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Azure Data Factoryとは?Microsoft Fabricとの違いも解説

この記事のポイント

  • 新規でデータ分析基盤を構築するなら、Microsoft FabricのData Factoryを第一候補にすべき
  • 既存のADF環境は廃止予定なく継続サポートされるため、安定稼働中なら無理に移行する必要はない
  • 中長期的にはFabricへの移行を視野に入れるべき。ADFアクティビティの約90%がFabric版でも利用可能
  • Power BIを多用しているなら、Fabric版でデータ準備から可視化までをシームレスに統合すべき
  • まずはFabricの無料試用版で体験し、既存ADF環境との比較検討から始めるべき
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

Azure Data Factoryは、従来のスタンドアロン版と、統合分析プラットフォーム「Microsoft Fabric」に内包された次世代版の2種類が存在します。
2026年現在、Microsoftのデータ統合戦略の軸足は明確にFabricへと移行しており、ADFアクティビティの約90%がFabric Data Factoryでも利用可能になっています。


本記事では、Azure Data Factoryの基本機能に加え、Microsoft Fabricとの違いを徹底比較し、自社の状況に合った最適なツールを選ぶための指針を提供します。
これからデータ統合を始める方から、既存ADF環境の今後を検討している方まで、全てのデータ技術者必見の内容です。

Azure Data Factoryとは

Azure Data Factoryイメージ
Azure Data Factoryイメージ

Azure Data Factory (ADF)は、様々な場所に散在するデータを集約し、ビジネスで活用できる形に加工・変換(ETL/ELT処理)するための、クラウドベースのデータ統合サービスです。ADF自体はデータを保存するデータベースではなく、データの「抽出、変換、読み込み」という一連のプロセスを自動化する「パイプライン」を構築・実行する役割を担います。

オンプレミスのファイルサーバーからクラウド上のデータウェアハウスへデータを転送したり、Web APIから取得したJSONデータを整形してデータベースに格納したりと、データ駆動型のワークフローをコードを書かずに(または最小限のコードで)作成できるのが大きな特徴です。Azure上で動作するマネージドサービスであるため、インフラの管理は不要です。

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Azure Data FactoryとMicrosoft Fabric:どちらを選ぶべきか?

現在、Microsoftのデータ統合サービスを検討する上で、従来の「Azure Data Factory(ADF)」と、新しい「Data Factory in Microsoft Fabric」のどちらを選択するかは、最も重要な意思決定の一つです。両者は同じ「Data Factory」の名前を冠していますが、そのアーキテクチャと最適なユースケースは異なります。

2つのData Factoryの違い

まず、両者の立ち位置と特徴の違いを以下の表で確認しましょう。

機能項目 Azure Data Factory (ADF) Data Factory in Microsoft Fabric
プラットフォーム Azureの独立したサービス (PaaS) 統合分析基盤「Microsoft Fabric」の一部 (SaaS)
データ変換 マッピングデータフロー Dataflow Gen2 (Power Queryベース)
主要コンポーネント リンクされたサービス, データセット, パイプライン 接続, パイプライン
対象ユーザー データエンジニア、ITプロフェッショナル データエンジニア、Power BI開発者、市民開発者
最適なシナリオ 既存のAzureサービスとの連携、複雑なETL処理 エンドツーエンドの分析基盤構築、セルフサービスBI

Azure Data Factoryは、長年の実績がある成熟したサービスであり、Azure Synapse AnalyticsやAzure SQL Databaseなど、既存のAzureサービス群と深く連携する複雑なデータパイプラインを構築する場合に依然として強力です。

一方、Data Factory in Microsoft Fabricは、データ統合からデータエンジニアリング、データサイエンス、そしてPower BIによる可視化まで、すべてのプロセスを「OneLake」という単一のデータレイク上でシームレスに実行できる、次世代のSaaSエクスペリエンスです。特に、これから新しいデータ分析基盤を構築する場合には、第一の選択肢となるでしょう。

こんな方にはこちらがおすすめ

どちらのサービスを選ぶべきか、具体的なシナリオ別に推奨をまとめます。

  • Azure Data Factoryがおすすめな方
    既にAzure Synapse Analyticsなどを中心としたデータ基盤を運用している方、オンプレミスのSQL Server Integration Services (SSIS) のパッケージをクラウドへ移行したい方、ファイルの到着などをトリガーにした複雑なイベント駆動型のパイプラインが必要な方に適しています。

  • Data Factory in Microsoft Fabricがおすすめな方
    これから新しいデータ分析基盤をゼロから構築したい方、Power BIを多用しておりデータ準備から可視化までをスムーズに行いたい方、データエンジニアだけでなくアナリストや市民開発者もデータ準備に参加できるようにしたい方に適しています。

どちらの選択肢も並行して利用可能であり、まずはFabricの無料試用版でData Factoryの体験を始め、既存のADF環境と比較検討するのも有効なアプローチです。


Azure Data Factoryの最新動向(2026年)

2026年現在、Microsoftのデータプラットフォーム戦略の軸足は、明確にMicrosoft Fabricへと移っています。Data Factoryに関する技術革新や新機能の多くは、Fabric版を中心に展開されています。

開発の焦点がFabricへ

Microsoftは、2024年半ば以降、スタンドアロン版ADFの大規模な機能アップデートを縮小し、開発リソースをFabric Data Factory(FDF)に集中させています。2026年現在、ADFで利用可能なアクティビティの約90%がFabric Data Factoryでも利用可能になっており、移行の技術的障壁は着実に低下しています。

Microsoftは、ADFの資産を評価し、Fabric Data Factoryへの移行を計画するためのガイダンスとツールも公開しています。

Fabric版Data Factoryの2026年アップデート

2026年1月のFabric機能アップデートでは、Data Factory関連で以下の改善が行われています。

  • ゲートウェイの性能向上
    ゲートウェイビルドv3000.302がリリースされ、コピージョブおよびパイプラインアクティビティにおけるCSVデータの読み取り性能が改善されました。読み書き操作のアダプティブチューニングも導入されています。

  • AIカタログとOneLakeガバナンス
    AI搭載のカタログエクスペリエンスが追加され、データ資産の発見と管理がより直感的になりました。OneLakeのガバナンス機能も強化されています。

スタンドアロン版ADFの現在

開発の焦点がFabricに移ったからといって、スタンドアロン版ADFがすぐに使えなくなるわけではありません。Microsoftは、ADFおよびSynapseパイプラインの廃止予定はなく、引き続きフルサポートを継続すると明言しています。既存のAzure環境で安定稼働しているミッションクリティカルなデータ基盤を支えるサービスとして、継続的なメンテナンスとセキュリティパッチが提供されます。

ただし、今後の新規プロジェクトについては、Fabric Data Factoryでの開始が推奨されています。既存のADF環境を直ちに移行する必要はありませんが、中長期的なロードマップとしてFabricへの移行を視野に入れておくことが重要です。


Azure Data Factoryの主要な概念

ここでは、主にスタンドアロン版のAzure Data Factoryを例に、その動作を理解する上で重要な3つの基本概念を解説します。これらの概念は、Fabric版では一部簡素化されていますが、基本的な考え方は共通しています。

パイプライン

パイプライン
パイプラインの画像

パイプラインは、一連の処理(アクティビティ)をまとめて定義したものです。「データの抽出、変換、ロード」といった一連の作業を自動化するためのワークフローと考えることができます。

パイプラインは、決まった時間に実行(スケジュール実行)したり、特定のイベント(例: ファイルがストレージに置かれた)をきっかけに実行したりできます。

アクティビティ

アクティビティ
アクティビティの画像

アクティビティは、パイプラインを構成する個々の処理ステップです。以下に、代表的なアクティビティを紹介します。

  • データコピー
    あるデータストアから別のデータストアへデータをコピーします。

  • データフロー
    後述するマッピングデータフローを実行し、データの変換処理を行います。

  • ストアドプロシージャ
    データベースのストアドプロシージャを実行します。

これらのアクティビティを線でつなぎ、実行順序や依存関係を定義することで、パイプラインを構築します。

データセット

データセットは、アクティビティが利用するデータの「構造」を定義したものです。これは、操作したいデータがどのデータストアに(例: Azure Blob Storage)、どのような形式で(例: CSVファイル、特定のフォルダパス)存在するかを指し示す、いわば「データの住所録」のような役割を果たします。

Microsoft Fabricでは、このデータセットの概念は「接続」に統合され、よりシンプルな構成になっています。


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Azure Data Factoryの料金

このセクションでは、スタンドアロン版のADF V2の価格について解説します。

以下の表に、Azure Data Factoryの主要な料金項目をまとめました。2026年3月時点、Japan Eastリージョンの価格です。最新情報はAzure Data Factory 公式料金ページをご覧ください。

サービスの種類 料金モデル 備考
オーケストレーション ¥151.586/1,000 実行 アクティビティの実行、トリガーの実行、デバッグ実行を含む
データ移動アクティビティ ¥37.897/DIU時間 Azure データセンターからデータを送信する際には、ネットワーク帯域幅の追加料金が発生する
パイプライン アクティビティ ¥0.758/時間 ~ ¥151.586/時間 検索、メタデータの取得、削除などを含む。統合ランタイム上で実行される
外部パイプライン アクティビティ ¥0.037897/時間 ~ ¥151.586/時間 Databricks、ストアドプロシージャ、HDInsight のアクティビティなどを含む
Data Flow の実行とデバッグ 汎用:仮想コア時間あたり ¥45.817 大規模なデータ変換を実現するData Factory内のコンポーネント。最小クラスターサイズは 8 仮想コア
メモリ最適化:仮想コア時間あたり ¥55.291
予約割引 1 年予約:最大 25% 割引、3 年予約:最大 35% 割引 汎用とメモリ最適化の両タイプで利用可能



Azure Data Factoryの料金は使用するサービスの種類やアクティビティの量、さらには選択する計算リソースによって変動します。オーケストレーションとデータ移動アクティビティは基本的な機能であり、より複雑なデータ変換や大規模データ処理にはData Flowの使用が推奨されます。また、長期的なプロジェクトには予約割引が有効で、コスト削減につながります。

見積もりは、Microsoftが提供しているAzureの料金計算ツールから算出することも可能です。


Azure Data Factoryの活用事例

ADFは、データ統合と自動化において様々な活用事例を提供します。データの移動から変換、統合までのプロセスをシンプルにし、効率的にすることで、企業がデータを最大限に活用できるよう支援します。

以下に、ADFを活用した具体的なシナリオを紹介します。

データ移行の支援

ADFを使用して、異なるデータストアやシステム間でのデータ移行を簡単かつ迅速に行うことができます。例えば、既存のデータセンターからクラウド環境への移行を効率的に実施することが可能です。

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Azure Data Lakeへのデータ取得

クライアントのサーバーやオンラインデータソースからデータを収集し、Azure Data Lakeに蓄積することで、大規模なデータセットの分析と処理が容易になります。

データ統合プロセスの実行

他のSQLサーバーやSalesforceなどの異なるソースからのデータを一元的に集め、統合することで、データの一貫性を保ちつつ、複数のデータソースにわたる分析が可能になります。

これにより、サイロ化されたデータを統合し、必要な処理を実施することが可能となり、データ分析の効率を大幅に向上させます。

ERPシステムからのデータ統合

複数のERPシステムからデータを収集し、Azure Synapse Analyticsに統合してロードすることで、高度な分析とレポーティングを実現します。


Azure Data Factoryの導入事例

ADFの導入事例として、ソフトクリエイト社がSalesforceとMicrosoft Dynamics 365の間でデータ連携を実現した事例を紹介します。

ADF導入事例
ADF導入事例参考:Microsoft


創業から35年以上にわたり、多彩なITサービスを提供してきたソフトクリエイト社は、主要な課題の一つとして、顧客データを含む社内データをどのように一元管理するかという問題を抱えていました。

ADFの活用により、ソフトクリエイトはSalesforceとMicrosoft Dynamics 365の間でデータ連携を実現しました。ADFを選定した理由として、クラウドサービス間の高度な連携能力、豊富なコネクタ数、コーディング不要での簡単なスタート、そしてAzureサービスとの親和性の高さが挙げられます。これにより、ソフトクリエイトは、スモールスタートからトライ&エラーを重ねながら、迅速にデータ連携基盤を構築・リリースすることができた事例です。

ADFを使用することで、データドリブンのワークフローを作成し、データの移動と変換を自動化することが可能です。これにより、生データを意味のある形式に整理し、より的確な意思決定を支援するデータレイクとデータストアを構築できます。

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まとめ

本記事では、データ統合のための強力なクラウドベースのサービスであるAzure Data Factoryについて、Microsoft Fabricとの違いや最新動向を含めて詳しく解説しました。

2026年現在、Microsoftのデータ統合戦略はFabricを軸に展開されており、ADFアクティビティの約90%がFabric Data Factoryでも利用可能になっています。既存のADF環境は引き続きフルサポートされますが、新規プロジェクトではFabric Data Factoryでの開始が推奨されています。

既存のADF環境を運用中の方は、まずFabricの無料試用版でData Factory体験を試し、移行の実現可能性を検証してみてください。これからデータ統合を始める方は、Microsoft Fabricを起点に、OneLake上でのエンドツーエンドの分析基盤構築を検討することをおすすめします。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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