この記事のポイント
Microsoft初のサイバーセキュリティ特化AIモデルで「防御専用(refuse offensive)」設計を明示した縦断モデル
MDASH内で全タスクの最大90%を担当し複雑な10%をGPT-5.4に委ねる90/10ルーティングで実行コストを約半分に削減
CyberGym 95.95%を達成しMythos比+12pt、Gemini・GPT-5.5-Cyber・GPT-5.6-Solも上回るフロンティア性能
Microsoftが2026年5月に公表したMDASH検出CVE 16件(Critical RCE 4件・tcpip.sys/ikeext.dll等)を社内SDL先行運用で発掘
Public Preview 2026-08-03からDefender統合で提供、SCU(Security Compute Units)ベースの消費従量課金で単価は公式未公表

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
MAI-Cyber-1-Flash(MAIサイバー1フラッシュ)は、Microsoftが2026年7月27日に発表した、同社初のサイバーセキュリティ特化AIモデルです。
Model CardではMAI-Code-1-Flashのcybersecurity-specialized fine-tuneと定義され、マルチエージェントスキャンハーネス「MDASH」の全タスクの最大90%を担当し、残り10%をOpenAI GPT-5.4に委ねる設計で実行コストを約半分に抑えます。
本記事では、MDASH内での役割、Project PerceptionのRed/Blue/Greenエージェント構成、CyberGymベンチマーク96%の性能、Microsoft社内で実際に検出したWindows RCE事例、SCUベースの従量課金、Anthropic MythosやOpenAI Daybreakとの違い、既存Microsoft Security製品との組み合わせ方までを、2026年7月時点の最新情報で体系的に解説します。
目次
MAI-Cyber-1-Flashとは?Microsoft初のサイバーセキュリティ特化AIモデル
MAI-Cyber-1-Flashの役割——脆弱性スキャン基盤MDASHでの働き
Project Perception——MicrosoftのAIセキュリティ基盤の全体像
Red/Blue/Greenの3種エージェントで攻撃・検知・修復を分業
MAI-Cyber-1-Flashのサイバー防御性能とMicrosoft社内での実運用実績
MDASH検出CVE 16件とCritical RCE 4件
他社サイバーAI(Mythos・Daybreak・CodeMender)との立ち位置
Google CodeMender・Cisco独自モデルとの棲み分け
Security Compute Units(SCU)による従量課金
MAI-Cyber-1-Flashとは?Microsoft初のサイバーセキュリティ特化AIモデル

MAI-Cyber-1-Flash(MAIサイバー1フラッシュ)とは、Microsoftが2026年7月27日に発表した同社初のサイバーセキュリティ特化AIモデルです。
Microsoft AIはMAI-Cyber-1-Flashを「防御目的で構築されたモデル」と位置づけ、バグ修正など防御的タスクに用途を絞り、マルウェア配備のような攻撃的タスクは実行しないように学習・調整したと公式で説明しています。
ポイントは、MAI-Cyber-1-Flashを単体モデルとして評価する意味は薄く、MDASHという「ハーネス」およびProject Perceptionという「マルチエージェントプラットフォーム」とセットで初めて意味を持つ、という点です。
MAI-Cyber-1-Flashの役割——脆弱性スキャン基盤MDASHでの働き

MAI-Cyber-1-Flashが動く場所は、Microsoftのマルチエージェント脆弱性スキャンハーネス「MDASH」です。
ここでは、MDASHの構造とその中でMAI-Cyber-1-Flashがどう働いているかを整理します。
MDASHは2026年5月にMicrosoft Security Blogで先に発表され、CyberGymベンチマークで業界トップの実績を出した段階で内部的にはOpenAI GPT-5.4系ファミリー(GPT-5.4 + 5.4 mini + 5.3 codex)を積んで動いていました。
7月のMAI-Cyber-1-Flash投入で、この構成が「MAI-Cyber-1-Flash中心+GPT-5.4フォールバック」に置き換わったかたちです。
90/10ルーティングの分担設計

MAI-Cyber-1-FlashのMDASH内での役割を、一言で表すと「MDASH全ワークロードの最大90%を担当し、複雑さが閾値を超えた残り10%をOpenAI GPT-5.4にルーティングする」設計です。
Microsoft AI公式のMAI-Cyber-1-Flash announcementは、この90/10ルーティングで現行MDASH構成(GPT-5.4 + 5.4 mini + 5.3 codex)比で約50%のコスト削減を実現したと公表しています。
この経済合理性は、以下2つの前提が揃うことで成立します。
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compactな自社モデルの推論単価が、フロンティアモデル呼び出しよりはるかに安い
90%のタスクをcompactモデルで処理できれば、システム全体の推論コストは大幅に下がる。
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難易度分布が偏っている
サイバー脆弱性スキャンの実タスクは、ほとんどが「既知パターンに近い候補の絞り込み・検証」で、フロンティア級の推論を要する「複雑なexploit chain構築や複数脆弱性の連鎖」は全体のごく一部。
分布に応じてルーティングを分ければ、性能を落とさずにコストだけ落とせる。
The Decoderは、この90/10設計を「Microsoftが自らを『AIモデル・オーケストレーター』と位置づけた事例」と評しています(The Decoder)。特定モデルの単独勝負ではなく、複数モデルを使い分けるハーネスをMicrosoftが押さえる、という戦略の具体化です。
派生元はMAI-Code-1-Flash

MAI-Cyber-1-Flash自体のアーキテクチャの派生元については、2種類の公式表現が併記されています。
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公式Model Card
「MAI-Cyber-1-Flash is a fine-tuned version of the MAI-Code-1-Flash model」とし、コーディング特化モデル MAI-Code-1-Flash をサイバーセキュリティ用途にfine-tuneした位置づけと明示(Model Card PDF)。
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Microsoft AI公式ブログ
「derived from the MAI-Thinking-1 lineage」として推論モデルMAI-Thinking-1の系譜も併記(Microsoft AI announcement)。
用途については、公式Model Cardが「defensive cybersecurity tasks」と位置づけ、脆弱性検出・分類・優先順位付け・修復支援を想定用途として明示しています。
攻撃タスク(マルウェア配備等)は実行しないよう調整済で、この「防御専用(refuse offensive)」設計は、後述のAnthropic Mythos 5撤回事案(2026年6月)との対比で重要になります。
MDASHの5段階パイプライン

MDASH自体は、Microsoft Security Blogで公開された5段階パイプラインで動きます。
Microsoftはこのライフサイクルの俯瞰図を公開しており、各段階の入出力・エージェント配置・複数モデル議論・AutoFix経路までが可視化されています。

Codename MDASHの実行ライフサイクル:Prepare(Recon)→Scan(Discovery)→Validate(Bug triage・FP filter)→Dedup→Prove(PoC生成)の5段階を、100超のspecialized agentsとModel A/B/Cのdebate投票、AutoFix・監査で回す構造(出典:Microsoft Security Blog)
この俯瞰図で注目したいのは、Scan段階で1バグタイプあたり100超のspecialized agentsから3〜5個をピックする「per-function」設計と、Validate段階でModel A/B/Cが異なるペルソナとして議論し2/3の多数決で真陽性か偽陽性を決める投票メカニズムです。
単一モデルの判定に頼らず、モデル間の意見不一致自体を信頼度シグナルに変換する仕組みが、CyberGym高スコアの裏側にあります。
以下の表で、MDASHの各段階と担当するエージェント種別を整理しました。
| 段階 | 役割 | 主なエージェント種別 |
|---|---|---|
| Prepare | 対象コードのインデックス作成・脅威モデリング | インデクサー、ドメイン特化プラグイン(CLFS・カーネル呼び出し規約等) |
| Scan | 候補脆弱性の抽出 | Auditors(発見担当) |
| Validate | 候補の妥当性検証・議論 | Debaters(複数モデルで異論を戦わせる) |
| Dedupe | 意味的重複の折りたたみ | セマンティック集約担当 |
| Prove | 実際にトリガーする入力の構築 | Provers(悪用可能性の実証) |
各段階には合計100を超えるspecialized agentsが配置され、モデル間の意見不一致(disagreement)自体を「信頼度シグナル」として使う設計です。
Microsoftはこの構成を、DARPA AI Cyber Challengeで$6Mを獲得した「Team Atlanta」出身のリサーチャーが率いるAutonomous Code Security(ACS)チーム、Microsoft Offensive Research & Security Engineering(MORSE)、Windows Attack Research and Protection(WARP)の共同で構築したと公表しています。
つまりMAI-Cyber-1-FlashがMDASH全体に効くのは、モデル単体の性能ではなく5段階パイプラインで最大90%のタスクをcompactな自社モデルで置き換えられるという運用側の効果です。
この構造を理解しないと、後述のCyberGymスコアやコスト削減率の意味を取り違えます。
Project Perception——MicrosoftのAIセキュリティ基盤の全体像

MAI-Cyber-1-FlashとMDASHは、上位にあるエージェント型セキュリティプラットフォーム「Project Perception」に組み込まれて顧客に提供されます。ここでは、Project Perceptionのエージェント構成とアーキテクチャを整理します。
Project Perceptionは、Microsoftセキュリティ部門EVPのHayete Gallot氏が主導するプラットフォームで、単なる「モデル+ハーネス」ではなく、シグナル取得から実行までを閉ループでカバーする6層構造を採用しています。
Red/Blue/Greenの3種エージェントで攻撃・検知・修復を分業

Project PerceptionのエージェントはRed/Blue/Greenの3種類に大別され、それぞれ攻撃・検知・修復を分業する構成です。
TechCrunch向けの発表でDave Weston氏(リードエンジニア)は「これまで手作業で何時間もかかっていた検出・姿勢修正・コード修正が、いまは数分で完了する」と説明しています。
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Red Team Agents
脅威アクターのコンテキスト(TTP・攻撃キャンペーン情報)を持ちながら、自社インフラの弱点を攻撃者の視点で継続的に探索する。
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Blue Team Agents
既存のバグやアラートの検出・トリアージを担当。発見された事象を優先度付けし、対応可能なリソースに割り当てる。
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Green Team Agents
修正コードの生成、パッチ配布、設定変更などのアクチュエータ操作。実際に環境を変える権限を持つのはこの層。
Microsoftはこの3種構成を、公式ブログで「Teams of agents」として図解しています。

Project Perceptionが束ねる3種エージェント:Red team(Simulate attacks)+Blue team(Detect and triage)+Green team(Fix and remediate)が連携して閉ループのセキュリティ運用を回す(出典:The Official Microsoft Blog)
Project Perception公式ページでは「high-impact actionsは引き続き人間のsign-offを必須とする」と明示されており、Green Teamがコードを書いてもデプロイの最終承認は人間が握る設計です。フルオートで環境が書き換わる誤動作を避けるための運用ガードで、AIエージェントの権限設計として妥当な線引きになっています。
6層アーキテクチャの内訳

Project Perceptionの全体像は、Microsoft公式ブログ「Rethinking security for the age of AI」で6層アーキテクチャ「The New Cyber Stack」として整理されています。

Project Perceptionの6層セキュリティアーキ「The New Cyber Stack」:下からSignals and sensors→Context→Models→Harness→Agents→Actuatorsの積層構造(出典:The Official Microsoft Blog)
以下の表で、Perceptionの6層構造と各層の役割を整理しました。
上から順に処理が流れ、上流の抽象度が高いほど「何が起きているか」の情報を集約し、下流にいくほど「何をするか」の具体的なアクションに落ちる構造です。
| 層 | 名称 | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | Signals & Sensors | 日次100兆超のセキュリティシグナルを1.6M顧客環境から取得 |
| 2 | Security Context | シグナルを企業コンテキスト(資産・組織構造・脅威モデル)に紐付け |
| 3 | Models | MAI-Cyber-1-Flash・GPT-5.4等の推論エンジン |
| 4 | Harnesses | MDASHのようなモデル群を束ねる制御レイヤー |
| 5 | Agents | Red/Blue/Greenの目的別エージェント群 |
| 6 | Actuators | Microsoft Defenderから開始し将来的にMicrosoft Security製品群への実行アクション |
ここでのポイントは、MAI-Cyber-1-Flashは6層のうち「Model層」の1コンポーネントに過ぎず、SignalからActuatorまでの全層をMicrosoftが押さえていることが、MAI-Cyber-1-FlashのRealな価値を生んでいる、という点です。
Constellation Researchが指摘するとおり、この構造はGoogle Cloudの「CodeMender」(Gemini Enterprise内のmulti-model harness)やAWS・Nvidia Open Secure AI Allianceといった競合とも共通の潮流で、モデル単体ではなくハーネス+マルチエージェントを束ねる「セキュリティスタック」全体でしのぎを削るフェーズに入っていることを示しています。
Actuator層としてPublic Preview時点で公式に確定しているのはMicrosoft Defenderへの統合で、Project Perception公式ページは「その後Microsoft Security製品群全体に順次拡張」と説明しています。個別製品(Sentinel/Entra ID/Purview等)の統合時期や条件は今後の公表待ちで、実装時は各製品の統合要件をMicrosoft側と個別確認する必要があります。
MAI-Cyber-1-Flashのサイバー防御性能とMicrosoft社内での実運用実績

MAI-Cyber-1-Flashの実力は、公開ベンチマーク(CyberGym)と、Microsoft社内で実際に検出された脆弱性事例の両方で示されています。ここでは、この2軸で性能を整理します。
CyberGym 95.95%のフロンティア性能

Microsoft AI公式が公表した代表的な数値は、サイバーセキュリティ専用ベンチマークCyberGymにおけるスコアです。
CyberGymは、188のOSS-Fuzzプロジェクト・1,507件の実世界脆弱性を対象に、脆弱性の説明文から実際にexploitが構築できるかを測定するベンチマークで、防御・攻撃両側面の能力を反映します。
以下の表で、MDASHの構成別CyberGymスコアと対比モデルの成績を整理しました。
| 構成/モデル | CyberGymスコア | 位置づけ |
|---|---|---|
| MDASH + MAI-Cyber-1-Flash + GPT-5.4(新構成) | 95.95%(96%) | 現行のMDASHフルスタック |
| MDASH(従来構成・GPT-5.4 + 5.4 mini + 5.3 codex) | 88.45% | 5月時点でCyberGym leaderboard首位 |
| 対比モデル群(Mythos 5 / Gemini / GPT-5.5-Cyber / GPT-5.6-Sol) | 83.2%〜85.6% | 単一モデルとしての性能 |
Microsoftは新構成のスコアを、Mythos 5比で**+12ポイント**、Gemini・GPT-5.5-Cyber・GPT-5.6-Solも上回る水準と位置づけています。
CyberGym以外のベンチマークについても、Model Cardが単体モデル(ハーネス無し)でのスコアを開示しています。

MAI-Cyber-1-Flash単体(ハーネス無し)の外部サイバーベンチマーク結果:CVEBench 0.314・CyberSecEval4(Threat Intel 0.553 / Malware Analysis 0.33)・CRSBench 0.651(POV+1200)・ExploitGym Kernel=0・Userspace=0・Browser=0(出典:Microsoft AI Model Card)
このModel Card開示値で注目したいのは、ExploitGym(攻撃コード実行成功率)がKernel・Userspace・Browserすべてゼロである点です。
ゼロ点の要因が能力上限か評価条件か拒否動作かまでは公式値だけからは判別できませんが、Model Cardの「defensive tasks専用、offensive tasksはrefuse」という明示的な性格付けとは整合する結果です。
96%という水準は「モデル単体で人間のセキュリティ研究者を超え始めた」というよりも、モデル+ハーネス+マルチエージェントの三層セットで初めて到達した数値として読む必要があります。
Mustafa Suleyman氏がベンチマーク結果を語るときに「モデル+ハーネス」の話に落とすのは、この読み方を反映しています。
MSRC recall 100%の再検出実績

CyberGymは公開ベンチマークですが、Microsoftはこれとは別に社内の過去5年分MSRC(Microsoft Security Response Center)事例でrecallテスト(既知バグをどれくらい再検出できるか)を回しています。以下の数値がSecurity Blogで公表されています。
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clfs.sys(Common Log File System)
28件のMSRC事例のうち96%を再検出。
-
tcpip.sys(TCP/IPスタック)
7件のMSRC事例のうち**100%**を再検出。
-
StorageDrive test driver(意図的に埋め込まれた脆弱性)
21/21件を検出、偽陽性0件。
これらのrecall値は、CyberGymのような一般化されたベンチマーク以上に「MSがMSに対して回した結果」として重い意味を持ちます。
過去のMSRCインシデントをAIハーネスに投入したとき、人間が過去に見つけた脆弱性のほぼ全てを機械的に再発見できる、というのは、SDLプロセス上の実装能力を示す指標です。
MDASH検出CVE 16件とCritical RCE 4件

先行導入の実績として最もインパクトが大きいのは、Microsoftが2026年5月にMDASH検出済みとして公表した16件のCVEです。
うち4件はCritical Remote Code Execution(リモートコード実行)で、いずれも認証なしで到達可能な深刻度の脆弱性でした。
以下の表で、Critical RCE 4件のCVE番号と概要を整理しました。
| CVE番号 | 対象コンポーネント | 概要 |
|---|---|---|
| CVE-2026-33827 | tcpip.sys | SSRR(Strict Source and Record Route)経由のリモートUse-After-Free |
| CVE-2026-33824 | ikeext.dll | IKEv2のdouble-freeからLocalSystem権限でのRCE |
| CVE-2026-41089 | netlogon.dll | CLDAPスタックオーバーフロー |
| CVE-2026-41096 | dnsapi.dll | DNSヒープ領域のOut-of-Bounds書き込み |
16件全体の内訳はkernel-mode 10件・user-mode 6件で、大部分がネットワーク越し・無認証で到達可能です。
特にtcpip.sys(CVE-2026-33827)は、SSRRという古典的なIPオプション経由でカーネル領域のUAFを起こす脆弱性で、これを人手のコードレビューではなくAIハーネスで発掘した意義は大きいと言えます。
これらのCVEはMicrosoftから順次パッチが提供済みで、Microsoft Security BlogはCVE-2026-33827とCVE-2026-33824をApril Patch Tuesday分と明記しており、16件全てが同一月にまとめて修正されたわけではありません。
いずれにせよMicrosoft自身がSDL(Security Development Lifecycle)内部でMDASHを先行運用し、外部にProject Perceptionを提供する前に自社製品で有効性を検証してきた流れは変わりません。
AI総研の支援現場でも、AIによるセキュリティスキャンをまず自社プロダクトに回してから顧客に展開している事例が増えており、Microsoftの動きはこの潮流の代表例です。
他社サイバーAI(Mythos・Daybreak・CodeMender)との立ち位置

MAI-Cyber-1-Flashは、2026年に一気に立ち上がった「AI×サイバーセキュリティモデル」市場の中で発表されています。ここでは、直近3か月に登場した主要な競合と、Microsoftの立ち位置を整理します。
Mythos 5撤回との対比と防御専用設計

まず対比の軸として重要なのが、AnthropicのClaude Mythos 5・Fable 5を巡る2026年6月の撤回騒動です。
Amazon研究者がFable 5にjailbreakを発見したことをきっかけに、米国商務省が輸出管理権限を根拠に2026年6月12日に外国人アクセスの停止を命令しました。Anthropic公式声明ページでも指令受領日は同日(17:21 ET)と明記されており、事実上のグローバル停止です。
再開までの経緯は以下のとおりです。
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6月下旬
Mythos 5がvetted済みの米国重要インフラ向けに限定復活(対象組織数の詳細はAnthropic公式では非開示)。
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6月30日
商務省が命令を解除。
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7月1日
Fable 5が新しいsafety classifier(報告されたjailbreakを99%以上ブロック)を搭載してグローバル再開。同時にAnthropicは、将来のフロンティアモデルについて政府への事前アクセス提供、jailbreak発見時の即時共有、Fable 5用のHackerOneプログラム開設をコミットしました。
Anthropic自身も、この撤回に対する公式声明を明確に打ち出しています。

Anthropicが公開した「Fable 5・Mythos 5へのアクセス停止に関する米国政府指令」の公式声明ページ(出典:Anthropic)
この事案で浮き彫りになったのは、「サイバー能力が汎用モデルの延長として自然に強くなる」時代における、モデル提供者の統制責任の重さです。
MAI-Cyber-1-FlashのModel Cardが「防御的タスク専用」「攻撃コード生成・マルウェア配備は拒否」と明示的に定義し、レッドチーム評価と第三者独立評価を経て公開している設計は、汎用モデルにサイバー能力を組み込む方向(Mythos/Fable)と、サイバー用途に絞ったモデルを別建てする方向(MAI-Cyber-1-Flash)の思想差を示しています。
両者の因果関係は公式では言及されていませんが、業界全体が「フロンティア級モデルとサイバー能力の切り分け」を再検討している状況は明らかです。
OpenAI Daybreakとの違い

OpenAIはMicrosoftのMDASH発表と同じ2026年5月にDaybreakを立ち上げ、その後6月にGPT-5.5-Cyber・Codex Security・Patch the Planetへ拡張しました。
位置づけとしては「発見だけでなく修復(Patch)まで自律的に回す」ことを前面に出しており、機能的にはProject Perception Greenエージェントと似た領域を狙っています。
Daybreak公式ページは、実運用スケールの数値を前面に出しています。

OpenAI Daybreakが公開する実績スケール:30Kリポジトリのスキャン・30M+コミットのスキャン・500K+件のFixed findings(出典:OpenAI)
この数値のうち500K+件のFixed findingsは、Daybreakが自動的にfixedと判定したfindingsの件数として提示されています。
Daybreak公式ページには人間のレビュアーがfixedとマークした件数は70K+件と別の指標も明記されており、自律判定と人手承認は分けて理解する必要があります。とはいえ「発見して終わり」ではなく「Patch the Planet(世界にパッチを当てる)」というブランド名が示すとおり、修復までの自律化に軸足を置く姿勢が数値で示されています。
違いをまとめると、Daybreak側は「単一ベンダー(OpenAI)のフロンティアモデルを核に据え、Codex Security・Patch the Planetという専用フロー製品で提供する」のに対し、Microsoft側は「compactな自社モデル+GPT-5.4を90/10ルーティング+既存Microsoft Security製品への統合」というスタック思想を取っている点です。
Google CodeMender・Cisco独自モデルとの棲み分け

Google Cloudは2026年7月22日にCodeMenderを発表しました。
ヘッドレスなmulti-model AIエージェントで、脆弱性発見からパッチ生成までを担当します。提供モデルは以下のように分かれています。
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Gemini Enterprise Agent Platform経由の一般提供モデル
一般顧客向けPublic Previewとして提供。マルチモデル・アプローチのもとで「cost・speed・deep scanning」に応じてモデルを選べる設計。
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Gemini 3.5 Flash Cyber
政府機関およびtrusted partnersの少数向けに限定提供。時期を分けて対象拡大予定と公式に明示。
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サードパーティ・フロンティアモデル
2026年内に対応予定。

Google Cloudが2026年7月22日に公開した「Find and fix software vulnerabilities with CodeMender」のPublic Preview発表(出典:Google Cloud Blog)
Ciscoも独自セキュリティモデルを最近リリースしており、Anthropicが業界横断連携Project Glasswingで12組織+40超のエコシステムを組む中、メジャーな買い手企業向けAIサイバー製品ベンダーが2026年5〜7月で一気に出そろった構図になっています。
以下の表で、直近3か月の主要プレイヤーと差分を整理しました。
| 提供者 | 中核モデル | ハーネス/製品 | 提供思想 |
|---|---|---|---|
| Microsoft | MAI-Cyber-1-Flash + GPT-5.4フォールバック | MDASH → Project Perception | compact自社モデル最大90%+フロンティア10%のオーケストレーション |
| Anthropic | Claude Fable 5 / Mythos 5 | Project Glasswing連携 | 汎用フロンティア能力+新safety classifierで段階解禁 |
| OpenAI | GPT-5.5-Cyber | Codex Security・Patch the Planet | フロンティアモデル+修復専用フロー |
| Google Cloud | GA中のGeminiモデル(Gemini 3.5 Flash Cyberは政府・trusted partners限定) | CodeMender(Gemini Enterprise内) | headless multi-model harness |
| Cisco | 独自セキュリティモデル | Ciscoセキュリティスイート内 | ネットワーク・エンドポイント統合型 |
この比較から見えるのは、モデル単体の勝負ではなくハーネスとエコシステムを含めた提供思想の勝負になっているという点です。
買い手企業から見ると、自社が既にどのセキュリティスタック(Microsoft DefenderとMicrosoft Sentinel、Google Chronicle、Cisco XDR等)を運用しているかで、選ぶAIサイバー製品は事実上決まる構造になりつつあります。
MAI-Cyber-1-Flashの料金体系と提供チャネル

ここでは、MAI-Cyber-1-Flashを実際に使う際の料金と提供チャネルを整理します。MAI-Cyber-1-Flashは単体モデルとしての料金は公表されておらず、Project Perceptionを通じて「Security Compute Units(SCU)」の従量課金で提供される点が最大のポイントです。
Security Compute Units(SCU)による従量課金

Project Perception公式ページは、料金体系を「consumption-based, pay-as-you-go pricing」と説明し、単位として「Security Compute Units(SCU)」を採用するとしています。
単価・無料枠・具体的な提供条件は本稿執筆時点(2026年7月)で公式に開示されていません。
課金の考え方は、Perception公式ページの以下の記述に集約されます:「A Security Compute Unit (SCU) is the unit used to measure Project Perception usage. As agents run scenarios in the portal, they consume SCUs. More intensive tasks consume more SCUs.」
つまり、1ユーザーあたり月額○円ではなく、Red/Blue/Greenエージェントがシナリオを実行するほどSCUを消費する構造で、タスク重度に応じて課金が決まる設計です。
参考として、Microsoftが既に提供するMicrosoft Security Copilotも同名の「Security Compute Units(SCU)」を採用しており、standalone $4/SCU/時間・$6/overage SCU(使用量課金)、およびIgnite 2025発表の「Microsoft 365 E5 1,000ライセンス毎に400 SCU/月(上限10,000 SCU/月)」の含み枠が知られています。
コスト削減の内訳──従来MDASH構成比で約50%
Microsoft AIは、「MDASH + MAI-Cyber-1-Flash + GPT-5.4」構成が、従来の「GPT-5.4 + 5.4 mini + 5.3 codex」構成と比べて約50%のコスト削減になると公表しています。この50%は、以下2つの掛け算で生まれます。
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compactモデルの推論単価が安い
最大90%のワークロードがcompactモデルで動けば、フロンティアモデルを大量呼び出しするより安い。
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ハードな10%だけをフロンティアに委ねる
残り10%だけをGPT-5.4に投げるため、フロンティアモデル呼び出し回数が絶対的に少ない。
ただし、この50%の削減はあくまでMDASH内部のモデル構成比較(GPT-5.4系ファミリー vs MAI-Cyber-1-Flash+GPT-5.4)における相対値です。顧客が実際にProject PerceptionのSCUを消費した際に「1 SCUあたりで処理できるタスク量」がどう変化するかは公式で未公表のため、Preview申請時にMicrosoft側と個別に想定シナリオを持ち寄って見積もる必要があります。
提供チャネルとDefender統合

MAI-Cyber-1-FlashおよびProject Perceptionは、以下のチャネルで提供されます。
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Azure AI Foundry経由
Model Cardによれば、モデル本体は「Azure AI Foundry Private Previewで提供、利用はMDASH内に限定、select MDASH customersへのアクセスには追加承認が必要」と明示。
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Microsoft Defender統合が最初
Microsoft DefenderにPublic Preview版として2026年8月3日から統合。以降、他のMicrosoft Security製品への展開もPerception公式ページで示されているが、個別統合の対象・順序・条件は今後の公表待ち。
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一般提供(GA)の時期は未公表
Public Previewから一般提供までの期間はMicrosoftから明示されておらず、Preview段階はcontact sales経由の個別受付を通じて拡張していく運用と見られます。
2026年8月時点でProject Perceptionを試す実務的な入り口は、既存のMicrosoft Security製品(特にDefender)を運用中の組織がPublic Preview申請でPerceptionを追加有効化する経路です。
SCU単価・E5含み枠の流用可否・新規SCU契約の要否については、Perception公式のcontact salesを通じて具体条件をMicrosoftに確認する必要があります。
MAI-Cyber-1-Flashの導入判断で押さえるべき論点

ここまでで機能・性能・料金は整理したので、最後に実務で導入を検討する際にどこで詰まるかを整理します。
AI総合研究所が支援している企業の傾向も踏まえ、既存のMicrosoft Security製品スタック別に判断軸を提示します。
既存Microsoft Security製品との組み合わせ

MAI-Cyber-1-Flashの実装効果は、既にどのMicrosoft Security製品を運用しているかで大きく変わります。以下の表で、代表的な4シナリオごとの導入判断軸を整理しました。
| 現在の運用状況 | Perception導入で得られる価値 | 実装上の詰まりどころ |
|---|---|---|
| Defender単体運用 | Blueエージェントによる既存アラートのトリアージ自動化 | Perception用SCU単価・契約単位が公式未公表のため、想定コストを先に照会する必要 |
| Defender + Sentinel運用 | 既存アラートに加え、Perceptionのアクション層と自社playbookの役割分担を再設計できる | 既存playbookとRed/Blueエージェントの担当領域の切り分け設計が必要 |
| Security Copilot既存契約 | 既存SCU枠のPerception流用可否を早期にMicrosoftへ確認できる立場 | Copilot用SCUとPerception用SCUの按分ルールがまだ公表されていない |
| Microsoft Security製品を包括契約中 | Preview段階のcontact salesに応じてもらいやすい | E5含み枠のPerception流用可否・追加SCU契約の要否が公式未確認 |
この4シナリオに共通するのは、Perception独自のSCU単価・E5含み枠の流用可否・Security Copilotとの按分ルールが公式で開示されていないという事実です。
Preview段階ではMicrosoft AI/Perception公式のcontact salesに個別照会し、SCU実消費量の見積もりとコスト条件をセットで固めるのが、費用対効果の試算を先に外さない実務的な進め方になります。
GPT-5.4依存の実務影響──データ主権と可用性

MAI-Cyber-1-Flashの90/10ルーティングは、MDASH内部の構成比較で実行コストを約半分に抑えますが、残り10%のワークロードでGPT-5.4が呼び出される設計のため、コンプライアンス上の論点になります。
ただし、この10%のワークロードで送信されるデータが「OpenAI直接環境」で処理されるのか、「MicrosoftのAzure管理基盤内」で処理されるのかは、Perception公式ページ・Microsoft Security Blog・Model Cardのいずれも明示していません。
Azure OpenAI Serviceの一般仕様では、プロンプト等はOpenAIには提供されず、選択したデプロイ種別に応じてMicrosoft Foundryのサービス境界内で処理されると説明されていますが、Perception内部に同じ仕様が適用されるかは未公表です。
このため、導入前に以下を確認しておく必要があります。
-
データ経路と処理境界
セキュリティスキャン対象のコード・設定情報が、10%ルーティング時にどこで処理されるか(Azure内 or OpenAI直接)を、Perception公式のcontact salesを通じてMicrosoftに確認する。Zero Data Retention(ZDR:APIに送信したデータをモデル学習にも内部保管にも使わない契約オプション)相当の保護が効くかも同時に確認。
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可用性
GPT-5.4障害時にMDASH全体の精度がどこまで劣化するかは公式では未公表。MDASHは複数モデルの意見不一致を信頼度シグナルとして使う設計のため、フォールバック挙動の詳細はMicrosoft側に個別確認が必要。
この2点は、Public Preview段階では公式情報が薄いため、Microsoft AIのCustomer Success担当と直接すり合わせるのが実務的な進め方になります。
Public Preview段階の制約

2026年8月3日開始のPublic PreviewはMicrosoft Defenderへの統合が最初で、モデル本体(MAI-Cyber-1-Flash)自体は一部のMDASH顧客向けにアクセスが制限されています。
Project Perception全体の具体的な参加条件は公式ページで明示されていないため、Preview段階での参加可否・優先順位はcontact salesを通じてMicrosoftに個別確認する必要があります。
production環境で全面採用する判断は、GA(一般提供)の時期が公表されてから改めて検討するのが妥当です。
Preview段階で先行して着手すべきは、以下3点に絞られます。
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Perception対象データの棚卸し
Red/Blue/Greenエージェントに何のコード・アセットを見せるかを、社内で先に合意しておく。既存Defender/Sentinelで既に見せているスコープと同じ範囲から始めるのが安全。
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人間sign-off運用の設計
Green Teamがコード修正案を生成した際の承認フロー(誰が・どの権限で・どのSLAで承認するか)を、Preview開始前にドラフト化する。
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SCU予算の試算枠組みだけ準備
現在のDefender/Sentinelの月間アラート数・スキャン対象規模を洗い出し、Perception公式から単価が開示された時点で速やかに試算できる状態にしておく。
Perception独自のSCU単価・E5含み枠適用条件はまだ未公表のため、Preview申請時にMicrosoftへ想定利用シナリオを提示して個別見積もりを得る。
AI総合研究所の支援現場では、AIエージェント導入で最も詰まるのは、エージェントに何を見せるか・何をさせるかの権限設計というケースが多く、Perceptionも例外ではありません。Preview期間中はモデル性能の評価よりも、この運用設計の整備に時間を使う方が費用対効果は高くなります。
AIサイバー防御を業務Agent基盤に載せるなら
MAI-Cyber-1-FlashやOpenAI Daybreak・Google CodeMenderのようなドメイン特化AIが2026年5〜7月で一気に出そろい、セキュリティ運用の前提が変わりつつあります。ただし多くの企業は、これらの新モデルへのアクセスを待つよりも先に、現行のフロンティアモデル(Claude Opus 5・GPT-5.5・GA中のGeminiモデル等)を業務に組み込み、脆弱性レビュー・修復自動化を回し始める段階にあります。モデル選定単独では動かず、業務Agent実行層・権限・監査を整える運用基盤が並行して必要です。
このレイヤーを担うのが、自社Azureテナント内で動くエンタープライズAIエージェント基盤です。AI総合研究所のAI Agent Hubは、Teamsから呼び出せる業務特化Agent群を1つのダッシュボードで統合管理し、MAI-Cyber-1-Flash世代のモデル切替を吸収しながらセキュリティ運用と業務プロセスを1枚のオペレーションに載せる基盤として機能します。
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現行モデルで脆弱性レビューAgentを先行実装
現行フロンティアモデルをバックエンドに据えたコードレビューAgent・セキュリティ監査Agentを、Teams上から即起動。MAI-Cyber-1-Flash/Perception世代のPreview拡大を待たずに、継続的な脆弱性レビュー体制を回せます。
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モデル世代交代を吸収する管理層
MAI-Cyber-1-Flash → 将来の別ドメイン特化モデルのように短サイクルで世代交代しても、業務Agent側の設計は不変。特定モデル依存のワークフロー陥落を回避できます。
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Agent単位でセキュリティ統制を1画面統制
コード・脆弱性情報・修復パッチを扱うAgentごとにアクセス範囲を設計。誰がどのAgentで何を実行したかを不変ログで残し、監査対応をそのまま提出できる形で保管します。
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データは100%自社Azureテナント内に保持
コード・脆弱性・設定情報はAIの学習対象から完全除外。Azure Managed Applicationsとして自社テナント内で動作が完結する設計です。
AI総合研究所の専任チームが、AIサイバー製品の選定から業務Agent基盤の統合設計まで一貫して支援します。AI Agent Hubのサービスページで、MAI-Cyber-1-Flash世代を見据えたセキュリティ×業務Agent実装例をご確認ください。
AIサイバー防御を業務Agent基盤に載せる
モデル世代交代を吸収する運用層を先に整える
MAI-Cyber-1-FlashのようなドメインAIが登場するたびに、業務プロセスを個別モデルに縛りつけるとモデル世代交代のたびに乗り換えコストが跳ね上がります。AI総合研究所のAI Agent Hubは、Teamsから呼べる業務特化Agent群を1つのダッシュボードで統合管理し、モデル世代交代を吸収しながらセキュリティ運用と業務プロセスを1枚のオペレーションに載せる基盤として機能します。
まとめ
本記事では、MAI-Cyber-1-Flashについて、MAIシリーズでの位置づけ・MDASH内での90/10ルーティング・Project PerceptionのRed/Blue/Greenエージェント構成・CyberGymベンチマーク性能とMSRC recall実績・Microsoftが2026年5月に公表したMDASH検出CVE事例・競合との立ち位置・SCU従量課金・導入判断論点までを、2026年7月時点の最新情報で解説しました。
2026年時点で押さえておくべきポイントは次の3つです。
- MAI-Cyber-1-FlashはMicrosoft初のサイバーセキュリティ特化AIモデルで、単体ではなくMDASH+Project Perceptionの三層セットで初めて意味を持つ「防御専用(refuse offensive)」設計のcompactモデル
- CyberGym 95.95%・MSRC recall(tcpip.sys 100%・clfs.sys 96%・StorageDrive 21/21)・Microsoftが2026年5月に公表したMDASH検出CVE 16件(Critical RCE 4件含む)と、社内SDL先行運用の実績が公開されている
- 料金はSecurity Compute Units(SCU)ベースの従量課金までが公式確認済で、単価・E5含み枠の流用可否・Security Copilotとの按分ルールはPublic Preview(2026-08-03)以降にMicrosoftへ個別確認が必要
企業のセキュリティ責任者にとってMAI-Cyber-1-Flashは、「自社が使えるかどうか」よりも「AIサイバー製品ベンダーが2026年5〜7月で一気に出そろった前提で、既存のセキュリティスタックにどう組み合わせるか」という問いを突きつける動きです。まずは既存Defender/SentinelとSCU利用実績を棚卸しし、Public Preview期間中にMicrosoftへcontact salesでPerceptionのSCU単価・E5含み枠適用条件を確認しつつ、Perception対象データと人間sign-off運用の設計を先に固めるのが、最も実用的な第一歩になります。
AIによる脆弱性発見と修復が加速する2026年は、防御側が仕組みを整え直す最後の数年になる可能性があります。MAI-Cyber-1-Flash世代の到来を「待つ」のではなく、いまの運用基盤の中で先回りする姿勢が、企業のセキュリティ競争力を左右する時期に入りました。













