この記事のポイント
Concur ExpenseはSAP Concurの中核ソリューションで、経費精算の申請から承認・会計連携までを自動化するクラウドサービス。
AI-OCRによる領収書の自動読取、法人カード・ICカード連携、経費規定の自動チェックなど主要機能を網羅。
Concur Expense Standardは月額29,000円〜・初期費用0円。Professionalは個別見積り。
電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証を取得しており、電子帳簿保存法・インボイス制度に標準対応。

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
経費精算は、領収書の手入力や規定違反のチェック、承認の遅延など、多くの企業で手作業と時間を要する業務です。
また、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も避けて通れないテーマとなっています。
本記事では、こうした経費精算の課題を解決するソリューション「Concur Expense」について、主要機能・料金・使い方・法令対応まで体系的に解説します。
Concur Expenseとは
Concur Expenseは、SAP Concurの中で経費精算領域を担う中核ソリューションです。経費の申請・承認だけでなく、領収書の読取から会計システムへのデータ連携まで、経費精算プロセス全体を自動化する仕組みを提供します。
Concur Expense単体でも利用できますが、出張管理のConcur Travelや請求書管理のConcur Invoiceと連携させることで、間接費管理全体の最適化が可能になります。
Concur Expenseの主要機能
Concur Expenseは、経費精算における手作業の削減とガバナンス強化を同時に実現するための機能を備えています。ここでは代表的な機能を整理します。
Concur Expenseのモバイルアプリ(Concur Mobile)
専用アプリを使えば、スマートフォンからいつでもどこでも経費の申請・承認が可能です。移動中や外出先でも処理を進められるため、承認の遅延を防ぎ業務のスピードアップに直結します。
Concur Expenseの領収書自動読取(AI-OCR)
スマートフォンで領収書を撮影するだけで、AI-OCR機能が日付・金額・支払先を自動読取し、経費データを作成します。手入力の手間とミスを大幅に削減できます。
Concur Expenseのデータ連携機能
以下のデータソースと連携し、経費入力を自動化します。
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法人カード連携
利用明細データを自動取り込みし、経費レポートに反映する。PayPayなどのキャッシュレス決済とも公式連携している。
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交通系ICカード連携(ICCI)
SuicaやPASMOなどの利用履歴を自動取り込みする。サーバー側で自動連携するICCI方式と、NFC対応スマートフォンでの読み取り方式に対応。
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交通費の経路検索
「駅すぱあと」や「ジョルダン」と連携し、経路検索・運賃計算・定期区間の自動控除を行う。経路の妥当性確認も自動化される。
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会計システム連携
承認済みの経費データを仕訳データとして会計システムに連携する。経理担当者の再入力が不要になり、月次決算の早期化に貢献。
Concur Expenseの経費規定チェックとAI不正検知
経費管理のガバナンスを強化する機能も充実しています。
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規定違反の自動チェック
日当の上限やタクシー利用の可否など、企業の経費規定を事前設定し、違反申請にアラートを自動表示する。
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AIによる不正検知(Verify)
SAP Business AIを活用し、過去の申請データから二重申請や私的利用の疑いがある経費を自動検出する。2026年にはAI生成領収書の偽造検出機能も追加されている。
Concur Expenseの使い方
ここでは、申請者と承認者それぞれの視点から基本的な操作フローを解説します。
申請者の経費申請フロー
- ステップ1:経費レポートの作成
出張や期間を基に経費レポートを作成する。

- ステップ2:領収書のアップロードと経費入力
スマートフォンで撮影した領収書データや、連携済みの法人カード明細をレポートに追加する。AI-OCR機能により多くの項目が自動入力される。

- ステップ3:経費レポートの提出
必要な経費をすべて追加したら、承認者へレポートを提出する。
承認者の経費承認フロー
承認者は、PCやスマートフォンから申請内容を確認し承認作業を行います。
- ステップ1:承認依頼の確認
自分宛に提出された経費レポートを一覧で確認する。

- ステップ2:チェックと承認・差戻し
レポートの詳細を確認する。経費規定違反がある場合はアラートが表示されるため、問題箇所を容易に特定できる。内容に問題がなければ「承認」、修正が必要な場合は理由を記載して「差戻し」を行う。
Concur Expenseの料金体系
Concur Expenseには、企業規模に応じて2つのプランが用意されています。
以下の表で、StandardとProfessionalの違いを整理しました。
| 項目 | Concur Expense Standard | Concur Expense Professional |
|---|---|---|
| 対象企業規模 | 中小企業 | 中堅・大企業 |
| 月額費用 | 29,000円〜(50ユーザー単位) | 個別見積り |
| 初期費用 | 0円 | 個別見積り |
| 課金モデル | ユーザー数ベース | レポート数ベース等(契約により変動) |
| カスタマイズ性 | 標準設定 | 高度な設定が可能 |
2026年2月時点
Standardは月額29,000円・初期費用0円で、50ユーザー単位の契約のため1ユーザーあたり約580円から利用を開始できます。経費精算の基本機能をパッケージ化しており、短期間で導入可能です。
Professionalは、複雑な経費規定や外部システムとの高度な連携を必要とする企業向けです。Standardの全機能に加え、詳細な設定・カスタマイズが可能で、料金は要件に応じた個別見積りとなります。
Concur Expense導入のメリットと注意点
Concur Expense導入のメリット
Concur Expenseの導入で得られる主な効果は以下の4点です。
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経費精算業務の生産性向上
手作業の大幅な削減により、従業員はコア業務に集中できるようになる。
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ガバナンス強化と不正リスクの低減
経費規定の自動チェックとAIによる不正検知で、ミスや不正を未然に防ぎ内部統制を強化する。
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経費データの可視化によるコスト最適化
全社の経費データがリアルタイムに集約され、データに基づくコスト削減と迅速な経営判断が可能になる。
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法改正への自動対応
クラウドサービスのため、電子帳簿保存法やインボイス制度の法改正にも定期アップデートで迅速に対応できる。
Concur Expense導入前の注意点
導入後のミスマッチを防ぐために、以下の点も事前に確認しておく必要があります。
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初期設定と社内定着の準備
自社の経費規定をシステムに反映させる初期設定と、全従業員向けのトレーニング期間が必要。
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カスタマイズの制約
クラウドサービスのため、自社独自の業務フローに完全に合わせた改修は困難。既存フローをシステム側に寄せる視点も求められる。
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費用対効果の事前シミュレーション
導入・運用コストに対する業務時間削減・コスト削減の見込みを試算しておくことが成功の鍵。
Concur Expenseと電子帳簿保存法
経費精算システムの選定において、電子帳簿保存法(スキャナ保存制度)への対応は重要な要件です。Concur Expenseはこの点でも安心して利用できる体制を整えています。
Concur Expenseの法的要件認証
Concur Expenseは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得しています。国税庁の要件を満たすソフトウェアであることが第三者機関により証明されており、法的要件を遵守した運用を構築できます。
Concur Expenseのタイムスタンプと履歴管理
電子化された領収書データには、総務大臣認定の時刻認証事業者による認定タイムスタンプが自動付与されます。訂正・削除履歴もシステム上に自動記録されるため、データの真実性と可視性を担保し、法的要件を満たす運用が可能です。
まとめ
Concur Expenseは、経費精算の申請から承認・会計連携までを自動化するSAP Concurの中核ソリューションです。
本記事のポイントを整理します。
- AI-OCRによる領収書の自動読取、法人カード・ICカード連携、経路検索の自動化により、手入力を大幅に削減
- 経費規定の自動チェックとAI不正検知(Verify)でガバナンスを強化
- Standardは月額29,000円〜・初期費用0円、Professionalは個別見積り
- 電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証を取得し、法令対応も標準機能でカバー
紙とExcelによる経費精算に課題を感じている場合は、まず公式サイトから資料を請求し、自社の課題をどのように解決できるか具体的に検討するのが第一歩です。








