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Dialogflowとは?使い方や料金体系、無料プランについて解説!

この記事のポイント

  • Google Cloud環境でチャットボットを構築するならDialogflowが第一候補。プログラミング不要で30言語以上に対応し、LINEやSlackとの連携も容易
  • まずは無料のTrial Editionでプロトタイプを作り、効果を検証してからES Edition(従量課金)へ移行するのが合理的
  • 単純なFAQ対応にはESエージェント、複雑な会話フローが必要な場合はCXエージェントを選ぶべき。過剰スペックは避けるべき
  • 2026年時点でDialogflow CXコンソールはConversational Agentsコンソールに統合済み。新規プロジェクトはCXベースで開始すべき
  • AWS環境ならAmazon Lex、Microsoft Teams中心ならAzure Bot Service、オンプレミス要件があるならRasaも選択肢に入る
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


Dialogflowは、Googleが提供する対話型AI構築プラットフォームです。プログラミング不要で30言語以上に対応したチャットボットを構築でき、LINE・Slack・Webサイトなど多様なチャネルに接続できます。

2026年3月時点では、Dialogflow CXコンソールがConversational Agentsコンソールへ統合され、生成AI機能(Generative Playbooks・Data Stores)がネイティブに組み込まれるなど、プラットフォームとしての進化が続いています。

本記事では、Dialogflowの基本概要からESとCXの違い、料金体系、使い方の手順、ポケモンやユニクロなどの企業活用事例、他ツールとの比較、導入時の注意点までを体系的に解説します。

Dialogflowとは

DialogflowアイコンDialogflowのアイコン

Dialogflowは、Googleが提供する対話型AI構築プラットフォームです。自然言語処理と機械学習の技術を活用し、ユーザーのテキストや音声による問いかけを理解して自然な対話を実現するチャットボットを構築できます。

Webサイト、モバイルアプリ、LINE、Slack、Google アシスタントなど、複数のチャネルに同時接続できるため、顧客がすでに利用しているプラットフォーム上でサービスを提供できる点が大きな強みです。

2026年3月時点では、Dialogflow CXコンソールがConversational Agentsコンソールに統合されています。このコンソールは、従来のDialogflow CXの機能に加え、Vertex AI Agent Builderの機能も統合した新しい管理画面です。生成AIを活用した「Generative Playbooks」や「Generative Data Stores」にも対応しており、従来のルールベースの対話設計と生成AIベースの柔軟な対話を組み合わせた開発が可能になっています。

Dialogflowには、標準的な対話エージェントを構築する**ES(Essentials)エディションと、より高度な会話フロー設計が可能なCX(Customer Experience)**エディションの2種類があります。用途に応じて適切なエディションを選ぶことが、コストと機能のバランスを取るうえで重要なポイントです。


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Dialogflowの主な特徴

Dialogflowが多くの企業に選ばれている理由を5つの観点から整理します。それぞれの特徴は、導入を検討する際の判断材料として活用できます。

ノーコードで構築できる対話フロー設計

Dialogflowは、ドラッグ&ドロップによる会話フローの設計やテンプレートの利用など、プログラミングの知識がなくても直感的なインターフェースでチャットボットを構築できます。

CXエディションではビジュアルフロービルダーが用意されており、会話の分岐やループを視覚的に設計できます。専門の開発チームを持たない企業でも、カスタマーサポート担当者自身がボットのシナリオを作成・調整できるため、開発コストの削減と運用スピードの両立が可能です。

社内にエンジニアがいない状態でチャットボットを導入したい場合は、まずESのTrial Editionでノーコード設計を体験してみることをおすすめします。

30言語以上の多言語対応

Dialogflowは30以上の言語をサポートしており、グローバル市場への展開を見据えた企業に適しています。言語検出機能により、ユーザーの言語を自動的に識別して適切な言語で応答を返すことも可能です。

日本語・英語・中国語・韓国語をはじめとする主要言語はもちろん、ポルトガル語やヒンディー語などにも対応しているため、多拠点展開やインバウンド対応が求められる業種では導入効果が高くなります。

外部サービス・SNSとの豊富な連携

LINE、Slack、Facebook Messenger、Microsoft Teams、Telegramなど主要なメッセージングプラットフォーム向けのコネクタが用意されています。APIを介した連携も容易で、自社の基幹システムやCRMとの接続もFulfillment機能(Webhook連携)で実現できます。

顧客がすでに使い慣れたチャネル上でサービスを提供できるため、新しいアプリのインストールを求める必要がなく、顧客のエンゲージメント向上につながります。

Google Cloudインフラによるスケーラビリティ

Google Cloudのインフラストラクチャ上で動作するため、トラフィックの増加に応じて自動的にリソースがスケールします。セール期間やキャンペーン時にアクセスが急増しても、インフラ側の手動対応なしに安定したサービスを提供できます。

Google Cloudのセキュリティ基盤(暗号化、IAM、コンプライアンス認証)がそのまま適用される点も、金融や医療など規制の厳しい業界での採用を後押ししています。

機械学習と生成AIによる自己改善

Dialogflowは、ユーザーとの会話データを蓄積し、そのデータをもとに自動的にモデルを更新します。運用を続けるほど応答精度が向上する仕組みです。

2026年時点ではさらに、Conversational Agentsコンソールを通じて生成AI機能が統合されています。「Generative Playbooks」でLLMベースの柔軟な応答を設計し、「Generative Data Stores」で社内ナレッジベースをそのまま会話の情報源として接続できるようになりました。従来のルールベース設計(Deterministic Flows)との併用も可能で、正確さが求められる部分はルールベース、自由な質疑応答は生成AIという使い分けが推奨されています。


Dialogflow ESとCXの違い

Dialogflowを導入する際に最初に判断すべきなのが、ESエージェントとCXエージェントのどちらを使うかです。この選択はコストと開発の複雑さに直結するため、自社の要件に照らして慎重に決める必要があります。

以下の表で、ESとCXの主要な違いを整理しました。

比較項目 ES(Essentials) CX(Customer Experience)
想定規模 小〜中規模 中〜大規模
会話設計の方法 インテント+コンテキスト フロー+ページ(ビジュアルビルダー)
会話の複雑さ 1問1答〜簡単な分岐 多段分岐・ループ・サブフローに対応
多言語対応 対応(エージェント単位) 対応(フロー単位で言語切替可能)
生成AI機能 非対応 Generative Playbooks / Data Stores対応
テキストリクエスト単価 $0.002/リクエスト $0.007/リクエスト
無料枠 Trial Editionあり(機能制限つき) 初回$600クレジット
ビジュアルフロービルダー なし あり
Conversational Agentsコンソール 別コンソール 統合済み


この比較から分かるのは、ESは「早く・安く始めたい」ケースに強く、CXは「複雑な会話フローを正確に制御したい」ケースに適しているという点です。

ESエージェントが向いているケース

ESは**インテント(ユーザーの意図分類)とコンテキスト(会話の文脈管理)**を軸に会話を設計します。FAQ対応や簡単な問い合わせ窓口など、会話パターンが限定的なユースケースに向いています。

具体的には、以下のような場面で選ぶのが合理的です。

  • 社内ヘルプデスクの一次対応
    よくある質問への自動回答。回答パターンが50件以内であればESで十分

  • ECサイトの配送状況確認
    注文番号を受け取って外部APIから情報を取得する程度の単純なフロー

  • プロトタイプ・検証フェーズ
    まずは無料のTrial Editionで動作検証し、効果を確認してから拡張を検討する


ESはインテント数が増えると管理が煩雑になりやすいため、100件を超える会話パターンが見込まれる場合はCXへの移行を視野に入れるべきです。

CXエージェントが向いているケース

CXは**フロー(会話の大きな流れ)とページ(個々のステップ)**で構成される、ビジュアルフロービルダーを備えたエージェントです。会話パスが複雑に分岐するユースケースで力を発揮します。

  • コールセンターの自動応答
    問い合わせ内容の分類→担当部署への振り分け→エスカレーション判定まで一気通貫で処理

  • 予約・注文システム
    日時選択→オプション確認→決済連携→確認通知といった多段階のフローが必要

  • 多言語対応が必要なグローバルサービス
    フロー単位で言語を切り替えられるため、1つのエージェントで複数言語をカバーできる


CXの初回利用者には$600分のクレジットが付与されるため、ESで始めるか迷った場合はCXのトライアルクレジットで実際に触ってみるのも一つの手段です。


Dialogflowの料金体系

Dialogflowの料金は従量課金制で、使用したリクエスト数に応じて毎月請求されます。初期費用はかからず、スモールスタートから始められる設計です。

以下の表で、エディション別の主要な料金を整理しました。2026年3月時点の公式料金に基づいています。

ESエージェントの料金

機能 Trial Edition Essentials Edition
テキストリクエスト 無料 $0.002/リクエスト
音声入力(STT) 無料 $0.0065/15秒
音声出力(標準) 無料 $4/100万文字
音声出力(WaveNet) 無料 $16/100万文字
ナレッジコネクタ 無料 無料
感情分析 利用不可 $1.00/1,000件(〜100万件)


Trial Editionは機能制限があるものの、ESエージェントの主要機能を無料で試せます。利用量の上限があるため本番環境には向きませんが、プロトタイプ検証には十分です。Essentials Editionに移行しても、テキストリクエスト1件あたり約0.3円($0.002)と低コストで運用できます。

CXエージェントの料金

機能 CX Edition
テキストリクエスト $0.007/リクエスト
音声入出力 $0.001/秒
設計時リクエスト(読み取り・書き込み) 無料
初回クレジット $600分


CXはESの約3.5倍のリクエスト単価ですが、ビジュアルフロービルダーや生成AI機能など、高度な機能が利用できます。月間10万リクエスト規模であれば月額約$700(約10万円)が目安です。

料金を抑えるためのポイント

コスト最適化の観点では、以下の順序で導入を進めるのが合理的です。

  1. Trial Editionでプロトタイプを構築し、ユースケースの有効性を検証する
  2. 検証で効果が確認できたらEssentials Editionに移行し、本番運用を開始する
  3. 会話フローが複雑化してESでは管理しきれなくなった段階で、CXへの移行を検討する

この段階的なアプローチにより、初期段階での過剰投資を避けつつ、ビジネスの成長に合わせてスケールできます。

詳細な料金の最新情報は公式の料金ページで確認してください。


Dialogflowの使い方

ここでは、Dialogflow ESエージェントの基本的な構築手順を紹介します。プログラミングの知識がなくても、以下の手順でチャットボットを作成できます。

アカウント作成

まずDialogflowのコンソールにアクセスし、Googleアカウントでサインインします。

サインイン画面」サインイン画面

初めて利用する場合は、利用規約への同意が求められます。チェックを入れて「ACCEPT」をクリックしてください。

利用規約利用規約

続いて、画面中央の「Get started」をクリックします。

Getstarted「Get started」のクリック

右上の「無料で利用開始」を選択し、必要な情報を入力します。無料利用の場合でもクレジットカード情報の入力が必要ですが、自動課金はされません。

無料で利用開始「無料で利用開始」の選択

エージェントの作成

画面左上の「Create Agent」をクリックし、エージェント名・言語・タイムゾーン・Google Cloudプロジェクトを設定します。

CreateAgent「Create Agent」のクリック

Agentの項目入力必要事項の入力画面

言語は後から追加できますが、デフォルト言語は変更できないため、主要な対象言語を最初に選んでおくことが重要です。

インテント(Intent)の設定

インテントとは、ユーザーの発話を「意図」のカテゴリに分類するための仕組みです。左メニューの「Intents」から新しいインテントを作成します。

「ADD TRAINING PHRASES」に、想定されるユーザーの質問を入力します。同じ意図でも表現のバリエーション(「営業時間は?」「何時から開いてますか?」など)を複数登録することで、認識精度が向上します。

ADDTRAININGPHRASESIntents作成画面その1

下部の「Responses」で、そのインテントに対する応答メッセージを設定します。設定が完了したら右上の「SAVE」を忘れずにクリックしてください。

SaveIntents作成画面その2

詰まりポイント:トレーニングフレーズの登録数

トレーニングフレーズが少なすぎると認識精度が低くなり、多すぎるとインテント間で競合が起きます。1インテントあたり10〜20件のフレーズを目安にし、運用開始後のログを見ながら追加・調整するのが実務上のベストプラクティスです。

動作テスト

画面右上の「Try it now」パネルから実際にテキストを入力し、応答を確認できます。

IntentsテストIntentsのテスト画面

テストで意図どおりに分類されない場合は、トレーニングフレーズを追加するか、エンティティ設定を見直します。Intents以外にも以下の機能でカスタマイズが可能です。

エンティティ(Entity)

エンティティは、ユーザーの発話から特定の情報(日付、商品名、地名など)を抽出するための仕組みです。インテントが「何をしたいか」を判定するのに対し、エンティティは「その中の具体的なデータ」を取り出します。

同義語や表記のゆれ(「東京」「とうきょう」「Tokyo」など)を登録しておくことで、さまざまな表現に対応できるようになります。

フルフィルメント(Fulfillment)

フルフィルメントは、Webhookを通じて外部サーバーと通信し、動的に応答を生成する機能です。たとえば在庫管理システムのAPIを呼び出して「在庫あり」「在庫なし」をリアルタイムに返答したり、予約システムと連携して空き枠を案内したりできます。

定型的な応答だけでなく、実際のビジネスデータに基づいた対話を実現するための中核機能です。


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Dialogflowの活用事例

Dialogflowは、さまざまな業界でチャットボットの基盤として活用されています。ここでは代表的な3つの企業事例を紹介します。

ポケモン「ピカチュウトーク」

株式会社ポケモンは、Dialogflowを活用してスマートスピーカー向けの音声対話アプリ「ピカチュウトーク」を開発しました。Google アシスタント搭載デバイスに話しかけると、ピカチュウの声で会話ができるというエンターテインメント用途の事例です。

キャラクターの声色や反応パターンをDialogflowのインテント設計で制御し、ユーザーの発話に対してピカチュウらしい自然な応答を返す仕組みを実現しています。AIチャットボットの活用領域が顧客サポートだけでなく、エンターテインメントにまで広がっていることを示す事例です。

ドミノピザ「Dom」

世界18,000店舗以上を展開するドミノピザは、Dialogflowを組み込んだ注文用ボット「Dom」を構築しました。Google アシスタント搭載デバイスに「OK Google、ドミノピザに話しかけて」と話しかけるだけで、音声による注文が可能です。

モバイルアプリ内のチャットボットにもDialogflowが採用されており、ピザのカスタマイズ・サイドメニュー選択・配達先指定といった複雑な注文フローを、対話形式で簡潔に完結できる仕組みを実現しています。

ユニクロ「UNIQLO IQ」

ユニクロは、自社アプリ上で動作するお買い物アシスタント「UNIQLO IQ」にDialogflowを組み込みました。会話を通じて商品検索、コーディネート提案、在庫確認、オンラインストアでの購入、配送状況の確認まで幅広い対応が可能です。

日本経済新聞の報道によると、導入後は問い合わせの半数以上が従来の電話・メールからチャット経由に切り替わり、対応処理量が約2倍に増加したとされています。対話型UIの導入が、顧客体験の向上とオペレーションコストの削減を同時に実現した好例です。


これらの事例に共通しているのは、Dialogflowのノーコード設計と外部連携機能を組み合わせることで、短期間で顧客接点のデジタル化を実現している点です。自社の顧客対応で「毎日同じ質問に何十回も答えている」業務があるなら、まずはそこをDialogflowで自動化するのが最も効果を実感しやすいスタートラインです。

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Dialogflowと他のチャットボットツールの比較

Dialogflowは有力なチャットボット構築プラットフォームの一つですが、用途やインフラ環境によっては他のツールが適しているケースもあります。以下の表で、主要な4プラットフォームの特徴を比較しました。

比較項目 Dialogflow(Google) Amazon Lex(AWS) Azure Bot Service(Microsoft) Rasa(OSS)
提供形態 マネージドサービス マネージドサービス マネージドサービス オープンソース(セルフホスト)
対応言語 30言語以上 主要8言語 多言語対応 任意(自前で対応)
ビジュアルフロービルダー CXで利用可 なし Bot Framework Composerあり なし(コードベース)
生成AI統合 Generative Playbooks Amazon Bedrock連携 Azure OpenAI Service連携 LLM連携は自前構築
音声対応 STT/TTS標準対応 Alexa基盤 Speech Services連携 自前構築
最適なインフラ Google Cloud AWS Azure / Microsoft 365 オンプレミス / プライベートクラウド
料金モデル 従量課金 従量課金 従量課金 無料(インフラ費用は別途)


選定の判断基準は、自社のクラウド環境と既存のシステム構成に大きく左右されます。

  • Google Cloud環境が中心、またはLINE連携を重視する場合
    Dialogflow CXが第一候補。30言語対応とビジュアルフロービルダーが差別化ポイント

  • AWS環境が中心で、Alexa連携が必要な場合
    Amazon Lexが自然な選択肢。AWS Lambdaとの統合が容易

  • Microsoft Teams / Microsoft 365を社内で広く利用している場合
    Azure Bot ServiceならEntra ID(旧Azure AD)との統合で社内ボットを素早く展開できる

  • データを社外に出せないセキュリティ要件がある場合
    Rasaならオンプレミス環境に完全に閉じた運用が可能。ただし構築・運用にエンジニアリソースが必要


「マルチクラウド環境で複数のボットツールを併用する」ケースも増えていますが、運用コストが分散するリスクがあるため、まずは自社の主要クラウドに合わせた一元化を推奨します。


Dialogflow導入時の注意点

Dialogflowは導入のハードルが低い一方で、本番運用にあたっては事前に把握しておくべき制約があります。

ESからCXへの移行は再設計が必要

ESとCXは内部アーキテクチャが根本的に異なります。ESではインテントとコンテキストで会話を制御しますが、CXではフローとページに基づく状態遷移モデルを採用しています。そのため、ESからCXへの移行は単純なデータエクスポート/インポートでは完了せず、会話フローの再設計が必要です。

Google公式の移行ガイドでは、自動移行ツールが「カスタムエンティティとインテントのトレーニングフレーズのみ」をコピーする旨が明記されており、フルフィルメントやコンテキスト制御は手動で再構築する必要があります。

将来的にCXへの移行が見込まれる場合は、ES段階からインテントの設計を整理しておくことで移行コストを抑えられます。

Dialogflow CXコンソールの統合

2025年10月31日をもって、Dialogflow CXコンソールはConversational Agentsコンソールに統合されました。既存のCXエージェントはそのまま新コンソールからアクセスできますが、UIの配置や設定画面が変わっているため、既存の操作マニュアルがある場合は更新が必要です。

なお、ESエージェントは引き続き従来のDialogflow ESコンソールで管理します。ESコンソールの廃止は2026年3月時点では発表されていません。

応答品質はトレーニングデータの質に依存する

Dialogflowの応答精度は、登録するトレーニングフレーズの質と量に比例します。運用開始直後は誤認識が多く発生するのが通常であり、初期のチューニング期間(1〜3か月程度)を織り込んだ運用計画が必要です。

チャットボットの運用開始後は、定期的に「未認識の発話ログ」を確認し、新しいインテントやトレーニングフレーズとして追加するサイクルを回すことが品質維持の鍵です。

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個人情報の取り扱い

Dialogflowで処理される会話データはGoogle Cloudのサーバーを経由します。個人情報や機密情報を含む対話を扱う場合は、Google Cloudのデータ処理規約を確認し、自社のセキュリティポリシーとの整合性を事前に検証してください。

チャットボットのセキュリティリスクを理解したうえで、機密度の高いデータはフルフィルメント側(自社サーバー)で処理し、Dialogflow側には必要最小限の情報のみを渡す設計が推奨されます。


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Dialogflowで対話型AIを構築した経験は、カスタマーサポートにとどまらず、社内の業務プロセス全体にAIを適用するための基盤になります。チャットボットの設計・運用で得たノウハウを、業務自動化の次のステージに活かしてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

本記事では、Googleが提供する対話型AI構築プラットフォームであるDialogflowについて、基本概要からESとCXの違い、料金体系、使い方、企業活用事例、他ツールとの比較、導入時の注意点までを解説しました。

Dialogflowの導入を検討する際に押さえるべきポイントは3つあります。

1つ目は、まず小さく始めることです。Trial Editionは無料で利用でき、プログラミング不要でプロトタイプを構築できます。実際に動くチャットボットを作ってみることで、自社の業務にどの程度フィットするかを具体的に判断できます。

2つ目は、ESとCXを適切に使い分けることです。FAQ対応や単純な問い合わせにはESで十分ですが、多段階の会話フローや生成AI連携が必要になったらCXへの移行を検討してください。過剰なスペックでの導入は運用コストを押し上げます。

3つ目は、自社のクラウド環境に合った選択をすることです。Google Cloud環境ならDialogflow、AWSならAmazon Lex、Microsoft環境ならAzure Bot Serviceが自然な選択肢です。ツール単体の機能比較だけでなく、既存のインフラとの統合コストまで含めて判断することで、長期的な運用負荷を最小化できます。

チャットボットは導入がゴールではなく、運用しながらトレーニングデータを改善し続けることで真の価値が生まれます。まずは1つの業務——たとえば「よくある質問の自動応答」から始めて、効果を実感するところからスタートしてみてください。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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