従量APIを併用すれば、サブスク枠で日常開発をカバーしつつ、自動化バッチや業務時間外バッチをAPIで吸収する構成が組めます。
エンタープライズ向けGemini Enterprise Agent Platform
本セクションでは、法人向けの統合経路であるGemini Enterprise Agent Platformを扱います。
Antigravity 2.0をエンタープライズで採用する場合、Google CloudプロジェクトとAntigravityを連携する経路が用意されています。
ただし2026年5月時点ではManaged Agentsを含む一部機能がpreview / pre-GAステータスのため、本番導入は提供条件・GA状況の個別確認が前提となります。

Google Cloudプロジェクトへの直結
Antigravity in Gemini Enterprise Agent Platformは、Antigravity 2.0を法人のGoogle Cloud環境に直結させるための統合経路です。
エージェントが扱うコード・データ・ツール接続が、組織のGoogle Cloudプロジェクトのコンテキストで動く設計になっています。

この連携経路によって、組織のGoogle Cloudプロジェクトを起点に、既存のIAM・データ保持・課金体系を踏まえた運用設計を検討できる構成になります。
社内ですでにGCPを基盤として使っている組織にとっては、新規のセキュリティ・契約調整が最小化されやすい点が実務上のメリットになり得ます。
なお、Managed AgentsのGemini Enterprise Agent Platform対応は2026年5月時点でpreview / pre-GAステータスのため、提供仕様(権限制御の粒度・データ保持期間・対応リージョン等)は契約時の個別確認が前提です。
技術要件の観点では、組織導入の前提として以下の3点を確認しておくと、検証から本番への移行で詰まりにくくなります。
-
Agent Platform APIの有効化
組織のGoogle CloudプロジェクトでAgent Platform API(Gemini Enterprise Agent Platform側のAPI)を有効化する手続きが必要。API利用申請とpreview / pre-GA参加条件を契約窓口で確認
-
自社Google Cloud project上のモデル利用
モデル推論を組織のGoogle Cloudプロジェクトの計算リソース・課金枠の中で実行する構成。Vertex AI経由のGemini呼び出しを含め、データの流れが自社プロジェクト内で完結する経路を選択できる
-
consumption-based billing
個人サブスクリプションの月額固定とは別に、組織のGoogle Cloud契約に基づく従量課金(consumption-based billing)で運用するモデル。利用量に応じた請求が組織の既存課金フローに統合される
これらは契約・法務観点だけでなく、API有効化・課金統合の技術調整も並行で必要になるため、契約交渉と技術検証を並走させるリードタイム設計が安全です。
データ分離と契約条件
Antigravity 2.0のエンタープライズ統合では、AIによる推論データの扱いに関するポリシーがGoogle Cloud側の契約条件に紐づきます。プロンプトやコード内容の非学習設定、データ保持期間、リージョン制約などは、Google Cloud / Gemini Enterprise側の契約条件で個別確認する項目になります。

参考までに、AnthropicのClaude側ではエンタープライズ向けにカスタムデータ保持コントロール(Zero Data Retention含む)が公式に用意されています。
一方、Antigravity 2.0のエンタープライズ向けデータ保護仕様(非学習・保持期間・リージョン等)は、2026年5月時点では公開一次情報に詳細記述がありません。
実際の対象範囲・適用条件は契約時のドキュメントで個別確認するのが基本です。
契約前のチェック項目
Antigravity 2.0をエンタープライズで採用する際、契約・運用設計の段階で以下の7項目を確認しておくと、本番運用後のリスクを抑えやすくなります。公開情報だけでは判明しない条件が多いため、Google Cloud / Gemini Enterprise契約時の営業窓口で個別に確認します。

-
非学習設定
プロンプト・コード内容がモデル学習に利用されない設定が適用可能か、対象となる経路(Desktop / CLI / SDK / Managed Agents)の範囲
-
データ保持期間
推論データ・実行ログ・カスタムエージェント定義のリテンション期間と削除条件
-
対応リージョン
データ処理リージョンの選択肢(日本リージョン対応の有無、データ越境制約への適合)。公式Enterprise docs上の現行エンドポイントはglobal / multi-region eu / multi-region usで、eu / usエンドポイントでは画像生成が現時点で未対応の旨が示されている
-
監査ログ
エージェント実行・アクセス権限変更・データアクセスの記録保持と外部エクスポートの可否
-
IAM / RBAC
Google Cloud IAMとAntigravity権限の連携範囲、ロール定義の粒度(誰がどのエージェントを実行・編集できるか)
-
課金主体
Google AIサブスクリプションとGemini APIの請求統合可否、コスト中央管理の手段
-
preview / pre-GA機能の範囲
利用予定機能のうちpreview / pre-GAに該当するもの、GA移行時に仕様変更があり得る箇所の事前共有
これらの項目はベンダー間で差が出やすく、自社のコンプライアンス要件と合わない箇所が見つかると導入時期がずれます。契約交渉のリードタイムに余裕を持つのが安全です。
部門展開のロードマップ
エンタープライズでAntigravity 2.0を全社展開する場合、技術導入よりも契約・コンプライアンス・教育の調整に時間がかかります。
AI総合研究所の導入支援観察として、以下の3段階ロードマップが歩留まりの良い進め方です。

-
フェーズ1(検証・1〜2か月)
1部門の有志メンバー数名でAI Pro契約 + Desktop App 2.0を使い、エージェント並列の使用感とユースケースを言語化
-
フェーズ2(部門展開・3〜6か月)
検証は個人向けAI Ultra($100 / $200上位ティア)で進めつつ、本格業務利用への移行に向けてGemini Enterprise / Google Cloud契約の組織導入経路を窓口確認。CLI・SDKのチーム共通利用ルール、Skills/Hooksの社内テンプレートを整備
-
フェーズ3(全社展開・6か月以降)
Gemini Enterprise Agent Platform契約に切り替え、組織のGoogle Cloud契約・既存セキュリティ統制との接続を整備。全社のAIコーディング基盤として段階展開
段階を飛ばさず、各フェーズで運用ルール・権限設計・コスト管理を固めてから次に進むのが、結果的に最短ルートになります。
フェーズ1・2を飛ばしてフェーズ3にいきなり踏み込むと、運用ルールの不在で現場の使い方がばらつき、定着しないケースが多いです。
Antigravity 2.0と他IDE/エージェントの比較
本セクションでは、Antigravity 2.0を選ぶか他のAIコーディング基盤を選ぶかの判断軸を、競合製品との比較で整理します。
比較対象は、現時点で実務候補に挙がりやすいClaude Code・Cursor・GitHub Copilot・OpenAI Codex・Antigravity 1.0の5者です。

Antigravity 2.0と他ツールの総合比較
以下の表で、5ツール+Antigravity 1.0の主要差分を整理しました。設計思想・主要環境・バックエンドモデル・料金体系の観点でフォーマットを揃えています。

| 項目 | Antigravity 2.0 | Antigravity 1.0 | Claude Code | Cursor | GitHub Copilot | OpenAI Codex |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 設計思想 | エージェント基盤(複数経路) | エージェントファーストIDE | エージェント型・マルチサーフェス | AI-native IDE | 補完型・GitHub統合 | エージェント型・ローカル/クラウド併用 |
| 主要環境 | Desktop / IDE / CLI / SDK / API / Enterprise | VS CodeベースIDE | CLI / IDE / Web / Desktop / Slack | 専用IDE | VS Code / JetBrains 等の補完 | Web / IDE / CLI / ChatGPT |
| バックエンド | Gemini系+Vertex Model Garden経由でClaude Sonnet 4.6 / Claude Opus 4.6 / GPT-OSS-120bも選択可(Managed Agents・SDK既定はGemini 3.5 Flash) | Gemini 3 / 3.1 Pro | Claude Opus 4.7 / Sonnet 4.6 | OpenAI / Anthropic選択可 | OpenAI / Anthropic / Google等を選択可 | OpenAI GPT系 |
| マルチエージェント | ◎(動的サブエージェント並列) | △(Manager Viewで複数タスク並列) | ◎(サブエージェント・Agent Teams) | ○(Composer) | △(Workspace等) | ◎(クラウド委任 + ローカル実行) |
| CLI | ○(Antigravity CLI・Go製) | × | ◎(claude CLI) | × | ✕ | ○(codex CLI) |
| SDK | ○(Antigravity SDK・Python) | × | ◎(Anthropic SDK・Claude Agent SDK) | △ | ✕ | ○(OpenAI SDK) |
| 個人向け起点 | AI Pro $20/月 | AI Pro $20/月(パブリックプレビュー期は個人無料) | Pro $20/月(Claude.ai無料ではClaude Code不可) | Hobby Freeあり / Pro $20/月 | Free / Individual $10/月 | Plus $20/月〜(Free / Goは期間限定で利用可、Plus / Pro / Business / Enterprise / Eduで利用可) |
| 法人プラン | Gemini Enterprise / Google Cloud契約(個別確認) | AI Ultra(旧)$250/月 | Team $25/席(Standard)〜$125/席(Premium)・Enterprise $20/席〜+使用量 | Business $40/席 | Business $19/席・Enterprise $39/席(2026年6月1日からusage-based billing移行) | Business Codex(従量)・Business ChatGPT & Codex $20/席(年)〜$25/席(月)・Enterprise |
| エンタープライズ統合 | Google Cloud直結 | Google AI契約 | SSO/SCIM/HIPAA/ZDR | Cursor Business設定 | GitHub Enterprise Cloud / Server | ChatGPT Enterprise |
※ 各社2026年5月時点の公開情報に基づく
この比較から見えるのは、「Google Cloud前提でGemini系を中心としつつClaude / GPT-OSSも選択したいならAntigravity 2.0」「Claudeモデル中心・マルチサーフェスならClaude Code」「IDE体験重視ならCursor」「補完中心・GitHub統合重視ならCopilot」「ChatGPTエコシステム前提ならCodex」という棲み分けです。
Antigravity 2.0とClaude Codeの違い
Claude Codeは、Anthropicが提供するエージェント型AIコーディングツールで、Antigravity 2.0と最も設計思想が近い競合です。
両者の主要な差分は以下のとおりです。

-
モデルバックエンド
Antigravity 2.0はGemini系を中心に、Vertex Model Garden経由でClaude Sonnet 4.6 / Claude Opus 4.6 / GPT-OSS-120bも選択可能(Managed Agents・SDK既定はGemini 3.5 Flash)。Claude CodeはClaude Opus 4.7 / Sonnet 4.6 / Haikuが軸
-
クラウド統合
Antigravity 2.0はGoogle Cloud直結が中心、Claude CodeはAnthropic直接・Amazon Bedrock・Google Vertex AI・Microsoft Foundryの4経路に分散
-
CLIの実装
Antigravity CLIはGo製、Claude Codeのclaude CLIはネイティブインストーラ配布で、起動レスポンス・自動更新の設計に差がある
-
マネージドエージェント
Antigravity 2.0はManaged Agents(Gemini API)、Claude CodeはClaude Managed Agents(Claude側の同種機能)で、APIの呼び出し方は近いがモデルとサポート機能が異なる
選び方の実務観点としては、「組織がGoogle Workspace / Google Cloud前提ならAntigravity 2.0」「Anthropic Claude側のエコシステム(Claude Cowork・Chrome統合・iOS連携等)も活用したいならClaude Code」が出発点です。
両方を併用する開発者も増えており、タスクの性質に応じて使い分けるケースも実務観察されます。
Antigravity 2.0とCursorの違い
Cursorは、VS Codeをフォークした専用IDEとして設計されたAI-native IDEです。
IDE体験の質を最優先する開発者から強い支持を集めています。
Antigravity 2.0との差分は以下のとおりです。

-
形態
CursorはIDE単体、Antigravity 2.0はDesktop+IDE+CLI+SDK+APIの多経路構成
-
モデルバックエンド
Cursorは複数モデル(Claude / GPT / Gemini)を選べる中立構成、Antigravity 2.0はGemini系を中心にClaude / GPT-OSSもVertex Model Garden経由で利用可能な構成(Managed Agents・SDK既定はGemini 3.5 Flash)
-
エージェント並列
Cursorは「Composer」モードで複数ファイル編集に対応、Antigravity 2.0はサブエージェント並列の単位がより大きい(10〜90並列のデモ事例あり)
「エディタの中で完結するUX」を最優先するならCursor、「IDE外(CLI・SDK・API)でエージェントを動かしたい場面が多い」ならAntigravity 2.0という棲み分けです。
なお、Cursor上でAntigravity SDKを呼び出すような併用構成も技術的には可能で、実装が固まったプロダクトではこの形を取るケースもあります。
Antigravity 2.0とGitHub Copilot / OpenAI Codexの違い
GitHub Copilotは補完特化、OpenAI Codexはエージェント型・OpenAIエコシステム統合が特徴です。
Antigravity 2.0との位置関係は以下のとおりです。

-
GitHub Copilot
コード書きの「速度」を上げる補完特化。Copilot Agent Modeもあるが、設計思想は依然として補完アシスタントが中心
-
OpenAI Codex
ChatGPT Plus / Pro / Business / Enterprise / Eduで利用可能(Free / Goプランも期間限定で利用対象)。法人向けにはBusiness Codex(従量課金)またはBusiness ChatGPT & Codex / Enterpriseで運用する形態。App / CLI / IDE拡張 / Webの複数サーフェスから、OpenAIのGPT系モデルでローカル実行とクラウド委任を併用できる構成
-
Antigravity 2.0
Gemini系+Vertex Model Garden経由のClaude / GPT-OSSも選択可。Google Cloud直結のマルチエージェント並列とエンタープライズ統合に振り切った設計
組織のクラウド・モデル選定に従って自然に選ぶことになります。
Microsoft 365 / GitHub Enterprise が中心ならCopilot、OpenAI / ChatGPTエコシステム前提ならCodex、Google Workspace / Google Cloud 前提ならAntigravity 2.0という選び方が自然な出発点になります。
Antigravity 1.0との違いと既存ユーザーの移行判断
既存ユーザーが2.0へ移行するか判断する際の軸は次のとおりです。

-
コードエディタ用途中心の場合
Antigravity IDEを別ダウンロードで導入し、1.0と近い体験を継続できる。並列エージェント機能はDesktop App 2.0を必要に応じて併用
-
エージェント並列実行を本格化したい場合
Desktop App 2.0へ自動更新で移行し、AI Ultra $100ティア以上の契約を検討
-
Gemini CLIを使っていた場合
2026年6月18日のサービス終了を控え、Antigravity CLIへの移行が事実上必須
-
エンタープライズで導入検討中の場合
Gemini Enterprise Agent Platform経由の契約に進む形が検討候補となるルート
1.0時代のEditor View・Manager View・Chrome拡張・パブリックプレビュー無料といった条件は、2.0で大きく組み替わっています。
1.0で慣れている運用が2.0でそのまま動くとは限らないため、移行前にチームで主要ユースケースを通しでリハーサルするのが安全です。
Antigravity 2.0の導入パターン別おすすめ構成
ここでは「あなたの場合のおすすめ」を3つの規模感で整理します。

サーフェス選びの早見表
Antigravity 2.0は4つの主要サーフェス(Desktop / IDE / CLI / SDK)と2つの関連経路(Managed Agents / Gemini Enterprise Agent Platform)から、用途と組織規模で使い分けるのが基本です。以下の表で、各サーフェスの典型的な選び方を整理しました。

| サーフェス | 主な用途 | 向く規模 | 課金モデル |
|---|---|---|---|
| Antigravity Desktop App 2.0 | 並列エージェント実行・スケジュール・音声操作 | 個人〜小規模チーム | AI Pro〜AI Ultra |
| Antigravity IDE | コード編集中心、1.0体験を継続したいケース | 個人〜小規模チーム | AI Pro〜AI Ultra |
| Antigravity CLI | ターミナル統合・CI連携・スクリプト自動化 | 個人〜エンタープライズ | AI Pro〜Enterprise |
| Antigravity SDK | 自社サービスへのエージェント組み込み | プロダクト開発組織 | ローカル実行はAI Pro〜AI Ultra、リモート実行はGemini API / Vertex API従量 |
| Managed Agents(Gemini API) | アプリ側からの大量エージェント実行 | SaaS事業者・大規模利用 | Gemini API従量 |
| Gemini Enterprise Agent Platform | Google Cloud直結のガバナンス対応 | エンタープライズ | Google Cloud契約 |
個人開発はDesktop App + CLIの併用、小規模チームはDesktop App + IDE + CLIをチーム共通環境として、エンタープライズはGemini Enterprise Agent Platform + Managed Agentsを軸に組むのが標準的な組み合わせです。
SDKは「自社プロダクトに組み込む」用途で別軸として扱い、必要なら他サーフェスと併用します。
個人開発者・フリーランスの導入
個人開発者がAntigravity 2.0を使い始める場合、最小コスト・最速ルートは「AI Pro + Desktop App 2.0 + Antigravity CLI」の組み合わせです。

推奨セットアップは以下のとおりです。
-
プラン
AI Pro $20/月から開始。並列実行を本格化させる時点でAI Ultra $100/月に引き上げる
-
環境
Desktop App 2.0をメイン、Antigravity CLIをサブで併用。コード編集を1.0体験で続けたいならAntigravity IDEも導入
-
拡張
Skills(Markdown定義)でプロジェクト固有のスラッシュコマンドを整備、Hooksでフォーマッタ・リンタを自動実行
-
使い方
最初の2〜4週間はサブエージェント1〜2並列の小規模タスクから始め、慣れてから10並列以上のヘビーユースに広げる
個人ユースで重要なのは「最初から並列度を上げない」ことです。
サブエージェントを増やすほどトークン消費とコストが積み上がるため、まず単一エージェント運用でAntigravityの挙動を把握してから並列化するのが安全です。
小規模チーム(5〜50名)の導入
5〜50名規模のチームでは、以下の2段階で検討するのが現実的です。
(1) 検証フェーズは個人向けGoogle AI Ultraで対象メンバーが個別契約しながら使い方を固める経路。
(2) 本格業務利用に進む段階でGemini Enterprise / Google Cloud契約の組織導入経路に切り替える経路。
なお、過去にWorkspace組織向けに提供されていた「AI Ultra Access」アドオンは2026年7月7日以降に段階的削除が公式アナウンスされています。
移行後はAntigravity / Gemini CLI / Gemini Code Assistへのアクセス自体が無くなる旨が示されているため、今から新規導入する経路としては推奨できません。
リードエンジニアやプロダクトマネージャー(並列タスクが多い役職)はAI Ultra上位ティア $200/月への引き上げを検討します。

推奨セットアップは以下のとおりです。
-
プラン
検証フェーズはAI Ultra $100/月を対象メンバーが個別契約、本格業務利用に進む段階でGemini Enterprise / Google Cloud契約の組織導入経路を窓口確認。ヘビーユーザーはAI Ultra上位ティア $200/月
-
環境
各メンバーがDesktop App 2.0とAntigravity CLIを併用。共有Skillsをリポジトリに置いてチーム共通化
-
拡張
MCP経由で社内Jira・Slack・Confluenceに接続。Hooks/Skillsをチームテンプレート化
-
CI連携
GitHub Actions / GitLab CI/CDからAntigravity CLI経由でPRレビュー自動化を導入
-
権限管理
プロジェクト単位でエージェントの実行範囲を制限。本番リポジトリではPlan Mode相当の段階承認運用を組み込む
小規模チーム導入の落とし穴は、「個人プラン業務利用の継続」です。
AI Pro個人契約のままチーム業務に使うと、データポリシー・会計両面で問題が生じます。
業務利用が確定したら速やかにGemini Enterprise / Google Cloud契約などの組織契約に切り替えるのが安全です。
エンタープライズ(50名以上)の導入
50名以上の組織や、コンプライアンス要件(SSO・SCIM・監査ログ・データ越境制限等)がある場合は、Gemini Enterprise Agent Platform経由のEnterprise契約が有力な検討候補になります(Managed AgentsのGemini Enterprise Agent Platform対応はpreview / pre-GA段階のため、提供範囲・契約条件・GA状況は個別確認が前提)。

推奨セットアップは以下のとおりです。
-
プラン
Gemini Enterprise Agent Platform契約 + Google Cloudプロジェクト直結
-
環境
部門ごとにDesktop App 2.0配布 + Managed Agents APIで業務システム組み込み
-
拡張
社内向けカスタムプラグイン(Antigravity plugins)でツール接続を整備
-
データ保護
データ非学習・データ非保持の契約条件を確認、必要なリージョン要件を満たす
-
段階展開
1部門で検証 → 複数部門で並列展開 → 全社展開の3フェーズで進める
エンタープライズ展開では、技術選定よりも「契約・コンプライアンス・教育」の整備に時間がかかります。
AI総合研究所がエンタープライズ案件で支援する際の実務観察として、技術検証より法務・情報セキュリティ部門との合意形成が導入リードタイムを支配することが多くなります。
これはClaude Code・Cursor・Copilotの企業導入でも共通して見られるパターンです。
段階移行のロードマップ
3つの導入パターンを統合した段階移行のロードマップは以下のとおりです。

| フェーズ | 規模 | プラン | 主な達成目標 |
|---|---|---|---|
| 検証 | 1〜5名 | AI Pro $20 | 個人開発でAntigravity 2.0に慣れる、ユースケース言語化 |
| 部門導入 | 5〜30名 | 個人向けAI Ultraで検証+Gemini Enterprise / Google Cloud契約の組織導入経路を確認 | 1部門で共通Skills・MCP・CI連携を構築 |
| 全社展開 | 30名〜 | Gemini Enterprise Agent Platform | SSO/SCIM/監査ログ整備、複数部門への横展開 |
段階を飛ばさず、各フェーズで運用ルール・権限設計・コスト管理を固めてから次に進むのが、結果的に最短ルートになります。
エンタープライズが「いきなり全社契約」を選ぶと、現場の使い方がばらつき、定着しないままコスト負担だけが残るケースを多く見ます。
Antigravity 2.0の制約と注意点
Antigravity 2.0は強力なプラットフォームですが、I/O 2026発表直後の現時点では運用上の制約や注意点が複数あります。
本セクションでは、利用前チェック・研究プレビュー段階の機能・既存ユーザーの評価二極化・コスト管理・移行リスクの5点を整理します。

Antigravity 2.0の利用前チェック項目
Antigravity 2.0を使い始める前に、自社・自分のアカウント状況が利用条件を満たしているかを以下の5点で確認します。
前提が合わないと、契約や設計を進めた後でアクセスできない事態が起こり得ます。

-
対応地域
Antigravity 2.0・各料金プラン・期間限定オファーは地域ごとに提供範囲が異なるため、対象国・対応言語を公式の地域別ページで確認
-
利用者の年齢条件
個人向けGoogle AIサブスクリプションは18歳以上が前提。社内検証・教育プログラムで未成年が含まれる場合は対象外になる
-
アカウント区分
個人Googleアカウント/Workspaceアカウントのどちらで利用するかを最初に決める。Workspaceアカウントの場合は組織管理者によるアクセス許可が必要
-
Google AI Pro / Ultra加入状況
本格運用には個別契約のAI ProまたはAI Ultraが前提。既加入者は無料/ベースライン枠から段階的に引き上げる
-
エンタープライズ採用時のGoogle Cloud契約
法人で組織導入する場合は、Google Cloudプロジェクト・Gemini Enterprise契約・IAM設計の確認を契約交渉と並行で進める
これらは契約・法務との調整で時間がかかる項目なので、技術検証と並行して動かしておくとリードタイムを短縮できます。
research preview / beta機能の混在
Antigravity 2.0の機能群は、すべてが一般提供(GA)ステータスではありません。
Managed Agentsの一部機能・Antigravity SDKの新API・AI Studio Playgroundのカスタムテンプレート機能などは、research previewやbetaステータスで提供されているものが含まれます。

本番クリティカルワークフローに研究プレビュー機能を単独依存させるのは避け、補助的な役割で組み込むのが基本です。
具体的には、(1) ステージング環境でしばらく動かして挙動を確認、(2) 機能変更・廃止のリスクを許容できる用途に限定、(3) フォールバック経路(Antigravity SDK直接呼び出し等)を併設しておく、の3点を運用ルールに入れておくと、API仕様変更時の影響を抑えられます。
Antigravity IDE分離と既存ユーザーの評価二極化
2.0で発生した最大の論点のひとつは、Antigravity IDEがDesktop App 2.0から分離された点です。
自動更新でDesktop App 2.0が入る一方で、コードエディタを使い続けるには別途Antigravity IDEを導入する必要があります。

Google AI Developers Forumでは、この変更について「Better and Worse」(良い面も悪い面もある)という議論が起きています。
コードエディタ用途で1.0を使い続けてきたユーザーの一部は不満を表明しています。
一方、エージェント中心の運用に振り切れる開発者からは、Desktop App 2.0の操作性向上を評価する声も多く、評価は二極化しています。
実務的には、コードを書く時間が長い開発者はAntigravity IDEを別途インストールし、Desktop App 2.0と併用するのが現実解です。1.0と同じUI体験を完全に再現できるわけではないため、移行直後の数日〜1週間は「どちらのアプリで何をやるか」の整理に時間を使うつもりで予定を組むのが安全です。
マルチエージェント並列実行のコスト管理
Antigravity 2.0で最も実用上のインパクトが大きいのは、サブエージェント並列によるトークン消費の急増です。リードエージェント+サブエージェント10並列を1時間動かすと、単一エージェント1時間の数倍〜十数倍のトークンを消費します。

このため、AI Pro $20/月の利用枠は本格運用すると数日で上限に達することが現実的に起こります。コスト管理の運用ルールとしては、(1) サブエージェント並列度の上限を組織内で定める、(2) スケジュールタスクの本数を上限管理する、(3) Managed Agents APIで吸収する用途を区別する、(4) 月次の利用ログを定期レビューする、の4点が基本です。
特に「サブエージェント並列度の暴走」は、新規導入チームで頻発する失敗パターンです。並列度を上げれば速度は上がりますが、コスト・APIレート・モデル応答品質の3面でトレードオフが生じます。
最初の1か月は並列度3〜5の中規模運用で挙動を測り、ROIが見えてから10並列以上に広げるのが安全です。
なお、Antigravity Plansの公式情報では、BYOK(Bring Your Own Key)/BYO endpointによる追加レート制限の引き上げは2026年5月時点では未対応とされています。レート上限の引き上げを自社のAPIキーで行う運用は現時点では組めないため、コスト・スループット設計はGoogle側のレート上限を前提に組み立てる必要があります。
Gemini CLI終了に伴う移行リスク
2026年6月18日のGemini CLI一般サービス終了は、既存ユーザーにとって最も明確な移行リスクです。同じ日にGoogle AI Pro / Ultra・無料個人向けのGemini Code Assist IDE extensionsもリクエスト停止対象となり、Gemini Code Assist for GitHubは新規インストール停止+後続のリクエスト停止対象です。
CIスクリプト・自動化バッチ・社内ツール・IDE拡張でGemini CLIやGemini Code Assistを呼んでいる箇所は、サービス終了までにAntigravity CLIへの置換または有償ライセンス継続契約のどちらかに切り替える必要があります。

代表的な移行チェック項目は以下です。
- スクリプト中の「gemini」コマンド呼び出しを「antigravity」系コマンドに置換
- Skills/Hooks/Extensions(→ Antigravity plugins)の動作確認
- CIワークフロー(GitHub Actions等)での認証経路を新CLI用に切り替え
- Geminiモデル指定の文字列(「--model」フラグ等)が新CLIで通るか確認
- 内部ドキュメント・READMEのコマンド例を更新
Gemini Code Assist Standard / Enterpriseライセンス保有者は、終了後も継続サポート対象ですが、新機能はAntigravity CLI側に集中していくため、長期的にはエンタープライズも移行を計画しておくのが現実的です。終了日直前に駆け込み移行するとリハーサル時間を確保できないため、5月時点で小規模なスクリプトから移行を始めておくと、6月18日までに余裕を持って完了できます。
データを外に出せない業務でAIエージェントを動かすなら
Antigravity 2.0のManaged AgentsやClaude Managed Agentsは、エージェントの素早い検証には強力です。一方で機密情報・業務データを扱う本番運用では、データをベンダー側クラウドに出すこと自体が制約となるケースが少なくありません。
この場合、検証で固めたエージェント設計を自社テナント内で動く基盤に移植する「ハイブリッド進め方」が鍵になります。
このレイヤーを担うのが、AI総合研究所が提供するAI Agent Hubです。自社のAzureテナント内に構築するエンタープライズAIエージェント基盤で、ベンダーホスト型で検証したエージェント設計を、業務システム接続・実行ログ・権限管理まで含めて本番運用に乗せられます。
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ベンダー側マネージドエージェントから自社テナントへの移植支援
Antigravity 2.0 Managed AgentsやClaude Managed Agentsで設計したワークフローを、自社Azureテナント内に再構築。Markdownベースのエージェント定義を活かしつつ、データを外に出さない構成へ移植できます。
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業務システム接続と実行管理を一体で
SAP Concur・freee会計・Dynamics 365・Salesforce・Oracle NetSuite等への接続と、実行ログ・アクセス権限・セキュリティスキャンを統合管理。エージェント単位で監査証跡が残ります。
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使い慣れたMicrosoft環境をそのまま活用
Teams・Excel・Outlookなど既存ツールの延長でAIエージェントが動作。新しいツールの学習コストはゼロです。
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データは100%自社テナント内に保持
AIの学習対象から完全除外。Azure Managed Applicationsとして自社テナント内で動作が完了する設計です。
AI総合研究所の専任チームが、ベンダー検証から自社テナント本番運用までの移植・接続設計を伴走支援します。まずは無料の資料で全体像をご確認ください。
ベンダー検証から自社テナント本番運用へ
マネージドエージェントを自社Azure環境に移植
Antigravity 2.0 Managed AgentsやClaude Managed Agentsで検証したエージェント設計を、データ持ち出しに制約のある業務向けに自社Azureテナント内で本番運用する基盤がAI Agent Hubです。業務システム接続・実行ログ・権限管理まで含めて移植を支援します。
まとめ
Antigravity 2.0は、Googleが2026年5月19日のGoogle I/O 2026で発表したエージェント中心の開発プラットフォームです。
1.0時代のVS CodeベースIDEから、Desktop App・Antigravity IDE・Antigravity CLI(Go製)・Antigravity SDK(Python)の4つの主要サーフェスに加え、Managed Agents(Gemini API)・Gemini Enterprise Agent Platformの関連経路を組み合わせる構成に再編されました。
1.0からの主要な変更点は、エージェントオーケストレーションの中核化、Antigravity CLIの新設とGemini CLIからの統合、Antigravity SDKによるカスタムエージェント開発、Managed Agentsの提供、料金プラン再編とAI Ultra $100ティアの新設の5点です。
Antigravity IDEがDesktop App 2.0から分離された点は既存ユーザーの評価が二極化しており、コードエディタ用途で1.0体験を維持したい場合は別途Antigravity IDEを導入する運用が必要です。
料金は、AI Pro $20/月が基準枠、AI Ultra $100/月がPro比5倍、AI Ultra上位ティア $200/月(旧$250から値下げ)がPro比20倍の構成に再編されました。
マルチエージェント並列実行を本格運用するならAI Ultra $100/月が現実的な起点で、20倍枠を使い切るヘビーユーザー向けにUltra上位ティアを検討するのがコスト効率の良いルートです。
Gemini CLIユーザーは2026年6月18日の一般サービス終了に向けてAntigravity CLIへの移行が事実上必須となります。
Skills・Hooks・Subagents・Antigravity plugins(旧Extensions)の動作確認、スクリプト中の「gemini」コマンドの「antigravity」への置換が主要な移行作業になります。
Gemini Code Assist Standard / Enterpriseライセンス保有者は終了後も継続サポート対象ですが、新機能はAntigravity CLI側に集中していくため、エンタープライズも段階的な移行計画を立てておくのが現実的です。
導入パターンは、個人はAI Pro + Desktop App 2.0で最小コスト開始、5〜50名のチームはまず個人向けAI Ultra $100/月で検証を進めつつ本格業務利用はGemini Enterprise / Google Cloud契約の組織導入経路に切り替え(ヘビーユーザーは上位ティア)、エンタープライズはGemini Enterprise Agent Platform + Google Cloud直結という3段階で段階展開するのが、AI総合研究所の導入支援観察から見て歩留まりの良いルートです。
Claude Code・Cursor・GitHub Copilot・OpenAI Codexとの比較では、Antigravity 2.0は「Gemini系を中心としつつVertex Model Garden経由でClaude / GPT-OSSも選択可能・Google Cloud前提・マルチエージェント並列に振り切った設計」に強みがあります。
組織のクラウド・モデル選定に従って自然に選ぶことになり、Google Workspace / Google Cloud基盤の組織にとって、Antigravity 2.0は2026年5月時点で最も自然な選択肢です。
研究プレビューやbeta機能の混在、マルチエージェント並列によるコスト急増、Antigravity IDE分離による移行戸惑い、Gemini CLI終了に伴う移行作業など、I/O 2026発表直後の現時点では運用上の注意点も多く残ります。
これらは技術問題というより運用設計の問題で、最初の1か月で運用ルールを固めておくことで大半が回避できる領域です。
自社のフェーズに合った導入ルートを設計し、段階展開していくことが、結果的に最短ルートでの組織導入につながります。








