この記事のポイント
Grok 4 Fastは、Grok 4と同等の性能を40%少ないトークンで実現する、コスト効率に優れたxAIの最新モデル
無料ユーザーを含む全ユーザーが、最新のフラッグシップモデルを制限なく利用可能
200万トークンという広大なコンテキストウィンドウで、長大なドキュメントの処理に対応
推論と非推論を単一モデルで実現する「統一アーキテクチャ」により、速度と品質を両立
WebとX(旧Twitter)を横断する高度なリアルタイム検索・エージェント能力を搭載

Google認定 AIエキスパート。AI Research株式会社 代表取締役。東京大学大学院にて人工知知能・深層学習を研究。国内外のトップカンファレンスで論文を発表後、xAIの日本法人立ち上げに参画。現在は、企業のAI戦略コンサルティングや大規模言語モデルの開発支援を行う。
「Grok 4 Fastが発表されたけど、何がすごいの?」「Grok 4と比べてどれくらい安くなった?」
2025年9月、xAIは次世代AIモデル「Grok 4 Fast」を電撃的に発表しました。これは単なる性能向上ではなく、AIの「知能」と「コスト」の常識を覆す、革命的なモデルです。
本記事では、この「Grok 4 Fast」について、公式発表された情報に基づき、その全貌を徹底的に解説します。
驚異的なコスト効率、Grok 4に匹敵するベンチマーク性能、リアルタイム検索能力、そして全てのユーザーに開かれた利用体系まで、詳しくご紹介します。
Grok 4 Fastとは?
Grok 4 Fastは、xAIが発表した、コスト効率の高いインテリジェンスを新たな次元に引き上げる最新のAIモデルです。
Grok 4で培われた知見を基に構築されており、Grok 4に匹敵する最高レベルの性能を、卓越したトークン効率で実現している点が最大の特徴です。
これにより、これまで高性能モデルの利用をためらわせていたコストの壁が劇的に下がり、より多くのユーザーや開発者が最先端のAIを手軽に利用できる時代の幕開けを告げています。
Grok 4 Fastの核心:統一アーキテクチャ
Grok 4 Fastの最も革新的な点は、そのアーキテクチャにあります。従来は、複雑な思考を要するタスクと、即時性が求められる単純な応答では、別々のモデルやモードが必要でした。
Grok 4 Fastは、これを単一のモデルウェイトで実現する「統一アーキテクチャ」を導入。システムプロンプトによって、同じモデルが深い思考を行う推論モードと、即座に応答する非推論モードを切り替えることができます。
この統合により、エンドツーエンドの遅延とトークンコストが削減され、リアルタイム性が求められるアプリケーションに最適なモデルとなっています。
Grok 4 Fastの料金
Grok 4 Fastは、利用シーンに応じて複数の形で提供されます。ここでは、「grok.com(Web/アプリ)で利用する場合」と、「API経由で利用する場合」の2つの側面に分けて解説します。
grok.com (Web/アプリ) での利用
Webサイトやスマートフォンアプリで利用する場合、特別なモデル選択は不要です。FastモードとAutoモードで、自動的にGrok 4 Fastの恩恵を受けられます。
APIで利用できるモデルラインナップ
開発者が自身のアプリケーションにGrok 4 Fastを組み込む際には、ユースケースに応じて思考の深さを調整できる2つのモデルが提供されます。
| モデル名 (API) | 特徴 | コンテキストウィンドウ |
|---|---|---|
| grok-4-fast-reasoning | 複雑なタスクや深い思考が求められる用途に最適化。 | 2M (200万) |
| grok-4-fast-non-reasoning | 迅速な応答や単純なタスク向けに最適化。 | 2M (200万) |
この2つのモデルは、以下の料金体系でxAI APIを通じて一般提供されています。
| トークンタイプ | 128kトークン未満 | 128kトークン以上 |
|---|---|---|
| 入力トークン | $0.20 / 1M | $0.40 / 1M |
| 出力トークン | $0.50 / 1M | $1.00 / 1M |
| キャッシュされた入力トークン | $0.05 / 1M | - |
Grok 4 Fastの性能と主要な進化点
Grok 4 Fastは、単に安価なだけではありません。複数のベンチマークで、既存の高性能モデルに匹敵、あるいはそれを凌駕する結果を示しています。
驚異的なコスト効率(知能密度)
Grok 4 Fastは、大規模な強化学習により「知能密度」を最大化しています。評価では、Grok 4と同等の性能を達成しながら、使用する思考トークンを平均で40%削減することに成功しました。
このトークン効率の40%向上と、大幅に低いトークン単価の組み合わせにより、Grok 4と同じ性能を達成するためのコストを98%も削減しています。
独立機関であるArtificial Analysisのレビューでも、Grok 4 Fastは公開されている他モデルと比較して、SOTA(State-of-the-Art:最高水準)の価格対知能比を実証しています。

Grok 4 Fastの価格対知能比(参考:xAI)
主要ベンチマークでの最高レベルの性能
Grok 4 Fastは、推論能力を測る複数の主要なベンチマークで、Grok 3 Miniを圧倒し、フラッグシップモデルであるGrok 4に匹敵するスコアを記録しています。

Grok 4 Fastの主要ベンチマーク性能 (参考:xAI)
上のグラフは、縦軸が「知能指数」、横軸が「コスト」を示しています。
Grok 4 Fastは、Grok 4やGPT-5といった高性能モデルと同等の知能(縦軸の高さ)を保ちながら、グラフの左端に位置していることがわかります。
これは、最高レベルの知能を、他モデルとは比較にならないほどの低コストで実現していることを視覚的に示しています。
SOTAの検索能力とツール利用
Grok 4 Fastは、コード実行やWebブラウジングといったツールの利用を、エンドツーエンドの強化学習を通じて訓練されています。
特に、WebとXをシームレスにブラウジングし、リアルタイムデータで回答を補強するエージェント的な検索能力に優れています。リンクをたどり、画像や動画を含むメディアを消化し、その結果を光速で統合します。

Grok 4 Fastの検索・ブラウジング性能 (参考:xAI)
特に、xAIの内部ベンチマークである「X Browse」での高いスコアは、複雑でリアルタイム性の高いX(旧Twitter)の情報を的確にナビゲートし、活用できるユニークな強みを浮き彫りにしています。
LMArenaでの圧倒的な評価
Grok 4 Fastは、実世界のタスクにおける性能を評価するLMArenaでも、その能力を証明しています。
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Search Arena:
コードネーム「menlo」として参加し、Elo 1163で1位を獲得。その優れた推論効率と知能密度により、はるかに大きなモデルを上回りました。

LMArena Text Arena ランキング (参考:xAI) -
Text Arena:
コードネーム「tahoe」として参加し、8位にランクイン。grok-4-0709と同等の性能を示し、同サイズ帯のモデル(18位以下)を大きく引き離しました。

LMArena Search Arena ランキング (参考:xAI)
LMArenaでの結果は、Grok 4 Fastが理論上のベンチマークだけでなく、専門的なタスクと日常的な対話の両方で高いパフォーマンスを発揮する、バランスの取れたモデルであることを裏付けています。
Grok 4 Fastの使い方
Grok 4 Fastは、様々なプラットフォームで既に利用可能になっています。
grok.com、iOS、Androidアプリ
Grokを利用している全てのユーザーは、追加の設定なしでGrok 4 Fastを利用できます。
- FastモードおよびAutoモードで、検索や情報収集に関する応答が大幅に改善されます。
- Autoモードで難しい質問をした場合も、Grok 4 Fastが利用され、品質を維持したまま、より高速な体験が得られます。
- 無料ユーザーを含む全ユーザーが、この最新モデルを制限なく利用できるのが大きな特徴です。
xAI API、OpenRouter、Vercel AI Gateway
開発者は、xAI APIを通じて「grok-4-fast-reasoning」と「grok-4-fast-non-reasoning」の2つのモデルを利用できます。
また、期間限定でOpenRouterとVercel AI Gatewayでは、Grok 4 Fastを無料で試すことが可能です。
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まとめ
Grok 4 Fastの登場は、AIの歴史における重要な転換点です。
- 驚異的なコスト効率:
これまで一部の企業や開発者に限られていた最高レベルのAIの利用を、コストの面で大きく民主化しました。 - 妥協のない性能:
コストを下げながらも、Grok 4に匹敵する性能を維持・向上させており、「安かろう悪かろう」の常識を覆しました。 - 実用的な機能:
200万トークンの広大なコンテキストウィンドウと、強力なリアルタイム検索能力は、これまでにない複雑で大規模なタスクの自動化を可能にします。
Grok 4 Fastは、単なる新しいモデルではなく、AIがより身近で、より強力なパートナーとなる未来を加速させるゲームチェンジャーです。xAIは今後もユーザーからのフィードバックを基にモデルの改善を続けていくとしており、マルチモーダル機能やエージェント機能のさらなる強化が期待されます。









