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マテリアルズインフォマティクス(MI)とは?手法・国内事例・データ整備の現実を解説

この記事のポイント

  • MIは記述子・ベイズ最適化・汎用原子ポテンシャル・生成モデルの4手法を組み合わせて材料開発を進めるアプローチ
  • 成否を分けるのはAI手法ではなくデータ整備。過去実験の紙・Excel散在と負例の抜けが最大のボトルネック
  • 国内で導入実績が公表されているMIツールはMI-6 miHub(累計200社)とPFN×ENEOSのMatlantis(150組織超)が代表例
  • 住友化学は13種類・100万通りの原料組み合わせから十数回の実験で好適な組成に到達、NIMSと化学4社の水平連携で汎用AI技術も開発済み
  • 導入はスモールスタート推奨。最初から全社DB整備を目指さず、単一テーマのPoCで成果を出してから横展開する
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

マテリアルズインフォマティクス(Materials Informatics、以下MI)は、材料開発に統計・機械学習・シミュレーションを組み合わせるデータ駆動アプローチの総称です。
実験と勘に頼ってきた材料探索を、既存データからの予測と少数実験の反復に置き換えることで、開発期間とコストを大きく圧縮する手法として、化学・素材・電池・半導体などの産業で本格導入が進んでいます。

本記事では、MIで使われる主な手法、miHubやMatlantisなど国内の主要プラットフォーム、住友化学や村田製作所の国内事例、データ整備の現実と導入ステップ、コスト構造と判断で詰まる論点まで、2026年8月時点の最新情報で整理します。

目次

マテリアルズインフォマティクス(MI)とは

マテリアルズインフォマティクスで使われる主な手法

記述子——材料特徴量の設計

ベイズ最適化——少数実験で最適点を探す

汎用原子ポテンシャル(NNP)——量子化学計算の代替

生成モデル——目的物性から材料を逆設計する

マテリアルズインフォマティクス導入の最大のハードル——データ整備の現実

過去実験データが紙・Excelに散在する現実

メタデータと測定条件の一元化

失敗実験(負例)の資産化

公共DB・社内DB・SaaSの3階建て運用

マテリアルズインフォマティクスの主要プラットフォームと基盤モデル動向

miHub(MI-6)——研究開発DXプラットフォーム

Matlantis——汎用原子レベルシミュレータ

NIMSデータベース——世界最大級の無機材料データベース

材料AIモデル・R&D基盤の動向

スモールスタートで始めるマテリアルズインフォマティクス導入ステップ

Step 1:課題設定とスコープ絞り込み

Step 2:データ整備とベースライン構築

Step 3:手法選定とPoC実装

Step 4:本番運用と横展開

国内企業のマテリアルズインフォマティクス導入事例

住友化学——少数実験による組成最適化と化学MOP連携

村田製作所×NTTデータ数理システム——ベイズ最適化の実践事例

JSR × IBM——化学産業向けAIと基盤モデルの共同研究

(参考)横河電機×ENEOSマテリアル——FKDPPによるプラント制御

マテリアルズインフォマティクスのコスト構造と判断で詰まる論点

コスト内訳——ライセンス・PoC・データ整備・人件費

自社DB整備を先行するか、SaaS即導入か

基盤モデルfine-tuneか、個別モデル構築か

研究者育成、専任採用、外部SIer連携の使い分け

マテリアルズインフォマティクスを材料開発業務の自動化までつなぐなら

まとめ

マテリアルズインフォマティクス(MI)とは

マテリアルズインフォマティクス(Materials Informatics、以下MI)は、材料開発に統計・機械学習・シミュレーションを組み合わせるデータ駆動アプローチの総称です。

実験と勘に頼ってきた材料探索を、既存の実験データ・シミュレーション結果・論文情報から次の候補を予測し、少数の実験で検証する反復プロセスへと置き換える手法として、化学・素材・電池・半導体といった産業で本格導入が進んでいます。


従来の材料開発は、研究者の直感で候補組成を絞り、試作と評価を繰り返してきました。1テーマで数十〜数百の試作、数年の開発期間、多額の材料費と装置時間が典型的なコスト構造です。MIはこの試作回数を数分の一に圧縮し、開発期間を数年から数ヶ月に短縮する手段として2010年代半ばから注目されてきました。

近年は、Google DeepMindのGNoMEが220万の新結晶構造を予測し、Microsoft ResearchのMatterGenが目的物性から材料を逆設計する生成モデルを公開するなど、材料AIモデルの登場でMIの実装レイヤーが大きく変わりつつあります。

マテリアルズインフォマティクスとは

AI Agent Hub1


マテリアルズインフォマティクスで使われる主な手法

MIは単一の手法ではなく、目的と手元のデータ量に応じて複数の手法を組み合わせて使います。実務でよく登場するのは、記述子設計・ベイズ最適化・汎用原子ポテンシャル・生成モデルの4系統です。

以下の表で、4手法の得意な場面と典型的な用途を整理しました。

手法 得意な場面 典型用途
記述子設計 少数〜中規模データで物性予測モデルを構築したい 組成・構造から物性を予測する回帰モデル
ベイズ最適化(BO) 試作1回のコストが高く、探索回数を最小化したい 配合条件・プロセス条件の最適化
汎用原子ポテンシャル(NNP) 量子化学計算の精度を数万倍の速度で得たい 触媒・電池材料の物性シミュレーション
生成モデル 目的物性から結晶構造を逆設計したい 新規材料の候補生成・スクリーニング


この4手法は排他ではなく、実務では組み合わせて使います。たとえば「BOで実験計画を立て、記述子モデルで候補をスクリーニングし、NNPで有望候補を物性計算する」というパイプラインが化学・素材メーカーの典型的なワークフローです。

マテリアルズインフォマティクスで使われる主な手法

各手法の中身を順に見ていきます。

記述子——材料特徴量の設計

**記述子(descriptor)**とは、材料の組成・構造・プロセス条件などを、機械学習モデルが扱える数値ベクトルに変換した特徴量のことです。

MIで機械学習を回すには、まず材料を「モデルが学習できる形」に変換する必要があります。この特徴量設計の巧拙が、モデル精度を最終的に決めます。

記述子


記述子には次のような種類があります。

  • 組成記述子
    元素比率・電気陰性度の平均・原子半径の分散など、組成情報から統計量を計算した特徴量

  • 構造記述子
    結晶構造・分子構造から生成する特徴量。原子間距離のヒストグラム・対称性・ボロノイ多面体の体積などが代表例

  • プロセス記述子
    温度・圧力・時間・原料ロット番号など、製造条件そのものを特徴量として使うもの

  • 物理量記述子
    第一原理計算やCAEシミュレーションから得た中間物理量(バンドギャップ・弾性率・生成エネルギー等)を特徴量に加える

記述子設計の実務的なポイントは、ドメイン知識に基づいて物理的に意味のある特徴量を残すことです。ランダムに数百次元の記述子を投入して精度を上げようとすると、後工程のモデル解釈と検証が破綻します。

MIツールベンダーの多くは、この記述子ライブラリを標準搭載しており、記述子選定を半自動化する機能を提供しています。

ベイズ最適化——少数実験で最適点を探す

**ベイズ最適化(Bayesian Optimization、以下BO)**は、「次にどこを実験すべきか」を確率モデルで提案し、少ない試行回数で最適点を見つける手法です。

実装は多くの場合、ガウス過程回帰などで応答関数の不確かさを保ちながら、獲得関数(Expected Improvement等)で次の実験点を選ぶ形をとります。

試作1回のコストが数十万〜数百万円という材料開発では、実験回数を半減できれば直接キャッシュインパクトになるため、MIで広く使われる手法です。

ベイズ最適化


BOが特に効くのは次のような場面です。

  • 変数が5〜20個程度、それぞれの組み合わせを網羅探索すると数千通り以上になる
  • 試作1回に数日〜数週間・数十万円のコストがかかる
  • 目的物性が非線形で、直感では最適点が予測しにくい

BOの実装は、Meta AI Researchが公開するBoTorchAxが代表的なOSSです。ただし実務ではMI-6のmiHubのようなSaaSに組み込まれた形で使うケースが増えており、後段の「主要プラットフォーム」で詳しく整理します。

汎用原子ポテンシャル(NNP)——量子化学計算の代替

**汎用原子ポテンシャル(Neural Network Potential、以下NNP)**は、機械学習で第一原理計算(DFT)の結果を近似し、量子化学計算を数万倍の速度で実行できるようにした基盤モデルです。

従来、材料の物性を第一原理計算で求めるには、数十〜数百原子系で1計算あたり数時間〜数日を要していました。NNPは適用系に応じてDFTに近い精度の結果を秒〜分単位で返せるため、材料探索の物性計算パートを桁違いに高速化できます。

汎用原子ポテンシャル


2026年時点で代表的な汎用NNPは次の3系統です。

  • PFP(Preferred Networks・ENEOS)
    Preferred Networks開発の汎用原子ポテンシャル。Matlantis PFP v9(2026年7月)で96元素対応・ランタニド/アクチニド追加、r2SCAN計算モードが正式版化。Matlantis株式会社がクラウドサービスとして提供している

  • MACE(学術OSS)
    Cambridge大学のACEsuitが公開する等変ニューラルネットワーク型のNNP。89元素対応のMACE-MP-0、分子〜表面〜材料を横断するMACE-MH-1など、汎用基盤モデルとしてOSSコミュニティで有力な選択肢の1つ

  • UMA・M3GNet系(Meta等)
    Meta AIのUMA(Universal Model for Atoms)や、UC San DiegoのChi Chen・Shyue Ping Ong両氏らによるM3GNetなど、大手研究所・大学発の汎用原子ポテンシャル。分子・触媒・材料を横断するオープンな基盤モデルとして急速に整備されている

NNPを使う実務メリットは、触媒・電池材料・磁性体などで、数千〜数万候補の物性を短時間でスクリーニングできる点にあります。特に電池の電解液・固体電解質開発、燃料電池の触媒探索といった、候補数が多く物性計算がボトルネックになる領域で効きます。

生成モデル——目的物性から材料を逆設計する

生成モデルは、目的物性を指定すると、その物性を満たす候補材料(結晶構造や分子構造)を直接生成するアプローチです。従来の「候補を用意して物性を予測する」順設計とは逆方向の、**逆設計(inverse design)**を可能にします。

Microsoft Researchが2025年1月にNatureで発表したMatterGenは、拡散モデル(DALL-Eなどの画像生成AIと同じ方式を結晶構造用に改造したもの)で新規材料を生成する代表例です。

MatterGenが示すスクリーニング型と生成型の違い
MatterGenが示す従来のスクリーニング(左:既存材料プールから条件に合うものを絞り込む)と、生成型逆設計(右:形状・色などの条件を指定すると候補が湧いてくる)の対比(出典:Microsoft Research

生成モデル


上の対比図が示すように、スクリーニングでは「青い五角形」を探すのに既存プールを全数フィルタする必要があり、プールに存在しなければ発見できません。生成モデルは条件そのものから候補を作り出すため、探索空間の外にある候補にもリーチできます。

MatterGenの実力は、2023年初出のMicrosoft Research発表によれば、従来SOTA(CDVAE)と比較して次のように整理されています。

指標 MatterGen 従来SOTA(CDVAE)
新規かつ安定な構造の生成頻度 2.9倍 基準
エネルギー局所最小点への近さ 17.5倍 近い 基準
高バルク弾性率材料(>400 GPa)の発見数 >250候補 参照データセットで2


この差は、単に「良い候補が2倍出せる」ではなく、探索の起点が根本的に変わることを意味します。物性を指定するだけで候補が湧いてくるため、研究者はスクリーニング段階を大幅に短縮できます。

MatterGenが実際に設計したTaCr2O6は、中国・深圳先進技術研究院との共同研究で実合成に成功し、AIの予測と実物性が近い値を示したことが確認済みです。ソースコードもOSSで公開されており、社内の材料開発チームが自分の物性要件に合わせてfine-tuneできる形になっています。

生成AIによる逆設計はまだ研究〜PoC段階の技術ですが、2026年時点で「候補探索の起点が予測モデルから生成モデルへ移行しつつある」というのが、MI分野で最も大きなパラダイム変化です。


マテリアルズインフォマティクス導入の最大のハードル——データ整備の現実

MI導入で最初にぶつかる壁は、AIの精度でも計算リソースでもなく、社内の実験データが機械学習に使える形で残っていないことです。

新しい手法を試そうとした瞬間に、「そもそも学習させるデータがない」「あってもExcelファイル数百個に散らばっている」「測定条件が統一されていない」という現実が露呈します。SIerとして材料メーカーの導入支援に入る際も、着手前の8割の時間はこのデータ整備の議論に使われるのが実感です。

本セクションでは、MIのデータ整備で詰まる4つの論点と、それぞれの実務的な処方を整理します。

マテリアルズインフォマティクス導入の最大のハードル

過去実験データが紙・Excelに散在する現実

多くの材料メーカーで、過去の実験データは以下のような場所に分散して保管されています。

  • 実験ノート(紙ベース)
  • 研究者個人のExcelファイル
  • 装置に紐づく評価データ(測定装置ローカル・共有フォルダ)
  • 論文・特許・報告書などのドキュメント
  • ラボ管理システム(LIMS)が入っている場合はその中

このうち、機械学習の学習データとして即座に使えるのはLIMSの一部だけで、残りは個人依存で構造化されていない状態にあります。

過去実験データが紙 Excelに散在する現実


JSOL のテックブログでも指摘されているように、材料開発は「限定的でノイズの多いデータ」という宿命を持ちます。1社の1テーマで得られる実験データは数十〜数千件程度が典型的で、画像認識のようにインターネットから何百万件も収集する解決策が使えません。

MI導入の第一歩は、過去実験を洗い出し、機械学習で扱える構造に再整理する作業から始まります。この作業は通常、材料開発の実務経験がある技術者と、データ設計ができるエンジニアの2人以上の協働が必要になります。

メタデータと測定条件の一元化

実験データを集める際に見落とされがちなのが、メタデータ(測定条件・試料調製方法・装置キャリブレーション・使用ロット番号など)の一元化です。

材料開発では、同じ組成の試料でも、加熱速度が違えば結晶構造が変わり、測定湿度が違えば吸水量が変わります。数値だけをExcelに残しても、メタデータが揃っていなければ、後から機械学習に投入した際に「なぜこの数値がバラつくのか」を分析できません。

メタデータと測定条件の一元化


実務で最低限そろえるべきメタデータは、次の4カテゴリです。

  • 試料調製条件
    原料ロット・混合比・加熱プロファイル・焼成雰囲気・粉砕条件など

  • 測定条件
    装置名・測定温度・湿度・キャリブレーション日・測定範囲・スキャン速度など

  • 測定者・日時
    誰がいつ測ったか。同じ装置でも測定者の癖でズレる項目は多い

  • 前工程との紐づけ
    どの試作ロットに対する測定か、複数測定間の対応関係

これらを実験ノートやExcelから拾い集めるのは非現実的です。ELN(Electronic Lab Notebook)やLIMS(Laboratory Information Management System)を導入し、実験計画→試料調製→測定→評価までを1つのシステムで記録する運用に切り替えるのが実務的な処方です。

失敗実験(負例)の資産化

材料開発において、成功データと同じかそれ以上に重要なのが**失敗データ(負例)**です。

MIのモデルは「どの条件で目的物性が得られるか」だけでなく、「どの条件では目的物性が得られないか」を学習することで、探索範囲の偏りを抑え、予測の信頼性を高めやすくなります。ところが多くの現場では、失敗した実験は「うまくいかなかったからノートを閉じる」で終わり、データとして残っていません。

失敗実験の資産化


負例が抜けた状態でMIモデルを構築すると、モデルは「うまくいく方向」しか知らない状態になり、未知領域で予測が偏る可能性があります。

支援経験から言うと、既存の実験ノートを掘り返して負例を復元する作業は、成功データを整理する以上に手間がかかります。導入初期の段階から「失敗実験も同じフォーマットで残す」運用ルールを組織に浸透させることが、後々のモデル精度を大きく左右します。

公共DB・社内DB・SaaSの3階建て運用

社内データだけで機械学習を回そうとすると、多くの場合データ量が足りません。この不足を埋めるのが、公共データベース・社内データベース・SaaS上の学習資産の3階建て運用です。

公共DB 社内DB SaaSの3階建て運用

  • 1階:公共データベース
    NIMS AtomWork(無料版)や有償版のAtomWork-Adv、Materials Project、ICSDなど、公開されている材料DB。無機材料の結晶構造・物性データが数十万〜数百万件規模で揃う。有料契約が必要なDBもあるが、社内データより桁違いに多い

  • 2階:社内データベース
    自社の過去実験・製造ロット・不良履歴。他社にはない独自資産で、モデルの差別化の源泉になる

  • 3階:SaaSプラットフォーム
    miHub・Matlantisなど、記述子ライブラリ・ベイズ最適化・NNPが組み込まれた実行環境。1〜2階のデータを持ち込んで解析する

このうち、1階と3階は購入・契約で導入可能ですが、2階(社内DB)だけは自社で整備するしかありません。MI導入プロジェクトの成否は、2階部分にどれだけ本気でリソースを投下できるかで決まると言って過言ではないです。


マテリアルズインフォマティクスの主要プラットフォームと基盤モデル動向

MIを実務で回すには、記述子設計・BO・NNP・生成モデルを目的に応じて複数の基盤を組み合わせて使う設計が現実的です。国内商用SaaSからOSS基盤モデルまで、選択肢は2026年時点で大きく広がっています。

本セクションでは、国内で導入実績を公表しているmiHub・Matlantisと、公共基盤としてのNIMSデータベース、そしてグローバルで動きが加速している材料AIモデル・R&D基盤の動向を整理します。

マテリアルズインフォマティクスの主要プラットフォームと基盤モデル動向

miHub(MI-6)——研究開発DXプラットフォーム

miHub®は、日本のMI専業スタートアップMI-6が提供する研究開発DXプラットフォームです。

2026年5月時点で導入企業数が200社を突破し、素材・化学・自動車・電池・電子部品など、日本のものづくり企業で幅広く採用されています。

miHub


miHubの特徴は次の3点です。

  • プログラミング不要のUI
    研究者が機械学習の専門知識なしで、実験データの整理から予測モデル構築まで直感的に扱える

  • データ資産化に特化
    実験データだけでなく、テーマ知見・解析結果を組織全体で共有・再利用できる形で蓄積する設計

  • 専門チームの伴走支援
    MI-6は「Hands-on MI」と呼ばれる、材料開発の実務経験者が導入から成果創出までサポートするサービスを別途提供している

料金は非公開で、導入規模とサポート範囲に応じた個別見積もりとなります。支援経験上は、素材メーカーの1〜数チームからスモールスタートするケースが多く見られます(全社展開の内訳はMI-6公式では公表されていません)。

Matlantis——汎用原子レベルシミュレータ

Matlantisは、Preferred NetworksとENEOSが2021年に共同設立した合弁会社(設立時商号 Preferred Computational Chemistry / PFCC、2025年7月にMatlantis株式会社へ商号変更)が提供する、汎用原子レベルシミュレータのクラウドサービスです。

Matlantis PFP v9の主要スペック
Matlantis PFPの主要スペック——シミュレーション速度70M倍・最大対応原子数44k・対応元素96種・クライアント数150+(出典:Matlantis公式

Matlantis


数字で示された「シミュレーション速度7,000万倍」「1 GPU換算の計算量3,200年分」「累計125T原子」といったスペックは、材料計算の物性シミュレーションが単発PoCではなく大規模な探索基盤として実運用されているフェーズにあることを物語ります。

コア技術のNNP「PFP」を使い、量子化学計算を従来比数万倍の速度で実行できます。前述のとおり2026年7月にv9.0.0で96元素対応・r2SCAN計算モード正式版化・ランタニド/アクチニド対応が完了し、レアアース磁石や光通信デバイス向け材料まで対応範囲を拡大しました。


2026年1月にはMatlantis CSP(Crystal Structure Prediction)がリリースされ、指定元素系から未知の安定結晶構造を高速探索する機能が追加されています。

導入企業は世界150組織超で、日本の大手化学・電池メーカーに加え、Hyundai・Volkswagenなど自動車業界でも採用が広がっています。料金体系はサブスク型で公式には非公開ですが、社内で本格利用する場合はサーバ運用込みで年間数百万〜数千万円規模が目安です。

Matlantisは、miHubのように「MIワークフロー全体を扱う」ツールではなく、NNPによる物性計算に特化した基盤という位置づけです。miHubやOSSのBOツールと組み合わせて使うのが実務での典型パターンになります。

NIMSデータベース——世界最大級の無機材料データベース

**NIMS(物質・材料研究機構)**が運営するMatNavi / AtomWorkは、無機材料の結晶構造・物性・相図データを網羅した公共データベースです。

2026年3月更新のAtomWork-Advには、結晶構造+14,923件、XRDパターン+27,696件、物性データ+25,597件、相図+1,229件が追加され、公共DBとして継続的にデータが拡張されています。国内外の材料研究の基盤インフラとして機能しています。


NIMSはさらに、DxMTシンポジウム2026(8月)で「AI for Scienceによるマテリアル開発の革新」をテーマに、材料DBを活用したAI駆動材料開発の最新事例を公開しました。

DxMTシンポジウム2026
NIMSが2026年8月に開催したDxMTシンポジウム。AI for Scienceによるマテリアル開発の革新をテーマに、研究DX・データ駆動型手法による材料開発の最新動向が発表された(出典:NIMS公式

NIMSデータベース


DxMTは文部科学省のマテリアルDX構想の一環として、AtomWork-Advをはじめとする公共DBとAI for Science領域の連携を推進しています。政府主導のMI基盤整備の中心プレイヤーであり、材料AIの国内動向を追う上で最も見ておくべき組織です。

AtomWork-Advは72時間のトライアル後、継続利用・ダウンロードには有償ライセンス契約が必要です。社内DBの補完として、支援先でも有償契約の検討が進んでいます。

材料AIモデル・R&D基盤の動向

グローバルで最もインパクトが大きいのは、材料AIモデル・R&D基盤による材料開発の実装レイヤー変化です。

MatterGenの生成プロセスと条件付け
MatterGenは、ノイズ状態から安定結晶を復元する拡散プロセスに、chemistry(例:Li-Co-O)・symmetry(例:P6₃/mmc)・property(例:磁気密度m=0.15 Å⁻³)の3種類の条件付けを重ねて材料を生成する(出典:Microsoft Research

材料AIモデル R D基盤の動向


上図の下段が示すように、MatterGenは化学組成・空間群・物性の3軸で条件を指定すると、LiCoO₂・Fe₈Nといった具体的な結晶構造を出力できます。この条件付け生成が、下記に並べるモデル・プラットフォーム群の中でも MatterGen を特徴づけるポイントです。

  • MatterGen(Microsoft Research・OSS公開)
    拡散モデルで目的物性から結晶構造を逆設計。前述のとおり従来SOTA比で新規安定構造の生成頻度2.9倍、局所エネルギー最小点への近さ17.5倍

  • Microsoft Discovery(2026年6月GA)
    Discovery Engine+LQM(Large Quantitative Model)+HPCを統合し、文献調査→仮説生成→インシリコ実験→ラボ自動化のR&Dループ全体をAIエージェント群で回す基盤

  • MACE Foundation Models(ACEsuit・OSS)
    89元素対応の汎用NNP。MACE-MH-1は分子・表面・材料化学を横断する統一モデルで、学術系OSSで有力な選択肢の1つ

  • GNoME(Google DeepMind・Nature 2023)
    グラフニューラルネットワークによる結晶構造の安定性予測モデル。220万構造を評価し、380,000が安定候補として公開された。生成モデルではないが、探索・スクリーニングのパートナー技術として位置づけられる

これらのモデル・プラットフォーム群は、自社でゼロから学習させる従来の機械学習ワークフローを大きく変えつつあります。MatterGenやMACEのように重みや手順が公開されているモデルは、事前学習済みモデルを自社データでfine-tuneする活用が試行されており、MACE公式もfine-tuningをexperimentalと位置づけているように精度検証はケースごとに必要ですが、少ないデータで実用領域に届く可能性が広がっています(PFPのようにプロプライエタリなモデルは、fine-tuneではなくクラウド上での利用が中心となります)。

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スモールスタートで始めるマテリアルズインフォマティクス導入ステップ

MI導入で最も失敗しやすいパターンは、「全社のデータ整備を先に完了させてからMIを始める」というアプローチです。データ整備に3年かけているうちに、経営層のMIへの熱量が冷め、プロジェクトが停滞するケースが多く見られます。

実務的な処方は、単一テーマのPoCで先に成果を出し、その手応えを社内展開の推進力にするスモールスタート型です。以下、4ステップに整理します。

スモールスタートで始めるマテリアルズインフォマティクス導入ステップ

Step 1:課題設定とスコープ絞り込み

最初にやるのは、AI手法の選定ではなく課題の絞り込みです。

MI導入プロジェクトが行き詰まる典型パターンは、「材料開発全般をAIで効率化したい」のように課題が広すぎるケースです。この状態では、必要なデータも手法も定まらず、PoCが空回りします。

Step 1 課題設定とスコープ絞り込み


絞り込みの目安は次の3条件を満たすテーマです。

  • 試作1回のコストが高く、試作回数削減の経済効果が明確(例:数十万〜数百万円/回)
  • 過去実験データが数十件程度は残っている(実務経験上、この規模でBOを回すケースが多い)
  • 目的物性が数値で明確に定義できる(例:バンドギャップ○eV以上、引張強度○MPa以上)

このスコープを1テーマに絞り、PoCで実験回数半減や新規材料発見といった目に見える成果を出すことが、次のステップに進む前提条件になります。

Step 2:データ整備とベースライン構築

スコープが定まったら、そのテーマに関する過去実験データを洗い出し、機械学習が扱える形に整備します。

Step 2 データ整備とベースライン構築

やることは大きく3つです。

  • 過去実験の再構造化
    Excel・実験ノートから、組成・プロセス条件・測定結果を統一フォーマットに転記する。実務上は数十件〜100件程度あれば開始できるケースが多い

  • メタデータの補完
    測定条件・試料調製条件・装置ロット・測定者などを、可能な範囲で復元する。完全に揃わなくても「揃っていない項目を明示する」ことが後の分析で効いてくる

  • ベースラインモデルの構築
    線形回帰やランダムフォレストで、まず素直な予測モデルを作る。ここで得た精度が、後のMIモデルの改善余地を測る基準になる

このステップで最も重要なのは、「完璧なデータが揃ってから始める」を捨てることです。数十件のノイジーなデータでもBOを回せる場合があり、そこから追加実験でデータを増やしながら精度を上げる方が現実的です。

Step 3:手法選定とPoC実装

データが揃ったら、テーマに合う手法を選び、PoCを実装します。

Step 3 手法選定とPoC実装

手法選定の目安は次の通りです。

テーマの性質 推奨手法 使うツール例
配合最適化・プロセス条件最適化 ベイズ最適化 miHub・BoTorch・Ax
組成→物性の予測モデル構築 記述子+機械学習回帰 miHub・Python(scikit-learn)
触媒・電池材料の物性計算スクリーニング NNP(汎用原子ポテンシャル) Matlantis・MACE
目的物性からの新規材料候補生成 生成モデル(拡散モデル) MatterGen


PoCの評価基準は「予測精度」だけでなく、**「実験計画にAIの提案が組み込まれた結果、実験回数がどれだけ減ったか」**で見るべきです。精度90%でも実験回数が減らなければ、事業上の意味はありません。

PoC期間は3〜6ヶ月、投資額は数百万〜1,000万円程度が目安です。この規模で成果が出なければ、テーマ選定を見直すのが妥当と考えます。

Step 4:本番運用と横展開

PoCで成果が出たら、本番運用と横展開のフェーズに入ります。ここで詰まるのは、次の3点です。

Step 4 本番運用と横展開

  • モデルの継続学習運用
    新しい実験データが増えたら、モデルを再学習してデプロイし直す仕組みを組む

  • 他テーマへの横展開
    最初のテーマで得たノウハウを、社内の別テーマに適用する。テーマごとにデータ構造が違うため、「1テーマ成功→次テーマも同じ手順でいける」とは限らない

  • 組織的な人材育成
    研究者にPythonやMLの基礎スキルを習得させるか、専任のデータサイエンティストを配置するか。SIerとしての推奨は「研究者側にmiHubのようなノーコードSaaSを提供し、専任データサイエンティストを1〜2名採用」の併用パターンです

本番運用に入って初めて、「1階:公共DB+2階:社内DB+3階:SaaS」の3階建て運用が本当の意味で機能します。PoCフェーズで見えなかった社内DBの弱点が浮上するのもこの段階です。


国内企業のマテリアルズインフォマティクス導入事例

日本の化学・素材・電機業界では、実装・共同研究・人材育成の取り組みが公表事例として複数見られる段階に入っています。ここでは、公式に事例が公開されている代表的な国内事例を3件と、MIに隣接する先進プロセス制御(APC)の代表事例1件を取り上げます。

国内企業のマテリアルズインフォマティクス導入事例

住友化学——少数実験による組成最適化と化学MOP連携

住友化学は、住友化学レポート2020で「13種類・100万通りの原料組み合わせから、十数回の実験で好適な組合せに到達した」MI事例を公開しています。研究者の直感では網羅できない広大な組合せ空間をAIが探索する事例として位置づけられます(公開されているのは事例概要であり、材料名は明示されていません)。

住友化学


さらに住友化学は、NIMS・旭化成・三菱ケミカル・三井化学と共同で化学マテリアルズ・オープン・プラットフォーム(化学MOP)を構築し、最少の実験回数で高い予測精度を与える汎用的AI技術を開発しました。国内化学大手が競合の枠を越えてMI基盤技術を共有する水平連携は、国内MI業界の特徴的な動きです。

2025年4月開始の中期経営計画「DX NEXT empowered by AI」で全社的なAIネイティブ化の方針を掲げ、素材メーカーとしてはAIを本格的な経営基盤の一つに位置づけています。

村田製作所×NTTデータ数理システム——ベイズ最適化の実践事例

NTTデータ数理システムが公開する事例では、村田製作所のMI担当者向けにベイズ最適化の理論と作業手順をレクチャーし、メイクの嗜好(チーク12色×リップ38色)を題材にテスト解析した内容が紹介されています。材料開発への適用を進めるための人材育成・BOハンズオン事例として公開されています。

村田製作所×NTTデータ数理システム

JSR × IBM——化学産業向けAIと基盤モデルの共同研究

JSRは2025年11月にIBMと共同研究契約を締結し、化学産業向けAI・材料開発向け基盤モデル・データ活用プラットフォームの3領域で共同研究を進めています。

対象は半導体材料を含む化学産業全般で、化学産業に特化したAI基盤の整備を進める代表的な取り組みとして注目されています(具体的な適用領域や商用化ロードマップは公式には未公表)。

JSR × IBM

詳細な実装や関連する半導体材料開発の動向は、プロセスウィンドウをAIで最適化する方法|DoE・ベイズ最適化による探索と国内事例で整理しています。

(参考)横河電機×ENEOSマテリアル——FKDPPによるプラント制御

横河電機とENEOSマテリアルの共同事例は、強化学習ベースの制御AI「FKDPP(Factorial Kernel Dynamic Policy Programming)」を、化学プラントのブタジエン蒸留塔制御に世界初適用した事例です。

外気温変動などの外乱下でも蒸気使用量とCO₂排出量を約40%削減する制御を実現し、AI制御が化学プラントで正式採用に至った世界初の事例として公開されています。本記事の主眼であるMI(材料探索)とは領域が異なりますが、化学メーカーで公表されているAI実装の代表事例として、近接領域の参考として紹介します。

横河電機×ENEOSマテリアル

【関連記事】
プロセスウィンドウをAIで最適化する方法|DoE・ベイズ最適化による探索と国内事例【2026年版】

製造業のAI活用事例20選|2025-2026年最新の実導入・大規模AIエージェント展開を解説

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マテリアルズインフォマティクスのコスト構造と判断で詰まる論点

MI導入のコストは、SaaSライセンス費だけでは終わりません。実際の投資額の内訳と、SIerとして支援する中でよく相談を受ける「判断で詰まる論点」を整理します。

マテリアルズインフォマティクスのコスト構造と判断で詰まる論点

コスト内訳——ライセンス・PoC・データ整備・人件費

MI導入で発生する主なコスト項目は次の4つです。miHub・Matlantisなど主要SaaSは公式サイトで料金非公開であり、以下は複数プロジェクト支援での相場感です。

コスト内訳

コスト項目 内訳と目安 発生頻度
SaaSライセンス費 miHub・Matlantis等:年間数百万〜数千万円(規模依存) 継続
PoC初期投資 データ整備・モデル構築・PoC実験費:数百万〜1,000万円/テーマ プロジェクト単位
データ整備人件費 過去実験の再構造化・メタデータ復元:数百万〜数千万円 初期集中+継続
人材(研究者MLスキル or 専任データサイエンティスト) 育成費用 or 採用費:年間数百万〜1,000万円/人 継続


この4項目の中で、外部からは見えにくいのがデータ整備の人件費です。SaaSのライセンス費より、社内リソースをデータ整備に張り付ける機会費用の方が大きくなるケースが多く見られます。

初期の見積もりでSaaS費だけを見て「安い」と判断すると、後のフェーズで人件費が想定外に膨らんで停滞するのが典型的な失敗パターンです。

自社DB整備を先行するか、SaaS即導入か

「自社データベースを整備してからMIを始めるべきか、それともSaaSで先に始めるべきか」は、支援先で最も相談を受ける判断論点です。

自社DB整備を先行するかSaaS即導入か

  • 自社DB整備を先行するメリット:自社独自資産が組織に残る、他社との差別化に寄与する
  • SaaS即導入のメリット:短期間で成果が見え、経営層の理解を得やすい、失敗コストが低い

実務的な使い分けとしては、まずSaaSで単一テーマのPoCを回して成果を出し、その手応えを使って自社DB整備の予算を確保する順序を推奨します。データ整備を先に完了させようとすると、途中で経営層のモチベーションが下がり、停滞するケースがあるためです。

基盤モデルfine-tuneか、個別モデル構築か

MatterGen・MACEなど重みが公開された基盤モデルの活用が進む中で、「自社で個別モデルを組むべきか、基盤モデルをfine-tuneすべきか」の判断も重要になってきました。

基盤モデルfine-tuneか個別モデル構築か

  • 個別モデル構築が適する場面:自社独自の物性指標がある、扱う物質系が公開データにほぼない
  • 基盤モデルfine-tuneが適する場面:無機材料・触媒・電池材料など公開データが豊富な領域、開発期間が短い

近年は、基盤モデルをベースにして少数の自社データで補正するアプローチが選択肢として現実的になってきており、支援経験上も個別モデルを一から組むケースは限定的です。研究テーマが基盤モデルの学習データでカバーされる領域なら、基盤モデル利用が第一選択肢です。

研究者育成、専任採用、外部SIer連携の使い分け

「MIを社内で回すために、研究者にMLを勉強させるべきか、専任データサイエンティストを採用するべきか、外部SIerと組むべきか」も判断が分かれる論点です。

研究者育成 専任採用 外部SIer連携の使い分け

  • 研究者MLスキル習得:長期的に組織に定着するが、育成に1〜2年かかる
  • 専任データサイエンティスト採用:即戦力だが、材料ドメイン知識の習得に時間がかかる
  • 外部SIer連携:短期で成果が出るが、ノウハウが社内に残りにくい

実務的な推奨は、3方式の併用です。miHubのようなノーコードSaaSで研究者が自走できる環境を整えつつ、専任データサイエンティストを1〜2名採用し、初期の課題設計や複雑な案件は外部SIerと組む。この3層構造が、最も現実的で持続する体制です。


マテリアルズインフォマティクスを材料開発業務の自動化までつなぐなら

MI導入で成果が持続するかを分けるのは、SaaSライセンス費でも手法選択でもなく、社内データ整備とエージェント運用を1つの基盤で回せているかです。

実験ノート・LIMS・SharePointに散在する情報が、研究者の業務ワークフローに沿った形でAIエージェント経由で活用できる状態を作れなければ、MIツールは単発のPoCで終わります。

AI Agent Hubは、社内データ整備からAIエージェント運用までを自社テナントの1つの基盤で扱えるように設計されており、miHubのような材料開発特化SaaSと組み合わせながら、材料開発業務全体の自動化まで実装を進められます。

マテリアルズインフォマティクス活用を材料開発業務全体に定着させるために

AI Agent Hub

実験データ整備からエージェント運用まで設計

マテリアルズインフォマティクスをSaaS導入だけで終わらせず、実験ノート・LIMS・SharePointと接続して研究開発業務全体を自動化。AI Agent Hubで実行ログ・権限管理・セキュリティまで含めた基盤の設計・構築を支援します。


まとめ

マテリアルズインフォマティクス(MI)は、材料開発に機械学習を組み込むデータ駆動アプローチとして、化学・素材・電池・半導体で実装・共同研究・人材育成の取り組みが公表事例として複数見られる段階に入っています。

  • 手法は記述子・ベイズ最適化・汎用原子ポテンシャル(NNP)・生成モデルの4系統を組み合わせて使う
  • 導入の成否を決めるのはAI手法ではなくデータ整備。負例と3階建て運用が実務の分岐点
  • 国内は住友化学の少数実験による組成最適化や化学MOPの5社水平連携など、実装・共同研究・人材育成の取り組みが積み上がりつつある段階

miHubやMatlantisといった国内商用SaaSが選択肢として定着し、MatterGen・Microsoft Discovery・MACEといった材料AIモデル・R&D基盤の登場と活用の広がりで、MIの実装レイヤーは大きく変わりつつあります。単一テーマのPoCから成果を積み上げ、社内DB整備と横展開に進むスモールスタート型が、現実的な導入戦略として最も再現性の高い選択肢です。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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