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Azure Network Watcherとは?主要機能や使い方、料金体系について解説

この記事のポイント

  • NSGフローログは2027年9月に完全廃止されるため、新規プロジェクトでは最初からVNetフローログを採用すべき
  • ネットワーク診断は月1,000チェック、VNetフローログは月5 GBまで無料のため、小規模環境では追加コストなしで導入できる
  • トラブルシューティングはIPフロー検証→接続診断→パケットキャプチャの順に段階的に切り分けるべき
  • トラフィック分析は通常運用なら標準処理(10分間隔・$2.30/GB)で十分。リアルタイム検知が必要な場合のみ高速処理を選ぶべき
  • Azure環境のネットワーク監視にはNetwork Watcherを第一候補にすべき。7種類の診断ツールとAzure Monitor統合が他社にない強み
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

Azureの仮想ネットワーク環境では、パフォーマンスの監視やセキュリティの確保が運用上の重要な課題です。2026年現在、NSGフローログの廃止とVNetフローログへの移行が進む中で、ネットワーク監視ツールの活用がこれまで以上に重要になっています。

本記事では、Azureのネットワーク監視・診断サービスであるAzure Network Watcherについて、2026年の最新動向を踏まえた主要機能の解説から導入手順、料金体系、競合サービスとの比較まで包括的に解説します。

ネットワーク管理者やクラウドインフラエンジニアが、Azure環境でのネットワーク監視を最適化するための実践ガイドです。

Azure Network Watcherとは(2026最新ガイド)

Azure Network Watcherは、Azureの仮想ネットワーク環境におけるリソースの監視、診断、トラブルシューティングを一元的に行うためのネットワーク管理サービスです。仮想マシン間の通信状態の確認、セキュリティルールの検証、トラフィックパターンの可視化など、クラウドネットワーク運用に不可欠な機能を統合的に提供しています。

2026年現在、NSGフローログの新規作成停止(2025年6月30日)やVNetフローログへの移行が本格化しており、Azure Network Watcherの運用設計にも大きな見直しが求められています。クラウドモニタリング市場全体も$37.5億(2025年)から$93.0億(2030年)へとCAGR 19.91%で成長すると予測されており、ネットワーク監視の自動化と高度化への需要が急速に拡大しています。

以下の表で、Azure Network Watcherの基本情報を整理しました。

項目 内容
サービス名 Azure Network Watcher
提供元 Microsoft Azure
サービス形態 フルマネージド ネットワーク監視・診断サービス
主要カテゴリ 監視・ネットワーク診断・トラフィック分析
フローログ VNetフローログ推奨(NSGフローログは2027年9月廃止予定)
主要連携サービス Azure Monitor、Log Analytics、Microsoft Defender for Cloud
市場規模 クラウド監視市場 $37.5億→$93.0億(CAGR 19.91%)

Azure Network Watcherは監視・診断・分析の3カテゴリを一元的にカバーしており、特にVNetフローログへの移行により仮想ネットワーク単位でのトラフィック可視化がこれまで以上に柔軟になっています。AzureサブスクリプションでリージョンごとにNetwork Watcherが自動有効化されるため、追加の初期設定なしに基本的な診断機能を利用開始できる点も運用効率上のメリットです。

Azure Network Watcher 公式写真(出典元:公式ホームページ)

Azure Network Watcherの機能イメージAzure Network Watcherの機能イメージ(参考:Microsoft Learn

NSGフローログ廃止とVNetフローログ移行が変えるAzure Network Watcherの2026年動向

2026年のAzure Network Watcherにおける最大の変化は、NSGフローログの段階的廃止です。Microsoftは2025年6月30日をもってNSGフローログの新規作成を停止し、既存のNSGフローログも2027年9月30日に完全廃止すると発表しました。この移行スケジュールは、現在NSGフローログを利用している組織にとって、VNetフローログへの計画的な移行が急務であることを意味しています。

VNetフローログは2024年5月にGA(一般提供)となった後継サービスで、NSGフローログと比較して複数の優位性を持ちます。仮想ネットワーク単位でトラフィックを記録するため、NSG単位よりも広範な可視性を実現し、暗号化された仮想ネットワーク上のトラフィックもキャプチャ可能です。トラフィック分析の処理間隔が最短1分に短縮されており、リアルタイムに近いネットワーク状態の把握ができるようになりました。

接続モニターでも、トポロジー可視化機能がプレビュー段階で拡張されており、ネットワーク構成の把握精度が向上しています。Microsoft Defender for Cloudとの連携も強化され、ネットワーク診断結果をセキュリティアラートに自動反映する統合ワークフローが整備されました。クラウドモニタリング市場のCAGR 19.91%という成長率が示すように、ネットワーク監視の自動化・高度化は業界全体のトレンドであり、Azure Network Watcherの機能拡張もこの流れに沿ったものです。

Azure Network Watcherの主要機能と導入の実践

Azure Network Watcherの機能は、監視、ネットワーク診断ツール、トラフィックの3カテゴリに大別されます。以下の表で主要機能と実務上の活用場面を整理しました。

機能 カテゴリ 概要
接続モニター 監視 VM間・エンドポイント間の接続状態をリアルタイム監視し遅延や到達不能を自動検出
トポロジー 監視 仮想ネットワーク内のリソース構成を視覚的に表示しネットワーク設計を可視化
IPフロー検証・NSG診断 診断 NSGルールによる通信の許可/拒否を検証しセキュリティ設定ミスを特定
パケットキャプチャ 診断 ネットワークを流れるデータを記録し異常トラフィックやセキュリティインシデントを調査
VNetフローログ トラフィック 仮想ネットワーク単位でトラフィック情報を記録しAzure Storageに保存
トラフィック分析 トラフィック フローログデータを可視化しボトルネックや不正通信のパターンを特定

実務上特に重要なのは、VNetフローログとトラフィック分析の組み合わせです。VNetフローログで記録したデータをトラフィック分析で可視化することで、ネットワーク全体の通信パターンを把握し、Azure Monitorとの連携によるアラート自動化まで一貫したワークフローを構築できます。

接続モニターは、仮想マシンとアプリケーション間の通信状態を定期的にテストし、遅延や到達不能の検出を自動化します。Azure Log Analyticsにデータを送信することで、過去の接続傾向の分析やカスタムアラートの設定も可能です。IPフロー検証とNSG診断は、特定の通信がファイアウォールやNSGルールによってブロックされているかを即座に確認する機能で、トラブルシューティングの初動対応として有効です。パケットキャプチャはAzure Storageにデータを保存でき、セキュリティ監査やフォレンジック分析にも活用されています。

トラフィック分析イメージトラフィック分析イメージ(参考:Microsoft Learn

監視・診断ツールからフローログ設定までのステップバイステップガイド

Azure Network Watcherの導入からフローログの設定までを、Azureポータルの操作画面を使って解説します。前提条件として、Azureアカウント、サブスクリプション、リソースグループ、およびストレージアカウントが必要です。

ステップ1として、Azure Network Watcherを作成します。Azureポータルにアクセスしてサインインし、検索ボックスでNetwork Watcherを検索して選択します。

Azureポータル画面
Azureポータル画面

NetworkWatcher検索画面
NetworkWatcher検索画面

Network Watcher画面で「作成」をクリックし、適切なリージョンとサブスクリプションを選択して「追加」を実行します。

NetworkWatcher作成選択画面
NetworkWatcher作成選択画面

追加画面
追加画面

ステップ2として、フローログを設定します。2026年現在はVNetフローログの使用が推奨されていますが、以下ではNSGフローログの設定手順を基に基本的な流れを示します。VNetフローログも同様のポータル操作で設定可能です。

リソースの作成画面でネットワークセキュリティグループを検索し、選択します。

ネットワークセキュリティグループ選択画面
ネットワークセキュリティグループ選択画面

基本タブで適切な設定を行い、確認および作成をクリックします。

基本タブ画面
基本タブ画面

確認および作成タブ画面
確認および作成タブ画面

デプロイ完了後、リソースに移動します。

デプロイ完了画面
デプロイ完了画面

作成したリソース画面で「監視」からNSGフローログを選択し、フローログの作成をクリックします。

NSGフローログ選択画面
NSGフローログ選択画面

フローログの作成画面
フローログの作成画面

基本タブでストレージアカウントやリテンション期間を設定し、分析タブでトラフィック分析の有効化とLog Analyticsワークスペースを指定します。

フローログの基本タブ画面
フローログの基本タブ画面

フローログ分析タブ画面
フローログ分析タブ画面

確認および作成タブで設定内容を確認し、作成を実行してフローログの設定は完了です。

フローログの確認および作成タブ画面
フローログの確認および作成タブ画面

料金体系と競合サービス比較

Azure Network Watcherは従量課金制で、一部の機能に無料枠が設けられています。以下の表で、2026年3月時点のJapan East(東日本)リージョンにおける主要な料金項目を整理しました。

機能 無料枠 超過後の料金
ネットワーク診断(IPフロー検証等) 1,000チェック/月 $1.00/1,000チェック
接続モニター テスト25件・VM 100台まで テスト$2.00/月、VM $0.30/月
VNetフローログ 5 GB/月 $0.50/GB
トラフィック分析(標準・10分間隔) なし $2.30/GB
トラフィック分析(高速・1分間隔) なし $3.50/GB
パケットキャプチャ 10,000セッション/月 $0.20/セッション

この料金体系で押さえるべきポイントは、ネットワーク診断とVNetフローログに無料枠が設定されている点です。小規模環境であれば診断機能を月1,000チェックまで無料で利用でき、フローログも5 GBまでコストがかかりません。一方、トラフィック分析はデータ量に応じたコストが発生するため、大規模環境ではAzureの料金体系を理解した上でデータ量の見積もりとコスト管理が重要になります。

AWS VPC Flow Logs・GCP Network Intelligence Centerとの3サービス比較と選定基準

ネットワーク監視サービスは各クラウドプロバイダーが提供しており、Azure Load BalancerAzure Application Gatewayといったネットワークサービスとの連携を含めた総合的な評価が選定の鍵となります。以下の表で、主要3サービスの特性を比較しました。

項目 Azure Network Watcher AWS VPC Flow Logs + CloudWatch GCP Network Intelligence Center
フローログ VNet単位で記録、暗号化VNet対応 ENI単位で記録、Transit Gateway対応 サブネット/VPC単位で記録
トラフィック可視化 Traffic Analytics(Log Analytics連携) CloudWatch Logs Insights Network Topology、Performance Dashboard
診断ツール IPフロー検証・NSG診断・パケットキャプチャ等7種 Reachability Analyzer・Network Access Analyzer Connectivity Tests・Firewall Insights
アラート連携 Azure Monitor CloudWatch Alarms Cloud Monitoring
料金モデル 機能別従量課金、一部無料枠あり ログ量ベース従量課金 一部無料、有料機能は従量課金
セキュリティ統合 Microsoft Defender for Cloud AWS Security Hub・GuardDuty Security Command Center
推奨環境 Azure中心のマルチサービス環境 AWS中心のワークロード GCP中心またはマルチクラウド環境

この比較で明確なのは、各サービスが自社クラウド環境との統合を最大の強みとしている点です。Azure Network Watcherは、VNetフローログによる仮想ネットワーク単位の記録と7種類の診断ツールを統合している点が他社との差別化要因です。マルチクラウド環境で運用している場合は、各プロバイダーのネイティブツールを併用するか、サードパーティの統合監視ツールを検討するアプローチが一般的です。

導入注意点と活用ガイド

Azure Network Watcherを本番環境で活用する際には、いくつかの注意点を事前に把握しておく必要があります。以下の表で、導入時に検討すべき主要な項目を整理しました。

注意点 詳細
NSGフローログからの移行 2025年6月30日で新規作成停止、2027年9月30日で完全廃止。VNetフローログへの移行計画を早期に策定すること
トラフィック分析のコスト管理 高速処理(1分間隔)は$3.50/GBと標準の約1.5倍。データ量に応じて処理間隔を使い分けること
診断ツールの組み合わせ 単一ツールでは問題の全容が見えない。IPフロー検証→接続トラブルシューティング→パケットキャプチャの段階的切り分けが有効
Azure Entra IDとの権限管理 Network Watcherの操作にはネットワーク共同作成者ロールまたはカスタムロールが必要。最小権限の原則に従うこと
フローログの保存期間設定 デフォルトの保存期間を超えるとデータが削除される。コンプライアンス要件に応じてリテンション期間を設定すること

特に重要なのはNSGフローログからの移行スケジュールです。2025年6月30日以降は新規のNSGフローログが作成できないため、新規プロジェクトでは最初からVNetフローログを採用する必要があります。既存環境についても、2027年9月30日の完全廃止に向けた段階的な移行計画の策定が求められます。

段階的導入ステップとFAQ

Azure Network Watcherの導入は、以下の3ステップで段階的に進めることを推奨します。

  • ステップ1 既存環境の棚卸しとNetwork Watcher有効化(1〜2週間)
    対象リージョンでNetwork Watcherが有効化されていることを確認し、基本的な診断ツール(IPフロー検証、接続トラブルシューティング)を使った初期検証を実施します。

  • ステップ2 VNetフローログへの移行とトラフィック分析の設定(2〜4週間)
    既存のNSGフローログをVNetフローログに移行し、トラフィック分析を有効化します。Azure DevOpsパイプラインにネットワーク診断チェックを組み込むことで、デプロイ時のネットワーク設定検証を自動化できます。

  • ステップ3 Azure Monitorとの連携による継続的監視体制の構築(1〜3か月)
    Azure Monitorのアラートルールを設定し、異常トラフィックや接続障害の自動検知体制を構築します。Azure Functionsを活用した自動修復ワークフローの構築も、この段階で検討します。

以下は、Azure Network Watcherの導入を検討する際によくある質問とその回答です。

  • Network WatcherのVNetフローログに無料枠はあるか
    月間5 GBまでのフローログデータが無料です。ネットワーク診断チェックも月間1,000回まで無料で利用でき、小規模環境であれば追加コストなしで基本機能を活用できます。

  • NSGフローログからVNetフローログへの移行は自動で行われるか
    自動移行は行われません。既存のNSGフローログとは別にVNetフローログを新規作成し、並行稼働で検証してからNSGフローログを無効化する手順が推奨されています。

  • Network Watcherはオンプレミスネットワークも監視できるか
    直接の監視は対象外ですが、VPNゲートウェイやExpressRouteを経由したハイブリッド接続のAzure側エンドポイントについては、接続モニターやVPN診断で監視可能です。

  • トラフィック分析の標準処理と高速処理はどちらを選ぶべきか
    通常の運用監視であれば標準処理(10分間隔、$2.30/GB)で十分です。リアルタイム性が求められるセキュリティインシデント対応や、トラフィック急増時の即時検知が必要な環境では高速処理(1分間隔、$3.50/GB)が適しています。

  • Azure Network WatcherとAzure Monitorの違いは何か
    Network Watcherはネットワーク特化の診断・監視ツールで、IPフロー検証やパケットキャプチャなどネットワーク固有の機能を提供します。Azure Monitorはメトリクスとログの統合監視プラットフォームで、Network Watcherのデータを含むAzure全体のリソースを横断的に監視・アラートする役割を担います。

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Network Watcherで培ったネットワーク診断・トラフィック分析の知見は、AIエージェント基盤の接続性確保やパフォーマンス監視にも活きます。AI自動化基盤を安定運用するなら、ネットワーク監視の知識が不可欠です。

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まとめ

本記事では、Azure Network Watcherの2026年最新動向、主要機能、導入手順、料金体系、競合サービスとの比較について解説しました。

NSGフローログの段階的廃止(新規作成停止2025年6月、完全廃止2027年9月)に伴い、VNetフローログへの移行はAzureネットワーク運用における最優先課題の一つです。VNetフローログは仮想ネットワーク単位でのトラフィック記録、暗号化VNet対応、最短1分間隔のトラフィック分析といった優位性を持ち、ネットワーク可視性の向上に直結します。

料金面では、ネットワーク診断の月1,000チェック無料やVNetフローログの月5 GB無料など、小規模環境でも導入しやすい無料枠が設定されています。Azure MonitorやMicrosoft Defender for Cloudとの連携により、ネットワーク監視からセキュリティアラート、データベース接続の監視まで一貫した運用体制を構築できる点が、Azure Network Watcherの最大の価値です。

まずはステップ1の既存環境の棚卸しとNetwork Watcher有効化から着手し、VNetフローログへの移行計画を策定することで、2027年の完全廃止に向けた準備を進めることを推奨します。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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