この記事のポイント
出典付きで信頼性の高いコンテンツを自動生成
文書・スライド・表・音声・Webを一括で出力
Clarification機能で曖昧な指示でも高精度な出力
高度なAIエージェント構造と独自LLMで支援
クラウドベースで非エンジニアでもすぐに使える

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
調査から文書・スライド・音声・Web生成まで、すべてのアウトプットを一括で自動化できるAIが登場しました。
Skywork AIは、Clarification機能とDeepResearch技術を組み合わせ、出典付きで構造化された高品質な資料を生成できる次世代型ワークスペースです。
本記事では、Skywork AIの特徴や仕組み、実際の使い方、導入メリットをわかりやすく解説します。
目次
Skywork AIのはじめ方──登録から出力までの操作フローを解説
Skywork AIの実際の使いどころ──目的別に使い分けるワークスペースとエージェント
シナリオ例①:営業資料を作成したい場合(Slides + Docs)
シナリオ例②:市場調査レポートをまとめたい場合(Docs + Sheets)
Skywork AIとは?
Skywork AIは、調査・構成・生成の全工程を一気通貫で担う「階層型エージェントアーキテクチャ」と、複数フォーマットへの出力に対応したマルチモーダル生成能力を備えた次世代型AIワークスペースです。
文書・表・スライド・音声・ウェブページといった多様な形式に応じて、自動的に最適な構造とトーンを判断・生成するこの仕組みは、従来のテキスト特化型生成AIにはない圧倒的な再現力と汎用性を実現しています。
Skywork AI
文書から音声まで一貫生成できる5つの専門エージェント
Skyworkには用途別に特化した5つの生成エージェントが搭載されており、ひとつの指示から複数形式のコンテンツを同時生成することが可能です。
エージェント | 主な生成物 | 特長 |
---|---|---|
Docs | 構造化された文書(レポート・要約など) | 章立てと出典付き構成で実務向け |
Sheets | 表・グラフ・統計データ | 数値分析と可視化に最適 |
Slides | プレゼン用スライド資料 | 見出しと要点を整理し、デザイン付きで出力 |
Web | HTMLページや構成済みコンテンツ | ランディングページや製品紹介に応用可能 |
Podcasts | スクリプト+ナレーション音声 | 台本生成と音声合成を一括出力 |
これらは単独でも複数でも使え、たとえば「調査レポート(Docs)+要約スライド(Slides)+音声原稿(Podcasts)」を一度の指示で同時生成できます。
Clarification機能でプロンプトの曖昧さを解消
Skyworkでは、生成前にClarification(明確化)フェーズが用意されており、次のような条件をGUI上で確認・設定できます。
- 目的(例:社内会議資料、営業プレゼン、SNS投稿)
- 想定読者(例:経営層、一般社員、顧客担当者)
- トーンと制約(例:初心者向け/3分以内/事実重視)
これにより、ユーザーは「意図を自然言語で書くだけ」で済み、AIが自動的に構成とスタイルを判断してくれます。
DeepResearchによる出典付きの高信頼アウトプット
Skywork独自のDeepResearchエンジンは、インターネット上の信頼性の高い情報源(ニュース・論文・公的データなど)から情報を収集し、要約・構成したうえで出典を明示して出力します。
- 情報ごとにソースURLやメディア名を表示
- 図や表にも出典がポップアップで表示される
- GAIAベンチマークにおいて82.42という世界最高評価を取得
この設計により、「情報の裏付けが曖昧」という従来型生成AIの課題を解消し、企業レベルの資料としてそのまま使える品質が担保されています。
処理の中核を担う階層型エージェント構造
Skyworkでは、ユーザーの入力を複数のAIエージェントが分担・連携して処理することで、高速かつ正確な成果物を生み出します。
階層エージェント | 役割 |
---|---|
Top-Level Planning Agent | 全体構成・役割分担の計画を立てる |
Deep Analyzer | テキスト解析と要点抽出 |
Deep Researcher | 情報収集と出典整理 |
Browser Agent | Web上のデータ取得 |
Python Sandbox Agent | 表計算・コード実行・グラフ描画 |
各エージェントは知識バッファを共有しており、一貫性ある出力が複数形式に展開されるのが大きな強みです。
高性能な独自LLM群──Skywork-R1シリーズ
生成の中核をなすのは、自社開発の大規模言語モデル群です。視覚推論・長文思考・数学処理・コード解釈にまで対応しています。
モデル名 | 特長 | 主なスコア |
---|---|---|
Skywork-R1V | Chain-of-Thought特化(38B) | MMMU 69.0, MathVista 67.5 |
Skywork-R1V2 | 強化学習+視覚理解強化版 | AIME2024 79.0, MMMU 74.0 |
Skywork-OR1 | 長文構成・推論に特化したOpen Reasoner(32B) | Claude 3より高精度(LiveCodeBench) |
すべてのモデルはHugging FaceとGitHubで公開されており、OSSとして透明性も高く評価されています。
Skywork AIのはじめ方──登録から出力までの操作フローを解説
Skywork AIは、ブラウザ上で利用できるクラウド型のAIワークスペースであり、専門的な設定やインストールは不要です。
ここでは、初めてSkyworkを使う方に向けて、アカウント作成から出力までの基本的な使い方を5ステップで紹介します。
Step 1:アカウントの作成(無料プランあり)
Skyworkの公式サイト(https://skywork.ai)にアクセスし、「Start for Free」または「Try Now」をクリックすると、以下のような登録画面に進みます。
トップ画面
- メールアドレス/Google/GitHubアカウントでのサインアップに対応
- ユーザー登録後、すぐにワークスペースが自動生成されます
- 登録は無料で開始可能。プレミアム機能は後からアップグレードできます
※法人利用の場合は、管理者権限によるチームスペース作成も可能です。
Step 2:新しいプロジェクトの作成
ログイン後のダッシュボードから「New Project」をクリックもしくは、プロンプトを入力すると、生成したい出力形式(文書、表、スライド、音声など)を選択できます。
今回はスライドを選択
- Docs(文書)/Slides(スライド)/Sheets(表)などのフォーマットを選択
Step 3:自動生成の実行と確認
入力が完了すると、Skyworkのエージェント群が裏側で連携します。タスクの複雑さに応じて生成時間は異なります。
10分以上かかる場合もあります。
自動実行中の様子
- 出力形式に応じて、Markdown・PPTX・XLSX・MP3・HTMLなどが生成されます
- 出典付きの文書、グラフつきのスライド、構造化された音声スクリプトなどが一覧で表示されます
- 各生成物は編集可能で、ブラウザ上で即時修正・追記も可能です
Step 4:出力物のダウンロード・共有
生成された成果物は、次の方法で活用できます:
- Word/PDF/PPT形式でダウンロードし、そのまま配布・提出
- チーム共有リンクを発行して、社内でレビュー依頼
- 音声・Webページ形式は、メールやSNSなどでそのまま展開も可能
特にDocs + Slides + Podcastsの3点セットを一括出力することで、「企画→制作→発信」の全工程をSkywork内で完結させることができます。
実際の生成物1
部分的な修正も可能
Skyworkでは、生成されたスライドや文書の内容をブラウザ上で直接編集できます。
これは非常に便利ですね。
もちろん、右上のダウンロードボタンから、各形式のファイルをダウンロードできます。
ただ、パワーポイントの変換も可能ですが変換精度はManusの方が高い印象です。
パワーポイントへの変換
今回生成したスライドと同様のプロンプトでManusでも実施しています。
ぜひ参考にしてください。⬇️
【関連記事】
Manus(マヌス)とは?主な特徴や使い方、料金体系・クレジットを解説
Skywork AIの実際の使いどころ──目的別に使い分けるワークスペースとエージェント
Skywork AIは、プロンプト入力だけでなく「Clarification(明確化)→出力形式の選択→自動生成」という一連の操作フローが整備されており、非エンジニアでも直感的に使えるAIツールです。
このセクションでは、実際のユースケースを想定しながら、Skywork AIでどのように情報を入力し、どのような出力が得られるのかをステップごとに解説します。
シナリオ例①:営業資料を作成したい場合(Slides + Docs)
Step 1:プロンプト入力(自然言語で依頼)
「当社の新製品Xを紹介する5分程度のプレゼン資料を作成してください。想定する相手は製造業の取引先で、技術的な特徴と導入メリットをわかりやすく伝えたいです。」
Step 2:Clarification画面で条件を確認・編集
- 目的:商談用プレゼン
- 想定読者:非専門家のクライアント担当者
- トーン:説得力のあるが親しみやすい言葉
- 出力形式:Slides(スライド)、Docs(補足資料)
Step 3:自動生成(約1分)
- Slides:構成例(1枚目:課題提起、2〜4枚目:製品機能、5枚目:導入メリット、6枚目:比較表、7枚目:導入実績)
- Docs:プレゼン補足用のスクリプト/説明書き付きレポート
Step 4:出力の確認と微修正(不要ならそのまま使用可能)
- 各スライドに図や表、キャプションが含まれる
- 全ページに出典情報がポップアップで確認可能
シナリオ例②:市場調査レポートをまとめたい場合(Docs + Sheets)
Step 1:自然言語で依頼
「2025年の国内EV市場動向について、最新データを用いたレポートを作ってください。シェアの推移や主なプレイヤー、消費者動向を網羅的にまとめてください。」
Step 2:Clarification
- 目的:社内調査資料
- 対象:製品企画部門
- 制約:10分以内で読める長さ
- 形式:Docs(文章)、Sheets(グラフ・統計表)
Step 3:生成される出力
- レポート:導入文 → 市場規模推移 → 企業別シェア → 消費者調査結果 → 結論(すべて出典付き)
- 表・グラフ:2021〜2025年の販売台数推移/主要メーカー別比較表/年代別の購入意欲
特長
- 各データは出典URL付きでソース確認可能
- 数値根拠に基づくグラフも自動整形
シナリオ例③:音声スクリプトを生成したい場合(Podcasts)
Step 1:音声化したいテーマを指定
「AI規制に関する最近の動向について、3分間のポッドキャスト台本を作成してください。一般向けにわかりやすく説明してください。」
Step 2:Clarification → Podcasts形式選択
Step 3:出力
- スクリプト:冒頭挨拶 → 話題紹介 → 本編解説 → まとめ(自然な口調に最適化)
- 音声合成:希望の声色・スピードで自動読み上げ(男性/女性など選択可)
出力例
こんにちは、Skywork AIポッドキャストへようこそ。
今日は「AI規制の最新動向」について、3分でわかりやすく解説していきます。
まず、2025年4月に欧州で可決されたAI法案ですが……
利用にかかる料金体系とクレジット
Skywork AIでは、用途に応じて必要な分だけ購入できるクレジット制(前払い型)の料金体系を採用しています。クレジットはスライドや文書、音声などの生成ごとに消費され、有効期限は90日間です。
料金体系
クレジットプラン一覧(2025年6月時点)
プラン | 価格(税込) | 割引率 | スライド目安 | ドキュメント目安 |
---|---|---|---|---|
10,000クレジット | ¥2,880 | – | 約27〜34件 | 約20〜28件 |
20,000クレジット | ¥5,396 | 5%オフ | 約56〜66件 | 約40〜57件 |
50,000クレジット | ¥11,798 | 15%オフ | 約133〜166件 | 約100〜140件 |
※スライド生成は現在「70%オフ」の期間限定キャンペーン中で、通常より多く生成できます。
その他出力の目安(10,000クレジットあたり)
- ポッドキャスト:約28〜40本
- ウェブページ:約6〜12件
- スプレッドシート:約11〜22件
有料ユーザー特典
- 高速処理チャネルによる優先生成
- 新機能の先行利用(例:スライド構成エージェント)
- スライド生成時のクレジット30%還元(実質割引)
必要な分だけ無駄なく使え、スライドや文書を大量に作成する業務にも対応可能な柔軟な料金体系となっています。特に、出典付きで信頼性ある資料を高速生成したいユーザーにはコストパフォーマンスの高い設計です。
Skywork AIの運営会社の概要
Skywork AI Pte. Ltd.は、2019年代後半成立のシンガポール発AIスタートアップで、マルチモーダル生成と深層リサーチを組み合わせた独自プラットフォームを開発・提供しています。
会社概要
項目 | 内容 |
---|---|
本社所在地 | シンガポール(2 Science Park Drive #01‑08, Ascent Singapore 118222) |
設立日 | 2021年7月13日(2025年現在、約3年10か月の営業実績) |
法人形態 | 非上場プライベートカンパニー(Private Limited) |
事業内容 | AIワークスペースの開発、マルチモーダルLLMやDeepResearchエンジンの研究・提供。主力は文書・スライド・表・音声・Web生成を統合したAIスイート |
従業員数 | 公式には26名を確認(推定50~200名規模) |
拠点展開 | シンガポール本社に加え、サンフランシスコ・北京にも拠点を保有 |
最新アップデートと拡張性
2025年6月現在、Skyworkのエージェントフレームワークは以下の最新機能に対応しています。
- OpenAI GPT-4.1 / Gemini 1.5 Pro / Claude 3.5 Sonnetとの連携
- ローカル実行用モデル(Qwen 1.5)やオンプレ展開にも対応
- browser-useライブラリ(v0.1.48)によるWeb調査の自動化
- MITライセンスにより、社内カスタマイズや組織内LLM統合も可能
このように、Skyworkは業務要件に応じた柔軟なカスタマイズと拡張性を持つAIプラットフォームでもあります。
まとめ──Skywork AIがもたらす、新しい「知的生産」のかたち
Skywork AIは、従来の生成AIが抱えていた「構成の甘さ」「出典の不透明さ」「形式の限定性」といった課題を克服し、実務に使えるAIワークスペースとして高い評価を得ています。
特に注目すべき点は以下のとおりです。
- 5つの専門エージェント(Docs/Sheets/Slides/Web/Podcasts)により、文書・表・スライド・音声・Webを一括生成
- Clarification機能によって、プロンプトの曖昧さを排除し、文脈・目的・読者層を明確に反映
- DeepResearchエンジンにより、信頼性の高い情報源からの調査・出典付き生成を実現
- 階層型AIエージェント構造とSkywork-R1シリーズに支えられた強力な構成力と推論力
- 直感的なUIとクラウドベースの設計により、非エンジニアでもすぐに使える操作性
また、登録からClarification、出力生成・ダウンロードに至るまでのユーザーフローもシンプルで、すぐに業務へ応用できる点が大きな強みです。
Skywork AIは単なる「文章生成AI」ではなく、構造化・透明化・再利用性の高い情報生成を実現する、知的業務支援ツールへと進化しています。
今後、ビジネス・教育・メディア・研究といった多様な分野において、「調べる・まとめる・伝える」作業の中心的存在となる可能性を秘めたプラットフォームです。