この記事のポイント
Azure PaaSサービスへのアクセスをパブリックインターネットから完全に隔離
「Private Endpoint」を通じて、VNet内のプライベートIPでセキュアに接続
2026年最新の「大規模Private Endpoint」により、数万規模の接続管理にも対応
「Private Resolver」との連携により、オンプレミス環境からの名前解決を簡素化
インターネット経由の攻撃リスクを排除し、厳格なコンプライアンス要件をクリア

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
Azure Private Linkは、AzureのPaaSサービス(SQL DatabaseやStorageなど)へインターネットを経由せずに接続できる、高度なセキュリティネットワークサービスです。仮想ネットワーク(VNet)内のプライベートIPアドレスを使って、あたかも自社サーバーのように安全にアクセスできます。
本記事では、2026年現在の最新仕様やService Endpointとの使い分け、名前解決を担うPrivate Resolverの活用を踏まえ、仕組み、メリット、料金体系を初心者の方にも分かりやすく解説します。
目次
2026年最新:Private EndpointとService Endpointの使い分け
名前解決の強力な相棒:Azure Private Resolver
Azure Private Linkとは
クラウドサービスの多くは、本来インターネット経由でアクセスするように設計されています。しかし、企業の重要データ(顧客情報や機密図面など)を扱う場合、「インターネットに公開されている入り口」があること自体がリスクとなります。
Azure Private Link(アジュール・プライベート・リンク) は、こうしたAzureのPaaSサービスを、あなたの仮想ネットワーク(VNet)内に直接引き込み、プライベートな接続経路を構築するためのサービスです。
2026年現在、ゼロトラスト・アーキテクチャの標準として、重要なデータベースやストレージへの接続にはPrivate Linkの使用が強く推奨されています。
コンセプト:クラウドを「社内LAN」にする
Private Linkを使うことで、以下のことが可能になります。
- 外部露出の遮断: サービスからパブリックIPアドレスを削除し、インターネットからのアクセスを100%拒否できます。
- プライベートIPでのアクセス: サービスに対して、
10.0.0.5といった自社ネットワーク内のIPアドレスを割り当てられます。 - 安全なデータ転送: トラフィックは常にMicrosoftのバックボーンネットワーク内を通り、パブリックな経路には一切出ません。

Azure Private Linkの接続イメージ
公式情報として、最新の対応サービス一覧はMicrosoft Learnから確認できます。
➡️Azure Private Link とは - Microsoft Learn
2026年最新:Private EndpointとService Endpointの使い分け
似たような機能である「Service Endpoint(サービスエンドポイント)」との違いを正しく理解することが、設計の第一歩です。
| 特徴 | Service Endpoint(無料) | Private Endpoint(有料) |
|---|---|---|
| 接続先のIP | パブリックIPのまま(経路のみ固定) | 完全なプライベートIP |
| セキュリティ | サブネット単位でのアクセス制限 | インスタンス単位(特定の1DBのみ等) |
| ネットワーク | インターネットは経由しないが、入り口は公開 | 外部からは入り口すら見えない |
| オンプレ接続 | 不可(VNet内のみ) | 可能(VPN/ExpressRoute経由) |
どちらを選ぶべきか?
- Service Endpoint: 設定が簡単でコストを抑えたい検証環境や、オンプレ接続が不要な小規模システム。
- Private Endpoint: 2026年現在のエンタープライズ標準。最高レベルのセキュリティが必要な本番環境や、ハイブリッドクラウド構成に必須です。
名前解決の強力な相棒:Azure Private Resolver
Private Linkを導入する際、最もエンジニアを悩ませるのが「名前解決(DNS)」です。
- 従来の課題: オンプレミスからAzure上のプライベートIP(Private Link)を呼び出すには、自前でDNSサーバーを立てる必要がありました。
- Private Resolverによる解決: 2026年現在、マネージドサービスの**「Azure DNS Private Resolver」**が普及しています。サーバー管理なしで、オンプレミスとクラウド間の双方向な名前解決をシームレスに行えます。
Azure Private Linkを利用するメリット
ネットワーク担当者やセキュリティ担当者が高く評価する5つのポイントです。
- データ流出(エグレス)の防止
特定のPrivate Endpoint以外への通信を遮断することで、悪意あるユーザーがデータを個人のストレージ等へ持ち出すリスクを封じ込めます。
- グローバル・プライベート接続
東日本リージョンのVNetから、米国にあるデータベースへプライベートに接続(クロスリージョン接続)することも可能です。
- 大規模な接続管理
2026年最新の「大規模Private Endpoint」機能により、単一VNetで最大5,000個という膨大な接続も、パフォーマンスを落とさずに管理可能になりました。
- 独自サービスのPrivate Link化
自社で開発したアプリも「Private Link Service」として登録すれば、他のVNetや他の会社(テナント)へセキュアに提供できます。
- コンプライアンス準拠の容易化
「データは閉域網でのみ扱うこと」といった金融や政府機関の厳しいガイドラインを、容易にクリアできます。
料金体系(2026年最新版)
Private Linkは、エンドポイントの維持費と通過したデータ量に応じた従量課金です。単価の一覧はAzure公式の価格ページ(Azure Private Link の価格 | Microsoft Azure)に掲載されています。
料金体系の構成要素
料金は大きく分けて「Private Endpoint」「データ処理」の2つです。
- Private Endpoint(維持費)
Private Endpointの数に比例して時間課金が発生します。接続先サービスごとに増えやすいため、設計段階での集約方針が重要です。
- データ処理(受信・送信)
Private Endpointを通過したデータ量(GB)に応じて課金されます。通信量が大きいワークロードでは、ここが支配的になります。
価格例(2026年2月時点:Japan Eastリージョン想定)
以下はJapan Eastリージョンの代表的な単価例です。
| 項目 | 単位あたりの価格 | 補足 |
|---|---|---|
| Private Endpoint 維持費 | $0.01 / 時間 | 1個あたり |
| データ処理(受信・送信) | $0.01 / GB | 通過した合計データ量 |
※価格は2026年2月時点、リージョン:Japan East、通貨:USDの参考値です。
大規模環境ではエンドポイント数が増えると維持費が積み上がるため、ハブVNetにエンドポイントを集約し、各拠点から共有する設計が一般的です。あわせて通信量(GB)を置いて見積もると、Private Link導入後のランニングコストを読み違えにくくなります。
運用上の注意点と制限
- DNS設定の重要性: Private Endpointを作成しただけでは通信できません。「Private DNS Zone」を正しく構成し、VNetにリンクさせることが不可欠です。
- アイドルタイムアウト: 通信がない状態が続くと5分(300秒)で切断される仕様があります。長時間の接続を維持するアプリでは、TCP Keep-aliveの設定を見直してください。
- NSGの制約: Private EndpointのIPアドレスに対するNSGルールは、一部の特殊な設定を除き、宛先指定として機能しません(送信元VM側での制限は可能です)。最新のネットワークポリシー設定を確認してください。
参考(公式)
【無料DL】AI業務自動化ガイド(220P)
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まとめ
Azure Private Linkは、クラウドにおける「安心の基盤」を作るための最重要パーツです。
2026年、ネットワークの境界線が完全にクラウドへと移行する中で、Private LinkとPrivate Resolverを使いこなすことは、もはや特別なスキルではなく、インフラエンジニアの必須リテラシーとなりました。パブリックな入り口を閉じ、プライベートな「専用通路」を築くことで、あなたのデータはかつてないほど強固に守られます。
まずは、最も機密性の高いデータベースからPrivate Endpointへの切り替えを検討してみてください。安全なネットワークが、ビジネスの自信へと繋がるはずです。












