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Microsoft Copilot Studio導入事例!国内企業の成果と活用パターンを解説

この記事のポイント

  • 社内IT問い合わせの自動化なら、コニカミノルタのように半年で3.6人月削減・運用負荷50%減が現実的な目標値
  • ローコード開発の強みを活かせば、府中市のように2ヶ月弱・正答率90%でAIボットを本番化できる
  • 顧客接点のエージェント化はEnecoの事例が参考になる。3ヶ月で導入し、人的エスカレーション不要の会話を67%に拡大
  • 活用パターンは「問い合わせ自動応答型」「業務エージェント型」「顧客対応型」の3つ。自社の課題に合うパターンから着手するのが最短ルート
  • 料金はCopilot Credits制。M365 Copilotライセンスがあれば追加コスト最小で始められるため、既存ライセンスの棚卸しが第一歩
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


Microsoftのローコード AIエージェント開発基盤「Microsoft Copilot Studio」を、実際にどのような組織がどう活用しているのか。
2026年3月時点で230,000以上の組織がCopilot Studioを採用しており、社内FAQ、顧客対応、業務自動化など幅広い領域でAIエージェントの構築が進んでいます。

本記事では、Microsoft公式のカスタマーストーリーを中心に国内4社・海外4社の導入事例を紹介し、各社の課題と成果、活用パターン、他ツールとの比較、料金体系、導入のステップまでを体系的に解説します。

✅Copilot Studioの機能や基本的な使い方については、以下の記事をご覧ください。
Microsoft Copilot Studioとは?できることや使い方、料金体系を解説!

Microsoft Copilot Studioの採用動向

Microsoft Copilot Studioの導入事例とは

Microsoft Copilot Studioは、AIエージェントをローコードで構築・公開できるMicrosoftの開発基盤です。Teams、Webサイト、モバイルアプリなど複数チャネルにエージェントを展開でき、社内業務から顧客対応まで幅広い用途に対応します。

2026年3月時点で、Copilot Studioを採用した組織は230,000以上に達しています。Power Virtual Agentsからの統合(2023年11月)以降、生成AIオーケストレーション機能の追加やCopilot Credits課金モデルへの移行を経て、企業のAIエージェント基盤としての採用が加速しています。

国内でも、ITサービス・製造・教育・自治体など幅広い業界で導入事例が公開されるようになりました。AI総研の導入支援の現場でも、2025年後半からCopilot Studioに関する相談が明らかに増えています。


Microsoft Copilot Studioの国内導入事例4選

Microsoft Copilot Studioの国内導入事例4選

ここでは、Microsoft公式のカスタマーストーリーやパートナー公開事例をもとに、国内4社の導入事例を紹介します。

以下の表で、4社の業界・導入内容・主な成果を一覧で整理しました。

企業名 業界 導入内容 主な成果
SCSK ITサービス 業務支援エージェント3種 約3ヶ月で3エージェント開発、ライセンス3,000→7,000に拡大
コニカミノルタ 製造・光学 社内IT問い合わせエージェント 半年で3.6人月削減、2,500件対応、運用負荷50%軽減
ベネッセ 教育 社内相談AI(コンプライアンス) 750ページの社内資料をソースに本番化
府中市 自治体 AIサイト内検索ボット 2ヶ月弱で構築、正答率90%、約350名でテスト


4社に共通するのは、既存の問い合わせ・検索業務の非効率を解決するためにCopilot Studioを採用している点です。いずれもローコード開発の強みを活かし、数ヶ月以内でエージェントの開発・検証を完了しています。

それぞれの事例を詳しく見ていきます。


【SCSK】業務支援エージェント3種を3ヶ月で開発

SCSKの導入概要

企業概要

住友商事グループのシステムインテグレーターであるSCSK(従業員10,000名以上)は、製造・金融など幅広い業界に先進技術を活用したシステム・サービスを提供しています。

課題

SCSKではMicrosoft 365 Copilotを全社導入していましたが、社員の約8割が検索エンジンの延長として使うにとどまっていました。

  • 高度なプロンプト作成スキルの習得が新たな負荷となり、生成AIの本格活用が進まない
  • 日常業務の省力化・高度化に直結するユースケースが見えていない



クラウドサービス事業本部副本部長の佐藤利宏氏は、「業務の負荷を軽減するために、高度なプロンプトの作成スキルの習得という新たな負荷が発生するジレンマは、生成AIの活用を妨げる要因となり得ます」と述べています

ソリューション

この課題に対してSCSKが選んだアプローチは、プロンプト技術の教育ではなく「業務に特化したエージェントの構築」です。Copilot Studioを使い、約3ヶ月で以下の3つのエージェントを開発しました。

  • 提案書レビューエージェント
    セルフレビュー、上長レビュー、アイデア整理の3モードに対応。提案書の品質を属人化させないための仕組み

  • メンバー情報共有エージェント
    メンバーからの情報共有をTeams上で自動化。手動での報告作成を不要にした

  • 活動把握エージェント
    メンバーの活動状況をTeams会議データやSharePoint Onlineから自動集約し、マネージャーの把握工数を削減



開発を担当した福田美貴氏は「期待に応じた成果が出なければ使われなくなってしまう。マイクロソフトさんも含めて議論を重ねながら作り上げていきました」と語っています。

成果

  • Microsoft 365 Copilotのライセンスを3,000→7,000に拡大(実供与5,000以上)
  • 約3ヶ月という短期間で3つのエージェントを開発・効果検証
  • 社内コンテストには約100名が応募し、AIエージェント活用の機運が全社に拡大



SCSKの事例が示すのは、Copilot Studioが「プロンプトのスキル差」という生成AI活用の根本課題を、業務特化型エージェントの構築という形で解消できるという点です。エージェントに業務知識を組み込むことで、ユーザーはプロンプトを意識せず高度なAI支援を受けられるようになります。

参考:Copilot エージェントによる自社業務課題解決と外販サービス化を推進。Microsoft 365 Copilot の全社導入に舵を切ったSCSK の AI 活用


【コニカミノルタ】社内IT問い合わせを半年で3.6人月削減

コニカミノルタの導入概要

企業概要

光学技術とデジタルソリューションを軸にグローバル展開するコニカミノルタは、印刷機・産業用計測・医療機器などの事業で約1万名規模の社員を擁しています。

課題

社内IT問い合わせ窓口として運用していたチャットボット「リテラ」に、3つの課題が生じていました。

  • 専用の回答データベースを手動でメンテナンスしており、運用負荷が高い
  • 情報更新にタイムラグが発生し、最新の社内ルールを反映できていない
  • 一問一答形式のため、複数の情報を横断した回答ができない



加えて、リテラの基盤であったMicrosoft Q&A Makerがサービス終了予定となり、基盤そのものの移行が必要な状況でした。

ソリューション

コニカミノルタはCopilot Studioを採用し、新「リテラ」としてAIエージェントを再構築しました。パートナーとしてコムチュアが構築を支援しています。

新しいリテラの設計上の工夫は以下のとおりです。

  • 社内ポータルの既存情報(FAQ・マニュアルファイル)をナレッジソースとして直接参照。専用データベースの手動メンテナンスが不要に
  • ユーザーがカテゴリを選択する必要がなく、AIが質問の意図を推定して回答
  • 未解決の場合はAIが自動的に有人窓口へメール問い合わせを送信
  • Power BIダッシュボードで利用状況を可視化し、改善サイクルを回す

成果

  • 導入後半年で約2,500件に対応
  • 対応工数を3.6人月削減
  • 運用負荷を50%軽減(手動メンテナンス廃止による効果)
  • 情報反映速度が「手動更新による遅延あり」から1日以内の自動反映に改善



コニカミノルタの事例は、Copilot Studioの生成AIによるナレッジ活用が、従来型チャットボットの「データベース手動更新」という運用コストの最大の問題を根本的に解消できることを示しています。社内ポータルの更新がそのままエージェントに反映される仕組みは、情報の鮮度と運用の両面で大きな改善です。

参考:Copilot Studio導入事例 コニカミノルタ株式会社様


【ベネッセ】750ページの社内資料からコンプライアンス相談AIを構築

ベネッセの導入概要

企業概要

教育・生活事業を展開するベネッセホールディングスは、生成AIの社内活用に早期から取り組み、業務改善コンテストを通じたボトムアップのAI導入を推進しています。

課題

新規事業や企画を立ち上げる際、経理・財務・法務・情報セキュリティなど複数部門へのコンプライアンス確認が必要で、社内では「新事業発足の足かせ」になっていました。

当初はオリジナル開発のAIチャットボットで対応を試みましたが、新規データセットの再投入やログ分析の反映をクイックに行うのが難しく、改善のサイクルが回らない状態でした。

ソリューション

社内の業務改善コンテストから生まれたアイデアを基に、Copilot Studioで社内相談AIを構築しました。

  • 750ページ分の各部門マニュアル(経理・法務・情報セキュリティ等)をナレッジソースとして読み込み
  • ノーコードで構築し、FAQ・社内データの追加でカバー率を段階的に向上
  • リソースへのリンク機能で、回答の根拠となる資料に直接アクセス可能に



2024年2月に本番環境をリリースし、社内のコンプライアンス確認の効率化に貢献しています。Copilot Studioへの移行後は「回答精度の良し悪しが具体的にわかるため、改善しやすい」と評価されています

成果

  • 750ページの社内資料を基にしたコンプライアンス相談AIの本番化
  • ノーコード開発により、IT部門以外のスタッフでもナレッジの追加・更新が可能
  • 回答精度の可視化により、継続的な改善サイクルを確立



ベネッセの事例のポイントは、「業務改善コンテスト→プロトタイプ→本番化」というボトムアップの流れでAIエージェントを実用化した点です。経営層のトップダウンではなく、現場の課題認識からスタートしたことで、利用者の納得感が高い導入になっています。

参考:「生成 AI を使う」から「生成 AI を創る」へ 最新の 12 企業活用事例を紹介

バックオフィス業務をAIで自動化 AI Agent Hub

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Microsoft Teams上でAIエージェントが業務を代行

経費精算・請求書処理をAIが自動実行。Microsoft Teams上でAIエージェントが業務を代行し、金融機関レベルのセキュリティで安心導入。


【府中市】2ヶ月弱で市民向けAI検索ボットを構築、正答率90%

府中市の導入概要

企業概要

東京都府中市(人口26万人超)は、2023年に新庁舎「おもや」へ移転し、自治体の情報システム刷新とデジタル化を積極的に推進しています。

課題

府中市は3つの課題を抱えていました。

  • 庁舎窓口の混雑と市民の待ち時間増加
  • 市のホームページ(1万ページ以上)から市民が必要な情報を見つけにくい
  • 職員間の生成AI活用度にばらつきがあり、有用性を具体的に示す必要がある

ソリューション

Copilot Studioを使い、AIサイト内検索ボットを構築しました。市のホームページ全体をナレッジソースとし、市民が自然言語で質問を入力すると的確な回答を返す仕組みです。

開発の特徴は以下のとおりです。

  • FAQ作成やクローラー巡回の待機時間が不要。ホームページの内容をそのまま回答に活用
  • 市民フィードバック用のアンケート機能を搭載し、回答品質の改善に活用
  • ローコードのGUI操作で構築。情報戦略課の野澤岳氏は「前の課でPower Automateを活用していた経験が活きました。GUIが非常にわかりやすく、チャットボットの開発を引き継ぐことができました」と述べています

成果

  • 構築期間は2ヶ月弱
  • 約350名の職員が参加したテストで約1,000件の質問を投げかけ
  • 最終的な**正答率90%**を達成
  • 2025年6月4日に正式公開



府中市の事例は、自治体のような「開発リソースが限られた組織」でも、Copilot Studioのローコード開発であれば短期間でAIエージェントを本番化できることを実証しています。既存のPower Platform経験が活きる点も、Microsoft 365環境を持つ自治体にとって重要な示唆です。

参考:東京都府中市、Microsoft 365 を基盤に AI 活用を推進。市民向けサイト検索 AI チャットボットを約 2 か月で開発し、住民サービスの向上を目指す


Copilot Studio導入事例に見る活用パターン

Copilot Studio導入事例に見る活用パターン

国内4社と後述する海外4社の導入事例を横断的に分析すると、Copilot Studioの活用パターンは大きく3つに分類できます。

以下の表で、各パターンの特徴と該当する事例企業を整理しました。

パターン 主な用途 Copilot Studioの役割 該当事例
問い合わせ自動応答型 社内外の問い合わせ自動応答 既存のナレッジソース(ポータル・マニュアル・Webサイト)から自動回答 コニカミノルタ、ベネッセ、府中市
業務エージェント型 定型業務の省力化・高度化 業務知識を組み込んだ専用エージェントで作業を代行 SCSK、Estée Lauder
顧客対応型 外部顧客へのAI対応 Webサイトやチャットで顧客の質問・予約を支援 Eneco、Holland America Line、Microsoft


それぞれのパターンについて、導入設計のポイントを解説します。

問い合わせ自動応答型(コニカミノルタ・ベネッセ・府中市)

最も導入事例が多いパターンです。既存のナレッジソース(社内ポータル・マニュアル・Webサイト)をCopilot Studioに接続し、社員や市民からの問い合わせにAIが自動回答します。府中市のように市民向け(対外)のケースも含まれます。

このパターンの導入設計で重要な点は以下の3つです。

  • ナレッジソースの品質が回答精度を決める
    府中市はホームページ全体を対象にして正答率90%を達成しましたが、これはページの構造が比較的整理されていたためです。社内マニュアルが散在している場合は、まずナレッジの整理・集約が先決

  • 有人エスカレーションの導線を必ず設計する
    コニカミノルタの新リテラでは、未解決時にAIが自動で有人窓口にメール送信する仕組みを組み込んでいます。「AIが答えられない場合」の受け皿がないと、利用者の信頼を失う

  • 改善サイクルの仕組みを初期から組み込む
    コニカミノルタのPower BIダッシュボード、府中市のフィードバックアンケートなど、利用状況を可視化する仕組みを最初から用意しておくことで、精度改善が自走する

業務エージェント型(SCSK・Estée Lauder)

社内の特定業務に特化したエージェントを構築するパターンです。汎用的なFAQではなく、提案書レビュー(SCSK)や消費者データ分析(Estée Lauder)のように、業務プロセスの一部をエージェントが代行します。

このパターンのポイントは以下のとおりです。

  • 業務プロセスの見直しが前提になる。SCSKでは「Teams会議データを個々のタスクと紐付ける形式に最適化する必要があった」と報告されており、既存の業務フローをそのままエージェント化するのではなく、AIが扱いやすい形に整理し直す工程が必要

  • 効果測定の設計を先行させる。SCSKでは効果検証アンケートを実施し、エージェントの実用性を数値で評価しています。社内向けエージェントは利用が定着しにくいため、効果を可視化して継続利用の動機をつくることが重要

顧客対応型(Eneco・Holland America Line・Microsoft)

外部顧客に直接対応するAIエージェントを構築するパターンです。Webサイトやチャットインターフェイスを通じて、顧客の質問対応・製品案内・予約支援を行います。

このパターンのポイントは以下のとおりです。

  • 既存の顧客接点システムとの統合が鍵。Holland America LineではCRM・予約システム・Bing Search API・Dataverseと連携し、顧客の予約状況に応じたパーソナライズ対応を実現

  • 多言語対応が必要な場合はAzure AI Translatorとの併用が有効。Enecoはベルギーの多言語環境でこの構成を採用し、人的エスカレーションなしで完結する会話を67%に拡大

  • ビジネス成果への直結を測定する。Microsoftの Ask Microsoftでは、エージェント利用者のサインアップ率が非利用者の10倍以上という結果が出ており、顧客対応型は直接的な収益貢献の測定が可能



3つのパターンは排他的ではなく、SCSKのように「問い合わせ自動応答型で小さく始めて、業務エージェント型に発展させる」という段階的な拡張が現実的です。自社の現在の課題に最も合致するパターンから着手し、成果を実証してから範囲を広げることを推奨します。


Microsoft Copilot Studioの海外導入事例

Microsoft Copilot Studioの海外導入事例

国内だけでなく、海外でもCopilot Studioの導入事例が多数公開されています。Microsoft公式の事例一覧から、特に成果が明確な4社を紹介します。

以下の表で代表的な事例をまとめました。

企業名 業界・国 導入内容 主な成果
Eneco エネルギー(ベルギー) 多言語対応の顧客AIエージェント 3ヶ月で導入、月2.4万チャット処理、エスカレーション不要67%
Estée Lauder 化粧品(米国) 消費者データ分析AIエージェント データ収集を数週間→数分に短縮
Holland America Line クルーズ(米国) デジタルコンシェルジュ「Anna」 3ヶ月でMVP構築、週数千件の会話処理
Microsoft IT(米国) Webアシスタント「Ask Microsoft」 レイテンシ最大61%低下、人的エスカレーション最大70%削減


海外事例に共通するのは、定量的な成果の計測が最初から設計に組み込まれている点です。国内事例と比較すると、ビジネスインパクトの数値化がより徹底されています。

Eneco — 3ヶ月で導入、月2.4万チャットを処理

ベルギーの持続可能エネルギー企業Eneco(顧客150万人以上)は、パンデミックやエネルギー価格高騰で通話量がほぼ倍増し、「十分なエージェントがいない」状態に陥りました。既存チャットボットは精度が低く、多くの問い合わせがコールセンターに転送されていました。

Copilot Studioで構築した新AIエージェントは、Azure AIの会話言語理解(CLU)モデルと統合し、意図認識スコア95%以上を実現。月のチャット処理量は10,000件から24,000件に拡大し、ライブエージェントへの転送なしで完結する会話が40%から67%に改善されています。

参考:Eneco moves to Microsoft Copilot Studio to better support over 1.5 million customers

Estée Lauder — データ収集を数週間から数分に

約25ブランドを傘下に持つEstée Lauder Companies(ELC)は、消費者データや市場情報がPDF・PowerPoint・スプレッドシートなど複数形式に分散し、重複調査が頻発していました。

Copilot StudioとAzure OpenAI Serviceで構築したConsumerIQは、自然言語で消費者インサイトを検索・分析できるAIエージェントです。データ収集に要する時間を数週間から数分に短縮し、製品開発チームの市場投入スピードを加速しています。

参考:The Estée Lauder Companies and Microsoft Copilot Studio transform intelligence

Holland America Line — デジタルコンシェルジュ「Anna」

クルーズ大手のHolland America Line(従業員10,000名以上)は、接客センターの負荷を増やさずにパーソナライズされた顧客サポートを実現するため、Copilot Studioで仮想エージェントAnnaを構築しました。

Annaは新規クルーズ予約・既存予約へのサービス追加・一般的な質問対応の3シナリオに対応し、CRM・予約システム・Bing Search APIと連携。週数千件の会話を処理し、「Annaと対話した顧客は、自分に合ったクルーズを見つける可能性が高い」という予約増加の兆候も確認されています。

参考:Holland America Line sees signs of more informed purchasing with Copilot Studio agent

Microsoft — Ask Microsoftでエスカレーション70%削減

Microsoft自身もCopilot Studioを使い、自社Webサイトの顧客支援エージェントAsk Microsoftを構築しています。数百万人が毎日アクセスするMicrosoft.comで、製品情報や価格についての質問に対応します。

現在はAzure・Microsoft 365・価格設定など複数の専門サブエージェントをオーケストレーションする設計に進化し、レイテンシ最大61%低下、人的エスカレーション最大70%削減を達成。Azure製品サイトでは試用版開始が16%増加するなど、直接的な収益貢献も計測されています。

参考:Microsoft uses Copilot Studio to reshape customer experience and drive higher engagement


Microsoft Copilot Studioと他ツールの比較

Microsoft Copilot Studioと他ツールの比較

Copilot Studioの導入を検討する際、他のAIエージェント構築ツールとの比較は欠かせません。

主要ツールの機能比較

以下の表で主要な比較軸を整理しました。

比較項目 Microsoft Copilot Studio Google Dialogflow CX Amazon Lex IBM watsonx Assistant
開発方式 ローコード / GUI中心 ローコード + コード コード + GUI ローコード + コード
生成AI統合 Azure OpenAI / 生成オーケストレーション Vertex AI / Gemini Amazon Bedrock watsonx.ai / Granite
チャネル Teams・Web・モバイル・SharePoint等 Web・電話・メッセンジャー等 Web・電話・Alexa等 Web・電話・メッセンジャー等
Microsoft 365連携 ネイティブ統合 カスタム開発が必要 カスタム開発が必要 カスタム開発が必要
課金モデル Copilot Credits(従量/プリペイド) リクエスト数ベース リクエスト数ベース MAU + AI機能従量
ガバナンス Entra ID / Purview / DLP Google Cloud IAM AWS IAM IBM Cloud IAM


組織タイプ別の選定ガイド

この比較表を読み解くうえで重要なのは、「最も高機能なツール」ではなく自社の既存環境に最も統合しやすいツールを選ぶことです。以下に選定の目安を示します。

  • Microsoft 365 / Azureを既に利用している組織
    Copilot Studioが最も統合性が高い。Teams・SharePointへのネイティブ公開、Entra IDによるシングルサインオン、Dataverseとのデータ連携が既存環境とシームレスにつながる。国内4社の事例はいずれもこのパターン

  • Google Cloud / GCPを中心に運用している組織
    Dialogflow CXが適する。Vertex AIとの統合でGeminiモデルを活用でき、Google Workspaceとの連携も比較的容易

  • AWS環境でAlexaやConnect(コールセンター)と連携したい組織
    Amazon Lexが適する。Amazon Connectとの統合で電話対応のAIエージェントを構築しやすい

  • マルチクラウドで特定ベンダーに依存したくない組織
    IBM watsonx Assistantはマルチクラウド対応を強みとしている。ただし、M365連携は別途開発が必要



AI総研の導入支援の経験では、M365環境がある組織の場合、Copilot Studioでの構築が最も導入コストと期間を抑えられます。前述のSCSK(3ヶ月で3エージェント)、府中市(2ヶ月弱で本番化)の事例が示すように、M365環境との統合が前提にあるからこそのスピード感です。

バックオフィス業務をAIで自動化 AI Agent Hub

AI Agent Hub

Microsoft Teams上でAIエージェントが業務を代行

経費精算・請求書処理をAIが自動実行。Microsoft Teams上でAIエージェントが業務を代行し、金融機関レベルのセキュリティで安心導入。


Microsoft Copilot Studio導入のステップと成功のポイント

Microsoft Copilot Studio導入のステップと成功のポイント

国内4社の導入事例から共通するパターンを抽出すると、Copilot Studioの導入は以下の4ステップで進められています。

1. 課題の特定とユースケースの選定

課題の特定とユースケースの選定

導入の出発点は、現行の業務で最も非効率な問い合わせ・検索業務の特定です。4社の事例では以下のような課題がきっかけになっています。

  • 高度なプロンプトスキルがないと生成AIを活用できない(SCSK)
  • チャットボットのデータベース手動更新が運用を圧迫(コニカミノルタ)
  • 新規事業立ち上げ時のコンプライアンス確認が足かせ(ベネッセ)
  • 市のホームページから市民が情報を見つけられない(府中市)



ユースケースの選定では、「効果が測定しやすく、既存のナレッジソースがある業務」から始めることを推奨します。府中市のように、既にホームページやFAQが整理されている領域なら、ナレッジの新規作成なしで即座にエージェント構築に着手できます。

2. PoCの実施(1〜3ヶ月)

PoCの実施フロー

4社の事例に共通するのは、小さなスコープでPoCを実施し、早期に効果を検証するというアプローチです。

PoCを短期間で完了するためのポイントは以下のとおりです。

  • ナレッジソースは既存資産を活用する ベネッセは既存の社内マニュアル750ページをそのまま投入し、新規のFAQ作成工程を省略
  • テスト参加者を広くとる 府中市は約350名の職員が1,000件の質問を投げかけるテストを実施し、正答率90%を確認してから公開
  • Microsoftの支援を活用する SCSKはMicrosoftとの議論を重ねながらエージェントを作り上げた

3. 本番運用と利用者拡大

本番運用と利用者拡大

PoCの成果が確認されたら、本番環境への移行と利用者拡大を進めます。

  • 改善サイクルの仕組みを整備する コニカミノルタのPower BIダッシュボード、府中市のフィードバックアンケートのように、利用状況の可視化と精度改善のループを組み込む

  • 有人エスカレーションの導線を確保する AIが対応できないケースの受け皿を用意しておかないと、利用者の信頼が早期に損なわれる。コニカミノルタの自動メール転送が好例

  • 社内の成功体験を共有する SCSKでは社内コンテスト(約100名応募)を通じてAIエージェント活用の機運を全社に広げた

4. 段階的な拡張

段階的な拡張の事例

4社に共通するのは、1つの成功事例を起点に活用範囲を段階的に拡大するというアプローチです。

  • SCSK:クラウドサービス事業部→全社展開(ライセンス3,000→7,000)
  • コニカミノルタ:IT問い合わせ→「他の業務領域にも展開」を計画
  • ベネッセ:コンプライアンス相談→他部門のナレッジ活用を検討
  • 府中市:市民向けサイト検索→庁内業務支援への拡張を視野



最初から全社導入を目指すのではなく、1部門で効果を実証し、成功体験を積み重ねながら拡大することが、Copilot Studio導入の成功パターンです。


Microsoft Copilot Studioの料金体系

Microsoft Copilot Studioの料金体系

Copilot Studioの料金はCopilot Creditsによる従量課金が基本です。ここでは導入コストを見積もるための主要な情報を整理します。

Copilot Creditsの消費レート

エージェントが応答やアクションを実行するたびに、その複雑さに応じた数のCopilot Creditsが消費されます。

以下の表で、主要な機能ごとの消費レートを示します。

機能 消費レート
クラシック応答 1 Credit
生成型応答 2 Credits
エージェントアクション 5 Credits
テナントグラフグラウンディング 10 Credits
エージェントフロー(100アクションあたり) 13 Credits



消費レートの読み解き方として重要なのは、エージェントの複雑さによってコストが大きく変わる点です。シンプルなFAQエージェント(クラシック応答中心)と、外部システム連携を含む業務エージェント(アクション+フロー中心)では、月間の消費量に数倍〜十数倍の差が出ます。

課金方式

Copilot Studioの課金方式は、以下の3系統に分かれています。

課金方式 概要 適したケース
Pay-as-you-go(従量課金) Azureサブスクリプションに紐づけて使用量に応じて課金 PoC・小規模運用から始めたい場合
Copilot Studio license(キャパシティパック) テナント単位でCopilot Creditsを一括購入 利用量が予測でき、コストを固定したい場合
Copilot Credit Pre-Purchase Plan Copilot Creditsを事前購入(ボリュームディスカウントあり) 大規模展開でコストを最適化したい場合



これらの課金方式とは別に、Microsoft 365 Copilotライセンスに含まれる利用権があります。M365 Copilotライセンス保有者は、Teams・SharePoint・Copilot Chat上でのエージェント構築・利用について、特定のシナリオで追加のCopilot Credits購入なしに利用できます。

つまり、M365 Copilotライセンスを既に保有している場合は、既存ライセンスの範囲で社内向けエージェントを始められる可能性があります。まず自社のライセンス状況を棚卸しし、追加コストなしで始められる範囲を確認することが第一歩です。

外部チャネル(Webサイト・モバイル等)への公開や大量トラフィックへの対応が必要な場合は、上記いずれかの課金方式でのCopilot Credits購入が必要になります。

▶︎参考:Copilot Studio Licensing Guide(2026年1月版)

【関連記事】
Microsoft Copilot Studioの料金体系!ライセンスの選び方を解説
Microsoft Copilot Studioの使い方!エージェント作成手順を解説


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まとめ

本記事では、Microsoft Copilot Studioの国内導入事例4社を中心に、海外事例、活用パターン、他ツールとの比較、料金体系、導入のステップまでを解説しました。

8社の事例から見えるCopilot Studioの価値は、大きく3つに集約できます。

  • 1. ローコード開発による導入スピード
    府中市が2ヶ月弱で本番化し、SCSKが3ヶ月で3エージェントを開発したように、Copilot Studioのローコード環境は「まず動くものを作って検証する」スピード感を可能にします。Power Platform経験があれば学習コストはさらに低く、府中市の事例では過去のPower Automate経験がそのまま活きています。

  • 2. Microsoft 365環境とのネイティブ統合
    国内4社の事例に共通するのは、Microsoft 365環境や既存のナレッジ資産(社内ポータル・マニュアル・Webサイト)をそのままエージェントの基盤として活用している点です。別途のデータ移行やAPI開発なしにエージェントを構築できることが、短期間での導入を実現しています。

  • 3. 段階的な投資で効果を検証できる構造
    M365 Copilotライセンス保有者は特定のシナリオで追加コストなしに社内向けエージェントを構築でき、スタンドアロンの場合もPAYGやキャパシティパックで小さく始められます。全社一括導入ではなく、1部門での検証から段階的に拡大できるのはCopilot Studioの大きな利点です。



Copilot Studioを採用する組織が230,000を超え、国内でもIT・製造・教育・自治体と業界を問わず導入が進む中、AIエージェントの構築基盤の選定は「最も高機能なツール」ではなく「自社の既存環境と最も統合しやすいツール」で判断することが重要です。

M365環境がある組織であれば、まずはCopilot Studioの使い方ガイドを参考に、社内の身近な問い合わせ業務から小さなPoCを始めてみることをおすすめします。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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