この記事のポイント
Gemini CLIは、Googleが開発したターミナル上で利用できるオープンソースのAIエージェント
最先端AIモデル「Gemini 2.5 Pro」を搭載し、自然言語でのコーディング・デバッグ支援が可能
Google検索とシームレスに連携し、ターミナルからリアルタイムな情報取得を実現
システムプロンプトやMCP連携による高い拡張性とカスタマイズ性を備える
基本無料で寛大な利用枠を提供、Claude Codeと比較して情報収集アシスタントとしての側面が強い

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
「ターミナル作業をもっとAIで効率化したい」「最新情報をGoogle検索しながらコーディングしたいけど、ブラウザと行き来するのが面倒…」
そんな開発者の悩みに応えるべく、Googleから強力なAIエージェント「Gemini CLI」が登場しました。しかもオープンソースで、基本無料で利用可能です。しかし、具体的に何ができて、他のCLIツールとどう違うのか、気になりますよね。
本記事では、この「Gemini CLI」について、その基本から応用までを徹底的に解説します。
Gemini CLIの主な機能、Google検索連携の威力、カスタマイズ性、料金体系、そしてClaude Codeとの比較やインストール方法、具体的な使い方まで詳しくご紹介します。
✅Gemini 3の軽量・高速モデル「Gemini 3 Flash」については、こちらの記事をご覧ください。
Gemini 3 Flashとは?特徴・料金・使い方、Proとの違いをわかりやすく解説【2025年最新】
目次
Gemini CLI Extensions:外部ツールとの連携が可能に
設定ファイル(settings.json)によるカスタマイズ
コンテキストファイル(GEMINI.md)によるAIの事前指示
Gemini CLIとGemini Code Assistの比較
Gemini CLIとは?
Gemini CLIとは、Googleが開発した、ターミナル(コマンドラインインターフェース)上で直接利用できるAIエージェントです。2025年6月25日に公開されたこのツールは、開発者が日常的に使用するターミナル環境に、Googleの最先端AIモデル「Gemini 2.5 Pro」の強力な能力をもたらすことを目的としています。
オープンソースのソフトウェア(Apache 2.0ライセンス)として提供されており、その透明性と拡張性も大きな特徴です。

参考:GitHub
Gemini CLIでできること
Gemini CLIは単なるAIチャットではありません。開発者が日常的に使うターミナルに常駐し、実際の作業と連携する「AIエージェント」です。
具体的に、あなたの開発体験をどう変えるのか、4つのポイントで見ていきましょう。
1. コーディングからデバッグまで、対話で解決
エディタとターミナルを何度も行き来する必要はもうありません。
「@main.py のバグを特定して、修正案を提示して」のように、ファイルを指定して話しかけるだけで、コードを解析し、具体的な問題点と改善案を提示します。思考を中断することなく、開発に集中できます。
2. 「ググる」をターミナル内で完結
本ツールの最大の強みは、Google検索とのシームレスな連携です。開発中に未知のエラーや新しいライブラリの仕様を調べる際、もうブラウザを開く必要はありません。
「最新のReact v19の変更点をまとめて」のようにターミナルから直接質問するだけで、Gemini CLIがWeb上の最新情報を検索・要約し、すぐに回答を生成します。
3. プロジェクト専用の「AIアシスタント」に育てる
Gemini CLIは、あなたのプロジェクトのルールや文脈を学習させ、専用アシスタントとして高度にカスタマイズできます。
-
振る舞いを定義する
プロジェクトのルートに「GEMINI.md」ファイルを置くことで、「このプロジェクトではTypeScriptを使い、コーディング規約はGoogleスタイルに従うこと」といったルールをAIに教え込めます。
これにより、より一貫性のある、そのプロジェクトに特化した応答を得られます。
-
独自のツールと連携させる (MCP連携)
MCP (Model Context Protocol) という仕組みを使い、Gemini CLIを外部のツールやサービスと連携させることができます。開発者は独自の機能拡張を作成し、Gemini CLIが標準では持っていない能力(例えば、Jiraや社内データベースとの連携など)を追加していくことが可能です。
▶︎Model Context Protocol (MCP) とは?仕組みやRAGとの違いを解説
4. 面倒なファイル整理や定型作業を丸投げ
Gemini CLIは、対話するだけでなく、あなたのローカル環境を直接操作できます(※必ず実行前に許可を求められます)。これにより、手作業では面倒なタスクも一瞬で片付きます。
例えば、機能がごちゃ混ぜになった巨大な設定ファイルがあるとします。
@config.js "このファイルを機能ごとに3つのファイル(database, api, auth)に分割して"
このように指示するだけで、Gemini CLIはファイルの内容を理解し、適切に分割した上で、新しい3つのファイルを作成してくれます。
そして、AIが完了したその作業を、「!git commit -m "設定ファイルを分割"」 のように、同じターミナルからすぐにバージョン管理(Gitに記録)できます。AIへの指示から作業の記録まで、すべて一つの画面で完結するのです。
5. VSCodeとの連携
Gemini CLIは、もちろんVS Codeに内蔵されているターミナルでも問題なく利用できます。これにより、いつものエディタがさらに強力な開発環境へと進化します。
最大のメリットは、Googleのもう一つのAIツール「Gemini Code Assist」(拡張機能)との「二刀流」が可能な点です。
- コーディング中は、Code Assistにコードをリアルタイムで補完させる。
- Web検索やファイル操作は、同じウィンドウ内のCLIに任せる。
このように、エディタとターミナルを何度も行き来することなく、コーディング(Code Assist)と調査・操作(CLI)を一つの画面で完結できるのが大きな魅力です。ライセンスも共通のため、追加料金はかかりません。
Gemini CLI Extensions:外部ツールとの連携が可能に
2025年10月8日、Gemini CLIに待望の新機能「Extensions(拡張機能)」が追加されました。
ローンチからわずか3ヶ月で100万人以上の開発者が利用する中、「普段使っているツールと直接連携したい」という声に応える形での機能拡張です。これにより、ターミナルと他のツールを行き来する必要がなくなり、すべてをGemini CLI上で完結できるようになりました。
Extensionsでできること
Extensionsは、いわばGemini CLIの「パワーアップアイテム」です。データベース、デザインツール、決済サービスなど、あなたが日常的に使う外部ツールとの連携を、パッケージ化して簡単にインストールできます。
インストールも簡単で、以下のコマンドを実行するだけです。
gemini extensions install <GitHubのURLまたはローカルパス>
各拡張機能には「プレイブック」という、AIにツールの使い方を教える仕組みが組み込まれているため、複雑な設定は不要です。インストールした瞬間から、AIが新しいツールを使いこなせるようになります。
主要企業もExtensionsを提供
Googleだけでなく、業界をリードする以下のような企業もExtensionsを提供しています (今後展開予定のものも含まれます)。

Gemini CLI Ectensionsの提供企業 (参考:Google)
例えば、Figmaの拡張機能をインストールすれば、デザインフレームからコードを生成したり、デザインシステムとの一貫性をチェックしたりといった作業を、ターミナルから直接実行できるようになります。
Google製Extensionsも充実
もちろん、Google自身も多数の拡張機能を開発しています。クラウドデプロイからアプリ開発、データ分析まで、幅広い用途に対応しています。
クラウドネイティブなデプロイ向け
ローカルで書いたコードを、一気に公開URLまで持っていける「Cloud Run」拡張機能や、Google Kubernetes Engine(GKE)クラスターを管理できる拡張機能などが用意されています。
インフラ周りの操作も、ターミナルから対話的に実行できるようになります。
アプリ開発者向け
コードレビューを自動化する「Code Review」拡張機能や、脆弱性を検出する「Security」拡張機能など、開発の質を高めるツールが揃っています。
さらに、Flutterアプリの作成・デバッグや、Chrome DevToolsでのブラウザ制御なども可能です。
生成AIとデータ分析向け
画像生成ができる「Nano Banana」の拡張機能も用意されており、実用的なツールだけでなく、楽しみながら使える機能も充実しています。
Gemini CLIのインストール方法
それでは、実際にGemini CLIを使い始めるための手順を解説します。公式ドキュメントでは、用途に応じた複数の実行方法が提供されており、それぞれに最適な利用シーンがあります。
前提条件として、お使いのMacにNode.js(バージョン18以上)とnpmがインストールされている必要があります。
標準的なインストール(推奨)
一般的なユーザーに最も推奨される方法です。ターミナルから以下のコマンドを実行し、Gemini CLIをグローバル環境にインストールします。ここでは筆者の環境であるmacOSでのインストール方法をメインに紹介します。
-
ターミナルを開き、以下のコマンドを実行してGemini CLIをグローバルにインストールします。
npm install -g @google/gemini-cli
-
インストールが完了したら、「gemini」と入力します。すると、次のような画面が表示されます。

-
Googleアカウントで認証を行います。Loguin with Googleにチェックが入った状態で「Enter」を押すか、以下のコマンドを実行するとブラウザが開き、ログインを求められます。
gemini auth login
-
これで準備は完了です。ターミナルで「gemini」と入力すれば、いつでもAIアシスタントを呼び出せます。
インストール不要の直接実行(npx)
ローカルにインストールせず、常に最新版を一時的に実行したい場合に便利です。
npx @google/gemini-cli
コンテナでの実行(Docker)
セキュリティや環境分離を重視する場合、Dockerコンテナ内でGemini CLIを実行することも可能です。
docker run --rm -it us-docker.pkg.dev/gemini-code-dev/gemini-cli/sandbox:0.1.1
初回利用時の認証設定
Gemini CLIを初めて利用する際には、Googleのサービスと連携するための認証が必要です。利用するアカウントの種類に応じて、いくつかの方法が用意されています。
Googleでログイン
先ほど紹介した、Googleアカウントを利用する方法です。初回起動時に自動的にブラウザが開き、ログインを求められます。認証後は資格情報がローカルに保存され、次回のログインは不要になります。
Gemini APIキー
より高いリクエスト容量が必要な場合や、特定のモデルを使用したい場合は、Google AI Studioで生成したAPIキーを利用します。取得したキーは、環境変数として設定します。
export GEMINI_API_KEY="YOUR_API_KEY"
Google Workspace / Code Assistライセンス
企業や組織から提供されたGoogle Workspaceアカウントや、有料のCode Assistライセンスを持つユーザー向けの方法です。この場合、使用するGoogle CloudのプロジェクトIDを設定する必要があります。
export GOOGLE_CLOUD_PROJECT="YOUR_PROJECT_ID"
Vertex AI
Google Cloudの統合AIプラットフォームであるVertex AI経由で利用する方法です。
gcloudコマンドラインツールでの認証や、プロジェクトID、ロケーションなどの環境変数設定が必要となります。
Gemini CLIの使い方
Gemini CLIをインストールしたら、実際にどのように使うかを見ていきましょう。CLIの基本は、対話モードまたはコマンド実行によるインターフェース操作です。ここでは、日常の開発・業務で役立つ使い方をいくつか紹介します。
2つの基本操作モード
Gemini CLIを効果的に使うためには、まず2つの基本的な「操作モード」と、対話中に使える便利な「プレフィックスコマンド」を理解することが重要です。これらを使い分けることで、あらゆる状況に対応できます。
- 対話モード (Interactive Mode)
ターミナルで「gemini」と入力するだけで開始される、AIとのチャットセッションです。
質問を繰り返したり、対話を通じてアイデアを深めたり、複雑な問題のトラブルシューティングを行うのに適しています。

- 非対話モード (Non-interactive / "One-shot" Mode)
パイプ「|」や「-p」オプションを使い、単一の指示を実行させてすぐに終了する使い方です。
シェルスクリプトに組み込んだり、他のコマンドと連携させたり、単発のタスク(「このファイルの要約だけ欲しい」など)を素早く処理するのに最適です。
スラッシュコマンド一覧
上記の「対話モード」の最中には、プロンプトの先頭にスラッシュ('/')を付けることで、Gemini CLIのアプリケーション自体を制御するためのメタコマンドを実行できます。
以下に、主要なスラッシュコマンドをまとめた表を示します。
| コマンド | 説明 |
|---|---|
| '/help' (または '/?') | 利用可能なコマンドの一覧など、ヘルプ情報を表示します。 |
| '/chat <save/resume/list>' | 対話の履歴を「タグ」を付けて保存・再開・一覧表示できます。 |
| '/memory <show/add/refresh>' | 'GEMINI.md'から読み込まれたAIの記憶(コンテキスト)を表示・追加・更新します。 |
| '/compress' | 長くなった対話履歴をAIに要約させ、トークン消費を節約します。 |
| '/restore [id]' | Checkpointing機能が有効な場合、ファイルの変更を特定の時点に復元します。 |
| '/stats' | 現在のセッションのトークン使用量などの統計情報を表示します。 |
| '/theme' | CLIの見た目を変更するテーマ選択ダイアログを開きます。 |
| '/bug' | Gemini CLIに関する問題をGitHubリポジトリに報告するためのURLを生成します。 |
| '/auth' | 認証方法を変更するためのダイアログを開きます。 |
| '/tools' | 現在利用可能な組み込みツールの一覧を表示します。 |
| '/clear' | 画面の表示をクリアします。(ショートカット: 'Ctrl+L') |
| '/quit' or '/exit' | Gemini CLIを終了します。 |
アットコマンド(@):ファイルコンテキストの追加
対話モード中、プロンプトの先頭にアットマーク('@')を付けることで、ローカルのファイルやディレクトリの内容を、AIへの指示(プロンプト)に直接含めることができます。
- @<ファイルパス> : 指定したファイルの内容をコンテキストに含めます
例:@src/utils.ts "この関数のリファクタリング案を提案して"
- @<ディレクトリパス> : 指定したディレクトリ内のファイル群をまとめてコンテキストに含めます
例:
@src/components/ "このディレクトリ内のコンポーネントの概要を教えて"
この機能は、Gitと連携しており、デフォルトでは'.gitignore'で無視されるファイル('node_modules'など)は自動的に除外されます。
シェルコマンド実行(!)
対話モード中にエクスクラメーションマーク('!')をプロンプトの先頭に付けると、その後に続く文字列をOSのシェルコマンドとして直接実行し、結果を表示します。
これは「モード」が切り替わるわけではなく、あくまで対話中の補助機能です。
例:一時的にシェルコマンドを実行する場合
!ls -la
Gemini CLIで使える組み込みツール群
Gemini CLIが、単なる対話ボットではなく「AIエージェント」として機能できる理由は、その内部に強力な「ツール」群が組み込まれているからです。これらはAIがローカル環境を認識し、操作するための「手足」や「目」の役割を果たします。
ここでは、その主要な組み込みツールを機能別に解説します。
ファイルシステム・ツール
ローカルのファイルやディレクトリを操作するための最も基本的なツール群です。
以下に、主要なファイルシステム・ツールをまとめた表を示します。
| ツール名 | 主な機能 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 'list_directory' | ディレクトリ内のファイルやフォルダを一覧表示します。 | |
| 'read_file' | 指定したファイルの内容を読み取ります。 | テキストだけでなく、画像やPDFも読み取り可能です。 |
| 'write_file' | 指定したファイルに内容を書き込みます。 | 要確認: 実行前に変更差分(diff)が表示され、ユーザーの許可が必要です。 |
| 'glob' | 特定のパターンに一致するファイルを検索します。(例: 'src/**/*.ts') | |
| 'search_file_content' | 複数のファイルの中から、正規表現で特定の文字列を検索します。 | 速度向上のため、Gitリポジトリ内では'git grep'が利用されます。 |
| 'replace' | ファイル内の特定の文字列を、別の文字列に置換します。 | 要確認: 'write_file'と同様に、実行前に変更差-分が表示され、許可が必要です。 |
実行・Web連携ツール
外部コマンドの実行や、Web上の情報へのアクセスを可能にするツール群です。
| ツール名 | 主な機能 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 'run_shell_command' | OSのシェルコマンド(例: 'ls -la', 'git status')を実行します。 | 要確認: システムに直接影響を与えるため、実行前に必ず許可を求められます。 |
| 'web_fetch' | プロンプト内のURLを読み込み、その内容を要約・比較します。 | 最大20件のURLを一度に処理できます。 |
| 'google_web_search' | Google検索を実行し、結果を要約して回答します。 | 生の検索結果ではなく、AIによって要約・編集された内容が返されます。 |
メモリツール
セッションをまたいで情報を記憶させるためのツールです。
| ツール名 | 主な機能 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 'save_memory' | 「私の名前はTaroです」のような事実を記憶させます。 | 記憶された内容は、ホームディレクトリの'~/.gemini/GEMINI.md'に追記されます。 |
これらのツール群をAIが状況に応じて使い分けることで、Gemini CLIは単なるテキスト生成にとどまらない、実践的な開発支援を実現しています。
Gemini CLIの高度な設定
Gemini CLIは、'settings.json'ファイルや環境変数を通じて、その挙動を細かくカスタマイズできます。
設定の優先順位
設定は、より限定的なものが、より広範なものを上書きします。その優先順位は以下の通りです。
- コマンドライン引数(最も優先)
- 環境変数
- プロジェクト設定ファイル
- ユーザー設定ファイル
- デフォルト値(最も優先度が低い)
設定ファイル(settings.json)によるカスタマイズ
設定ファイルは2つの場所に配置でき、プロジェクト固有の設定がユーザー全体の設定を上書きします。
-
ユーザー設定: '~/.gemini/settings.json' (全てのプロジェクトに適用)
-
プロジェクト設定: 'プロジェクトのルート/.gemini/settings.json' (そのプロジェクト内でのみ適用)
以下に、主要な設定項目をまとめた表を示します。
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
| 'theme' | CLIの見た目を変更します。(例: '"GitHub"') |
| 'fileFiltering' | '@'コマンド実行時の'.gitignore'の尊重などを設定します。 |
| 'autoAccept' | 安全な読み取り専用操作の確認プロンプトを自動的に承認します。 |
| 'mcpServers' | 外部ツールと連携するためのMCPサーバーを設定します。 |
| 'checkpointing' | ファイル復元機能であるCheckpointingを有効にします。 |
| 'bugCommand' | バグ報告コマンド('/bug')のURLをカスタマイズします。 |
| 'telemetry' | 利用状況の統計情報の送信を有効/無効にします。 |
環境変数による設定
CLIの挙動を制御する主要な環境変数は以下の通りです。
| 環境変数 | 説明 |
|---|---|
| 'GEMINI_API_KEY' | Gemini APIの認証キー。 |
| 'GEMINI_MODEL' | デフォルトで使用するAIモデルを指定します。 |
| 'GEMINI_SANDBOX' | サンドボックスモードを有効にします。('true', 'docker'など) |
| 'GOOGLE_CLOUD_PROJECT' | Workspaceアカウント等での認証に必要なプロジェクトID。 |
| 'DEBUG' | 'true'に設定すると、詳細なデバッグログが出力されます。 |
コンテキストファイル(GEMINI.md)によるAIの事前指示
AIの振る舞いをプロジェクトごとにカスタマイズするため、「GEMINI.md」というファイルに事前に指示を書き込んでおくことができます。
このファイルは階層的に読み込まれ、より内側のディレクトリの設定が優先されるため、プロジェクト全体への指示と、特定のコンポーネントへの指示を両立できます。
Checkpointing:安全なファイル変更と復元
この機能を有効にすると (「/restore」コマンドが利用可能に)、AIがファイルを変更するツール('write_file'など)を実行する直前に、プロジェクトの状態を自動的にスナップショットとして保存します。
もしAIによる変更が意図しないものであった場合、このスナップショットからいつでも作業状態を復元できるため、安心してAIにファイル編集を任せることができます。
Extensions:独自の機能拡張
プロジェクトの「.gemini/extensions」ディレクトリに所定の形式で設定ファイル(gemini-extension.json)を置くことで、サードパーティ製のツールや、自社で開発した独自のツールをGemini CLIに認識させ、利用させることが可能です。
Telemetry:パフォーマンスと利用状況の監視
デバッグや最適化に役立つ、詳細なログやメトリクスを収集する機能です。OpenTelemetryという標準規格に準拠しており、有効にすることで、ツールの実行時間やAPIリクエストの成功・失敗といった、パフォーマンスに関するデータを外部の監視ツールで可視化できます。
Gemini CLIの料金プラン
Gemini CLIは、基本無料で利用可能です。1分あたり60リクエスト、1日あたり1,000リクエストという、非常に寛大な利用枠が提供されます。

Gemini CLIの料金プラン (参考:Google)
有料オプションには、使用量ベース課金の Google AI Studio や Vertex AI のAPIキーを利用する方法と、より開発者支援サービス「Gemini Code Assist」のライセンスを利用する方法があります。
Gemini CLIは、どのGoogleアカウントで認証したかによって、そのバックエンドで利用されるサービスが決まります。
つまり、有料の「Gemini Code Assist」ライセンスを持つアカウントで認証すれば、CLIの利用においてもそのプランのメリットが適用されます。
| 主なメリット | 個人向けプラン (無料) |
Standardプラン ($19/ユーザー/月〜) |
Enterpriseプラン ($45/ユーザー/月〜) |
|---|---|---|---|
| CLIリクエスト上限/日 | 1,000件 | 1,500件 | 2,000件 |
| 知的財産(IP)保護 | なし | あり | あり |
| エンタープライズ級のセキュリティ (VPC-SC対応など) |
なし | あり | あり |
| プライベートコードでのカスタマイズ (自社コードをAIに学習させる) |
なし | なし | あり |
| 他のGoogle Cloudサービスとの連携 (Apigee, Cloud Assistなど) |
なし | なし | あり |
-
Standardプラン:
生成されたコードに対する知的財産(IP)の補償や、企業のセキュリティポリシーに対応する機能を提供します。
-
Enterpriseプラン:
上記に加えて、自社のプライベートなコードベース(GitHub, GitLabなど)をAIに認識させ、CLIからの質問に対しても、より文脈に沿った精度の高いコード提案をさせることが可能になります。
このように、有料プランは単なる利用枠の増加だけでなく、個人利用から始め、セキュリティ、コンプライアンス、そして自社コードへの最適化といったビジネス要件に応じて、適切なプランへスケールできるのが大きな強みです。
Gemini CLIとGemini Code Assistの比較
Gemini CLIと混同されやすいツールとして「Gemini Code Assist」があります。どちらもGoogleが提供する開発支援AIですが、目的・使用シーン・操作方法が大きく異なります。
| 項目 | Gemini CLI | Gemini Code Assist |
|---|---|---|
| 提供形式 | ターミナルで動作するCLIツール | VS CodeやJetBrains IDEに統合される拡張機能 |
| 主な用途 | チャット型AIエージェント 検索・設計・実行支援 |
コーディング補完・バグ検出・改善提案 |
| 操作スタイル | 対話(チャット+スクリプト) | リアルタイム補完・インライン提案 |
| 補完機能 | なし(明示的に「提案して」と指示) | あり(Copilot同様のコード補完体験) |
| Google検索連携 | あり(Web検索→要約が中心機能) | 限定的(チャットでの質問が最新情報を含む) |
| システム連携 | コマンド実行、ファイル編集、MCP対応 | IDE内の操作に限定 |
| 想定ユーザー | CLI中心の開発者・技術調査やPoC重視の人 | エディタ中心で日常開発に集中したい人 |
ライセンス・料金は共通
Gemini CLIとGemini Code Assistは、バックエンドのAIモデルやライセンス体系を共有しています。つまり、どちらか一方の利用契約があれば、もう一方の機能も同じプランの枠内で利用できます。
料金体系は、以下のGemini Code Assistのプランに基づいています。
| プラン名 | 月額費用 | 利用可能なツール | 主なメリット |
|---|---|---|---|
| 個人向け | 無料 | Gemini CLI / Code Assist | 基本的なチャット、補完、検索 |
| Standard | $19/ユーザー | Gemini CLI / Code Assist | IP補償、エンタープライズセキュリティ |
| Enterprise | $45/ユーザー | Gemini CLI / Code Assist | IP補償、セキュリティ、自社コードでのカスタマイズ |
Gemini CLIを初めて使う場合も、Googleログインさえ済んでいればすぐに無料で使い始めることができ、Code Assistとの利用枠(リクエスト数)も共通です。
このように、Gemini CLIとCode Assistは、「UIが違うだけで本質的に同じAIとライセンスを共有する兄弟ツール」と捉えるのが正確です。
結論:どちらを選ぶべきか?
-
Gemini Code Assistで十分な人
- GitHub Copilotのようなリアルタイム補完だけでOKな人
- エディタ中心の開発スタイルをしている人
- ターミナルでの複雑な対話やエージェント的活用までは不要な人
-
Gemini CLIを使うべき人
- 情報収集や構成設計・シェル操作・検索をAIに任せたい人
- ファイル単位での深いやり取りや、プロジェクト単位の会話をしたい人
- LLMのツール的利用・PoC開発・実験的コード生成に関心がある人
両者は役割が明確に分かれている兄弟ツールです。IDEでの作業にはCode Assist、ターミナルでの作業や複雑なやりとりにはCLIを使い分けるのが最適です。
Gemini CLIと「Claude Code」との比較
Gemini CLIの市場における立ち位置を客観的に理解するためには、主要な競合ツールとの比較が不可欠です。
Anthropic社の「Claude Code」と、その設計思想、料金体系、利用可能なAIモデルといった観点から比較・分析します。
【比較表】Gemini CLI vs Claude Code vs GitHub Copilot CLI
まず、各ツールの基本情報を、最新のAIモデル情報を含めて比較してみましょう。
| 項目 | Gemini CLI | Claude Code |
|---|---|---|
| 開発元 | Anthropic | |
| 基盤AIモデル | Gemini 2.5 Pro | Claude Opus 4 など (プランに応じて複数モデル利用可) |
| 中心的な思想 | 情報収集アシスタント (Google検索連携) |
自己実行型エージェント (プロジェクト全体の自律的理解) |
| 料金体系 | プレビュー期間中は無料 | API従量課金 or 月額定額プラン |
| 提供形態 | スタンドアロンCLI | CLIツール+Webアプリ+IDE連携 |
| エージェント機能 | コマンド実行の提案と承認 | プロジェクトの自律的な読解と複数ファイル編集 |
Gemini CLI
Gemini CLIの設計思想は「最新情報へのアクセス性を民主化する」という点にあると考えられます。
-
料金とモデル
プレビュー期間中、個人のGoogleアカウントでログインするだけで、「Gemini 2.5 Pro」を搭載した全機能を無料で利用できます。1日1,000リクエストという利用枠は、他のツールと比較しても非常に寛大です。
-
強みと注意点
やはり「Google検索」との連携が最大の武器です。最新の技術情報やエラーに関する調査能力に優れています。
ただし、現時点では「自己実行型エージェント」というよりは、ユーザーの指示を忠実に実行する「高機能アシスタント」としての側面が強いと言えます。
Claude Code
一方、Claude Codeの設計思想は「AIを単なるツールではなく、思考のパートナー(自己実行型エージェント)とする」という点に集約されます。
-
料金とモデル
利用には、API利用量に応じた従量課金、またはサブスクリプションである「Proプラン」または「Maxプラン」への加入が必要となります。
▶︎Claudeの料金プラン徹底比較!無料・有料版の違いと選び方【2025年最新】
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強みと注意点
最大の特徴は、プロジェクトディレクトリ内の構造を自律的に把握し、ユーザーがファイルを指定せずとも、必要なファイルを横断して修正・提案できる点です。
自律的に動作する分、ユーザーはAIの提案を慎重に確認する必要がありますが、実行前に必ず許可を求める安全設計が標準となっています。
Claude Codeについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎Claude Codeとは?主な特徴や使い方、料金体系を徹底解説【活用例付き】
結論:どちらを選ぶべきか
これまで見てきたように、両ツールは同じCLI上のAIアシスタントでありながら、その思想と得意領域は明確に異なります。どちらを選ぶべきか、目的別にまとめます。
-
Gemini CLIがおすすめの人
- コストをかけずに試したい:プレビュー期間中の非常に寛大な無料枠は、個人開発者や学生にとって最大の魅力です。
- 最新情報やエラー解決の調査がメイン:Google検索と連携できるため、リアルタイムの情報収集能力を重視する場合に最適です。
- AIはあくまで「アシスタント」としたい:最終的な実行は自身で管理したい、AIをコントロール下に置きたい場合に適しています。
-
Claude Codeがおすすめの人
- 大規模で複雑なコードベースを扱っている:プロジェクト全体を自律的に理解し、複数ファイルにまたがるリファクタリングなどをAIに任せたい場合に真価を発揮します。
- 最高の思考力を持つ「エージェント」を求めている:有料プランで利用できる上位モデルの能力は非常に高く、設計の壁打ちなど高度な知的作業のパートナーとなります。
- 生産性向上のためならコストを許容できる:プロフェッショナルな開発環境に、投資として強力なAIエージェントを導入したい場合に最適です。
端的に言えば、「調査能力に優れた無料アシスタント」ならGemini CLI、「プロジェクトを書き換える有料エージェント」ならClaude Codeが、それぞれ理にかなった選択と言えるでしょう。
Gemini CLIを導入・利用する上でのセキュリティ上の考慮事項
企業の機密情報であるソースコードを扱う以上、その導入と運用には、組織の内部統制や情報セキュリティポリシーに準拠した、厳格で体系的なリスク管理が不可欠です。
このセクションでは、Gemini CLIを安全に利用するために、開発者個人と組織全体で留意すべき、具体的なセキュリティ上の考慮事項を解説します。
情報漏洩リスク(ソースコード・プロンプトの保護)
最も警戒すべきは、意図せずして企業の知的財産であるソースコードや、機密情報が外部に送信されてしまうリスクです。
1. APIキーと認証情報の厳格な管理
APIキーは、あなたのプロジェクトからGoogleのサービスへの「合鍵」です。これが漏洩すると、第三者による不正利用のリスクが生じます。
対策
APIキーは、プロジェクトのルートに「.env」ファイルを作成して記述し、その「.env」ファイルを必ず「.gitignore」に追記してください。ソースコード内に直接書き込んだり、Gitリポジトリにコミットすることは、絶対にあってはなりません。
【設定例】: プロジェクトの「.gitignore」ファイル
# 環境変数を定義する.envファイルをバージョン管理から除外
.env
2. プロンプト内容の吟味
自然言語で指示できる手軽さは、時にリスクにもなり得ます。プロンプト(AIへの指示)の中に、うっかり機密情報を含めてしまう可能性があります。
対策:
パスワード、プライベートなAPIキー、顧客の個人情報(PII)などを、直接プロンプトに貼り付けないでください。AIにコードのレビューを依頼する際も、事前に機密情報が含まれていないかを確認する習慣が重要です。
3. 利用状況の統計情報(Telemetry)の確認と管理
Gemini CLIは、製品改善のために匿名の利用状況統計情報を収集する機能(Telemetry)を持っています。公式ドキュメントによれば、この機能はプロンプト内容やソースコードそのものを収集するものではありません。
対策:
企業のセキュリティポリシーによっては、このような外部通信自体を制御したい場合があります。
その際は、「settings.json」ファイルで明示的にテレメトリーを無効化(「"telemetry": { "enabled": false }」)することを推奨します。
不正なコマンド実行・ファイル変更リスク
Gemini CLIは、AIの提案に基づいて、ローカル環境のファイル書き換えやシェルコマンドの実行が可能です。これが、第二の大きなリスク要因となります。
1. 実行前確認(Confirmation Prompt)の徹底
Gemini CLIは、ファイル変更やコマンド実行といった破壊的、あるいは影響の大きな操作の前には、必ずユーザーに実行許可を求めるプロンプトを表示します。
- 対策:
この確認プロンプトを、決して条件反射で承認(「y」を押す)しないでください。AIがどのようなコマンドを実行しようとしているのか、どのファイルをどのように変更しようとしているのか(diffが表示されます)を必ず自身の目で確認し、理解した上で承認する、というプロセスを徹底してください。
2. YOLOモード(「--yolo」)の利用制限
Gemini CLIには、この確認プロンプトを全て自動で承認する「YOLO (You Only Live Once) モード」が存在します。
- 対策:
- 対策: この「--yolo」オプションは、極めてリスクの高い機能です。ただし、このモードを有効にした場合、サンドボックス機能が自動的に(デフォルトで)有効になり、安全装置として機能します。
3. サンドボックスの活用(Sandboxing)
より高度なセキュリティ対策として、Gemini CLIは「Docker」などのコンテナ技術を使い、ツールを「サンドボックス」内で実行する機能を提供しています。
- 対策:
AIにシェルコマンドを実行させる際、サンドボックスを有効化(「--sandbox」フラグなど)することで、万が一悪意のあるコマンドが生成されたとしても、その影響をホストマシンから隔離されたコンテナ内に封じ込めることが期待できます。
「サンドボックス」とは?
一言でいうと、**あなたのPCの中に作られる、「隔離された安全な実験室」**のことです。
これはよく、公園の**「砂場」**に例えられます。砂場の中では自由にお城を作ったり壊したりできますが、その砂が公園全体に影響を及ぼすことはありません。
なぜ重要か?
もしAIが、間違って「rm -rf /」のような全てを削除するコマンドを提案し、あなたがそれに気づかず承認してしまったとします。
- サンドボックスがない場合: あなたのPCのファイルが本当に削除され、大惨事になります。
- サンドボックスがある場合: 隔離された実験室(コンテナ)の中だけでコマンドが実行され、実験室が破棄されるだけです。あなたのPC本体には一切影響がありません。
このように、サンドボックスは、AIが実行する可能性のある危険な操作から、あなたのPC本体を守るための、非常に重要なセキュリティ機能なのです。Gemini CLIでは、主に「Docker」という技術でこれを実現しています。
チーム・組織での利用におけるガバナンス
個人の注意だけに頼るのではなく、組織としてのルールと仕組みを整備することが、継続的な安全性を確保する上で最も重要です。
1. 認証情報の一元管理と棚卸し
チームで利用する場合、誰が、どの権限でツールを利用しているかを管理する必要があります。
- 対策: Google WorkspaceアカウントやVertex AI経由での認証を基本とし、各メンバーが個別に取得したAPIキーの利用は、管理が煩雑になるため非推奨とします。
定期的に、誰がアクセス権を持っているかの棚卸しを実施できる体制を構築することが望ましいです。
2. 「GEMINI.md」によるセキュリティルールの徹底
AIに守らせたいルールは、AI自身に覚えさせることが有効です。
- 対策
プロジェクトのルートに配置する「GEMINI.md」ファイルに、「どのような状況でも、環境変数「AWS_SECRET_ACCESS_KEY」を含むコマンドを生成・実行してはならない」といった、プロジェクト固有のセキュリティポリシーを明確に記述します。
これにより、AIが危険な操作を提案するリスクを低減できます。
3. 定期的な監査とレビュー
ツールの利用状況を定期的にレビューし、危険な使われ方がされていないかを確認するプロセスは、内部統制の観点から重要です。
- 対策
チーム内でコードレビューを行う際、「AIによる変更箇所」を意識的にレビューする、あるいはTelemetry機能を組織内のセキュアなエンドポイントに集約し、不審なツールコールがないかを定期的に監査するといった仕組みの導入を検討します。
まとめ|Gemini CLIを導入して開発体験を向上させよう
本記事では、Googleの新しいAIツール「Gemini CLI」について、公式発表を元にその概要から具体的な使い方、他のツールとの比較までを網羅的に解説しました。
Gemini CLIは、最新AI「Gemini 2.5 Pro」とGoogle検索を連携させ、それを業界最大級の無料枠で、しかもオープンソースで提供するという、開発者にとって非常に魅力的なツールです。
ターミナルから離れることなく、コーディング、デバッグ、情報収集といった日々の作業を劇的に効率化する可能性を秘めています。まずは本記事を参考に、あなたの環境にインストールして、その力を体感してみてはいかがでしょうか。










