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ラダー図のAI自動生成とは?仕組み・事例・ツール比較を解説

この記事のポイント

  • 制御設計の技能伝承課題を抱える現場なら、汎用LLM(ChatGPT・Claude)でST言語生成から始めるのが最短の検証ルート
  • ラダー図の直接AI生成は三菱電機GX Works3連携とAirion専用30B LLMが先行。2026年時点で実証・製品化に向けた動きが進んでいる状況
  • Siemens Engineering Copilotは2026年4月時点でPLCコード生成がSCL中心(LAD codeはcoming soon)。PLCメーカーの選定がツール選定の前提条件
  • IEC 61131-3の言語体系でAI生成との相性が最も高いのはST言語。ラダー(LD)は図形的整合性の壁が残る
  • 安全制御(SIL/PLr)領域へのAI生成コード適用は現時点で非推奨。通常制御からの段階導入が現実的
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

ラダー図のAI自動生成とは、自然言語やシーケンス仕様からAIがPLC制御のラダープログラムを自動で生成する技術です。
ベテラン技術者の退職と若手不足が進む制御設計の現場で、技能伝承と設計工数削減の切り札として注目が高まっています。

本記事では、2026年4月時点の最新情報をもとに、3つのアプローチ(汎用LLM・専用LLM・メーカー統合型)の仕組み、IEC 61131-3の言語体系とAI生成の相性、三菱電機・Airion・Siemensの事例とツール比較、料金感、導入判断で詰まる4つの論点までを体系的に解説します。

ラダー図のAI自動生成とは?背景と2026年の動向

ラダー図のAI自動生成とは、自然言語の指示やシーケンス仕様書をAIに入力することで、PLC(Programmable Logic Controller)のラダープログラムを自動的に生成する技術です。2026年4月時点で、三菱電機やAirion、Siemensといった大手メーカーとスタートアップが製品化や実証に乗り出しており、制御設計の人材不足に対する有力な解決策として注目が急速に高まっています。

ラダー図のAI自動生成とは

このセクションでは、ラダー図そのものの概要と、AI自動生成がなぜ今求められているのか、2026年時点の主要な動向を整理します。

ラダー図とは

ラダー図(Ladder Diagram: LD)は、PLC制御で最も広く使われているプログラミング言語の1つです。電気回路のリレー接点図を模した図形的な表現方式で、左右の母線の間に接点(条件)とコイル(出力)を配置し、シーケンス制御のロジックを記述します。

制御設計者が目で見て動作を追いやすい点が最大の利点で、電気回路の知識があれば直感的に読み書きできます。一方で、テキストではなく「図形」として成立している点が、後述するAI自動生成の難しさにもつながっています。

ラダー図はIEC 61131-3(PLCプログラミング言語の国際規格)で規定された言語の1つです。現行のIEC 61131-3:2025ではST・LD・FBDを言語群として整理し、SFCは構造化要素として位置づけています。日本国内の製造業では三菱電機のシーケンサ(MELSECシリーズ)やオムロン、キーエンスなどのPLCとセットで、最も利用頻度の高い制御言語として定着しています。

なぜ今「AI自動生成」が注目されるのか

ラダー図のAI自動生成への関心が急速に高まっている背景には、3つの構造的な課題があります。

なぜ今「AI自動生成」が注目されるのか

  • ベテラン技術者の退職と技能伝承の断絶
    ラダープログラムを一から設計できる技術者は、数十年の現場経験を持つベテランに偏っています。2025年問題(団塊世代の大量退職)以降、熟練者が引退するペースが加速しており、ノウハウが属人化したまま社外に流出する現場が増えています。

  • 教育機関でラダーを学ぶ機会がほぼない
    三菱電機はMONOistの取材の中で、「ラダー言語は大学などで学ぶ機会がほとんどない」と指摘しています。若手が入社後にゼロから習得するため育成コストが大きく、教える側のベテランにも負担が集中します。

  • 品質担保に熟練者が不可欠な構造
    ラダープログラムは設備の安全性に直結するため、品質の高いプログラムを作ろうとすると、結局は熟練者がレビューや修正を行う以外にありません。AI自動生成は、この「ゼロから書く」工程を代替し、ベテランの役割を「レビューと修正」にシフトさせる手段として期待されています。


こうした構造的な課題を踏まえると、製造業のDXを推進する中で制御設計の入り口をAIで下支えし、限られた人的リソースをレビューや安全検証に集中させる方向が現実的です。特に10名以下の制御設計チームで、ベテラン1〜2名に依存している現場ほど、AI自動生成の効果が大きくなります。

2026年の主要動向

2026年4月時点で、ラダー図AI自動生成に取り組む主要プレイヤーは以下の4つの流れに整理できます。

プレイヤー アプローチ 進捗(2026年4月時点)
三菱電機 GX Works3連携のラダー生成AI IIFES 2025(2025年11月)で参考出展。MONOist報道では2026年展開予定とされる
Airion ラダー専用30Bパラメータ LLM GENIAC第3期採択。長野オートメーションと共同検証中
Siemens Engineering Copilot(TIA Portal連携) 一般提供中。PLCコード生成はSCL中心(LAD codeはcoming soon)
オージーエヌ × 令和AI ラダー図生成AI(若手育成支援) NEDO GENIAC-PRIZE 地域賞受賞


三菱電機とAirionが「ラダー図の直接生成」に取り組んでいるのに対し、SiemensはPLCコード生成をSCL(Structured Control Language)中心で提供している点が大きな違いです(公式サイトではLAD codeがcoming soonとされています)。PLCメーカーごとに対応言語やIDE連携が異なるため、自社の制御環境との適合性がツール選定の最初の分岐になります。

AI Agent Hub1


ラダー図AI自動生成の仕組み:3つのアプローチ

ラダー図AI自動生成の技術は、大きく3つのアプローチに分類できます。それぞれの仕組みと得意領域が異なるため、自社の課題や制御環境に応じた選択が重要です。

ラダー図AI自動生成の仕組み

以下の表で、3つのアプローチの特性を整理しました。

アプローチ 代表例 出力対象 導入ハードル 精度(2026年時点)
汎用LLM活用型 ChatGPT / Claude ST言語(ラダー間接) 低(すぐに試せる) ST言語は試作・下書き用途では有力。ラダー直接は精度不足
専用LLM型 Airion 30B LLM ラダー直接 中(開発段階) 検証中。ラダー特化の学習データで精度向上を図る
メーカー統合型 三菱電機 / Siemens ラダー or SCL 高(IDE連携が前提) 三菱電機は参考出展段階。SiemensはSCL中心で一般提供中(LAD coming soon)


実務での選定ポイントは、「ラダー図を直接生成したいのか、テキスト型言語(ST/SCL)の自動生成で十分か」という点です。テキスト型で済むケースではSiemens Engineering CopilotやChatGPTが即座に使える一方、ラダー直接生成が必要なら三菱電機やAirionの動向を追う必要があります。

汎用LLM活用型(ChatGPT・Claude)

最も手軽に始められるアプローチです。ChatGPTやClaudeといった汎用の大規模言語モデル(LLM)に、制御仕様を自然言語で指示してPLCコードを生成させます。

汎用LLM活用型

現時点で汎用LLMが得意とするのは、ST言語(Structured Text)の生成です。ST言語はC言語に近いテキストベースの構文を持ち、LLMの学習データにも多く含まれているため、比較的高い精度で出力できます。

一方、ラダー図(LD)の直接生成は汎用LLMの苦手領域です。ラダー図は母線・接点・コイルの空間的な配置と電気回路としての整合性を同時に満たす必要があり、テキストベースの出力だけではこの「図形的な正しさ」を担保しきれません。

実務的な使い方としては、汎用LLMでST言語のドラフトコードを生成し、IDE上で確認・修正しながらラダー図は人手で再構成する、というワークフローが現実的です。一部のIDEではST/SCLとグラフィカル言語を併用できる環境もありますが、ST→LD自動変換を前提にせず、「ラダーの下書き補助ツール」として割り切って使えば、すぐに検証を始められます。

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ラダー専用LLM型(Airion)

Airionは、ラダープログラムの自動生成に特化したLLMを開発しているスタートアップです。経産省とNEDOによるGENIAC第3期支援事業に採択され、約30Bパラメータのラダー専用LLMの開発を進めています。

ラダー専用LLM型(Airion)

Airionのアプローチには2つの段階があります。

  • 基本生成
    設備図面を画像認識AIで読み取り、事前構築したデータベースから関連する要素を抽出してラダープログラムの基本骨格を生成します。

  • 高度なカスタマイズ
    蓄積されたラダープログラムデータをLLMに学習させ、個別のタスクに特化したプログラムのチューニングや高度なカスタマイズを行います。


長野オートメーションとの共同検証では、設備製造における配線図からラダープログラムへの変換を自動化する取り組みが進行中です。汎用LLMでは対応しきれない「ラダー図固有の図形的整合性」を、専用の学習データとモデル設計で解決しようとしている点が特徴です。

メーカー統合型(三菱電機・Siemens)

PLCメーカー自身が、自社のエンジニアリングソフトウェアにAI生成機能を統合するアプローチです。

三菱電機のラダー生成AI

三菱電機のラダー生成AI

三菱電機はIIFES 2025(2025年11月)で、開発中のラダー生成AIを参考出展しました。MONOistの詳細記事によると、入出力のデバイスと動作仕様をまとめた仕様書をAIに入力すると、MELSOFT GX Works3にインポート可能な形式でラダープログラムを出力します。

三菱電機が公開した4つのユースケースは以下のとおりです。

  • 新規作成
    仕様書から新規のラダープログラム、フローチャート、説明文を一括生成

  • 既存プログラムの修正
    既存の制御プログラムと修正内容を入力し、修正版を生成

  • 過去資産の活用
    過去のプログラム資産を参照して類似処理を効率的に生成

  • 複数パターンの提案
    1つの仕様に対して複数のプログラムパターンを提示し、設計者に選択肢を提供


このアプローチの強みは、GX Works3というPLCメーカー純正のIDEと直接連携する点です。生成されたコードがそのままインポートでき、デバイス番号やハードウェア構成との整合性を取りやすい設計になっています。MONOist報道では2026年中のSaaS展開予定とされていますが、三菱電機からの公式発表は2026年4月時点で確認されていません。

Siemens Engineering Copilot

Siemens Engineering Copilotは、TIA Portal(V19/V20/V21)上で動作するAIアシスタントです。Azure OpenAI GPTモデルをバックエンドに、SCL(Structured Control Language)コードの生成、テストケース作成、HMI可視化の支援を提供します。

ここで注意すべき点は、2026年4月時点でEngineering CopilotのPLCコード生成はSCL中心であり、ラダー図(LAD)の直接生成は公式サイトでcoming soonとされている段階です。SCLはIEC 61131-3のST言語に相当するテキスト型言語で、AIとの相性は良好ですが、「ラダー図でプログラムを管理している現場」にはそのまま適用できません。なお、Engineering Copilotにはテストケース生成、HMI可視化支援、ドライブ設定支援などSCLコード生成以外の機能も含まれています。

Siemens PLCを使っている現場で、SCLへの移行を検討しているケースには有力な選択肢です。一方、三菱電機やオムロンのPLCでラダー中心の運用を続ける現場には、メーカーが異なるため直接の恩恵はありません。


IEC 61131-3の言語体系とラダー図AI生成の相性

ラダー図AI自動生成を検討する際に見落とされがちなのが、IEC 61131-3(PLCプログラミング言語の国際規格)で定義された言語とAI生成の相性の違いです。このセクションでは、なぜラダー図のAI生成が難しいのか、逆にどの言語ならAI生成が実用的なのかを整理します。

現行のIEC 61131-3:2025では、ST・LD・FBDを言語群として扱い、SFCは工程の順序や分岐を記述する構造化要素として別建てで整理されています。旧版ではILを含む5言語として説明されることが一般的でしたが、現行版では言語の分類が再編されています。

IEC 61131-3の言語体系

以下の表で、主な言語それぞれのAI生成との相性を比較しました。

言語 種別 表現方式 AI生成の相性 理由
LD(ラダー図) グラフィカル リレー接点図 難しい 母線・接点・コイルの空間配置と電気回路の整合性が必要
ST(Structured Text) テキスト Pascalライクな構文 高い テキストベースでLLMの学習データが豊富。C言語に近い
FBD(ファンクションブロック図) グラフィカル ブロック接続図 やや難しい ブロック間の入出力接続の整合性が必要
SFC(構造化要素) グラフィカル 状態遷移図 やや難しい 状態遷移の網羅性とデッドロック検証が必要。現行版では構造化要素に位置づけ
IL(インストラクションリスト) テキスト アセンブリライクな命令 中程度 テキストベースだが学習データが少ない。旧版では標準言語の1つだったが、現行版では言語体系が再編されている


この表から明確に見えるのは、テキスト型言語(ST)とグラフィカル型言語(LD・FBD)の間に、AI生成の難易度に大きな差があるという点です。

テキスト型言語(ST)とAIの相性

ST言語(Structured Text)は、IEC 61131-3の言語の中でAI生成との相性が最も高い言語です。理由は明快で、C言語やPascalに近いテキストベースの構文であり、LLMが大量に学習しているプログラミング言語のパターンとほぼ同じ構造を持っているためです。

ChatGPTやClaudeでST言語のコードを生成した場合、シーケンサやタイマー、カウンターといった基本的な制御ロジックでは、試作・下書き用途に十分な精度の出力が得られることが複数のエンジニアコミュニティで報告されています。ただし、PLC/ST固有の実用精度をOpenAIやAnthropicが公式に保証しているわけではないため、出力結果は必ず人手でレビューする前提が必要です。

IL(インストラクションリスト)はアセンブリ言語に近いテキスト型言語で、旧版のIEC 61131-3では標準言語の1つとして広く使われていました。現行版では言語体系が再編されており、新規開発での採用は減少しています。学習データも限られるため、AIでの生成精度はST言語に劣ります。

グラフィカル型言語(LD・FBD・SFC)とAI生成の壁

ラダー図(LD)を含むグラフィカル型言語は、AIによる直接生成に固有の難しさを抱えています。

グラフィカル型言語とAI生成の壁

ラダー図の場合、テキストとしてのコマンドだけでなく、以下の要素を同時に満たす必要があります。

  • 空間配置の整合性
    母線間に接点やコイルを配置する際の位置関係が、電気回路として正しく成立していなければならない

  • 並列・直列回路の構造
    複数の条件を並列や直列に組み合わせるブランチ構造が、論理的にも図形的にも正確である必要がある

  • デバイス番号の一貫性
    入出力のデバイス番号がPLCのハードウェア構成と一致し、プログラム全体で重複や矛盾がないこと


テキストベースのLLMは「コードの文法的正しさ」は得意ですが、「図形としての空間配置」は出力の範囲外です。三菱電機やAirionが取り組んでいる「ラダー直接生成」の技術的な難しさは、まさにこの図形的整合性をAIにどう担保させるかという点にあります。

実務的な判断としては、ST言語でドラフトを生成し、ラダー図はIDE上で人手で再構成するワークフローが現時点では最も確実です。ラダー直接生成の精度が実用レベルに達するまでは、STをドラフト生成に活用しつつ、ラダー図の最終仕上げは設計者が行う前提で運用することを推奨します。


ラダー図AI自動生成の導入事例

ラダー図AI自動生成は2026年時点ではまだ黎明期にありますが、複数の企業が実証や本格導入に向けた取り組みを進めています。ここでは、公式情報が公開されている3件の事例を紹介します。

ラダー図AI自動生成の導入事例

オージーエヌ × 令和AI — ベテランの育成負担を軽減するラダー図生成AI

愛知県岡崎市に本社を置くオージーエヌは、生産設備の電気設計を手がける企業です。日経クロステック(xTECH)の報道によると、同社は若手設計者がラダープログラムの基本を習得する初期段階にAIを活用し、ベテランの育成負担を軽減する方法を導入しました。

オージーエヌ × 令和AI

  • 課題
    ラダープログラムの設計はベテラン技術者に属人化しており、若手に1から教えるために多くの時間と工数が発生していた

  • 解決策
    令和AIとの共同開発で「ラダー図生成AI」を構築。設計者の思考プロセスを再現しながら、段階的にラダー図作成を支援するシステムを導入

  • 成果
    NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)主催のGENIAC-PRIZEで地域賞を受賞。若手の習得期間短縮とベテランの負荷軽減を実現する実践事例として評価された


この事例が示しているのは、AI自動生成の最初の導入先は「ベテランを置き換える」ではなく「若手の学習を補助する」という位置づけが現場に受け入れられやすいということです。設計品質の最終責任はベテランが持ちつつ、初期段階のドラフト作成をAIが担うことで、育成のボトルネックを緩和しています。

長野オートメーション × Airion — 画像認識+専用LLMで配線図→ラダーを自動変換

長野オートメーションとAirionの共同検証は、設備製造のプロセス全体にAIを組み込む取り組みです。

長野オートメーション × Airion

  • 課題
    設備図面(配線図)からラダープログラムを作成する工程が手作業で行われており、設計開発工数の大きな割合を占めていた

  • 解決策
    Airionの画像認識AIで設備図面を読み取り、構成要素をデータベースから抽出した上で、ラダー専用LLMがプログラムを自動生成する2段階のパイプラインを構築

  • 狙い
    設計・開発工数の大幅な削減。特に、図面情報の読み取りからプログラム生成までを一貫して自動化することで、手作業による転記ミスの排除も期待されている


この取り組みの特徴は、単にテキスト入力からコードを生成するのではなく、「図面画像の認識」からスタートしている点です。既存の図面情報を入力資産として活用できる可能性があり、資産の棚卸しとAI活用を同時に進められる点が注目されています。

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thyssenkrupp × Siemens Engineering Copilot — SCL自動生成でグローバル展開

ドイツの産業コングロマリットthyssenkruppは、Siemens公式プレスリリースによると、Engineering Copilotの大規模導入を進めています。

  • 課題
    世界各地の拠点で制御設計の標準化が進まず、拠点ごとに異なるプログラミングスタイルや品質水準が課題となっていた

  • 解決策
    TIA Portal上のEngineering CopilotでSCLコードの自動生成を導入。シーケンサ、ステートマシン、スケーリング関数、診断ロジックなど典型的な制御タスクを対象に、生成AIで設計工数を削減

  • 展開
    2025年以降、グローバル拠点でのスケール展開を計画。生成されたコードの品質を標準化することで、拠点間の設計水準を揃える


ただし、この事例で生成されるのはSCL(ラダーではない)です。Siemens PLCを使い、SCLでの開発に移行する前提がある現場に限定される点に注意が必要です。

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ラダー図AI自動生成ツール・サービス比較

ここでは、2026年4月時点で公開情報のあるラダー図AI自動生成関連のツール・サービスを横断的に比較します。

ラダー図AI自動生成ツール・サービス比較

以下の表で、各ツールの対応言語や導入フェーズを整理しました。

ツール・サービス 提供元 対象PLC 生成言語 IDE連携 提供形態(2026年4月時点)
ラダー生成AI(GX Works3連携) 三菱電機 MELSEC ラダー(LD) GX Works3 参考出展段階。報道ベースでは2026年展開予定とされる
ラダー専用LLM Airion メーカー非依存(目標) ラダー(LD) 開発中 GENIAC第3期で開発中。長野オートメーションと検証
Engineering Copilot TIA Standard Siemens SIMATIC S7 SCL(STに相当) TIA Portal V19〜V21 一般提供中(Managed Service)
ラダー図生成AI オージーエヌ × 令和AI 三菱電機ほか ラダー(LD) 非公開 社内利用段階。GENIAC-PRIZE受賞
ChatGPT / Claude OpenAI / Anthropic メーカー非依存 ST言語(ラダー間接) なし(手動コピー) 一般提供中


この比較から見えてくるのは、「ラダー図を直接生成できるツール」はまだ開発段階のものが大半だという現実です。2026年4月時点で一般提供されているのは、Siemens Engineering Copilot(PLCコード生成はSCL中心)とChatGPT/Claude(ST言語)のみです。

ラダー図AI自動生成ツール選定の判断軸

ツール選定にあたっては、以下の4つの観点で自社の状況を整理することを推奨します。

  • 自社のPLCメーカー
    三菱電機のMELSECを使っているなら三菱電機のラダー生成AIが第一候補になります。Siemens PLCならEngineering Copilot。他社PLCの場合はAirion(メーカー非依存を目標)か汎用LLMが現実的な選択肢です。

  • 生成したい言語
    ラダー図の直接生成が必須か、ST/SCLでの生成で業務が回るかを判断します。現場がラダー図中心の運用で、ST言語への移行コストが大きい場合はラダー直接生成の実用化を待つか、Airionの検証に参加する選択肢があります。

  • 既存資産の有無
    過去に作成したラダープログラムやシーケンス仕様書が整理されているなら、三菱電機の「過去資産活用」ユースケースやAirionの学習データとして活用できます。逆に整理されていない場合は、まず資産の棚卸しから始める必要があります。

  • 導入フェーズ
    今すぐ検証を始めたいなら、ChatGPT/ClaudeでST言語を生成するところからスタートするのが最も低コストです。本格導入を見据えるなら、三菱電機の正式リリース動向やAirionの製品化を追いながら、並行して汎用LLMで社内の検証知見を蓄積しておくのが得策です。

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ラダー図AI自動生成で詰まる4つの論点

ラダー図AI自動生成の導入を検討する現場で、意思決定が止まりやすいポイントがあります。ここでは、支援経験をもとに頻出する4つの論点を整理します。

ラダー図AI自動生成で詰まる4つの論点

安全制御(SIL/PLr)への適用可否

最も慎重な判断が求められるのが、安全制御領域へのAI生成コードの適用です。

安全制御への適用可否

機能安全規格(IEC 61508のSIL、ISO 13849のPLr)が求められるセーフティPLCのプログラムに、AI生成コードをそのまま適用することは現時点では推奨できません。理由は2つあります。

1つ目は、安全制御のプログラムは認証プロセス(第三者認証機関による審査)を経る必要があり、「AIが生成したコード」の検証責任と妥当性確認の手順が業界で確立されていないためです。

2つ目は、AI生成コードの再現性が保証されない点です。同じプロンプトでも出力が変わる可能性があるLLMベースのツールでは、安全制御が要求する「確定的な動作保証」との両立が難しくなります。

通常制御(標準PLC)の範囲でAI自動生成を活用し、安全制御は従来どおり熟練者が設計する、という切り分けが現実的です。

デバイス番号・変数テーブルとの整合性

AI生成されたラダープログラムをIDEにインポートする際、デバイス番号(入出力のアドレス)やグローバル変数テーブルとの整合性が問題になるケースがあります。

特に汎用LLM(ChatGPT/Claude)で生成した場合、デバイス番号は仮のものが割り当てられるため、実際のハードウェア構成と突き合わせる手作業が発生します。三菱電機のラダー生成AIのように、GX Works3のプロジェクト情報と連携する方式であれば、この問題は軽減されます。

導入時には、デバイス番号の命名規則や変数テーブルのテンプレートを事前に標準化しておくことで、AI生成コードの後工程を効率化できます。

既存ラダー資産との互換と移行

長年運用してきたラダープログラムが数千本単位で蓄積されている現場では、「AI生成の新しいプログラムと既存資産をどう共存させるか」が論点になります。

AI生成コードと既存コードで命名規則やコメントの書き方が異なると、保守時に混乱が生じます。対策としては、AI生成時にコーディング規約(命名規則、コメント形式、ブロック構成)をプロンプトやテンプレートで指定し、既存資産との一貫性を担保する方法が有効です。

三菱電機のラダー生成AIが「過去資産の活用」ユースケースを用意しているのは、まさにこの互換性課題を意識した設計です。

検証・テストの自動化

AI生成されたラダープログラムの品質を担保するには、シミュレーションやテストの工程が不可欠です。

検証・テストの自動化

現時点でのAI生成ツールは、コード生成までが対象であり、テストケースの自動生成やシミュレーション実行まで一貫して対応しているものは限られています。Siemens Engineering Copilotはテストケース生成を機能に含んでいますが、ラダー図のテストではなくSCLに対するものです。

「AIで生成→人間がレビュー→シミュレータで検証→実機テスト」という4段階のワークフローを社内で標準化し、AI生成コードを「ドラフト(下書き)」として位置づけるのが、品質とスピードを両立させるためのポイントです。同様の検証プロセスは、予知保全AI異音検知AIなど他の製造業AI導入でも共通する課題です。

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ラダー図AI自動生成の料金・コスト感

ラダー図AI自動生成の料金は、2026年4月時点ではほとんどのツールが開発段階や個別見積りであり、定価が公開されているものは限られています。

ラダー図AI自動生成の料金・コスト感

以下の表で、主要ツールのコスト情報を整理しました。

ツール 料金形態 目安(2026年4月時点) 備考
三菱電機 ラダー生成AI 未公開 要問い合わせ IIFES 2025で参考出展段階。報道ベースでは2026年展開予定とされる
Airion 専用LLM 未公開 要問い合わせ GENIAC支援で開発中。商用化時期未定
Siemens Engineering Copilot TIA Standard サブスクリプション 要問い合わせ(Managed Service) TIA Portal V19〜V21が前提。別途ライセンスが必要
オージーエヌ × 令和AI 未公開 社内利用段階 外販の計画は公開されていない
OpenAI API(GPT-4o) 従量課金 入力 $2.50/100万トークン、出力 $10.00/100万トークン ST言語生成用途。ラダー直接は非対応。GPT-4oはAPI側で継続提供
ChatGPT Plus 月額サブスク 月額 $20 ChatGPTのサブスクリプションプラン。ST生成はプロンプト入力で利用可能
Anthropic API(Sonnet 4.6) 従量課金 入力 $3/100万トークン、出力 $15/100万トークン ST言語生成用途。ラダー直接は非対応
Claude Pro / Max 月額サブスク Pro: 月額 $20、Max: 月額 $100〜 claude.aiのサブスクリプション。ST生成はプロンプト入力で利用可能


この表が示すとおり、ラダー図の直接AI生成に対応するツールは現時点で価格が非公開です。「まず検証を始めたい」というフェーズであれば、ChatGPTやClaudeのAPIを使ったST言語生成が最もコストが低く、月額数千円から試行できます。

本格導入を見据えたコスト試算としては、以下の3つの費用要素を考慮する必要があります。

  • ツール利用料
    SaaS型であれば月額サブスクリプション、API型であればトークン単位の従量課金

  • IDE・PLCライセンス
    メーカー統合型の場合、GX Works3やTIA Portalの既存ライセンスが前提。新規導入なら別途コストが発生

  • 検証・レビュー工数
    AI生成コードの品質検証にかかる人的コスト。安全制御を含む場合は第三者認証費用も考慮が必要


制御設計者の人件費(時給換算)と、AI生成によって短縮できる設計工数を比較して、投資対効果(ROI)を試算するのが導入判断の出発点です。

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制御設計のAI化を現場定着まで進めるなら

ラダー図AI自動生成でドラフト作成の工数が削減できても、それだけでは「属人化の解消」は完結しません。生成されたプログラムのレビュー体制、バージョン管理、設計資産の蓄積と再利用、そして関連する図面情報の検索・活用までを含めた業務プロセスの設計が必要です。

  • 図面情報の検索・活用を自動化する
    設計製図Agentを使えば、過去の図面をAI検索し類似設計を素早く参照できます。制御設計の前工程にあたる設計図面のデータ活用を効率化し、ラダー生成の入力品質を高めます。

  • 紙図面のデジタル化を一気に進める
    AI-OCR Agentで紙図面やFAXで受け取った仕様書をデジタル化。手入力による転記ミスを排除し、AI活用の土台を整備します。

  • 自社Azureテナント内で完結する
    AI Agent HubはAzure Managed Applicationsとして顧客テナント内に構築されるため、設計情報が外部に出ません。制御設計データのセキュリティを確保しながらAI活用を進められます。


AI総合研究所では、制御設計を含む製造業のAI活用について、業務フローの設計から現場定着まで伴走支援しています。まずは資料で、AI Agent Hubが提供する業務自動化基盤の全体像をご確認ください。

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まとめ

ラダー図のAI自動生成は、制御設計の人材不足と技能伝承という製造業の構造的な課題に対する有力な解決策として、2026年時点で急速に立ち上がりつつあります。

本記事の要点を3つにまとめます。

  • 「まず使ってみる」なら汎用LLMでST言語生成から始める
    ChatGPTやClaudeでST言語のドラフトコードを生成し、ラダー図はIDE上で人手で再構成するワークフローが、最も低コストかつ即日で検証を始められるルートです。ラダー図の直接AI生成を待つ間に、社内で「AIが生成したコードをレビューする」運用知見を蓄積しておくことが、本格導入時のスムーズな移行につながります。

  • ラダー直接生成は三菱電機・Airionに注目しつつ、自社のPLC環境から逆算する
    三菱電機のMELSECを使っているならGX Works3連携のラダー生成AI、Siemens PLCならEngineering Copilot(SCL中心、LAD coming soon)が自然な選択肢です。PLCメーカーの選定がツール選定の前提条件になるため、「どのツールがいいか」の前に「自社はどのPLCで制御設計を続けるか」を明確にする必要があります。

  • 安全制御は切り分け、通常制御から段階的に導入する
    SIL/PLr対応が求められる安全制御領域へのAI生成コード適用は、業界の検証基準が整うまで見送るのが現実的です。まずは通常制御の範囲でパイロット導入し、レビュー体制と検証プロセスを確立した上で、対象範囲を段階的に広げていく進め方を推奨します。


ラダー図AI自動生成はまだ黎明期にありますが、三菱電機のIIFES 2025参考出展やAirionのGENIAC採択など、製品化に向けた動きが加速しています。制御設計の技能伝承に課題を抱えている現場は、今のうちに汎用LLMでの検証を始め、メーカー純正ツールの正式リリースに備えておくのが得策です。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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