この記事のポイント
ChatGPTのパーソナライゼーション機能には、カスタム指示、メモリ、Pulseの3つの主要機能がある
カスタム指示では、すべての会話に適用される固定的な指示を設定でき、毎回同じ指示を繰り返す手間を省ける
メモリ機能は、過去の会話から重要な情報を記憶し、文脈を理解した継続的な対話を可能にする
Pulse機能は、設定したトピックに関する情報を自動収集し、定期的にサマリーを提供する新機能
プライバシー設定により、一時的なチャットやメモリの無効化が可能で、機密情報の扱いも安心

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
ChatGPTをより便利に、より効率的に使うには、パーソナライゼーション機能の活用が欠かせません。
OpenAIは、カスタム指示、メモリ機能、そして最新のPulseなど、あなた専用のAIアシスタントにカスタマイズできる複数の機能を提供しています。
本記事では、ChatGPTのパーソナライゼーション機能の全体像から、各機能の設定方法、実践的な活用事例まで包括的に解説します。
特に、「カスタム指示で毎回の指定を省略する方法」「メモリ機能で継続的な会話を実現する方法」「Pulseで効率的に情報を収集する方法」に焦点を当てていきます。
パーソナライゼーション機能を使いこなし、ChatGPTをあなたの最高のパートナーにしましょう。
2025年12月12日に発表された最新モデル、「GPT-5.2(ChatGPT 5.2)」については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎GPT-5.2(ChatGPT 5.2)とは?その性能や使い方、料金体系を徹底解説!
ChatGPTのパーソナライゼーション機能とは
ChatGPTを使っていて、「毎回同じことを説明するのが面倒だな」「前に話したことを覚えていてくれたらいいのに」と感じたことはありませんか?
ChatGPTのパーソナライゼーション機能は、まさにそんな悩みを解決してくれる機能です。あなた専用のAIアシスタントにカスタマイズすることで、一般的なChatGPTではなく、あなたの好み、働き方、関心事に合わせた最適な回答を提供してくれるようになります。
例えば、プログラマーの方なら「コードには必ずコメントを付けて」と毎回言わなくても、自動的にコメント付きのコードを提供してくれます。学生の方なら「専門用語は分かりやすく説明して」と設定すれば、難しい言葉が出てきても必ず解説してくれるようになります。
パーソナライゼーション機能は3つ
主なパーソナライゼーション機能は以下の3つです。
1. カスタム指示(Custom Instructions)
「毎回これは守ってほしい」というルールを設定する機能です。
例えば、「丁寧語で話してください」「コードはTypeScriptで書いてください」など、すべての会話に適用される固定的な指示を設定できます。一度設定すれば、新しいチャットを始めても自動的に適用されるので、毎回同じお願いを繰り返す必要がなくなります。
関連記事:ChatGPTのカスタム指示とは?設定方法やすぐに使えるプロンプト紹介
2. メモリ(Memory)
ChatGPTがあなたのことを覚えてくれる機能です。
過去の会話から「この人はReactを使っている」「プロジェクトで○○を開発中」「簡潔な説明を好む」などの情報を自動的に記憶します。まるで長年の友人のように、あなたの状況や好みを理解した上で回答してくれるようになります。
関連記事:ChatGPTのメモリ機能「Memory」、会話を忘れる原因は、使い方や実際の応答を紹介!
3. Pulse(パルス)
あなたが興味のある情報を自動で集めてくれる機能です。
「AI業界の最新ニュース」「React関連の新しい技術」など、特定のトピックを設定すると、ChatGPTが自動的にウェブから情報を収集し、定期的に要約して教えてくれます。毎日自分で検索する手間が省けて、大幅な時間節約になります。
関連記事:ChatGPT Pulseとは?主な特徴や使い方、料金体系を徹底解説!
どう便利になるの?
これらの機能を組み合わせることで、ChatGPTは単なる質問応答ツールから、あなたのことを理解し、継続的にサポートしてくれる専属アシスタントへと進化します。
例えば、こんな使い方ができます:
-
開発者の場合:「TypeScriptでコードを書いて」と毎回言わなくても、自動的にTypeScriptのコードが返ってくる。進行中のプロジェクトの技術スタックも覚えているので、それに合わせた提案をしてくれる。
-
学生の場合:「機械学習を勉強中」ということを覚えていて、専門用語は必ず解説してくれる。過去に学んだ内容を踏まえて、次のステップを提案してくれる。
-
ビジネスパーソンの場合:「簡潔に要点だけ」という好みを覚えていて、長々とした説明ではなく、ポイントを絞った回答をくれる。業界の最新動向も自動で集めて教えてくれる。
カスタム指示(Custom Instructions)
カスタム指示とは?初心者にも分かりやすく解説
カスタム指示は、すべての会話に自動的に適用される指示を設定できる機能です。言い換えれば、「ChatGPTに対する自分専用のマニュアル」を作るイメージです。
どんな時に便利?
例えば、プログラミングを学んでいる学生の場合を考えてみましょう。
カスタム指示を設定しない場合:
- チャット1:「Pythonでリストを作る方法を教えて。初心者なので、分かりやすく説明してね。」
- チャット2:「for文の使い方を教えて。初心者向けに、一つずつ説明してね。」
- チャット3:「関数の作り方を教えて。専門用語は避けて、簡単な言葉で説明してね。」
毎回、太字の部分を繰り返し入力しなければなりません。面倒ですよね。
カスタム指示を設定した場合:
カスタム指示に「私はプログラミング初心者です。専門用語は避けて、簡単な言葉で一つずつ丁寧に説明してください」と設定しておけば、
- チャット1:「Pythonでリストを作る方法を教えて」
- チャット2:「for文の使い方を教えて」
- チャット3:「関数の作り方を教えて」
これだけでOK!自動的に初心者向けの丁寧な説明をしてくれます。
カスタム指示の設定方法(画面を見ながら一緒に設定しましょう)
設定は簡単です。5分もあれば完了します。一緒に進めていきましょう。
ステップ1:設定画面を開く
まず、ChatGPTの設定画面を開きます。
- **ChatGPTの画面左下を見てください。**あなたのプロフィールアイコン(丸い画像またはイニシャル)があるはずです。そこをクリックします。
- メニューが出てくるので、**「パーソナライズ」**を選択します。

パーソナライズの選択
- 「カスタムを有効にする」 という項目が見つかるので、そこをクリックします。
これで設定画面が開きました!

カスタマイズ画面
ChatGPTの性格を設定する
ここでは、ChatGPTがどのようなトーンやスタイルで応答するかを選びます。
たとえば、次のような性格タイプが用意されています。
| 性格タイプ | 説明 |
|---|---|
| デフォルト | 通常のChatGPT。バランスの取れた応答スタイル。 |
| おしゃべり | カジュアルで親しみやすい会話調。 |
| 機知に富む | ユーモアや軽妙な表現を交えた回答。 |
| 率直 | ストレートで無駄のない言い回し。 |
| 励まし | ポジティブでモチベーションを高めるトーン。 |
| Z世代 | 現代的なスラングやテンポ感を重視した若者向けの話し方。 |
必要に応じて、「カスタム指示」でさらに細かい動作やトーンを指定することもできます。
ChatGPTの呼び方を設定する(ニックネーム)
[ニックネーム] 項目では、ChatGPTがあなたをどのように呼ぶかを指定できます。
たとえば、「あなた」「先生」「リーダー」など、好きな呼び方を設定可能です。
ビジネス用途では「担当者さま」や「○○チーム」などでもOKです。
職業を設定する
ChatGPTがより適切な文脈で回答できるように、あなたの職業を設定します。
たとえば「インテリアデザイナー」「エンジニア」「学生」など。
この情報をもとに、業種や専門知識に即した提案が行われるようになります。
あなたについての詳細
「あなたについての詳細」では、ChatGPTが理解しておくと便利な基本情報を記入します。
以下のような内容を簡潔に書くのがおすすめです。
- 趣味や関心分野(例:建築、旅行、AIなど)
- 大切にしている価値観(例:デザイン性・効率・誠実さなど)
- よく話題にするテーマ(例:マーケティング戦略、キャリア相談など)
これらはすべてChatGPTが応答を調整する参考情報として使われます。個人情報を入力する必要はありません。
✅ 設定の保存と確認
- 各項目を入力・選択
- 「保存」をクリック
- 新しいチャットを開始し、設定が反映されているか確認
これで、あなた専用のChatGPTが完成です。
以後の会話では、設定したスタイルやトーンに沿ってChatGPTが応答してくれます。
カスタム指示のベストプラクティス
-
具体的に記述する
- 曖昧な表現ではなく、明確な指示を
- 例:「簡潔に」より「200文字以内で」
-
定期的に更新する
- スキルアップや関心事の変化に応じて更新
- 不要になった指示は削除
-
用途別に使い分ける
- 必要に応じて、一時的に無効化できます
- 特定のタスクでは、チャット内で上書き指示も可能
-
プライバシーを考慮する
- 機密情報や個人情報は記載しない
- 必要最小限の情報のみを設定
メモリ機能(Memory)
メモリ機能とは?友達のように覚えてくれる機能
メモリ機能は、ChatGPTが過去の会話から重要な情報を自動的に記憶する機能です。まるで長年の友人のように、あなたのことを覚えていてくれます。
具体例で理解しよう
例えば、あなたがこんな会話をしたとします:
1週間前の会話:
あなた:「私、今度の休みに友達と京都旅行に行くんです!」
ChatGPT:「いいですね!京都のおすすめスポットをいくつか紹介しましょうか?」
今日の会話:
あなた:「京都旅行、すごく楽しかったです!」
ChatGPT:「よかったですね!先週話していた京都旅行ですね。どんなところに行かれましたか?」
ChatGPTは、1週間前の「京都旅行に行く」という情報を覚えていて、今日の会話で自然につなげてくれます。これがメモリ機能です。
カスタム指示との違いは?
少し混乱するかもしれないので、違いを分かりやすく説明します:
-
カスタム指示:あなたが「これは覚えておいて!」と明示的に設定する情報(マニュアルのようなもの)
- 例:「私はプログラミング初心者です。専門用語は避けてください」
-
メモリ:ChatGPTが会話の中から「これは覚えておいた方がいいな」と自動的に学習する情報(友達が覚えてくれるイメージ)
- 例:会話の中で「Reactを勉強中」と言ったら、自動的に覚えてくれる
つまり、カスタム指示は「ルール」、メモリは「経験」と考えると分かりやすいですね。
メモリ機能の動作
自動記憶
ChatGPTは、会話の中から以下のような情報を自動的に記憶します:
- 個人情報:名前、職業、興味関心、家族構成など
- 好み:文章のトーン、コードのスタイル、説明の詳しさなど
- プロジェクト:進行中のプロジェクト、タスク、目標など
- ツール・技術:よく使うプログラミング言語、フレームワーク、ツールなど
記憶例
会話1(1週間前):
ユーザー:「私はReactとTypeScriptでSaaSアプリを開発しています。」
ChatGPT:(この情報を記憶)
会話2(今日):
ユーザー:「ユーザー認証を実装したいです。」
ChatGPT:「ReactとTypeScriptで使用できるユーザー認証ライブラリをいくつか紹介します...」
メモリのおかげで、毎回「ReactとTypeScriptを使っています」と伝える必要がなくなります。
メモリ機能の設定方法
メモリの有効化
- ChatGPTの画面右上のプロフィールアイコンをクリック
- 「設定」 を選択
- 「パーソナライゼーション」 セクションを開く
- 「メモリ」 トグルをオンにする
メモリ・履歴・検索の設定
ChatGPTのカスタマイズでは、どこまでChatGPTに「覚えさせる」か も選択できます。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 管理する/保存されたメモリを参照する | ChatGPTがユーザーの情報を記憶・活用できるようにします。 |
| チャット履歴を参照する | 過去の会話内容をもとに、より一貫性のある応答を生成します。 |
| 記録履歴を参照する | 以前の文字起こしやメモをもとにした回答が可能になります。 |
メモリの確認と管理

メモリの設定
設定画面から、ChatGPTが記憶している内容を確認・編集できます:
- 「メモリを管理」 をクリック
- 記憶されている情報のリストが表示されます
- 不要な記憶は個別に削除可能
- 「すべてのメモリをクリア」 で全削除も可能
特定の情報を記憶させる
会話中に明示的に記憶を依頼できます:
ユーザー:「私の好きなプログラミング言語はRustです。これを覚えておいてください。」
ChatGPT:「分かりました。あなたの好きなプログラミング言語がRustであることを記憶しました。」
特定の情報を忘れさせる
ユーザー:「以前話した○○プロジェクトのことは忘れてください。」
ChatGPT:「分かりました。○○プロジェクトに関する記憶を削除しました。」
メモリ機能の活用例
プロジェクト管理
会話例:
ユーザー:「新しいECサイトのプロジェクトを始めます。Next.js、Prisma、PostgreSQLを使います。」
ChatGPT:(プロジェクト情報を記憶)
[数日後]
ユーザー:「商品一覧ページのコンポーネントを作りたいです。」
ChatGPT:「Next.jsでの商品一覧ページコンポーネントの実装例を示します。Prismaでデータ取得を行い...」
継続的な学習サポート
会話例:
ユーザー:「機械学習を勉強しています。初心者です。」
ChatGPT:(学習状況を記憶)
[1週間後]
ユーザー:「線形回帰について教えてください。」
ChatGPT:「機械学習初心者向けに、線形回帰を分かりやすく説明します...」
ライティングスタイルの学習
会話例:
ユーザー:「私のブログは、カジュアルで親しみやすいトーンで書いています。」
ChatGPT:(ライティングスタイルを記憶)
[後日]
ユーザー:「新しいブログ記事の下書きを手伝ってください。」
ChatGPT:「了解です!親しみやすいトーンで記事を書きますね...」
プライバシーとメモリ
一時的なチャット
メモリを使いたくない場合は、一時的なチャットを使用できます:
- 新しいチャットを開始
- チャットの右上にある**「...」**メニューをクリック
- **「一時的なチャット」**を選択
一時的なチャットでは:
- メモリに記憶されない
- チャット履歴に残らない
- トレーニングデータに使用されない
メモリの無効化
メモリ機能自体を無効にすることも可能:
- 設定 → パーソナライゼーション
- 「メモリ」 トグルをオフにする
無効化すると:
- 新しい情報は記憶されない
- 既存の記憶は保持されるが使用されない
- 再度有効化すると、既存の記憶が再び使用される
Pulse機能
Pulseとは(スケジュール)
Pulse(パルス)は、設定したトピックに関する情報を自動収集し、定期的にサマリーを提供する新機能です。ニュース、研究論文、トレンド、特定の分野の最新情報などを効率的に追跡できます。
主な特徴:
- 自動情報収集:設定したトピックに関する最新情報をウェブから収集
- 定期サマリー:毎日、毎週など、指定した頻度でサマリーを提供
- カスタマイズ可能:トピック、情報源、頻度を細かく設定
- 時間節約:手動で検索する手間を大幅に削減
Pulseの設定方法
ステップ1:Pulseにアクセス
- ChatGPTの会話画面からスケジュールを選択

スケジュールの選択
よくある質問(FAQ)
カスタム指示とメモリの違いは?
- カスタム指示:あなたが明示的に設定する固定的な指示。すべての会話に適用
- メモリ:ChatGPTが会話から自動的に学習する動的な情報。文脈に応じて使用
メモリをオフにしても、既存の記憶は残りますか?
はい、残ります。メモリをオフにすると:
- 新しい情報は記憶されない
- 既存の記憶は保持されるが使用されない
- 再度オンにすると、既存の記憶が再び使用される
カスタム指示は何文字まで設定できますか?
各入力欄(「知っておいてほしいこと」と「応答してほしい方法」)に最大1500文字まで入力できます。
メモリの容量制限はありますか?
明確な上限は公開されていませんが、重要な情報のみを記憶する設計になっています。古い情報や重要度の低い情報は自動的に削除される可能性があります。
Pulseの情報源を完全に制御できますか?
現時点では、優先する情報源を指定できますが、完全に制限することはできません。ChatGPTは指定された情報源を優先しつつ、他の信頼できる情報源も参照します。
一時的なチャットでもPulseは使えますか?
はい、使えます。Pulseは一時的なチャットとは独立した機能です。ただし、一時的なチャットでの質問はメモリに記憶されません。
まとめ
ChatGPTのパーソナライゼーション機能は、AIアシスタントをあなた専用にカスタマイズするための強力なツールです。
カスタム指示
すべての会話に適用される固定的な指示を設定し、毎回同じ指示を繰り返す手間を省きます。職業、スキル、好みに応じた一貫した回答を得られます。
メモリ
過去の会話から重要な情報を自動的に記憶し、文脈を理解した継続的な対話を実現します。プロジェクト、好み、習慣を学習し、より的確な提案が得られます。
Pulse
設定したトピックに関する情報を自動収集し、定期的にサマリーを提供します。技術トレンド、業界ニュース、研究論文などを効率的に追跡できます。
3つの機能を組み合わせる
カスタム指示、メモリ、Pulseを組み合わせることで、ChatGPTは単なる質問応答ツールから、あなたのことを理解し、最新情報をもとに継続的にサポートしてくれるパートナーへと進化します。
プライバシーとセキュリティ
一時的なチャット、メモリの無効化、データのエクスポート・削除など、プライバシー保護の機能も充実しています。ビジネス利用の際は、Business・Enterpriseプランの検討も推奨されます。
パーソナライゼーション機能を使いこなし、ChatGPTをあなたの業務、学習、創造活動の最高のパートナーにしましょう。










