この記事のポイント
Diaは、The Browser Companyが開発した、AIとの共同作業を中心に設計された次世代Webブラウザ
チャット、ライティング、コードの主要AIスキルと、@メンションによる複数タブの横断分析が可能
よく使うプロンプトを「カスタムスキル」として保存・共有でき、作業を効率化
使うほどにユーザーを学習するパーソナルAIを搭載し、現在は無料で利用可能
競合のGenspark(自動化)やPerplexity Comet(回答精度)とは異なり、ユーザー主導の「共同作業」体験を重視

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入DX推進を支援。
「Webリサーチをもっと効率的にしたい」「開いているタブの情報をAIにまとめてほしい」と感じていませんか?
その願いを叶える、AIを「共同作業者」として位置づけた次世代ブラウザがThe Browser Companyから登場しました。それが「Dia」です。
本記事では、この革新的なAIブラウザ「Dia」について、その全貌を徹底的に解説します。
DiaのAIスキル、マルチタブ分析、カスタムスキル機能、使い方、そしてGensparkやPerplexity Cometといった他のAIブラウザとの違いまで、詳しくご紹介します。
AIブラウザ「Dia」とは?
Diaは、The Browser Companyが開発した、AIとの対話を中心に設計された次世代のWebブラウザです。従来のブラウザがWebページを「表示」するためのツールであったのに対し、DiaはAIを「共同作業者」として位置づけ、ユーザーの情報収集、整理、創造といった知的作業を能動的にサポートすることを目指しています。
GoogleのChromiumをベースに開発されており、Chromeの使い慣れたインターフェースや拡張機能エコシステムとの互換性を保ちながら、AIによる高度な機能を提供します。これは、長らくWebブラウザのスタンダードであったChromeとは異なる、新しいブラウジング体験の方向性を示すものと言えるでしょう。
「Dia」の革新的なAI機能
「Dia」の最大の特徴は、その高度なAI機能がブラウザのあらゆる側面に深く統合されている点にあります。単なるアドオンではなく、AIがあなたのWeb体験をパーソナライズし、効率を最大化する「共同作業者」として機能します。
ここでは、Diaが提供する主要なAI機能と、それらを効果的に活用するためのヒントを紹介します。
主なAIスキル(チャット、ライティング、コード)でできること
DiaのAI機能は、「チャット」「ライティング」「コード」という3つの主要なスキルで構成されており、それぞれがブラウジング中の様々なタスクを支援します。
- チャット: 一般的な質問応答、Webページの要約、特定情報の検索、翻訳などが可能です。Webページと直接対話するように情報を引き出す感覚で利用できます。
- ライティング: メール作成、SNS投稿文の生成、記事のアイデア出し、既存テキストの校正・言い換えなど、あらゆる文章作成を支援します。
- コード: プログラミング言語に関する質問、コードスニペットの生成、デバッグ、既存コードの解説など、開発者の作業をサポートします。 [1, 6]
すべての操作の起点「チャットバー」と「@メンション」機能
Diaのインターフェースには、あらゆる操作の起点となる「チャットバー」が用意されています。このバーからAIに直接指示を出したりWeb検索が可能です。

さらに特筆すべきは「@メンション」機能です。これにより、開いている特定のタブの内容や、場合によっては現在開いている全てのタブの内容をAIにまとめて把握させ、それに基づいて質問や指示を出すことが可能です。
例えば、「@現在のタブでこの商品の特徴を3点要約して」や、「@全てのタブから最も良い旅行先を提案して」といった具体的な指示をすることで、複数のタブを行き来したり、情報をコピー&ペーストしたりする手間を削減できます。

複数タブを横断する「マルチタブAI分析」
DiaのAIは、ユーザーが現在開いている複数のタブの内容を同時に認識・分析する能力を備えています。これにより、例えば複数のECサイトで同じ商品の価格やレビューを比較したり、複数の記事を横断してあるテーマに関する情報を統合したりといった複雑な作業を、AIが一括で行うことができます。これは、従来のブラウザでは難しかった、情報収集における効率化の一例です。
「スキル」で広がる可能性:カスタムスキルと共有ギャラリー
Diaの最大の魅力の一つは、ユーザーが独自のAIスキルを作成・保存できる「カスタムスキル」機能です。
よく使うプロンプトや特定の作業フローをカスタムスキルとして定義することで、次からは「/」コマンド一つで呼び出すことが可能になります。

カスタムスキル機能
また、ユーザーが作成したカスタムスキルを共有できるギャラリーページが公開されており、他のユーザーによる優れたスキルの活用例を参考にして、自分のDia環境に取り入れることが可能です。
この機能を活用することで、AIブラウザをより効果的に使いこなせるようになるでしょう。

使うほど賢くなる「パーソナルAI」
Diaは、単にAI機能を提供するだけでなく、使うほどにユーザーのブラウジング履歴(オプトインの場合、最大7日間)や操作パターンを学習し、応答をパーソナライズする「パーソナルAI」としての側面も持っています。
これにより、ユーザーの好みや頻繁に利用する情報源、作業スタイルを理解し、より的確で個別化されたアシスタントとなることを目指しています。
「Dia」の料金体系
現在ベータ版のDiaは、GPT-4.1などの高性能AIモデルを搭載しながら、全機能が無料で利用できます。しかし、The Browser Companyは将来的にプレミアムプランの導入を検討していることを示唆しています。
詳細な料金プランや時期は未定ですが、より高度なAIモデルの利用や利用回数制限の緩和などが特典となる可能性が考えられます。
Diaの使い方
「Dia」を実際に使ってみたいと考えている方のために、導入方法から現在の料金体系、そして安心して利用するためのサポート体制まで、実用的な情報を詳しく解説します。ベータ版の利用状況や将来の展望についても触れるので、ぜひ参考にしてください。
Dia動作環境
2025年7月現在、macOS 14以降を搭載したApple SiliconベースのMac(M1以降)で利用可能です。Windows版も開発中であることが示唆されていますが、正式なリリース時期は未定です。
インストールと初回セットアップ
- Diaの公式サイトからインストーラーをダウンロードします。

2. 通常のアプリケーションと同様にインストールします。

3. インストールが完了したら、アカウントの登録が必要です。右下の「Sign up」をクリックします。

4. 次のような画面が表示されるので、メールアドレスとパスワードを設定し、プライバシーポリシーの欄にチェックを入れます。
その後、Sing upを選択します。

5. 入力したメールアドレスに認証コードが届くので、画面の「code」欄に入力し、「Confirm」を選択します。

6. 次に、これまで利用していたブラウザ(Chrome, Edge, Arc, Brave, Operaなど)から、ブックマーク、履歴、パスワードといったデータをインポートするかを選択します。
これにより、ゼロから設定する手間なく、使い慣れた環境をDiaに引き継ぐことができます。


7. 主要なデータのインポート後、これまで使っていた拡張機能を選択してインポートできます。必要なものをチェックして、作業環境を再現しましょう。(画像はChromeの場合)

8. ブラウザのアクセントカラーを選択します。複数のカラーパレットから好きな色を選び、インターフェースを自分好みにカスタマイズ可能です。

9. Diaの核となるAIのパーソナライズ設定です。AIの応答のトーン、文章の書き方の好み、コードに関する質問への回答方法、そしてあなた自身の学習スタイルなどをAIに「教える」ことができます。これにより、Diaはよりあなたに最適化されたアシスタントへと成長します。

10. プライバシーに関する設定を行います。「Block third-party ads and trackers(サードパーティの広告とトラッカーをブロックする)」と「Help improve Dia by sharing content data(コンテンツデータを共有してDiaの改善に協力する)」の2つのオプションがあります。
後者を選択した場合でも、共有されるデータが個人アカウントに紐付けられることはなく、30日後に削除されると明記されています。

11. 最後に、Diaをメインのブラウザとして使用するかどうかを尋ねられます。「Yes, make Dia my default!(はい、Diaをデフォルトにする)」、「Maybe, try as default for a week.(お試しで1週間デフォルトにする)」、「No, I'm still exploring my options.(いいえ、まだ検討中です)」の3つから選択できます。

12. これで初期設定は完了です。スタート画面はデフォルトでAIチャットのUIになっていますが、通常のブラウザのように利用可能です。

Diaは他と何が違う?主要AIブラウザとの徹底比較
※リード文:現在、AI機能を搭載したWebブラウザは「Dia」以外にも複数登場しており、それぞれ異なる特徴を持っています。
特に、情報収集と要約に特化した「Genspark」、高精度な会話型検索をブラウザ化した「Perplexity Comet」は注目の存在です。
ここでは、「Dia」がこれらの競合とどのように異なり、どのような点で優位性を持っているのかを、思想や得意分野から比較・解説します。
Dia vs Genspark vs Perplexity Comet:思想と機能の比較
これら3つのブラウザは、AIとの関わり方において根本的な思想が異なります。Diaが「ユーザーとの共同作業」を重視するのに対し、Gensparkは「AIによる自動化」、Perplexity Cometは「信頼性の高い回答の提供」に特化しています。
| 比較項目 | Dia | Genspark AI Browser | Perplexity Comet |
|---|---|---|---|
| コンセプト/思想 | AIとの共同作業者。ブラウジング体験全体にAIを統合。 | AIによる情報収集エージェント。検索と情報整理を自動化。 | 会話型回答エンジンのブラウザ版。情報の正確性と出典を重視。 |
| 情報の扱い方 | ユーザーが開いているタブや指示を元にAIが動作。(ユーザー主導) | クエリに対しAIがWebを巡回・分析し、独自の要約ページを生成。(AI主導) | 質問に対し、信頼性の高い情報源から回答を生成し、引用元を明記。(回答精度重視) |
| UI/UXの特徴 | Chromeライクで親しみやすいUIにAI機能がシームレスに統合。 | AIが生成した「Sparkpage」という要約ページが中心となる体験。 | PerplexityのWebサイトに近い、質問と回答のスレッド形式。 |
| 得意なタスク | ・複数タブを横断したリサーチ ・日常的なブラウジングの補助 ・文章作成、コーディング支援 |
・特定テーマの網羅的な情報収集 ・リサーチの初期段階 ・市場調査や競合分析 |
・学術的な調査 ・ファクトチェック ・専門的な質問への回答 |
| 利用可能OS | macOS (Apple Silicon限定) | Windows, macOS | Windows, macOS |
| 料金体系 | 現在無料 (将来の有料化は検討中) |
基本無料、Pro版有料 | Perplexity Maxプラン (月額200ドル)限定 |
各AIブラウザの得意分野と賢い選び方
上記の比較から、それぞれのブラウザがどのようなユーザーや目的に向いているかが見えてきます。
Diaはこんな人におすすめ
今のブラウジング体験をAIで拡張したい人: Chromeのような使い慣れた操作感のまま、AIのサポートを受けたいユーザーに最適です。ブラウザのUIに深くAIを統合し、日常的なブラウジングをAIとの「共同作業」と捉える思想は、Diaならではの体験を提供します。特にパーソナルAIによる学習機能とカスタムスキルによるカスタマイズ性が強みです。
Gensparkはこんな人におすすめ
情報収集の時間を大幅に短縮したい人: 「〇〇について調べて」と指示すれば、AIが複数の検索エンジンやWebサイトを横断して調査し、独自の要約ページ「Sparkpage」を生成してくれます。リサーチの初期段階で、特定のトピックに関する網羅的な情報を素早く手に入れたい場合に非常に強力です。
Perplexity Cometはこんな人におすすめ
情報の「正確性」と「出典」を最も重視する人: 2025年7月9日に発表されたCometは、Perplexityの強みである高精度な回答と、その根拠となる情報源の明示をブラウザ体験に持ち込みました。学術論文の調査、ファクトチェック、専門分野に関する正確な情報が必要なリサーチなど、信頼性が求められる場面で真価を発揮します。月額200ドルのPerplexity Maxプランユーザー限定という点からも、プロフェッショナル向けのツールと言えるでしょう。
「Dia」のアドバンテージ
GensparkやPerplexity Cometと比較して、「Dia」が多くのユーザーから期待を集める理由は、その独自のアドバンテージとユーザーエクスペリエンス(UX)にあります。
- AIとの自然な統合:
Gensparkが「AIに調査を依頼する」という体験、Cometが「AIに質問する」という体験であるのに対し、Diaは「AIと一緒にブラウジングする」という、よりシームレスで日常的な体験を提供します。これにより、AIが自然に思考プロセスに溶け込みます。
- ユーザー主導のコントロール:
AIが自動で情報をまとめてくれるGensparkとは異なり、Diaではユーザー自身が開いたタブを元にAIが動作します。これにより、ユーザーは情報の取捨選択を自らコントロールしつつ、AIの力を借りることができます。
- パーソナライズと拡張性:
使うほどにユーザーの好みやスタイルを学習するパーソナルAIと、ユーザー自身がAIの能力を拡張できるカスタムスキル機能は、他のブラウザにはない大きな強みです。これにより、Diaは単なるツールではなく、ユーザーにとって唯一無二のパートナーへと成長する可能性があります。
- 親しみやすいインターフェース:
Arcの反省を活かし、多くのユーザーが慣れ親しんだChromeに近いUIを採用することで、高度なAI機能を誰でも直感的に利用できるよう工夫されています。
知っておきたい「Dia」の技術的な側面とプライバシー対策
AIブラウザは非常に便利ですが、その裏側にある技術的な仕組みや、特にプライバシーとセキュリティに関する懸念はつきものです。「Dia」がどのように設計されており、ユーザーのデータがどのように扱われるのか、知っておくべき技術的な側面とプライバシー対策について解説します。
システムリソース使用量:動作の軽さと安定性
ChromiumベースであるDiaは、一般的なWebブラウザと同様に動作します。ただし、AI機能が統合されているため、高度なAI処理を行う際には一時的にシステムリソースを多く使用する可能性があります。
オフライン機能の有無とデータ同期
DiaのAI機能の多くは、クラウド上のAIモデルと連携して動作するため、インターネット接続が必須となります。将来的には一部のAI処理をローカルで完結させるオフライン機能の搭載も検討されているようです。
データ同期に関しては、複数のデバイス間で設定や履歴などを同期する機能が提供される予定です。
ユーザーのプライバシーとセキュリティ
The Browser Companyはユーザーのプライバシーを重視しています。Diaでは、どの情報がAIに参照されるかをユーザーが細かく設定できるプライバシーコントロール機能が提供されます。
AIが利用するブラウジング履歴などのデータは、ユーザーのデバイス上で暗号化・管理され、原則としてユーザーの許可なく外部サーバーに送信されることはありません。
AIブラウザの未来:「Dia」が描く次のインターネット像
AI技術の進化は止まることを知らず、ブラウザの未来もまた、私たちの想像を超えるものとなるでしょう。「Dia」は、その最先端を行く存在として、今後のWebブラウジングがどのように進化していくのか、その方向性を示しています。
Diaが目指す「エージェントAI」としてのブラウザの可能性と、今後期待されるアップデートについて考察します。
「エージェントAI」としてのブラウザの可能性
「Dia」が最終的に目指すのは、単なる情報検索ツールではなく、「エージェントAI」としてのブラウザです。これは、ユーザーの意図を理解し、自律的に情報収集、タスク実行までをこなす、より高度なAIアシスタントの概念です。
例えば、「来週の大阪出張の交通手段とホテルを予約して」といった指示に対し、ブラウザが自ら複数のサイトを巡回し、最適なプランを提示するような未来が想定されています。
「Dia」の今後のロードマップと期待されるアップデート
The Browser Companyは、Diaの開発を継続的に進めており、今後も様々なアップデートが予定されています。
- 対応OSの拡大: Windows版やモバイル版のリリースが検討されています。
- AIモデルの進化: 最新の高性能AIモデルへの対応や、ローカルAIモデルの統合。
- サードパーティ連携の強化: 他のWebサービスやアプリケーションとの連携強化。
AI導入でお悩みの方へ
まとめ
本記事では、The Browser Companyが開発した次世代AIブラウザ「Dia」について、その基本概念から革新的な機能、具体的な活用事例、そして他のAIブラウザとの比較まで、多角的に解説しました。Diaは、単なるWebブラウザではなく、AIを核とした「共同作業者」として、情報収集、整理、創造といったあらゆる知的作業をサポートする可能性を秘めています。使うほどにユーザーを理解するパーソナルAIや、作業を自動化するカスタムスキル機能は、これまでのブラウジング体験を根本から変える力を持っています。
まだベータ版であり、macOS限定という制約はありますが、Diaが示す未来は、情報過多の現代において、私たちがより効率的かつ創造的にインターネットを活用するための新たな道筋となるでしょう。Diaを試すことは、来るべきAIエージェント時代のインターネットをいち早く体験することに他なりません。もしあなたが日々の作業効率に課題を感じているなら、この新しいブラウジングの形を体験してみる価値は十分にあります。








