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【Z.ai】GLMとは?最新モデルGLM-4.7や料金、使い方を徹底解説!

この記事のポイント

  • GLM-4.7は、約200Kトークンの長文コンテキストを持ち、コーディング・長文読解・複数ステップのエージェントタスク実行に最適化されたモデル
  • SWE-benchやHLEなどのベンチマークで高いスコアを記録し、特にツール利用を伴う複雑な開発フローやリサーチ業務に強みを発揮
  • オープンウェイト形式でも提供されており、API利用だけでなく、オンプレミスや自社VPCでのセルフホスト運用が可能でセキュリティ要件に対応しやすい
  • Z.ai Chatでの利用に加え、開発者向けの「GLM Coding Plan」により、Claude CodeやClineなどのIDE拡張から手軽に呼び出して利用できる
  • 企業導入に際しては、データプライバシー設定や中国ベンダーとしてのリスク評価に加え、クラウドAPIとローカル運用の使い分け設計が重要となる
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


中国のAIスタートアップZ.ai(Zhipu AI)は、コーディングや長文処理、エージェントタスクに特化した最新LLM「GLM-4.7」を展開しています。これはオープンウェイトモデル「GLM-4.5」やマルチモーダル対応の「GLM-4.6V」に続くフラグシップであり、約200Kトークンのコンテキストと高い推論能力を武器に、Claude CodeやCursorといった開発ツールとの連携を強化しています。

本記事では、GLMシリーズ全体の体系とGLM-4.7の技術的特徴、料金プラン、そして企業導入時に検討すべきセキュリティやガバナンスのポイントについて、2026年初頭の最新情報を基に解説します。

目次

Z.aiのGLMシリーズとは?

GLMシリーズの概要とZhipu AI(Z.ai)の背景

GLM-4.5〜4.7までの進化と位置づけ

GLM-4.7の技術的な特徴とスペックを押さえる

コンテキスト長・出力トークン上限などの基本スペック

ベンチマーク結果と得意分野(SWE-bench/HLE/τ²-Benchなど)

Thinking modeとエージェント適性(ツール呼び出し・長期タスク)

オープンウェイト/ライセンスとセルフホストの余地

GLMシリーズのラインナップ比較(GLM-4.5 / 4.6 / 4.6V / 4.7)

テキスト系モデル(GLM-4.5 / GLM-4.6 / GLM-4.7)の違い

ビジョン・マルチモーダル系(GLM-4.6Vなど)

モデル選定の基本パターン(テキスト特化 vs VLM併用)

GLM-4.7の料金・プラン(Z.ai Chat/Coding Plan/API)

API料金(トークン単価・キャッシュ料金)とグローバル/中国版の違い

GLM-4.7の使い方(始め方・API・IDE連携・セルフホスト)

Z.ai Chatでの始め方(アカウント作成〜モデル選択)

IDE・ツールとの連携(Claude Code/Cursor/Clineなど)

セルフホストで動かす場合の基本(入手〜推論基盤)

GLM-4.7のユースケース:バイブコーディングから長文解析・エージェントまで

バイブコーディング・フロントエンド開発での活用

長文ドキュメントの要約・精読・比較(レポート/契約書など)

ツール連携型エージェント(検索・コード実行・ファイル操作)

日本語業務での利用時の注意点(訳癖・専門用語の扱いなど)

企業導入時のセキュリティ・ガバナンスとベンダーリスク

データ取り扱いとプライバシーポリシー(Z.ai公式の整理)

オープンウェイトモデルのセキュリティ上のメリット/リスク

中国ベンダーとしてのリスク(規制・制裁・データ越境など)

企業利用時の推奨アーキテクチャ(オンプレ/VPC/APIゲートウェイ)

他社モデル(GPT/Claude/DeepSeekなど)との比較とポジショニング

性能・料金のざっくり比較(コーディング/長文/エージェント)

バイブコーディング視点でのGLM-4.7の立ち位置

企業向けスタックの中でのGLMシリーズの役割

FAQ:GLM-4.7についてよくある質問

GLM-4.7は無料で使えますか?

GLM-4.7は日本語にどの程度対応していますか?

GLM-4.7をオンプレミスで動かすことはできますか?

Z.aiのGLMシリーズとは?

Z.ai(Zhipu AI)の「GLM」は、中国発の大規模言語モデル(LLM)シリーズです。
近年は 「コーディング」「長文コンテキスト」「エージェント(ツール利用)」を軸に進化しており、その最新版が GLM-4.7 です。

まずは、GLMシリーズ全体の位置づけと、GLM-4.7がどこに位置するモデルなのかを整理します。

GLMシリーズの概要とZhipu AI(Z.ai)の背景

Zhipu AIは、中国・清華大学系のAIスタートアップで、複数ラウンドの大型資金調達を行い、中国AI市場の主要プレーヤーの一つになっています。
2025年以降は、オープンソースLLM「GLM-4.5」 や、無料のエージェント「AutoGLM Rumination」などを次々に発表し、中国国内のAI競争を牽引してきました。

GLMシリーズは、Zhipu AIが提供するフラグシップLLM群で、主に次の用途をターゲットにしています。

  • コーディング支援・ソフトウェア開発
  • 長文の理解・要約・文書生成
  • 検索や外部ツール連携(コード実行など)を組み合わせたエージェント(自律的なタスク実行)
  • 画像・文書ページを含むファイル入力などのマルチモーダル処理(GLM-4.6Vなど)


この中で、GLM-4.7は「コード」「長文」「エージェント」の3点に特にフォーカスした最新版として位置づけられています。

GLM-4.5〜4.7までの進化と位置づけ

GLMシリーズの4.x世代は、概ね次のように進化してきています。

  • GLM-4.5

    • オープンソース(オープンウェイト)として公開。
    • 研究・PoC向けの汎用LLMとして利用されるケースが多いです。

  • GLM-4.6 / GLM-4.6V

    • 4.6はテキスト中心モデルで、推論と生成品質を強化。
    • 4.6Vは画像や文書ページを含むファイル入力などに対応するビジョン・マルチモーダルモデルです。

  • GLM-4.7

    • 長文コンテキスト(およそ200Kトークン級)と、コーディング・ツール利用性能をさらに高めた最新版。
    • 「GLM Coding Plan」により、Claude CodeやClineなどの人気AIコーディングツールから利用しやすい構成になっています。


ざっくり言えば、**GLM-4.5〜4.6が「ベース」、4.7が「コーディング+エージェントに特化した最新フラグシップ」という整理になります。


GLM-4.7の技術的な特徴とスペックを押さえる

ここでは、GLM-4.7のスペックやベンチマーク結果を整理し、「何が得意なモデルなのか」を具体的に見ていきます。

コンテキスト長・出力トークン上限などの基本スペック

GLM-4.7は、約200Kトークンの長文コンテキスト を持つLLMです。
公式ドキュメントや外部の技術ブログによると、入力は約200Kトークン、出力は最大約128Kトークンまでサポートしているとされています。

代表的なモデルとあわせて、コンテキスト関連のスペックを整理すると次のようになります。

モデル名 コンテキスト長(入力) 最大出力トークン 備考
GLM-4.7 約200K 約128K前後 コーディング・長文・エージェントに最適化
GLM-4.6 約200K 約128K前後 4.7より一世代前のテキストモデル
GLM-4.5 128Kクラス(実装依存) 最大96K オープンソースLLMとして公開
GLM-4.6V 長文コンテキスト対応 - 画像・文書ページを含むファイル入力などに対応するマルチモーダルモデル

長い仕様書や、既存コードベース・ログ・設計資料をまとめて投げて議論するようなワークロードで、GLM-4.7は特に力を発揮します。

ベンチマーク結果と得意分野(SWE-bench/HLE/τ²-Benchなど)

GLM-4.7は、いくつかの代表的なベンチマークで高いスコアを記録しています。

ここでは、公式発表や主要メディアで言及されている指標を中心に紹介します。

ベンチマーク名 タスクの種類 GLM-4.7の傾向 意味合い
SWE-bench Verified OSSリポジトリのバグ修正・パッチ生成 70%超レンジ 実務レベルのコーディングタスク完遂能力
SWE-bench Multilingual 多言語対応版SWE-bench 高スコア(詳細値は出典に依存) 多言語コードベースでの修正力
HLE (Humanity’s Last Exam) 専門領域を含む高難度推論 ツールなし約24.8%/ツールあり約42.8% 難易度の高い設計・仕様の読み解きに強み
τ²-Bench ツール利用・エージェントタスク スコア約87.4 複数ステップのタスクをツール併用で解く能力
Browse系タスク Webブラウジングを伴うタスク BrowseCompで 52.0(Thinkingなし)/67.5(Thinkingあり)といったスコア 検索・要約・比較を伴う調査タスクに適性


これらの結果から分かるのは、GLM-4.7が単なる「文章生成がうまいモデル」ではなく、「コードを読んで直す」「Web検索を繰り返す」といった、マルチステップのタスク完遂に強いモデル であるという点です。

Thinking modeとエージェント適性(ツール呼び出し・長期タスク)

GLM-4.7は、「Thinking mode」やツール呼び出し機能を前提に設計されています。
具体的には、次のような特徴があります。

  • 回答前に内部的な「思考ステップ」を挟み、段階的に推論してからツールを呼び出す設計。
  • Web検索(提供される場合)や、Function Callingで連携した外部ツール(コード実行・ファイル操作など)を、複数ステップにわたって連続して呼び出せる。
  • 長いタスクでも、前提条件やコンテキストを保ちながら処理を続けやすい。


これにより、「仕様の読み込み → 設計 → 実装 → テスト → 修正」のような長い開発フローや、「検索 → 情報収集 → 比較表作成 →結論提示」のようなリサーチタスクを、一つのエージェントとしてまとめて任せやすくなっています。

オープンウェイト/ライセンスとセルフホストの余地

GLM-4.7は、オープンウェイト(モデル重み公開) 形式で提供されており、Hugging FaceやModelScopeなどからモデルを取得して、自社環境で推論することが可能です。
ライセンスはMIT系と説明されており、商用利用も含めて比較的自由度の高い利用が認められています。

オンプレミス環境や、自社クラウド(VPC)にGLM-4.7をデプロイすることで、次のような構成が取りやすくなります。

  • 機密データを外部に出さないクローズド環境での推論。
  • コンテナやKubernetesを使ったスケールアウト・スケールイン。
  • vLLMやSGLangなどの高速推論基盤との組み合わせによるレイテンシ削減。

GLMシリーズのラインナップ比較(GLM-4.5 / 4.6 / 4.6V / 4.7)

GLM-4.7だけでなく、他のGLMモデルとの関係も押さえておくと、導入時のモデル選定がスムーズになります。

テキスト系モデル(GLM-4.5 / GLM-4.6 / GLM-4.7)の違い

テキスト中心のモデルを用途別に比較すると、次のようなイメージです。

モデル名 世代 位置づけ 主な強み 想定ユースケース
GLM-4.5 4.x初期 オープンソースLLM 汎用性・エージェント適性 研究・検証・PoC、セルフホスト検討
GLM-4.6 中間世代 テキストフラグシップ 推論・生成品質の底上げ チャットボット、文章生成、社内Q&A
GLM-4.7 最新世代 コーディング&エージェント特化 コーディング・長文・ツール利用 コーディングエージェント、長期タスク自動化


最初の一歩としては、GLM-4.7を標準モデルとして採用し、必要に応じてGLM-4.5/4.6を補完的に使う という構成が現実的です。

ビジョン・マルチモーダル系(GLM-4.6Vなど)

GLM-4.6V は、画像や“文書ページ(スライド/レポート等)”を含むファイルを入力して処理できるビジョン・マルチモーダルLLMです。

  • 画像・表・グラフを含む文書を入力して解析できる。
  • 関連ページや図表を自動的に特定し、レポートや要約に落とし込める。
  • MCP(Model Context Protocol)ベースのツール連携にも対応しやすい設計になっています。


「契約書などの文書ファイルをアップロードして要点を抽出」「設計図を含む資料から問題箇所を見つける」といったシナリオでは、GLM-4.6V系のモデルとGLM-4.7を組み合わせる構成が有力です。

モデル選定の基本パターン(テキスト特化 vs VLM併用)

モデル選定の初期方針は、次のように整理すると分かりやすくなります。

  • テキスト中心(コード・仕様・チャット)
    → GLM-4.7を軸に、GLM-4.6/4.5を用途に応じて併用。

  • 画像・文書ページも扱う業務
    → GLM-4.6Vで入力処理し、テキスト化した結果をGLM-4.7で深掘り・コーディングに利用。

  • 研究・検証用に「とにかく自由度が欲しい」
    → オープンソースのGLM-4.5をローカルで動かし、問題なければ4.7への移行を検討。


GLM-4.7の料金・プラン(Z.ai Chat/Coding Plan/API)

GLM-4.7の使い方は大きく分けると、「まずはブラウザで試す(Z.ai Chat)」と「IDE/エージェントツールの裏側として月額で使う(GLM Coding Plan)」の2系統です。

前者は体験導入に向き、後者は日常の開発作業に組み込みやすいのが特徴です。

利用形態 目的・向いている人 料金の考え方 主な特徴
Z.ai Chat まず触ってみたい/社内検証の入口を作りたい 無料枠・制限は時期で変動 ブラウザで手軽に試せる。モデル選択でGLM-4.7系を指定して対話。
GLM Coding Plan(Liteなど) コーディング用途で“月額で安定的に使いたい” 月額課金(例:3ドル/月〜) Claude CodeやCline、OpenCodeなど対応ツールから使いやすい設計。上位プランは枠が増える想定。


Z.ai Chatは「まず試す」入口とし手軽です。
一方、GLM Coding Planは「IDEやエージェントツールの裏側でGLM-4.7を使う」ことを前提にしたプランなので、API単価を意識せずに「月額いくらでコーディングに使えるか」を考えたい人に向いています。

API料金(トークン単価・キャッシュ料金)とグローバル/中国版の違い

GLM-4.7は、従量課金のAPIとしても利用できます。
グローバル向けドキュメントでは、代表的な料金体系として次のような単価が提示されています(2025年末時点の参考値)。

項目 単価の目安
入力(Input) 0.60ドル/100万トークン
出力(Output) 2.20ドル/100万トークン
キャッシュ入力(Cached Input) 0.11ドル/100万トークン前後(期間限定でストレージ無料などのキャンペーンあり)


キャッシュ機構を利用すると、システムプロンプトや共通の前文に対しては、通常より大幅に安い単価で利用できます。
中国国内向けポータル(bigmodel.cn)では人民元建ての料金体系も用意されており、キャンペーンや無料枠が頻繁に変動します。


GLM-4.7の使い方(始め方・API・IDE連携・セルフホスト)

ここでは、GLM-4.7を実際に使い始める方法を、UI利用/開発ツール連携/セルフホストの3パターンで整理します。

Z.ai Chatでの始め方(アカウント作成〜モデル選択)

Z.ai Chatを利用する基本的な流れは、次のとおりです。

  1. Z.aiの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成します。
  2. チャット画面で利用するモデルとしてGLM-4.7を選択します。
  3. 通常のチャットボットと同じようにプロンプトを入力し、対話します。

IDE・ツールとの連携(Claude Code/Cursor/Clineなど)

GLM-4.7は、Claude Code・Cline・OpenCode・Roo Code など、複数のAIコーディングツールから利用できます。
多くの場合、次のような流れでセットアップします。

  1. GLM Coding Planに登録し、APIキーを取得します。
  2. 利用するツール(例:OpenCode)の設定画面で、「プロバイダ:Z.ai」「モデル:GLM-4.7」を選択します。
  3. エンドポイントURLとAPIキーを入力して保存します。
  4. ツール側で「GLM-4.7」をデフォルトモデルに設定し、通常どおり開発を行います。


これにより、「普段使っているIDE+エージェント拡張」の裏側のモデルを、ClaudeやGPT系からGLM-4.7に切り替えることができます。

セルフホストで動かす場合の基本(入手〜推論基盤)

GLM-4.7はオープンウェイトとして公開されているため、モデルを取得して自社環境で推論する構成も取れます。
オンプレミス環境や自社クラウド(VPC)にデプロイすることで、次のような構成が取りやすくなります。

  • 機密データを外部に出さないクローズド環境での推論。
  • コンテナやKubernetesを使ったスケールアウト・スケールイン。
  • vLLMやSGLangなどの高速推論基盤との組み合わせによるレイテンシ削減。

GLM-4.7のユースケース:バイブコーディングから長文解析・エージェントまで

GLM-4.7はスペックだけを見ると抽象的になりがちなので、具体的なユースケース別に整理します。

バイブコーディング・フロントエンド開発での活用

バイブコーディング(vibe coding) のように、「AIと雑談しながらUIや機能をどんどん生やしていく」スタイルとの相性は非常に高いです。

例えば、次のような流れで利用できます。

  • 口頭ベースの要件(「こんな画面が欲しい」)を文章に起こしてGLM-4.7に渡す。
  • GLM-4.7にコンポーネント構造や状態管理の方針を提案させる。
  • 生成されたコードをIDEで試しつつ、細かなスタイルや挙動を会話しながら調整する。


GLM-4.7は、UI生成品質やHTML/CSSの構造にもチューニングが入っているとされており、「とりあえず動くが汚いコード」よりも、そのままプロダクションに近づけやすいコード を出しやすいのが特徴です。

長文ドキュメントの要約・精読・比較(レポート/契約書など)

約200Kトークンのコンテキストを活かすと、次のようなタスクが現実的になります。

  • 仕様書・要件定義書・設計書を丸ごと読み込ませて要約・論点抽出を行う。
  • 旧版と新版のドキュメントを同時に読み込ませ、変更点や影響範囲を洗い出す。
  • 複数社分の提案書・見積書を比較し、重要な差分を整理した一覧を作る。


「1ドキュメントずつ分割して説明」ではなく、複数の資料を一括で投げて俯瞰的なレビューをさせる といった使い方に向いています。

ツール連携型エージェント(検索・コード実行・ファイル操作)

ベンチマーク結果からも分かるとおり、GLM-4.7はツール利用を伴うタスクに強みを持ちます。
代表的な例として、次のようなものが挙げられます(いずれもツール連携が前提です)。

  • Web検索を繰り返しながら、特定条件を満たす情報を探し、比較表を作成する。
  • CLIコマンドやスクリプトを生成・実行しながら、ログを読み解き、原因箇所を特定する。
  • Gitリポジトリを横断的に読み込み、関連するファイルの修正・テスト実行までをエージェントに任せる。


こうしたタスクでは、「一回あたりの出力精度」よりも、「長いシナリオを破綻させずに最後まで終わらせる力」が重要であり、GLM-4.7はその方向に最適化されています。

日本語業務での利用時の注意点(訳癖・専門用語の扱いなど)

GLM-4.7は英語でのベンチマークが中心ですが、日本語も実務レベルで利用可能です。
ただし、次のような点には注意が必要です。

  • 英語→日本語の翻訳では、ライブラリ名や固有名詞が不自然に訳される場合があります。
  • 法務・会計など、日本語固有の専門用語は、システムプロンプトや用語集で補正した方が安全です。
  • 長文の敬体(です・ます調)を安定させるには、スタイルガイドを明示しておくとブレが減ります。


RAG(Retrieval-Augmented Generation)や用語辞書との併用により、日本語業務での精度を底上げしやすくなります。


企業導入時のセキュリティ・ガバナンスとベンダーリスク

ここからは、情シスやセキュリティ担当が気にするポイントを整理します。

データ取り扱いとプライバシーポリシー(Z.ai公式の整理)

Z.aiのプライバシーポリシーや利用規約では、概ね次のような方針が示されています(2025年末時点の情報を要約)。

  • サービス提供主体はシンガポール法人を含むグローバル体制で、利用規約・準拠法は契約形態によって異なります。
  • 個人向けチャットなどでは、ユーザーコンテンツがサービス改善に利用される可能性があります。
  • 企業向けAPIや特定プランでは、「ユーザーデータをモデル改善に使用しない」オプションが提供されるケースがあります。
  • データの保存期間や保管場所、第三者提供の有無についての説明が用意されています。

企業導入では、「どのインターフェースを使うか(Chat/Coding Plan/API/ローカル)によって、データの扱いが変わる」 点に注意が必要です。

オープンウェイトモデルのセキュリティ上のメリット/リスク

オープンウェイト(モデル重みが公開されている)には、次のようなメリットとリスクがあります。

メリット

  • モデル内部の挙動を検証しやすく、第三者によるセキュリティレビューが可能です。
  • オンプレミスや専用VPCでの運用により、データを自社境界内に閉じ込められます。
  • ベンダーロックインを軽減しやすく、中長期のアーキテクチャ柔軟性が高まります。

リスク

  • 攻撃者もモデルを自由にダウンロードできるため、ジェイルブレイクや悪用手法の研究がしやすくなります。
  • パッチが提供されない限り、脆弱性を抱えたバージョンが長期間使われてしまう可能性があります。
  • セルフホスト環境でのアクセス制御・ログ管理・鍵管理などを、自社で構築・運用する必要があります。

企業導入では、「クラウドAPI+ガバナンス」「ローカルホスティング」「ハイブリッド」のどれを選ぶかが重要な設計ポイントになります。

中国ベンダーとしてのリスク(規制・制裁・データ越境など)

Zhipu AIは中国発のベンダーであり、次のような観点でのリスク評価が求められます。

  • 国際情勢の変化による輸出規制・制裁リスク。
  • 中国側の法規制(データ越境・国家情報法など)との関係。
  • 公共機関や重要インフラへの導入におけるガイドラインへの適合性。

ここでは「使うべき/使うべきでない」といった二元論ではなく、評価すべき観点を洗い出し、導入範囲とルールをどう定義するか がポイントになります。

企業利用時の推奨アーキテクチャ(オンプレ/VPC/APIゲートウェイ)

代表的なアーキテクチャパターンを3つ挙げます。

  1. クラウドAPI+フロント側でのマスキング

    • Webアプリや社内ツールからGLM-4.7 APIを直接呼び出す構成です。
    • 個人情報や機密情報を送らないルールと、プロキシ層でのマスキング・ログ管理を組み合わせます。
  2. APIゲートウェイ+監査ログ+権限制御

    • 社内からは自社のAPIゲートウェイにリクエストを送り、そこでZ.ai APIにルーティングします。
    • テナントごとのトークン管理・リクエストフィルタリング・監査ログを一元管理できます。
  3. オンプレ/VPCでのセルフホスト

    • GLM-4.7を自社クラウド(VPC)やオンプレGPUクラスター上で稼働させ、社内ネットワークからのみ利用可能とする構成です。
    • 最もセキュアですが、GPUインフラ・MLOps・監視の設計が重くなります。

他社モデル(GPT/Claude/DeepSeekなど)との比較とポジショニング

最後に、他社モデルとの関係性をざっくり整理します。

性能・料金のざっくり比較(コーディング/長文/エージェント)

細かなスコアではなく、「どの領域でどのモデルが強いか」という観点で見ると、ざっくり次のように整理できます。

タスク種別 GLM-4.7 GPT-5.x系 Claude Sonnet 4.5系 DeepSeek系
コーディング ベンチマーク上位かつ比較的安価 高性能だが価格は高め 長期コンテキストでの説明力に強み コスパ重視・推論特化
長文処理 200Kコンテキストで十分実用的 さらに長いコンテキストを持つモデルもあり 要約品質・自然な説明に定評 コストを抑えた長文処理が得意
エージェント ツール利用ベンチで高スコア エコシステムとツール連携が豊富 深い思考チェーンに強み R1系推論による探索タスクに強み

GLM-4.7の特徴は、「オープンウェイト+比較的安価なAPI+Coding Plan」 という組み合わせで、コーディングとエージェント用途を狙い撃ちしている点です。

バイブコーディング視点でのGLM-4.7の立ち位置

バイブコーディング文脈では、次のようなポジショニングになります。

  • GLM-4.7+Claude Code/OpenCode/Cline

    • 「ツール側の体験」は既存のコーディングエージェントをそのまま使い、裏側のモデルだけをGLM-4.7に差し替えるイメージです。
  • GLM-4.7+専用エージェントフレームワーク

    • 自前のエージェント基盤にGLM-4.7を組み込み、リポジトリ全体を操作させる構成です。

「CopilotやClaude Codeの代わりに、GLM-4.7ベースの環境を安く・自由度高く持ちたい」 というニーズには、特にハマりやすいモデルといえます。

企業向けスタックの中でのGLMシリーズの役割

企業スタックの中では、GLMシリーズは次のような役割分担をイメージしやすいです。

  • 社内標準LLMの一つとして採用(GLM-4.7/4.6)

    • 特にコーディング・エージェント用途にフォーカス。
  • オープンソースLLMとしての実験場(GLM-4.5)

    • セルフホストのPoCや、独自拡張のベースとして活用。
  • マルチモーダル基盤(GLM-4.6V)

    • 文書ページや画像を含む資料を扱うユースケースの共通基盤として利用。

FAQ:GLM-4.7についてよくある質問

ここでは、GLM-4.7に関してよく問われるポイントを簡単に整理します。

GLM-4.7は無料で使えますか?

Z.ai Chat経由であれば、一定の無料枠やトライアルが提供されている時期があります。
ただし、無料枠の有無や上限はキャンペーンによって頻繁に変わる ため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

GLM Coding PlanやAPI利用は、基本的に有料のサブスクリプション/従量課金となります。

GLM-4.7は日本語にどの程度対応していますか?

公式ベンチマークは英語中心ですが、コミュニティの利用報告からは、

  • 一般的な日本語チャット・要約・コード解説。
  • 技術文書の読解・翻訳。
  • 日本語でのコーディング指示。

などは実務レベルで利用可能とされています。
ただし、法務・会計などの高度に専門的な日本語については、用語集やRAGとの併用が推奨されます。

GLM-4.7をオンプレミスで動かすことはできますか?

はい、可能です。GLM-4.7はオープンウェイトとして公開されており、vLLMやSGLangなどの推論基盤と組み合わせて、自社クラウドやオンプレGPUサーバーで稼働させることができます。
その場合は、ライセンス条件・ハードウェア要件・MLOps設計を自社側で担う必要があります。


まとめと導入パターン別の次アクション

ここまで、Z.aiのGLMシリーズとGLM-4.7について、スペック・料金・ユースケース・セキュリティ・他社比較の観点から整理してきました。最後に、ポイントの整理と次のアクションを簡単にまとめます。

本記事のポイントのおさらい

GLM-4.7について押さえておきたい要点は、次のとおりです。

  • GLM-4.7はZ.aiの最新フラグシップLLMであり、特にコーディング・長文・ツール利用(エージェント)にフォーカスしたモデルです。
  • 約200Kトークンのコンテキストと高いベンチマークスコアにより、長いタスクや複雑な開発作業でも安定したパフォーマンスを発揮します。
  • GLM Coding PlanやAPI、オープンウェイト版など、利用形態の選択肢が多く、個人〜企業まで幅広い導入パターンに対応可能です。
  • 企業導入では、データ取り扱い・オープンウェイトのメリデメ・中国ベンダーとしてのリスク評価を踏まえたアーキテクチャ設計が重要です。
  • GPT/Claude/DeepSeekなど他社モデルと比較したとき、「コーディング×コスト×自由度」のバランスがGLM-4.7の持ち味 になります。

ペルソナ別のおすすめ導入ステップ(個人/企業)

自分がどの立場かによって、次に取るべきアクションは変わります。

  • 個人開発者・フリーランスの方は、まずGLM Coding Plan(Lite)+既存のAIコーディングツールで、日常の開発作業をどこまで置き換えられるか試してみるとよいでしょう。
  • インハウスのエンジニア組織であれば、既存のIDEやエージェント基盤にGLM-4.7を追加し、特定プロジェクト(リファクタやテスト自動化など)で効果検証するのが現実的です。
  • 情シス・AI推進チームの場合は、「クラウドAPI+ガバナンス」と「セルフホスト」の両方を候補に置き、PoCで性能・コスト・運用負荷を比較するのがおすすめです。

他記事・関連リソースへの導線

GLM-4.7単体の理解だけではなく、実際のスタック設計や他モデルとの棲み分けを考えるには、次のような情報もあわせて参照すると理解が深まります。

  • DeepSeekやKimi、ChatGPT 5.xなど、他モデルとの詳細な比較記事。
  • オンプレGPU/クラウドGPU環境でのLLM構築ガイド。
  • エージェント基盤(AutoGen系や各社エージェントフレームワーク)とGLM-4.7を組み合わせた設計事例。

これらと組み合わせて検討することで、GLM-4.7を「単なる1モデル」としてではなく、自社のAIスタック全体の中でどう位置づけるか を具体的に描けるようになります。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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