2025-06-05

ChatGPT Recordとは？議事録・会議・音声メモを要約・検索可能にする機能を解説

この記事のポイント

ChatGPT Recordの基本機能と使い方を詳しく解説します。
音声録音から自動要約、再編集までの流れを紹介します。
チーム業務や個人の作業を効率化する具体的な活用シーンを提案します。
注意点や制約事項についても詳しく説明します。
AI総合研究所では、ChatGPT Recordの導入支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。

監修者プロフィール

坂本将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

会議の議事録をとる手間や、音声メモの整理に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。特に、チームでの情報共有やプロジェクトの進行において、過去のやりとりを正確かつ効率的に振り返る手段は欠かせません。
そうした課題を解決するために登場したのが、OpenAIの新機能「ChatGPT Record」です。この機能を使えば、会議の録音から自動要約、必要に応じた再編集や活用までを、すべてChatGPT上で完結できます。
本記事では、ChatGPT Recordの概要、具体的な使い方、活用例、注意点までを網羅的に解説します。

AI総合研究所では、AI導入の伴走支援を行っています。
お気軽にご相談ください。

ChatGPT Recordとは？

ChatGPT Recordとは、OpenAIが提供するChatGPTのmacOSデスクトップアプリ（Teamプラン限定）に搭載された音声記録・要約機能です。会議やアイデア出し、音声メモといった音声ベースの情報を、リアルタイムでテキスト化し、要約・アクション項目付きの記録として保存できます。

この機能を使うことで、これまで人手に頼っていた議事録作成や、メモの整理といった作業を自動化し、会話内容を検索可能なナレッジとして活用できるようになります。

ChatGPT Recordは以下のような特長を持っています。

ワンクリックで録音を開始し、リアルタイムで文字起こし
録音終了後に、自動で要点とアクション項目をまとめたCanvas（キャンバス）を作成
要約内容は履歴として保存され、全文検索が可能
要約をもとに、メール文、プロジェクト計画、コードなど多様な形式に変換可能

現在はTeamプランでの提供に限定されており、EnterpriseやEducationプラン向けには順次展開予定とされています。

ChatGPT Recordでできること

ChatGPT Recordは、単なる録音ツールではなく、音声情報を構造化されたナレッジに変換する高度な機能を備えています。以下に、ChatGPT Recordで実現できる主要な機能を整理します。

ChatGPTの議事録イメージ

音声の録音とリアルタイム文字起こし

会話や音声メモをリアルタイムでテキスト化します。録音中は、画面上にタイマーとともに書き起こしが表示され、話した内容が即座に可視化されます。

自動要約とアクションアイテム抽出

録音が終了すると、自動的に「Canvas」と呼ばれるドキュメントが生成されます。そこには要約、キーポイント、アクションアイテム（次の行動）が整理されており、すぐに実務に活用できます。

多様な形式への変換

生成されたCanvasは、そのままではもちろん、ChatGPTへの指示により、次のようなアウトプットに変換可能です。

メール本文
プロジェクト計画書
プログラムコードの雛形　など

履歴への保存と検索機能

Canvasはチャット履歴に自動で紐づき、他の会話と同様に検索対象となります。たとえば、「月曜の会議で何を決めたか？」という質問に対して、ChatGPTが記録に基づいて要点を回答することも可能です。

このように、ChatGPT Recordは「録音→要約→活用→再検索」の一連の流れを、シームレスに支援します。

ChatGPT Recordの使い方

ChatGPT Recordは、macOSデスクトップアプリ版のChatGPT（Teamプラン）に搭載されており、数ステップで簡単に利用を開始できます。以下に、基本的な操作の流れを紹介します。

1. 録音を開始する

チャット画面下部にある丸い「Record」ボタンをクリックすると、録音モードが起動します。初めて使用する場合は、マイクやシステム音声へのアクセス許可を求められるため、必要な権限を付与してください。

レコードボタンのクリック

録音画面

2. 録音中に話す

録音を開始すると、話した内容がリアルタイムで文字起こしされ、画面上に表示されます。録音は途中で一時停止・再開が可能です。会話形式でも、独り言のようなメモでも自然に記録されます。

3. 要約・アクションの生成

録音を終了したいタイミングで「Send」ボタンをクリックすると、録音内容がChatGPTにアップロードされます。その後、自動的に要約、キーポイント、アクションアイテムを含むCanvasが生成され、チャット履歴に紐づけられます。

4. 他フォーマットへの変換

生成されたCanvasは、ChatGPTに指示することで以下のような形式に変換できます。

メール形式への再構成
プロジェクト計画への展開
プログラムコードのスケルトン化

手動での編集も可能で、下書きとして使いながら整えていくこともできます。

このように、ChatGPT Recordは「記録から行動へ」の流れを自然に支援する設計となっています。

Canvasでの議事録イメージ

実際の活用シーン

ChatGPT Recordは、チーム業務や個人の作業を効率化するさまざまな場面で活用できます。以下に代表的なユースケースを紹介します。

会議の議事録作成

定例会議やプロジェクト会議の内容を録音し、自動で要点とアクション項目をまとめることで、議事録作成の手間を大幅に削減できます。後から内容を検索できるため、重要な発言や決定事項の確認も容易です。

顧客対応の記録とフォローアップ

クライアントとの打ち合わせを記録し、その内容をもとにメールや報告資料として整理することができます。重要なやり取りを正確に把握し、対応漏れを防ぐ手段として有効です。

社内ナレッジの蓄積

メンバー同士の1on1や技術共有会、アイデア出しのブレストなどを記録することで、チーム内の知識を資産化できます。Canvasとして保存された内容は、後から他のメンバーが検索・再利用することも可能です。

学習や個人メモの整理

業務中に思いついたアイデアや、学習中の気づきを音声で記録し、自動で要約・整理。時間のない中でも、思考をアウトプットしながら記録に残すことができます。

これらの活用により、ChatGPT Recordは単なる記録ツールではなく、「会話を知識に変える仕組み」として、ビジネスや学習を支援します。

ChatGPTで議事録を作成する方法やプロンプト例については、以下の資料も参考にしてください。

注意点と制約

ChatGPT Recordは非常に便利な機能ですが、利用にあたっては技術的・法的な側面でいくつか注意すべき点があります。以下に主な制約事項をまとめます。

利用可能環境の制限

現在、ChatGPT RecordはmacOS版のChatGPTデスクトップアプリかつTeamプラン限定で提供されています。Windows版や無料プラン、モバイルアプリからは利用できません。

他者の録音には同意が必要

他人の声を録音する場合は、必ず事前に同意を得る必要があります。国や地域によっては、録音そのものが法律で規制されているケースもあるため、必ず各自の所在地における法令を確認してください。録音に関する責任はユーザーにあります。

話者分離（誰が話したか）の未対応

複数人の会話でも録音は可能ですが、誰が話したかを自動で識別（話者分離）する機能は未対応です。そのため、会話形式で記録する場合は補助的な注釈を加える必要があります。

非英語の認識精度

ChatGPT Recordは英語での音声認識と要約に最適化されています。日本語などの他言語は対応中ですが、精度にはばらつきがあります。内容の正確性を確認しながら利用することを推奨します。

セキュリティとデータ保持

録音された音声ファイルは文字起こし完了後に即時削除されます。
生成されたCanvasとその文字起こし内容は、ワークスペースの保持ポリシーに従って保存されます。ユーザーが削除した場合、30日以内に完全に削除されます。
Team / Enterprise / Educationプランでは、モデルのトレーニングには使用されません。

これらの点を理解したうえで適切に活用すれば、ChatGPT Recordは安心して業務に取り入れることができます。