この記事のポイント
- Azure VMスナップショットの作成手順を、VM停止からスナップショット確認まで具体的に解説
- データ保護、迅速な復元、テスト環境構築など、スナップショット活用の主要メリットを詳述
- 整合性確保、セキュリティ対策、保存場所最適化など、スナップショット管理のベストプラクティスを提示
- システムアップデート、構成変更、アプリケーションインストール前など、具体的な活用シナリオを紹介
- スナップショットの頻度設定や保管期間管理など、長期的なVM状態保護の戦略を提供
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
Azure VMのスナップショットは、データ保護と迅速なシステム復元を実現する重要な機能です。
本記事では、Azure VMのスナップショット作成方法、そして活用シナリオや管理のベストプラクティスを紹介します。
VMの停止からスナップショットの作成、確認までの具体的な手順、セキュリティや整合性の確保といった注意点、そしてシステムアップデートや構成変更前の活用法など、Azure環境でのデータ管理を最適化するための情報を網羅的に提供します。
Azure VMの運用効率と安全性の向上を目指す方にとって、実践的で有用な内容となっています。
目次
Azure VMのスナップショット作成方法
スナップショットのアイコン
それでは、仮想マシンのディスクの状態を特定の時点で記録したものであるAzure VMのスナップショットの作成方法を解説します。
【ステップ1】VMの停止
まずは、スナップショット作成前にVMを停止します。スナップショットを作成したい対象のVMを選択し、下記の「停止」をクリックします。
すると、以下のような表示が出てくるので、「はい」をクリックして下さい。
その後少し待つと、VMが停止されます。
【ステップ2】スナップショットの作成
対象のVMの「ディスク」にアクセスします。
画面に表示されているディスクの中から、スナップショットを作成するOSディスクを選択し、以下の「スナップショットの作成」を選択します。
以下のような作成画面になっています。
ご自身の環境に合わせて項目を選択・入力して下さい。
その後、「確認および作成」へと移動し、問題が無ければ「作成」をクリックして下さい。
すると、以下のようにデプロイ完了の表示が出てきます。
【ステップ3】スナップショットの確認
最後に、スナップショットが正常に作成されたかをポータルで確認します。
スナップショットを作成したリソースグループにアクセスしてみましょう。
以下のように、正しくスナップショットを作成することが出来ました。
スナップショットを作成するメリット
スナップショットは、システムの可用性とデータ保護において非常に有効な手段です。以下に、スナップショットを活用する主な利点を紹介します。
迅速なリカバリ
スナップショットを使用することで、システム障害や設定ミスが発生した際に、以前の正常な状態へ迅速に復元することができます。
これにより、サービスのダウンタイムを最小限に抑え、業務への影響を軽減します。
バックアップの簡素化
VM全体の状態を瞬時にキャプチャするスナップショットは、複雑なファイル単位のバックアップに比べて、より簡単かつ効率的なバックアップ手法です。
定期的にスナップショットを作成することで、重要なデータを確実に保護できます。
テスト環境の作成
スナップショットから新しいVMを作成することで、既存の環境をそのまま複製し、テストや検証に利用できます。
これにより、本番環境に影響を与えることなく、ソフトウェアのアップデートや新機能の検証を安全に行うことができます。
コストの最適化
スナップショットは差分のみを保存するため、フルバックアップと比べてストレージコストを大幅に抑えつつ、重要なデータや設定の保護が可能です。
これにより、コスト効率を高めながら、必要なバックアップを確保できます。
柔軟な管理
スナップショットを利用すれば、運用中のVMに影響を与えることなく、アップデートや設定変更を安全に行うことができます。
変更が失敗した場合でも、スナップショットからすぐに元の状態に戻せるため、リスクを低減できます。
スナップショットの作成と管理における注意点
スナップショットの管理には、整合性の確保からセキュリティ対策、保存場所の最適化、コンプライアンス遵守、そして保管期間の管理まで、考慮すべき重要なポイントが多岐にわたります。
以下に、それぞれのポイントについて簡潔に説明します。
スナップショットの整合性とサイズ管理
スナップショットの整合性を確保するために、スナップショットを作成する前にVM内のアプリケーションやサービスを一時停止し、データをフラッシュすることが重要です。
また、スナップショットのサイズはディスク全体の状態に依存するため、不要なデータを削除してからスナップショットを作成することで、ストレージコストを削減できます。
セキュリティとアクセス制御
スナップショットが適切に暗号化されているかを確認することは、データの安全性を確保するために不可欠です。
Azure Storage Service EncryptionやAzure Disk Encryptionを活用して、スナップショットのデータを保護しましょう。
また、ロールベースのアクセス制御(RBAC)を使用してスナップショットへのアクセス権限を適切に設定し、不要なアクセスを防止することも重要です。
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スナップショットの保存とレプリケーション
スナップショットの保存場所は、VMと同じリージョンに設定することでデータ転送速度を最大化し、コストを削減できます。
また、災害時のデータ可用性を確保するために、必要に応じて地理的に分散されたレプリケーションを設定することも検討すべきです。
コンプライアンスと監査
スナップショットが企業のコンプライアンス要件や業界規制を満たしているか確認し、特に機密情報を含む場合は適切な管理を行うことが求められます。
また、スナップショットの作成やアクセスに関する監査ログを定期的に確認し、セキュリティインシデントの早期発見を目指すことも重要です。
スナップショットの頻度と保管期間の管理
スナップショットの作成頻度と保管期間は、計画的に設定することが必要です。
さらに、古いスナップショットを定期的に削除することで、ストレージコストの管理を行いましょう。
スナップショットの活用シナリオ
スナップショットは、システム運用において重要な役割を果たします。
以下に、スナップショットを活用する具体的なシナリオを紹介します。
システムアップデート前
重要なOSやソフトウェアのアップデートを行う前にスナップショットを作成することで、アップデートに問題が発生した場合に迅速に元の状態に戻すことができます。
構成変更前
VMの設定や構成を大きく変更する前にスナップショットを作成することで、設定変更後に問題が発生しても簡単に元の状態に戻すことができます。
アプリケーションのインストール前
新しいアプリケーションやサービスをインストールする前にスナップショットを作成することで、インストール後に問題が生じた場合でも、以前の安定した状態に復元できます。
テスト環境の構築
本番環境をそのまま複製してテスト環境を作成したい場合、スナップショットを使用することで、実際の運用環境と同じ状態でテストが可能になります。
データ移行前
データ移行やバックアップの前にスナップショットを作成することで、移行プロセス中にデータが損失したり破損したりするリスクを回避できます。
定期的なバックアップ
定期的にスナップショットを作成することで、データの整合性を保ちながら、長期間にわたってVMの状態を保護することができます。
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まとめ
本記事では、Azure VMのスナップショットを作成する方法を解説しました。Azure VMのスナップショットは、データを守り、ビジネスの継続性を確保する上で非常に有効なツールです。
適切にスナップショットを利用することで、Azureで運営する仮想インフラの柔軟性と耐久性を大幅に向上させることができます。
本記事が、あなたのAzure活用の際の助けになれば幸いです。