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Amazon Q Businessとは?機能や料金、使い方を解説

この記事のポイント

  • 社内データを横断する生成AIアシスタントを短期間で立ち上げたいならAmazon Q Businessが有力
  • 権限連動回答、引用、管理者制御があるため、社内検索を生成AI化しやすい
  • Liteは月3ドル、Proは月20ドル。実コストはユーザー単価よりIndex課金が支配的
  • 2026/02/19にQuick SuiteがAmazon Quickへ再リネーム、Q Indexは継続活用可能
  • Microsoft 365 Copilot($30)より単価が低く、AWSデータ資産がある企業ほど相性が良い
  • Deriv 45%オンボーディング短縮、Smartsheet 3,300名Slack展開など定量効果のある事例が増加
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


Amazon Q Businessは、AWSが提供する企業向け生成AIアシスタントです。社内ドキュメントやSaaS、データソースを横断して検索し、ユーザーごとの権限を維持したまま自然言語で回答や要約、文書生成、業務アクションを支援します。


本記事では、2026年4月時点のAWS公式情報をもとに、Amazon Q Businessの基本機能、Q Appsやpluginsの役割、料金体系、使い方、Amazon Quick(旧Quick Suite)との関係、Microsoft 365 CopilotやGleanとの違い、Deriv・Smartsheetなどの導入事例、どの企業に向いているかを実務目線で整理します。

Amazon Q Businessとは?

Amazon Q Businessは、AWSが提供する企業向けの生成AIアシスタントです。AWS公式ドキュメントでは、社内コンテンツ全体を横断して自然言語クエリに回答し、要約や定型タスク実行も支援するサービスとして説明されています。Amazon Q Businessは、Amazon Q製品群のうち、業務部門向けに位置付けられている中核製品です。

Amazon Q Businessの全体像

AWS公式では、Amazon Q Business はAmazon Bedrock上に構築されたサービスとして案内されています。つまり、Bedrockが生成AIアプリ構築の基盤なら、Q Businessはその上で社内ナレッジ活用をすぐ始められる完成度の高いアシスタントと捉えると整理しやすいです。

従来の社内検索との違い

従来の社内検索との違い

従来の社内検索は「キーワード一致で文書を見つける」ことが中心でした。一方、Amazon Q Businessは文書を探すだけでなく、必要な情報をまとめて答えるところまで含みます。

項目 従来の社内検索/FAQ Amazon Q Business
検索方法 キーワード中心 自然言語で質問
回答形式 文書一覧を返す 要約した回答を返し、引用も付けられる
権限 別管理になりがち 元データの権限を考慮した回答
業務実行 できないことが多い pluginsで定型アクション実行に拡張可能
導入負荷 検索基盤とUIを個別構築 AWSマネージドで立ち上げやすい



この違いが効くのは、「資料を探せても答えがすぐ出ない」「問い合わせが同じ内容で繰り返される」「社内ツールが分散していて検索先が多い」といった企業です。Amazon Q Businessは、検索の改善というより知識探索と業務支援を一体化する方向のサービスです。

2026年時点での名称整理(Quick Suite → Amazon Quick)

Amazon Q Businessを取り巻くブランドは、2025年後半から2026年初頭にかけて大きく動いており、検索時に古い情報と新しい情報が混ざりやすい状態です。整理しておくべき動きは2つあります。

1つ目は、2025年10月にQuickSightがAmazon Quick Suiteに進化したことです。Quick Suiteは、Quick Sight(BI)、Quick Flows、Quick Automate、Quick Index、Quick Researchを束ねるエージェント型の業務ワークスペースとしてリブランドされ、Amazon Q Businessの次の進化形として位置付けられました。

2つ目は、2026年2月19日にこの「Quick Suite」がシンプルに「Amazon Quick」へ再リネームされたことです。社内文書や過去の比較資料で「Quick Suite」と表記されていても、現在の正式名称はAmazon Quickです。

Amazon Q Business Pricingでは、既存のAmazon Q Business利用者は既存サービスを継続利用でき、既存のQ indexをAmazon Quickでも活用可能と案内されています。そのため、2026年4月時点で押さえておくべきポイントは次のとおりです。

  • 社内データに基づく生成AIアシスタントの中核機能は、引き続きAmazon Q Businessとして理解してよい
  • BI+自動化+エージェントを統合的に使いたい場合は、Amazon Quick側へ拡張する選択肢が用意されている
  • Q indexは両ブランドで共有可能なので、PoCを無駄にせず段階移行できる



SIerとして案件を見ている立場からは、まずQ Businessで社内ナレッジ活用の業務仮説を立て、定着が見えた段階でAmazon Quickの自動化機能まで広げていくのが、最も無理のない順序です。最初からQuick全機能で稟議を通そうとすると、必要性の説明とROI試算で時間を取られやすくなります。

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Amazon Q Businessの主要機能

Amazon Q Businessの価値は、単に「社内文書を読めるAI」ではないことです。ここでは、導入判断で押さえるべき主要機能を整理します。

Amazon Q Businessの主要機能

社内データ接続と権限連動回答

社内データ接続と権限連動回答

What is Amazon Q Business? では、Amazon Q Businessはプリビルトコネクタやドキュメントアップロードを使ってデータを取り込み、社内コンテンツ全体を横断して回答すると説明されています。

接続先としては、Amazon S3、Microsoft SharePoint、Salesforce などが代表例です。すでにAmazon Kendraを使っている場合は、Kendraをretrieverとして使う構成も取れます。

重要なのは、permission-aware responses です。AWS公式では、Amazon Q Businessの回答はエンドユーザーがアクセス権を持つコンテンツに基づくと案内されています。つまり、元データに見えない情報をQ Business経由で漏らさない設計を取りやすいということです。アーキテクチャ上はRAG(検索拡張生成)型に近く、社内データを元に回答するため、根拠ベースで結果が返ります。

引用表示と回答の信頼性向上

Amazon Q Businessは、生成した回答に対して引用元を付けられます。AWS公式では、既存の企業データに回答を制限し、引用を返せることがメリットとして挙げられています。

また、hallucination mitigationを有効化すれば、対応するチャット応答について不整合の検出と修正を行えます。これは常に全応答に適用されるわけではなく、対応条件のある追加機能ですが、社内アシスタントの回答品質を底上げするための重要なオプションです。

管理者制御

Amazon Q Business Features では、管理者向けの制御として次の項目が案内されています。

  • 企業データだけで回答させるか、モデル知識も使うかを制御
  • blocked topics を定義
  • 最適な応答のためのコンテキスト設定



ここが実務上かなり重要です。PoC段階ではモデル知識も許可して広めに試し、本番では企業データのみに絞る、といった運用変更ができます。生成AI導入で起きがちな「便利さはあるがガバナンスが弱い」という問題に対して、標準機能で対処しやすい設計です。

pluginsによる業務アクション

pluginsによる業務アクション

Amazon Q Businessは、検索と回答で終わりません。plugins を使うと、サードパーティアプリのデータ参照やアクション実行に拡張できます。

代表例として、Jira Cloud、ServiceNow、Salesforce、PagerDuty、Google Calendar、Microsoft Teams、Zendesk Suite などがあります。これにより、たとえば次のような流れが可能になります。

  • 社内問い合わせ内容を要約する
  • 関連する手順書を参照する
  • そのままチケット作成や会議招待、タスク更新まで進める



つまりAmazon Q Businessは、社内ナレッジ検索と業務実行の橋渡しを担えるサービスです。

Amazon Q Apps

Amazon Q Apps

Amazon Q Apps は、自然言語で説明するだけで、生成AIベースの軽量アプリを作成・共有・再利用できる機能です。

Q Appsでは、会話内容をもとにアプリ化し、入力フォームや出力カード、pluginカードを組み合わせて繰り返し使える形にできます。用途としては、議事録要約、営業提案書の下書き、FAQ回答テンプレート、社内申請前の情報整理などが相性のよい領域です。

ポイントは、都度チャットするだけでなく、繰り返し使う業務をテンプレート化できることです。Q Businessを単発検索で終わらせず、現場の定型業務に定着させやすくなります。

Webブラウザや業務ツールへの統合

Amazon Q Business Pricing によると、Webブラウザ拡張はLite/Proの両方で利用できます。さらにProでは、Slack、Microsoft Outlook、Word、Teams との統合も案内されています。

また、AWS公式ドキュメントでは、アプリやWebサイトへの埋め込みも可能とされています。社内ポータルに置く形だけでなく、既存業務フローの中へ組み込めるのが強みです。


Amazon Q Businessの料金

Amazon Q Businessの料金は、ユーザー課金だけでは終わらないのが実務上の注意点です。サブスクリプション、Index、匿名埋め込みの従量課金を分けて見る必要があります。

Amazon Q Businessの料金体系

LiteとProの違い

LiteとProの違い

Amazon Q Business Pricingでは、2つのユーザープランが案内されています。

プラン 価格 主な内容
Lite 1ユーザーあたり月額3ドル permission-aware responses、企業ログイン、アップロードファイル分析、ブラウザ拡張、回答は約1ページまで
Pro 1ユーザーあたり月額20ドル 約7ページまでの回答、Q Apps、Amazon Q in Amazon Quick(旧QuickSight)Reader Pro相当、plugins、Slack/Outlook/Word/Teams統合、画像応答対応



小さく始めるならLite、文書生成や業務実行、Amazon Quick連携まで使うならPro、という切り分けが基本です。特にQ Appsやplugin活用を前提にするなら、最初からPro想定で見積もるほうが現実に近くなります。

Index料金

Index料金

Indexは、社内データを検索可能な状態にしておくための基盤です。ここが見積もりで抜けやすいポイントです。

種類 価格 向いている用途
Starter Index 1ユニットあたり0.140ドル/時間 PoC、開発、単一AZで十分な用途
Enterprise Index 1ユニットあたり0.264ドル/時間 本番運用、3AZ構成が必要な用途



1ユニットには、100時間のコネクタ使用/月20,000文書または抽出テキスト200MB が含まれます。さらに画像は1枚0.003ドル、音声は1分0.006ドル、動画は1分0.050ドルの追加料金があります。

つまり、Q Businessの費用は「ユーザー数」ではなく、文書量・同期頻度・画像/音声/動画の有無でかなり変わります。PoCのつもりで始めても、Indexを作ったままにすると料金が継続するため、停止ではなく削除まで含めて運用設計するべきです。

匿名埋め込みの従量課金

認証なしの公開FAQや製品ドキュメント支援に使う場合は、サブスクリプションではなくconsumption pricingが適用されます。

Amazon Q Business Pricingでは、30,000 units あたり200ドルで、ChatSync API呼び出しまたは埋め込みチャットの1プロンプトにつき2 units 消費すると案内されています。未使用unitsは翌月に繰り越されません。

このモデルは、社内向けというより「公開サイトの問い合わせ支援」「製品ドキュメントのAI検索」「顧客向けセルフサービス」に向きます。なお、Anonymous user access for Q Business は2025年4月30日にGAとなっています。

無料トライアル

Q Businessは試しやすい設計ですが、条件は把握しておくべきです。

  • Lite/Proは1アプリケーションあたり最大50ユーザーまで60日間無料
  • Indexは1アプリケーションあたり1,500 index hoursを60日間利用可能
  • 価格ページの無料トライアル欄に匿名 Chat / ChatSync API は含まれていない



また、AWS公式では、IAM Identity Center を共有する複数アプリ間では同一ユーザーを最高プラン1回分に重複排除して課金すると案内しています。社内で複数アプリを立てる場合は、Identity Center を統一しないと課金が増えやすいです。


Amazon Q Businessの使い方

Amazon Q Businessは、ゼロから作り込むというより、認証方式を決めて、アプリを作り、データをつなぎ、権限と導線を整える流れで導入します。

Amazon Q Businessの使い方

1. アプリの入口を決める

Amazon Q Businessの始め方は大きく4パターンあります。

パターン 向いている用途
IAM Identity Center連携 社内利用の標準パターン
IAM Federation Oktaなど既存IdP中心の企業
Amazon Quick統合(旧Quick Suite) Amazon Quickを入口にBI・自動化・非構造データも扱いたい
Anonymous access 公開FAQや公開ドキュメント支援



Creating an application では、まず IAM Identity Center 連携でアプリを作る流れが案内されています。Quick統合や匿名アクセスも別ルートで用意されています。

2. アプリとWeb experienceを作成する

AWSコンソールでアプリを作成すると、通常はWeb experienceも同時に作られます。AWS公式ドキュメントでは、コンソール利用時はWeb experienceが自動で作成されると案内されています。

この段階では、ユーザーやグループに Lite / Pro のサブスクリプションを割り当てます。PoCならまず少人数に限定して配布し、利用ログや質問傾向を見てから拡大するのが安全です。

3. データソースとACLを整える

次に、S3、SharePoint、Salesforce など必要なデータソースを接続し、ACLを有効にしたまま同期します。本番運用では、元データ側の権限を維持したまま回答させる設計が基本です。

ここを雑にすると、どれだけモデルが良くても回答品質は上がりません。実務では、まず検索対象を「人事規程」「営業資料」「FAQ」などに限定し、文書の鮮度と権限の整理から始めるほうが成功しやすいです。

4. 管理者制御とpluginsを設定する

運用開始前に、次の設定を見直すのが基本です。

  • 企業データのみで回答するか
  • blocked topics をどう設定するか
  • pluginsでどこまでアクション実行を許すか
  • Q Apps を誰に作成・共有させるか



この設計を先に固めておくと、「便利だが勝手に動きすぎる」「回答は出るが業務ルールに合わない」といった導入後の摩擦を減らせます。


Amazon Q Businessの導入事例

Amazon Q Businessは、社内ナレッジの一元化と業務生産性の両面で、定量効果を公開する企業が増えています。ここでは、AWS公式事例を中心に、導入規模・効果がわかる4社を紹介します。

Deriv — 採用と顧客サポートの効率化

オンライン取引プラットフォームを展開するDerivは、顧客サポート、マーケティング、リクルーティングの3部門にAmazon Q Businessを横展開しました。社内ドキュメント検索、応募者対応、キャンペーン管理を一気通貫で進めた点が特徴です。導入後の効果として、以下が公開されています。

  • 新入社員のオンボーディング時間
    従来比で最大45%短縮

  • 採用関連タスクの所要時間
    最大50%削減

  • 立ち上げまでの期間
    半日のテストで本番稼働に移行



SIer目線では、Derivのような事例で注目すべきは、ROIではなく**「半日テストで翌日全社展開」というスピード感**です。これは社内ナレッジが整理されている前提があってこそで、データ整備が遅れている企業ほど立ち上がりに時間がかかります。PoC設計時には、対象データの権限棚卸しに3割の工数を確保しておくと、全体スケジュールが崩れにくくなります。

Smartsheet — Slack上の@AskMeで3,300名をAI支援

業務管理SaaSのSmartsheetは、3,300名の社員が公開ヘルプ、トレーニング、Slack数百チャネルから情報を探すのに時間を取られていました。Amazon Q Businessを導入し、Slackで「@AskMe」をタグ付けして自然言語で質問するだけで回答が返る環境を、数週間・コードを1行も書かずに構築しています。

権限・ID連携を維持したままナレッジを統合した点と、エンジニアチームがインシデント要約やAPIドキュメント参照、トラブルシュート支援に活用している点が、典型的な「社内検索→業務支援への発展」のパターンです。

Volkswagen Group of America — Q Appsで4,000職務記述を再編

Volkswagen Group of Americaは、Amazon Q Appsを使い、4,000件のユニーク職務記述を3,200の標準ロールに再マッピングするプロジェクトを人事部門で完了させました。Q Appsを単なるチャットではなく、反復タスクをテンプレート化する仕組みとして活用した好例です。

人事領域の正規化作業は、本来であれば外部コンサル委託や数か月の整理プロジェクトになりがちですが、Q Appsで現場の担当者が自走できる形に置き換えた点が、エンタープライズ導入の参考になります。

Druva — GRCチームのRFP応答を25%短縮

データ保護プラットフォームのDruvaでは、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)チームがAmazon Q Appsを使い、RFP応答時間を最大25%削減しました。過去のRFP回答や規程文書に分散していた情報を、Q Appsで集中アクセス可能な状態にした事例です。

セキュリティやコンプライアンスのように、回答の根拠が問われる領域でも、引用付き回答と権限連動が機能する点を示している事例です。

これら4社に共通するのは、**「定量目標を最初に置き、PoCの段階で測定指標を決めている」**ことです。Amazon Q Businessを「触ってみる」止まりにしない企業ほど、半年以内に投資判断につながる結果を出しています。


Amazon Q BusinessとMicrosoft 365 Copilot・Gleanの比較

Amazon Q Businessを検討するときに、必ずと言っていいほど比較対象に挙がるのがMicrosoft 365 CopilotとGleanです。それぞれ得意領域が違うため、価格だけで比較すると判断を誤りやすい領域です。

項目 Amazon Q Business Microsoft 365 Copilot Glean
想定読者 AWSデータ/SaaSが中心の企業 Microsoft 365中心の企業 部門横断のナレッジワーカー全体
ユーザー単価 Lite $3 / Pro $20 $30 公開なし(問合せ)
データ接続 S3/SharePoint/Salesforce/Slack含む50+ Microsoft Graph中心 100+コネクタ
業務アクション plugins(40+) M365アプリ内アクション アクション機能あり
強み 権限連動、Indexで料金分離、AWS連携 Office文書作業との一体化 部門横断の情報統合
弱み UIはAWS文脈、Office連携はProのみ M365外データの深い連携は限定 価格が公開されておらず比較しづらい



価格面だけ見ると、Amazon Q Business Liteが月3ドルでスタートでき、Microsoft 365 Copilotの$30/月と比較して圧倒的に安く見えます。ただし実際の総額はIndex課金が支配的なので、ライセンス単価だけで稟議を通すと後でズレます。

選び方の基準は、社内データの重心がどこにあるかです。SIerとして複数案件を見てきた経験からは、次の判断軸が現実的です。

  • Microsoft 365中心で文書作業の生産性を上げたいならMicrosoft 365 Copilot
  • AWSデータ資産・Salesforce・Slack中心で社内検索と業務実行を統合したいならAmazon Q Business
  • 部門横断でツールが分散しており、中立的なナレッジハブが欲しいならGlean
  • AWSを使っていてQuickのBI機能まで広げたいならAmazon Q Business→Amazon Quickの段階移行



特に「Office中心 vs AWS中心」の判断は、ライセンス単価より社内データ資産の所在で決めたほうが、後で困りにくくなります。Office文書を主戦場とする部門にAmazon Q Businessを入れると、結局Office連携不足で評価が下がりやすいので、適材適所での切り分けが必要です。


Amazon Q Businessが向いている企業・向いていない企業

Amazon Q Businessが向いている企業

Amazon Q Businessは便利ですが、すべての企業に最適というわけではありません。ここでは、向き不向きを整理します。

向いている企業

Amazon Q Businessが特に効きやすいのは、次のような特徴を持つ企業です。

  • 社内文書やSaaSが散在していて、自然言語で横断検索したい企業
  • IT/人事/営業支援の問い合わせ対応を効率化したい企業
  • まずは社内アシスタントを短期間で立ち上げたい企業
  • Amazon Quick(旧Quick Suite)やAWS環境と連携しながら段階的にAI活用を広げたい企業
  • 定型業務をQ Appsやpluginsでテンプレート化したい企業
  • 既にAWSを基盤として利用しており、IAM Identity Centerでの統合認証が現実的な企業

向いていない企業

逆に、次のようなケースではAmazon Q Business単体では不十分なことが多いです。

  • Microsoft 365中心で、Office文書作業の生産性向上が主目的の企業
  • 顧客向けの独自UIや独自体験を持つ生成AI製品を細かく作り込みたい企業
  • AWSをほとんど使っていない企業(Index課金とAWS設計の学習コストが先行する)
  • 検索対象データの権限整理がまったく進んでおらず、PoCの前提が崩れている企業



後者のケースでは、Amazon Q Business単体ではなく、Amazon Bedrockを使った個別設計や、Microsoft 365 Copilotの検討に切り替えたほうが、結果的に投資対効果が出やすくなります。SIerとして見ていると、「とりあえずAmazon Qを検証する」より、自社のデータ重心を最初に把握するほうが、最終的な選定精度が上がります。


Amazon Q Business導入時の注意点

実務で失敗しやすいポイントを、3つだけ押さえておきます。料金、権限、アクション範囲の3点が、本番運用に進めるかどうかの分かれ目になりやすい領域です。

1. 料金はユーザー単価より「Index・同期・マルチメディア」が支配的

Lite月3ドル、Pro月20ドルだけ見て稟議を通すと、Index料金や画像/音声/動画料金で予算を上回りやすくなります。1ユニットあたり0.140〜0.264ドル/時間のIndex料金は作っているだけで継続課金されるため、停止ではなく削除まで含めた運用ルールを最初に決めるのが安全です。

2. 権限連動回答は「元データの権限が正しいこと」が前提

permission-aware responsesは強力ですが、元のSharePointやS3側のACLが雑だと、雑な状態のまま回答されます。導入前に検索対象データの権限棚卸しを済ませておかないと、「便利になった」より先に「見えてはいけない情報が出た」という事故が起きやすくなります。Q Businessはガバナンスを保証する魔法ではなく、既存ガバナンスの延長線にある仕組みと考えるべきです。

3. pluginsとQ Appsの実行権限は「人ではなくロール」で設計する

pluginsを使うと、Jira/ServiceNow/Salesforceなどに対して回答からそのままアクションを実行できますが、これは同時にリスクでもあります。誰がどのpluginを使えるか、自動実行か承認フロー付きか、Q Appsを誰に作成・共有させるかをロール単位で設計しないと、組織が大きくなるほど摩擦が出ます。最初は「読み取りのみのpluginで運用→効果検証→アクション系pluginを段階開放」の順序が安全です。


Amazon Q Businessを社内業務に定着させるなら

Amazon Q Businessは社内検索を高度化するだけでなく、回答の引用、権限連動、plugins、Q Appsまで含めて設計してこそ価値が出ます。逆に言えば、検索精度だけを見てPoCを終えると、現場の業務導線に載らないまま利用が広がらないケースも出やすいです。

特に社内ポータルや問い合わせ対応、定型業務への組み込みまで見据えるなら、元データの権限整理、実行範囲の統制、運用ログの把握まで先に設計しておく必要があります。AI総合研究所のAI Agent Hub資料では、社内AIアシスタントを業務フローへ接続し、本番運用まで進めるための全体像を整理しています。Amazon Q Businessの検証を社内定着につなげる判断材料としてご確認ください。

Amazon Q Businessを社内業務に定着させる

AI Agent Hub

検索導線から権限設計・業務実行まで整理

Amazon Q Businessは検索だけでなく、引用、plugins、Q Appsまで含めた設計が重要です。AI Agent Hubの資料では、社内データ接続、権限管理、業務フロー組み込みを含めて、社内AIアシスタントを本番運用へつなぐ進め方を整理しています。


Amazon Q Businessは「社内検索」より一段上の選択肢

Amazon Q Businessは、社内文書を見つけやすくするだけの製品ではありません。権限付き回答、引用、管理者制御、plugins、Q Appsを通じて、社内知識の活用から業務実行までを一体で設計しやすいサービスです。2025年10月以降はAmazon Quick(旧Quick Suite)への進化路線も用意されており、PoC資産を無駄にせず段階展開しやすい点も強みです。

導入判断では、Lite/Proの価格だけでなく、Index、同期頻度、マルチメディア処理、匿名埋め込みの有無まで含めて見る必要があります。SIerとして案件を見ている立場からは、次の段階で考えるのが現実的です。

  • AWSデータ資産・Salesforce・Slack中心の社内ナレッジ活用を始めたい → Amazon Q Business Liteで小さく検証
  • 業務アクションや文書生成、Q Appsまで使いたい → 同じ部門でPro移行+Index設計を整える
  • BI・自動化・エージェントまで一体で広げたい → Amazon Quickまで連続展開
  • 顧客向けAIアプリや独自体験が必要 → BedrockやBedrock Agentsとの組み合わせを検討



社内アシスタントを短期間で立ち上げ、将来的に業務自動化やBedrock Agentsによる独自エージェントへ広げたいなら、Amazon Q Businessは出発点としてかなり有力な選択肢です。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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