この記事のポイント
- ChatGPT-4はGPT-3.5から大幅に進化した最新の対話AI
- 高度な文脈理解、マルチモーダル機能、長文処理が可能に
- 正確性と安全性が向上し、幅広い分野での活用が期待される
- 利用シーンに合わせたプラン選択と適切な活用が重要
- 情報の鮮度や正確性、機密保持など利用上の注意点にも留意が必要
監修者プロフィール
坂本 将磨
ChatGPT-4の登場で、AI活用の可能性が大きく広がりました。GPT-3.5から大幅に進化したChatGPT-4は、高度な文脈理解力を備え、画像の認識や生成もできる万能なAIアシスタントです。
ビジネスの効率化や創作活動の支援など、様々な場面で活躍が期待されています。しかし、その一方で利用上の注意点にも留意が必要です。
本記事では、ChatGPT-4の特長を解説し、場面に応じた効果的な活用方法をお伝えします。
最新のAI技術を使いこなすためのヒントが満載ですので、ぜひ参考にしてください。
最新モデル、OpenAI o1(o1-preview)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください⬇️
OpenAI o1(ChatGPT o1)とは?その特徴や使い方、料金体系を徹底解説!
目次
ChatGPT-4とは
ChatGPT-4は、OpenAIが開発した最新の対話型AIモデルです。2023年3月15日に発表されたこの製品は、前モデルのGPT-3.5から大幅な進化を遂げています。
GPT-4の開発は、AIの自然言語処理能力を向上させ、より人間に近い対話を実現するために行われました。
パラメーター数が増加したことにより、より複雑なテキスト理解や文章生成が可能になりました。また、テキスト入力に基づく画像生成など、新たな機能も追加されています。
GPT-4は、高度な文脈理解能力と、より人間らしい自然な会話を実現し、教育、ヘルスケア、カスタマーサービス、創作活動など、様々な分野での活用が期待されています。
GPT4
ChatGPT-4とChatGPT-3.5の違い
GPT-4は、以下の点でGPT-3.5から大きく進化しています。
特徴 | GPT3.5 | GPT4.0 |
---|---|---|
アクセス権 | サーバー負荷によるアクセス制限あり | 優先アクセス権の付与・高負荷時でもアクセス可 |
応答速度 | 標準 | 高速。GPT-3.5と比べ、応答速度が向上しています。 |
新機能へのアクセス | 制限あり | 早期アクセス可。新機能を早期に利用できます。 |
利用制限 | 利用時間や回数の制限あり | 制限なし、またはより緩和された制限。より自由に利用可能です。 |
サポート | 基本サポート | 優先的カスタマーサポート。専門スタッフによる手厚いサポートが受けられます。 |
機能 | 基本的な会話機能に限定 | 先進的な機能や特別なプラグインの利用可。高度な処理が可能です。 |
パラメータ数 | 1750億 | 5000億。より複雑な処理が可能です。 |
学習データ | 約1.5兆語 | 約4.5兆語。より広範囲の知識を持っています。 |
生成能力 | 文脈理解に課題あり | 文脈理解が向上し、より人間らしい文章生成が可能です。 |
マルチモーダル機能 | テキストのみ | テキストに加え、画像の理解と生成が可能です。 |
上記の表からわかるように、ChatGPT-4では様々な機能が強化されています。
ここでは、その中でも特に重要な4つのポイントについて解説します。
- 1.文脈理解の能力
- 2.マルチモーダル機能
- 3.利用できる文字数の大幅な引き上げ
- 4.出力の正確性と安全性
1.文脈理解の能力
GPT-4は文脈理解能力が大幅に向上しています。米国統一司法試験において、GPT-3.5は下位10%程度の点数だったのに対し、GPT-4は上位10%に相当する成績を出しました(グラフ左から6番目)。
また、その他の試験においてもGPT-3.5(青色)よりも好成績を残しています。
UBE-GPT4
また、英語でGPT-3.5に指示した場合よりも、GPT-4に日本語で指示した方が優れた文脈理解能力を持っているという結果が出ています。
これは、GPT-4の言語理解能力が言語を問わず向上していることを示しています。
GPT4.0日本語処理 (参考:OpenAI GPT-4 reserch)
2.マルチモーダル機能
GPT-4は画像解析機能と音声出力機能を統合したマルチモーダルAIです。
そのため、GPT-3.5では出来なかった、画像の入力・説明・音声の入出力が可能です。
これにより、従来のテキストベースでの対話から、視覚と聴覚を持ったAIとして発展しました。
マルチモーダルの解説画像
この機能により、GPT-4はより幅広い情報を理解し、活用することができます。
例えば、画像を見せながら質問することで、より正確で詳細な答えを得ることができます。
【関連記事】
➡️GPT-4V(vision)とは?その機能や料金体系、実際の活用例を解説!
3.入力・出力の最大文字数
GPT-4は、GPT-3.5と比べ、一度に処理できる文字数が大幅に増加しました。
- GPT-3.5
一度の対話で処理できる最大文字数は通常、数千文字の範囲内です。大きなデータを扱う場合は複数のリクエストに分けて処理する必要がありました。
- GPT-4
一度のリクエストで最大4096トークン(約16,000文字)まで処理できます。これにより、長い文章や複雑な会話でも、スムーズに処理することができます。
ChatGPT文字数制限
この改善により、GPT-4は長い文章の要約や、複雑な話題についての議論など、より高度な言語処理が可能になりました。
ChatGPTのモデル別の文字数の上限や、文字数制限への対策方法についてはこちらの記事で解説しています。
➡️ChatGPTの文字数制限は?回避方法やモデル別の上限について解説
4.出力の正確性と安全性
GPT-4は、GPT-3.5に比べて出力の正確性と安全性が大きく向上しています。
まず、GPT-4はハルシネーション(存在しない事実やデータの生成)が軽減されています。これは、データの質の向上、トレーニング手法の改善、大規模なデータセットによる学習の深化によって達成されました。
これにより、ユーザーはGPT-4による回答により高い信頼を置くことができます。
Mitigated hallucinations (参考: OpenAI GPT-4 research)
また、GPT-4は差別的、偏見を助長する、または人を傷つける可能性のある内容に対して、回答を拒否するように設定されています。
これにより、GPT-4は安全で倫理的な応答を提供することができます。
ChatGPT-4でできること
GPT-4は、GPT-3.5と比べ、以下の点で大きく進化しました。
- 1.より高度な文章の作成。
- 2.画像の読み取り・生成
- 3.高度なプログラミングやグラフの作成
以下で、それぞれの機能について詳しく説明します。
1.より高度な文章の生成
GPT-4は、GPT-3.5に比べて、より自然で複雑なテキストを生成することができます。GPT-4は、より大規模なデータセットで学習し、高度な文脈理解能力を持っているため、文章の流れや論理構造がより一貫性のあるものになります。
例えば、GPT-4を使って小説の一部を生成させると、登場人物の性格や物語の背景を考慮しながら、自然な会話や描写を生成することができます。また、GPT-4は専門的な用語や複雑な概念を適切に使いこなすことができるため、学術論文やビジネスレポートの作成にも役立ちます。
GPT-4の高度な文章生成能力は、ライターや編集者、翻訳者など、言語に関わる様々な職業の人々の作業を支援し、効率化することができるでしょう。さらに、教育の場面では、生徒の作文の添削や、教材の作成にも活用できます。
【関連記事】
➡️ChatGPTをライティングへ活用する方法とプロンプトを徹底解説!
2.画像の読み取り・生成
ChatGPT-4はDALL-E3を活用した画像生成機能があります。例えば、画像を入力すると、画像を読み取り説明します。
GPT画像説明
画像入力機能を使うことで、アップロードした画像に関する質問をすることができます。例えば、画像内の物体を識別するよう依頼したり、画像のシーンを説明してもらったりすることが可能です。ChatGPT-4はその画像を解析し、それに関連するテキスト情報を提供します。
また、類似画像の生成機能もあります。例えば、写真のイラスト化や類似画像の生成を頼むと、以下のような結果が得られます。
類似画像生成例
この機能は、デザイナーやアーティストの創作活動を支援したり、教育の場で視覚的な教材を作成したりするのに役立ちます。
画像生成機能であるDALL-E3については以下の記事で詳しく解説しています。
➡️【画像生成AI】DALL-E3とは?その魅力や使い方を徹底解説
3.高度なプログラミングやグラフの作成
GPT-4には、データ分析やプログラミングに特化した「Advanced Data Analysis」(旧称:Code Interpreter)機能が搭載されています。
この機能を活用することで、チャット内でのコードの実行や、エクセルデータからのグラフ作成など、高度な処理を行うことができます。
Advanced Data Analysis
コードの生成・実行
例えば、PythonのスクリプトをChatGPT-4に入力すれば、コードを解析し、その実行結果やデータを可視化します。
コードの生成・実行1
コードの生成・実行2
この機能は、プログラミング初心者の学習を支援したり、経験豊富な開発者の作業を効率化したりするのに役立ちます。
【関連記事】
➡️ChatGPTをプログラミングに活用するコツを解説!対応言語や使用例も
グラフの作成
また、Advanced Data Analysis機能を用いて、テキストやエクセルファイルのデータから様々な形式のグラフを作成できます。
以下のような実例がXに投稿されています。
【購買データのエクセル表から様々なグラフを作成】
ChatGPTの新機能、Code Interpreter強すぎる
— usutaku@AI情報解説 (@usutaku_channel) July 10, 2023
お店の一年間の購買データのExcelファイルを投げて「いい感じに分析してください」と伝えただけ。
グラフの色や形式も一切指定せずにこのクオリティなのやばくない? pic.twitter.com/NSn1190Qpw
【一瞬でコンサルのようなグラフを作成】
グラフで最も強調したい箇所だけ「赤」に変更。凄いぞ、ChatGPT Code interpreter!
— 横山信弘|絶対達成のために組織を変える (@nyattx) July 11, 2023
さらに別のグラフも作ってみた(つづく⤵) pic.twitter.com/w3V7AXnuSO
このように、GPT-4のAdvanced Data Analysis機能を使えば、プログラミングやデータ分析の専門知識がなくても、高度な処理を行うことができます。
ビジネスの現場での利用はもちろん、プログラミングの学習や、研究データの可視化などにも役立つでしょう。
GPT-4の高度なデータ処理能力を活用する方法については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
➡️ChatGPTでグラフを作成する方法!プラグイン不要でエクセルにも活用!
ChatGPT-4の料金体系
GPT-4は「ChatGPT Plus(月額20ドル)」または「ChatGPT Team」に加入する事で使用可能です。
【関連記事】
➡️ChatGPT4の料金と支払い方法を解説!GPT-4を無料で利用する方法も紹介
GPT-4の料金
- ChatGPT Plus
個人向けのプランで、GPT-4へのアクセス、高速応答、優先的なカスタマーサポートなどのメリットがあります。
- ChatGPT Team
ビジネス向けのプランで、セキュリティ機能の強化、管理ツールの提供、大量のAPIコールなどが可能です。
また、Microsoftが提供するMicrosoft Copilotには、標準でGPT-4が搭載されています。
CopilotはEdgeブラウザからアクセス可能で、Microsoftアカウントへの登録だけで誰でも無料で利用できます。
Copilotの画像
機能面はChatGPTの有料版であるChatGPT Plusと殆ど同様で、画像生成やブラウジング機能も備わっています。
加えて、サイドバーにCopilotを固定する事もできるので、YoutubeやWebサイトの要約も簡単に行えます。
Microsoft Copilotの詳細や利用方法については、以下の記事で解説しています。
➡️GPT-4搭載!Microsoft Copilotとは?できることや料金をわかりやすく解説
ChatGPT-4利用時の注意点
GPT-4は様々な優れた機能を搭載していますが、使用において注意しておきたい点があります。
- 1.学習データの期間
- 2.出力内容の誤り
- 3.入力データの取り扱い
以下で詳しく解説します。
1.学習データの期間
GPT-4の学習データは2023年4月までの情報に基づいているため、それ以降の出来事や情報については直接の回答を得ることができません。
しかし、Webブラウジング機能や特定のプラグインを通じて、最新の情報を取得することが可能です。
これらの機能により、GPT-4は最新のニュースや情報にアクセスし、その内容を考慮した回答を提供することができます。
【関連記事】
➡️ChatGPTでネット検索・接続をする方法は?プラグイン不要の方法も紹介!
プラグインとブラウジング
また、API経由でのみ利用可能なGPT-4 Turboは、2024年4月までの学習データを持っているため、よりアップデートされた情報を提供できます。
2.出力内容の誤り
AIは入力されたデータを学習し、それに基づいてコンテンツを生成します。そのため、ハルシネーションと呼ばれる誤情報や偏りが結果に反映される可能性があります。
参考:OpenAI
技術進歩によりAIを使った自動ファクトチェックの試みもありますが、現段階では人間による判断が重要です。AIの利便性を活用するためには、その正確性を保証するファクトチェックが欠かせません。
特に、ビジネスや研究の場で利用する際は、AIの出力を鵜呑みにせず、必ず人間が内容を確認する必要があります。
ハルシネーション例
3.入力データの取り扱い
ChatGPTに入力した情報は機械学習に使われる可能性があり、企業機密の取り扱いには注意が必要です。実際に韓国のサムスン電子では、社員が機密情報をChatGPTに入力した結果、社内情報が漏洩したケースがあります。
入力データ機械学習画像
ChatGPTの利用に際して、入力した情報をOpenAIの機械学習に使われたくない場合、オプトアウト設定がおすすめです。
この設定を行うことで、「自分の入力データがAIの学習に使用されること」を防止できます。
【関連記事】
➡️ChatGPTのオプトアウトとは?入力データを学習させない為の設定方法
また、企業での利用にあたっては、AIの利用ガイドラインを策定し、従業員教育を行うことが重要です。
例えば、機密情報をAIに入力しないルールを設けたり、AIの出力内容を複数人でチェックする体制を整えたりすることが考えられます。
ビジネス利用が目的の場合、セキュリティがより強化されたChatGPT Teamや、ChatGPT Enterpriseの利用を検討することをおすすめします。
【関連記事】
➡️ChatGPT Enterpriseの料金を解説!Teamプランとの違いについても紹介
まとめ
本記事では、ChatGPT-4の特徴や活用方法、注意点について詳しく解説しました。ChatGPT-4は、GPT-3.5から大幅に進化し、高度な文脈理解能力やマルチモーダル機能を備えた最新の対話型AIモデルです。
文章生成、画像処理、プログラミング、データ分析など、幅広い分野での活躍が期待されており、教育、研究、創作、ビジネスなど様々な場面で人々の作業を支援し、効率化することができるでしょう。
一方で、利用時の注意点にも留意が必要です。特に企業での利用にあたっては、AIの利用ガイドラインの策定と従業員教育が重要です。
ChatGPT-4を適切に活用することで、AIと人間が協力し合い、より良い社会を作っていくことができるはずです。皆さんも、GPT-4の特徴を理解し、AI時代の新しい可能性を一緒に探求していきましょう。