この記事のポイント
Anthropic DevContainerの情報を包括的にまとめています。
Claude Codeの開発環境を簡単に構築する方法を解説しています。
セキュリティ設計やカスタマイズ方法も紹介します。
AI開発の効率化を図るための実践的なガイドとなっています。

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
Anthropic DevContainer完全ガイドでは、Claude Codeの開発環境を簡単に構築できる方法を解説します。セキュリティ設計やカスタマイズ方法も紹介し、AI開発の効率化を図ります。
AI総合研究所では、企業のAI導入支援を行っています。
お気軽にご相談ください。
目次
AnthropicのDevContainer(開発コンテナ)とは?
Claude Code開発に最適化されたDevContainer
ステップ2:Claude Codeのリファレンス実装をクローンする
② デフォルト拒否ポリシー(Deny by default)
① <code>devcontainer.json</code>:開発環境の設定ファイル
② <code>Dockerfile</code>:中身の環境を定義するレシピ
AnthropicのDevContainer(開発コンテナ)とは?
AnthropicのDevContainer(開発コンテナ)とは、AIモデル「Claude」向けに用意された、安全で一貫性のある開発環境を提供するコンテナ型のセットアップです。特に、Anthropicが提供する「Claude Code」の開発を想定して構成されており、チームでの開発作業を効率的に、かつ安全に進めるための基盤として設計されています。

DevContainerイメージ図
Claude Codeの詳細は関連記事をご覧ください。
関連記事:
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DockerとDevContainerの関係
まず前提として、「DevContainer(開発コンテナ)」は Docker を基盤としています。Dockerは、アプリケーションとその依存関係をまとめて動かす仮想的な環境(コンテナ)を提供するツールです。

Dockerイメージ
DevContainerは、このDockerの仕組みを活用して、「開発に必要なソフトウェアや設定があらかじめ整った環境」をコードベースで定義します。つまり、特定の開発ツール・ライブラリ・OS構成などをあらかじめセットにしておき、どこでも同じように使えるようにする仕組みです。
開発者はこのDevContainerを使うことで、以下のような課題を解決できます。
- 「動作する環境の違いで、開発チーム内で不具合が出る」
- 「開発に必要なツールのインストールが面倒」
- 「ローカル環境に影響を与えずに試したい」
Claude Code開発に最適化されたDevContainer
Anthropic DevContainerは、こうしたDevContainerの仕組みを活かしつつ、Claude Codeを扱うために特化された設定が施されています。具体的には:
- Node.jsやgitなどの必要ツールが事前に導入済み
- セキュリティを重視したファイアウォール設定
- VS Code(Visual Studio Code)との連携設定
これにより、チーム全員が「どこでも同じ開発環境」をすぐに立ち上げることができ、セキュリティリスクも抑えながらClaudeの活用をスムーズに進めることができます。
2. 主な機能とメリット
DevContainerは、Claude Codeの開発をスムーズかつ安全に進めるために、さまざまな機能が事前に組み込まれた開発環境です。ここでは、初心者の方にも理解しやすいように、特に注目すべきポイントを紹介します。
本番に近いNode.js環境が最初から使える
Claude Codeの開発はNode.jsベースで行うことが多いため、Node.js 20と主要な開発依存パッケージがあらかじめインストールされています。最初から本番運用を見据えた構成になっており、追加設定の手間が大きく省けます。
ネットワークアクセスを制限したセキュアな構成
開発コンテナ内では、カスタムファイアウォールが有効になっており、必要な通信先(npmレジストリやGitHub、Claude APIなど)のみに通信を許可しています。これにより、不正な外部アクセスを未然に防ぐことができます。
開発効率を高める便利ツールを標準搭載
コンテナ内には、以下のような開発者向けツールがすでに導入されています:
git:ソースコード管理ツールzsh:補完機能が豊富で使いやすいシェルfzf:ファイル検索や履歴操作を高速化するコマンドラインツール
これらにより、開発効率や操作性が大きく向上します。
VS Codeとのスムーズな連携
Visual Studio CodeにおけるRemote - Containers拡張機能と完全に連携しており、「Reopen in Container」操作だけで、すぐに準備完了した状態のエディタを開くことができます。
拡張機能やエディタ設定もあらかじめ定義されているため、手作業による面倒な初期設定は不要です。
コンテナの再起動後も設定が保持される
Anthropic DevContainerでは、セッションの永続化機能が有効になっており、コンテナを再起動しても以下の内容が保持されます:
- コマンド履歴
- シェル設定
- 一時的なファイルの状態
これにより、作業の中断・再開がスムーズに行えます。
OSを問わず動作する互換性
この開発環境は、macOS / Windows / Linux いずれの開発マシンでも利用可能です。DockerとVS Codeが使える環境であれば、OSの違いを意識せずに、同じ開発環境を再現できます。
次のセクションでは、こうした環境を実際にどうやって立ち上げるかを4ステップで解説していきます。
3. 4ステップで始めるClaude開発環境の構築手順
AnthropicのDevContainerは、Visual Studio Code(VS Code)とDockerを活用して、わずか数ステップでClaude Code開発に必要な環境を立ち上げることができます。ここでは、初心者の方でも迷わずセットアップできるように、手順を丁寧に解説します。
前提:必要なもの
- VS Code(最新版推奨)
- Docker Desktop(macOS / Windows の場合)
- Remote Development 拡張機能(Microsoft 提供の拡張パック。Remote - Containers 機能を含みます)
まだDockerやVS Codeをインストールしていない場合は、Docker公式サイトおよびVS Code公式サイトからそれぞれインストールしてください。
ステップ1:VS Code拡張を準備する
VS Codeを起動し、「拡張機能」から Remote Development を検索・インストールします。これにより、VS Code上から直接コンテナを操作し、開発ができるようになります。

Remote Developmentのインストール
ステップ2:Claude Codeのリファレンス実装をクローンする
次に、Anthropicが提供しているClaude Code開発環境のリファレンスリポジトリを手元にコピー(クローン)します。ターミナルで以下のように入力します。

ターミナルでの実行イメージ
git clone https://github.com/anthropics/claude-code.git
任意の場所にこのリポジトリをダウンロードしておいてください。
ステップ3:VS Codeでプロジェクトを開く
ダウンロードしたプロジェクトフォルダを、VS Codeで開きます。
開くと、画面右下に以下のようなメッセージが表示されます:
「Reopen in Container」
ここで「Reopen in Container」をクリックすれば、自動的にDockerコンテナ上で環境が構築され、必要なツールがインストールされた状態でエディタが立ち上がります。
ステップ4:Claude Code開発を開始する
コンテナ内に入ると、Node.jsやgit、zshなどの開発ツールがすでに用意された状態で作業を始めることができます。claudeコマンドも利用可能になっており、プロンプトによる操作もシームレスです。

Claude Codeの画面
通常、Claude CLIの利用時に求められる権限確認は、
--dangerously-skip-permissionsフラグによってスキップされる設定がなされています(セキュリティを十分に理解した上で使用してください)。
このように、Anthropic DevContainerを使えば、面倒な環境構築作業を大幅に省略し、すぐにClaudeのコード実装に集中できる状態を作ることが可能です。
4. セキュリティ設計のポイント
Anthropic DevContainerでは、セキュリティを最優先に考えた設計がされています。特に、Claude Codeのように外部APIとやり取りする開発においては、意図しない外部通信や情報漏洩のリスクを最小化する仕組みが重要です。
ここでは、その中核となる4つのセキュリティ対策について解説します。
① 精密なネットワークアクセス制御(ホワイトリスト方式)
コンテナ内からのインターネット通信は、あらかじめ許可されたドメイン(ホワイトリスト)にのみ制限されています。これにより、以下のような不要・不正な外部通信がブロックされます:
- 不審な外部サーバーへの接続
- 意図しないサードパーティサービスとの通信
例:
registry.npmjs.orgやapi.anthropic.comは許可されているが、それ以外の外部サイトは通信不可。
② デフォルト拒否ポリシー(Deny by default)
ネットワークアクセスのポリシーは「明示的に許可した通信先以外はすべて拒否」というルールで構成されています。
この方式により、万が一コンテナ内で何らかの不正コードが動作したとしても、外部へ情報が流出する経路を遮断することができます。
③ 起動時のセキュリティ検証
コンテナが起動する際には、セキュリティ設定スクリプト(init-firewall.sh)が自動的に実行され、必要なファイアウォールルールが正しく適用されているかを検証します。
これにより、「設定漏れ」や「コンテナ再起動時のセキュリティ低下」といったリスクを未然に防ぐことができます。
④ メインシステムからの分離(アイソレーション)
開発コンテナは、ホストOS(開発者のPC本体)とは分離された領域で動作します。
そのため、たとえコンテナ内でトラブルが起きたとしても、開発者のPCにインストールされた他のアプリやファイルに直接影響を与えることはありません。
注意点:完全ではないことを理解する
ただし、これらの対策を講じていても、すべての攻撃に完全に耐えられるわけではないことは認識しておく必要があります。以下のような基本的な対策も併用してください:
- Claude Codeのバージョンや依存パッケージを常に最新に保つ
- コンテナ内の実行ログや通信履歴を定期的に確認する
- 不審なプロセスが動いていないか監視する
5. 設定ファイルと構成要素の解説
Anthropic DevContainerの動作は、3つの主要なファイルによって構成されています。これらのファイルはすべてコードとして定義されており、誰でも内容を確認・編集できるのが特徴です。
① devcontainer.json:開発環境の設定ファイル
devcontainer.json は、VS Codeが「どのような開発コンテナを立ち上げるか」を判断するための設定ファイルです。
ここには以下のような内容が記載されています:
- 使用するDockerfileの指定
- VS Code拡張機能の自動インストール
- マウントするボリューム(データ領域)
- 起動時に実行するコマンド
{
"name": "Claude Code DevContainer",
"build": {
"dockerfile": "Dockerfile"
},
"extensions": [
"dbaeumer.vscode-eslint",
"esbenp.prettier-vscode"
],
"postCreateCommand": "./init-firewall.sh"
}
ポイント: 拡張機能やスクリプトの自動実行により、「誰が環境を立ち上げても同じ状態」が再現できます。
② Dockerfile:中身の環境を定義するレシピ
Dockerfileは、実際にコンテナ内部で使うOSやツールをインストールする「レシピファイル」です。
たとえば、以下のような内容が含まれます:
- Node.jsやgit、zshのインストール
- 作業ディレクトリの作成
- 環境変数の設定
- 必要なLinuxパッケージの導入
FROM node:20
RUN apt-get update && \
apt-get install -y git zsh fzf curl
COPY .zshrc /root/.zshrc
ポイント: Dockerfileは、コンテナがどういう「環境」で動くかをすべて定義しており、環境の再現性を担保する心臓部です。
③ init-firewall.sh:セキュリティルールの初期化スクリプト
このシェルスクリプトは、コンテナ起動時に実行されるファイアウォール設定スクリプトです。
主な処理内容:
- 通信を許可するドメインの定義(ホワイトリスト)
- 不要な通信のブロック
- 既存設定との競合のチェック
#!/bin/bash
iptables -P OUTPUT DROP
iptables -A OUTPUT -d registry.npmjs.org -j ACCEPT
iptables -A OUTPUT -d api.anthropic.com -j ACCEPT
ポイント: ネットワークの安全を保つための自動設定。これがあることで、開発者が意識せずともセキュリティが保たれます。
これら3つのファイルにより、一貫性・再現性・安全性のあるClaude開発環境が構築されています。
6. カスタマイズ例:自社環境や用途に応じた設定変更
Anthropic DevContainerは、標準構成のままでも十分に機能しますが、プロジェクトの規模や開発チームの要件に応じて柔軟にカスタマイズできるのも大きな強みです。
このセクションでは、初心者の方でも取り組みやすいカスタマイズの具体例を紹介します。
① VS Code拡張機能の追加・削除
VS Code内で使用する拡張機能は、devcontainer.jsonの中で定義されており、用途に応じて以下のように編集できます。
例:PrettierとESLintを追加したい場合
"extensions": [
"esbenp.prettier-vscode",
"dbaeumer.vscode-eslint"
]
目的別の例:
- Python開発 →
"ms-python.python" - GitHub連携強化 →
"github.vscode-pull-request-github"
② リソースの割り当て(ハードウェアに合わせた調整)
Docker Desktopを使用している場合は、CPUコア数やメモリ使用量を調整することで、ホストマシンに無理のない形でコンテナを動作させることができます。
設定方法(例):
- Docker Desktop → Settings → Resources → Memory / CPUs を調整
開発環境が重く感じられる場合、ここを調整することで改善するケースがあります。
③ ネットワークアクセス権限の変更
企業ネットワークや閉じた環境で開発する場合など、許可する通信先を追加・変更したい場合は、init-firewall.sh を編集します。
例:GitHub Enterpriseを許可する
iptables -A OUTPUT -d github.company.internal -j ACCEPT
ポイント:セキュリティ要件に応じて、必要最小限の通信先のみを明示的に許可するのがベストプラクティスです。
④ シェル環境や開発ツールのカスタマイズ
Dockerfileを編集することで、使用するシェルの設定や、追加の開発ツールのインストールも可能です。
例:zshプラグインの導入、Pythonの追加インストール
RUN apt-get install -y python3 python3-pip && \
git clone https://github.com/zsh-users/zsh-autosuggestions ~/.zsh/zsh-autosuggestions
⑤ チームごとの開発ワークフローに対応
- チームA:Node.js中心 → JavaScript系ツールを多めに追加
- チームB:セキュリティ重視 → ファイアウォールルールを強化
- チームC:CI/CD連携 → GitHub CLIやCI用設定を追加
このように、プロジェクトごとに異なる開発要件にも柔軟に適応できるのがAnthropic DevContainerの魅力です。
まとめ:Claude Code開発におけるDevContainerの価値
Anthropic DevContainerは、Claude Codeの開発に必要な環境を事前構築された安全な状態で提供することで、開発者の負担を大幅に軽減してくれるツールです。
- Dockerを基盤とする開発コンテナとして、どのマシンでも一貫した環境を再現可能
- VS Codeとの高い親和性により、複雑なセットアップ不要で開発をスタート
- セキュリティを重視した設計により、不正アクセスや情報漏洩リスクを抑制
- 柔軟なカスタマイズが可能で、チーム・プロジェクト単位のニーズにも対応
特にチーム開発においては、新メンバーのオンボーディングの迅速化や、CI/CDとの連携による品質保証にも役立つため、Claude Codeの実践運用を強く後押しします。
開発環境の整備に時間をかけず、より本質的なAI開発に集中したい方にとって、Anthropic DevContainerは非常に有効な選択肢となるでしょう。
AI総合研究所では、企業のAI導入を支援しています。Anthropic DevContainerの導入やClaude Codeの活用についても、ぜひお気軽にご相談ください。










