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【国別】AI研究に強い大学ランキングを徹底解説!

この記事のポイント

  • AI研究の機関ランキング首位は北京大学。短期・長期ともにトップを維持しており、中国勢の研究力は無視できない
  • 国別ではアメリカが圧倒的首位(AI Index 35.68)。研究機関数142は中国の約5倍で、研究基盤の厚みが段違い
  • 日本は11位で、QSのDS/AI分野トップ100にゼロ校。AI人材育成と研究予算の抜本的拡充が急務
  • AI共同研究のパートナー選定にはAIRankingsの分野別データが有効。集計期間の違いで順位が大きく変わるため必ず確認すべき
  • 米国の民間AI投資は中国の約12倍(1,090億ドル対93億ドル)。長期的に投資規模がランキングに影響するため、投資動向のウォッチが不可欠
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


AI研究の世界では、米中を中心に各国の大学・研究機関が激しい競争を繰り広げています。どの機関が最先端を走り、どの国がAI研究をリードしているのか——その全体像を把握することは、AI活用戦略を考える上で欠かせません。


本記事では、AIRankingsの2024〜2025年データをもとに大学・機関別と国別のランキングを紹介し、アメリカ・中国・日本の代表的な研究事例を解説します。さらに、Stanford HAI AI Index 2025の投資データを交えて、AI研究のグローバルな動向を多角的に分析します。

AI研究ランキングとは

AI(人工知能)は現代の技術革新の中心に位置し、ディープラーニング自然言語処理をはじめとする多様な研究分野で急速な進展を見せています。世界中の大学や研究機関がしのぎを削る中、その研究力を客観的に評価する指標として注目されているのがAI研究ランキングです。

本記事では、AIRankingsが提供するデータを中心に、2024年から2025年にかけてのAI研究ランキングを紹介します。AIRankingsは、主要なAI学会での論文発表データをもとに、著者・研究機関・都市・国など複数の切り口でAI研究力をランキング化しているサイトです。

主な評価指標

AI研究ランキングの評価では、単純な論文数ではなく、研究の質と多様性を反映した指標が使われています。以下の表でAIRankingsの2つの主要指標を整理しました。

指標 概要 特徴
Adjusted Publication 主要AI学会での論文数を共著者数で調整した値 特定の分野に特化した研究力を評価できる
AI Index 複数のAI分野のAdjusted Publicationの幾何平均 総合的かつ学際的な研究力を評価できる


Adjusted Publicationは特定分野での研究集中度を測るのに適しており、AI Indexはより幅広いAI分野をバランスよくカバーしているかを評価する指標です。本記事では、総合力を反映するAI Indexを基準としたランキングを掲載しています。

ランキングの読み方

AIRankingsでは、集計期間を1年単位や10年単位など柔軟に設定できます。短期間の集計では「今まさに勢いのある機関」が見え、長期間の集計では「蓄積された研究力」が反映されます。同じデータソースでも集計期間によって順位が変わるため、ランキングを読む際はどの期間のデータかを確認することが重要です。

AIの歴史を振り返ると、研究の主導権は時代とともに移り変わってきました。現在のランキングは、その最新のスナップショットにすぎません。

AI研究の大学・機関別ランキング

AI研究において、どの大学・研究機関が世界をリードしているのかを見ていきましょう。ここでは、AIRankingsの2024年上半期データと、2015〜2025年の累積データの両方を紹介します。

研究機関トップ10(2024年上半期)

以下の表は、AIRankingsにおける2024年1月〜6月の研究機関ランキングです。AI Indexの値が高いほど、多様なAI分野で質の高い論文を発表していることを意味します。

研究機関ランキング
2024年研究機関ランキングトップ10

ランキング 研究機関名 国名 著者数 Adjusted Publications AI Index
1 北京大学 中国 34 79.0 3.98
2 浙江大学 中国 27 84.3 3.73
3 清華大学 中国 27 61.1 3.62
4 カーネギーメロン大学 アメリカ 20 47.9 2.68
5 上海交通大学 中国 21 51.6 2.61
6 南洋理工大学 シンガポール 18 54.8 2.53
7 中国科学院 中国 20 46.0 2.47
8 アリゾナ州立大学 アメリカ 9 26.8 2.11
9 オックスフォード大学 イギリス 11 25.5 2.10
10 シンガポール国立大学 シンガポール 16 35.9 2.07

(2024年1月1日〜6月3日確認時点のデータ)


この半年間のデータでは、トップ10のうち5つを中国の機関が占めています。特に北京大学・浙江大学・清華大学がトップ3を独占しており、短期的な研究の勢いでは中国勢の存在感が際立ちます。アメリカからはカーネギーメロン大学(4位)とアリゾナ州立大学(8位)がランクインし、シンガポールからも2校が上位に入っています。

2015〜2025年の累積ランキング

一方、過去10年間(2015〜2025年)の累積データでランキングを見ると、異なる景色が見えてきます。AIRankingsの累積データでは、トップ3は北京大学・カーネギーメロン大学・清華大学の順となっています。

以下は累積ランキングのトップ10です。

ランキング 研究機関名 国名
1 北京大学 中国
2 カーネギーメロン大学 アメリカ
3 清華大学 中国
4 マサチューセッツ工科大学(MIT) アメリカ
5 スタンフォード大学 アメリカ
6 カリフォルニア大学バークレー校 アメリカ
7 浙江大学 中国
8 中国科学院 中国
9 KAIST(韓国科学技術院) 韓国
10 南洋理工大学 シンガポール

(2015〜2025年累積データ、AIRankingsより)


累積データでは、アメリカの名門校(MIT・スタンフォード・UC Berkeley)がトップ6に3校入っており、短期データよりもアメリカの存在感が高くなっています。北京大学は2022年以降、累積ランキングでも1位を維持しており、長期的な研究の蓄積でも中国がトップの座を確立しています。

ランキングから見える研究動向

2つの期間のランキングを比較すると、AIのトレンドとして以下のことが読み取れます。

  • 中国の急成長
    近年の半年〜1年単位のランキングでは中国勢の存在感がさらに高まっており、研究出力の伸びが顕著です。Transformer以降の大規模モデル研究においても、中国の大学は積極的に論文を発表しています。

  • アメリカの厚い研究基盤
    短期ではやや順位を落としていますが、10年累積ではMIT・スタンフォード・UC Berkeleyといった伝統的な名門校が上位を維持しています。長年にわたる研究の蓄積が、アメリカのAI研究の強固な基盤となっています。

  • アジア・欧州の多様性
    シンガポール(南洋理工大学・シンガポール国立大学)、韓国(KAIST)、イギリス(オックスフォード大学)など、米中以外の国々からも上位にランクインしています。AI研究はグローバルに展開されている分野です。

日本最高位の東京大学は22位前後にランクインしていますが、トップ10には届いていません。この差がどのような要因で生じているのかは、後述の「日本のポジション」で詳しく解説します。

AI研究の国別ランキング

大学・機関別のランキングに続いて、国単位でのAI研究力を見ていきましょう。機関別ランキングが個々の大学の研究力を示すのに対し、国別ランキングはその国全体の研究エコシステムの厚みを反映しています。

国別ランキングトップ10

以下の表は、AIRankingsにおける2024年上半期の国別ランキングです。

国ランキング
2024年国ランキングトップ10

ランキング 国名 研究機関数 著者数 Adjusted Publications AI Index
1 アメリカ 142 829 861.3 35.68
2 中国 30 459 788.9 25.62
3 イギリス 37 233 237.0 13.74
4 ドイツ 47 149 176.1 9.58
5 オーストラリア 12 117 143.3 8.82
6 カナダ 24 110 121.7 6.59
7 シンガポール 4 64 107.2 5.05
8 韓国 7 64 104.8 4.50
9 インド 21 62 69.8 3.80
10 スイス 5 30 42.7 3.68

(2024年1月1日〜6月3日確認時点のデータ)


国別ランキングでは、機関別とは異なる構図が見えてきます。アメリカはAI Index 35.68で圧倒的な首位を維持しており、142もの研究機関がAI論文を発表しています。中国は研究機関数こそ30と少ないものの、各機関の研究集中度が高く、AI Index 25.62で2位につけています。

注目すべきは、アメリカの研究機関数(142)が中国(30)の約5倍にのぼる点です。アメリカのAI研究は多くの大学に分散しているのに対し、中国はトップ校に集中する形で高い成果を出しています。

日本のポジション

日本はこのランキングで11位に位置しており、7つの研究機関と50人の著者を擁し、AI Indexは3.03です。トップ10には惜しくも届いていませんが、2025年1月の確認時点では10位に浮上しています。

日本の順位
日本の順位

一方で、日本のAI研究が直面している課題も明確です。QS世界大学ランキング2025の「データサイエンスとAI」分野では、世界トップ100に中国から49校がランクインしているのに対し、日本からの選出はゼロという状況が報じられています。THE世界大学ランキング2026では東京大学が総合26位に入っていますが、AI特化の評価では世界のトップ層との差がまだ大きいのが現状です。

こうした差を埋めるには、AI人材の育成と研究予算の拡充が不可欠です。日本政府は半導体・生成AI分野に2兆円規模の投資計画を発表しており、今後のランキング変動に注目が集まります。

AI研究をリードする主要国の研究事例

ランキングの数字だけでは、各国で実際にどのような研究が行われているのかは見えてきません。ここでは、アメリカ・中国・日本の代表的なAI研究論文を1件ずつ紹介し、それぞれの研究テーマの方向性を具体的に解説します。

アメリカの研究事例

全世界の研究機関別ランキングで4位(アメリカ国内1位)にランクインしたカーネギーメロン大学のKun Zhang氏が、2024年3月に発表した論文「ACAMDA: Improving Data Efficiency in Reinforcement Learning through Guided Counterfactual Data」を紹介します。

この研究では、強化学習のデータ効率を向上させるための新しい手法であるACAMDA(Adversarial Causal Modeling for Data Augmentation)を提案しています。強化学習は、AIが環境と相互作用しながら最適な行動を学ぶ手法ですが、大量のデータが必要になるという課題がありました。

ACAMDAは「反事実データ拡張」と呼ばれるアプローチを活用します。これは、既存のデータをもとに「もし別の行動を取っていたら、結果はどうなったか」という仮想的なシナリオを生成する手法です。これにより、実際のデータ収集コストを抑えながら多様なシナリオを学習できるようになります。

研究の結果、従来手法と比較して少ないデータで高い学習効果が得られ、異なる環境への適応力と汎化性能の向上が確認されました。

Proceedings of the AAAI Conference on Artificial Intelligence

中国の研究事例

研究機関ランキング1位の北京大学からは、Yuxin Peng氏が2024年3月に発表した「Comprehensive Visual Grounding for Video Description」を紹介します。

この研究は、動画内の物体や動作を言葉で正確に表現する「ビデオ記述」の精度を向上させるものです。従来の手法ではフレーム単位の処理に限られていた課題を、動画全体にわたって物体や動作を追跡・リンクする新しいアプローチで解決しています。

成果として、ActivityNet-EntitiesデータセットでCIDErスコア(ビデオ記述の評価指標)が+2.3、MSR-VTTデータセットで+2.2の向上が確認されました。自動運転やロボティクス、医療診断など、映像理解が求められる幅広い分野での応用が期待されています。

Proceedings of the AAAI Conference on Artificial Intelligence

日本の研究事例

東京大学の杉山将氏が2024年2月に発表した「VEC-SBM: Optimal Community Detection with Vectorial Edges Covariates」は、ソーシャルネットワーク分析における新しいアプローチを提案した研究です。

この研究では、確率的ブロックモデル(SBM)を拡張し、ネットワークのエッジ(つながり)に付随するテキストや画像などのベクトル情報を統合する手法を開発しました。従来のコミュニティ検出手法ではこうした付随情報が無視されがちでしたが、VEC-SBMではこれらを活用することで、より精度の高いコミュニティの復元が可能になります。

機械学習理論の観点から、提案手法が情報理論的に最適なコミュニティ検出を実現することが数学的に証明されており、理論と実践の両面で貢献する研究です。

arXiv: VEC-SBM

AI研究ランキングの注意点と活用法

AI研究ランキングは便利な指標ですが、その数字を正しく解釈するにはいくつかの注意点があります。ランキングの限界を理解した上で、ビジネスや研究戦略に活用することが重要です。

注意すべきポイント

ランキングを読み解く際に意識しておくべき主なポイントを整理しました。

  • 集計期間の影響
    前述のとおり、半年間のデータと10年間のデータでは順位が大きく異なります。短期ランキングは「今の勢い」を、長期ランキングは「研究の蓄積」を反映するため、目的に応じて使い分ける必要があります。

  • 学会バイアス
    AIRankingsは主要なAI学会(NeurIPS、ICML、AAAI等)の論文を対象としています。そのため、ジャーナル中心の研究文化を持つ分野や、産業応用に特化した研究は過小評価される傾向があります。

  • 量と質のバランス
    Adjusted Publicationは論文数を基盤としているため、少数でも画期的な論文を発表する機関が過小評価されることがあります。たとえば、OpenAIやGoogle DeepMindといった企業の研究機関はランキングに反映されにくい場合があります。

ビジネスへの示唆

ランキングデータは、企業のAI戦略を考える上で実践的な示唆を与えてくれます。

自社でAI活用を検討する際、どの地域・機関の研究成果が自社の課題に関連するかを見定める手がかりになります。たとえば、コンピュータビジョン分野で共同研究のパートナーを探す場合、その分野に強い機関をランキングから絞り込むことができます。

AI研究の成果を自社に取り入れたいが、どこから手をつけてよいか分からない——そんな状況にある企業は少なくありません。まずは自社の事業に関連するAI研究分野を特定し、ランキング上位の機関が公開している論文やオープンソースプロジェクトを確認するところから始めてみてください。最先端の研究動向を把握するだけでも、社内のAI活用方針の解像度が上がります。

AI研究への投資動向

AI研究ランキングの背景には、各国・企業の研究投資の規模が大きく影響しています。ここでは、Stanford HAI AI Index 2025のデータをもとに、グローバルなAI投資の全体像を確認します。

各国のAI投資額比較

2024年のAI関連の企業投資額は、世界全体で2,523億ドル(約38兆円)に達しました。以下の表で主要国の投資規模を比較しています。

国名 民間AI投資額(2024年) 特徴
アメリカ 1,090億ドル 全世界の約43%を占め、圧倒的首位
中国 93億ドル アメリカの約12分の1だが、政府主導の投資が加速
イギリス 45億ドル 欧州最大の投資国
日本 政府計画:2兆円規模 半導体・生成AI分野に重点投資を計画

(Stanford HAI AI Index Report 2025、2024年データ)


アメリカの民間AI投資額は中国の約12倍、イギリスの約24倍にのぼり、投資規模で見ても米国の優位性は明確です。この投資規模の差が、研究ランキングにおけるアメリカの厚い研究基盤を支えています。

生成AI分野への投資

生成AI分野に限ると、2024年の民間投資額は339億ドルに達し、前年比で18.7%の増加を記録しています。2022年と比較すると約8.5倍の水準です。

企業のAI導入率も急速に拡大しており、2024年にはAIを業務で活用していると回答した企業の割合が78%に達しました。これは2023年の55%から大幅な増加です。AI研究の成果が学術界にとどまらず、産業界で実際に活用される段階に入っていることを示しています。

AI研究への投資と成果は直線的に比例するわけではありませんが、長期的には投資規模がランキングに影響を与える傾向があります。日本が今後のランキングで順位を上げるには、政府と民間の双方で研究投資を拡大し、AGI(汎用人工知能)を見据えた基礎研究にも継続的に資源を配分していくことが求められます。

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まとめ

本記事では、AIRankingsの2024〜2025年データをもとに、AI研究の大学・機関別ランキングと国別ランキングを紹介し、アメリカ・中国・日本の代表的な研究事例を解説しました。

大学・機関別では北京大学が短期・長期ともにトップを維持し、国別ではアメリカが研究機関数と投資規模の両面で圧倒的な存在感を示しています。日本は11位(2025年1月時点では10位)と一定の存在感がありますが、QSのDS/AI分野トップ100に日本の大学が入っていない現状は、改善が求められるポイントです。

Stanford HAI AI Index 2025のデータが示すとおり、AI研究の競争は投資規模とも密接に結びついています。ランキングの数字を「今どこが強いか」の参考にしつつ、自社のAI戦略や共同研究のパートナー選定に活かしていくことが、AI研究の成果を実務に結びつける第一歩となるでしょう。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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