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Amazon Connectとは?機能や料金、導入事例を解説

この記事のポイント

  • オムニチャネル対応とルーティングを統合できるコンタクトセンター基盤
  • Customer Profiles、Cases、AI agentsを含めたCX設計の全体像
  • 2025/11発表のMCP連携と第三者音声モデル対応で外部システム連携の幅が広がる
  • re:Invent 2025発表のautonomous AI agentsとNova Sonicで音声対話と自動化の幅が広がる
  • Unlimited AIが既定の料金モデルで、AI機能込みのチャネル課金と部分導入向けアラカルトを使い分ける
  • PBX置き換えからCRM連携と自己解決導線へ広げる導入順序
  • Amazon Q in Connectの現在位置とConnect AI agentsへの読み替え
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


Amazon Connectは、AWSが提供するクラウド型コンタクトセンターです。
音声だけでなく、チャット、SMS、Web通話、Eメール、タスクまでを1つの基盤で扱え、ルーティング、分析、ケース管理、AI支援をまとめて構成できます。
2025年11月にはMCPサーバー連携と第三者音声モデルへの対応が発表され、re:Invent 2025ではNova Sonicによる自然な音声対話やautonomous AI agentsが公開されるなど、AIエージェントの実行基盤としての性格が一段強まりました。

本記事では、Amazon Connectの基本概念、主要機能、AI agentsやAmazon Q in Connectの現在の位置づけ、MCP連携、料金体系、導入手順、オールコネクト/リクルート/Zepz/Traegerの公式導入事例、設計時に詰まりやすい論点までを、2026年4月時点のAWS公式情報ベースで整理して解説します。

Amazon Connectとは?

Amazon Connectの管理者ガイドでは、Amazon Connectを、コンタクトセンターの顧客と担当者にシームレスな体験を提供するAI搭載アプリケーションとして案内しています。実務的には、クラウド型コンタクトセンターを短期間で立ち上げつつ、顧客接点の運用改善やAI活用まで広げやすい基盤と捉えると分かりやすいです。

Amazon Connectとは

Amazon Connectの役割を整理すると、次の表になります。

領域 Amazon Connectが担うこと 実務上の意味
チャネル 音声、チャット、SMS、Web通話、Eメール、タスクを1つの基盤で扱う 窓口ごとの分断を減らしやすい
オペレーション フロー、キュー、ルーティング、エージェント画面を構成する 問い合わせ処理を標準化しやすい
顧客情報 Customer Profiles、Cases、履歴参照をまとめる 顧客ごとの文脈を維持しやすい
AI 自己解決、エージェント支援、要約、AI agentsを組み込む 問い合わせ対応の自動化を広げやすい
分析 ダッシュボード、品質管理、予測、スケジューリングを使う 現場改善を継続しやすい


特に重要なのは、単なるクラウドPBXでは終わらない点です。Amazon Connect feature overviewでは、顧客がチャネルをまたいでも履歴を引き継げること、エージェントが1つのワークスペースで業務を進められること、管理者が分析やスケジューリングまで見られることがまとめて案内されています。

What is Amazon Connect?では、管理画面から数ステップでセットアップでき、コーディングなしでも始めやすいと説明されています。ただし、ここでいう「始めやすい」は初期構築の話です。実際に成果を出すには、CRMやFAQ、ケース管理、AI導線まで含めた設計が必要になります。

AI Agent Hub1


Amazon Connectの主要機能

Amazon Connectの強みは、問い合わせの受け口だけでなく、その後の案内、引き継ぎ、後続対応まで同じ基盤上で扱いやすいことです。ここでは、特に押さえておきたい機能を3つに分けて整理します。

Amazon Connectの主要機能

オムニチャネル対応とフロー設計

Amazon Connect feature overviewでは、Amazon Connectは音声、チャット、SMS、Web通話、ビデオ、タスク、Eメールを扱えるオムニチャネル基盤として説明されています。顧客は好みのチャネルから問い合わせでき、途中で有人対応へ切り替わっても履歴を引き継ぎやすい構成です。

主なチャネルと用途を整理すると、次のようになります。

チャネル 主な用途 向いている場面
音声 相談、本人確認、緊急対応 複雑な問い合わせや高単価商材
チャット / SMS 手軽な問い合わせ、進捗確認 FAQ、配送確認、各種手続き案内
Web通話 / ビデオ アプリ内やWeb内での直接接続 ログイン済み顧客へのサポート
Eメール 非同期対応、記録重視のやり取り BtoB対応、詳細説明、証跡管理
タスク 後続処理や引き継ぎ 折り返し、調査、社内依頼


問い合わせ導線の設計では、チャネル数を増やすこと自体より、どの問い合わせをどの導線へ流すかが重要です。Amazon Connectではフローとキュー、ルーティングプロファイルを組み合わせ、スキル、優先度、属性、リアルタイム指標に応じた振り分けを設計できます。

エージェント業務を1画面に集約できる

feature overviewのエージェント向け説明では、agent workspace に通話、チャット、タスク、スケジュール、AI支援、顧客情報、ケース管理を統合できると案内されています。現場側から見ると、複数ツールを行き来する時間を減らせるのが大きいです。

さらに、step-by-step guides を使うと、問い合わせ種別や顧客情報に応じて担当者へ次の行動を提示できます。新人教育や応対品質の平準化では、この手のガイド設計がかなり効きます。単にFAQを置くだけより、必要な順序で処理を進めやすくなるからです。

顧客情報とケース管理をつなげられる

Amazon Connectは、会話そのものだけでなく、顧客情報と案件管理も一緒に扱える点が実務向きです。Amazon Connect Customer Profilesでは、Salesforce、Zendesk、ServiceNowなど外部アプリや社内データを統合し、顧客ごとの統一ビューを出せると案内されています。

また、Amazon Connect Casesでは、複数回のやり取りが必要な案件をケースとして追跡できます。問い合わせが1回の会話で終わらない業務では、ケースとタスクを分けて見られることが重要です。コンタクトセンターのKPIを良くしても、後続の調査や他部門連携が崩れると顧客体験は改善しにくいためです。

Amazon ConnectのAI機能

2026年時点のAmazon Connectは、AIを後付けオプションとして少し載せる製品ではありません。自己解決、エージェント支援、要約、AI agents までを、コンタクトセンター導線の中にまとめて置ける方向に進んでいます。

Amazon ConnectのAI機能

Amazon Q in Connectは現在どう整理されているか

Amazon ConnectのAI関連情報を調べると、Amazon Q in Connect と Amazon Connect AI agents の両方が出てきます。ここは少し混乱しやすいポイントです。

Amazon Connect AI agentsのFAQでは、以前 Amazon Q in Connect と呼ばれていた機能は、現在は AI agents の1つとして整理されていると説明されています。つまり、2026年時点では「Amazon Q in Connect が完全に別製品」というより、Amazon ConnectのAI agents機能群の中で理解するほうが実態に近いです。

そのうえで、同じページでは、顧客や担当者が接する会話インターフェースを Connect assistant と呼び、その背後で1つ以上のAI agentsが動く構成が案内されています。Amazon Qの文脈で見ていた人は、この整理に読み替えると混乱しにくくなります。

AI agentsとAmazon Lexの使い分け

Amazon Connect AI agentsのFAQでは、AI agentsはより複雑でオープンエンドな対話やアクション実行に向き、Amazon Lexは事前定義された意図や特定フローを扱う基盤として補完関係にあると説明されています。

この違いを実務向けに整理すると、次の表になります。

役割 向いている仕事 設計の考え方
Amazon Lex中心 定型FAQ、メニュー分岐、入力収集 意図が明確で手順が固定されている業務
AI agents中心 あいまいな質問応答、要約、顧客文脈を踏まえた案内、アクション実行 自然言語の揺れや複数情報源を扱う業務
併用 一次受付はLex、難問はAI agents、最後は有人接続 自己解決率と運用コストの両立を狙う業務


問い合わせ対応では、最初から全部をAI agentsに寄せる必要はありません。固定フローが強い部分はLexや通常フローで処理し、判断が必要な部分だけAI agentsに渡すほうが、品質もコストも安定しやすいです。

【関連記事】
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Amazon Bedrock Agentsとは?機能や料金、使い方を解説

Amazon Connectで自動化できること

feature overviewAI agentsページ、およびAmazon Connect at re:Invent 2025のブログを合わせて見ると、Amazon ConnectのAIは主に次の領域で使われています。

AI機能 主な用途 実務で効きやすい場面
自己解決 FAQ回答、返品対応、アカウント更新などの手続き案内 一次受付の自動化
Autonomous AI agents 音声/チャット/Eメール/SMSにまたがる複合的な要求の処理 多重意図の問い合わせを最後まで自動で進める場面
Agentic agent assistance 担当者への推奨回答、次のアクション提案、応対中のドキュメンテーション補助 応対品質の平準化と後処理負荷の削減
AI case summaries 通話やEメール、ケース履歴の自動要約 後処理時間の短縮
複数Knowledge Bases連携 社内ナレッジ・FAQ・製品情報を横断参照 部門ごとに分散した情報からの回答精度向上
分析 会話内容の把握、品質改善、運用最適化 スーパーバイザーの改善活動


re:Invent 2025のブログでは、これらの機能が個別の補助機能ではなく、複数のAI agentsが連携して問い合わせを最後まで処理する方向に進んでいると強調されています。特にautonomous AI agentsは、多重意図の問い合わせを単一の対話の中で扱える点が従来との違いです。

重要なのは、AIが単に回答を返すだけでなく、Customer Profiles や Cases、外部システム、ナレッジベースとつながることです。Amazon Bedrockや外部ツールまで含めた連携を考えると、Amazon Connectは「問い合わせチャネル」よりも「顧客接点の実行基盤」に近い位置づけになってきています。

MCPサーバー連携で外部システムをツール化できる

2025年11月、AWSはAmazon ConnectがModel Context Protocol(MCP)に対応したことを発表しました。MCPはAnthropicが提唱したオープンプロトコルで、AIエージェントが外部システムや業務ツールに標準化された手順でアクセスできるようにするための仕組みです。Amazon Connectでは、AI agentsが顧客対応の最中にMCPツールを呼び出して、リアルタイムに業務システムから情報を取得したりアクションを実行できるようになっています。

MCPツールでAI agentsに情報取得とアクションを許可する公式ドキュメントでは、Amazon Connect側で次の3種類のMCPツールを使えると整理されています。

ツール種別 内容 想定ユースケース
既定のMCPツール 連絡先属性の更新、ケース情報の取得などをすぐに使える 注文照会、ケース参照、ステータス更新
フローモジュール由来のMCPツール 既存のContact flowをMCPツールとして公開 既存IVR・自己解決ロジックの再利用
カスタム/サードパーティ統合 Amazon Bedrock AgentCore Gatewayなどを経由 自社CRM・ERP・基幹システム連携


MCPの実務的な意味は、AIエージェント側のツール呼び出しを共通仕様にできることです。Amazon Connect AI agents、Amazon Bedrock Agents、その他のMCP対応エージェントの間で同じツール定義を流用しやすくなり、業務システム連携が個別実装で複雑化しにくくなります。詳細はMCPの仕組みを整理した記事も参考にしてください。

AI総合研究所のSIer目線では、MCPは「便利なオープンプロトコル」というより、「コンタクトセンターと業務システムをつなぐ際の標準入口を1本に絞れる仕組み」と捉えると、設計判断がしやすくなります。社内システムへの接続はガバナンスと監査が必須になるため、MCPツールごとに参照範囲・実行可能アクション・例外時の有人エスカレーションを最初に決めておく必要があります。

Nova Sonicと第三者音声モデルで自然な音声体験を作れる

音声対応の品質も2025年に大きく進化しています。Amazon ConnectがNova Sonicや第三者音声モデルに対応した発表では、エンドカスタマー向け自己解決でDeepgram(音声テキスト化)とElevenLabs(音声合成)を直接利用できるようになり、従来の音声→テキスト→生成AI→音声という3段階パイプラインの遅延を抑えやすくなったことが案内されています。

合わせて、AWS自社のNova Sonicは、テキストを介さず音声から直接応答音声を生成するスピーチ・トゥ・スピーチモデルとして提供されています。話者の声の調子や間合いを踏まえた応答を返せるため、IVRに比べて格段に自然な音声体験を作りやすい構成です。

実務での意味を整理すると、次のように使い分けやすくなります。

  • Nova Sonicを基本として使い、自然な音声対話と低遅延を狙う

  • 既存のSTT/TTSパートナーを継続したい場合はDeepgram/ElevenLabsをそのまま利用する

  • 言語・アクセント・コンプライアンス要件で特定モデルが必要な場合は第三者音声を選ぶ


音声体験の差は、ロボット感のあるIVRでの離脱率と直結します。コンタクトセンターを「人に近い窓口」へ近づけたい場合、音声モデルの選択肢が増えたことは見落とせない変化です。

Amazon Connectの使い方

Amazon Connectは多機能ですが、最初から全チャネルと全AI機能を盛り込む必要はありません。PoCや初期導入では、問い合わせ件数が多く、手順化しやすい窓口から始めるのが現実的です。

Amazon Connectの使い方

導入の流れは、次の5段階で考えると整理しやすいです。

  1. まず、電話窓口の置き換えだけなのか、チャットやEメールまで含めるのかを決め、対象業務を1つに絞ります。

  2. 次に、Amazon Connectのインスタンスを作成し、電話番号や利用チャネル、基本的なユーザー権限を設定します。

  3. 続いて、フロー、キュー、ルーティングプロファイル、step-by-step guides を作り、問い合わせの流れと担当者の動きを設計します。

  4. その後、必要に応じて Customer Profiles、Cases、FAQ、CRM、社内システムを連携し、1件の問い合わせで必要な情報がそろう状態を目指します。

  5. 最後に、自己解決、要約、AI agents、分析ダッシュボードを段階的に追加し、自己解決率や処理時間の改善を見ます。


特に最初のPoCでは、「IVRだけ」「チャットだけ」ではなく、誰がどの画面で何を判断し、後続作業をどう渡すかまで決めておくことが重要です。問い合わせ窓口は目立つ部分ですが、価値が出るのはその後の社内処理までつながったときだからです。

【関連記事】
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Amazon Connectの導入事例

Amazon Connectの導入効果は、単に電話基盤をクラウド化したかどうかではなく、顧客情報連携と後続業務まで一緒に作れたかで大きく変わります。AWS公式で確認できる事例の中から、国内外で見ておく価値が高いものを4つ挙げます。

Amazon Connectの導入事例

オールコネクト

AWS導入事例: 株式会社オールコネクトでは、移動体通信や固定通信の代理店販売を手がけるオールコネクトが、約1,200席のコンタクトセンターを既存のオンプレCTIからAmazon Connectへ移行した事例が紹介されています。Salesforce連携による発信者番号選択、自動マルチコール機能などを組み合わせ、架電数が従来比で1.6倍、有効通電率が約1.1倍に改善、数億円規模の投資効果が見込まれているとされています。

この事例で重要なのは、規模の大きな国内コンタクトセンターでもクラウド移行と業務改善を両立できる構成例が示されていることです。回線移設だけで終わらせず、CRM連携と発信業務の自動化を同時に進めた点が、効果を引き出せた背景になっています。

リクルート

AWS導入事例: 株式会社リクルートでは、Amazon Connect と AWS Lambda を組み合わせ、入電情報をもとに顧客管理システムから担当者情報を取得し、優先接続する構成が紹介されています。

効果としては、担当者につながるまでの時間を約5割短縮し、旧来のクラウドPBX比でシステムコストを最低でも3割から5割ほど下げられる試算が示されています。ここで重要なのは、単なる回線移設ではなく、受電から顧客識別、担当者接続、通話記録活用までを一体化したことです。

Zepz

Amazon Connect AI agentsでは、Zepzがチャットを主チャネルとして使い、AI powered Connect assistant により問い合わせの67パーセントをセルフサービスで即時解決していると紹介されています。

同ページでは、Amazon Connect Cases と Customer Profiles を使い、AI担当者と人間担当者の両方が顧客の取引履歴へアクセスできるため、顧客が同じ説明を繰り返さずに済む点も強調されています。自己解決率だけでなく、引き継ぎ時の体験をどう崩さないかまで見ている事例です。

Traeger

Amazon Connect Customer Profilesでは、TraegerがCustomer ProfilesによりEC/マーケティングシステム、Salesforce Service Cloud、Google/Adobe Analytics、Qualtricsの情報を統合し、平均処理時間を約25パーセント削減し、CSATを約10パーセント改善したと紹介されています。

この事例は、AI agents そのものより、顧客情報の統一ビューが現場効率に直結することを示しています。Amazon Connectを評価するときは、AIの派手さだけでなく、顧客情報の見せ方とケース文脈の維持も同じくらい重要です。


ここまでの事例を踏まえると、Amazon Connectが特に向いているのは、問い合わせ受付、顧客情報参照、後続処理、自己解決導線を1本でつなぎたい企業です。逆に、回線の受け口だけ置き換えたい場合や、顧客データ統合を別製品で完結させたい場合は、設計を小さく切ったほうが進めやすいこともあります。

AIや自動化の効果は、チャットボット単体ではなく、ケース管理や業務フローに組み込めたときに初めて大きくなります。Amazon Connectの導入をPoCで終わらせず、顧客接点から後続処理までつなぐ視点を持つことが重要です。

Amazon Connectを問い合わせ受付で終わらせない

AI Agent Hub

顧客接点とAI実行基盤をどうつなぐかを整理

Amazon ConnectはPBX置き換えだけでなく、顧客データ統合、AI agents、後続タスク設計まで含めて価値が決まります。AI Agent Hubの資料で、問い合わせ対応を業務実行へつなぐ全体像をご確認ください。

Amazon Connect導入で詰まりやすい論点

Amazon Connectは始めやすい反面、設計を雑にすると「窓口はクラウド化したが、現場は楽にならない」という状態にもなりやすいです。導入判断で詰まりやすい論点を、先に整理しておきます。

Amazon Connect導入で詰まりやすい論点

論点 詰まりやすい理由 先に決めるべきこと
PBX置き換えだけで終わる 受け口は変わっても、後続作業が分断されたまま残る 顧客情報参照、ケース化、後処理まで含めるか
CRMやFAQの連携が後回しになる エージェントが複数画面を行き来し続ける どの情報を workspace に集約するか
AIの役割分担が曖昧 自己解決、有人支援、要約のどこで使うかがぶれる Lex、フロー、AI agents の担当範囲
MCPツールのガバナンス 業務システムへのアクションが広がりすぎる 各MCPツールの参照範囲・実行可能アクション・有人エスカレーション基準
料金の見方が粗い チャネル費用と通話料、追加機能費を混同しやすい 使うチャネル、通話量、追加機能、外部AI費用


実務では、「まず電話窓口を置き換え、その後AIを考える」よりも、「どの顧客接点をどこまで自動化したいか」を先に決めたほうがうまくいきます。たとえば、問い合わせ受付は自動化したいが例外対応は人が持つのか、あるいは顧客情報更新までAIにさせたいのかで、必要なデータ接続と権限設計はかなり変わります。

また、外部システム連携やAI agentsを広げるなら、標準機能だけで足りるか、自前のエージェント設計まで必要かも見極めが必要です。より自由度の高いAIワークフローまで作るなら、AIエージェントを企業に導入する全手順|事例・費用も解説のような観点で、業務設計と運用体制まで含めて考えたほうが安全です。

Amazon Connectの料金

Amazon Connectの価格は、2026年4月時点では大きく分けて、Unlimited AI を含む標準チャネル課金と、必要機能だけを積むアラカルト課金の2系統です。Amazon Connect Pricingでは、最低利用料や長期契約、前払いライセンスが不要で、ピーク席数ではなく利用量に応じて課金されると案内されています。また、次世代Amazon Connectの有効化に関するドキュメントでは、新規インスタンスではUnlimited AIが既定の料金モデルとして適用されることが明記されています。

Amazon Connectの料金

標準チャネル課金

Unlimited AI を含む標準的な料金は、次のように案内されています。

チャネル 価格 補足
音声 1分あたり0.038ドル 別途、テレフォニーやWeb通話などの通信費が発生
チャット 1メッセージあたり0.010ドル AI機能込み
メッセージング 1メッセージあたり0.014ドル SMS、WhatsAppなど
Eメール 1通あたり0.080ドル AI機能込み


このモデルでは、会話分析、リアルタイム支援、要約、自己解決、スケジューリングなど、Amazon ConnectのAI機能をまとめて使いやすいのが特徴です。ただし、含まれるAI機能はチャネルごとに異なるため、実際の見積もりでは料金表の対応列を確認する必要があります。まず全体最適を目指すなら、この課金体系を前提に考えるほうが分かりやすいです。

アラカルト課金

一方で、特定機能だけ使いたい場合は、アラカルト課金も選べます。主要な例は次のとおりです。

項目 価格 補足
音声チャネル利用 1分あたり0.018ドル 別途、通信費が発生
チャット利用 1メッセージあたり0.004ドル チャネル利用のみ
メッセージング利用 1メッセージあたり0.010ドル チャネル利用のみ
Eメール利用 1通あたり0.050ドル チャネル利用のみ
リアルタイム支援 音声1分あたり0.008ドル など チャネルごとに加算
需要予測とスケジューリング 1エージェントあたり月額27ドル 月額型
エージェント評価 1エージェントあたり月額12ドル 月額型


部分導入には向きますが、AI要約や自己解決、支援機能を広く使う場合は、標準チャネル課金のほうが見積もりしやすいこともあります。どちらが安いかは、使うチャネル数とAI機能の範囲で変わります。

料金を見るときの注意点

Amazon Connectの料金で見落としやすい点は、次の3つです。

  1. 音声はサービス利用料と通信料の二重構造です。通話量だけでなく、どの国に発着信するかでも総額が変わります。

  2. カスタムAI agents が Amazon Bedrock AgentCore Gateway や Amazon Bedrock Knowledge Bases を使う場合は、その分の追加費用が別でかかります。

  3. Customer Profiles、Cases、Outbound campaigns などをどう組み合わせるかで、単純なチャネル料金以上に設計差が出ます。


そのため、見積もりは「月間通話分数」だけで作らず、チャネル構成、自己解決率の見込み、有人対応比率、後続処理まで含めて考えるのが安全です。

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Amazon Connectを顧客接点の実行基盤にするなら

Amazon Connectは、問い合わせ受付をクラウド化するだけなら比較的早く始められます。ただ、本当に効果が出るのは、Customer Profiles や Cases で顧客文脈をそろえ、AI agents や自己解決導線で処理を前に進め、必要な場面だけ人へ渡す設計まで含めたときです。

特に、問い合わせ窓口の効率化だけでなく、営業、サポート、バックオフィスの後続業務までつなげたい企業では、チャネル設計、権限設計、業務フロー設計を別々に考えると失敗しやすくなります。AI総合研究所のAI Agent Hub資料では、顧客接点のAI化をPoCで終わらせず、実運用へ広げるための進め方を整理しています。Amazon Connectを顧客接点の実行基盤として活用したい場合の判断材料としてご確認ください。

Amazon Connectを問い合わせ受付で終わらせない

AI Agent Hub

顧客接点とAI実行基盤をどうつなぐかを整理

Amazon ConnectはPBX置き換えだけでなく、顧客データ統合、AI agents、後続タスク設計まで含めて価値が決まります。AI Agent Hubの資料で、問い合わせ対応を業務実行へつなぐ全体像をご確認ください。

まとめ

Amazon Connectは、音声、チャット、Eメール、タスク、顧客情報、ケース管理、AI支援までをまとめて扱えるクラウド型コンタクトセンターです。PBX置き換えとしても使えますが、本来の強みは、顧客接点から後続処理までを1つの運用基盤で設計しやすい点にあります。

2026年時点では、Amazon Q in Connect を含むAI機能群は Amazon Connect AI agents の枠組みで理解すると整理しやすくなっています。さらに2025年11月のMCPサーバー対応と第三者音声モデル対応、re:Invent 2025で発表されたautonomous AI agentsやNova Sonicによって、Amazon Connectは「問い合わせ受付の窓口」というより「AIエージェントが業務を進める場所」に近づきました。オールコネクトのような国内大規模事例では、CRM連携と発信業務の自動化を組み合わせて架電数1.6倍などの効果も示されています。

導入時は、どの問い合わせを自己解決させるか、どこで人へ渡すか、どの顧客情報と案件情報を見せるか、そしてMCPツール経由でどの業務システムにアクションを許可するかを先に決めることが重要です。AI総合研究所のSIer目線では、まずは1つの問い合わせ窓口でPoCを組み、Customer Profiles・Cases・MCPツールを段階的に増やすのが現実的な進め方です。そこまで設計できるなら、Amazon Connectはコンタクトセンター刷新とAIエージェント基盤の両方を満たす強い選択肢になります。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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