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Vertex AIとは?主要機能・料金体系・他Googleサービスとの違いを徹底解説【2025年最新】

この記事のポイント

  • Vertex AIはGoogle Cloudの統合型AIプラットフォームで、機械学習から生成AIまで幅広く対応。
  • AutoMLやカスタムトレーニング、生成AIモデルの統合など、豊富な機能を提供。
  • Google AI Studioとの違いを理解し、段階的な移行アプローチを推奨。
  • セキュリティやコスト管理のポイントを押さえ、効果的な活用方法を提案。
  • Veo 3など最新機能を活用し、動画生成などの新しい可能性を探る。
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


AIをビジネスやアプリ開発に活用したい企業にとって、Google Cloudの「Vertex AI」は欠かせない存在です。本記事では、Vertex AIの概要と使い方、Google AI Studioとの違いをわかりやすく解説し、導入を検討するうえで必要なポイントを網羅します。

AI総合研究所では、企業のAI導入支援を行っています。
お気軽にご相談ください

Vertex AIとは?

Vertex AIとは、Google Cloudが提供する、機械学習(ML)と生成AIの開発から運用(MLOps)まで、AIプロジェクトの全ライフサイクルを単一のインターフェースで支援するフルマネージドの統合プラットフォームです。

データの準備、モデルの構築、トレーニング、デプロイ、そして本番環境での監視・管理といった一連の複雑なプロセスをシームレスに連携させることで、AI開発の効率を飛躍的に向上させます。

もともとGoogle Cloudには、コーディング不要でモデルを構築できる「AutoML」と、専門家向けの「AI Platform」という2つのサービスが存在しました。Vertex AIはこれらを統合し、AI活用の間口を広げつつ(ノーコード)、専門家が求める高度な要求にも応える(プロコード)、懐の深いプラットフォームとして2021年5月に登場しました。

MLプラットフォームから「統合AIプラットフォーム」への進化

リリース当初は予測分析などの伝統的な機械学習が中心でしたが、近年の生成AIの急速な発展を受け、Vertex AIはその役割を大きく進化させています。

2021年〜2023年: 機械学習中心の時代

*   AutoMLによる画像・テキスト・表形式データの分析
*   カスタムモデルのトレーニングとデプロイ
*   Feature StoreやModel Monitoringなどの基本的なMLOps機能

2023年〜現在: 統合型AIプラットフォームへ

  • 生成AIのネイティブ統合:
    Gemini、Imagen(画像生成)、Veo(動画生成)といったGoogle最先端の基盤モデルをAPI経由で利用可能に。

  • Model Gardenの拡充:
    Google製モデルに加え、Meta社のLlamaやAnthropic社のClaudeなど、200以上のオープンソースおよびサードパーティ製モデルへのアクセスを提供。

  • 開発環境の強化:
    Jupyterノートブック環境であるColabのエンタープライズ版「Colab Enterprise」を統合し、セキュリティと管理性を向上。


この進化により、Vertex AIは単なるML基盤ではなく、予測AIと生成AIの両方を、企画から開発、本番運用まで一気通貫で管理できる、企業のAI戦略そのものを支える中核プラットフォームへと変貌を遂げました。

vertex-ai
Vertex AI イメージ


Vertex AIの主要機能

Vertex AIは、AI開発のあらゆるフェーズに対応する包括的なツール群を提供します。ユーザーは自身のスキルレベルやプロジェクトの目的に応じて、これらの機能を自由に組み合わせることができます。

【ノーコード開発】AutoML

AutoMLは、コーディングを一切行わずに、画像、テキスト、表形式データなどから高精度なカスタム機械学習モデルを自動で構築する機能です。

データサイエンティストではないビジネス担当者でも、迅速にPoC(概念実証)を進めたり、AI活用の可能性を探ったりすることができます。

参考:AutoML 初心者向けガイド

カスタム開発:カスタムトレーニング

データサイエンティストやMLエンジニア向けに、TensorFlowやPyTorchといった任意のフレームワークで、独自のモデルを柔軟に開発・トレーニングできる環境を提供します。

Googleの強力なインフラ(GPU/TPU)を活用し、他では難しい大規模な分散学習も実行可能です。

【生成AI】「Model Garden」と「Generative AI on Vertex AI」

Vertex AIは、Googleの最新鋭の生成AIモデルを活用するための中心的なハブです。

Model Garden:

Gemini(テキスト・画像)、Imagen(画像生成)、Veo(動画生成)といったGoogle製モデルに加え、200以上ものオープンソースやサードパーティ製モデルを集約したカタログです。

ここから目的に合ったモデルを選び、チューニングやデプロイを簡単に行えます。
Model Gardenの画面
Model Gardenの利用画面

Vertex AI Studio:

Model Gardenで選んだモデルを、実際に手元で試行錯誤するための「インタラクティブな作業場(UI)」です。

このStudio上で、プロンプトの設計と比較、パラメータの調整、さらには自社データを使ったファインチューニングといった、モデルの性能を最大限に引き出すための作業を行います。

Vertex AI Studio
Vertex AI Studioの利用画面

MLOps:AI開発の自動化と品質管理

AIモデルを一度作って終わりではなく、継続的に価値を創出し続けるための運用(MLOps)機能が充実しています。

  • Vertex AI Pipelines:
    データの取り込みからモデルのデプロイ、監視までの一連の流れを自動化し、開発プロセスの信頼性と再現性を担保します。

  • Model Registry / Monitoring:
    開発したモデルのバージョンを一元管理し、本番環境で稼働中のモデルの性能を自動で監視。入力データの傾向変化(ドリフト)などを検知し、モデルの再学習が必要なタイミングを通知します。

ml-workflow
Vertex AI上でのMLワークフローイメージ

統合開発環境:Vertex AI Workbench

Jupyterノートブックをベースとした、AI開発のための統合開発環境です。

Google Colabのエンタープライズ版である「Colab Enterprise」も含まれており、Google Cloudの強力なセキュリティ機能と連携し、安全なデータアクセスとチームでの共同開発を実現します。

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Vertex AIから利用できるColabのイメージ

統合プラットフォームとしての価値

Vertex AIの真の価値は、これらの機能が独立して存在するのではなく、シームレスに連携できる点にあります。
例えば、以下のような統合的な活用が可能です。

  • Model GardenからGeminiモデルを選択し、独自データでファインチューニング
  • Colab Enterprise(Vertex AI Workbench)で開発したコードをそのままカスタムトレーニングで実行
  • AutoMLで作成したモデルとLLMを組み合わせた高度なアプリケーションの構築
  • すべてのワークフローをVertex AI Pipelinesで自動化

プロトタイピングから本番運用へ:Google AI Studioとの連携

Vertex AIのエコシステムを理解する上で、無料のプロトタイピングツール「Google AI Studio」との関係性を知ることは非常に重要です。

「実験場」と「工場」:両者の役割分担

両者の関係は、「アイデアを試すための無料の実験場(Google AI Studio)」と、「価値が証明されたアイデアを、ビジネスとしてスケールさせるための本格的な工場(Vertex AI)」に例えることができます。

比較項目 Google AI Studio (実験場) Vertex AI (工場)
目的 アイデアの迅速な検証、プロンプトの試行錯誤 本番環境でのアプリケーション開発・運用
料金 無料(利用回数制限あり) 従量課金制
機能 生成AIのプロンプト実験に特化 予測AI、生成AI、MLOpsなど包括的
セキュリティ 基本的な認証のみ エンタープライズ水準のセキュリティ

スムーズな移行アプローチ

効果的な開発プロセスとして、以下のような段階的アプローチが推奨されます。

  1. 探索フェーズ (Google AI Studio):
    まずは無料で、生成AIで何ができるのか、どのようなプロンプトが有効かを迅速に検証します。

  2. 開発・PoCフェーズ (Vertex AI):
    アイデアの有効性が確認できたらVertex AIへ移行。社内データと連携させ、セキュリティを確保した環境で本格的な開発を行います。

  3. 本番運用フェーズ (Vertex AI):
    開発したモデルを、MLOpsの仕組みを使って本番環境にデプロイし、継続的な監視と改善を行います。


Google AI Studioで作成したプロンプトは、コードをエクスポートする機能を使って簡単にVertex AIへ移行できるよう設計されており、このスムーズな連携がGoogleのAIプラットフォームの大きな強みです。

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Google AI Studio と Vertex AIの使い分けイメージ


Vertex AIの料金体系

Vertex AIの料金は、利用したツール、ストレージ、コンピューティングリソースに対して支払いが発生する従量課金制です。まずは無料トライアルから始めるのがおすすめです。

主要な課金項目

Vertex AIでは、利用する機能ごとに料金が設定されています。以下に主要なサービスの課金体系の概要を示します。

機能カテゴリ サービス 課金モデル 料金目安(米ドル)
生成AI Imagen(画像生成) 画像入力、テキスト入力、またはカスタムトレーニングに応じて課金 約 $0.0001〜
テキスト・チャット・コード生成 入出力の1,000文字あたりのトークン数に応じて課金 約 $0.0001 / 1,000文字
AutoML 画像データ トレーニングと予測のノード時間あたりで課金 約 $1.375 / ノード時間
動画データ トレーニングと予測のノード時間あたりで課金 約 $0.462 / ノード時間
テキストデータ トレーニングと予測の時間、およびレコード数/ページ数で課金 約 $0.05 / 1時間
カスタム開発 カスタムトレーニング 使用するマシンタイプ(CPU/GPU)と時間に応じて課金 要問い合わせ
開発環境 Vertex AI Notebooks Compute EngineやCloud Storageのリソース使用量に応じて課金 プロダクト参照
MLOps Vertex AI Pipelines パイプラインの実行ごと、および使用リソースに応じて課金 約 $0.03 / 実行

コスト最適化のポイント

効率的なコスト管理のために、以下の実装が重要です。

開発環境は必要な時だけ

Vertex AI Workbench インスタンスやカスタムトレーニング Job は起動中ずっと従量課金されます。
Notebook を閉じるだけでは停止扱いにならないので、コンソールの 「停止」ボタン や Notebook の自動シャットダウン を設定しましょう。

バッチ予測が可能な場合はリアルタイム予測より優先する

レイテンシ要件が厳しくないワークロード(分析ジョブ、オフラインレポート生成など)は Batch Prediction を選ぶと大幅に節約できます。
Gemini など生成 AI APIは、バッチ要求を利用すると、通常のリアルタイムリクエストよりも割引料金が適用されます。

予算アラートを設定し、想定外の課金を防ぐ

Google Cloud Billing の Budgets & Alerts でプロジェクト/アカウント単位の上限額やしきい値(例 : 50 % / 80 % / 100 %)を設定すると、メールや Pub/Sub 経由で即時通知が届きます。
①予算超過時にエンドポイントを自動停止、②Slack に警告投稿なども実装可能です。

また、料金見積もりには、Google Cloud料金計算ツールの活用がおすすめです。
実際の利用パターンに基づいて、月額料金をシミュレーションできます。


Vertex AIと他のGoogle AIサービスとの連携

Vertex AIの価値は、Google Cloudが持つ強力なデータ基盤や各種AIサービスと密接に連携することで、さらに高まります。

Google Colabとの統合

従来、Google Colabは個人向けの無料ノートブック環境として独立していましたが、現在はColab EnterpriseとしてVertex AIに統合されています。
これにより、以下のメリットが得られます。

  • シームレスな開発体験: Colabで開発したコードをそのままVertex AIで実行可能
  • エンタープライズ機能: IAM権限管理、VPC内実行、大規模リソースへのアクセス
  • 統合された課金: Vertex AIの一部として一元的に管理

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Vertex AIから利用できるColabのイメージ

BigQueryとのネイティブ統合

特に、ペタバイト級のデータを扱えるデータウェアハウスBigQueryとのシームレスな連携は、競合に対する大きな優位性となっています。

BigQueryに格納されたデータを移動させることなく、直接Vertex AIのトレーニングデータとして利用できるため、データパイプラインが簡素化され、開発速度が向上します。

その他の主要サービスとの連携例

  • Cloud Storage: データセット、学習済みモデル、予測結果など、あらゆるAI関連アセットの保存場所として標準的に利用されます。
  • Document AI / Vision API: PDFや画像からテキストや構造化データを抽出し、その結果をVertex AIでさらに高度な分析にかける、といったワークフローを構築できます。
  • Looker: Vertex AIで生成した予測結果を、BIツールであるLookerでダッシュボード化し、ビジネス上の意思決定に活用できます。

ml-workflow
Vertex AI上でのMLワークフローイメージ


Vertex AI利用時のポイント

Vertex AIは非常に強力ですが、その価値を最大限に引き出すためには、導入前に以下の点を考慮する必要があります。

1. セキュリティとコンプライアンスの設計

企業の機密データを扱う以上、セキュリティは最優先事項です。Vertex AIが提供するVPC Service Controls(ネットワーク隔離)やIAM(権限管理)といった機能を正しく設定・運用することが不可欠です。

2. 必要なスキルセットの確保

Vertex AIはノーコードから対応しますが、本格的なカスタム開発や運用には専門的なスキルが求められます。機械学習の基本知識、PythonやSQL、そしてMLOpsの概念を理解した人材の確保や育成が成功の鍵となります。

3. MLOpsと継続的な運用体制の構築

AIモデルは「作って終わり」ではありません。市場やデータの変化に対応するため、モデルの性能を監視し、定期的に再学習・更新するMLOpsの体制を初期段階から設計に組み込むことが、プロジェクトの長期的な成功を左右します。

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まとめ

Vertex AIは、単なるツールの集合体ではなく、機械学習から生成AIまでを網羅し、企業のAI活用をエンドツーエンドで支援する戦略的な統合プラットフォームです。その真価は、ノーコードからカスタム開発まで対応する柔軟性、個人の実験から大規模運用までスケールする拡張性、そしてGoogle最新のAIモデルを利用できる先進性が、一つの基盤上でシームレスに統合されている点にあります。

適切な計画、セキュリティ設計、そして運用体制のもとでVertex AIを導入することは、AIがもたらすビジネス価値を最大限に引き出し、持続的な競争優位性を確立するための重要な一手となるでしょう。

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監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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