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【OpenAI】AgentKitとは?Agent BuilderやChatKitの使い方、料金を徹底解説

この記事のポイント

  • AgentKitは、AIエージェントの設計・実装・最適化を効率化するOpenAIの統合ツールキット
  • 「Agent Builder」により、複雑なエージェントのワークフローをノーコードのビジュアル画面で設計・バージョン管理可能
  • 「ChatKit」を使えば、自社製品へのチャットUIの組み込みを数週間から数時間に短縮できる
  • 「Connector Registry」で、組織全体のデータソースやツールへの接続を安全に一元管理
  • AgentKitの利用に追加料金は不要で、標準のAPIモデル価格に含まれる
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

OpenAIは2025年10月6日、AIエージェントの開発・デプロイ・最適化を劇的に効率化する統合ツールキット「AgentKit」を発表しました。

これまでAIエージェント開発には、バージョン管理のない複雑なオーケストレーション、個別に開発が必要なカスタムコネクタ、手動での評価パイプライン構築、そして数週間に及ぶフロントエンド開発など、多くの課題がありました。
AgentKitは、これらの断片化されたツールを統合し、開発プロセス全体を劇的にシンプルにします。

本記事では、この新しい「AgentKit」について、その全貌を徹底的に解説します。
ノーコードでエージェントを設計できる「Agent Builder」、UI実装を高速化する「ChatKit」、安全なデータ接続を管理する「Connector Registry」など、主要な機能と使い方、料金体系まで詳しくご紹介します。

AgentKitとは?

AgentKitは、開発者や企業が高性能なAIエージェントをより効率的かつ確実に構築するためにOpenAIが提供する、全く新しい統合ツールスイートです。

これまで、AIエージェントの構築は、ワークフローを管理するオーケストレーション、外部データと接続するコネクタ、性能を測る評価、ユーザーインターフェースの実装など、それぞれに専門的なツールやカスタムコードが必要で、非常に複雑なプロセスでした。AgentKitは、これらの断片化されたツールを一つのエコシステムに統合し、開発プロセス全体をシームレスにすることを目指しています。

これまでのエージェント開発との違い

AgentKitの登場により、エージェント開発の各フェーズは以下のように変化します。

開発フェーズ 従来の方法 AgentKitによる変化
ワークフロー設計 コードベースでの複雑なオーケストレーション ビジュアルキャンバス(Agent Builder)で直感的に設計・バージョン管理
UI実装 数週間に及ぶフロントエンド開発 UIツールキット(ChatKit)で数時間で組み込み可能
データ接続 個別のカスタムコネクタ開発・管理 一元管理されたレジストリ(Connector Registry)で安全に接続
性能評価・改善 手動での評価パイプライン構築 統合された評価ツール(Evals)と自動最適化機能で高速化

AgentKitを構成する3つの主要ツール

AgentKitの中核をなす3つの新しいツール、「Agent Builder」「ChatKit」「Connector Registry」について、それぞれの役割と特徴を解説します。

1. Agent Builder:ノーコードで複雑なエージェントを設計

Agent Builderは、AIエージェントのロジックやワークフローを、ドラッグ&ドロップで視覚的に構築できるキャンバスです。

複数のエージェントが連携するような複雑なワークフローも、直感的に設計し、バージョン管理することが可能になります。

【関連記事】
Agent Builderとは?使い方や料金、セキュリティ対策について解説!

Agent Builderのイメージ
Agent Builderのイメージ (参考:OpenAI

Agent Builderの主要機能

ノードベースの設計

Agent Builderでは、「ノード」と呼ばれる構成要素を組み合わせてワークフローを作成します。利用可能なノードには以下のようなものがあります。

  • Agent(エージェント): AIモデルによる判断や応答を実行
  • Tool(ツール): ファイル検索、Web検索、画像生成など
  • Guardrails(ガードレール): 安全性チェック
  • MCP(Model Context Protocol): 外部システムとの連携
  • 制御フロー: 条件分岐(If/else)やルーティング


各ノード間の接続は「型付きエッジ」として管理され、データの受け渡しが厳密に型チェックされます。これにより、下流のノードが期待するデータ構造が保証され、実行時エラーを防ぐことができます。

テンプレートとプレビュー

Agent Builderには、一般的なワークフローパターンのテンプレートが用意されており、ゼロからの構築だけでなく、既存のパターンをベースに素早く開発を始めることができます。

プレビュー機能では、ライブデータを使用してワークフローをテストできます。サンプルファイルを添付したり、実際の入力を与えたりして、各ノードの実行結果をリアルタイムに確認・デバッグすることが可能です。

Agent Builderのテンプレート
Agent Builderのテンプレート

バージョン管理とPublish

Agent Builderは作業内容を自動保存します。ワークフローが完成したら、「Publish」ボタンをクリックすることで新しいメジャーバージョンとしてスナップショットが作成され、一意の「workflow_id」が発行されます。

このワークフローIDは、後述するChatKitとの連携や、APIからの呼び出しに使用される重要な識別子です。また、過去のバージョンに戻したり、特定のバージョンを指定して利用したりすることも可能です。

2. ChatKit:自社製品にエージェントUIを高速実装

エージェントのためのチャットUI開発は、ストリーミング応答の処理、スレッド管理、モデルの思考過程の表示など、見た目以上に複雑な要素を含みます。

ChatKitは、カスタマイズ可能なチャットUIを自社のWebサイトやアプリに簡単に組み込むためのツールキットです。

ChatKitのアーキテクチャ
ChatKitのアーキテクチャ (参考:OpenAI)


この図が示すように、ChatKitの実装は以下の流れで動作します。

  1. 開発者サーバーがOpenAI APIを呼び出してセッションを作成し、「client_secret」を取得

  2. フロントエンドのChatKit UIが、このシークレットを使って初期化

  3. ユーザーがメッセージを送信すると、OpenAI ChatKit Serverが受け取り、OpenAI APIs(Agent Builderのワークフロー)で推論を実行

  4. 会話履歴やファイルは自動的にストレージに永続化され、スレッド管理も自動で行われる


このアーキテクチャにより、開発者はセッション作成のエンドポイントを用意するだけで、複雑なチャット機能の実装を全てOpenAIに任せることができます。

ChatKitの実装方法

ChatKitには、ユースケースに応じて2つの実装方法が用意されています。

推奨インテグレーション(OpenAIホスト)

Agent Builderで作成したワークフローをバックエンドとして利用する最も簡単な方法です。
実装の流れは以下の通りです。

  1. Agent Builderでワークフローを作成し、Publishして「workflow_id」を取得します

  2. サーバーサイドでセッション作成エンドポイントを準備します。


サーバー側で、OpenAI SDKを使用してChatKitセッションを作成し、「client_secret」を返すエンドポイントを実装します。

# server.py
from fastapi import FastAPI
from openai import OpenAI
import os

app = FastAPI()
openai_client = OpenAI(api_key=os.environ["OPENAI_API_KEY"])

@app.post("/api/chatkit/session")
def create_chatkit_session():
    session = openai_client.chatkit.sessions.create({
        "workflow": {"id": "wf_68df4b13b3588190a09d19288d4610ec0df388c3983f58d1"},
        # その他の設定
    })
    return {"client_secret": session.client_secret}
  1. フロントエンドでChatKitコンポーネントを実装します
import { ChatKit, useChatKit } from '@openai/chatkit-react';

export function MyChat() {
  const { control } = useChatKit({
    api: {
      async getClientSecret(existing) {
        if (existing) {
          // セッションのリフレッシュ処理
        }
        
        const res = await fetch('/api/chatkit/session', {
          method: 'POST',
          headers: {
            'Content-Type': 'application/json',
          },
        });
        
        const { client_secret } = await res.json();
        return client_secret;
      },
    },
  });

  return <ChatKit control={control} className="h-[600px] w-[320px]" />;
}


このように、わずか数行のコードで、洗練されたチャットUIを自社製品に組み込むことができます。

高度なインテグレーション(セルフホスト)

バックエンドを自社で自由に構築したい場合の方法です。ChatKitのPython SDKやUIウィジェットを使用することで、あらゆるエージェントバックエンドと接続できます。

この方法では、データの保存場所、アクセス制御、カスタムツールの実装など、より細かい制御が可能になります。

3. Connector Registry:組織全体のデータ接続を安全に一元管理

Connector Registryは、ChatGPTやAPIを横断して、組織内のデータソースやツールへの接続を管理者が一元的に管理・統制するための機能です。

Dropbox、Google Drive、Sharepoint、Microsoft Teamsといった既存のコネクタや、サードパーティのMCP(Model Context Protocol)サーバーを単一の管理パネルで扱えます。
セキュリティポリシーを一貫して適用しながら、組織全体でデータ連携のガバナンスを効かせることが可能になります。


エージェントの性能を最大化する新機能

エージェントを構築するだけでなく、その性能を測定し、継続的に改善するための新しい機能群を紹介します。

評価(Evals)機能の強化

モデルの振る舞いを測定するためのプラットフォーム「Evals」に、エージェント評価をさらに容易にする4つの新機能が追加されました。

  • Datasets(データセット)
    自動グレーダーと人間の注釈を使用して、評価データセットを迅速に構築・拡張できます。エージェントのパフォーマンスを経時的に追跡し、改善の効果を定量的に測定することが可能になります。

  • Trace grading(トレースグレーディング)
    エージェントのワークフロー全体をエンドツーエンドで評価し、自動グレーディングによって欠点を特定します。Agent Builder内でインライン評価設定が可能で、ワークフローの各ステップでの性能を詳細に分析できます。

  • Automated prompt optimization(自動プロンプト最適化)
    人間の注釈や評価結果に基づき、より良いプロンプトを自動生成します。手動でプロンプトを調整する手間を大幅に削減し、継続的な性能向上を実現します。

  • Third-party model support(サードパーティモデルサポート)
    OpenAI以外のモデルもEvalsプラットフォーム内で評価可能になります。複数のモデルプロバイダーを使用している場合でも、統一された評価基準でパフォーマンスを比較できます。

強化学習ファインチューニング(RFT)の進化

推論モデルをカスタマイズする強化学習ファインチューニング(RFT)に、エージェント性能をさらに向上させるための新機能が導入されました。

RFTはo4-miniで一般提供されており、GPT-5のプライベートベータ版でも利用可能です。OpenAIは数十の顧客と緊密に協力し、GPT-5向けRFTを広範なリリース前に洗練させています。

今回、以下の2つの新機能がRFTベータ版に追加されました。

  • Custom tool calls(カスタムツール呼び出し)
    モデルが適切なタイミングで適切なツールを呼び出すように訓練します。これにより、エージェントの推論能力が向上し、複雑なタスクをより効率的に処理できるようになります。

  • Custom graders(カスタムグレーダー)
    ユースケースにとって最も重要な独自の評価基準を設定します。ビジネス固有の成功指標に基づいてモデルを最適化することで、実務での実用性を最大化できます。

Guardrailsによる安全性確保

Guardrailsは、エージェントを意図しない、あるいは悪意のある振る舞いから保護するためのオープンソースの安全レイヤーです。

主な機能として、以下のような安全策をAgent Builder内で簡単に有効化できます。

  • PII(個人情報)のマスキングとフラグ立て: 機密情報の漏洩を防止
  • ジェイルブレイクの検知: 悪意のある試みを特定しブロック
  • その他のセーフガード: カスタマイズ可能な安全チェック


GuardrailsはAgent Builder内でノードとして組み込むことができるほか、Python およびJavaScript用のガードレールライブラリを通じて、スタンドアロンでの展開も可能です。


AgentKitの料金と提供状況

OpenAI APIを利用する際の通常の料金体系が適用され、AgentKit固有の追加費用は発生しません。

各ツールの提供状況は以下のとおりです。

ツール名 提供状況 主な対象ユーザー
ChatKit 一般公開 全ての開発者
Evals (新機能) 一般公開 全ての開発者
Agent Builder ベータ 全ての開発者
Connector Registry ベータ (順次展開) API、ChatGPT Enterprise/EduのGlobal Admin Console利用顧客


Connector Registryについては、Global Admin Console(グローバル管理者がドメイン、SSO、複数のAPI組織を管理できる機能)を持つAPI、ChatGPT Enterprise、およびChatGPT Eduの一部顧客向けにベータ版の展開が開始されています。
Global Admin ConsoleはConnector Registryを有効にするための前提条件となっています。

OpenAIは今後、スタンドアロンのWorkflows APIや、ChatGPTへのエージェントデプロイメントオプションを追加する予定であることも発表しています。

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まとめ

AgentKitの登場は、これまで専門家や大規模なチームのものであった高度なAIエージェント開発を、より多くの開発者や企業にとって身近なものにします。

  • Agent Builderによる視覚的なワークフロー設計とバージョン管理
  • ChatKitによる迅速で高品質なUI実装
  • Connector Registryによる安全なデータ接続の一元管理
  • EvalsRFTによる継続的な性能改善と最適化
  • Guardrailsによる信頼性とセキュリティの確保

これらの統合されたツール群は、単なる開発効率の向上に留まらず、あらゆる企業が高性能で安全なAIエージェントを迅速に社会実装するための強力な基盤となるでしょう。

Ramp社が反復サイクルを70%削減し、2四半期かかっていた開発を2スプリントで完了させた事例や、Canva社がサポートエージェントの統合を1時間未満で実現した事例が示すように、AgentKitは実世界での生産性向上に確実に貢献しています。

AIエージェント開発の民主化により、より多くのイノベーションが生まれ、ビジネスの可能性が大きく広がることが期待されます。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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