この記事のポイント
RTX 4070 TiとRTX 4070は、WQHDゲーミングを主戦場とするNVIDIAのミドルハイGPU
Tiは無印よりCUDAコア数が約30%多く、性能で約20-30%優れるが、価格も高い
どちらもDLSS 3(フレーム生成)や強化RTコア、AV1エンコード等に対応
性能差はゲーム、AI、3Dレンダリングで顕著。動画エンコードでは差が小さい傾向
予算、目標性能(特にWQHDでのフレームレート)、用途に応じて選択することが重要

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
NVIDIA GeForce RTX 4070 TiとRTX 4070(無印)は、現行世代のRTX 40シリーズにおいて、高性能ゲーミングやクリエイティブ作業、AI活用を現実的な価格帯で実現する人気のモデルです。
「RTX 40シリーズの機能を体験したいけれど、4080や4090は予算オーバー」「WQHDや4Kゲーミングに挑戦したい」「動画編集や画像生成をもっと快適にしたい」──このように考える多くのユーザーにとって、有力な選択肢となるのがこの2モデルです。
しかし、名前が似ているだけに「具体的に何が違うの?」「どちらを選べばいいの?」と迷う方も多いでしょう。
この記事では、RTX 4070 TiとRTX 4070のスペック、ゲーム・AI・クリエイター性能のベンチマーク比較、価格、メリット・デメリット、そしてどちらがあなたの用途や予算に最適なのかを徹底的に解説します。
スペックの違いから、ゲーム、AI、クリエイター性能のベンチマーク比較、価格、メリット・デメリット、そしてあなたに最適なモデルの選び方まで、詳しくご紹介します。
RTX 4070シリーズとは?
RTX 4070 TiとRTX 4070は、どちらもNVIDIA GeForce RTX 40シリーズに属し、ハイエンド帯とミドルレンジ帯の間に位置づけられる高性能グラフィックボードです。
Ada Lovelaceアーキテクチャを採用し、最新技術を利用できる点が共通の特徴です。
RTX 4080/4090ほどの究極的な性能は求めないものの、前世代のハイエンドモデルを超える、あるいは匹敵する性能を、より手頃な価格と電力効率で実現することを目指しています。
参考:NVIDIA
発売日とアーキテクチャ
RTX 4070 Tiは2023年1月5日に発売されました。当初は「RTX 4080 12GB」として発表されていましたが、その名称が誤解を招くとして撤回され、RTX 4070 Tiとして改めて登場した経緯があります。一方、RTX 4070無印は2023年4月13日に発売されました。両モデルともに、RTX 40シリーズ共通の「Ada Lovelace(エイダ・ラブレス)」アーキテクチャを採用しています。
Ada Lovelaceアーキテクチャの主な技術的特徴は、RTX 40シリーズ全てに共通しており、RTX 4070シリーズもその恩恵を受けています。
- 改良されたストリーミングマルチプロセッサ(SM):
前世代から設計が見直され、シェーダー処理効率が向上。従来の描画性能のベースとなります。
- 第3世代RTコア:
レイトレーシング計算に特化したハードウェアコア。複雑な光のシミュレーションを高速に行うことで、ゲーム内のリアルな光や影、反射などを表現できます。ジオメトリ処理の効率も改善されています。
- 第4世代Tensorコア:
AI処理に特化したコア。特にDLSS 3(超解像+フレーム生成)や、AIノイズ除去、Stable DiffusionなどのAI画像生成において、計算速度を大幅に向上させます。新しいFP8フォーマットに対応しています。
- 大容量L2キャッシュ:
GPUコアの近くに多くのキャッシュを搭載することで、メモリへのアクセス頻度を減らし、ボトルネックを緩和し、特にゲームなどでの実効性能向上に貢献しています。
これらのアーキテクチャにより、RTX 4070 TiとRTX 4070は、前世代の同価格帯や一つ上のクラスのGPU(例: RTX 3080, RTX 3090など)と比較して、特にレイトレーシングやDLSS 3使用時、あるいは電力効率において大きなアドバンテージを持っています。
主要な用途・ターゲットユーザー
RTX 4070 TiとRTX 4070は、ターゲットとするユーザー層や主な用途が非常に近いですが、性能と価格に応じて推奨されるレベルが異なります。
RTX 4070 Tiの主な用途・ターゲットユーザー:
- 高性能ゲーミング:
WQHD(2560x1440)解像度で最高画質設定かつ高フレームレート(144Hz以上など)を目指したい方。あるいは、4K解像度で設定を調整しつつ、快適なゲームプレイをしたい方。レイトレーシングやDLSS 3を積極的に活用したいゲーマー。
- クリエイティブワーク:
4K動画編集や中規模程度の3Dレンダリング、テクスチャリングなど、GPUパワーがある程度求められるクリエイティブ作業を行う方。
- AI活用:
Stable Diffusionなどの画像生成AIを、実用的な速度と効率で活用したい方。
- ターゲットユーザー:
RTX 4090や4080には予算的に届かないが、可能な限り高性能なGPUを求め、特にWQHDでの最高の体験や4Kエントリーレベルの性能を重視するエンスージアストゲーマーやセミプロクリエイター。
RTX 4070(無印)の主な用途・ターゲットユーザー:
- 高性能ゲーミング:
WQHD解像度で高画質設定かつ高フレームレート(100Hz以上など)を目指したい方。
あるいは、フルHD(1920x1080)解像度で超高フレームレート(240Hz以上など)を追求したいeSportsゲーマー。4Kは設定次第で可能ですが、RTX 4070 Tiより厳しい場面が多くなります。レイトレーシングやDLSS 3も活用できます。
- クリエイティブワーク:
フルHD~WQHD解像度での動画編集、簡単な3Dモデリングや画像編集など、GPUアクセラレーションの恩恵を受けたい方。
- AI活用:
Stable Diffusionなどの画像生成AIを、趣味の範囲や学習目的で手軽に始めたい方。
- ターゲットユーザー:
RTX 40シリーズの最新技術を体験しつつ、WQHDゲーミングをメインにしたい方、あるいはフルHDでの最高フレームレートを求める方。
性能と価格、電力効率のバランスを最も重視するゲーマーやコンテンツクリエーターの入門者。
シリーズ内での位置づけ:
RTX 4070 TiとRTX 4070は、RTX 4080/4090といったハイエンドモデルの下に位置し、RTX 4060 Ti/4060といったミドルレンジモデルの上に位置する、「ミドルハイエンド」または「アッパーミドル」といった位置づけです。
両モデルはVRAM容量(12GB)やメモリバス幅(192-bit)は共通していますが、CUDAコア数などのスペックが異なり、RTX 4070 Tiの方がRTX 4070無印よりも明確に高性能かつ高価格です。
どちらを選ぶかは、主に予算と求める性能レベル、そして主に使用する解像度によって判断が分かれます。
RTX 4070の主なスペック・特徴
RTX 4070 TiとRTX 4070の性能差を理解するためには、その主要なスペックの違いを知ることが重要です。両モデルのスペックを比較しながら解説します。
RTX 4070 TiとRTX 4070の主なスペックは以下の通りです。
項目 | RTX 4070 Ti | RTX 4070 |
---|---|---|
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti | NVIDIA GeForce RTX 4070 |
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Ada Lovelace |
CUDAコア数 | 7,680 | 5,888 |
Tensorコア数 | 240 (第4世代) | 184 (第4世代) |
RTコア数 | 60 (第3世代) | 46 (第3世代) |
ブーストクロック | 2,610 MHz | 2,475 MHz |
メモリ容量 | 12 GB GDDR6X | 12 GB GDDR6X |
メモリインターフェイス | 192‑bit | 192‑bit |
メモリ帯域幅 | 504 GB/s | 504 GB/s |
消費電力 (TBP) | 285 W | 200 W |
推奨電源容量 | ≥ 600 W | ≥ 550 W |
補助電源コネクタ | 1×16‑pin (12VHPWR) | 1×16‑pin (12VHPWR) |
カード長 | 285 × 112 × 42 mm (dual‑slot) | 240 × 110 × 40 mm (dual‑slot) |
この表から分かるように、RTX 4070 TiとRTX 4070の主な違いは、CUDAコア数、Tensor/RTコア数といったGPUコアの規模と、それに伴うTBPです。
メモリ容量やメモリ帯域幅は同じであるため、コア規模の違いがそのまま性能差に直結する傾向があります。
特にCUDAコア数がRTX 4070 Tiの方が約30%多い点が、両モデルの性能差の最大の要因と言えます。一方、TBPはRTX 4070無印の方が85Wも低く、電力効率の面では優位性があります。
新機能・独自技術の詳細
RTX 4070 TiとRTX 4070は、どちらもAda Lovelaceアーキテクチャがもたらす以下の最新機能・独自技術を利用できます。
DLSS 3.0 / Frame Generation:
- 技術概要:
AIを活用してフレームレートを向上させる技術。従来の超解像(DLSS 2)に加え、AIが新しいフレームを生成するFrame Generationに対応しています。
これにより、GPUのレンダリング負荷を軽減しつつ、画面上のフレームレートを大幅に増加させることが可能です。
- 対応ゲーム:
『サイバーパンク2077』、『ディアブロ IV』、『Forza Horizon 5』など、DLSS 3対応タイトルは増加中です。
対応タイトルでは、特にGPU負荷が高い場面や、レイトレーシングを有効にした際に、フレームレートが大きく向上します。
RTX 4070 Ti、RTX 4070ともにDLSS 3の効果を十分に享受でき、WQHDや4K解像度での快適なゲームプレイを強力にサポートします。
Frame Generationは入力遅延を増加させる特性があるため、競技性の高いゲームでの使用には注意が必要ですが、シングルプレイゲームなどでは画質とフレームレートの両立に絶大な威力を発揮します。
レイトレーシングコアの強化:
第3世代RTコアは、前世代のRTコアと比較して、複雑なレイトレーシング計算をより効率的に処理できます。これにより、ゲーム内の光の反射、影の落ち方、透過物の表現などが、よりリアルで自然になります。
RTX 4070 TiとRTX 4070は、単体でも前世代のハイエンドGPUに匹敵、あるいは凌駕するRT性能を持っていますが、DLSS 3と組み合わせることで、レイトレーシングを有効にした状態でも高いフレームレートでのプレイが可能になります。
Tiの方がRTコア数が多いため、より高いRT性能を発揮しますが、どちらのモデルでもRTX対応ゲームのグラフィック品質を大幅に向上させることができます。
AIアクセラレーション機能 (TensorRT, CUDAなど):
豊富なCUDAコアと第4世代Tensorコアを搭載しており、AI関連の処理や特定のクリエイティブワークを高速化します。
活用例:
- AI画像生成 (Stable Diffusionなど):
Tensorコアの性能により、Stable Diffusionのような画像生成AIを高速に実行できます。Tiの方がTensorコア数が多いため、より高速ですが、無印も前世代ハイエンドを超える速度を発揮することが多いです。
12GBのVRAMは、ある程度の高解像度や複雑なモデル、LoRAの使用に十分対応できます。
- 動画編集・配信:
第8世代NVENCエンコーダーを搭載しており、H.264, HEVCに加え、高効率なAV1コーデックのハードウェアエンコードに対応しています。
これにより、高品質な動画を高速にエンコードしたり、ゲーム配信と録画を同時に行ったり、AV1での配信を行ったりすることが可能です。
主要な動画編集ソフト(Adobe Premiere Pro, DaVinci Resolveなど)でもGPUアクセラレーションによる高速化の恩恵を受けられます。NVENCの性能自体はコア規模による差が出にくいため、RTX 4070 TiとRTX 4070無印で大きな差は出にくい部分です。
これらの共通の技術により、RTX 4070 TiとRTX 4070は、どちらを選んでもRTX 40シリーズが提供する最新のゲーム体験やAI・クリエイティブワークの効率向上を享受できます。
性能レベルの違いは、主にGPUコア規模の差に起因します。
RTX 4070の価格・コストパフォーマンス
RTX 4070 TiとRTX 4070は、それぞれ異なる価格帯に位置づけられています。それぞれの価格と、性能に対するコストパフォーマンスを比較検討します。
RTX 4070(12GB)
- 発売時MSRP:$599(¥約85,000相当、2023年4月13日発売)
- 新品実勢価格帯:¥95,000~¥127,000(平均約¥110,000)
- 中古価格帯:¥70,000~¥85,000
参考リンク
RTX 4070 Ti(12GB)
- 発売時MSRP:$799(¥約113,000相当、2023年1月発売)
- 新品実勢価格帯:¥130,000~¥160,000(平均約¥145,000)
- 中古価格帯:¥100,000~¥125,000
参考リンク
RTX 4070 Ti SUPER(16GB)
- 発売時MSRP:$799(¥約135,000相当、2024年1月発売)
- 新品実勢価格帯:¥150,000~¥170,000(平均約¥160,000)
- 中古価格帯:¥120,000~¥140,000
参考リンク
性能に対する価格の妥当性(コストパフォーマンス)評価:
RTX 4070 Tiは、RTX 4070無印より約20%~30%高い性能に対し、価格は約2万円~3万円(比率にして約20%~30%)ほど高価な傾向にあります。単純な価格と性能の比率だけで見ると、モデルや時期によってはどちらかが若干有利になることもありますが、大きな差はありません。どちらもRTX 40シリーズの機能をこの価格帯で提供しているという点で、前世代の同等性能帯のGPUと比較して電力効率やDLSS 3対応といった点で優位性があります。
RTX 4070 Tiは、より高い性能を求めるユーザーにとって、RTX 4080/4090よりもずっと手頃な価格で手に入る「高性能な選択肢」としてのコストパフォーマンスが魅力です。
一方、RTX 4070無印は、WQHDゲーミングをメインとし、RTX 4070 Tiほどの最高性能は求めないが、RTX 40シリーズの機能を活用したいユーザーにとって、性能と価格のバランスに優れた選択肢と言えます。
どちらを選ぶかは、ご自身の予算と、ゲームやクリエイティブ作業で「あと何FPS欲しいか」「あとどれくらい処理時間を短縮したいか」といった、具体的なニーズと価格差を天秤にかけて判断することになります。
RTX 4070と競合モデルとの比較
RTX 4070 TiとRTX 4070が、RTXシリーズ内やAMD Radeonの競合製品と比較してどのような位置づけにあるのかを見ていきましょう。これにより、どちらがご自身のニーズに最適か、より明確に判断できます。
モデル | アーキテクチャ | CUDA/SP数 | メモリ容量 | メモリ帯域幅 | 主要なゲーム性能(例: WQHD RT+DLSS Q/FG 平均FPS) | AI性能(例: Stable Diffusion 生成速度) | 消費電力 (TBP) | 実勢価格帯 | 特徴・強み | 弱み |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
RTX 4080 | Ada Lovelace | 9728 | 16 GB | 716.8 GB/s | 120+ | 10~15+ 枚/秒 | 320 W | 15万円~ | 高い性能、電力効率、RT/DLSS 3/AI性能 | 高価、VRAM容量 (24GB比) |
RTX 4070 Ti | Ada Lovelace | 7680 | 12 GB | 504 GB/s | 80+ | 8~12+ 枚/秒 | 285 W | 10万円~ | 優れた電力効率、RT/DLSS 3/AI性能、WQHD最適 | RTX 4080/4090に性能で劣る、12GB VRAM |
RTX 4070 | Ada Lovelace | 5888 | 12 GB | 504 GB/s | 60+ | 6~10+ 枚/秒 | 200 W | 8万円~ | 優れた電力効率、RT/DLSS 3/AI対応、WQHD/FHD最適 | RTX 4070 Ti以上に性能で劣る、12GB VRAM |
RTX 4060 Ti (8GB/16GB) | Ada Lovelace | 4352 | 8GB/16GB | 288 GB/s | 40+ | 4~7+ 枚/秒 | 160W/165W | 5万円~ | 価格、電力効率、FHD最適 | WQHD以上では性能不足、メモリ帯域幅狭い |
Radeon RX 7900 XT | RDNA 3 | 5376 SP | 20 GB | 800 GB/s | 70+ (FSR 2/3有効時) | 4~8+ 枚/秒 (DirectMLなど) | 300 W | 11万円~ | 高いラスタライズ性能、大容量VRAM (20GB) | RT性能、DLSS 3相当技術、AI性能 |
Radeon RX 7800 XT | RDNA 3 | 3840 SP | 16 GB | 624 GB/s | 60+ (FSR 2/3有効時) | 3~6+ 枚/秒 (DirectMLなど) | 263 W | 8万円~ | 高いラスタライズ性能、VRAM容量 (16GB)、価格 | RT性能、DLSS 3相当技術、AI性能 |
※上記のゲーム性能、AI性能はあくまで一般的な傾向を示すものであり、特定のタイトルや設定、ベンチマーク手法によって結果は大きく変動します。
【どちらを選ぶべきか? - RTX 4070 Ti vs RTX 4070 vs 競合】
RTX 4070 Tiを選ぶべき人:
* 主にWQHD解像度で、最高画質設定かつ144Hz以上の高フレームレートを目指したい方。
* 4K解像度でのゲームプレイも視野に入れたい方(設定調整やDLSS活用前提)。
* RTX 4070無印より優れたAI画像生成速度や3Dレンダリング性能を求める方。
* RTX 4080/4090には予算的に届かないが、可能な限り高性能なRTX 40シリーズGPUを求める方。
RTX 4070(無印)を選ぶべき人:
* 主にWQHD解像度で、高画質設定かつ十分快適な(例: 100Hz以上)ゲームプレイができれば良い方。
* フルHD解像度で240Hz以上の超高フレームレートを追求したいeSportsゲーマー。
* RTX 40シリーズの最新機能(DLSS 3, RT, AI)を体験したいが、価格と電力消費を可能な限り抑えたい方。
* クリエイティブ作業やAI活用も行うが、プロレベルの速度は求めず、趣味や学習レベルで十分な方。
RTX 4080を選ぶべき人:
* RTX 4090ほどは高価でなくても良いが、4Kゲーミングや高度なクリエイティブ/AI作業で、RTX 4070 Ti以上のより高い性能を求める方。
Radeon RX 7800 XT/7900 XTを選ぶべき人*
* 主にラスタライズ性能(レイトレーシングを使わないゲーム性能)を重視し、RT性能やDLSS 3、NVIDIAのAI関連機能(特にTensorRTを活用するタスク)の優先度が低い方。RX 7800 XTはRTX 4070無印、RX 7900 XTはRTX 4070 Tiに近いラスタライズ性能と、VRAM容量の優位性を持つ場合がありますが、RT性能やDLSS 3相当技術(FSR 3 FG)の対応状況や性能、AI性能はRTXシリーズに劣る傾向があります。
どちらのモデルを選ぶかは、ご自身の予算と、最も重視する用途(解像度、フレームレート目標、クリエイティブ/AIの頻度とレベル)を明確にした上で、価格と性能のバランスを比較検討することが最も重要です。
メリット・デメリット - 購入前に確認
RTX 4070 TiとRTX 4070、それぞれの主なメリットとデメリットをまとめて確認し、購入前の最終判断材料としましょう。
RTX 4070のメリット (RTX 4070 Ti / RTX 4070 共通の強み)
RTX 4070シリーズ(Tiおよび無印)に共通する大きなメリットは以下の通りです。
- 優れた電力効率:
Ada Lovelaceアーキテクチャにより、前世代の同等性能帯のGPUと比較して、消費電力が大幅に低減されています。特にRTX 4070無印のTBP 200Wは、その性能を考慮すると非常に優れています。
- 最新技術への対応:
DLSS 3 (Frame Generation)、強化された第3世代RTコア、第4世代Tensorコアといった、RTX 40シリーズの主要な機能を全て利用できます。これにより、対応ゲームでの圧倒的なフレームレート向上や、よりリアルなグラフィック表現、AI・クリエイター機能の活用が可能になります。
- 高いゲーム性能:
どちらのモデルも、WQHD解像度を中心に高いフレームレートを実現し、多くのゲームを快適にプレイできます。Tiはさらに上の性能、無印は価格対性能のバランスが良いです。
- 実用的なAI・クリエイター性能:
NVENC(AV1対応)による高速動画エンコードや、Tensorコアを活用したAI画像生成など、ゲーム以外の用途でも高いパフォーマンスを発揮します。
- NVIDIAエコシステムの利用:
GeForce Experience、Broadcast、Studioドライバーなど、便利なソフトウェアやサポートを利用できます。
- 12GB GDDR6X VRAM:
現状、多くのゲームやクリエイティブ作業で十分な容量と速度を持っています。
デメリット (モデルごとの特性や比較上の弱み)
RTX 4070 TiとRTX 4070には、それぞれ固有の、あるいは比較上のデメリットも存在します。
RTX 4070 Tiのデメリット:
* **RTX 4070無印より高価:**
約2万円~3万円程度の価格差があり、予算によってはこの差がネックになります。
* RTX 4080/4090に性能で劣る:
明らかに上位モデルとの性能差があり、4K最高設定でのゲームプレイや、非常に負荷の高いクリエイティブ/AI作業には限界があります。
* 12GB VRAMが将来的に不足する可能性:
RTX 4080/4090の16GB/24GBと比較すると容量が少ないため、将来的に超高解像度テクスチャや、よりVRAMを消費するアプリケーションが登場した場合にボトルネックになる可能性があります。
* サイズが大きいモデルも多い: RTX 4070無印より大型のクーラーを搭載しているモデルが多く、PCケースへの適合性確認が必要です。
RTX 4070(無印)のデメリット:
* **RTX 4070 Tiより性能が低い:**
ゲーム、AI、3Dレンダリングなど、多くのタスクでRTX 4070 Tiよりも性能が劣ります(約20%~30%程度)。特にWQHDでの高リフレッシュレートや4Kゲーミングでは差が出やすいです。
- 12GB VRAMが将来的に不足する可能性:
これはTiにも共通するデメリットですが、特にRTX 4070クラスの性能で4K解像度や高画質設定を維持しようとすると、より顕在化する可能性があります。
- メモリバス幅が狭い (192-bit):
RTX 4080以上のモデルと比較するとメモリ帯域幅が狭く、これが特に4K解像度のような高負荷環境での性能に影響する要因の一つとなります。
これらのメリットとデメリット、そして両モデル間の性能差と価格差を総合的に比較検討し、ご自身のニーズに最も合致するモデルを選ぶことが重要です。
よくある質問(FAQ)
RTX 4070 TiとRTX 4070に関して、購入を検討している方が抱きやすい具体的な疑問点とその回答をまとめました。
Q1. RTX 4070 TiとRTX 4070、どちらを選ぶべきですか?主な違いは何ですか?
A1. 主な違いは、GPUコアの規模(CUDAコア数など)、TBP(消費電力)、そしてそれらに起因する性能と価格です。
RTX 4070 TiはRTX 4070無印よりCUDAコア数が約30%多く、ゲームや3Dレンダリング、AI画像生成などで約20%~30%高い性能を発揮しますが、その分TBPが高く、価格も約2万円~3万円高価です。
どちらを選ぶべきかは、主にあなたの予算と、ゲームやクリエイティブ作業で「どこまで性能を求めるか」によります。
- RTX 4070 Ti:
WQHDで最高設定+高リフレッシュレートを目指したい、4Kも視野に入れたい、クリエイティブやAIでより高い効率を求める、RTX 4070無印との価格差を許容できる方。
- RTX 4070:
WQHDで高画質+十分快適なフレームレートで満足できる、フルHDで超高フレームレートを目指したい、最新機能を体験しつつ価格と電力消費を抑えたい、RTX 4070 Tiとの価格差を重視する方。
ご自身の予算と性能目標を明確にして判断しましょう。
Q2. RTX 4070 Ti / 4070を搭載するために必要なPC環境は? 電源ユニットは何Wを推奨?
A2. RTX 4070 Ti/4070の性能を活かし、安定して動作させるには、以下の点に注意が必要です。
-
CPU:
WQHD以下の解像度ではGPU性能が高いため、Intel Core i5/Ryzen 5以上、特にCore i7/Ryzen 7クラスのCPUと組み合わせることでボトルネックを防ぎやすくなります。
-
メモリ:
16GBでも多くの場合は足りますが、32GBあるとより安心です。DDR4-3200以上、理想的にはDDR5メモリとの組み合わせが望ましいです。
-
ストレージ:
高速なNVMe SSDがおすすめです。
-
電源ユニット:
NVIDIAの推奨はRTX 4070 Tiが700W以上、RTX 4070が無印が600W以上ですが、システム全体の構成や将来的なアップグレード、電源ユニットの品質を考慮すると、RTX 4070 Tiには750Wクラス、RTX 4070無印には650Wクラスの高品質な電源ユニットをおすすめします。80 Plus Gold認証以上のものが安心です。補助電源コネクタの種類(12VHPWRまたは8ピンx複数)も確認が必要です。 -
PCケース:
モデルによってカードサイズが異なるため、購入予定のグラフィックボードの正確な寸法(カード長、厚み)を確認し、PCケースに物理的に収まるか、十分なエアフローを確保できるか事前に確認してください。
Q3. RTX 4070 Ti / 4070の12GB VRAMは将来的に大丈夫ですか?
A3. 記事執筆時点では、多くのゲームやクリエイティブ作業において、12GBのVRAM容量はWQHD解像度までであれば概ね十分です。
しかし、4K解像度で最高画質テクスチャを使用したり、今後のよりVRAMを大量に消費するゲームやアプリケーションが登場したりした場合、特にRTX 4070 Tiのように高いGPUコア性能を持つモデルでは、VRAM容量がボトルネックとなり、性能が伸び悩んだり、設定を下げる必要が出てきたりする可能性はゼロではありません。
RTX 4080以上の16GB/24GBと比較すると、VRAM容量に関しては将来的な余裕が少ないと言えます。ただし、これはあくまで「将来的な」懸念であり、現在の多くの用途では問題ありません。
Q4. BTOパソコンでRTX 4070 Ti / 4070搭載モデルを選ぶ際の注意点は?
A4. BTOパソコンで選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 電源ユニット: 前述の推奨容量以上の電源ユニットが選択されているか、品質(80 Plus認証など)は十分か確認してください。
- 冷却性能: RTX 4070 Ti/4070はTBPが比較的低いですが、それでも性能を安定して引き出すには、PCケースのエアフローやCPUクーラーの冷却性能も重要です。バランスの取れた構成になっているか確認しましょう。
- CPU: GPUの性能を活かすため、CPUがボトルネックにならない適切なグレードのものが選ばれているか確認しましょう。
- ケースサイズ: 選択したグラフィックボードのサイズがケースに収まるか確認しましょう。
- 保証・サポート: BTOメーカーの保証内容やサポート体制も比較検討材料となります。
Q5. RTX 4070 Ti / 4070は前世代のRTX 3080/3090と比べてどうですか?
A5. RTX 4070 Tiは、多くのゲームにおいて前世代のフラッグシップであるRTX 3090 Tiに迫るか、あるいは超える性能を発揮します。特にDLSS 3対応タイトルやレイトレーシング性能、電力効率で優位に立ちます。RTX 4070無印は、RTX 3080と同等かそれ以上の性能を発揮することが多く、特に電力効率やDLSS 3対応で優れています。
どちらのモデルも、前世代の同価格帯GPU(例: RTX 3070/3070 Ti)からは明確な性能向上を実現しています。
まとめ
NVIDIA GeForce RTX 4070 TiとRTX 4070は、どちらもAda Lovelaceアーキテクチャによる最新技術(DLSS 3, 強化RT, AI機能)と優れた電力効率を備えた、非常に魅力的なグラフィックボードです。
- RTX 4070 Tiは、WQHDでの最高クラスのゲーミング体験や、4Kエントリー、あるいはクリエイティブ/AI作業でより高い効率を求めるユーザーに最適です。RTX 4070無印より約20%~30%高性能ですが、その分価格も高くなります。
- RTX 4070は、WQHDで高画質かつ十分快適なゲーミング、あるいはフルHDでの超高フレームレートを目標としつつ、RTX 40シリーズの最新機能を体験したい方に適しています。RTX 4070 Tiより性能は劣りますが、価格と電力効率に優れています。
どちらのモデルを選ぶかは、ご自身の「予算」と「求める性能レベル」を明確にし、両モデルの性能差と価格差、そしてご自身の主な用途(ゲームの解像度、クリエイティブ/AI作業の頻度と負荷)を比較検討することが最も重要です。
この記事が、RTX 4070 TiとRTX 4070の違いを理解し、どちらがご自身に最適か判断する一助となれば幸いです。もし購入を決めたら、次のステップに進みましょう。