この記事のポイント
Google Cloud中心でAIエージェントを本番運用するならVertex AI Agent Builderが有力候補
ローコードとコード中心開発を併用できる段階導入のしやすさ
ADK・Agent Engine・Cloud API Registryで設計から運用までつなぐ全体像
セッションやMemory Bank課金を含めた費用見積もりの勘所
PoC成功よりデータ接続・権限設計・運用管理が成否を分ける判断軸

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
Vertex AI Agent Builderは、Google Cloud上でAIエージェントを構築・本番運用するための製品群です。2025年4月以降は単一プロダクト名ではなく、ADK、Agent Engine、AI Applications、Cloud API Registryなどを含むスイートを指す言葉として使われています。
本記事では、Vertex AI Agent Builderの現在の位置づけ、主要機能、向いているユースケース、始め方、導入事例、料金体系、他サービスとの違いまでを、2026年4月時点の公式一次情報をもとに整理します。
目次
ローコードで試すAgent DesignerとAI Applications
Vertex AI Agent Builderが向いているユースケース
Vertex AI Agent Builderと他サービスの違い
Microsoft Foundry Agent Serviceとの違い
Vertex AI Agent Builderとは
Vertex AI Agent Builderは、Google Cloud公式の製品ページでは「build, scale, and govern your enterprise grade AI agents」と説明され、公式ドキュメントでは本番向けAIエージェントを構築するためのスイートとして位置づけられています。つまり2026年4月時点のVertex AI Agent Builderは、単一のノーコードツールではなく、開発・実行・評価・ガバナンスをまとめて扱うGoogle Cloudのエージェント基盤と理解するのが正確です。
すでにVertex AIを使っている企業にとっては、その上にエージェント実装を載せる入口と考えると分かりやすいです。GeminiやGoogle Cloudのデータ基盤と近い場所でエージェントを育て、本番運用まで持っていけることがこの製品群の価値です。

現在の意味と名称変更
この製品を理解するうえで最初に押さえたいのが、名称の変遷です。Vertex AI Agent Builderのリリースノートによると、2025年4月9日に「Vertex AI Agent Builder」はAIエージェントを構築・配備するためのスイート全体を指す名称へ変わり、従来の同名プロダクトはAI Applicationsへ改称されました。
混同しやすいポイントを整理すると、次の3点です。
- 現在のVertex AI Agent Builder
Google Cloudが提供するエージェント開発スイート全体を指します。ADK、Agent Engine、Agent Designer、Cloud API Registryなどを含む考え方です。
- 旧来の単体プロダクト名としてのAgent Builder
2025年4月以降はAI Applicationsという名称で案内されています。古い記事や動画では、こちらを「Agent Builder」と呼んでいる場合があります。
- 2025年末以降の追加機能
リリースノートでは、2025年12月にAgent DesignerとCloud API Registryがプレビュー公開されたことも案内されています。2026年の現行理解では、ビジュアル設計とガバナンスが前面に出てきています。
この変更を知らずに古い解説を読むと、「検索アプリ作成ツールなのか」「フレームワークなのか」「本番実行基盤なのか」が曖昧になります。今のVertex AI Agent Builderは、それらを横断する上位概念だと整理しておくべきです。
構成要素の全体像

現在の構成は、開発方式ごとの違いで見ると理解しやすくなります。代表的な要素をまとめると、次のとおりです。
| 要素 | 役割 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ADK | コード中心でエージェントやマルチエージェントを作る | 開発チームが細かく制御したい場合 |
| Agent Designer | コンソール上でエージェントを設計・テストする | まずPoCを早く試したい場合 |
| AI Applications | 旧Agent Builder系のアプリ構築機能 | 過去資産や既存UIベースの構成を追う場合 |
| Agent Engine | 本番デプロイ、スケール、セッション、メモリ管理 | エージェントを継続運用したい場合 |
| Cloud API Registry | MCPサーバーやツールの可視化・管理 | ガバナンスや承認フローを整えたい場合 |
要するに、Vertex AI Agent Builderは「作る方法」が1つではありません。最初はビジュアルで試し、価値が見えたらADKで本格実装し、Agent Engineで本番運用に載せるという段階導入がしやすい点が実務上の強みです。
Vertex AI Agent Builderの主な機能
Vertex AI Agent Builderの評価ポイントは、単なるモデル接続ではなく、どこまで本番運用を前提にした機能がまとまっているかです。ここでは、2026年4月時点で特に重要な4つの要素を整理します。

コード中心で作るADK

ADK公式サイトでは、Agent Development Kitを柔軟でモジュール型のエージェント開発フレームワークと説明しつつ、Geminiに最適化されながらもmodel-agnostic、deployment-agnosticだと明記しています。つまりADKは、Google Cloud専用の閉じたSDKではなく、Google寄りの強みを持ちながら、他モデルや他実行先も視野に入れた開発フレームワークです。
実際、ADKはPython、TypeScript、Go、Javaの導線を持ち、ワークフロー、マルチエージェント、ツール連携、評価、ローカル実行、Agent Engineへのデプロイまで一貫した学習導線を用意しています。コードベースで細かく制御したいなら、Google Agent Development Kit(ADK)から入るのが最も自然です。
また、Google Cloudの製品ページでは、ADKで作るだけでなく、LangGraphやCrewAIなど他フレームワークの利用も選択肢として案内されています。Google Cloudに閉じ込められるのではなく、「本番運用だけGoogleに寄せる」という設計も取りやすいです。
ローコードで試すAgent DesignerとAI Applications
一方で、すべての企業が最初からコード中心で始める必要はありません。リリースノートでは、2025年12月19日にAgent DesignerがGoogle Cloudコンソールでプレビュー提供されたと案内されています。これは、エージェントを視覚的に設計し、その場でテストするためのローコード寄りの入口です。
また、2025年4月の名称変更以降、従来の単体プロダクトとしてのAgent BuilderはAI Applicationsという名前で残っています。古いチュートリアルでは「Agent Builderで検索アプリを作る」と説明されていても、現在の用語ではAI ApplicationsやAgent Designerの文脈で読んだほうが誤解しにくいです。
このようにVertex AI Agent Builderは、エンジニア向けのADKだけでなく、企画部門や業務部門がPoCを触りやすい導線も持っています。社内で合意形成を進める段階では、まずローコードで体験を見せ、価値が見えたところでコード化する進め方が現実的です。
本番運用を支えるAgent Engine

本番化の核になるのがAgent Engineです。Google Cloudの製品ページでは、Agent Engineをデプロイ、管理、スケールのためのマネージドサービス群として説明しており、短期メモリと長期メモリ、評価、サンドボックス実行まで扱えるとしています。
PoCでは動くのに本番で止まる原因の多くは、モデルそのものではなく、実行環境と運用です。Agent Engineを使う意味は、エージェントのロジック以外のインフラ管理、スケーリング、セッション管理、監視をGoogle Cloud側に寄せられることにあります。
とくに、長い会話をまたいで文脈を保持したいケースや、コード実行や外部ツール呼び出しを安全に扱いたいケースでは、単なるAPI呼び出し型の実装よりもAgent Engineの価値が出やすいです。逆に、1回限りのFAQ応答だけで十分なら、ここまでの運用基盤は過剰になることもあります。
ガバナンスを担うCloud API Registry
エージェント運用で見落とされがちなのが、「どのツールに触れられるか」を誰が管理するかです。2025年12月19日のGoogle Cloud Blogでは、Cloud API Registryを使ってMCPサーバーやツールを一元管理し、承認済みツールをConsoleやADKから活用しやすくする流れが示されています。
これは、エージェントを増やした瞬間に起きやすいシャドーAI問題への対策でもあります。たとえば、MCP(Model Context Protocol)サーバーや外部APIが乱立すると、どのエージェントが何を呼べるのかが不透明になります。Cloud API Registryがあると、ツールの登録・可視化・統制をまとめて扱いやすくなります。
さらに、製品ページではMCPに加えてA2Aのようなオープンプロトコルも強調されています。Google Cloudだけで完結する閉じた世界ではなく、外部フレームワークや別ベンダーのエージェントとどうつながるかまで視野に入っている点は、他サービスと比較するときの大きな差です。
Vertex AI Agent Builderが向いているユースケース

Vertex AI Agent Builderは万能ではありません。どの企業でも入れれば成果が出るものではなく、向いている条件と向かない条件の差が比較的はっきりしています。
向いているケース
AIエージェントとは何かを押さえたうえで、実務に落としやすいのは次のようなケースです。
- Google CloudのデータやGemini活用を前提にしたい場合
BigQuery、Cloud Storage、Vertex AI Search、Geminiなどをすでに使っているなら、データ接続やガバナンスをGoogle Cloud側でまとめやすくなります。
- 単体チャットではなく、複数ツールをまたぐ業務フローを作りたい場合
ツール呼び出し、検索、メモリ、サンドボックス実行まで含めた設計が必要なとき、単純なチャットAPIよりも相性が良いです。
- PoCの次に本番運用まで見据えている場合
セッション、メモリ、評価、権限、監視を早めに整理したい組織では、最初から運用前提の土台を持つ価値があります。
要するに、Vertex AI Agent Builderは「エージェントを作ってみる」より、「エージェントを継続運用する」課題に強い製品です。社内アシスタント、検索エージェント、業務フロー自動化など、本番を前提にした用途ほど選ぶ意味が大きくなります。
向かないケース
反対に、次のようなケースでは別の選択肢のほうが素直です。
- 単純なチャット体験だけを短期間で出したい場合
検索や会話の高度な制御が不要で、静的なFAQや小規模な社内ボットが目的なら、より軽い構成でも十分です。
- Microsoft 365やTeams、Entraがすでに中核にある場合
認証、配布、社員利用の入口がMicrosoft側にまとまっている企業では、後述するFoundry系のほうが社内実装しやすいことがあります。
- 長期メモリやコード実行を使わず、ランニングコストを極小化したい場合
Agent Engine周辺の課金は、使い方次第でセッションやメモリ保存コストも増えます。軽量なユースケースならオーバースペックになる可能性があります。
この見極めを最初にしておくと、PoCだけ派手で運用に乗らない失敗を避けやすくなります。判断基準は「高機能かどうか」ではなく、自社が本当に必要とする運用要件に合っているかです。
Vertex AI Agent Builderの始め方
ここからは、実際にどこから手を付けるべきかを整理します。Vertex AI Agent Builderは機能が多いため、最初から全部を触るのではなく、対象業務を絞って最小構成で検証するのが基本です。

最小構成の進め方
最初の検証は、次の4段階に分けると進めやすいです。
- まずは1つの業務シナリオを決めます。社内検索、FAQ、ナレッジ参照、簡単な申請補助など、成果を測りやすいテーマに絞るのが安全です。
- 早く動かしたいならAgent Designer、細かく制御したいならADKというように、最初の開発方式を決めます。
- データソースとツールは最初から増やしすぎず、1つのデータ接続と1つのアクションに限定します。ここで複雑化すると評価ができません。
- 価値が見えたらAgent Engineへデプロイし、トレースや評価を回しながら本番化の条件を洗い出します。
この順番にすると、「作れたかどうか」ではなく「運用に耐えるかどうか」を早い段階で確認できます。PoCの成否は派手なデモよりも、対象業務を狭く切って評価軸を先に置けるかで決まりやすいです。
本番化で詰まりやすいポイント
導入初期で止まりやすい論点は、モデル精度よりも周辺設計です。特に気を付けたいのは次の3点です。
- データ接続の責任分界
どのデータを誰の権限で引くのかを曖昧にすると、本番化の直前で止まります。検索精度の前にアクセス設計を決めるべきです。
- ツール呼び出しの統制
MCPサーバーや外部APIを増やすほど、承認済みツールの範囲を明示しないと運用が不安定になります。Cloud API Registryの価値はここにあります。
- PoC評価と本番評価の切り分け
デモで気持ちよく動くことと、本番で再現性があることは別です。応答品質、失敗時の挙動、コスト、監査ログまで含めて見ないと導入判断を誤ります。
つまり、最初の壁は「エージェントが作れないこと」ではありません。作れた後に、データ、権限、運用ルールをどう固定するかが本当の難所です。
Vertex AI Agent Builderの導入事例
導入事例を見ると、Google Cloudがこの製品をどういう課題に当てているかが見えます。2025年12月のGoogle Cloud Blogでは、単なるチャットボットではなく、組織知識やユーザー履歴を使った継続的な業務支援が中心テーマになっています。
Burns & McDonnell
Google Cloud Blogのガバナンス関連記事では、Burns & McDonnellがExperience IQの取り組みの一環として、ADKを用いたAIエージェントを構築し、長年のプロジェクトデータと従業員の経験をリアルタイムの意思決定支援に変えていると紹介されています。
この事例のポイントは、単純なナレッジ検索ではなく、決定論的な業務ルールと確率的な推論を組み合わせて、企業知識を運用資産に変えていることです。エンジニアリング企業のように暗黙知が大きい組織では、特に参考になります。
Payhawk
同じ記事では、PayhawkがMemory Bankを活用し、経費や出張に関するユーザー習慣をエージェントが記憶できるようにした結果、財務系エージェントで申請時間を50%以上削減したと説明しています。
ここから分かるのは、長期メモリがあると「毎回最初から説明するAI」から脱却しやすいということです。ユーザー設定や過去の行動が重要な業務では、単発応答よりもMemory Bankの価値が大きくなります。
Gurunavi
さらに同記事では、Gurunaviが飲食店発見アプリ「UMAME!」でMemory Bankを使い、ユーザーの行動履歴や嗜好を踏まえた提案を行うことで、体験向上が30%以上見込めると述べています。
この事例はBtoC寄りですが、示唆は同じです。エージェントの価値は「その場で答えること」だけではなく、セッションをまたいだ文脈保持によって、次の提案を変えられることにあります。
もし自社でもエージェントを試すなら、まずは「記憶させると価値が上がる情報は何か」を先に定義するのが有効です。そこが曖昧なままメモリ機能を使っても、コストだけ増えて体験改善につながりにくくなります。
Vertex AIの成果を業務実装へ
エージェント開発から運用管理まで整理
Vertex AI Agent BuilderでPoCを作れても、実運用では社内システム連携、権限設計、実行ログ管理まで含めた設計が必要です。AI Agent Hubの資料で、既存のAI基盤を業務フローへつなぐ全体像をご確認ください。
Vertex AI Agent Builderと他サービスの違い

Vertex AI Agent Builderは有力ですが、他クラウドのエージェント基盤と比べてどこが違うかを見ないと導入判断はできません。主要な比較軸を整理すると、次の表になります。
| 観点 | Vertex AI Agent Builder | Microsoft Foundry Agent Service | Amazon Bedrock Agents |
|---|---|---|---|
| 開発スタイル | ADKとAgent Designerを併用 | Prompt agents、Workflow agents、Hosted agents | Action groupsとknowledge bases中心 |
| 実行基盤 | Agent Engineで本番運用 | Foundry側のフルマネージド運用 | AWS側のマネージド運用 |
| ガバナンス | Cloud API Registry、IAM、tracing | Entra、RBAC、ポリシー、レジストリ | IAM、AWS側の権限管理 |
| 向く企業 | GCP、Gemini、Googleデータが中心 | Microsoft 365やTeamsが中心 | AWSと既存業務APIが中心 |
この表から分かるとおり、3つの違いは「性能差」よりも、どのクラウドのデータ・認証・業務導線を軸にするかです。すでに社内標準が固まっているなら、その重心に合わせたほうが運用しやすくなります。
Microsoft Foundry Agent Serviceとの違い
Microsoft Learnの公式ページでは、Foundry Agent Serviceをフルマネージドのエージェント基盤と説明し、no-codeで始めやすいprompt agentsやworkflow agentsに加え、コードベースのhosted agentsも提供すると案内しています。さらに、Teams、Microsoft 365 Copilot、Entra Agent Registryへの公開導線も示されています。
そのため、社内ユーザーの入口がMicrosoft 365で統一されている企業では、Microsoft Foundry Agent Serviceのほうが配布や認証まで含めて自然につながることがあります。逆に、GeminiやGoogle系データを前提にし、オープンフレームワークも組み合わせたいなら、Vertex AI Agent Builderのほうが柔軟です。
Amazon Bedrockとの違い
Amazon Bedrock Agentsの公式ドキュメントでは、エージェントが基盤モデル、データソース、ソフトウェアアプリケーション、会話をオーケストレーションし、API呼び出しやKnowledge Basesを使って処理を進めると説明されています。
Amazon Bedrockは、AWSの周辺サービスや既存APIを業務アクションへ結びつける文脈で強みが出ます。一方、Vertex AI Agent BuilderはADKやA2A、MCP、Cloud API Registryまで含めて「複数エージェントと複数ツールをどう統治するか」が前面に出ているため、オープン性と本番ガバナンスを重視するなら比較優位があります。
導入判断で詰まる論点
最終的な判断は、次の3点に絞ると整理しやすくなります。
- データと認証の重心がどこにあるか
BigQueryやGoogle Cloud IAMが中心ならVertex、TeamsやEntraが中心ならMicrosoft、AWSの業務APIが中心ならBedrockのほうが自然です。
- PoCの速さより本番運用を重視するか
短期検証だけならどのサービスでも成立します。本番で必要になる監視、メモリ、承認済みツール管理まで見据えるなら、運用機能の厚さを優先すべきです。
- 自社でどこまでコードを書きたいか
ローコード主体ならビジュアル導線の使いやすさが重要です。開発チームが主導するなら、ADKのようなコード中心フレームワークの柔軟性が効いてきます。
この3つが決まれば、比較はかなりシンプルになります。もし社内でまだ判断が割れているなら、AIエージェントを企業に導入する全手順のように、技術だけでなく運用体制まで含めて整理するほうが失敗しにくいです。
Vertex AI Agent Builderの料金体系

料金を見るときは、「Vertex AI Agent Builder全体の固定価格」があるわけではなく、実際にはAgent Engine周辺の機能別課金で構成されていると理解する必要があります。特に2026年2月以降は、ランタイム以外にもセッション、メモリ、コード実行のコストを読む必要があります。
料金を構成する要素

Google CloudのVertex AI pricingページでは、Agent Engine関連の課金要素を大きく4つに分けて説明しています。
- Runtime
Agent EngineにデプロイしたエージェントのvCPUとメモリ使用量に応じて課金されます。アイドル時間は課金対象外です。
- Code Execution
サンドボックス上でコードを実行する際のコンピュートとメモリに対する課金です。複雑なツール利用が多いほど影響が出ます。
- Sessions
セッションサービスに保存されたイベント数に応じて課金されます。ユーザー入力、モデル応答、関数呼び出しなどが対象です。
- Memory Bank
保存した記憶の件数と取得した記憶の件数に応じて課金されます。長期メモリを使うほど、この項目が効いてきます。
つまり、費用を左右するのはモデルトークンだけではありません。会話履歴をどれだけ保持するか、コード実行をどこまで使うか、長期メモリを本当に必要とするかが総額に直結します。
2026年4月時点の価格例
2026年4月4日時点で、公式価格ページに掲載されている代表値を整理すると次のとおりです。Agent Engine関連はUSD建てで案内されており、ページ上では明確なリージョン別料金表記は確認できませんでした。
| 項目 | 価格例 | 補足 |
|---|---|---|
| Runtime vCPU | 月50時間まで無料、その後は0.0864ドル/vCPU時間 | プロジェクト単位の無料枠あり |
| Runtime RAM | 月100GiB時間まで無料、その後は0.009ドル/GiB時間 | プロジェクト単位の無料枠あり |
| Code Execution | 0.0864ドル/vCPU時間、0.0090ドル/GiB時間 | 2026年2月11日から課金開始 |
| Sessions | 0.25ドル/1,000イベント保存 | 2026年2月11日から課金開始 |
| Memory Bank保存 | 0.25ドル/1,000メモリ/月 | メモリ生成のLLM費用は別 |
| Memory Bank取得 | 0.50ドル/1,000メモリ取得 | 月1,000件までは無料 |
この表から分かるのは、長期的な会話継続やコード実行を多用するエージェントほど、ランタイム以外の周辺コストが効きやすいということです。逆に、ステートレスな問い合わせ対応や軽い社内検索なら、モデル利用料を除けば比較的読みやすい費用設計にできます。
また、リリースノートでは2026年1月時点で課金開始日の変更も告知されていました。価格は今後も改定余地があるため、見積もり時には最新の価格ページを必ず再確認したほうが安全です。
Vertex AI Agent Builderの検証を業務実装まで進めるなら
Vertex AI Agent Builderは、PoCを作るところまでは比較的進めやすい製品です。ただし、社内システム接続、権限分離、実行ログ、例外時の人手介入まで含めると、エージェント開発そのものより運用設計のほうが難しくなります。
特に、Google Cloud上で作ったエージェントを実際の業務フローへ載せる段階では、「どこから呼び出すか」「誰が使えるか」「どのシステムにどう接続するか」を別途整理しなければ定着しません。ここを曖昧にしたまま本番化すると、使われないPoCで終わりやすくなります。
AI総合研究所のAI Agent Hub資料では、Vertex AIのような既存AI基盤を前提に、業務システム連携、管理ダッシュボード、実行導線の整備をどう進めるかを整理しています。Vertex AI Agent Builderの検証結果を業務実装へつなぐ判断材料としてご確認ください。
Vertex AIの成果を業務実装へ
エージェント開発から運用管理まで整理
Vertex AI Agent BuilderでPoCを作れても、実運用では社内システム連携、権限設計、実行ログ管理まで含めた設計が必要です。AI Agent Hubの資料で、既存のAI基盤を業務フローへつなぐ全体像をご確認ください。
Vertex AI Agent Builderのまとめ
Vertex AI Agent Builderは、2026年4月時点では単体ツールではなく、ADK、Agent Engine、Agent Designer、Cloud API Registryなどを含むエージェント構築スイートとして理解するのが正確です。Google CloudやGeminiを軸にエージェントを本番運用したい企業にとっては、有力な第一候補になります。
一方で、重要なのは「作れるかどうか」より「運用に載るかどうか」です。自社に合うかを判断するときは、データ接続、権限設計、会話メモリ、ガバナンス、周辺コストまで含めて見極めることをおすすめします。








