この記事のポイント
Concurは経費精算、出張管理、請求書処理を統合的に管理するクラウドプラットフォームであり、世界9300万人以上が利用。
主要機能は「Concur Expense」「Concur Travel」「Concur Invoice」の3つで、業務効率化とガバナンス強化を実現。
導入メリットには業務効率化、ペーパーレス化、法令対応、コスト削減、従業員満足度向上などがある。
導入前の注意点として、料金体系の複雑さ、初期設定の工数、自社業務フローとの適合性が挙げられる。
料金プランは企業規模や機能に応じて複数あり、具体的な料金は個別見積もりが必要。

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
多くの企業で、経費精算や請求書処理といった間接業務は、依然として多くの手作業と時間を要する課題となっています。申請者と承認者の双方に負担がかかるだけでなく、ガバナンスの観点や、電子帳簿保存法・インボイス制度といった複雑な法改正への対応も経営上の大きなテーマです。
この記事では、こうした課題を解決するソリューションとして世界で最も多く導入されている「SAP Concur」について、その基本から具体的な機能、導入メリット、価格、さらには導入成功のポイントまでを網羅的に解説します。本記事を最後まで読めば、SAP Concurが自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)をいかに力強く推進するかが明確に理解できるでしょう。
目次
SAP Concurとは?世界で選ばれる経費精算・出張管理のクラウドプラットフォーム
SAP Concurの主要機能 - 3つのコアソリューションを解説
出張手配から管理まで一元化する「Concur Travel」
メリット4:経費データを活用したコスト削減と経営判断の迅速化
注意点2:多機能ゆえに初期設定や定着に工数がかかる可能性がある
注意点3:自社の業務フローに合わせたカスタマイズには限界がある
経理部門の本質的業務への集中を実現:株式会社学研プロダクツサポート
請求書処理時間を1/4に短縮しBPO委託料を大幅削減:味の素フィナンシャル・ソリューションズ
多くの企業で、経費精算や請求書処理といった間接業務は、依然として多くの手作業と時間を要する課題となっています。申請者と承認者の双方に負担がかかるだけでなく、ガバナンスの観点や、電子帳簿保存法・インボイス制度といった複雑な法改正への対応も経営上の大きなテーマです。
この記事では、こうした課題を解決するソリューションとして世界トップクラスの導入実績を誇る「SAP Concur」について、その基本から具体的な機能、導入メリット、価格、さらには導入成功のポイントまでを網羅的に解説します。
SAP Concurとは?世界で選ばれる経費精算・出張管理のクラウドプラットフォーム

出典:SAP Concur
SAP Concurは、単なる経費精算システムではなく、経費精算や出張管理、請求書管理といった、企業における「間接費」全般を統合的に管理し、業務プロセス全体を最適化するためのクラウドプラットフォームです。
2025年時点において全世界で9300万人以上が利用しているとされており、IDCの調査によると経費・出張管理クラウド市場で世界トップシェアを誇り、日本国内でも長年連続でトップシェアを獲得するなど、圧倒的な実績と信頼性を持ちます。
SAP Concurが解決する、日本企業における4つの課題
多くの日本企業で利用されている SAP Concur は、経費精算や出張管理といった間接業務の課題を解消し、効率化を実現しています。
現在世界中で導入されているSAP Concurは、日本企業特有の慣習や業務フローにも柔軟に対応し、間接業務の改革を後押しします。ここでは、日本企業に特に多く見られる4つの課題とその解決策をご紹介します。
課題1:未だに残る「紙・ハンコ・手入力」による非効率な業務
申請のために出社が必要になったり、領収書の糊付けやExcelへの手入力に多くの時間が費やされたりしている状況は、生産性を著しく低下させます。
SAP Concurは、スマートフォンアプリによる領収書撮影・OCR自動読取、法人カードやICカード利用履歴の自動取り込みができるため、紙や手入力が不要になります。申請者はモバイルで完結でき、出社不要でいつでもどこからでも申請が可能です。
課題2:属人化した承認プロセスと形骸化したチェック体制
承認ルートが複雑で誰に承認を得れば良いか分かりにくかったり、多忙な承認者が内容を十分に確認せず承認してしまったりするケースは少なくありません。
SAP Concurは、企業の組織構造や経費規定に基づいた自動承認ワークフローを構築することで、承認ルートを明確化します。
また、規定違反の項目には自動的にアラートが表示されるため、属人化によるリスクが減り、より精度の高いチェック体制を整えることが可能になります。
課題3:気づきにくい二重申請やカラ出張などの不正リスク
紙ベースの運用では、意図的であるか否かにかかわらず、二重申請や規定違反、私的利用といった不正を完全に防ぐことは困難です。
そういった場合でも、SAP Concurのシステムはすべての申請データをデータベースで一元管理し、重複申請や規定違反を自動検知します。詳細な監査ログが記録されるため、事後的な不正検知や防止も可能になります。
課題4:複雑化する電子帳簿保存法やインボイス制度への対応
法改正のたびに運用ルールを変更し、全従業員に周知徹底するのは大きな負担となります。システム対応が追いつかず、法要件を満たせないリスクも潜んでいます。
クラウドサービスであるSAP Concurは、電子帳簿保存法の法的要件認証を取得しており、法改正への対応も定期的なアップデートで自動的に対応されます。インボイス制度にも標準機能で対応しており、法令遵守の負担を大幅に軽減できます。
これらの課題は、多くの企業にとって根深く、個別の対応では解決が難しいものですが、SAP Concurのような統合プラットフォームの導入によって、業務改革を推進することが可能です。
SAP Concurの主要機能 - 3つのコアソリューションを解説

出典:SAP Concur公式
SAP Concurの中核をなすのは、「Concur Expense」「Concur Travel」「Concur Invoice」という3つのソリューションです。
ソリューションごとに経費精算、出張(旅費)、請求対応と役割が分かれており、それぞれに特化した機能を持っています。
しかし、これらのソリューションは決して独立しているわけではなく、シームレスに連携することで、申請者から管理者、経理担当者まで、関わる全ての人の業務を効率化し、支出管理の精度を向上させます。
経費精算の自動化を実現する「Concur Expense」
Concur Expenseは、経費精算にまつわるあらゆる手作業を削減し、プロセスを自動化します。主な機能として、以下の点が挙げられます。
- データ連携による入力レス:
法人カードの決済データを自動で取り込み、経費明細を自動作成します。 - スマートフォンによる完結:
専用のスマートフォンアプリで領収書を撮影するだけで、OCR機能が日付や金額を読み取り、電子データとして保存・申請が可能です。 - ICカード自動連携(ICCI):
SuicaやPASMOなど、事前に登録した交通系ICカードの利用履歴を自動で取り込みます。データは最短で翌日に反映されるため(カードにより異なります)、入力の手間がさらに削減されます。 - 規定違反の自動チェック:
会社の経費規定を事前に設定しておくことで、規定違反の申請があった場合に申請者と承認者の両方にアラートを表示し、不正やミスを未然に防ぎます。
これらの機能により、申請者はもちろん、内容を確認する承認者や経理担当者の負担も大幅に軽減されます。
▼Concur Expenseについての詳細はこちらでも解説しています▼
【徹底解説】Concur Expenseとは?価格・機能から使い方までわかりやすく紹介
出張手配から管理まで一元化する「Concur Travel」
Concur Travelは、出張の申請から航空券・宿泊先の手配、そして精算までを一つのシステム上で完結させます。
出張者は、システム上で会社の出張規定に準拠した選択肢の提示を受けながら最適なプランを予約できます。これにより、従業員の利便性を高めると同時に、会社としては出張コストの可視化とガバナンス強化を実現できます。
▼Concur Travelについての詳細はこちらをご覧ください▼
Concur Travelとは?出張管理のコスト削減と危機管理を実現する機能、価格を解説
請求書処理を効率化する「Concur Invoice」
Concur Invoiceは、取引先から受け取る請求書の処理プロセスをデジタル化し、大幅に効率化します。
紙やPDFなど様々な形式で届く請求書を電子データとして取り込み、承認ワークフローから支払処理、会計システムへの連携までを自動化します。これにより、請求書の紛失リスクや支払い遅延を防ぎ、月次決算の早期化にも貢献します。
▼Concur Invoiceについての詳細は以下で詳しく解説しています▼
Concur Invoiceとは?インボイス制度・電帳法への対応と機能を徹底解説
SAP Concurを導入する7つのメリット
SAP Concurを導入することは、業務効率化に留まらず、経営全体においても多くのメリットがあります。
ここでは、代表的な7つのメリットを解説します。
- 経費精算・請求書処理の圧倒的な業務効率化
- ペーパーレス化の推進とリモートワークへの対応
- ガバナンス強化と不正利用の防止
- 経費データを活用したコスト削減と経営判断の迅速化
- 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
- グローバル基準の多言語・多通貨対応
- 従業員満足度の向上
メリット1:経費精算・請求書処理の圧倒的な業務効率化
手入力や紙の確認作業がなくなり、申請から承認、精算までの時間が大幅に短縮され、業務の高速化が実現します。
特に経理部門では、月次決算のための請求書チェックや仕訳入力といった作業が自動化されるため、月20~50時間程度の工数削減が期待できます。後述する導入事例のように、具体的なコスト削減効果も報告されています。
メリット2:ペーパーレス化の推進とリモートワークへの対応
申請や承認のために出社する必要がなくなり、ペーパーレス化が促進されます。スマートフォンやPCからいつでもどこからでも申請・承認ができるようになるため、リモートワークの推進にも大きく貢献します。
これにより、これまで必要だった印刷代や保管スペースといったコストを削減し、働く場所に制約されない多様な働き方を実現できます。
メリット3:ガバナンス強化と不正利用の防止
経費規定の自動チェック機能により、不正や規定違反をシステムが自動で検知します。さらに、AIによる異常検知機能で過去のパターンから逸脱した申請を検出し、二重申請や私的流用といった課題も未然に防ぎます。
内部統制の強化は、経営リスクを低減した健全な企業経営につながります。
メリット4:経費データを活用したコスト削減と経営判断の迅速化
全社の経費データがリアルタイムに可視化されるため、「どの部門でどのような経費が多く使われているか」を正確に把握できます。このデータをダッシュボードで分析することで、無駄な支出を特定し、戦略的なコスト削減に取り組むことができます。
また、月次の経費トレンドを迅速に把握することで、経営層の意思決定をより早く、より正確に進めることができます。
メリット5:電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得しており、電子帳簿保存法の厳格な法的要件を満たす運用が標準機能で構築できます。
インボイス制度に対応した事業者番号の確認や税区分の自動検証機能も備えており、複雑な法規制の変更に対してもクラウドの定期更新で自動的に対応されるため、法令対応業務の負担が大幅に軽減されます。
メリット6:グローバル基準の多言語・多通貨対応
世界中の言語や通貨、税制に対応しており、海外拠点を持つ企業でも統一されたプラットフォームで間接費管理を実現できます。複数の国にまたがる経費精算や出張管理も一元化でき、グローバル企業の経営効率化を大きく推進することができます。
メリット7:従業員満足度の向上
面倒で時間がかかる経費精算業務から解放されることで、従業員のストレスが大幅に軽減されます。また、申請から承認、精算までが迅速に進むようになるため、経費の還付を早期に受け取ることができ、従業員の経済的な満足度も向上します。
本来注力すべきコア業務に集中できるようになることで、仕事へのモチベーションが高まり、組織全体の生産性向上にも繋がることが期待できます。
導入前に知っておきたい3つの注意点
SAP Concurの導入には多くのメリットがある一方で、導入後のミスマッチを防ぐためには、事前にいくつかの注意点を理解しておくことも重要です。
- 料金体系がレポート単位で分かりにくい場合がある
- 多機能ゆえに初期設定や定着に工数がかかる可能性がある
- 自社の業務フローに合わせたカスタマイズには限界がある
注意点1:料金体系がレポート単位で分かりにくい場合がある
SAP Concurの料金は、利用する従業員数や提出されるレポート数に基づくなど複数のモデルがあり、契約によって異なります。
自社の利用状況を想定し、事前に料金体系を確認することが大切です。
注意点2:多機能ゆえに初期設定や定着に工数がかかる可能性がある
非常に多機能なシステムであるため、自社の経費規定や承認フローをシステムに反映させるための初期設定には、一定の知識と工数が必要になります。
導入後の定着には、丁寧なトレーニングや段階的な社内展開が有効です。
注意点3:自社の業務フローに合わせたカスタマイズには限界がある
クラウドサービスであるため、自社の特殊な業務フローに100%合致するよう、自由にシステムを改修するといったカスタマイズは困難です。
そのため、導入にあたっては既存の業務フローをシステム側に合わせるという視点も必要になります。
SAP Concurの料金プラン|自社に合うのはどれ?
SAP Concurには、主に企業の規模や求める機能に応じて複数のプランが用意されています。ここでは、代表的な経費精算のプランを比較してみましょう。
| プラン名 | 対象企業規模 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Concur Expense Standard | 中小企業 | 経費精算の基本機能をパッケージ化。短期間・低コストでの導入が可能。 |
| Concur Expense Professional | 中堅・大企業 | 複雑な経費規定や承認フロー、外部システム連携など、高度な要件に対応可能。 |
Concur Expense Standardには、目安として初期費用0円、月額5万円台から利用可能なプランもありますが、具体的な料金は企業の状況に応じて個別に見積もられます。
Concur Expense Professionalは、企業の要件に応じた個別見積りとなり、レポート数に応じた課金体系となるケースもあります。
SAP Concurの具体的な料金は、企業の従業員数、利用するソリューション(Expense, Travel, Invoice)、レポート数などによって大きく変動します。
そのため、自社の要件をある程度まとめた上で、公式サイトや導入パートナーへの問い合わせが必要となります。
【目的別】SAP Concurの導入事例3選
実際にSAP Concurを導入した企業が、どのような効果を実感しているのか、具体的な事例を見ていきましょう。
<!--ここは公式事例を引用 https://www.concur.co.jp/casestudy -->
経理部門の本質的業務への集中を実現:株式会社学研プロダクツサポート

参考/出典:導入事例・株式会社学研プロダクツサポート
煩雑な経費精算や請求書処理の効率化と法令対応を目的として、2023年にSAP Concur を導入しました。その結果、外部委託費用の大幅削減や経理部門の人員最適化が実現し、経理部門の業務効率化だけでなく、グループ企業におけるペーパーレス化やハイブリットワークを実現しています。
導入成果
- 外部委託していたチェック業務の作業量を約40%削減
- 経費精算の8割以上が省略化
- 報告業務の自動化により他部門の業務工数を月間20時間削減
請求書処理時間を1/4に短縮しBPO委託料を大幅削減:味の素フィナンシャル・ソリューションズ

参考/出典:導入事例・味の素フィナンシャル・ソリューションズ
Concur Invoiceをグループ9社に一斉導入し、請求書処理の標準化を実施しました。これにより、従来は1件につき約20分を要していた請求書処理の作業を5分ほどに短縮し、BPO委託料の大幅削減を実現。さらに、インボイス制度の一斉対応や一部データ項目の標準化も達成しています。
導入成果
- 請求書処理1件につき処理作業に要する時間が5分程度に短縮
- 請求書処理の業務効率化によりBPO委託料の低減が可能
- 自社を含むグループ9社へのインボイス制度一斉対応や一部データ項目の標準化が実現
DX推進の一環で国内グループ30社に SAP® Concurを導入:村田製作所

参考/出典:導入事例・村田製作所
適正な経費処理を担保でき、従来よりも効率的で安全な経費精算プロセスを構築するため、2024年にSAP Concurを導入しました。1月からは村田製作所で、4月からは国内29のグループ会社でConcur Expense、Concur Invoice、Concur Travel を利用できるようにし、国内グループ全社での経費精算プロセスの標準化を実現しています。
導入成果
- 国内30社の経費精算プロセスを標準化
- 経費精算システムをSAP Concur に集約
- Concur Travel などによる購買コントロールの実施
SAP Concurの導入検討から運用開始までの流れ
SAP Concurの導入を成功させるためには、計画的なステップを踏むことが重要です。一般的な導入プロセスは以下の通りです。
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ステップ1:課題の洗い出しと目的の明確化
まずは自社の現状の業務フローを可視化し、「何を解決したいのか」「どのような状態を目指すのか」という導入目的を明確にします。 -
ステップ2:情報収集と製品デモの依頼
公式サイトや導入パートナーから詳細な資料を取り寄せ、自社の課題を解決できるか確認します。実際の操作感を確かめるために、製品デモを依頼するのが効果的です。 -
ステップ3:導入パートナーの選定
自社の業種や規模に合った導入実績が豊富なパートナーを選定します。パートナーの支援体制も重要な選定基準となります。 -
ステップ4:要件定義とシステム設定
パートナーの支援のもと、自社の経費規定や業務フローをシステムに反映させるための詳細な設定(要件定義)を行います。 -
ステップ5:社内への展開とトレーニング
一部の部門で先行導入(スモールスタート)し、効果を検証しながら全社へ展開していくのが一般的です。全従業員を対象としたトレーニングや説明会を実施し、円滑な定着を図ります。
これらのステップを、経験豊富な導入パートナーと連携しながら進めることで、導入の失敗リスクを最小限に抑え、効果を最大化することができます。
まとめ:SAP Concurは間接業務のDXを推進する強力な一手
本記事では、SAP Concurの機能からメリット、料金、導入事例までを詳しく解説しました。
SAP Concurは、単に経費精算を楽にするツールではありません。間接業務全体をデジタル化・自動化し、そこで得られたデータを経営に活かすことで、企業の生産性向上、ガバナンス強化に貢献します。AIが不正な経費申請を検知する「Verify」機能や、承認プロセスの自動化(承認レス)といった最新のテクノロジーも活用し、企業の競争力そのものを高めるための戦略的プラットフォームです。
経費精算や請求書処理の非効率さに課題を感じている場合、まずは自社の課題を整理し、SAP Concurがどのように貢献できるか仮説を立てた上でより具体的な導入方法を検討してみましょう。









