この記事のポイント
OpenAIの強力なモデル(GPT-4o, o1等)をAzureの強固なセキュリティ環境で利用可能
入力データはAIの学習に利用されない(オプトアウト手続き不要で標準保証)
日本リージョン(東日本)での提供が拡充され、低遅延かつ国内完結のデータ運用が可能
プライベートエンドポイントやEntra ID連携など、エンタープライズ機能が充実
従量課金(トークン単位)に加え、性能予約(PTU)による安定したスループットを確保

AI導入で企業DXを推進する人| Microsoft AIパートナー|東工大修士(領域:NLP,金融工学)|NHK放送技術研究所(AI,ブロックチェーン)→シンガポールでweb3企業経営→LinkX Japan株式会社代表
Azure OpenAI Serviceは、OpenAI社が開発したChatGPTなどの強力なAIモデルを、Microsoft Azureのセキュアなインフラ上で利用できる企業向けサービスです。
一般向けのChatGPTとは異なり、入力したデータがAIの学習に利用されないことが保証されており、高いセキュリティが求められる法人利用においてデファクトスタンダードとなっています。
本記事では、Azure OpenAI Serviceの最新機能や料金体系、OpenAI版との決定的な違い、そして2026年時点での導入メリットについて詳しく解説します。
GPT-4oやo1といった最新モデルの日本リージョンでの活用状況を知ることで、自社に最適なAI活用のヒントが見つかるはずです。
Azureの基本知識や料金体系、利用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Microsoft Azureとは?できることや各種サービスを徹底解説
Azure OpenAI Service(Azure版ChatGPT)とは
Azure OpenAI Serviceは、Microsoftが提供するクラウドプラットフォーム「Azure」上で、OpenAI社の最新AI技術を利用できるPaaS型サービスです。
よく「Azure版ChatGPT」と呼ばれますが、単なるチャットツールではなく、APIを通じて自社のアプリや業務システムに高度なAI機能を組み込むための開発基盤としての側面が強いのが特徴です。2026年現在、多くの日本企業が情報漏洩リスクを回避しつつ生成AIを導入するための「唯一の選択肢」として採用しています。

以下では、具体的な役割と企業が選ぶ理由を整理します。
企業向けの「データの安全地帯」
OpenAI社が直接提供する一般向けのChatGPTとは異なり、Azure OpenAIに入力したプロンプトや出力結果は、AIの学習に一切利用されません。これは契約上明文化されており、企業は特別な設定をせずとも標準でこの保護を受けられます。
日本リージョン(東日本)の活用
2026年現在、GPT-4oやGPT-4o miniといった主力モデルが東日本リージョン(Japan East)で提供されています。これにより、データが日本国内のサーバーから出ることなく処理されるため、金融機関や自治体など「データの国外移転」を制限している組織でも安心して導入可能です。
Microsoftエコシステムとの統合
Microsoft 365(Teams, Outlook等)や、Azureの他のサービス(SQL Database, Search等)と容易に連携できます。自社データに基づいた高精度な回答を生成する「RAG(検索拡張生成)」の構築において、最も効率的な環境が整っています。
Azure版とOpenAI版(本家)の決定的な違い
「どちらを使えばいいのか」という問いに対し、法人利用の観点から比較表で整理します。
| 比較項目 | Azure OpenAI Service | OpenAI版 (ChatGPT/API) |
|---|---|---|
| データの二次利用 | 一切利用しない(標準) | 設定により利用される場合あり |
| 認証管理 | Microsoft Entra ID(旧Azure AD) | OpenAI独自のID/パスワード |
| ネットワーク | 閉域網接続(Private Link)対応 | インターネット接続のみ |
| 稼働率保証 | 99.9%のSLAあり | 基本的にベストエフォート |
| 支払方法 | Azureの月額請求(円建て可能) | クレジットカード(米ドル建て) |
1. セキュリティ機能の差
Azure版では、特定の拠点からのみアクセスを許可するIP制限や、仮想ネットワーク(VNet)内での通信完結が可能です。サイバー攻撃や不正アクセスのリスクを、企業ネットワークのポリシーに沿って制御できる点が最大の強みです。
2. SLA(稼働率保証)とサポート
ビジネス利用において「止まらないこと」は必須です。Azure版はエンタープライズグレードのSLAを提供しており、万が一の際もMicrosoftの日本語サポートを受けられるため、重要業務への組み込みに適しています。
2026年最新の提供モデルと機能
最新のAIモデルが順次投入されており、用途に合わせて最適なエンジンを選択できます。
主力モデルの提供状況(日本リージョン中心)
- GPT-4o(オムニ)
画像・音声・テキストを統合して処理できる最新フラッグシップモデル。東日本リージョンで「Global-Standard」としても提供され、高いレスポンス性能を誇ります。
- GPT-4o mini
4oの能力を持ちつつ、コストを極限まで抑えた軽量モデル。日常的なチャットや大量のデータ分類に最適です。
- o1 シリーズ
数学やプログラミング、科学的推論に特化した「思考するAI」。複雑なロジックを解く必要があるエンジニアリング業務で威力を発揮します。
強化された「コンテンツフィルタリング」
Azure独自の安全機能として、差別的、暴力的、あるいは不適切な表現をAIが生成しないよう監視するフィルタが標準搭載されています。企業のブランドイメージを損なうリスクを自動で検知・遮断することが可能です。
Azure OpenAI Serviceの料金体系
料金は「使った分だけ」の従量課金が基本ですが、大規模利用向けの予約メニューも存在します。
1. 従量課金(トークン単位)
AIとのやり取りで使われた「文字数(トークン)」に応じて料金が発生します。
- 入力トークン
AIに送った命令(プロンプト)の量。
- 出力トークン
AIが返した回答の量。通常、入力よりも出力の方が単価が高く設定されています。
【目安単価(2026年2月時点)】
- GPT-4o mini: 1,000入力トークンあたり 約 $0.00015
- GPT-4o: 1,000入力トークンあたり 約 $0.005
2. PTU(性能予約)
「Provisioned Throughput Units」の略で、特定のモデルの処理能力を1ヶ月単位などで予約するプランです。
- メリット
アクセスが集中する時間帯でも待ち時間が発生せず、安定した速度を確保できます。
- 対象
全社導入や、顧客向けサービスなど、常に安定した応答が必要な大規模ワークロードに適しています。
※詳細はAzure OpenAI Service 料金(公式)を参照してください。
Azure版ChatGPTの使い方(導入の流れ)
導入は非常にスムーズですが、企業によっては「利用申請」が必要です。
1. 利用申請と承認
生成AIの安全な利用を促進するため、Microsoftへの初回利用申請が必要です。社名や利用目的を記載して申請し、承認されるとリソースを作成できるようになります。
2. Azure OpenAIリソースの作成
Azure Portalから「Azure OpenAI」リソースを作成します。リージョン(Japan East推奨)を指定して作成します。この際、セキュリティ設定でネットワークの制限(Private Endpoint)を検討しましょう。
3. モデルのデプロイ(Azure AI Foundry)
最新の開発コンソールである「Azure AI Foundry(旧AI Studio)」へ移動し、利用したいモデル(例:gpt-4o)を選んでデプロイ(有効化)します。
4. プレイグラウンドでの検証
プログラムを書く前に、ブラウザ上の「チャットプレイグラウンド」でAIの挙動を確認できます。期待通りの回答が得られるか、システムプロンプト(AIの役割設定)を調整しましょう。

まとめ
Azure OpenAI Serviceは、AIの圧倒的な利便性と、企業が求める強固なセキュリティを一つに融合させたサービスです。
- セキュリティ重視なら、迷わずAzure OpenAI Serviceを選択する
- データの国内完結を求めるなら、東日本リージョンを活用する
- まずはGPT-4o miniで低コストに始め、必要に応じてo1等の高度なモデルを使い分ける
2026年のビジネスシーンにおいて、生成AIは「試す」段階から「実業務に組み込む」段階へと移行しています。Microsoftの信頼されたインフラを活用して、安全かつスピーディなAI導入を進めましょう。










