この記事のポイント
- この記事はChatGPT APIの料金体系と利用上のアドバイスについて解説しています。
- コストを抑えつつChatGPT APIを活用するための各種のコツやポイントが紹介されています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
ChatGPTのAPIを利用することで、あらゆるアプリケーションやサービスに対話型AIの力を取り入れることができる様になりました。APIは非常に便利な一方で、新モデルの発表や既存モデルの改訂等によりその価格体系が大幅に変更されることがあります。自身の目的に沿った最適なモデルを利用するためにも、事前に料金プランを把握しておくことが大切です。
また、利用方法によっては予期せぬ高額請求につながる可能性があるため、コストを抑えつつ有効に活用する方法が求められています。
最新モデル、ChatGPT4o(GPT-4o)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください⬇️
ChatGPT-4o(GPT4 omni)とは?使い方、料金など詳細を徹底解説!
ChatGPT APIの料金
ここでは、ChatGPT APIの各モデル毎の料金について、最新の情報をまとめています。
対象モデルは以下の通りです。
- GPT4-turbo
- GPT4-V(GPT4 Vision)
- GPT4
- GPT3.5 Turbo
ChatGPT APIのモデル別料金一覧
各モデルの費用対効果や消費するトークンの目安、料金の計算方法については、後述するAPI料金に関するよくある質問で解説しています。
モデル | 入力料金 | 出力料金 | コンテキストウィンドウ | 学習データ |
---|---|---|---|---|
GPT-4 turbo-0409 | $10.00 / 1M トークン | $30.00 / 1M トークン | 128,000トークン | 2023年12月まで |
GPT-4 turbo-0125 | $10.00 / 1Mトークン | $30.00 / 1Mトークン | 128,000トークン | 2023年4月まで |
GPT-4 turbo-1106 | $10.00 / 1Mトークン | $30.00 / 1Mトークン | 128,000トークン | 2023年4月まで |
GPT-4 Vison | $10.00 / 1Mトークン | $30.00 / 1Mトークン | 128,000トークン | 2023年4月まで |
GPT-4 | $30.00 / 1Mトークン | $60.00 / 1Mトークン | 8,192トークン | 2021年9月まで |
GPT-4 32K | $60.00 / 1Mトークン | $120.00 / 1Mトークン | 32,768トークン | 2021年9月まで |
GPT-3.5 turbo-0125 | $0.50 / 1Mトークン | $1.50 / 1Mトークン | 16,000トークン | 2021年9月まで |
GPT-3.5 Turbo instruct | $1,50 / 1Mトークン | $2.00 / 1Mトークン | 4096トークン | 2021年9月まで |
APIのトークンとは?1Kトークンの目安はどれぐらい?
トークンとは、テキストを小さな単位に分けたものです。
ChatGPTのAPI利用においては、ユーザーが入力するテキストと、ユーザーの質問に対しChatGPTが出力するテキストの両方がトークン数としてカウントされ、この数によって利用料金が計算されます。
トークンの概要について簡潔にまとめると、以下の通りです。
- 一般的には、トークンは単語、句読点、または記号等を含む
- 言語や文章の内容によってトークンの数は変わるため、明確な基準はない
- 同じ文章でも、英語の方がトークン数は少なくなる事が多い
- 日本語や中国語などの言語では、1つの文字が1トークンとしてカウントされることが多い。
トークン数を計算する方法
トークン数を計算する手段としては、主にOpenAI公式のツールを使う方法とPythonを用いる方法の二種類があります。
ここでは、OpenAIが公開しており誰でも簡単に試すことができる、Toknizerを利用して計算する手順を説明していきます。
-
Toknizerのサイトにアクセスします。
Toknizer(OpenAI)
-
画像の入力ボックスに、トークン数を計算したい文章を入力します。
Toknizerの使用画面
-
すると、このように入力した文章のトークン数を算出してくれます。
トークン数の算出
上の画像は、ChatGPTに文章の要約を頼むプロンプトのトークン数を算出した例です。
キャラクターが文章の文字数、トークンが消費されるトークンの数を指しています。
この結果から読み取ると、日本語の場合はおおよそ1文字辺り1トークンと換算といったイメージになります。
ただし、文章の内容や漢字の多さ、記号等で左右される可能性はあります。
トークンや請求額の確認方法
OpenAIのAPI管理ページ左側の、「Usage」ページで使用料や当月の請求金額を確認する事ができます。
過去の請求履歴を参照したり、請求データをエクスポートする事も可能です。
API管理ページはこちら:OpenAI開発者プラットフォーム
トークン使用量の確認
ChatGPT API利用料金の計算方法
利用料金の計算式は、以下のようになります。
(入力トークン数 / 1000) × 入力トークン料金 + (出力トークン数 / 1000) × 出力トークン料金 = 利用料金
例:GPT-4 1106 (Turbo)を(GPT4 Turbo)を使用し、入力が2000トークン、出力が3000トークンだった場合
入力料金: $0.01 / 1Kトークン
出力料金: $0.03 / 1Kトークン
計算式 : (2000 / 1000) × $0.01 + (3000 / 1000) × $0.03
合計 : $0.11
上記の式にあてはめる事で簡単に料金の目安を計算する事ができますので、是非参考にしてみてください。
試作中(PlaygroundやAssistantAPIなど)の入出力にもトークンを消費する
PlaygroundやAssistantAPI等の試作画面においても、入力・出力共に料金が発生します。
料金は上記で紹介したモデルに準拠しますが、AssistantAPIは料金体系が異なりますのでご注意ください。
どのモデルを使うべき?最もコスパがいいのは?
標準モデルとしては現在6種類公開されていますが、どのモデルが適しているのかは用途や予算に応じて柔軟に考慮する必要があります。
ここでは各モデルの特徴や具体的な使用例を踏まえつつ、目的に応じたモデルの選び方について解説していきます。
GPT-3.5 Turboがおすすめのケース
予算を抑えたい
入出力における1kトークンあたりの料金が最も安価で、予算が限られている場合やコストを最小限に抑えたい場合に適しています。
基本的なテキスト生成のみに使う
簡単な社内文書等の作成、シンプルなFAQの回答、基本的なカスタマーサポートなど、複雑ではないテキスト生成においてはGPT-3.5turboでも十分効果的です。
開発初期のプロトタイプとして使いたい
新しいアイデアやコンセプトを試す段階で、初期のテストやベータ版の作成をしたい場合。
リアルタイムの応答が必要なサービス
チャットボットなど、より迅速な応答が求められるサービスを作成したい場合。
出力速度においてはGPT-3.5Turboが最も優れており、ほぼリアルタイムでの応答が期待できます。
【関連記事】
➡️GPT-3.5 Turboとは?API料金やGPT-4との違いをわかりやすく解説!
GPT-4 Turboがおすすめのケース
高度な理解と複雑な質問への対応が必要な場合
解答の整合性や、文脈の理解においては、GPT-4以降大幅にパフォーマンスが向上しています。
より難解なテキストの解析や、複雑な質問に対する洗練された回答が必要な場合はGPT-4 Turboが適任です。
大規模なデータを読み込ませたい
GPT-4 Turboでは、コンテキスト量が128,000トークンと、従来モデルの約8倍の量をサポートしています。(GPT3.5-turboとの比較)
大量の学習データを読み込ませたい場合や、テキスト情報を扱う必要がある場合に適しています。
最新のトレンドや情報を含む出力が必要な場合
GPT-4Turbo以前のモデルは、学習データが「2021年の9月まで」であるのに対して、GPT-4Turboは「2023年4月まで」の情報を学習しています。
この為、より最新の情報を用いた出力をする必要がある場合はGPT-4 Turboがおすすめです。
マルチモーダル能力による画像認識を利用したい
GPT-4 Vでは、画像認識機能も備わっています。画像内容の解説や画像に基づくテキスト生成を求める場合はおすすめです。
上記がGPT-4 TurboとGPT-3 Turboの主な特徴を踏まえた、ニーズに応じたモデル選びのポイントとなります。
プロジェクトの要件が複雑であり、高度な理解力や長文の処理を要求するならば、GPT-4 Turbo、予算が限られている、またはタスクがそれほど高度でない場合は、GPT-3.5 Turboがコスト効率は良いかと考えられます。
ご自身の用途や予算に合わせて、モデル選びの参考にしてみてください。
【関連記事】
➡️GPT-4 Turboとは?その機能やメリット、料金体系を徹底解説!
ChatGPT APIの商用利用はできる?
基本的には可能です。しかし、hatGPTのAPIを利用して作成したサービスの名称として、「○○GPT」の様な名称を付けることは禁止されています。
上記は一例ですが、OpenAIの利用規約やブランドガイドラインを参照することが重要です。
OpenAI 利用規約
【関連記事】
➡️ChatGPTの商用利用は可能!著作権リスクや規約上の注意点を解説
費用を抑えるための5つのポイント
ChatGPTのAPIは、ブラウザ版の様に使い放題というわけではなく、使った分だけ料金が発生する従量課金制です。
以下に挙げる5つのポイントを念頭に置くことで、コストを節約しながらもAPIの利用効率を高めることが可能です。
用途に応じたモデル選び
GPT-4 Turboの価格が下がったとはいえ、GPT3.5 TurboとGPT4 Turboでは、1kトークンあたり10倍以上の価格差が有ります。
その為、特に予算が限られている場合や、高度な能力を必要としないタスクにおいては、GPT-3.5 Turboは理想的な選択肢となり得ます。
また、必ずしも一つに絞る必要はなく、コストと性能のバランスを考慮して使い分ける方法も効果的です。
例えば、
「GPT-3.5 Turboを使ってシンプルなチャットボットを作成し、市場のニーズを把握。開発を進めていく中で、よりカスタマイズ性の高いモデルを用いた構築が必要になった時点で、GPT-4 Turboにアップグレードする。」
このように、用途に応じて使い分けしていくことで、コストを抑えつつニーズに合わせた利用が可能になります。
先述したモデル別の比較を参考にしつつ、それぞれの目的に合った最適なモデルを選定や使い分けを検討してみてください。
プロンプトを最適化する
APIの利用時に限らず、言語モデルを利用する上で基本的な事ですが、プロンプトを最適化するという事が非常に重要です。
入力する文章はもちろんですが、「500文字以内で」や「箇条書きで」などと出力形式を指定する事で、予期せぬ出力によるトークンの消費を抑える事が可能です。
また、より洗練されたプロンプトを入力する事で出力精度の向上が期待でき、入力回数や文章量を削減できます。
【関連記事】
➡️プロンプトエンジニアリング完全ガイド!ChatGPTで使える例文も紹介
日本語を英語に翻訳してから入力する
一般的に、同じ文章でも日本語の文章は英語の文章に比べてトークン数が2~3倍に増えるとされています。
一例として、これはトークン数を計算する方法にて入力した文章を英語に翻訳してからトークン数を計算した例です。
同じ文章を英語に直した場合のトークン数
英語に翻訳する事で、Characters(文章全体の文字数)がほぼ2倍になっているにも関わらず、トークン数は約半分に抑えられています。
この例から分かる様に、学習データ等で大量の入力が必要な場合は、一度英語に翻訳してから入力する事でコストをかなり削減する事が可能です。
過去の会話記録はなるべく含めない
ブラウザ版の様に会話形式で応答できる様な形でAPIを利用する場合、過去のやり取りを参照する為にもトークンを消費します。
全ての履歴を参照させる必要はなく、2~3回前の会話履歴までを参照させるように指定する事で、コストを抑えつつ、文脈に沿った応答が期待できます。
トークンの上限を指定する
予期せず請求が高額になってしまう事を防ぐためにも、利用上限の設定は必須です。
上限に達した場合でも後から変更できるので、必ず設定しておく事をお勧めします。
設定の仕方
OpenAI開発者プラットフォームページ左側の「Settings」から、「Billing」クリックします。
画像の様な画面に遷移するので、水色の矢印で囲んである「Usage Limits」を選択する事で、突き当たりの上限を設定する事が可能です。
APIの利用上限設定
ChatGPT APIの無料枠を使う方法
2024年4月現在、 ChatGPTに新規登録したユーザーは、5ドル分の無料クレジットが付与されます。
APIを本格的に導入する前に、各モデルの出力やトークン消費量を実際に試してみたい!という方におすすめです。
ChatGPT APIの無料枠の確認
ChatGPT APIの無料期間については、こちらの記事でくわしく解説しています。
➡️ChatGPT APIの無料期間とは?有効期限や確認方法について解説
まとめ
GPT-3.5 Turboは依然として強力なモデルであり、多くのテキストベースのタスクに対して十分な性能を提供しますが、より正確な出力や高度な文章理解を求める場合は、GPT-4-Turboの方が適していると言えるでしょう。しかしGPT-4 TurboとGPT-3.5 Turboにおいては出力・入力ともに10倍近くの価格差があります。
したがって、プロジェクトの要件が複雑なテキストの生成や長いコンテキストの理解を必要としない場合は、GPT-3.5 Turboはコスト効率の良い選択肢となります。
また前途の通り開発段階に応じて、段階的に使い分けるというアプローチも効果的です!
具体的なプロジェクトやサービスの開発においてどのモデルを選択すべきかは、プロジェクトのニーズ、予算、期待されるアウトプットの品質、処理速度など、多くの要素を総合的に考慮する必要があります。
また、モデルの性能や適用範囲については定期的にアップデートが行われるため、最新の情報に基づいた選択を行うことが大切です。この記事が最適なモデル選びの参考となれば幸いです!