この記事のポイント
この記事は、OpenAIによって開発された新しいAI言語モデル「GPT-4Turbo」について説明しています。
GPT-4Turboは、128,000トークンという従来のモデルから大幅に増加した入力量に対応しており、APIを通じた利用価格の低減が図られています。
カスタマイズ可能な機能の提供や、回答の最適化により、ビジネスや研究などの分野でより具体的かつニーズに特化した活用が期待されます。

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
OpenAIが開発した「GPT-4Turbo」は、最新のAI言語モデルとして、驚異的な進化を遂げていることで知られています。
従来のモデルを凌駕する128,000トークンという大容量入力に対応し、マルチモーダルな入力やカスタマイズ性、コスト削減など、顕著な改良点を備えており、その機能性とアクセスの容易さは、ビジネスや研究、教育といったさまざまなシーンでの活用が期待されます。
本記事では、「GPT-4Turbo」の詳細な特徴や料金体系、APIの利用方法に至るまで、具体的なガイドラインを提供し、新たなテクノロジーが開く未来の可能性について解説していきます。
2025年12月12日に発表された最新モデル、「GPT-5.2(ChatGPT 5.2)」については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎GPT-5.2(ChatGPT 5.2)とは?その性能や使い方、料金体系を徹底解説!
GPT-4 Turboとは
GPT-4 Turboは、2023年3月14日にOpenAIが発表した対話システム特化型のAIモデルです。
GPT-4をベースに、対話生成タスクに最適化されたファインチューニングが施されたこのモデルは、自然な文章生成と幅広い質問への的確な回答を可能にします。
GPT-4 Turboの特徴は、効率的かつ正確な情報処理能力です。ユーザーとの対話において、文脈を理解し、適切な応答を生成することができます。これにより、様々な分野での活用が期待されています。
GPT-4 Turboの新機能
GPT-4 Turboの優れている点は以下の5つです。
以下で詳しく見ていきましょう。
1.入力できる文字数の増加
GPT-4 Turboの最も注目すべき改良点の一つは、より長いプロンプトへの対応能力が改良されたことです。
GPT-4 Turboでは、応答を生成するために処理できるテキストの量が、GPT-4の約4倍となる128,000トークンに増加しました。
これにより、ユーザーはより詳細な指示を与えることができ、結果としてより精度の高い、意図に沿った出力を得ることが可能になります。
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➡️ChatGPTの文字数制限は?回避方法やモデル別の上限について解説
2.マルチモーダル機能
GPT-4 Turboは、テキストだけでなく画像を含むマルチモーダル入力にも対応しています。これは、GPT-4 Turboが画像の内容を解析し、それに関連するテキストを生成する能力を持っていることを意味します。
3.利用価格の引き下げ
GPT-4に比べ、GPT-4 Turboは「入力トークンが3分の1」、「出力トークンが2分の1」のコスト削減を実現しました。
API利用料金の低減は、開発者や企業が先進的なAIをより手軽に利用できるようにする重要な変更です。
これにより、AIはさらに多様なプロジェクトやアプリケーションに取り入れられることが期待されます。
【関連記事】
➡️ChatGPT APIの料金は?モデル別の比較や費用を抑えるコツを解説
4.最新の学習データ
最新バージョンでは、2024年4月までの知識に対応できるようになっていることに加え、特定のデータフォーマット、例えばXMLやJSONでの出力が統一された形式で提供されるようになりました。
加えて、一度生成された内容を再度生成する機能も利用可能となっています。
GPT-4 Turboの使い方
GPT-4 Turboを活用するには、セットアップとAPIの利用方法を理解することが重要です。
ここでは、初心者でもスムーズにGPT-4 Turboを使用開始できるよう、手順を分かりやすく解説します。
GPT-4 TurboのセットアップとAPIの利用方法
まずは5ステップでOpenAIアカウントの開設からAPIキーの発行、プログラミング言語(Pythonなど)を利用したAPIの呼び出し手順を解説します。
ステップ 1: APIキーの取得
- OpenAIアカウントにログインします。
- ダッシュボードまたはAPIセクションに移動します。
- 「APIキーの生成」または「新しいAPIキー」のオプションを探し、クリックします。

APIキーの取得3
- APIキーの詳細を設定し、「キーの生成」をクリックします。

APIキーの取得4
- 発行されたAPIキーを安全な場所にコピーして保存します。

APIキーの取得5
ステップ 2: 開発環境の準備
-
開発を行うコンピュータにPythonをインストールします(すでにインストールされている場合はこのステップをスキップ)。

開発環境の準備1
-
必要に応じて、コードエディタ(例:Visual Studio Code)をインストールします。
ステップ 3: OpenAI公式ライブラリのインストール
- ターミナルまたはコマンドプロンプトを開きます。
pip install openaiコマンドを使って、OpenAI公式ライブラリをインストールします。
ステップ 4: APIの利用
-
pip install openaiコマンドをターミナルまたはコマンドプロンプトで実行して、OpenAIライブラリをPython環境にインストールします。(このステップはターミナルで行います)
-
Pythonの開発環境を開きます。
-
下記のコードををPython開発環境に貼り付けます。
import openai
openai.api_key = 'ここにAPIキーを入力'
response = openai.Completion.create(
engine="gpt-4-turbo",
prompt="ここにプロンプトを入力",
max_tokens=100
)
print(response.choices[0].text.strip())
'ここにAPIキーを入力' と'ここにプロンプトを入力'の箇所を、APIキーと生成させたいテキストで置き換えます。
5. スクリプトを実行すると、GPT-4 Turboからの応答がコンソールに表示されます。
ステップ 5: アプリケーションやサービスの構築
- 受け取ったレスポンスを使って、目的に応じた機能を開発します。
- 必要に応じてコードをデバッグし、アプリケーションの動作を確認します。
- アプリケーションが正しく機能することを確認したら、本番環境での使用に移行します。
GPT-4 Turboの料金
GPT-4TurboはOpenAI APIアカウントを持ち、既にGPT-4へのアクセス権を持っている人が使用可能です。
APIでモデル名としてgpt-4-turbo-previewを指定することで、最新バージョンのモデルにアクセスできます。
| モデル | 入力価格 | 出力価格 |
|---|---|---|
| pt-4-turbo-2024-04-09 | $10.00 / 1M トークン | $30.00 / 1M トークン |
| gpt-4-0125-preview | $10.00 / 1M トークン | $30.00 / 1M トークン |
| gpt-4-1106-preview | $10.00 / 1M トークン | $30.00 / 1M トークン |
| gpt-4-1106-vision-preview | $10.00 / 1M トークン | $30.00 / 1M トークン |
GPT-4 Turboの使用は従量制料金で行われ、API呼び出しに応じた課金が適用されるため、サービスの利用量に沿った予算計画を立てることが可能です。
【参考記事】
➡️ChatGPT APIの料金は?モデル別の比較や費用を抑えるコツを解説
【GPT-4 Turboが無料で利用可能】 Microsoft Copilot

マイクロソフトの「Copilot」無料版でも「GPT-4 Turbo」が利用可能
Microsoftの広告およびウェブサービスを統括しているMikhail Parakhin氏は、米国時間の3月12日に、「X」(旧Twitter)に、Copilotの無料版に搭載されていたGPT-4をGPT-4 Turboに置き換えたと投稿しました。
After quite some work, GPT4-Turbo replaced GPT-4 in the Copilot free tier. Pro users can still choose the older model, if prefer (there is a toggle).
— Mikhail Parakhin (@MParakhin) March 12, 2024
「Copilot Pro」のユーザーは、利用用途に合わせ、GPT-4とGPT-4 Turboを切り替えることができます。
Copilotの詳しい利用方法については以下の記事で解説しています。
【関連記事】
➡️GPT-4搭載!Microsoft Copilotとは?できることや料金をわかりやすく解説
GPT-4 Turbo、GPT-4、GPT-5の比較
GPTシリーズは世代を重ねるごとに大きく進化しています。ここでは、GPT-4 Turbo、GPT-4、そして最新のGPT-5の主な違いを比較します。
モデルの進化
| 特徴 | GPT-4 Turbo | GPT-4 | GPT-5 |
|---|---|---|---|
| リリース時期 | 2023年3月 | 2023年3月 | 2025年8月 |
| コンテキストウィンドウ | 128K トークン | 8K-32K トークン | 400K トークン |
| マルチモーダル | テキスト・画像 | テキスト・画像 | テキスト・画像 |
| 推論能力 | 高度 | 高度 | 最高水準 |
| 処理速度 | 高速 | 標準 | 高速(統一システム) |
| API料金(入力) | $10.00/1M | $30.00/1M | $1.25/1M |
| API料金(出力) | $30.00/1M | $60.00/1M | $10.00/1M |
GPT-5の革新的な特徴
2025年8月に発表されたGPT-5は、単一モデルではなく「統一システム」として設計されています。タスクの複雑さに応じてAIが自動で思考の深さを切り替える画期的なアーキテクチャを持ちます。
主な特徴:
- 自動ルーティング: 質問に応じて高速モデル(gpt-5-main)と深い推論モデル(gpt-5-thinking)を自動選択
- モデルファミリー: GPT-5、GPT-5 mini、GPT-5 nano、GPT-5 Chatと用途別に最適化
- 大幅な信頼性向上: ハルシネーション(事実誤認)が約45~80%削減
- コーディング性能: 美的感覚を備えた最強のコーディングモデル
- 健康分野: 医療対話で最高スコア(HealthBench)を記録
詳しくはGPT-5の解説記事をご覧ください。
GPT4とGPT-4turboの違い
結論、GPT-4はその高い知能と精度で特定のニーズを満たす一方で、GPT-4 Turboは「GPT-3.5を超える知能を、より多くのユーザーが手頃な価格で利用できるように設計」されています。
GPT-4は、その高度な知能と精度で知られており、複雑な問題解決や洗練されたテキスト生成において非常に優れた能力を発揮します。この高度な性能は、それに見合う価格設定がされており、質の高い結果を求めるユーザーや専門家にとっては適した選択肢となっています。
一方、GPT-4 Turboは、GPT-4の持つ高い知能を基盤としながらも、コストパフォーマンスに大きく焦点を当てたモデルです。GPT-4 TurboはGPT-3.5よりも賢く、その上、より低価格で提供されています。この価格設定は、AI技術を広く一般に普及させるための重要なステップであり、多くのユーザーにとって大きなメリットをもたらします。
具体的には
- 長いプロンプトへの対応
- マルチモーダルな入力の解析
といった、GPT-4の高度な機能を維持しつつ、利用コストを大幅に削減しました。これにより、教育、ビジネス、研究など、さまざまな分野でAIの利用が拡大することが期待されます。
自身のプロジェクトや予算に応じて、これら二つのモデルの間で適切な選択をすることができるでしょう。
GPT-4 Turboのビジネス活用事例
OpenAIは2023年3月にChatGPTのAPI(Application Programming Interface)を公開しました。GPT4-TurboもAPI経由での利用が可能です。
ビジネスシーンでは、GPT-4 Turboを利用して顧客サポートの自動化、コンテンツ生成、データ分析など、さまざまな用途で活用することができるでしょう。
ここではChatGPTのAPIを活用したビジネス事例を紹介します。
AI✖️LINE 「AIチャットくん」

出典:AIチャットくん 公式サイトより
株式会社piconはChatGPTをLINEで使える「AIチャットくん」を提供しリリースから2ヶ月で登録者数150万人を突破しています。
「AIチャットくん」はLINEに友達追加して、メッセージを送るだけで、AIが質問に答えてくれます。
旅行の計画や英語での挨拶の作成、他には聞けない子育ての相談などなど多くの人が使用しています。
旅行先をAIに相談!生成AIのSABOROT
SABOROT(所在地:東京都渋谷区)は、GPT-4(ChatGPTの言語エンジン)を利用した生成AIサービスを提供しています。AIとの対話から最適な旅行先を提案するAIボット機能は無料プランでも利用することが可能です。
「自社データ」×「ChatGPT」で顧客対応を自動化AI-FAQ:DECA カスタマーサポート
株式会社ギブリーは「自社データ」×「ChatGPT」で顧客対応を自動化するAI-FAQ / AI-チャットボット「DECA カスタマーサポート」を提供しています。
自社データをもとにしたAIによるFAQの自動生成、FAQ検索のAIによる自動化など、ハルシネーションが生じえない領域に絞ってAIを活用する他、有人チャット/ビデオ通話に対応し、AIによるカスタマーサポートの効率化を安価に実感させることが狙いです。
【関連記事】
➡️ChatGPTの活用事例50選!企業や自治体、教育現場での例を徹底解説!
用途別モデル選択ガイド
GPTシリーズには複数のモデルが存在し、用途や予算に応じて最適なモデルが異なります。
GPT-4 Turboを選ぶべき場合
GPT-4 Turboは、以下のような場面で効果的です:
- 長文処理が必要な場合: 128Kトークンの大容量コンテキスト
- マルチモーダル処理: テキストと画像を組み合わせた分析
- コストと性能のバランス: GPT-4の3分の1のコストで高度な処理
- API経由での開発: カスタマイズされたアプリケーション構築
GPT-4を選ぶべき場合
GPT-4は、以下のような高度なタスクに適しています:
- 最高レベルの精度が求められる複雑な問題解決
- 専門的な知識を要する高度な質問への回答
- クリティカルな業務での利用
GPT-5を選ぶべき場合
最新のGPT-5は、以下の場面で真価を発揮します:
- コーディング: 美しく機能的なコードの生成、複雑なデバッグ
- 深い推論: 科学的仮説の検証、多段階の論理的思考
- ヘルスケア: 医療情報の理解と積極的な対話
- 信頼性重視: ハルシネーションを最小限に抑えたい場合
- 自動最適化: タスクに応じて自動で思考の深さを調整したい場合
- コスト効率: GPT-4 Turboよりも低コストで高性能を実現
GPT-5は、API料金がGPT-4 Turboの約8分の1(入力)から3分の1(出力)となり、コストと性能の両面で大きく進化しています。
まとめ
本記事では、OpenAIが開発した対話特化型言語モデル「GPT-4 Turbo」について詳しく解説し、最新のGPT-5との比較も行いました。
GPT-4 Turboの主な特長:
- 入力トークン数が128,000トークンに増加し、長文処理が可能
- GPT-4と比較して約3分の1のコストで利用可能
- マルチモーダル対応で画像とテキストの統合処理が可能
一方、GPT-5は2025年8月に発表された最新モデルで、以下の革新的な特徴を持ちます:
- タスクに応じて思考の深さを自動調整する「統一システム」
- ハルシネーション(事実誤認)の大幅削減(45~80%)
- コーディング、推論、ヘルスケア分野での飛躍的な性能向上
- GPT-4 Turboの約8分の1のコストで、より高い性能を実現
モデル選択のポイント:
- 長文処理・マルチモーダル: GPT-4 Turbo (API経由のみ)
- 最高精度が必要: GPT-4
- コスト効率と最高性能: GPT-5
GPTシリーズは世代を重ねるごとに進化を続けており、用途や予算に応じて最適なモデルを選択することで、競争力を高め、より効率的かつ効果的なソリューションを提供できるようになるでしょう。
最新のGPT-5について詳しくは、GPT-5の解説記事をご覧ください。













