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SAP Business AIとは?機能、Jouleとの関係、料金体系を徹底解説

この記事のポイント

  • SAP Business AIはSAPのアプリケーション・プラットフォーム全体に組み込まれたビジネス特化型AI機能の総称で、2026年2月時点で350以上のAIシナリオを提供している。
  • AIアシスタント(Joule)、AIサービス(AI Business Services)、AI基盤(AI Foundation)の3階層で構成されている。
  • Relevant(関連性)・Reliable(信頼性)・Responsible(責任)の3原則に基づいて設計されている。
  • 2026年にはJoule Studio Agent BuilderのGA、独自LLM「SAP-RPT-1」の発表など、AIエージェント基盤としての進化が加速している。
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

SAPはAIを自社ソリューションに深く統合する戦略を推進しており、その中核が「SAP Business AI」です。
しかし全体像は広く、JouleやBTPとの関係性も複雑で理解が難しいと感じる方も多いでしょう。
本記事では、SAP Business AIの基本理念から3つの階層構造、2026年最新機能、導入方法・料金まで体系的に解説します。

SAP Business AIとは

SAP Business AIとは
出典:SAP|SAP Business AI

SAP Business AIとは、SAPが提供するアプリケーションおよびプラットフォーム全体に組み込まれた、ビジネス特化型のAI機能の総称です。特定の製品ではなく、SAP製品群全体をより賢く運用するための包括的な戦略と技術体系を指します。

2026年2月時点で350以上のAIシナリオを提供しており、AIを企業の業務プロセスに組み込んで実際に役立つ成果を生み出すことに主軸を置いています。

SAP Business AIの3つの原則

SAPはビジネスAI活用において、以下の3つの原則を掲げています。

  • Relevant(関連性)
    AIがユーザーの業務内容やビジネスの文脈に関連した、意味のある結果を提供すること。

  • Reliable(信頼性)
    AIが企業の正確なデータに基づいて、信頼できる一貫した結果を提供すること。

  • Responsible(責任)
    AIが倫理基準やデータプライバシーを遵守し、責任ある形で利用されること。

SAP Business AIとJouleの関係

SAP Business AIとJouleの関係は、Business AIが提供するデータ分析やプロセス自動化といったAIの「能力」を、Jouleという対話インターフェース(「窓口」)を通じてすべての従業員が簡単に引き出せるようになる構造です。


SAP Business AI導入のメリットと注意点

SAP Business AI導入のメリット

SAP Business AI導入で得られる主な効果を整理します。

  • 生産性向上
    請求書処理やレポート作成といった定型業務を自動化し、従業員をより創造的な業務にシフトさせる。

  • イノベーション創出
    顧客データや生産データをAIで分析し、新しいサービスのアイデアや業務改善のヒントを発見できる。

  • 意思決定の高度化
    AIによる需要予測やリスク分析に基づき、データドリブンで精度の高い意思決定が可能になる。

SAP Business AI導入時の注意点

  • データ品質の重要性
    AIはデータから学習するため、入力データの品質がAIの出力品質を直接左右する。AI導入の前提として社内のデータ整備(データマネジメント)が不可欠。

  • AI倫理とガバナンス
    AIの判断プロセスの透明性確保や個人情報の取り扱いに配慮し、企業としてのAI倫理・ガバナンス体制を確立することが重要。


SAP Business AIの3つの階層

SAP Business AIは、ユーザー層や目的に応じて3つの階層で構成されています。以下の表で全体像を整理しました。

階層 ターゲットユーザー 役割
AIアシスタント 全従業員 自然言語でSAPの機能を実行する対話インターフェース
AIサービス 業務担当者・開発者 特定の業務プロセスにAIを組み込む機能部品
AI基盤 開発者・IT部門 独自のAIを開発・運用するための基盤

第1階層 SAP Joule(AIアシスタント)

SAP Jouleのイメージ画像
出典:SAP|SAP Joule

ユーザーが最も直接的に触れるのがAIアシスタント「Joule」です。トランザクションコードを覚える必要なく、「○○のレポートを作成して」と話しかけるだけで、JouleがSAP Business AIの能力を使ってタスクを実行します。

Jouleは人事(SuccessFactors)、営業(Sales Cloud)、購買(Ariba)、財務(S/4HANA Cloud)、開発(ABAP支援)など幅広いSAPクラウドソリューションに横断的に組み込まれています。詳細はSAP Jouleの解説記事をご覧ください。

第2階層 SAP AI Business Services(AIサービス)

特定のビジネスプロセスを自動化・高度化するためにSAPがあらかじめ用意したAIの「機能部品」です。AI開発の専門知識がなくても短期間でAIを業務に取り入れられます。

代表的なサービスは以下のとおりです。

  • Document Information Extraction
    PDF形式の請求書や注文書をアップロードするだけで、AIが支払先・金額・品目を自動読み取りしシステムに登録する。

  • Data Attribute Recommendation
    新しい商品マスタ登録時に、商品説明文をAIが分析して適切なカテゴリや属性の入力候補を提示する。

第3階層 SAP AI Foundation(AI基盤)

既製のAIサービスでは満たせない企業独自の高度な要件に応えるのがSAP AI Foundationです。SAP BTP上で提供されます。

AI Foundation
出典:AI Foundation

AI Foundationは以下の主要コンポーネントで構成されています。

  • SAP AI Core
    独自開発したAIモデルやオープンソースモデルをSAP環境で安定稼働させるための実行基盤。トレーニング、デプロイ、本番環境の監視までAIのライフサイクル全体を管理する。

  • Generative AI Hub
    OpenAI(ChatGPT)、Meta(Llama)、Cohereなど複数ベンダーのLLMへのアクセスを一元管理する中立的な窓口。特定のAIモデルに縛られず、目的に最適なエンジンを選択できる。

  • SAP AI Launchpad
    企業内で利用されるAIモデルやプロジェクトを一画面で管理・監視するダッシュボード。AI利用状況の可視化とガバナンスを実現する。


SAP Business AIの2026年最新動向

2026年に入り、SAP Business AIはAIエージェント基盤としての進化を加速させています。

  • Joule Studio Agent Builder GA
    2026年Q1に一般提供を開始。企業が自然言語でAIエージェントの目標・役割を定義し、独自のAIエージェントを構築できる。マルチエージェント連携も実装済み。

  • SAP-RPT-1(独自LLM)
    2026年1月のSAP TechEd Japanで発表されたリレーショナルデータ特化型の基盤モデル。配送遅延予測、請求書マッチング、受注入力フィールド予測などのビジネスシナリオ向けに設計。

  • Joule Deep Research(ベータ)
    外部WebリソースとSAP内部データを統合して深い洞察を提供する機能。

  • Joule with SAP Signavio GA
    2026年2月に一般提供開始。自然言語でビジネスプロセスの分析・管理が可能に。


SAP Business AIの導入方法と料金

SAP Business AIの提供形態

SAP Business AIの多くの機能は、独立した製品ではなく、SAP S/4HANA Cloudや各種LoBソリューションに組み込まれる形で提供されます。利用可能時期は製品ごとに異なるため、SAPの公式ロードマップでの確認が必要です。

RISE with SAPやGROW with SAPを契約している企業は、Jouleをはじめとする多くのAI機能を標準機能として利用できます。

SAP Business AIの料金体系

料金体系は機能によって異なります。

  • Jouleや基本的な組み込みAI
    対象クラウド製品のライセンスにバンドル(同梱)されており、追加費用なしで利用できる。

  • AI Business ServicesやAI Foundation
    CPEA(Cloud Platform Enterprise Agreement)という従量課金モデルで利用する。あらかじめ購入したクレジットをサービス利用量に応じて消費する仕組み。


SAP Business AIに関するFAQ

SAP Business AIについてよくある質問をまとめました。

Q1. SAP Business AIはオンプレミス環境で使えますか?

いいえ。主要な機能はSAPの最新クラウドソリューションとBTP上で提供されるため、原則としてクラウド環境が前提です。

Q2. データのセキュリティとプライバシーはどのように保護されますか?

顧客のデータは自社テナント(仮想専用領域)内で安全に処理されます。外部の汎用AIモデルの学習データとして利用されることはありません。

Q3. 過去の「SAP Leonardo」とは何が違いますか?

SAP Leonardoはかつてのブランド名で、現在はその機能がSAP Business AIやSAP BTP上の個別サービスとして提供されています。Business AIはビジネスプロセスにより深く統合されている点が大きな違いです。


まとめ

SAP Business AIは、SAPのアプリケーション・プラットフォーム全体に組み込まれたビジネス特化型AI機能の総称です。

本記事のポイントを整理します。

  • AIアシスタント(Joule)、AIサービス(AI Business Services)、AI基盤(AI Foundation)の3階層で構成され、あらゆるレベルのAI活用ニーズに対応
  • Relevant・Reliable・Responsibleの3原則に基づいた設計で、ビジネス現場で「実際に使えるAI」を実現
  • 2026年にはAgent Builder GA、独自LLM「SAP-RPT-1」、Deep Researchなど、AIエージェント基盤としての進化が加速
  • 基本AI機能はクラウド製品にバンドル、高度な機能はCPEA従量課金で利用可能



Jouleの詳細はSAP Jouleの解説記事を、SAP BTPについてはSAP BTPの解説記事もあわせてご覧ください。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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