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Agent HQとは?AIエージェントを指揮する新構想を徹底解説

この記事のポイント

  • Agent HQは、多様なAIエージェントを開発ワークフローに統合し、一元管理するためのGitHubの新しいプラットフォーム構想
  • Copilotやサードパーティ製AIエージェントを、司令塔「Mission Control」から横断的に指揮・管理できる
  • VS Codeの新機能「Plan Mode」や設定ファイル「AGENTS.md」により、AIとの対話やカスタマイズが進化
  • AIが生成したコードの品質をレビューする「GitHub Code Quality」など、企業向けの管理・統制機能も提供
  • 追加料金は不要で、既存の有料GitHub Copilotサブスクリプションを通じて順次機能が展開される予定
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


「AIコーディングツールは便利だけど、ツールごとに使い分けるのが面倒…」「複数のAIエージェントを一つの場所で管理できたらいいのに」
そんな開発者の声に応えるべく、GitHubは2025年10月28日、AIエージェントを統合管理する新プラットフォーム構想「Agent HQ」を発表しました。
本記事では、この「Agent HQ」について、その基本概念から具体的な機能、そして開発の未来に与えるインパクトまでを徹底的に解説します。
AIエージェントを束ねる司令塔「Mission Control」、VS Codeの新機能、料金体系、そしてGitHub Copilotとの違いまで詳しくご紹介します。

Agent HQとは?

GitHub Agent HQは、開発者が**「あらゆるAIエージェントを、いつでも、どこでも、連携・指揮(オーケストレーション)できる、単一の統一されたワークフロー」**を実現するための、GitHubの新しいプラットフォーム構想です。

重要なのは、これが単一の「サービス」ではない点です。Agent HQは、AIエージェントとの協業をシームレスにするというGitHubの**「ビジョン」であり、そのビジョンを実現するための「Mission Control」や「Plan Mode」といった具体的な新機能群の総称**を指します。

https://youtu.be/KniyIrpTDE8?si=_Qj_6ZxA6YiGQTlE


この構想は、強力なAIツールが個別に提供され、開発体験が「断片化」しているという現代の課題を解決することを目的としています。

これにより、開発はCopilotという「個」の支援から、様々な専門性を持つエージェント「群」を統率する、より高度なAI活用へと進化します。

オープンなエコシステム:ClaudeやCodexもGitHubで利用可能に

Agent HQ構想の下、タスクに応じて最適なAIエージェントを自由に選択できるようになります。今後数ヶ月のうちに以下の主要なAI企業のコーディングエージェントが、有料のGitHub Copilotサブスクリプションの一部としてGitHub上で利用できるようになります。

  • Anthropic
  • OpenAI
  • Google
  • Cognition
  • xAI


「このリファクタリングは対話に優れたClaudeに任せよう」「この定型コードの生成はCodexにやらせよう」といったように、タスクの特性に応じて最適なAIエージェントを、使い慣れたGitHubのインターフェース内でシームレスに使い分けることが可能になります。


Agent HQを構成する主要機能

Agent HQという壮大な構想は、開発者のワークフローを具体的に変えるための、複数の強力な新機能群によって支えられています。ここでは、ニュース記事で発表された主要な機能を掘り下げて解説します。

Mission Control:AIタスクを集中管理・リアルタイムに指揮

Mission Control (ミッションコントロール)」は、Agent HQ構想を象徴する、統一されたコマンドセンター機能です。

この構想の最初の具体的な実装として、github.com上でのCopilotコーディングエージェントのタスク管理方法が全面的に再設計されました。

単一画面での活動監視

これまで進捗確認や変更点の監視、タスク管理は別々のページに散らばっていました。新しいMission Controlでは、これらが一つの洗練された集中管理ビューに統合されます。

「概要 (Overview)」「変更されたファイル (Files changed)」タブのすぐ隣に**セッションログ (session logs)**が表示され、ページを離れることなくCopilotの思考プロセスと生成コードを同時にレビューできます。
Copilotがコミットを行う際の「なぜそのようにしたか」という理由も、リアルタイムに文脈付きで表示されます。

Mission Controlの利用画面イメージ
Mission Controlの利用画面イメージ (参考:GitHub)

リアルタイム・ステアリング:実行中のエージェントを誘導

Copilotの応答性が向上し、タスクを実行している最中に介入できるようになります。セッションが実行されている間にチャットでフィードバックを送ると、Copilotは現在の処理が完了次第、その指示に適応して動作を修正します。

リアルタイム・ステアリング
リアルタイム・ステアリングの利用イメージ (参考:GitHub)


これにより、フィードバックのあり方も簡略化されます。これまでのようにプルリクエストのコメントで「@copilot」とメンションする必要はなくなります。

チャット入力や、変更されたファイルのビューに直接コメントを追加するだけで、簡単にエージェントを誘導できます。

タスク作成と環境連携の柔軟性

タスクを開始する場所が増え、AIとの作業と手動での作業の切り替えがよりシームレスになります。

  • どこからでもタスク作成:
    既存の方法に加え、「github.com/copilot」のチャット入力やGitHub Mobileのエージェントタスクページからでも、Copilotのタスクを直接作成できるようになりました。
    タスクの直接作成

  • シームレスな作業環境の継続:
    Web UIで開始・実行されたセッションを、ボタン一つで使い慣れた開発環境に引き継げます。

Codespaces、VS Code Insiders、GitHub CLIに対応しており、「AIに大枠を作らせて、細かい調整はローカル環境で行う」といったハイブリッドな働き方がスムーズになります。

シームレスな作業環境の継

ガバナンスとワークフローの効率化

Mission Controlは、単なる監視機能にとどまらず、チーム開発におけるガバナンスと日々の作業効率を向上させるための具体的な機能を提供します。

  • アイデンティティ機能 (Identity features):
    AIエージェントをチームの一員のように扱い、どのエージェントがタスクを構築しているかを明確にします。これにより、開発者と同じようにアクセス権限やセキュリティポリシーを管理できます。

  • ブランチ制御 (New branch controls):
    エージェントが作成したコードに対して、CI(継続的インテグレーション)やその他の品質チェックをいつ実行するかを詳細に制御し、コードの品質を担保します。

  • 作業効率の向上:
    ワンクリックでのマージ競合解決機能や、改善されたファイルナビゲーション、コードコメント機能などが含まれ、日々の細かな作業の摩擦を軽減します。

VS Codeの新機能群:AIとの対話とカスタマイズ

開発者が最も時間を費やすコードエディタ、VS Code内でのAIとの連携が、Agent HQ構想によって大きく進化します。

1.Plan Mode

コーディングを始める前に、Copilotがユーザーに確認質問を投げかけながら、タスクの段階的な実行計画を対話形式で一緒に作成する機能です。

このプロセスを通じて、要件の抜け漏れや設計上の欠陥を、コードを一行も書く前に発見することを目指します。

Plan Modeの利用イメージ
Plan Modeの利用イメージ (参考:GitHub

2.AGENTS.md

リポジトリ内に「AGENTS.md」という設定ファイルを作成し、「このロガーを優先して使用する」「この種のテストはテーブル駆動で行う」といったルールやガードレールを記述できます。

これにより、エージェントの振る舞いをプロジェクトの文化や規約に合わせて、ソースコードと同様にバージョン管理しながら永続的にカスタマイズすることが可能です。

【関連記事】
▶︎AI開発の新常識「agents.md」とは?AIの性能を引き出す書き方を徹底解説

3.GitHub MCP Registry

VS Code内で、Stripe、Figma、Sentryといった外部サービスの機能をCopilotが利用できるようにする「MCPサーバー」を、ワンクリックで発見・インストール・有効化できる新しいレジストリです。

単なるコード生成にとどまらず、外部ツールと連携したより高度なタスクを実行できるようになります。

GitHub MCP Registry
GitHub MCP Registry

【拡張】外部ツールとのインテグレーション

Agent HQはコーディングだけでなく、開発ワークフロー全体をスコープに入れています。そのため、プロジェクト管理ツールなどとの連携も強化されます。

Atlassian JiraやMicrosoft Teamsといった既存の連携に加え、新たにSlackLinearといった、多くの開発チームで利用されているツールとのインテグレーションが発表されました。

外部ツールとのインテグレーション
外部ツールとのインテグレーション (参考:GitHub


例えばSlack上からAIエージェントにタスクを指示したり、Jiraのチケットを基にエージェントが自動でブランチを作成したりといった、よりシームレスなワークフローが実現します。


Agent HQの企業向け(エンタープライズ)の管理・統制機能

Agent HQ構想は、個人開発者だけでなく、チームや企業が安心してAIエージェントを大規模に導入・運用するために不可欠な、セキュリティとガバナンスのための機能群も提供します。

これらは、AI利用における信頼性とコントロールを高めるために設計されています。

GitHub Code Quality:AIによるコード品質の自動レビュー

GitHub Code Quality」は、すべてのプルリクエストをコード品質向上の機会に変えるための新機能で、パブリックプレビューとして利用可能です。

GitHub Code Quality
GitHub Code Quality (参考:GitHub Code Quality in public preview)

プルリクエスト内での具体的なフィードバック

この機能は、コードレビューのプロセスに深く統合されます。

  • 文脈に即した指摘: CodeQLベースの品質ルールが、Java, C#, Python, JavaScript, Go, Rubyのコードにおける保守性や信頼性の問題を検出し、プルリクエスト内に直接表示します。

  • ワンクリックでのCopilot修正: 指摘された問題に対して、Copilotが提案する修正案をワンクリックで適用できます。

  • 品質スコアによる進捗追跡: リポジトリごとに信頼性と保守性のスコアが表示され、技術的負債の修正を計画的に進めるための指標となります。


この機能はGitHub Enterprise CloudとTeamプランでプレビュー期間中は無料で利用できますが、スキャンにはGitHub Actionsの実行時間が発生します。

Copilot Metrics Dashboard:AIの利用状況と影響の可視化

「AIを導入しているか?」から「AIをどれだけうまく活用できているか?」という問いに、データで答えるためのダッシュボードとAPIが、GitHub Enterprise向けにパブリックプレビューとして提供されます。

Copilot Metrics Dashboard
Copilot Metrics Dashboard (参考:Copilot usage metrics dashboard and API in public preview)

組織全体のAI利用状況を把握

企業の管理者や請求管理者は、「Insights」タブからCopilotの利用状況と組織への浸透度を直接確認できます。このダッシュボードでは、以下のような指標が提供されます。

  • 日次・週次のアクティブユーザー数:
    IDEでのCopilot利用状況(エージェントモードを含む)を把握できます。

  • エージェントの採用率:
    高度なタスク(リファクタリング、デバッグ等)にエージェントを活用している開発者の割合を追跡します。

  • コード増減行数と利用言語:
    チームがどの言語で、どの程度Copilotを活用しているかを分析できます。


これらの指標により、組織はCopilot導入の効果を定量的に測定し、さらなる活用を促進するためのインサイトを得ることができます。

Control Plane:AIエージェントの利用権限とポリシーの一元管理

Control Plane (コントロールプレーン)」は、企業の管理者向けに提供される、AIシステムのための一元的なガバナンス層です。これにより、ビジネスの安全性を確保しながら、チームのAI活用を推進できます。

Control Plane
Control Plane (参考:[Enterprise AI controls & the agent control plane are in public preview])(https://github.blog/changelog/2025-10-28-enterprise-ai-controls-the-agent-control-plane-are-in-public-preview/?utm_source=blog-day1-recap-control-plane-cta&utm_medium=blog&utm_campaign=universe25))

AIコントロールの統合ビューとエージェント管理

コントロールプレーンは、AIに関する全ての管理タスクを集約した、トップレベルのナビゲーションを提供します。将来的に数千に増える可能性のあるAIエージェント群を、ここから一元的に運用・管理します。

カスタムエージェントの標準化

企業内で標準となるカスタムエージェントの利用を促進し、統制するための機能です。

  • 特定のOrganizationを、企業標準のカスタムエージェントをホストする場所に指定できます。

  • プッシュルールを適用し、カスタムエージェントの定義ファイル(.github/agents/*.md)が意図せず編集されることを防ぎます。

エージェント活動の監視と監査

「エージェントが実際に何をしているのか?」という問いに答えるため、監視と監査の機能が強化されます。

  • エージェントセッションのアクティビティ:
    過去24時間の全エージェントセッションを一覧表示し、エージェントの種類やタスクの状態(完了、キャンセル、進行中など)でフィルタリングできます。

  • 監査ログの強化:
    監査ログに新しいフィールドが追加され、「誰がエージェントを操作し(user_id)、その操作がエージェントによるものか(actor_is_agent)」を明確に識別できるようになります。


将来的には、AI管理業務を特定のチームに委任するための、より詳細な権限設定(FGP)も追加される予定です。


Agent HQの料金と提供時期

Agent HQ構想の下で提供される機能群は、追加料金なしで、既存の有料版GitHub Copilotサブスクリプション(Pro, Business, Enterprise)を通じて提供される予定です。

ただし、機能によって利用できるプランや提供状況が異なります。

【関連記事】
▶︎Github Copilotの料金プラン一覧!個人・法人プランの違いと選び方を解説

各機能の提供状況と対象プラン

2025年10月28日の発表時点で、機能の提供状況は大きく3つに分類されます。

1. 中核機能 (Mission Control, Plan Modeなど)

Mission Controlの新しいUIや、VS CodeのPlan Mode、AGENTS.mdといった中核的な機能は、プランを問わず、有料のCopilotサブスクリプションを持つすべてのユーザーが対象となる見込みです。

ただし、最初のパートナーエージェントであるOpenAI Codexの利用のみ、Copilot Pro+ユーザーを対象とした先行プレビューとして提供が開始されています。他のパートナーエージェント(Anthropic, Googleなど)は、今後数ヶ月をかけて順次展開される予定です。

2. 企業向け統制機能 (パブリックプレビュー)

チームでの利用やガバナンスを目的とした以下の機能は、より上位のプランを対象としています。

  • GitHub Code Quality:
    • 対象プラン: GitHub Enterprise Cloud, GitHub Team
    • 料金: プレビュー期間中は無料で利用できます。ただし、コードスキャンにはGitHub Actionsの実行時間(Actions minutes)が発生し、プランに応じた料金がかかる可能性があります。

  • Copilot Metrics Dashboard & Control Plane:
    • 対象プラン: GitHub Enterprise Cloud
    • 料金: Copilotを利用している場合、追加料金なしで利用できます。

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まとめ

本記事では、GitHubが発表したプラットフォーム構想「Agent HQ」について、その概要から具体的な機能、そして開発の未来に与えるインパクトまでを解説しました。

Agent HQは特定のサービスではなく、AI開発の未来を示すビジョンです。最後に、その核心的な価値をまとめます。

  • 構想の核心: Agent HQは、断片化したAIツールを一つの司令塔に統合し、開発者が最適なエージェントを自由に選択できる未来を目指す**「ビジョン」**である。
  • 主な機能群: Mission Controlによるタスクの一元管理、Plan Modeによる計画的な開発、Control Planeによる企業統制など、ビジョンを実現するための具体的な機能を提供する。
  • 提供形態: 追加料金は不要で、既存の有料Copilotサブスクリプションの一部として、今後順次機能が展開される。
  • 開発者への価値: ツール間の摩擦をなくし、より本質的な開発作業に集中できる、統合されたワークフローを実現する。

Agent HQは、AIを開発の現実に即した形で深く統合するための重要な一歩です。この構想が完全に実現したとき、私たちのソフトウェア開発のあり方は大きく変わっているかもしれません。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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