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Azureのパフォーマンス低下の原因は?よくある要因と対策を徹底解説

この記事のポイント

  • パフォーマンス低下の原因切り分けは、まずAzure MonitorとApplication Insightsで数値を取るところから始めるべき。勘での対処は工数の無駄
  • ストレージがボトルネックならPremium SSD以上への変更が第一候補。Standard HDDやStandard SSDでは本番ワークロードのIOPS要件を満たせないケースが多い
  • 日本向けサービスはJapan East/Westリージョンへのデプロイが必須。海外リージョン利用による数十ms単位の遅延はUX悪化に直結する
  • DBクエリの非効率は見過ごされやすいが影響が大きい。Azure Cache for Redisの導入とインデックス最適化で応答時間を50%以上改善できるケースがある
  • Azure Monitorの無料枠(5GB/月)で基本的な監視は十分に開始できる。まず無料枠でPoCし、本番では必要な分だけスケールするのが最もコスト効率が良い
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


Azureのパフォーマンスが低下すると、ユーザーの応答時間の増加やアプリケーションのタイムアウトが発生し、ビジネスに直接的な影響を及ぼします。
原因はリソース不足やストレージのボトルネック、ネットワーク構成の問題など多岐にわたり、インフラストラクチャとアプリケーションの両面から切り分ける必要があります。


本記事では、Azureのパフォーマンス低下を引き起こす主な要因を整理し、Azure MonitorやAzure Advisorを使った診断方法、インフラ面・アプリケーション面それぞれの具体的な対策、継続的な監視と改善の進め方までを体系的に解説します。

Azureの基本知識や料金体系についてはこちらで解説しています。
Microsoft Azureとは?できることや各種サービスを徹底解説
Microsoft 365 Copilotの最新エージェント機能「Copilot Cowork」については、以下の記事をご覧ください。
Copilot Coworkとは?機能や料金、Claude Coworkとの違いを解説

Azureのパフォーマンス低下とは

Azureのパフォーマンス低下とは、Azure上で稼働するアプリケーションやサービスの応答時間が長くなったり、スループットが低下したりする現象を指します。ユーザーにとっては「ページの読み込みが遅い」「APIの応答が返ってこない」「処理がタイムアウトする」といった形で表面化し、業務の生産性低下やエンドユーザーの離脱につながります。

パフォーマンス低下の原因は単一ではなく、インフラストラクチャ(仮想マシン・ストレージ・ネットワーク)とアプリケーション(コード設計・データベースクエリ・構成設定)の両面にまたがります。そのため、原因の切り分けには体系的なアプローチが必要です。

MicrosoftはAzure Well-Architected Frameworkの中で「パフォーマンス効率(Performance Efficiency)」を5つの設計原則の1つに位置づけています。このフレームワークでは、以下の4つの設計原則を基本としています。

  • 現実的なパフォーマンス目標の設定
    ワークロードの要件に基づいて、達成可能なパフォーマンス目標を定義する

  • 容量要件に合わせた設計
    需要の変動に対応できる十分なリソースを計画する

  • パフォーマンスの達成と維持
    監視とテストを通じてパフォーマンス目標を継続的に確認する

  • 最適化による効率の向上
    コードやインフラの最適化を通じて長期的にパフォーマンスを改善する


この設計原則を念頭に置きながら、次のセクションからパフォーマンス低下の具体的な要因と対策を見ていきます。


AI Agent Hub1

Azureのパフォーマンス低下の主な要因

問題点イメージ

Azureのパフォーマンス低下の要因は、大きくインフラストラクチャに関する問題とアプリケーションに関する問題に分類できます。それぞれの要因を以下の表に整理しました。

分類 要因 主な症状
インフラ リソースの不足(CPU・メモリ) VM応答遅延、タイムアウトの頻発
インフラ ストレージのボトルネック データベースクエリの遅延、I/O待ち時間の増加
インフラ ネットワーク構成の問題 通信遅延、データ転送速度の低下
インフラ データセンターの地理的位置 レイテンシーの増加(特に海外ユーザー向けサービス)
インフラ セキュリティ設定の過剰 ファイアウォールルールの処理負荷によるスループット低下
アプリ コード・クエリの非効率 実行時間の増加、リソースの無駄な消費
アプリ VM・データベースの構成ミス 必要な処理能力を確保できず応答性が低下
アプリ キャッシュ戦略の不備 同じデータの繰り返し取得によるデータベース負荷増大

インフラストラクチャに関する要因

インフラストラクチャの問題は、Azureの基盤レイヤーに起因するパフォーマンス低下です。

  • リソースの不足
    仮想マシン(VM)のCPUやメモリが不足すると、処理のキューイングが発生し応答時間が増加します。特に同時に多数のリクエストが集中する場面では、リソースが過負荷状態になりアプリケーションのクラッシュやタイムアウトの原因になります。

  • ストレージのボトルネック
    ストレージのIOPS(1秒あたりの入出力操作数)やスループットが不足すると、データの読み書きに待ち時間が生じます。大量のデータを扱うアプリケーションでは、ストレージの性能がシステム全体のボトルネックになりやすく、データベースのクエリ速度にも直接影響します。

  • ネットワーク構成の問題
    仮想ネットワーク(VNet)やサブネットの設定が不適切だと、通信経路に無駄な迂回が発生してデータの送受信が遅くなります。ルーティング設定のミスやNSG(ネットワークセキュリティグループ)ルールの過剰な適用も、ネットワーク効率を下げる原因です。

  • データセンターの地理的位置
    ユーザーとAzureデータセンター(リージョン)の物理的な距離が遠いと、通信のレイテンシー(遅延)が増加します。日本のユーザー向けサービスをJapan East(東日本)やJapan West(西日本)以外のリージョンにデプロイしている場合、数十ミリ秒単位の遅延が蓄積して体感速度に影響します。

  • セキュリティ設定の過剰
    ファイアウォールルールやアクセス制御が複雑になりすぎると、パケットの評価処理自体がオーバーヘッドになります。セキュリティは不可欠ですが、不要になったルールの整理やNSGルールの簡素化によってパフォーマンスとのバランスを取ることが重要です。

アプリケーションに関する要因

アプリケーションイメージ

アプリケーションの問題は、インフラストラクチャが適切に構成されていても発生するパフォーマンス低下です。

  • コード・クエリの非効率
    非効率なアルゴリズムや最適化されていないデータベースクエリは、処理時間を増加させリソースを無駄に消費します。たとえば、必要以上に多くのカラムや行を取得するSELECT文や、インデックスが適用されないフルテーブルスキャンは、データベースの応答時間を大幅に悪化させます。

  • VMやデータベースの構成ミス
    VMのサイズが小さすぎる、またはデータベースのDTU/vCoreが不足しているといった構成のミスマッチは、処理能力の不足を引き起こします。逆にリソースを過剰に割り当てると、コストだけが増加してパフォーマンスの改善にはつながりません。

  • キャッシュ戦略の不備
    頻繁にアクセスされるデータをキャッシュしていないと、毎回データベースへの問い合わせが発生し、データベースの負荷が高まります。キャッシュの有効期限が適切でない場合も、古いデータの返却や不必要なキャッシュの無効化によるパフォーマンス低下が起こります。


これらの要因が単独で発生することもあれば、複数の要因が絡み合って問題を複雑にするケースもあります。原因の特定には、次のセクションで解説する診断ツールの活用が不可欠です。


Azureのパフォーマンス問題を診断する方法

パフォーマンス低下の対策を講じる前に、まず何がボトルネックになっているかを正確に把握する必要があります。Azureにはパフォーマンスの診断に使えるサービスが複数用意されており、状況に応じて使い分けることで問題の切り分けが効率的に行えます。

主な診断ツールを以下の表にまとめました。

ツール 主な用途 対象
Azure Monitor メトリクス・ログの収集と分析、アラート設定 インフラ・アプリの両方
Application Insights Webアプリケーションの応答時間・例外・依存関係の追跡 アプリケーション
Azure Advisor パフォーマンス・コスト・セキュリティに関する推奨事項の自動生成 インフラ・アプリの両方
Azure Load Testing 負荷テストの実行とパフォーマンスの限界点の特定 アプリケーション

Azure Monitorによるメトリクス分析

Azure Monitorは、Azureの統合監視サービスです。VMのCPU使用率・メモリ消費量・ディスクI/O、データベースのDTU使用率、ネットワークのスループットなど、インフラ全体のメトリクスをリアルタイムで収集して可視化します。

Azure Monitor
Azure Monitor

Azure Monitorのメトリクスエクスプローラーを使うと、特定の時間帯にCPU使用率が急上昇した箇所を特定したり、ディスクのIOPSが上限に張り付いている期間を確認したりできます。異常を検知した場合にメールやTeamsに通知を飛ばすアラートルールの設定も可能です。

2026年時点では、Azure MonitorにAIエージェント監視機能(Application Insights経由)が追加されています。Microsoft FoundryやCopilot StudioなどのAIエージェントのパフォーマンス(トークン消費量、レイテンシー、エラー率)も追跡できるようになりました。

Azure Advisorの推奨事項

Azure Advisorは、リソースの構成と使用状況を分析して改善の推奨事項を自動で生成するサービスです。推奨事項は信頼性・セキュリティ・パフォーマンス・コスト・運用の卓越性の5カテゴリに分かれています。

Azure Advisor

パフォーマンスカテゴリの推奨事項には、たとえば「VMのサイズが処理負荷に対して過小である」「SQLデータベースにインデックスの追加を推奨」「CDNの導入で応答時間を改善できる」といった内容が含まれます。Azure Advisorは追加費用なしで利用でき、Azure Portalのナビゲーションからすぐにアクセスできます。

Application Insightsによるアプリケーション診断

Application Insightsは、Azure Monitorの機能の一つで、Webアプリケーションのパフォーマンスを詳細に追跡するAPM(アプリケーションパフォーマンス監視)ツールです。リクエストの応答時間、例外の発生頻度、外部サービスへの依存関係のレイテンシーなどを自動で収集し、パフォーマンスのボトルネックを特定できます。

Application Insightsの「パフォーマンス」ブレードでは、遅いリクエストのトップ10や、失敗率の高いエンドポイントを一目で確認できます。個々のリクエストをドリルダウンすると、どの処理ステップに時間がかかっているかをトランザクションマップで視覚的に追跡できるため、コード改善の優先順位づけに役立ちます。

Azure Load Testingによる負荷テスト

Azure Load Testingは、マネージドの負荷テストサービスです。Apache JMeterベースのテストスクリプトを使ってアプリケーションに大量のリクエストを送信し、パフォーマンスの限界点(どの程度の同時ユーザー数で応答時間が急上昇するか)を特定できます。

本番環境にデプロイする前にLoad Testingを実行しておくことで、予想されるトラフィック量に対してリソースが十分かどうかを事前に検証できます。CI/CDパイプラインに組み込んでリリースごとにパフォーマンスの回帰テストを自動実行する運用も可能です。


Azureのインフラストラクチャ面のパフォーマンス対策

診断によってインフラストラクチャ側にボトルネックがあることが判明した場合の具体的な対策を解説します。

VMのリソース最適化

VMのCPU使用率が常時80%を超えている、またはメモリの使用量が上限に張り付いている場合は、VMサイズの変更(スケールアップ)を検討します。

対策の手順は次のとおりです。

  1. Azure MonitorでVMのCPU・メモリ・ディスクI/Oのメトリクスを確認する
  2. Azure Advisorのパフォーマンス推奨事項で、VMサイズの変更提案を確認する
  3. ワークロードに適したVMシリーズ(汎用Dシリーズ、メモリ最適化Eシリーズ、コンピューティング最適化Fシリーズなど)を選択する
  4. 自動スケーリング(VM Scale Sets)を設定し、負荷に応じてインスタンス数を自動調整する

VMのサイズ変更は数分のダウンタイムを伴う場合があるため、可用性セットや可用性ゾーンを活用して影響を最小化することが重要です。VMのコスト最適化についてはAzure VMのコストを安くする方法も参考にしてください。

ストレージの最適化

ストレージのボトルネックに対しては、ストレージタイプの選択とデータベースの最適化が有効です。

  • ストレージタイプの見直し
    Standard HDDをPremium SSDまたはUltra Diskに変更することでIOPSとスループットが大幅に向上します。特にデータベースサーバーのOSディスクやデータディスクには、Premium SSD以上の使用を推奨します。Azure Storageの種類と特性を理解した上で選択してください。

  • データベースインデックスの最適化
    頻繁に使用するクエリのWHERE句やJOIN条件のカラムにインデックスを追加することで、クエリの実行速度を改善できます。Azure SQL Databaseではインテリジェントクエリ処理が自動的にクエリプランを最適化しますが、手動でのインデックス追加も効果的です。

ネットワークの最適化

ネットワーク経由のデータ転送が遅い場合は、以下の対策を検討します。

  • VNetとサブネットの見直し
    不要なルーティングや過剰なNSGルールを整理し、通信経路を最適化します。Azure Network Watcherのネットワーク診断機能を使うと、パケットのルーティング経路や遅延の発生箇所を特定できます。

  • Azure Front Doorの導入
    グローバルに展開するサービスでは、Azure Front Doorを導入することでユーザーに最も近いエッジロケーションからコンテンツを配信できます。SSL/TLSオフロードやWAF(Webアプリケーションファイアウォール)機能も統合されているため、セキュリティとパフォーマンスを同時に強化できます。

  • リージョンの選定
    主要なユーザーが日本国内にいる場合は、Japan East(東日本)またはJapan West(西日本)リージョンを選択します。Azure Traffic Managerを使えば、複数リージョンへのトラフィック分散と、障害時のフェイルオーバーを自動化できます。


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Azureのアプリケーション面のパフォーマンス対策

アプリケーション側にボトルネックがある場合の対策を解説します。インフラの増強だけでは解決しない問題も、コードやアーキテクチャの見直しで改善できるケースが多くあります。

コードとクエリの最適化

Application Insightsの「パフォーマンス」ブレードで応答時間の長いリクエストを特定し、ボトルネックとなっている処理を改善します。

  • データベースクエリの見直し
    不要なカラムの取得を減らす(SELECT *を避ける)、WHERE句に適切なインデックスを利用する、N+1クエリをJOINに書き換えるといった対策でクエリの実行時間を短縮できます。

  • 非同期処理の導入
    重い処理(外部API呼び出し、バッチ処理、メール送信など)を同期実行している場合は、Azure Queue StorageやAzure Service Busを使った非同期処理に切り替えることで、ユーザーへの応答時間を短縮できます。

  • 接続プールの最適化
    データベースやHTTPクライアントの接続プールが適切に設定されていないと、接続の生成・破棄のオーバーヘッドがパフォーマンスを低下させます。接続プールのサイズはワークロードの同時接続数に合わせて調整してください。

キャッシュの活用

データベースへの問い合わせを減らすことで、応答時間の短縮とデータベース負荷の軽減を同時に実現できます。

  • Azure Cache for Redis
    セッション情報や頻繁に参照されるマスタデータをRedisにキャッシュすることで、データベースの読み取り負荷を大幅に削減できます。Azure Cache for RedisはMicrosoftが提供するマネージドサービスで、高可用性と自動フェイルオーバーが標準で備わっています。

  • CDNによる静的コンテンツの配信
    画像・CSS・JavaScriptなどの静的ファイルはAzure Front DoorやAzure CDNを通じてエッジロケーションから配信することで、オリジンサーバーの負荷を下げつつユーザーへの配信速度を高速化できます。

自動スケーリングの設定

トラフィックの変動が大きいアプリケーションでは、自動スケーリング(Autoscale)を設定して負荷に応じたリソースの増減を自動化します。

自動スケーリングの設定ポイントは以下のとおりです。

  • スケーリングのメトリクス CPU使用率、メモリ使用量、リクエスト数などのメトリクスに基づいてスケーリング条件を定義します
  • スケールアウト/インの閾値 たとえば「CPU使用率が70%を超えたらインスタンスを1つ追加」「40%を下回ったら1つ削減」のように設定します
  • クールダウン期間 スケーリング実行後に一定時間(5〜10分)のクールダウンを設けることで、不必要なスケーリングの繰り返しを防ぎます
  • 最小・最大インスタンス数 コストの上限を管理するために、スケールアウトの上限インスタンス数を設定しておくことが重要です


自動スケーリングはAzure Monitor上で設定でき、App Service、VM Scale Sets、Azure Functionsなど多くのサービスで利用可能です。ただし、スケールアウトには数分のタイムラグがあるため、急激なトラフィック増加が予測される場合はあらかじめインスタンス数を増やしておく「スケジュールベースのスケーリング」との併用が効果的です。

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Azureのパフォーマンス監視と継続的改善

パフォーマンスの対策は一度実施して終わりではなく、継続的な監視と改善のサイクルを回すことが重要です。Azure Well-Architected Frameworkでも「パフォーマンスの達成と維持」を設計原則の一つに掲げています。

アラートルールの設定

Azure Monitorのアラート機能を使って、パフォーマンスの閾値を超えた場合に自動通知を受け取る仕組みを構築します。たとえば、VMのCPU使用率が90%を超えた場合や、Webアプリの平均応答時間が3秒を超えた場合にメールやTeams通知を送信するルールを設定しておくと、問題が深刻化する前に対応できます。

メトリクスアラート(数値の閾値ベース)は月10件のタイムシリーズまで無料で利用できます。動的な閾値設定(Dynamic Alert Thresholds)を使えば、機械学習が過去のデータパターンから異常値を自動判定するため、固定閾値では検知しにくい緩やかな性能劣化も捕捉できます。

Azure Advisorの定期確認

Azure Advisorの推奨事項は、リソースの構成変更やトラフィックパターンの変化に応じて自動的に更新されます。月1回程度のペースでAdvisorのパフォーマンスカテゴリを確認し、新しい推奨事項がないかをチェックする運用を推奨します。

Advisorのスコア機能を使うと、推奨事項の対応率をパーセンテージで確認でき、改善の進捗を定量的に把握できます。

パフォーマンステストの定期実行

Azure Load TestingをCI/CDパイプラインに組み込み、リリースごとにパフォーマンスの回帰テストを自動実行することで、コード変更によるパフォーマンスの退行を早期に検出できます。リリース前に本番相当の負荷をかけてボトルネックを洗い出すことは、障害を未然に防ぐ最も確実な手段です。

パフォーマンスの監視にかけるコストは「障害発生時の損失」と比較すれば極めて小さいものです。たとえば月間売上が1,000万円のECサイトで1時間のダウンタイムが発生すれば、売上損失だけで数十万円規模のインパクトがあります。Azure MonitorやAdvisorの費用が月数千円〜数万円程度であることを考えれば、監視体制の構築は費用対効果の高い投資といえます。


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Azureのパフォーマンス関連サービスの料金

パフォーマンスの診断や改善に使用する主なAzureサービスの料金を以下の表にまとめました。

サービス 無料枠 従量課金の目安(2026年3月時点)
Azure Monitor(プラットフォームメトリクス) 無制限に無料
Azure Monitor(Log Analytics) 月5GBまで無料 超過分は従量課金(100GB/日からコミットメント割引あり)
Azure Monitor(メトリクスアラート) 月10タイムシリーズまで無料 超過分はタイムシリーズ単位で課金
Application Insights Log Analyticsの無料枠に含まれる データ取り込み量に応じた従量課金
Azure Advisor 無料 追加費用なし
Azure Load Testing 仮想ユーザー時間(VUH)に基づく従量課金


Azure Monitorのプラットフォームメトリクス(VMのCPU使用率、メモリ使用量など標準メトリクス)の収集には費用がかかりません。Log Analyticsワークスペースへのログ取り込みは月5GBまで無料で、多くの小〜中規模環境ではこの無料枠で診断が可能です。

Azure Advisorは完全無料で、パフォーマンス・コスト・セキュリティ・信頼性・運用の5カテゴリの推奨事項を追加費用なしで取得できます。

コスト管理の観点では、まずAzure Advisor(無料)とAzure Monitor(プラットフォームメトリクス無料)で現状を把握し、問題が見つかった領域についてログ分析やLoad Testingを追加していくのが費用を抑えた導入ステップです。Azureの料金体系全般についてはAzureの料金体系を解説も参考にしてください。


まとめ

本記事では、Azureのパフォーマンス低下の要因をインフラストラクチャ面(リソース不足・ストレージ・ネットワーク・リージョン・セキュリティ設定)とアプリケーション面(コード・構成・キャッシュ)に分類し、それぞれの具体的な対策と診断方法を解説しました。

パフォーマンス対策のポイントは、まず診断ツール(Azure Monitor・Advisor・Application Insights)でボトルネックを特定してから対策を講じることです。原因の切り分けなしに対策を打つと、効果が出ないまま無駄なコストが発生するリスクがあります。

Azure環境のパフォーマンスに課題を感じている場合は、まずAzure PortalからAzure Advisorのパフォーマンス推奨事項を確認し、優先度の高い改善項目から着手してみてください。Advisorは追加費用なしで利用できるため、今日からでも始められます。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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