この記事のポイント
経費精算業務の効率化と自動化を実現するSAP Concurの中核機能
AI-OCRによる領収書の自動読み取りや交通費の自動計算など、多彩な機能を解説
料金プランの違いや導入メリット・注意点を詳述
電子帳簿保存法への対応状況と法的要件認証の取得について紹介
具体的な操作フローを画面イメージ付きで解説

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
企業の経理部門や現場の従業員にとって、経費精算は多くの時間と手間を要する業務です。領収書の貼り付け、Excelへの手入力、申請ミスや規定違反の確認、そして承認の遅延。これらの課題は、生産性を低下させるだけでなく、人的ミスや不正リスクの原因にもなり得ます。また、複雑化する電子帳簿保存法への対応も、多くの企業にとって喫緊の課題となっています。
この記事では、こうした経費精算にまつわるあらゆる課題を解決するソリューション「Concur Expense」に焦点を当て、その具体的な機能から価格、実際の使い方、法改正への対応までを徹底的に解説します。この記事を最後まで読めば、Concur Expenseが自社の経費精算業務をいかに変革できるかが明確に理解できるはずです。
目次
Concur Expenseとは?SAP Concurにおける経費精算のコア機能
Concur Expenseが解決できる経費精算の5つの課題
課題1:領収書の糊付けやExcelへの手入力といった手作業の多さ
SAP Concurの主要機能 - 経費精算を自動化する7つの仕組み
SAP Concurの料金プラン|StandardとProfessionalの違いは?
中小企業向け「Concur Expense Standard」
Concur Expenseとは?SAP Concurにおける経費精算のコア機能
Concur Expenseは、世界トップクラスのシェアを誇る出張・経費管理クラウド「SAP Concur」の中で、経費精算領域を担う中核的なソリューションです。単に経費を申請・承認するだけでなく、経費精算にまつわる業務プロセス全体を自動化し、効率化することに特化して設計されています。
▼SAP Concurについては下記で詳しく解説しています▼
【2025年最新】SAP Concurとは?機能・料金・導入事例を徹底解説
もちろんConcur Expense単体での利用も可能ですが、出張管理の「Concur Travel」や請求書管理の「Concur Invoice」と連携させることで、間接費管理全体を最適化し、より大きな業務改善効果とガバナンス強化を実現できます。
このように、SAP Concurには「Expense」「Travel」「Invoice」の3つの主要なソリューションが含まれていますが、ここでは経費精算領域を担う「Expense」について詳しく解説していきます。
▼出張(旅費)管理を担う「Concur Travel」についてはこちらで解説しています▼
Concur Travelとは?出張管理のコスト削減と危機管理を実現する機能、価格を解説
▼請求書管理を担う「Concur Invoice」についてはこちらで解説しています▼
Concur Invoiceとは?インボイス制度・電帳法への対応と機能を徹底解説
Concur Expenseが解決できる経費精算の5つの課題
多くの企業が直面している、以下のような経費精算の課題をConcur Expenseは解決することができます。
- 領収書の糊付けやExcelへの手入力といった手作業の多さ
- 交通費の経路検索や金額確認、定期区間控除の手間
- 申請ミスや経費規定違反のチェック漏れ
- 承認プロセスの遅延と進捗の不透明さ
- 電子帳簿保存法に対応した領収書の電子保管
それぞれ具体的に見ていきましょう。
課題1:領収書の糊付けやExcelへの手入力といった手作業の多さ
アナログな作業は時間がかかるだけでなく、入力ミスや計算ミスを発生させる要因となります。
Concur Expenseは、スマートフォンで領収書を撮影するだけでAI-OCR機能が日付・金額・支払先などを自動読み取りし、データを自動作成します。
そのため、紙の領収書の糊付けやExcelへの手入力が不要になり、申請者の負担が大幅に軽減されるだけでなく、人的なミスを減らすことにもつながります。
課題2:交通費の経路検索や金額確認、定期区間控除の手間
日々の交通費精算における経路の妥当性確認や、定期券利用区間の控除計算は、申請者・承認者双方にとって大きな負担です。
Concur Expenseは、「駅すぱあと」や「ジョルダン」との連携により、交通費の経路検索と定期区間控除が自動で行われます。
これにより、経路の妥当性確認と運賃計算が自動化され、手作業による計算ミスもなくすことが可能です。
課題3:申請ミスや経費規定違反のチェック漏れ
複雑な経費規定を全従業員が完璧に把握するのは困難であり、承認者の目視チェックにも限界があります。
Concur Expenseは、事前に設定された企業の経費規定に違反する申請があった場合、申請者と承認者の双方に自動的にアラートを表示します。これにより、うっかりした申請ミスや規定違反を未然に防ぎ、チェック漏れを防ぐことができます。
課題4:承認プロセスの遅延と進捗の不透明さ
承認者が不在で精算が滞ったり、申請状況が分からず経理担当者が催促に追われたりするケースは少なくありません。
そういった場合でも、Concur Expenseでは企業の組織構造に基づいた自動承認ワークフローを構築でき、不在の承認者がいる場合の代理承認設定も可能です。
また、スマートフォンからいつでもどこからでも承認作業が行え、申請状況のリアルタイム追跡も可能になり、進捗の不透明さが解消されます。
課題5:電子帳簿保存法に対応した領収書の電子保管
法改正に対応した形で領収書を電子データとして保存し、原本を破棄するための運用体制を自社だけで構築するのは非常に困難です。
Concur Expenseは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得しており、電子化された領収書には自動的にタイムスタンプが付与され、訂正・削除履歴も記録されます。これにより、法的要件を遵守した運用が簡単に構築でき、法改正への対応も自動的にアップデートされます。
SAP Concurの主要機能 - 経費精算を自動化する7つの仕組み
Concur Expenseは、最新のテクノロジーを活用した多彩な機能で、経費精算業務を自動化・効率化します。ここでは、その代表的な7つの機能をご紹介します。
- スマートフォンアプリによる申請・承認
- 領収書の自動読み取り(AI-OCR機能)
- 法人カード・キャッシュレス決済とのデータ連携
- 交通系ICカードの履歴取込(ICカード連携)
- 経費規定の自動チェック機能
- AIによる不正経費検知(Verify機能)
- 会計システムへのデータ連携
1. スマートフォンアプリによる申請・承認
専用のスマートフォンアプリ「Concur Mobile」を使えば、いつでもどこでも経費の申請や承認が可能です。移動中の隙間時間などを有効活用でき、業務のスピードアップに直結します。

2. 領収書の自動読み取り(AI-OCR機能)
スマートフォンで領収書を撮影するだけで、AI-OCR機能が日付・金額・支払先などを高精度で読み取り、自動でデータ化します。
これにより、手入力の手間とミスを大幅に削減します。
3. 法人カード・キャッシュレス決済とのデータ連携
法人カードの利用明細データを自動で取り込み、経費レポートに反映させることが可能です。近年利用が拡大しているPayPayなどのキャッシュレス決済サービスとも公式に連携しており、利用者が多い決済手段を広くカバーできます。
4. 交通系ICカードの履歴取込(ICカード連携)
SuicaやPASMOなどの交通系ICカードの利用履歴を取り込むことができます。サーバー側でデータを自動連携する「ICCI」方式や、従来のNFC対応スマートフォン・専用カードリーダーでの読み取り方式に対応しており、運用に合わせて選択可能です。
5. 経費規定の自動チェック機能
「駅すぱあと」や「ジョルダン」と連携し、交通費の経路検索や定期区間を自動控除した運賃計算が可能です。また、「日当の上限」「タクシー利用の可否」といった企業の経費規定を事前に設定しておくことで、規定に違反する申請があった場合に、申請者と承認者の双方にアラート(警告)を表示します。
6. AIによる不正経費検知(Verify機能)
AIが過去の申請データなどを分析し、二重申請や私的利用の疑いがある経費など、不正の可能性が高いものを自動で検知します。人の目だけでは見つけにくい不正リスクを低減させます。
7. 会計システムへのデータ連携
承認された経費データは、使っている会計システムに仕訳データとしてスムーズに連携できます。経理担当者による再入力が不要になり、月次決算の早期化にも貢献します。
【画面で解説】Concur Expenseの基本的な使い方
ここでは、実際の利用者である「申請者」「承認者」それぞれの視点から、Concur Expenseの基本的な操作フローを画面イメージと共に解説します。
申請者の使い方(経費申請フロー)
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ステップ1:経費レポートの作成
まず、出張や期間などを基に「経費レポート」を作成します。
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ステップ2:領収書のアップロードと経費入力
スマホで撮影した領収書データや、連携された法人カードの利用明細などをレポートに追加します。AI-OCR機能により、多くの項目は自動で入力されます。
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ステップ3:経費レポートの提出
必要な経費をすべて追加したら、レポートを承認者へ提出します。
承認者の使い方(経費承認フロー)
承認者は、PCやスマートフォンから効率的に申請内容を確認し、承認作業を行えます。
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ステップ1:承認依頼の確認
自分宛に提出された経費レポートを一覧で確認します。
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ステップ2:申請内容のチェックと承認・差戻し
レポートの詳細を確認します。経費規定違反がある場合はアラートが表示されるため、問題のある箇所を簡単に見つけられます。内容に問題がなければ「承認」、修正が必要な場合は理由を記載して「差戻し」を行います。
SAP Concurの料金プラン|StandardとProfessionalの違いは?
Concur Expenseには、主に企業の規模やニーズに合わせて「Standard」と「Professional」の2つのプランが用意されています。どちらを選ぶべきか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
| プラン名 | 対象企業規模 | 主な機能 | カスタマイズ性 | 価格体系 |
|---|---|---|---|---|
| Concur Expense Standard | 中小企業 | 経費精算の基本機能を網羅 | 標準設定 | 主にユーザー数/機能ベース |
| Concur Expense Professional | 中堅・大企業 | 全機能を利用可能 | 高度な設定が可能 | 個別見積もり(契約により変動) |
中小企業向け「Concur Expense Standard」
経費精算の基本的な機能をパッケージ化し、短期間・低コストで導入したい中小企業向けのプランです。価格の目安として、初期費用0円、月額5万円台からとされていますが、利用する機能やユーザー数によって変動するため、詳細は見積もりが必要です。
中堅・大企業向け「Concur Expense Professional」
複雑な経費規定や承認フローを持つ、あるいは外部システムとの高度な連携を必要とする中堅・大企業向けのプランです。Standardプランの全機能に加え、より詳細な設定やカスタマイズが可能で、料金は要件に応じた個別見積もりとなります。
Concur Expenseを導入するメリットと注意点
Concur Expenseの導入は企業にとって非常に大きなメリットがありますが、事前に知っておくべき注意点もいくつか存在します。
双方を理解し、導入を検討することが重要です。
導入で得られる4つの大きなメリット
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経費精算業務の生産性向上
手作業の大幅な削減により、従業員はより付加価値の高いコア業務に集中できます。 -
ガバナンス強化と不正リスクの低減
経費規定の自動チェックやAIによる不正検知により、意図しないミスや不正を未然に防ぎ、内部統制を強化します。 -
経費データの可視化によるコスト管理の高度化
全社の経費データがリアルタイムに可視化され、コスト削減に向けたデータドリブンな意思決定が可能になります。 -
メ法改正への迅速な対応
電子帳簿保存法などの法改正が行われた際も、クラウドサービスであるため迅速なアップデートで対応できます。
導入前に知っておきたい3つの注意点
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初期設定と社内定着のための準備が必要
自社の経費規定をシステムに反映させる初期設定や、全従業員がスムーズに利用するためのトレーニング期間が必要です。 -
クラウドサービスゆえのカスタマイズの限界
パッケージ化されたクラウドサービスであるため、自社の特殊な業務フローに100%合わせるような独自のカスタマイズは困難です。 -
費用対効果の事前シミュレーションが重要
導入・運用コストに対し、どれだけの業務時間削減やコスト削減が見込めるか、事前に費用対効果を試算することが成功の鍵となります。
Concur Expenseと電子帳簿保存法への対応
経費精算システムを選定する上で、電子帳簿保存法、特にスキャナ保存制度への対応は避けては通れない要件です。Concur Expenseは、この点においても安心して利用できる体制を整えています。
「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得
Concur Expenseは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得しています。これは、国税庁の要件を満たすソフトウェアであることの第三者機関による証明であり、ユーザーは法的要件を遵守した運用を安心して構築できます。
タイムスタンプ付与と訂正・削除履歴の確保
電子化された領収書データには、総務大臣認定の時刻認証事業者による「認定タイムスタンプ」が自動で付与されます。また、一度登録したデータの訂正・削除履歴がシステム上に記録されるため、データの真実性と可視性を担保し、法的要件を満たす運用が可能です。
まとめ:Concur Expenseで経費精算業務のDXを実現しよう
この記事では、Concur Expenseの機能、使い方、価格、法改正への対応までを網羅的に解説しました。
Concur Expenseは、単に面倒な経費精算を効率化するだけのツールではありません。ペーパーレス化を推進し、ガバナンスを強化し、蓄積された経費データを経営に活かすことで、企業全体の生産性向上に貢献するDXソリューションです。
もし、紙とExcelによる経費精算に課題を感じているのであれば、この機会にConcur Expenseの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まずは公式サイトから資料を請求し、自社の課題をどのように解決できるか、具体的な情報を集めることから始めてみましょう。







