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【AWS】Kiroとは?主要機能や使い方、料金体系をを解説

この記事のポイント

  • KiroはKiro.dev社が開発した次世代AI IDEで、プロンプトから本番品質のアプリケーション構築までを支援
  • Specification-Driven Developmentにより、要件定義から設計、タスク管理までを一貫して行える
  • フック機能により、コード保存時の自動チェックやセキュリティスキャンを実行し、品質担保
  • 2025年8月に正式な料金プランが公開され、無料プランと3つの有料プラン(Pro, Pro+, Power)で提供
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


Kiroとは、AIエージェントと協働しながら、プロトタイプからプロダクションまで一貫して開発を支援する新しいIDE(統合開発環境)です。
仕様駆動開発や自動化フックなどの独自機能により、開発効率と品質の両立を可能にします。

AI総合研究所では、企業のAI導入支援を行っています。
お気軽にご相談ください

【AWS】Kiroとは?

Kiroとは、Kiro.dev社が開発し、Amazon Web Services(AWS)が2025年7月に公式ブログで紹介したことで注目を集める「Agentic IDE(エージェント型統合開発環境)」であり、プロンプトベースの試作開発から本番品質のアプリケーション構築までを一貫して支援する、次世代の開発ツールです。

kiroイメージ
kiroイメージ

ChatGPTなどの生成AIの登場により、開発者は「何を作りたいか」を自然言語で伝えるだけで、アプリケーションやコードのプロトタイプを作成できるようになりました。この“気分で作る”ような体験は Vibe Coding とも呼ばれ、一見すると魔法のような利便性をもたらしています。


しかし、実際の開発現場ではこうした試作コードを本番運用に耐えるプロダクトに昇華させるための構造や管理の仕組みが求められます。AIが生成したコードに対し、「なぜこの構造なのか」「要件を満たしているか」「誰がどこで判断したのか」が不明なままでは、保守・連携・品質担保が困難になります。

Kiroはこの問題に正面から取り組むために誕生しました。この新しいIDEは、AIエージェントとともに開発を進める中で、実運用に対応した“仕様中心”の開発体験を実現します。

Kiroが解決する課題:なぜ仕様が必要なのか

AIとプロンプトだけで動くアプリは作れる──しかし、それをプロダクションに持ち込むには“仕様”が欠かせません。

生成AIの登場により、開発者はプロンプトを打つだけで、UIやAPI、業務ロジックを含むアプリケーションを瞬時に生成できるようになりました。 しかし、企業やチームで本番システムとして運用するには、以下のような構造的課題が浮き彫りになります。

従来のVibe Codingにおける限界

課題 内容
判断の前提が残らない 「この機能はなぜこの構成なのか?」という問いに答える情報が存在しない
要件が曖昧なまま進行 受け入れ条件が定義されず、完成品が期待に沿っているかを検証できない
実装とドキュメントの乖離 コードはあるが、設計書や要件定義が存在しない、または古いまま
チームでの保守が困難 開発の意図が属人化し、他メンバーが手を加えることが難しくなる

たとえば、生成AIで「商品にレビュー機能を追加して」と指示すれば、それらしいUIとAPIは出力されるかもしれません。しかしその仕様は誰も把握しておらず、異常系やアクセス制御の検討もなく、テストも不完全なままリリースされるリスクがあります。

Kiroは“仕様”を中心に据えることで、この問題を構造的に解決する

Kiroが提供する「Specification-Driven Development(仕様駆動開発)」は、開発の出発点を“プロンプト”から“構造化された仕様”へと引き上げる仕組みです。

  • ユーザーがプロンプトで「◯◯機能を追加したい」と入力
    → Kiroがそれをユーザーストーリーと受け入れ条件に自動変換(EARS形式など)
  • 仕様が確定したら、そこからコード・API・UIを生成
  • 各成果物は“この仕様に基づいて作られた”というトレース可能な履歴を持つ


このアプローチにより、Kiroは以下を実現します:

  • なぜその設計が選ばれたのかを説明可能
  • 要件とコードの乖離を防ぎ、保守性を高める
  • チームメンバーが仕様を共有・再利用しやすくなる


つまり、Kiroは「プロンプトから作ったアプリが、どのような要求・判断・意図に基づいているのか?」という問いに明確に答えられる環境を提供します。


Kiroの主な機能

Kiroは、以下のような特徴的な機能を備えています。

  • Specification-Driven Development(仕様駆動開発)
    自然言語のプロンプトから、要件定義・設計・タスク構造を自動生成。EARS記法などに基づくユーザーストーリーも展開可能。

  • hook(フック)による自動チェックと支援
    コード保存や生成時に、テスト更新・README修正・セキュリティスキャンなどをエージェントがバックグラウンドで実行。

  • VS Codeベースの開発環境
    Code OSSをベースに構築されており、既存の拡張機能やUIに親和性が高く、学習コストを抑えて導入可能。


このように、Kiroは単なるAIコーディング支援ツールではなく、生成AIを“プロダクション開発の現場”へつなぐための信頼性の高い基盤を提供するIDEです。

ここからは、主要な機能をみていきましょう。

スペックとフックを使った開発:Kiroによる仕様駆動ワークフロー

Kiroの仕様駆動アプローチを支えている中核機能が、「spec(スペック)」と「hook(フック)」です。

この2つの仕組みによって、プロンプトベースの開発体験が本番環境に対応した構造的な開発プロセスへと進化します。

spec(スペック)とは?

Kiroにおけるspec(スペック)とは、自然言語で入力された曖昧なプロンプトを、開発者とAIが共有できる“構造化された仕様ドキュメント”に変換したものです。
それは単なるメモや指示ではなく、以下のような役割を果たします:

  • 要件を明文化し、受け入れ条件を定義する(ユーザーストーリー+EARS記法)
  • API、データベース、UIなどの技術設計の出発点になる
  • タスクやテストの自動生成にリンクされ、開発・保守・レビューの“判断軸”になる

このようにspecは、要件定義・設計・実装・品質保証を一気通貫でつなぐ“仕様のハブ”として機能します。

以下では、実際のユースケース(レビュー機能の追加)を例に、具体的なワークフローを解説します。

1. 単一プロンプトから要件へ

まず、開発者がKiroに対して「商品にレビュー機能を追加したい」と自然言語で指示を出します。
するとKiroはその内容を分解し、以下のようなユーザーストーリーを自動生成します:

  • レビューの表示
  • レビューの投稿
  • 評価(例:★の数)の追加
  • フィルタリング(例:低評価のみ表示)など

これらはEARS記法(Easy Approach to Requirements Syntax)に従って構造化されており、各ユースケースに受け入れ条件(Acceptance Criteria)が明示されます。
これにより、プロンプトが曖昧な思いつきで終わるのではなく、「何を満たせば“完成”といえるのか」が明確になります。

2. 要件に基づく技術設計の自動生成

次に、Kiroは確定した要件(spec)に基づき、以下のような技術設計の成果物を自動生成します:

  • TypeScriptインターフェース(例:Review オブジェクト)
  • APIエンドポイント仕様(GET, POST, DELETE など)
  • データベーススキーマ
  • データフロー図やMermaid記法の構造図


設計とコードが分断されることなく、エージェントが必要な設計情報を開発の流れの中で提示してくれるため、レビューや後工程でも整合性を保ちやすくなります。

3. タスクとサブタスクの構造化・進行管理

設計が定まると、Kiroは自動的にタスクとサブタスクを生成し、それぞれを依存関係に基づいて順序付けます。

さらに各タスクには以下のような詳細も含まれます:

  • 単体テストの記述
  • 統合テスト(商品とレビューの相互作用)
  • モバイル対応やレスポンシブ設計
  • アクセシビリティ対応(例:スクリーンリーダー対応)
  • ローディング状態のUI実装


開発者は、インターフェース上で1つずつタスクをトリガーして進行状況を確認でき、エージェントによる実行履歴・コード差分も含めて監査可能です。

このように、Kiroは「思いつきのプロンプト → 明示的な要件 → 設計 → タスク管理」までを1つの仕様の流れとして結びつけることができるAI IDEです。

フックでリリース前に問題を発見:Kiroによる自動チェックと品質担保

Kiroのもう一つの中核機能が「hook(フック)」です。これは、開発中の作業に自動で割り込んでくれる“見落とし防止エージェント”として機能します。

フックとは?

フック(hook)とは、Kiroが提供する自動化機能で、特定のイベント(保存・作成・削除・コミットなど)に応じてAIエージェントが裏側で必要な処理を実行する仕組みです。

以下に、代表的なフックのトリガーと処理内容を示します。

トリガー 自動実行される処理
Reactコンポーネントの保存時 対応するテストファイルを自動で生成・更新
APIエンドポイントの変更時 README.md などのドキュメントに自動反映
コミット前の段階 資格情報やシークレットの漏洩チェック(セキュリティスキャン)を実行
コンポーネント追加時 単一責任原則(SRP)に反していないかを自動判定し、修正を提案


特にこの「単一責任原則」の検証は、品質を一定に保つうえで極めて重要です。Kiroは、ユーザーが書いたプロンプトをもとに自動で構造的なガイドラインを生成し、該当フォルダを監視してルールに沿っているかをチェックします。

このフックはGitのコミットプロセスと統合されており、チーム内で同じ品質基準とルールを共有することが可能です。つまり、経験豊富なレビュワーが常に横にいてアドバイスしてくれるような開発体験が得られるのです。

その他の充実した機能:Kiroが備えるAI開発の基盤

Kiroは、Specification(仕様)とHook(自動チェック)という中核機能に加え、現代的なAI開発に不可欠なツール群を包括的に備えた開発基盤でもあります。以下では、Kiroが提供するその他の注目すべき機能を紹介します。

Model Context Protocol(MCP)対応

Kiroは、AIエージェントがプロジェクト全体の文脈を理解できるようにするために、Model Context Protocol(MCP)をサポートしています。
これにより、外部のモデルやツールと連携しながら、仕様・設計・実装といった文脈情報を一貫して渡すことができ、より精度の高いAI補助が実現します。

関連記事:Model Context Protocol (MCP) とは?仕組みやRAGとの違いを解説

ステアリングルールとコンテキストプロバイダー

  • Steering Rules(ステアリングルール)
    プロジェクト全体に対して「どのような原則・規約でコードを生成すべきか」を定義することができ、開発方針や命名規則、使用ライブラリなどの整合性を維持できます。

  • Context Providers(コンテキストプロバイダー)
    ファイルパス、URL、ドキュメントなどを開発中のタスクに紐づけることで、AIが常に正しい背景情報をもとに動作できるようになります。

VS Code互換:拡張性と導入のしやすさ

KiroはCode OSS(Visual Studio Codeのオープンソース版)をベースに構築されており、以下のようなメリットがあります:

  • 既存のOpen VSXプラグインがそのまま利用可能
  • 開発者が慣れ親しんだVS CodeのUI・ショートカットを踏襲
  • ローカルでも動作し、クラウド依存がないためセキュリティ制約のある企業でも導入しやすい


このように、Kiroは単なるAI支援の開発補助ツールにとどまらず、AIを前提とした新しい開発様式を実現する統合プラットフォームとなっています。


Kiroの使い方

Kiroは現在、Kiro.dev社によって開発され、AWSが公式に紹介しているAgentic IDEであり、公式サイト(kiro.dev)にて利用申し込みが可能です。

ただし、2025年7月現在、想定を超えるアクセスによりウェイトリスト制が導入されています。
ウェイトリストの状況
ウェイトリストの状況

利用手順

  1. 公式サイトにアクセス
    https://kiro.dev
  2. サインイン(以下のいずれかでログイン)
    • Google アカウント
    • GitHub アカウント
    • AWS アカウント
  3. IDEのインストール
    Mac、Windows、Linux 向けのバイナリが用意されており、ローカルにインストールして利用可能です。
  4. プロジェクトの開始
    VS Codeとほぼ同様のUIで起動。新規プロンプトを送信すると、specの生成からタスク化までが始まります。

対応プラットフォーム

OS 対応状況
macOS ◯(M1/M2対応済)
Windows ◯(x64)
Linux ◯(Ubuntu系推奨)

インストール不要なWeb IDE版は現時点では提供されていません(将来の提供が検討されている可能性あり)。


Kiroの料金体系

2025年8月15日、Kiroの新しい料金プランが正式に公開されました。 これまでのプレビュー期間は終了し、無料プランと3つの有料プランからなる新しい料金モデルへ移行しています。

新しい料金プラン(2025年8月時点)

全ユーザーは、最初に14日間有効な「ウェルカムボーナス(100 Specリクエスト + 100 Vibeリクエスト)」を利用できます。

プラン名 月額 Vibeリクエスト/月 Specリクエスト/月 備考
Free $0 50回 0回 基本的な機能を試したい方向け
Pro $20 225回 125回 小規模チーム・開発者向け
Pro+ $40 450回 250回 中〜大規模プロジェクト向け
Power $200 2,250回 1,250回 ヘビーユーザー・大規模チーム向け

VibeリクエストとSpecリクエストについて

新しい料金体系では、これまでの「Agent Interactions」に代わり、2種類の単位で利用量を計測します。

  • Vibeリクエスト: 仕様タスクの実行を伴わない、AIとの会話的なやり取りを指します。例えば、コーディングに関する質問、ドキュメントの推敲、フックの起動などが含まれます。
  • Specリクエスト: Kiroの構造化された開発ワークフロー内でのタスク実行を指します。Vibeリクエストで作成した仕様書(spec)から、具体的なタスク(コード生成、テスト作成など)を実行する際に消費されます。

この新しい料金モデルと利用状況は、Kiro内のダッシュボードから確認できます。利用を開始するには、Kiro v0.2.13以降へのアップデートが必要です。


Kiroの活用事例

  • kiroの発表

  • 対話形式での仕様書作成 質と速度の両立が可能

  • kiroで要件定義し、Claude Codeで実装する


Kiroと他のAI IDEとの比較

以下に、Kiroと主要なAI開発支援ツール(Amazon Q Developer、GitHub Copilot、Cursor)との機能・思想の違いを比較します。

製品名 提供元 開発スタイル 主な用途 特徴 仕様駆動
Kiro Kiro.dev 仕様中心(Specification-Driven) ゼロからのアプリ構築・本番移行支援 Prompt → 要件 → 設計 → 実装 → 品質管理 ◯ 完全対応
Amazon Q Developer AWS 補完型(コード支援アシスタント) 既存コードの理解・修正・Q&A VS Codeで自然言語によるコードナビゲーション・テスト生成
GitHub Copilot GitHub(Microsoft) 補完型(LLM in IDE) 関数やコードの即時補完 コメントからのコード生成・高精度の文脈補完
Cursor Cursor AI 補完+リファクタ支援型 ファイル構成に沿った開発補助 ファイル単位での意図理解・リファクタリング支援

【関連記事】
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Kiroの強み

  • 仕様(spec)を軸に、設計・実装・タスク・テストが連動
  • EARS記法によるユーザーストーリー生成
  • フック(hook)による保存時テスト・セキュリティスキャンなどの自動化
  • すべての工程がトレーサブルに管理され、レビューや保守に強い

このように、Kiroは「AIにコードを書かせる」ツールというより、「AIと一緒にソフトウェアを設計・構築していくための環境」です。

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まとめ

Kiroは、Kiro.dev社が開発し、AWSが2025年に公式ブログで紹介した次世代のAI IDE(Agentic IDE)です。従来のAIコーディングツールが「補完」にとどまっていたのに対し、Kiroは“仕様(spec)”を軸にすべての開発工程を構造化する設計ファーストの開発体験を提供します。

  • プロンプト → 要件定義 → 設計 → タスク管理 → テスト → 品質担保
  • 開発中にhookが自動でドキュメント更新やセキュリティチェックを実行
  • EARS記法によるユーザーストーリー展開と受け入れ基準の明示化
  • VS Codeベースで拡張性も高く、実践的な開発にそのまま使える

こうした特徴により、Kiroは「プロンプトで動くデモアプリ」では終わらず、“本番環境に耐えるプロダクト開発”をAIと共に実現できる初のIDEといえる存在です。

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監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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