この記事のポイント
DeepSeek-V3.2-Expは、長文脈処理の効率を最適化するために設計された実験的な大規模言語モデル
新技術「DeepSeek Sparse Attention (DSA)」により、性能を維持しつつ推論コストを劇的に削減
前モデルV3.1-Terminusと同等の性能を、より少ない計算量で達成することが検証されている
API料金はキャッシュヒットを活用すると入力$0.028/1Mトークンと非常に低コスト
MITライセンスで公開され、Hugging FaceやvLLMなどを通じて誰でもローカルで実行・商用利用が可能

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
AI技術の進化は止まるところを知りません。特に、より長く、より複雑な文脈を理解する能力は、次世代AIの重要な鍵とされています。
そんな中、DeepSeek社から、長文脈シナリオにおける効率を飛躍的に高めることを目的とした実験的モデル「DeepSeek-V3.2-Exp」が発表されました。
本記事では、このDeepSeek-V3.2-Expの概要から、その核心技術である「DeepSeek Sparse Attention (DSA)」、料金体系、そして具体的な使い方に至るまで、詳しく解説していきます。
特に、性能を維持したまま、いかにして計算効率を高めたのかという「革新的なアーキテクチャ」と、開発者がすぐに試せる「ローカルでの実行方法」に焦点を当てていきます。
長文脈処理の新たな可能性を切り拓くDeepSeek-V3.2-Expの世界を、一緒に見ていきましょう。
n8nとDifyを比較 | ノーコード/ローコードツールの選択が重要な理由
「業務を自動化したい」「AIを活用したアプリを作りたい」——そう考えたとき、あなたはどのツールを選びますか?
2025年、ビジネスのデジタル化が加速する中、ノーコード/ローコードツールへの需要が急速に高まっています。 中でも、オープンソースで柔軟性の高い「n8n」と「Dify」は、多くの企業や開発者から注目を集めています。
しかし、この2つのツールは一見似ているようで、実はまったく異なる目的で設計されています。
n8nはワークフロー自動化のプラットフォームとして、Difyは AI アプリケーション開発のプラットフォームとして、それぞれ独自の強みを持っています。
間違ったツールを選んでしまうと、開発効率が下がるだけでなく、運用コストが膨らむ可能性もあります。本記事では、両ツールの最新情報(2025年10月時点)に基づき、その違いを徹底的に比較します。
n8nとは?ワークフロー自動化プラットフォームの全貌
n8nは、2019年に誕生したオープンソースのワークフロー自動化プラットフォームです。GitHub上で146,000以上のスターを獲得し、最も人気のあるオープンソースプロジェクトの一つとなっています。
2025年10月時点での最新版は「v1.113以降」で、現在も活発に開発が続いています。
n8nの主な特徴
ノードベースのビジュアルエディタ
n8nは、「ノード」と呼ばれるブロックを視覚的に接続することでワークフローを構築します。各ノードはメール送信、データベース読み取り、API呼び出しといった特定のアクションを表します。
400以上の統合機能
n8nは400以上のアプリケーションやサービスとの統合をサポートしています。Gmail、Slack、Notion、Google Sheetsなど、日常的に使用するツールはもちろん、1,000以上のサービスとの連携が可能です。
カスタムコード対応(JavaScript/Python)
低コードプラットフォームとして、ビジュアルインターフェースでノードをドラッグ&ドロップして設定できますが、必要に応じてJavaScriptやPythonコードスニペットを直接記述して複雑なデータ変換やカスタムロジックを実装できます。
セルフホスト・クラウド両対応
n8nの大きな特徴の一つが、セルフホストとクラウドの両方に対応している点です。データを完全にコントロールしたい場合はセルフホスト、管理の手間を省きたい場合はクラウド版を選択できます。
Fair-codeライセンス
n8nは「Fair-code」モデルを採用しており、個人または自社での利用は無料・無制限ですが、再販やホスティングして他社に提供する場合には有料ライセンスが必要です。
n8nの主なユースケース
- 1. システム間データ同期
GoogleフォームからSlackへの自動通知、Google Driveのファイル更新時のメール通知、スプレッドシートのデータを別のデータベースに自動同期するといったタスクを簡単に実現できます。
- 2. API統合とオーケストレーション
ウェブサイトのコンタクトフォームからの問い合わせを、Webhook経由でn8nに接続し、Notionデータベースに自動でタスクを作成するといった複雑な連携も可能です。
- 3. トリガーベース自動化
RSSフィードから求人情報を毎朝チェックし、特定のキーワードでフィルタリングして、条件に合う求人があればメールで詳細を送信するといった定期実行タスクも得意です。
3. Difyとは?AI特化型アプリケーション開発プラットフォーム
Difyは、LLM(大規模言語モデル)アプリケーション開発のためのオープンソースプラットフォームです。直感的なインターフェースにより、AIワークフロー、RAGパイプライン、エージェント機能、モデル管理、観測機能などを組み合わせ、プロトタイプから本番環境への移行を迅速に行えます。
2025年10月時点での最新版はv1.7.0で、MCP(Model Context Protocol)対応を中心に、ワークフロー機能の強化、UI/UXの改善など、大きな進化を遂げています。
Difyの主な特徴
LLMネイティブな開発環境
DifyはAIとLLMを中心に構築されており、OpenAIのGPTシリーズ、Anthropicのclaude、Google のGemini、Meta のLlama、ローカルLLMなど、数百のプロプライエタリ/オープンソースLLMとのシームレスな統合を提供しています。
RAGパイプライン統合
2025年版では階層メタデータと意味クラスタリングが実装され、章タイトル・作成者・機密区分など複数ラベルを付与でき、検索時に「営業向け資料だけ」「最新版のみ」といったフィルタリングが可能になりました。
多様なLLMプロバイダー対応
GPT、Mistral、Llama3など、あらゆるOpenAI API互換モデルに対応しており、サポートされているモデルプロバイダーの完全なリストが公式ドキュメントで提供されています。
プロンプトIDE搭載
プロンプトを作成し、モデルのパフォーマンスを比較し、テキスト読み上げなどの追加機能をチャットベースのアプリに追加するための直感的なインターフェースを提供しています。
プラグインエコシステム
2025年のDify 1.0以降、プラグイン機能が正式に導入され、OpenAPIスキーマをアップロードするだけで外部サービスをDify内に統合できるようになりました。マーケットプレイスには「モデル」「ツール」「エージェント戦略」「拡張機能」「バンドル」の5種類のプラグインが用意されています。
Difyの主なユースケース
1. AIチャットボット開発
RAG機能を活用したチャットボットで、カスタムナレッジベースに基づいて正確なコンテキスト認識応答を提供できます。
2. RAGシステム構築
ファイルアップロード→即検索という従来の簡易RAGに加え、意味ベクトル空間で内容が近い文書を自動クラスタリングするダッシュボードも追加され、社内知識探索が飛躍的に効率化します。
3. LLMアプリケーション開発
チャットボット、ドキュメント要約ツール、バーチャルアシスタントなど、LLMを活用したAIアプリケーションの開発に特化しています。
4. n8n vs Dify:7つの観点から徹底比較
ここでは、実際の導入判断に必要な7つの重要な観点から、両ツールを詳細に比較していきます。
比較1:主な用途と設計思想の違い
最も重要な違いは、n8nが汎用的なワークフロー自動化ツールであるのに対し、DifyはAIネイティブな開発プラットフォームという点です。
| 項目 | n8n | Dify |
|---|---|---|
| 設計思想 | システム統合と業務自動化 | AI/LLMアプリケーション開発 |
| 主な焦点 | ワークフロー自動化 | AIアプリケーション構築 |
| 得意分野 | データ同期、API連携、定期実行 | チャットボット、RAG、AI推論 |
| 対象ユーザー | DevOps、バックエンドエンジニア、業務担当者 | AI開発者、プロダクトマネージャー |
n8nが得意なこと:
- 複数SaaSツール間のデータ同期
- APIオーケストレーションと連携
- トリガーベースの業務自動化
- データ変換とETLパイプライン
Difyが得意なこと:
- LLMを活用したチャットボット開発
- RAG(検索拡張生成)システム構築
- プロンプトエンジニアリングとモデル管理
- AI駆動のワークフロー作成
比較2:技術的アーキテクチャ
n8nのアーキテクチャ:
n8nはノードベースのアプローチを採用しており、各ノードが特定のアクション(メール送信、データベース読み取り、API呼び出しなど)を表します。これらのノードを接続することでワークフローを作成します。
最新バージョン1.113以降では、「Task Runners」という新機能が追加され、特にCodeノード(JavaScriptやPythonコードを実行するノード)のパフォーマンスとセキュリティが向上しています。
Difyのアーキテクチャ:
Difyのアーキテクチャは本番レベルのインフラストラクチャ基準に従って構築されており、異なるベクトルストアやデータベースの置き換えをサポートし、異なるサービスが異なる機能を担当しています。
DifyはAPI、Web、Worker、Sandboxといったマイクロサービス構成を採用しており、PostgreSQL(pgvector)でデータベースとベクトルDBを統合管理し、RedisでMemorystoreを活用することで、スケーラブルなアーキテクチャを実現しています。
比較3:AI機能の充実度
n8nのAI機能:
n8nは、ネイティブAI機能を備えており、ワークフローに任意のLLMを統合することができます。AI Starter Kitも提供されており、セキュアなセルフホスト型AI環境を迅速にセットアップできます。
ただし、ユーザーからは、同じLLM、同じプロンプト、同じ設定を使用した場合でも、n8nでのAIエージェントノードの応答がDifyと比較して劣るという報告があります。
Difyの AI機能:
DifyはAIとLLMを中心に構築されており、モデルの統合とカスタマイズが容易です。OpenAIのGPTシリーズやLlama、Claudeなどのオープンソースソリューションとのシームレスな統合を提供しています。
Dify 1.0以降では、エージェントノードが追加され、自律的にツールを選択し実行し多段階の推論を行うことができるようになりました。関数呼び出し(Function Calling)とReAct(Reason + Act)という2つのエージェント推論戦略が用意されています。
比較4:統合・連携機能
n8nの統合機能:
n8nは400以上のアプリケーション統合を提供しており、Gmail、Slack、Notion、Google Sheets、GitHub、HubSpotなど、多様なツールと連携できます。
2025年時点で、n8nと連携できるサービスは1,031件にも及び、日本国内であまり馴染みのないTelegram、Twilio、Trelloなども含まれています。
Difyの統合機能:
Difyは、Model Context Protocol (MCP)に対応したZapier連携プラグインが追加され、Difyエージェントから7,000以上のアプリ・30,000以上のアクションをワークフローから直接呼び出せるようになりました。
主にLLMプロバイダーとの統合に特化していますが、プラグインSDKにより、OpenAPIスキーマをアップロードするだけで外部サービスを統合できます。
比較5:学習コストと使いやすさ
n8n:
ビジュアルインターフェースを提供していますが、自動化の概念を理解する必要があり、特に非開発者にとっては学習曲線があります。
ただし、基本的な操作なら数時間で身につけることができ、n8nのプログラミングは8時間もあれば作成が可能です。
Dify:
Difyは低コード/ノーコードプラットフォームで、技術者以外のユーザーにもアクセス可能な設計になっています。特にチャットボット開発においては、非常にユーザーフレンドリーです。
比較6:デプロイメントオプション
n8nのデプロイメント:
| プラン | 価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| Community Edition | 無料 | セルフホスト、無制限使用 |
| Cloud - Starter | $24/月 | 2,500実行/月 |
| Cloud - Pro | $50/月 | 10,000実行/月 |
| Business | カスタム | SSO、環境管理、Git統合 |
| Enterprise | カスタム | 実行数ベース課金 |
2025年8月のアップデートにより、全プランで無制限のワークフロー、ステップ、ユーザーが利用可能になりました。
Difyのデプロイメント:
| プラン | 価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| Community Edition | 無料 | セルフホスト、機能制限なし |
| Sandbox | 無料 | 200メッセージクレジット |
| Professional | $59/月 | 3チームメンバー、5,000メッセージ |
| Premium (AWS) | カスタム | AWS環境でのワンクリックデプロイ |
Difyの大きな特徴は、オープンソース版が完全に無料で、機能制限がない点です。
比較7:コミュニティとサポート体制
n8nコミュニティ:
n8nは200,000人以上のコミュニティメンバーを擁し、45,000人以上のAIおよび自動化の愛好家や専門家が集まるコミュニティフォーラムがあります。
ただし、頻繁なアップデートと互換性の問題が課題となっており、多くのユーザーはコミュニティで安定性が確認されるまでアップデートを待つ傾向があります。
Difyコミュニティ:
Difyは180,000人以上の開発者コミュニティと59,000人以上のエンドユーザーをサポートしています。
GitHub Discussion、GitHub Issues、Discordチャンネルを通じてコミュニティサポートが提供されています。
5. 料金体系を徹底比較:どちらがコスト効率が良い?
コスト面は導入判断の重要な要素です。両ツールの料金体系は大きく異なるため、自社の利用パターンに応じて慎重に検討する必要があります。
n8nの料金プラン
Community Edition(無料)
GitHubで公開されており、セルフホストで無制限に使用可能です。フェアコードライセンスのため、個人または自社での利用は完全無料です。
Cloud版
クラウド版のStarterプランは月額24ドルで2,500実行、Proプランは月額50ドルで10,000実行を含みます。
n8nの課金は「実行(execution)」ベースです。実行とは、ワークフロー全体の1回の実行を指します。ワークフローにいくつのステップがあろうと、どれだけのデータを処理しようと、1回の実行としてカウントされます。
Business Plan
セルフホスト環境で利用可能な新しいプランで、Git統合、環境管理、SSO認証などのエンタープライズグレード機能を提供します。
ただし、セルフホスト環境でも実行ごとの課金が発生するようになり、30万実行を超えるごとに約4,000ユーロ(実行あたり約0.0133ユーロ)が追加されます。
セルフホストの実際のコスト
セルフホスト版のライセンス自体は無料ですが、基本的な本番環境を運用する場合、インフラストラクチャコストは月額200ドルを超えることが多いです。
ただし、Zeabur等のプラットフォームを使用すれば、月額5〜20ドル程度でデプロイできる場合もあります。
Difyの料金プラン
Community Edition(無料)
Apache 2.0ライセンスで完全にオープンソースであり、セルフホストで機能制限なく利用できます。ライセンス料金は一切発生しません。
Sandbox(無料)
クラウド版の無料プランで、200メッセージクレジットが付属します。クレジットカード不要で始められます。
Professional
月額59ドルで、3チームメンバー、最大50アプリ、5,000メッセージクレジット/月を利用できます。ナレッジベースは500ドキュメント、5GBまで対応しています。
Premium(AWS Marketplace)
AWSでのワンクリックデプロイメントが可能で、優先メールサポートとブランディングカスタマイズが含まれます。
セルフホストの実際のコスト
オープンソース版は完全に無料で、インフラストラクチャコスト(サーバー、ストレージ)とLLM APIコスト(OpenAIなどの使用料)のみが必要です。Zeabur等のプラットフォームを使用すれば、月額約7ドルでデプロイ可能です。
料金比較まとめ表
| 比較項目 | n8n | Dify |
|---|---|---|
| 無料セルフホスト | ○(Fair-codeライセンス) | ○(Apache 2.0) |
| クラウド版最安 | $24/月(2,500実行) | 無料(200メッセージ) |
| 有料プラン | $24〜$50/月 | $59/月 |
| 課金方式 | 実行ベース | メッセージクレジットベース |
| セルフホストコスト | $50〜$200/月(インフラ) | $7〜$50/月(インフラ+API) |
| エンタープライズ | カスタム価格 | カスタム価格 |
6. 実際の導入事例:それぞれに向いているシーン
n8nが最適なケース
ケース1:複数SaaSツールの連携自動化
事例:VIP顧客からの重要メール自動通知
Gmailで特定のキーワード(「契約」「至急」など)を含むメールを検知し、Slackに即座に通知を送る。CRMシステムにも自動で記録され、営業担当者が即座に対応できる体制を構築。
ケース2:データパイプライン構築
事例:求人情報の自動収集と通知
RSSフィードから求人情報を毎朝チェックし、「remote(リモート)」などの特定のキーワードでフィルタリング。条件に合う求人があれば、詳細をメールで自動送信します。
ケース3:社内業務フロー自動化
事例:SNS投稿の一括管理
Notionで SNS 投稿を計画し、自動的にX(旧Twitter)、Facebook、Instagramに投稿。投稿のスケジュール管理から実行まで、完全自動化を実現。
Difyが最適なケース
ケース1:社内向けAIチャットボット
事例:社内ナレッジベース検索システム
階層メタデータと意味クラスタリング機能を活用し、「営業向け資料」「最新版のみ」といった条件で社内文書を横断検索。新人が「顧客提案の成功事例」と入力すれば、関連スライド・議事録・Slack会話まで自動的に提示されます。
ケース2:ナレッジベース検索システム
事例:バックエンドエンジニア向け技術Q&Aボット
RAG機能を活用し、技術文書をナレッジベースに登録。エンジニアからの技術的な質問に対して、正確なコンテキストに基づいた回答を提供します。
ケース3:顧客サポートAI
事例:製品保証に関する自動応答システム
顧客が製品保証について質問すると、RAG経由でナレッジベースから情報を取得し、自動応答を生成。同時にCRMに問い合わせ履歴を記録します。
両方を併用すべきケース
最も強力なアプローチは、Difyとn8nを組み合わせることです。Difyを「脳」(AIロジックと推論)として、n8nを「神経系」(エンタープライズシステムの接続とワークフローのオーケストレーション)として機能させます。
ハイブリッドアーキテクチャの実装例
事例:AIを活用したカスタマーサポート自動化システム
以下のような構成で、真にインテリジェントでスケーラブルなAI搭載ワークフローソリューションを構築できます。
ユーザーの質問入力
↓ (Webhook)
Dify [AIアプリケーション: RAG + GPT]
↓ (構造化応答を返す)
n8n [ビジネス自動化]
├→ 顧客データベース(CRM)に記録
├→ チケット管理システムに登録
└→ 担当者にSlack/メール通知
実装のメリット:
- Difyで高度なAI推論と自然言語理解を実現
- n8nで複雑なビジネスロジックとシステム連携を管理
- それぞれの得意分野を最大限に活用
- メンテナンスとスケーリングが容易
連携方法の具体例
DifyとN8nは両方ともMCP(Model Context Protocol)に対応しているため、データのやり取りをMCP経由で行うことも可能です。
-
DifyからN8nへのトリガー送信
- DifyのワークフローからWebhookでN8nにデータを送信
- N8nが受け取ったデータを複数のシステムに分散処理
-
N8nからDifyのAI機能を呼び出し
- N8nのワークフローからDify APIを呼び出し
- AIによる判断結果に基づいて後続処理を分岐
7. メリット・デメリット一覧
n8nのメリット
✅ 高い柔軟性とカスタマイズ性
JavaScriptやPythonでカスタムコードを記述可能で、複雑なロジックも実装できます。
✅ 豊富な統合機能
400以上の統合を標準サポートし、1,000以上のサービスとの連携が可能です。
✅ コスト効率の良い課金モデル
実行ベースの課金で、ワークフロー内のステップ数に関わらず1回の実行としてカウントされるため、他のツールより予測しやすく経済的です。
✅ 完全なデータ主権
オープンソースでセルフホスト可能なため、データを完全にコントロールでき、セキュリティ要件の厳しい企業でも導入できます。
✅ 活発なコミュニティ
200,000人以上のコミュニティメンバーと4,000以上のワークフローテンプレートが利用可能です。
n8nのデメリット
❌ 学習曲線が存在
ビジュアルインターフェースを提供していますが、特に非開発者にとっては自動化の概念理解に時間がかかる場合があります。
❌ セットアップと運用の手間
セルフホストでもクラウド版でも、ステップの接続、認証情報の管理、実行エラーのデバッグに時間がかかります。
❌ 頻繁なアップデートによる互換性問題
頻繁なアップデートと破壊的変更により、本番環境のワークフローが中断するリスクがあります。多くのユーザーはコミュニティで安定性が確認されるまでアップデートを待つ傾向があります。
❌ AIネイティブではない
一般的なワークフロー自動化を主眼としており、AI機能は外部サービスとの統合に依存します。同じ設定でもDifyと比較してAI応答の品質が劣るという報告もあります。
❌ セルフホストのコストと運用負荷
基本的な本番環境の運用には月額200ドル以上のインフラコストがかかる場合が多く、技術的な運用スキルも必要です。
Difyのメリット
✅ AI/LLMに完全特化
LLMアプリケーション開発に特化した包括的なプラットフォームで、数百のLLMプロバイダーとシームレスに統合できます。
✅ 強力なRAG機能
ドキュメント取り込みから検索まで、すぐに使える広範なRAG機能を提供。階層メタデータと意味クラスタリングにより、高度な知識管理が可能です。
✅ 直感的なUI/UX
低コード/ノーコードプラットフォームで、技術者以外のユーザーでもAIアプリケーションを構築できます。
✅ 完全無料のコミュニティ版
Apache 2.0ライセンスで、商用利用を含め機能制限なく完全無料で利用できます。
✅ プラグインエコシステム
マーケットプレイスから多様なプラグインをインストールでき、機能を柔軟に拡張可能です。
✅ 迅速なプロトタイピング
プロトタイプから本番環境への移行が迅速で、AIアプリのアイデアをすぐに検証できます。
Difyのデメリット
❌ 汎用自動化には不向き
AI駆動アプリケーションに重点を置いているため、データベース操作、ファイル処理、一般的なAPI統合などの伝統的な自動化タスクの柔軟性は低いです。
❌ 構造化出力のサポート不足
一部のモデルが直接構造化出力を提供できず、追加のノードが必要になる場合があります。ワークフローを再利用可能なモジュールとして定義する際の型定義が不十分です。
❌ 統合範囲の限定
n8nの400以上の統合と比較すると、主にLLMプロバイダーとの統合に焦点を当てており、一般的なSaaSツールとの直接統合は限られています。
❌ LLM APIコストの管理が必要
セルフホストの場合でも、OpenAIなどのLLM APIの使用料が別途発生するため、利用量によってはコストが膨らむ可能性があります。
❌ 頻繁なアップデート対応
Difyのアップデート速度は非常に速く、頻繁にバージョンアップが必要です。プラグインの互換性やデータマイグレーションに注意が必要です。
8. あなたに最適なツールの選び方:診断フローチャート
チェックリスト:n8nを選ぶべき人
以下の項目に3つ以上当てはまる場合、n8nが最適です:
- 複数のSaaSツールやAPIを連携させたい
- データの同期や定期的なバッチ処理を自動化したい
- カスタムコード(JavaScript/Python)を書く必要がある
- セルフホストでデータを完全管理したい
- DevOpsやバックエンド開発の経験がある
- AIは外部サービス連携で十分
- 実行回数ベースの明確な課金モデルを望む
- 400以上の統合から自由に選びたい
チェックリスト:Difyを選ぶべき人
以下の項目に3つ以上当てはまる場合、Difyが最適です:
- AIチャットボットやQ&Aシステムを構築したい
- RAG(検索拡張生成)を活用したい
- プロンプトエンジニアリングに注力したい
- 複数のLLMプロバイダーを比較・管理したい
- 非エンジニアもAI開発に参加させたい
- LLMOps(モデルの継続的改善)が必要
- AIエージェントを構築したい
- 迅速にプロトタイプを作成したい
チェックリスト:両方使うべき人
以下の項目に2つ以上当てはまる場合、併用がおすすめです:
- AI判断とビジネスロジック自動化の両方が必要
- AIの回答を基に複数システムで処理を実行したい
- エンタープライズグレードの統合自動化システムを構築している
- それぞれの得意分野を最大限活用したい
- 予算と技術リソースに余裕がある
9. 導入前に知っておくべき注意点
n8n導入時の注意点
実行回数の課金について
2025年8月の料金改定により、セルフホスト版のBusiness Planでも実行ごとの課金が発生するようになりました。 高頻度で実行されるワークフローがある場合、事前にコストシミュレーションを行いましょう。
セルフホストの運用負荷
セルフホスト環境では、定期的なバックアップ、アップデート管理、セキュリティ更新が必要です。少なくとも月に1回はアップデートすることが推奨されています。
最新バージョンでは「Task Runners」などの新機能が追加されており、アップデート時には設定変更が必要な場合があります。
破壊的変更への対応
頻繁なアップデートにより、認証方法の変更やデータ解析メカニズムの調整が必要になることがあります。本番環境では、ステージング環境での検証やバージョン固定が推奨されます。
Dify導入時の注意点
LLM APIコストの管理
セルフホスト版でも、OpenAIやAnthropicなどのLLM APIコストは別途発生します。 利用量が増えると予想外のコストになる可能性があるため、使用するモデルの選択とトークン管理が重要です。
頻繁なバージョンアップ
Difyは非常に活発に開発されており、頻繁にバージョンアップが行われます。新しいAIモデルへの対応も迅速ですが、その分アップデート作業の頻度も高くなります。
v1.6.0からv1.7.0へのアップデート時には、プラグインの自動更新機能が追加されるなど、メジャーアップデートでは機能が大きく変わることがあります。
プラグインの互換性
バージョン1.0.0へのアップグレード時には、プラグインのデータマイグレーションが必要でした。 アップデート前には必ずバックアップを取り、公式のアップグレードガイドを確認しましょう。
インフラ要件
Difyのアーキテクチャは複数のコンテナ(API、Web、Worker、Sandbox)から構成されており、適切なリソース配分が必要です。 本番環境では、PostgreSQL、Redis、S3互換ストレージなどのミドルウェアも適切に構成する必要があります。
10. よくある質問(FAQ)
Q1: 無料で使い続けることはできますか?
n8n:
はい、可能です。Fair-codeライセンスにより、個人または自社での利用は無料・無制限です。 ただし、セルフホストのインフラコスト(サーバー代など)は別途発生します。
Dify:
はい、可能です。Apache 2.0ライセンスで完全にオープンソースであり、商用利用を含め機能制限なく無料で利用できます。 ただし、LLM APIの使用料とインフラコストは別途必要です。
Q2: プログラミング知識は必要ですか?
n8n:
基本的な操作にはプログラミング知識は不要です。ドラッグ&ドロップで視覚的に設定できます。 ただし、複雑なデータ変換やカスタムロジックを実装する場合は、JavaScriptやPythonの知識があると便利です。
Dify:
プログラミング知識は基本的に不要です。低コード/ノーコードのインターフェースで、非技術者でもAIアプリケーションを構築できます。
Q3: どちらの方が学習コストが低いですか?
n8nは基本操作なら数時間、実際のワークフロー作成には8時間程度で習得可能です。
Difyは直感的なUIを持ち、特にチャットボット開発においては学習コストが低い 傾向にあります。
結論: 単純なチャットボット開発ならDifyの方が早く習得できますが、複雑なシステム統合ならn8nの学習に時間を投資する価値があります。
Q4: 既存システムとの連携は可能ですか?
n8n:
はい、1,000以上のサービスとの連携が可能です。 REST APIを持つシステムであれば、HTTP Requestノードを使ってほぼすべてのシステムと連携できます。
Dify:
はい、MCP対応により、Zapier経由で7,000以上のアプリ・30,000以上のアクションにアクセス可能です。 また、OpenAPIスキーマをアップロードするだけで外部サービスを統合できます。
Q5: セキュリティ面での違いはありますか?
n8n:
セルフホスト可能なため、データを完全に自社環境内で管理できます。 EU拠点でGDPR準拠、2段階認証対応です。Enterprise版ではSSO、LDAP、監査ログなどの高度なセキュリティ機能が利用可能です。
Dify:
マルチテナント環境でもワークスペース間でデータベースとストレージを完全分割し、データ漏洩リスクを根本的に排除しています。 APIキーやパスワードはKMSと連携した安全領域に暗号化保存されます。
11. まとめ:2025年、選ぶべきは?
選択のポイント再確認
n8nとDifyの選択は、スイスアーミーナイフとレーザー焦点のメスを選ぶようなものです。 両者はオープンソースで、コードをあまり書かずに構築できますが、非常に異なる問題を解決します。
n8nはこんな人におすすめ:
- 複数のSaaSツールやシステムを連携させたい
- データ同期やバッチ処理を自動化したい
- DevOps/バックエンドエンジニアリングのバックグラウンドがある
- セルフホストでデータ主権を確保したい
- 実行回数ベースの明確な課金を好む
Difyはこんな人におすすめ:
- AIチャットボットやQ&Aシステムを構築したい
- RAGを活用した高度な知識検索を実現したい
- プロンプトエンジニアリングとモデル管理に注力したい
- 非エンジニアもAI開発に参加させたい
- 迅速にAIプロトタイプを作成・検証したい
両方を併用すべき人:
DifyとN8nの併用は絶対に可能であり、強く推奨されます。Difyの生成AIワークフローオーケストレーションとn8nの堅牢な自動化エンジンを組み合わせることで、真にインテリジェントでスケーラブルなAI搭載ワークフローソリューションを構築できます。
今後の展望
n8nの進化:
最新バージョンでは「Task Runners」機能が追加され、コードノードのパフォーマンスとセキュリティが向上しています。 今後もAI統合機能の強化と、エンタープライズ向け機能の充実が期待されます。
Difyの進化:
v1.7.0でMCP(Model Context Protocol)対応が実装され、より標準化されたモデル連携が可能になりました。 プラグインエコシステムの充実とエージェント機能の強化により、より高度で自律的なAIアプリケーション開発が可能になっています。
最終的な判断基準
-
主な目的は何か?
- システム統合・自動化 → n8n
- AIアプリケーション開発 → Dify
- 両方 → 併用
-
チームのスキルセットは?
- DevOps/エンジニア中心 → n8n
- ビジネス/非エンジニア中心 → Dify
-
予算とコスト構造は?
- 実行回数が明確 → n8n
- LLM使用量が読みやすい → Dify
-
データ主権の要件は?
- 厳格な要件あり → 両方セルフホスト可能
適切なツール選択は、現在のニーズだけでなく、将来のスケーラビリティと拡張性も考慮することが重要です。多くの先進的な組織は、両方のツールの強みを活かしたハイブリッドアプローチを採用しています。
AI総合研究所では、企業のワークフロー自動化とAIアプリケーション開発を支援しています。n8nやDifyの導入支援、カスタム開発、研修など、幅広いサービスを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。
【無料DL】AI業務自動化ガイド(220P)
Microsoft環境でのAI活用を徹底解説
Microsoft環境でのAI業務自動化・AIエージェント活用の完全ガイドです。Azure OpenAI、AI Agent Hub、n8nを活用した業務効率化の実践方法を詳しく解説します。








