この記事のポイント
SharePointエージェントは、指定したサイトやファイル群をスコープに自然言語での質問応答を行う組み込み型AI機能であり、Microsoft 365 Copilotの一部として提供される
サイトホームやドキュメントライブラリからノーコードで作成でき、作成したエージェントはTeamsやMicrosoft 365アプリ経由でチームメンバーと共有可能
ユーザーの閲覧権限に基づいた回答制御(セキュリティトリミング)が自動的に適用されるため、機密情報の意図しない露出を防ぎながら安全に運用できる
社内規程集の要約やプロジェクト履歴の検索、オンボーディング資料のQ&A化など、既存コンテンツを活用したナレッジ検索の省力化に高い効果を発揮する
回答品質を向上させるには、フォルダ構成やメタデータの整備といった情報アーキテクチャの見直しに加え、サイトごとのエージェント有効化ポリシーの策定が重要となる

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
SharePointエージェントは、特定のSharePointサイトやドキュメントライブラリをナレッジ源として動作する「その場専属のAIアシスタント」です。
一般的なチャットボットとは異なり、既存のサイト権限やコンテンツ構造をそのまま継承するため、構築コストを抑えつつ、社内規程やプロジェクト資料に特化した高精度な回答を提供します。
本記事では、SharePointエージェントの具体的な作成手順やTeams連携といった基本機能から、社内ポータルやトレーニング資料での活用シナリオ、さらに導入時に不可欠なメタデータ設計やセキュリティガバナンスについて、2026年の情報を基に体系的に解説します。
目次
SharePointエージェントと一般的なAIエージェントの違い
TeamsやMicrosoft 365ポータルからの利用と共有
ナレッジソースとしてのサイトとドキュメントライブラリの指定方法
Microsoft 365 Copilotライセンスでの利用
SharePointサイト上でのカスタムエージェント作成手順
SharePointエージェントとは?

SharePointエージェントは、SharePointサイトやドキュメントライブラリを起点に、その範囲(スコープ)のコンテンツに基づいて対話できる「その場専属のCopilot」です。
サイト内のページやファイルを参照したうえで、自然言語での質問に回答したり、要約やタスク整理を支援したりします。
Microsoft 365 Copilot全体で見ると、SharePointエージェントは「Copilot Agents」ファミリーの一部として、組織のコンテンツのうちSharePointのサイト/ページ/ファイルをナレッジ源にするタイプのAIエージェントという位置づけになります。
2024年のIgniteで一般提供が発表されて以降、ドキュメントポータルや社内ポータルの“AI窓口”として利用が広がりつつあります。
SharePointエージェントと一般的なAIエージェントの違い

一般的なAIエージェント(たとえばCopilot Studioで作るボットや、Microsoft 365 Copilotアプリの汎用エージェント)は、ナレッジソースや権限モデルを個別に設計する必要があります。
一方、SharePointエージェントは、SharePointの標準機能として提供されているため、既存の権限や情報構造を前提にした「組み込み型エージェント」として動作します。
違いを整理すると、次のようなイメージになります。
スコープ
- SharePointエージェント:指定したサイト/ページ/ファイル群など、SharePoint上の特定範囲に限定。
- 汎用エージェント:複数システムや外部APIまで含めた幅広い連携が可能。
構築コスト
- SharePointエージェント:サイト上で数クリック+簡単な説明文(プロンプト)で作成。
- Copilot Studio等:ダイアログ設計、スキル・アクション設計、接続設定などが必要。
利用シーン
- SharePointエージェント:社内規程集・プロジェクトサイト・部門ナレッジサイトなど。
- 汎用エージェント:社外サイト向けFAQボット、業務プロセス自動化ボットなど。
「まずはSharePoint内の文書を賢く検索できるようにしたい」というフェーズで、小さく始めるのに適した選択肢がSharePointエージェントです。
SharePointエージェントでできること

ここでは、SharePointエージェントを導入すると何ができるのかを、機能面から整理します。
SharePointの「Copilot」全体ではページ生成などもできますが、この節では特にエージェント機能に焦点を当てます。
サイトやドキュメントライブラリに特化した質問応答と要約
SharePointエージェントの基本は、「そのサイト専属のQ&A窓口」です。
ユーザーは、SharePointサイトやドキュメントライブラリの画面右上にあるCopilotボタンからエージェントを開き、自然言語で質問を投げかけます。
典型的な使い方としては、次のようなものがあります。
- 「このサイトにある“経費精算”関連の規程をまとめて要約してほしい」
- 「2025年度のプロジェクトXに関する最終報告書のポイントを3つに整理して」
- 「この案件に関する議事録の中で、顧客側からの懸念点だけ抜き出してほしい」
質問に対しては、サイト内のページやドキュメントを横断的に参照し、関連部分を引用しながら答えを返します。
ユーザーは、従来のように複数のファイルを開いて目視で探す必要がなくなり、「聞く」だけで要点を掴めるようになります。
ページ作成やコンテンツ整理を支援する活用パターン
SharePointでは、Copilot機能を使ってページの生成・リライト・要約なども行えます。
SharePointエージェントと組み合わせることで、次のようなコンテンツ運用パターンが実現しやすくなります。
- エージェントに対して「このライブラリにある複数の資料を基に、トップページ用の概要セクション案を作って」と依頼し、その結果をページ編集画面で調整する。
- 複数の古いページやドキュメントを参照させ、「重複している内容」や「情報が古そうな箇所」を指摘させることで、サイト整理のきっかけを作る。
- 「このプロジェクトの経緯を新しく入ったメンバー向けに説明したい」と伝え、エージェントにストーリーラインやFAQ案を作成させる。
エージェント自体がページを直接更新するわけではありませんが、「どの情報をどうまとめるべきか」を提案させることで、ページ作成の初期負荷を大きく下げられます。
TeamsやMicrosoft 365ポータルからの利用と共有
SharePointエージェントは、SharePointの画面だけで完結する機能ではありません。
エージェントをTeamsに共有する、Microsoft 365 Copilotアプリから呼び出すといった連携も視野に入っています。
代表的なシナリオは次の通りです。
- SharePointサイト上で作成したエージェントのリンクをコピーし、Teamsのチャンネルやチャットに貼り付けて共有する。
- プロジェクトチームのメンバーが、Teamsからそのエージェントを開き、案件資料に基づいたQ&Aを行う。
- Microsoft 365 Copilotアプリ側で、最近利用したエージェントなどから対象のSharePointエージェントを呼び出し、日常的なCopilot利用の一部として活用する。
なお、Teams連携には利用形態により制約があるため、運用設計時は「どのチャネル/チャットで使うか」を含めて事前に確認しておくと安全です。
SharePointエージェントの仕組みとナレッジ範囲

SharePointエージェントを正しく理解するうえで重要なのが、「どこまでの情報を、どのように参照しているのか」というナレッジ範囲の設計です。
ここでは、スコープと権限、検索の流れを整理します。
ナレッジソースとしてのサイトとドキュメントライブラリの指定方法
SharePointエージェントは、作成方法によってナレッジソースの範囲が変わります。
代表的なパターンは次のとおりです。
- サイト全体を対象とするエージェント(サイトエージェント)
サイトのホームページで「新しい > エージェント」から作成すると、そのサイト配下のコンテンツを広く参照するエージェントになります。
- ドキュメントライブラリ単位のエージェント
ドキュメントライブラリのコマンドバーから「エージェントを作成」を選ぶと、そのライブラリ内のファイルを主なナレッジ源とするエージェントが作成されます。
- 選択したファイル群を対象とするエージェント
複数ファイルを選択した状態でコンテキストメニューからエージェントを作成すると、「その束ねたファイル群」に特化したエージェントとして動作します。
このように、ユーザーが「どの単位で会話したいか」に応じてスコープを切り替えられるのが特徴です。
社内規程集のようにサイト全体を対象にしたい場合と、個別案件の関連ファイル群だけを対象にしたい場合で、エージェントの作り分けができます。
ユーザー権限とアクセス制御に基づく応答のトリミング
SharePointエージェントは、SharePointの標準的な権限モデル(サイト/ライブラリ/アイテムの権限)を前提に動きます。
エージェント自体はサイト全体をナレッジとして持っていたとしても、ユーザーに対しては「そのユーザーがアクセス権を持つコンテンツ」に基づいて回答を返します。
つまり、次のような制御がかかります。
- ユーザーが閲覧権限を持たないファイルの内容は、回答に含まれない。
- 機密度ラベルや共有設定で閲覧が制限されている場合、そのコンテンツを前提とした回答も抑制される。
- 管理者がテナントレベルでSharePointとCopilotの連携をオフにしているサイトでは、エージェントの利用自体が制限される場合がある。
この仕組みにより、「Copilotに聞いたら本来見えない情報まで出てしまうのでは?」という懸念を抑えつつ、既存のガバナンス枠組みの中でAIを利用できるようになっています。
(参考)検索と回答生成の流れ
技術的な内部構造は非公開部分も多いですが、概ね次のような流れで情報取得と回答生成が行われます。
- SharePoint上のコンテンツが、検索機能を通じて検索可能な形で扱われる。
- エージェントは、ユーザーの質問に対して、スコープ内で関連度の高いページやファイルを検索し、根拠となる情報を取得する。
- 取得した情報をもとに、Copilot(大規模言語モデル)が要約・説明・箇条書きなどの形に再構成して回答する。
このとき、検索結果の候補には「サイト構造」「ファイル名」「本文」「メタデータ」すべてが影響します。
そのため、情報アーキテクチャやメタデータ設計が整っているほど、エージェントの応答品質も安定しやすくなります。
SharePointエージェントのライセンスと料金
SharePointエージェントの利用形態は、大きくMicrosoft 365 Copilotライセンスで使う形と、従量課金で使う形に分かれます。
導入時は、どのユーザーをライセンス対象にするか、どのユーザーを従量課金で許可するかを先に決めておくと運用が安定します。
Microsoft 365 Copilotライセンスでの利用
Microsoft 365 Copilotライセンスが割り当てられているユーザーは、SharePointエージェントを作成して利用できます。
この場合、SharePointエージェントの利用について追加料金を前提としない運用が可能です。
従量課金での利用
Microsoft 365 Copilotライセンスがないユーザーにも使わせたい場合は、管理者が従量課金を有効化し、対象ユーザーをセキュリティグループで制御します。
従量課金を使う構成では、Azure上でSharePointエージェントをリソースとして設定し、課金ポリシーを作成してセキュリティグループに割り当て、SharePoint側のエージェントリソースにリンクします。
従量課金の料金の考え方
従量課金はメッセージ単位で計測され、単価は$0.01/メッセージです。
1回の対話は質問と回答の1往復で、成功した1往復は12メッセージが目安として示されています。
この前提で単純計算すると、1往復あたり$0.12が目安になります。ただし、実際の消費は機能や条件で変動し得ます。
管理者が押さえるポイント
従量課金を使う場合は、許可するユーザー範囲をセキュリティグループで明確化し、想定外の利用拡大を防ぐ設計が重要です。
また、エージェントは.agentファイルとして扱われるため、エージェント自体へのアクセスと編集の可否はファイル権限でも管理できます。
さらに、ライセンス運用ではユーザー単位でSharePoint向けのCopilot体験をオンオフできるため、Teamsでは使えるがSharePointでは使わせない、といった制御も設計上は可能です。
SharePointエージェントの作成方法
ここでは、SharePointエージェントをどのように作成・共有・管理するのかを、実務目線で整理します。
UIはアップデートされる可能性がありますが、全体の流れを把握しておくと運用設計がしやすくなります。
既定のエージェントの使い方と前提ライセンス
SharePointには、標準で付属する既製(ready-made)のエージェントと、サイトメンバーが作成するカスタムエージェントがあります。
既製エージェントは編集できませんが、サイト所有者はカスタムエージェントを「承認済み(approved)」に設定でき、承認済みのエージェントはエージェント ピッカーから見つけやすくなります。
利用にあたっては、次のようなライセンス前提があります。
- Microsoft 365 Copilotライセンスを持つユーザーは、追加料金なしでSharePointエージェントを作成・利用できる。
- Microsoft 365 Copilotライセンスを持たないユーザーでも、管理者がSharePointエージェント向けの従量課金(pay-as-you-go)を有効化していれば利用可能。
具体的には、SharePoint agents を Azure 上のリソースとして設定し、pay-as-you-go ポリシーをセキュリティ グループに割り当て、エージェントリソースに紐づけます。
テナント管理者は、Copilot全体の設定や課金モデルを含めて、「どのユーザーがどのサイトでSharePointエージェントを作れるか」をポリシーベースで制御する必要があります。
SharePointサイト上でのカスタムエージェント作成手順
カスタムエージェントの作成は、基本的にSharePointのUIからノーコードで行えます。
代表的なパターンの流れを簡単に整理します。
サイトホームから作成する場合
- サイトのホームページで「新しい > エージェント」を選択。
- エージェント名と説明(どんな役割を想定しているか)を入力し、作成する。
2. ドキュメントライブラリから作成する場合
- 対象ライブラリを開き、コマンドバーから「エージェントを作成」を選択。
- ライブラリ全体を対象にするか、選択したファイル群を対象にするかを指定する。
- 選択したファイルから作成する場合
- いくつかのファイルをチェックボックスで選択し、コンテキストメニューから「エージェントを作成」を選択。
- 選択したファイル群をナレッジソースとするエージェントとして作成する。
- エージェントのチャットペインから作成する場合
- サイト上部のCopilotボタンでエージェントを開き、エージェント名のドロップダウンから「新しいエージェントを作成」を選択。
- 現在のサイトやライブラリをスコープとして、会話の流れからエージェントを定義する。
作成後は、エージェントの説明文(システムプロンプトに相当)を編集することで、「どういう口調で」「どのような回答方針で」応答するかを微調整できます。
Teamsへの公開・利用範囲の設定
SharePointエージェントは、作成した人だけでなく、チームメンバーと共有して使うことが想定されています。
そのための機能として、次のようなものが提供されています(主にカスタムエージェントが対象です)。
- エージェントの「リンクをコピー」し、Teamsチャットやチャンネル投稿に貼り付けて共有する。
- Teamsからエージェントを開いたメンバーが、SharePointに戻らずにその場で質問・回答を続ける。
- 不要になったエージェントを編集・削除し、サイトの「承認済みエージェント」一覧から整理する。
また、テナント管理者向けには、SharePointエージェント機能をサイトレベル・テナントレベルで有効/無効にするためのポリシーやベストプラクティスが提供されています。
重要なのは、「どのサイトではエージェントを許可するか」(例:社内ポータルやプロジェクトサイト)と、「どのサイトでは意図しない情報露出を避けるために抑制するか」(例:高機密データを扱うサイト)を整理し、ガイドライン化しておくことです。
SharePointエージェントの代表的なユースケース
ここでは、実際にSharePointエージェントを導入した企業・組織でよく見られるユースケースを3つに分類して紹介します。
いずれも、「既存のSharePointサイトを前提に、利用者側の手間を減らす」という文脈で活用されます。
社内ポータルや規程集サイトでのナレッジ検索の省力化
最初の導入候補として多いのが、社内ポータルや規程集サイトです。
従来は、サイトマップや検索ボックスを使って「それらしいページ」を探してから内容を読む必要がありましたが、SharePointエージェントを置くことで、次のような利用が可能になります。
- 「在宅勤務の申請フローを教えて」「育児休業の期間と手続きを要約して」といった自然言語の質問に対して、複数の規程ページを横断した回答を返す。
- 変更のあった規程の要点を、旧版と比較しながら説明させる。
- 長いPDF規程を読みにくいと感じる従業員向けに、FAQ形式の抜粋をエージェント経由で提供する。
「どのページに書いてあるか分からない」という問い合わせが多い領域ほど、エージェントの効果が分かりやすく表れます。
プロジェクトサイトや案件フォルダでのコンテキスト付き回答
次に多いのが、プロジェクト単位・案件単位のサイト/関連ファイル群を対象にしたユースケースです。
プロジェクト期間が長く、参加メンバーの入れ替わりがあるようなケースでは、エージェントが「プロジェクトの記憶」を補完する役割を果たします。
具体的には、次のような問いに答えられるようになります。
- 「この案件で、顧客Aからの要望変更がどのタイミングで発生したか知りたい」
- 「プロジェクトXのキックオフから現在までの大きな意思決定の履歴を、時系列でざっくり知りたい」
- 「この議事録群のうち、“パフォーマンス問題”に言及している部分だけ抽出してほしい」
こうした質問に対して、エージェントは議事録・仕様書・タスク管理用ドキュメントなどを横断して回答を生成します。
新しく参加したメンバーに「まずはエージェントに聞いてみてから、人に聞いてください」という運用にすると、オンボーディング負荷を抑えやすくなります。
トレーニング資料やオンボーディング情報のセルフサービス化
教育・トレーニング系のコンテンツも、SharePointエージェントと相性が良い領域です。
人事・教育部門が用意したトレーニング資料やFAQ集を一か所に集約し、そのサイトにエージェントを紐づけることで、従業員は「トレーニングポータルに聞く」感覚で学習を進められます。
代表的な使い方としては、次のようなものがあります。
- 新入社員向けオンボーディングサイトで「入社1か月目までにやるべきことを教えて」と聞き、関連タスクや資料を一覧で出してもらう。
- セールストレーニングサイトで、「この製品ラインアップの違いを、お客様説明に使えるレベルで整理して」と依頼する。
- 研修資料(スライド、テキスト、文字起こしなどのファイル)をもとに、「この内容の要点」「クイズ形式の復習問題」を生成させる。
人手だけでFAQやチュートリアルを整備し続けるのは負荷が高いため、「資料をSharePointに集約しておき、探索部分はエージェントに任せる」という役割分担が有効です。
SharePointエージェント導入時のポイント
最後に、SharePointエージェントを実際に導入・展開する際に押さえておきたいポイントを整理します。
「とりあえず有効化する」のではなく、情報構造やガバナンスとセットで設計することが重要です。
情報構造とメタデータ設計が応答品質に与える影響
SharePointエージェントの回答品質は、「どのような情報構造・メタデータでコンテンツを管理しているか」に大きく左右されます。
これは、Copilot全般に対してMicrosoftが公表しているベストプラクティスとも整合しています。
特に意識したいポイントは次の通りです。
- 同じテーマの情報は、できるだけ1つのサイト/ライブラリに集約し、サイロ化を避ける。
- ドキュメントライブラリの列(カテゴリ、プロジェクト名、年度など)を活用し、検索条件として意味のあるメタデータを付与する。
- 古い版の資料には「アーカイブ」や「非推奨」などのラベルを付け、エージェントが最新情報を優先しやすい状態にする。
エージェントは魔法の箱ではなく、「整理された情報をより賢く引き出す存在」です。
既存の情報アーキテクチャ改善のきっかけとして、SharePointエージェント導入を位置づけると良いでしょう。
ガバナンスとセキュリティの観点で押さえるべき注意点
SharePointエージェントは、ユーザーの質問に対して「最も関連すると判断される情報」を提示します。
この性質上、ガバナンスとセキュリティの観点で次のような点に注意が必要です。
- 高機密情報を扱うサイトについては、エージェントの有効化を慎重に検討する(あるいはポリシーで無効化する)。
- 機密度ラベルやDLP(データ損失防止)ポリシーの運用と矛盾がないかを確認する。
- 管理者がSharePointエージェントの利用状況やエラーをモニタリングし、想定外の回答パターンがないかを定期的に確認する。
また、「ユーザーが見えてはならない情報」をエージェントが誤って露出することがないよう、テナント全体の権限設計と合わせてレビューを行うことも重要です。
テナント規模が大きいほど、エージェント有効化ポリシーやサイト分類ポリシーを明文化しておいたほうが安全です。
Copilot StudioやAzure AIエージェントとの棲み分け方針
最後に、「SharePointエージェントだけで完結させるのか」「Copilot Studioや他のエージェントとどう棲み分けるのか」という観点です。
現実的な方針としては、次のようなレイヤリングが考えられます。
-
レベル1:SharePointエージェント(サイト/ライブラリ単位)
部門やプロジェクトごとのナレッジを、その場専用のQ&A窓口として提供。
-
レベル2:Microsoft 365 Copilotアプリのエージェント
SharePointやOneDrive、メール、カレンダーなどを横断した汎用アシスタント。
-
レベル3:Copilot StudioやAzureベースのカスタムエージェント
業務システム連携や外部API連携を含む、業務プロセス自動化・外部公開ボットなど。
まずはレベル1のSharePointエージェントから「コンテンツに対するQ&A」を整備し、需要や課題が見えてきたら、レベル2・レベル3でより広範な自動化・統合を検討する、という段階的なアプローチがおすすめです。
まとめ
SharePointエージェントは、SharePointサイトやドキュメントライブラリに対して「その場専用のAIアシスタント」を付与する機能です。
既存の権限モデルや情報構造を前提に、自然言語の質問に答えたり、要約・比較・整理の作業を支援したりします。
本記事で整理したポイントは次のとおりです。
- SharePointエージェントは、Microsoft 365 Copilotのエージェント機能の一部として提供され、サイト/ページ/ファイル群をスコープとした質問応答に特化している。
- サイトホームやドキュメントライブラリ、選択したファイル、Copilotチャットペインなどからノーコードで作成でき、TeamsやMicrosoft 365 Copilotアプリからも再利用可能である。
- 応答の品質と安全性を高めるには、情報アーキテクチャとメタデータ設計、権限・ラベル・DLPポリシーなどのガバナンス設計が不可欠である。
「社内のドキュメントは揃っているが、検索性が課題」という組織ほど、SharePointエージェントの効果は分かりやすく表れます。
まずは部門ポータルやプロジェクトサイトなど、影響範囲を限定した場所から試し、成功パターンと注意点を踏まえて、対象サイトやユーザー層を段階的に広げていくのが現実的な進め方と言えるでしょう。






