この記事のポイント
Azure ReposはAzure DevOpsのコード管理機能で、GitとTFVCを選択できます。
プルリクエストとブランチ運用で、レビューを前提とした開発フローを作りやすいです。
プライベートリポジトリを使ったチーム開発に向き、権限設計と履歴管理を整理できます。
Azure Pipelinesと組み合わせると、CIや自動テストの導線を作りやすいです。
料金はユーザー数やプランに依存するため、公式の最新条件を前提に見積もることが重要です。

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
現代のソフトウェア開発では、チームでのコード共有と変更管理が欠かせません。Azure Reposは、Azure DevOpsの一部として提供されるソースコード管理サービスで、GitまたはTFVCでのバージョン管理と、プルリクエストによるレビュー運用を支援します。
本記事では、Azure Reposの特徴、基本的な使い方、チーム開発で役立つポイント、料金の考え方を整理して解説します。
✅Microsoft 365 Copilotの最新エージェント機能「Copilot Cowork」については、以下の記事をご覧ください。
Copilot Coworkとは?機能や料金、Claude Coworkとの違いを解説
目次
Azure Reposとは
Azure Reposは、Microsoft Azure DevOpsの一部で、クラウド上でコードを管理するためのリポジトリホスティングサービスです。
チームで効率的にコードを共有・管理するための便利な機能が多く提供されています。

Azure Reposイメージ
Azure DevOps全体の概要は、こちらの記事でも解説しています。
➡️Azure DevOpsとは?主要機能や使い方をわかりやすく解説!
Azure Reposの特徴と機能
まず初めに、Azure Reposの主要な特徴と機能を説明していきます。
バージョン管理
Azure Reposは、チームが効率よくコードを管理できるように、以下のような詳細なバージョン管理機能を提供しています。
- コミット履歴: 誰が、いつ、どんな変更をしたのかを記録。すべての変更が履歴として残るため、過去に戻って確認できます。
- ブランチ管理: チームが別々の作業を同時に進められるように、異なるブランチ(コードの分岐)を作成し、それを管理できます。
- マージ追跡: ブランチ同士を統合(マージ)した際の履歴も残り、どのブランチがどのブランチと統合されたのかを確認できます。
- リビジョン比較: 異なるバージョンのコードの違いを視覚的に確認でき、変更内容を簡単に理解できます。
こうした機能のおかげで、チームは誰がどんな変更を行ったかを正確に把握でき、必要に応じて過去のバージョンに戻ることができるようになっています。
TFVCベースとGitベースの2種類のリポジトリ
Azure Reposでは、2つの異なるバージョン管理システムを提供しており、それぞれ特徴があります。
- Team Foundation Version Control (TFVC)
- 中央集権型のバージョン管理システムです。すべてのコードが1つの中央サーバーで管理され、チーム全員がこのサーバーにアクセスして作業します。
- ファイルのロック機能があり、ファイルの競合を避けたい場合や、特定のファイルの排他的な編集が必要な場合に便利です。
- 大規模なプロジェクトや厳格なアクセス権限の管理が必要なケースに適しています。
- Git
- 分散型のバージョン管理システムで、各開発者が自分のローカル環境にリポジトリのコピーを持ち、オフラインでも作業が可能です。
- ブランチ管理が柔軟で、複数のブランチを自由に作成・統合し、同時に複数の作業を進めることができます。
- ローカルでのコミット(コードの変更を記録すること)が可能なため、頻繁な変更や履歴の確認がしやすいのが特徴です。
プロジェクトの規模やチームの作業スタイルに応じて、中央集権型のTFVCか、分散型のGitを選択することができます。
クラスと変数を理解したコード検索機能
次のようなコード検索機能も提供されています。
- セマンティック検索:
クラス、メソッド、変数などの定義や参照を検索できます。
- シンボル検索
特定のシンボル(例えば、変数やメソッドの名前)を検索して、その使用箇所や定義を素早く特定してくれます。
- フィルタリング
言語、ファイルの種類、特定の修正者などで検索結果を絞り込むことができます。
- インテリセンスとの統合
インテリセンスは、開発者がIDEでコードを書く際に補完候補やシンボル情報を表示する機能ですが、Azure Reposのコード検索機能と連携しています。
これらの機能を活用することで、大規模なプロジェクトや複雑なコードベースでも、効率的にコードを探すことができるのです。
Azure Reposの使い方
では、さっそくAzure Reposを使って行きましょう。Gitベースのフローについてここでは紹介します。
流れは、次の通りです。
- リポジトリの作成と初期化
- ブランチの作成と管理
- コードのプッシュとプル
- プルリクエストとコードレビュー
リポジトリの作成と初期化
ここでは以下の2つを行います。
- リポジトリを作成:プロジェクト内に新しいリポジトリを作成し、ソースコードを管理する場所を設定します。
- 初期化:リポジトリの初期設定を行い、必要に応じてREADMEや.gitignoreファイルを作成し、基本的な設定を整えます。
- まず、Azure DevOpsにアクセスします。

Azure DevOps画面
- Azure DevOpsにサインインできたら、新しいプロジェクトを作成をします。画面上部の「New Project」をクリックします。

New Projectクリック
-
設定画面で名前や設定を入力し、[Create]をクリックしてプロジェクトを作成します。

Createボタン
-
Reposセクションをクリックします。ここで、リポジトリの管理を行います。

Reposセクション
-
「Repos」セクションで、上にあるプロジェクト名を選択し、「New Repository」ボタンをクリックします。

New Repositoryボタン
-
以下の入力画面を入力し、「Create」ボタンをクリックしてリポジトリを作成します。

New Repository入力画面
これで、リポジトリが初期化され、プロジェクトのコードを追加したり、管理する準備が整います。
ブランチの作成と管理
ここでは、次のような設定をします。
- ブランチの作成:開発者が同時に別々の作業を進めるために、新しいブランチ(コードの分岐)を作成します。通常、mainブランチから派生させます。
- ブランチの管理:作成したブランチでの作業が終わったら、メインのブランチと統合するために、他の開発者と協力してブランチの管理を行います。
- リポジトリの上部[main]をクリックします。「Branches」タブを選択したら、①「New branch」をクリックします。

New branchボタン
2 [Create a branch]に必要事項を入力し、[Create]をクリックします。

Create a branch入力画面
- ブランチの名前を入力します。
- ブランチの元となるベースブランチを選択します。
- ブランチの管理
ブランチが作成された後、左メニューの[Repos]→[Branches]からブランチ一覧を見ることができます。ブランチを選択し、詳細確認ができます。

ブランチ一覧画面
- ブランチの削除やマージは、各ブランチのコンテキストメニューから実行します。
コードのプッシュとプル
次の工程は以下のとおりです。
- 開発者がローカル環境でコードに変更を加えたら、変更をステージングし、コミットします。
- ステージングとは、Gitで行った変更を「次のコミットに含める準備をすること」です。
たとえばファイルを修正したら、それをステージングエリアに追加します。これにより、どのファイルをコミットに含めるかを選択できます。
git add .
このコマンドを使用して、すべての変更をステージングに追加します。
- コミットとは、ステージングされた変更をリポジトリに「記録する」作業です。
git commit -m "コミットメッセージ"
このコマンドを使って、変更内容を記録します。
- コードのプッシュ: git push コマンドを使用してリモートリポジトリ(Azure Reposなど)にその変更を反映します。こうすることで、リポジトリにある他のチームメンバーが変更を共有できるようになります。
git push origin ブランチ名
このコマンドを実行します。
例えば、
git push origin main
で、mainブランチに変更を反映します。
- コードのプル
他の開発者がリモートリポジトリに追加した変更を、自分のローカル環境に取り込むためにgit pull コマンドを使用します。
git pull origin ブランチ名
このコマンドを使って、リモートリポジトリの変更をローカルに取り込みます。
例えば、
git pull origin main
で、リモートのmainブランチの最新の状態をローカルに取得します。
プルリクエストとコードレビュー
その後、プルリクエストとコードレビューを行います。
プルリクエスト
新しい機能や修正をブランチで開発し終えた後、メインブランチに統合するためのリクエストを行います。
プルリクエストは、他の開発者にコードの変更を確認してもらうための仕組みであり、チームメンバー間でのコミュニケーションの手段となります。
↓
コードレビュー(確認)
プルリクエストを作成すると、他の開発者がそのコードを確認し、問題がないかをチェックします。バグや改善点が指摘された場合、コードを修正し、再度プッシュしてレビューを繰り返します。
↓
コードレビューが完了し、全てのフィードバックが解決されたら、プルリクエストを承認し、ブランチをメインブランチにマージします。
こうして、リモートリポジトリのメインブランチに変更が統合され、最新の状態になります。
Azure Reposのメリット
ここで、Azure Reposを使うことで得られるメリットを、説明していきます。
プライベートリポジトリの無制限利用
Azure Reposはプライベートリポジトリを無制限に利用できるため、以下のような面で大きなメリットがあります。
- セキュリティ
特定の開発チームやユーザーだけがアクセスできる非公開のリポジトリを作成できるので、機密性の高いコードやデータを外部に漏れることなく、安全に管理できます。
- スケーラビリティ
プロジェクト数に制限がないため、リポジトリ数を気にせずどんどん新しいプロジェクトを追加できます。
- コスト効率
多数のプライベートリポジトリを追加料金なしで利用できるため、コストを気にせず開発を進められます。
修正履歴の詳細管理
コードの変更履歴をしっかりと管理してくれるので、以下のようなメリットがあります。
-
トレーサビリティ
すべてのコード変更に対して、誰がいつ何を変更したかの詳細な記録を保持し、後から追跡できるようにします。
-
監査対応
コンプライアンス要件に応じて、修正履歴を保存し、監査に対応できるようにします。こうした履歴は履歴管理で確認することができます。
-
ロールバック
問題が発生した際に、簡単に過去のバージョンに戻すことが可能です。
プロジェクトに合わせたリポジトリの選択が可能
プロジェクトに合わせたリポジトリの選択が可能なことから、次のような利点もあります。
-
柔軟性
Azure Reposでは、Git(分散型)とTFVC(中央集権型)の2種類のバージョン管理システムから選択できます。プロジェクトの要件やチームの開発スタイルに合わせて、最適なシステムを選べる柔軟性があります。 -
既存システムとの互換性
既に使用している開発プロセスやツールとの統合がしやすく、プロジェクトにスムーズに組み込むことができます。 -
学習曲線の最小化
チームの経験に応じて、最適なバージョン管理システムを選択できるため、学習の負担が軽減されます。たとえば、Gitに慣れたチームはGitを選択し、中央集権型の運用に慣れたチームはTFVCを選択するといった形で、既存の開発スタイルに合わせやすくなります。
Azure Pipelinesの利用
Azure Pipelinesは、Azure Reposに保存されたコードが更新された際に自動でビルドやテストを実行し、その結果を基に本番環境へ自動デプロイするプロセスを支援します。
つまり、Azure Reposがコードの管理と保存を行い、Azure Pipelinesがビルドからテスト、デプロイまでの流れを自動化する、という役割分担でCIやリリース運用を組み立てやすくなります。

Azure Pipelinesイメージ
Azure Pipelinesを利用することで、次のようなメリットもあります。
-
スムーズな統合
Azure Pipelinesを利用すると、コードの変更が発生した際に自動的にビルドやデプロイが行われる一貫したフローを構築できます。
-
品質管理
コードが変更されるたびに自動テストを実行し、問題を早期に検出してくれます。
-
迅速なフィードバック
開発者は、コードの変更後に迅速にビルド結果やテスト結果を確認できるため、修正が必要な箇所を早期に把握できます。
Azure Reposの料金
では、ここでAzure Reposの気になる料金について見ていきましょう。
Azure DevOpsでは、一定数のユーザーまでは無料で利用でき、基本機能が提供されています。
ただし、具体的な料金や条件は契約形態や改定により変わるため、最新の公式ページを前提に確認することが重要です。
運用開始後のコスト可視化には、Cost Managementの考え方も役立ちます。
➡️Microsoft Cost Managementとは?主要機能や使い方をわかりやすく解説
無料プランの特徴
- 無料枠の範囲で、Azure Reposの基本機能を試せます。
- チーム運用では、ユーザーの権限設計とブランチポリシーを先に決めておくと運用が安定します。
有料プランの考え方
無料枠を超える場合は、有料プランの検討が必要になります。代表的なプランとしてBasicなどがあります。
見積もりは、次の手順で進めるのがおすすめです。
- 使いたい機能を整理する(Repos、Pipelines、Boardsなど)。
- 利用ユーザーの範囲を定義する(開発者、レビュー担当、関係者など)。
- 公式の料金ページで、無料枠と有料枠の条件を確認する。
- 運用開始後は、コスト管理の仕組みで利用状況を可視化する。
最新情報は公式ページで確認してください。 https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/devops/azure-devops-services/
Azure Reposの活用場面
では、Azure Reposはどのような場面で活用されるでしょうか。以下具体的場面を紹介します。
Azure Reposの活用場面
Azure Reposは以下のような場面で活躍するでしょう。
-
大規模なソフトウェア開発プロジェクト
複数の開発者が同時に作業できるよう、GitやTFVCの高度なバージョン管理機能を提供し、コードの変更履歴を追跡できます。無制限のリポジトリで、プロジェクトが大規模になっても対応可能です。
-
地理的に分散したチームでの共同開発
クラウド上での共同作業が可能なため、世界中のどこにいてもチーム全体がアクセスして作業できます。プルリクエストやコードレビュー機能により、チーム内のコミュニケーションをスムーズに行えます。
-
セキュリティが重視される企業アプリケーション開発
高度なセキュリティ機能により、アクセス制御や変更履歴の管理が可能で、機密性の高いコードを安全に保管できます。また、監査対応が必要な場合にも履歴を追跡できるため、セキュリティを強化できます。
チーム開発におけるAzure Reposの有用性
Azure Reposは具体的に以下の形で、チーム開発を強力に支援します。
-
コラボレーションをサポート
プルリクエストとコードレビュー機能を使うことで、チーム全体がスムーズに作業を進められます。各メンバーの変更を確認し、レビューを通じてフィードバックが行えます。 -
変更の見える化
コードの変更履歴がわかりやすく、誰がいつどのような変更を行ったかをいつでも確認できます。これにより、開発の透明性が向上します。 -
生産性向上
コードの検索機能やツールとの統合によって、作業が効率化されます。必要なコードやファイルをすぐに見つけられ、作業がスムーズに進みます。 -
品質向上
自動テストやデプロイメントとの連携により、コードの品質管理が容易になります。開発プロセス全体を自動化でき、バグの早期発見が可能です。
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Microsoft環境でのAI活用を徹底解説
Microsoft環境でのAI業務自動化・AIエージェント活用の完全ガイドです。Azure OpenAI、AI Agent Hub、n8nを活用した業務効率化の実践方法を詳しく解説します。
Azure Reposのまとめ
本記事では、Azure Reposの概要、主要な特徴と機能、基本的な使用方法、そのメリットと料金体系について解説しました。
Azure Reposは、Azure DevOpsの中核を成すソースコード管理サービスとして、高度なバージョン管理機能と柔軟なリポジトリ選択肢を提供しています。無制限のプライベートリポジトリ、詳細な修正履歴管理、高度な検索機能、そして他のAzure DevOpsサービスとの緊密な統合により、効率的なチーム開発を実現します。
Azure Reposを活用することで、コード管理の効率を高め、より質の高いソフトウェア開発プロセスを実現してください。
この記事が、皆様のお役に立てたら幸いです。











