この記事のポイント
- この記事はGitHub Copilotの著作権問題について解説しています。
- GitHub CopilotはAIを活用したプログラミングの開発支援ツールですが、著作権法に違反するリスクがあることを指摘しています。
- ユーザーは生成されたコードの著作権をチェックし、特に商用プロジェクトでは法的問題を避けるための対策が必要です。
- GitHub Copilot for Businessは、組織やビジネス利用における著作権問題に対処する新機能を提供しています。
- GitHub、OpenAI、Microsoftはユーザーが安心してサービスを利用できるよう、対策を進めています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
GitHub Copilotは、OpenAIのAIモデルを活用し、コーディングを支援する革新的なツールです。
開発者の生産性を大幅に向上させる可能性がある一方で、訓練データに使用された公開ソースコードとの類似性から、著作権法上の問題が指摘されています。
そこで本記事では、GitHub Copilotがもたらす著作権問題の概要、ユーザーや企業が取るべき対策、そしてGitHubやMicrosoftの動向について詳しく解説します。
GitHub Copilotの著作権問題とは
GitHub Copilotは、OpenAIのAIモデル、Codexを利用して開発されたコーディングアシスタントです。このツールは、ユーザーがコードを書き始めると、意図を理解してリアルタイムでコード補完や提案を行います。
しかし、GitHub Copilotが生成するコードは、訓練に用いられた公開ソースコードに基づくため、その出力が既存のコードと類似している場合があります。この点が著作権の主要な問題となります。
具体的には、生成されたコードが元のコードの「派生物」と見なされる場合、元のコードのライセンス条件を遵守する必要があります。
このような状況は、使用者が意図せず著作権法を侵害するリスクを高める可能性があります。
Github Copilot利用時に考えうる法的課題
GitHub Copilotの使用に伴う著作権問題には、主に2つの法的課題があります。
派生的作品の問題
AIが自動生成したコードがオリジナルのコードから派生している場合、著作権法に基づき元のコードの著作権者から許諾を得る必要があります。
この問題は、生成されたコードが元のコードと実質的に類似している場合に発生します。類似性の判断は、コードの構造、変数名、コメントなどを総合的に考慮して行われます。
各国の著作権法の違い
多国籍での利用を考慮した場合、各国の著作権法の違いも問題となります。国によって著作権法の規定や解釈が異なるため、あるユーザーにとって合法的な利用であっても、別の国のユーザーにとっては違法となる可能性があります。
これにより、国際的なプロジェクトではさらに複雑な著作権問題が生じる可能性があります。
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Github Copilot利用時の著作権対策とガイドライン
GitHubはCopilotの著作権問題に対処するために、いくつかのガイドラインと対策を提供しています。
一般的な対策とガイドライン
利用者は、生成されたコードが公開可能なライセンス下で使用されているか、確認する責任があります。
特に、商用プロジェクトにCopilotを使用する場合には注意が必要です。事前に法務チームと相談し、著作権違反のリスクを最小限に抑えるための対策を講じることが推奨されます。
Github Copilot for Businessの活用
組織でGitHub Copilotを利用する場合は、Github Copilot for Businessの活用が有効です。
2023年6月にアップデートされたこのサービスでは、組織全体の管理機能としてGitHub上のパブリックコードと一致するコードの提案をブロックできる機能が追加されています。これにより、組織内での著作権問題のリスクを軽減することができます。
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GitHub Copilot関連の訴訟と今後の動向
著作権問題に関連して、2022年11月にGitHub、OpenAI、Microsoftを相手取った集団訴訟が起こされました。
この集団訴訟では、GitHubに保存され、Copilotのトレーニングに使用された原告のOSSの使用、およびCopilotのリアルタイム提案に適切な帰属表示なしにそのソースコードが複製されたことに起因する複数の訴因が主張されています。
今後の対策と予測
このような訴訟を受けて、GitHub、OpenAI、Microsoftは著作権問題のリスクを最小限に抑えるための対策を進めて
います。
前述のGithub Copilot for Businessのように、ユーザーが安心してサービスを利用できるような機能開発や利用規約の改定が行われると予想されます。
まとめ
GitHub Copilotは非常に強力なツールであり、開発の効率を大幅に向上させる可能性を持っています。しかし、その使用には著作権をはじめとする法的な注意が必要です。
本記事で解説したガイドライン等を参考に、リスクを適切に管理しながらCopilotを活用することが、開発者にとって最も賢明な方法でしょう。GitHub Copilotは非常に強力なツールですが、著作権の問題が懸念される場合は、Github Copilotの代替サービスも検討してみてください。