この記事のポイント
この記事は大学でのチャットボット活用事例について紹介しています。
大学にチャットボットを導入することで、24時間365日対応が可能となり、学生の利便性が向上します。
教職員の業務の効率化と人件費削減に寄与することにより、教育機関の運営を支援します。
蓄積されるお問い合わせデータを活用することで、学生のニーズや問題点の把握に役立ちます。
実践女子大学や早稲田大学など、実際にチャットボットを活用している大学の具体的な事例を紹介しています。

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
現代の教育現場では、人工知能(AI)によるチャットボットの活用が注目を集めています。特に大学では、学生の利便性向上や教職員の業務効率化に資するため、チャットボットの導入が進んでおり、様々なメリットが報告されています。この記事では、チャットボットが如何に大学で活用されているか、実際の事例を通じてご紹介いたします。24時間365日の問い合わせ対応や定型業務の自動化、人件費の削減など、チャットボットを導入することで期待される改善点や実際の効果について、詳しく解説していきます。大学の実態とチャットボットとの相乗効果を、さまざまな視点から掘り下げますので、ぜひご一読ください。
目次
神田外語大学のLINE活用事例:24時間365日の学生サポート体制を構築
大東文化大学の導入事例:学生の利便性向上と迅速な問題解決を実現
駒沢大学のLINE活用事例:窓口業務の8割削減と学生の自己解決を促進
早稲田大学の導入事例:学生満足度向上と教職員の業務効率化を両立
大学でチャットボットが注目される背景
近年、大学では18歳人口の減少や学生ニーズの多様化、予算制約の厳格化など、多くの課題に直面しています。特に、入学者数の減少は大学経営に大きな影響を与え、限られた資源で質の高い教育サービスを提供する必要性が高まっています。
さらに、デジタルネイティブ世代の学生は、スマートフォンやSNSを日常的に使用しており、24時間いつでもアクセスできる情報提供を期待しています。窓口が閉まっている時間帯でも、履修登録や奨学金、証明書発行などの情報を即座に得たいというニーズが増加しています。
また、COVID-19パンデミックを契機に、オンライン対応の重要性が認識され、大学運営のデジタル化が加速しました。AIチャットボットは、これらの課題を解決する手段として、学生サポートの強化と教職員の業務効率化を同時に実現する技術として注目されています。
大学におけるチャットボットとは
大学におけるチャットボットとは、自然言語処理(NLP)や機械学習技術を活用し、学生や教職員からの問い合わせに自動で応答するシステムです。具体的には、履修登録の方法、試験日程、奨学金情報、証明書の発行手続き、キャンパス施設の案内など、大学生活に関する幅広い質問に対応します。
AIチャットボットは、LINEやWebサイト、学生ポータルなど、学生が普段利用するプラットフォームに統合されており、24時間365日稼働可能です。繰り返し発生する定型的な質問に自動で回答することで、学生は待ち時間なく必要な情報を得ることができ、教職員は複雑な相談や個別対応に集中できる環境が整います。
さらに、チャットボットは多言語対応も可能であり、留学生のサポートにも貢献します。蓄積された問い合わせデータを分析することで、学生のニーズを把握し、サービス改善にも役立てることができます。

大学におけるチャットボット活用事例7選
実際に大学でのチャットボットの活用例を紹介します。
実践女子大学の導入事例:学生満足度向上と業務効率化を実現

実践女子大学では、2021年よりAIを活用した在学生向けのチャットボットの導入を行いました。このチャットボットは、課外活動や就職活動の相談、履修登録や試験日程ついて、証明書等の発行に関することなど、さまざまなお問い合わせに回答します。
チャットボットのキャラクターには、実践女子大学・実践女子大学短期大学部の創立者・下田歌子先生の伝記漫画「きらりうたこ」に登場する「歌子ちゃん」を採用しています。
参考:実践女子大学 「サポートチャットボット」を導入しました!
神田外語大学のLINE活用事例:24時間365日の学生サポート体制を構築

神田外語大学は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う外出自粛要請の影響で、通学ができなくなった学生に向けて、ITツールを活用した様々な支援やサポートを行なっていました。その一環として、SYNALIOのチャットボットを搭載した、在学生向け公式LINEアカウント「KUIS学生サポート」のチャットボットサービスを開始しました。
このアカウントを友達登録することで、学生は大学生活に関する質問に対する回答をLINE上で簡単に確認できます。画面上で選択した内容に応じて、自動的に回答が返信されます。
このサービスにより、授業内容、TOEICやTOEFL、奨学金、証明書の発行方法、サークル活動やボランティア、健康診断やカウンセリングなどについて、大学に足を運べない場合や窓口が閉まっている時間でも、24時間365日対応が可能となります。
参考:神田外語大学 在学生向け LINE公式アカウント「KUIS学生サポート」チャットボット開始のお知らせ
大東文化大学の導入事例:学生の利便性向上と迅速な問題解決を実現

大東文化大学では、学生の利便性向上と大学生活のサポートを目的に、「おしえてパブラン」というチャットボットを導入しています。「パブラン」は、大東文化大学のイメージチャラクターで、ユニークで愛嬌のある「鳥」をモチーフにしています。
このチャットボットは、学生が直面するさまざまな疑問や問題に対して迅速に対応し、大学生活をよりスムーズに進めるための支援を行っています。例えば、履修・成績・試験、学生生活、留学などの相談ができます。
参考:大東文化大学チャットボット(お問い合わせサービス)を導入しました。
駒沢大学のLINE活用事例:窓口業務の8割削減と学生の自己解決を促進

駒沢大学では、LINEを活用した在学生向けFAQチャットボットを提供しています。のチャットボットは、学生からの「履修登録の方法」「試験とは」「成績評価の方法」といった学修に関する質問に対して自動返信で解決を図る取り組みです。
駒澤大学では、窓口への問い合わせの約8割が既に配布された資料やウェブサイト、学生のマイページに記載されている情報についてでした。そこで、学生が自己解決できる仕組みを模索しており、学生の利用率が高いLINEを活用し、Q&A形式でよくある質問に対応するLINE公式アカウントの提供を開始しました。
参考:KANAMETO駒澤大学様:在学生向けLINEチャットボット活用
埼玉大学の導入事例:教職員の負担軽減と業務効率化を実現

埼玉大学は、2022年からチャットボットを導入しました。埼玉大学の学生は、埼玉大学のSUポータルという学生向けWebサービスにある学生専用チャットボットから質問を行うことができます。
埼玉大学のチャットボット導入の目的は、学生サポートの強化と教職員の負担軽減です。繰り返し発生する質問への対応を自動化することで、学生が持つ多岐にわたる質問や不安に対応し、教職員の業務を効率化しています。
主な機能としては、授業のスケジュールや試験日程・履修登録に関する質問への回答、大学内の施設の場所や利用方法・イベント情報などの提供、各種証明書の発行手続きに関する質問などに回答します。
参考:埼玉大学 チャットボット導入のお知らせ
早稲田大学の導入事例:学生満足度向上と教職員の業務効率化を両立

早稲田大学では、学生生活全般をサポートするためにチャットボット「サポエニ chatBot」を導入しました。このチャットボットは、学生が大学生活に関する様々な質問を簡単に解決できるように設計されています。例えば、授業の履修登録方法、試験日程、図書館の利用方法、奨学金情報など、幅広い質問に24時間365日対応します。また、健康診断やカウンセリングの予約、学内イベント情報の提供なども行います。
これにより、学生の利便性が向上し、教職員の業務負担も軽減されています。サポエニは、学生が必要な情報を迅速に得られるようサポートし、快適な大学生活を実現するための重要なツールとなっています。
参考:早稲田大学 Support Anywhere
東北大学の多言語対応事例:国立大学初の中国語・英語対応で留学生支援を強化

東北大学では、2021年にチャットボットを導入しました。このチャットボットは、学生が日常的に抱える質問や疑問に24時間対応できるよう設計されています。具体的には、授業や試験に関する情報提供、履修登録のサポート、奨学金や証明書発行手続きの案内などを行います。また、キャンパス内の施設案内やイベント情報の提供、健康診断やカウンセリングの予約サポートも行います。このチャットボットの導入により、学生は必要な情報を迅速に得ることができ、教職員の負担が軽減されるなど、大学全体の運営効率が向上しています。東北大学のチャットボットは、学生の利便性を高めるための重要なツールとして機能しています。
このチャットボットは、日本語だけでなく、中国語、英語にも対応しており、中国語、英語対応可能なチャットボットの導入は国立大学法人初となっています。
参考:東北大学全学を対象にチャットボットを導入してオンライン手続きをスムーズに-オンライン事務化の推進-
大学が抱えている課題
現代の大学経営は様々な課題や問題点を抱えています。以下では、それらの課題について解説します。
18歳人口の減少による入学者数の減少と競争激化
日本では少子化が進行しており、18歳人口が減少しています。これは大学の入学者数に直接的な影響を与え、大学経営にとって大きな課題となっています。
18歳人口は、1992年をピークに緩やかに減少しており、2025年には1992年の半数程度に落ち込む見込みです。一方大学の志願者数を見ると、2023年度は約64万人で、1992年と比較すると約7割ほどです。18歳人口ほど大学志願者は減っていませんが、今後も緩やかに大学志願者数も減少していくでしょう。
減少する入学者を巡って大学間での競争が激化することが予想されます。大学はより多くの学生を獲得するために、特色ある教育プログラムや充実したキャンパスライフの提供、学生のサポート体制などが求められます。
運営費削減と効率的な予算配分による経費削減の必要性
大学は限られた予算の中で運営されています。特に、国公立大学は、国からの運営交付金の減少に加え、物価高騰や円安によって実質的に予算の減少が続いています。具体的には、2024度の運営費交付金は1兆784億円で、20年前から13%減少しています。
一方、私立大学は、収入の半分以上を学生生徒納付金(授業料や受験料など)からえている場合が多いです。私立大学でも、前述したように18歳人口が減少し、受験生、入学学生が減少すると、大学運営資金の減少につながります。
資金が減少した分、経費を削減し、効率的に予算配分することが持続可能な大学運営のために不可欠となります。事務手続きや学生サポートの一部をデジタル化・自動化することで、人件費の減少につなげることができます。
学生満足度向上のための多様なニーズへの対応と支援体制の強化
現代のが学生は、多様な背景やニーズを持っており、大学にはそれらに対応する柔軟で包括的で支援をすることが求められています。現在、大学では、就職活動やキャリア形成にかかわる相談、学業成績や経済状況に応じた奨学金制度などが行われていますが、それらの情報提供のためのオンラインサポートも強化が必要です。学生がいつでもアクセスできるオンラインサポートを強化し、学習やカウンセリング、キャリア相談などをデジタル化することが出来ます。
大学にチャットボットを導入するメリット
前章で、現在大学が抱えている課題について紹介しましたが、この章では、大学にチャットボットを導入することでどのようなメリットがあるのかを紹介します。
24時間365日対応による学生満足度向上と利便性の向上
チャットボットを導入することで、年中無休で稼働し、昼夜を問わず学生の問い合わせに対応できます。学生は授業やアルバイトの合間など、自分の都合の良い時間に、場所に関係なく質問ができるため、利便性が大幅に向上します。夜間や休日など窓口が閉まっている時間帯でも即時対応が可能となり、緊急時の対応力も向上します。
学生サポートの強化による学生満足度向上と教育の質向上
チャットボットは、履修登録、試験情報、成績確認、奨学金情報、キャンパス施設案内など、幅広い質問に対応します。学生は必要な情報を迅速に得ることができ、学習計画や生活に関する不安を解消できます。特に新入生や留学生にとっては、大学生活にスムーズに適応するための強力なサポートツールとなります。これにより、学生の満足度やエンゲージメントが向上します。
教職員の負担軽減による業務効率化と教育の質向上
チャットボットが繰り返し発生する問い合わせに対応することで、教職員が直接対応する必要がなくなり、お問い合わせ対応の負担が軽減します。
教職員は、より専門的な業務に集中できるようになります。これにより、教職員のストレス軽減と業務効率の向上が期待できます。また、窓口業務の効率化により、対面での対応が必要な重要な問題に対して、より丁寧で時間をかけたサポートが可能となります。
人件費の削減による運営コストの最適化と経費削減
チャットボットがお問合せ対応を行うことで、人件費の節約にもつながります。チャットボットは初期費用とメンテナンス費用がかかりますが、長期的にはコストカットが期待できます。
お問合せデータの活用によるサービス改善と学生満足度向上
チャットボットには、対応したお問い合わせに関するデータが蓄積されます。蓄積される問い合わせデータを分析することで、学生のニーズや問題点を把握できます。
データ分析により、よくある質問や問題点を特定し、大学のウェブサイトやマニュアルの改善、学生向けのガイドラインの充実など、全体的なサポート体制の強化に役立てることができます。また、学生の傾向やニーズに基づいた新しいサービスや支援プログラムの開発にもつながります。これにより、大学運営の質が向上し、学生の満足度がさらに高まります。
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まとめ
AI技術は、大学運営において革新的な変化をもたらしています。学生サポートの強化、業務効率化、コスト削減など、多くの利点がある一方で、システム導入コストやデータ管理といった課題も存在します。
今回ご紹介したように、実践女子大学、神田外語大学、駒沢大学、早稲田大学、東北大学など、日本の多くの大学がAIチャットボットを活用し、履修登録サポート、奨学金情報の提供、証明書発行手続きの案内、24時間365日対応など、多岐にわたる領域で成果を上げています。これらの事例は、AIチャットボットが学生の利便性を高め、教職員の負担を軽減する重要なツールであることを示しています。
今後、AI技術のさらなる進化とともに、大学でのチャットボット活用範囲は拡大し続けるでしょう。18歳人口の減少や予算制約という課題に対応しながら、質の高い教育サービスを提供するために、AIチャットボットは不可欠な存在となります。課題を適切に解決しながらAIを導入することで、学生にとっても教職員にとっても、より便利で効率的な大学環境が実現されることが期待されています。大学運営におけるAI技術の動向に、引き続き注目が集まります。
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